(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0014】
<実施例1>
(画像形成装置)
図1は画像形成装置の構成の説明図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、中間転写ベルト101に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部109Y、109M、109C、109Bkを配列したタンデム型中間転写方式のフルカラープリンタである。
【0015】
画像形成部109Yでは、感光ドラム103にイエロートナー像が形成されて中間転写ベルト101に転写される。画像形成部109Mでは、画像形成部109Yと同様な手順でマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト101上のイエロートナー像に重ねて転写される。画像形成部109C、109Bkでは、画像形成部109Yと同様な手順でシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて中間転写ベルト101に順次重ねて転写される。
【0016】
中間転写ベルト101に担持された四色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送されて記録材Pへ一括二次転写される。記録材カセット120から取り出された記録材は、分離ローラ121で1枚ずつに分離されてレジストローラ122へ搬送される。レジストローラ122は、中間転写ベルト101のトナー像にタイミングを合わせて記録材Pを二次転写部T2へ給送する。
【0017】
二次転写ローラ111は、二次転写内ローラ110上の中間転写ベルト101に当接して二次転写部T2を形成する。定着装置112は、定着ローラ112aと加圧ローラ112bとのニップ部で記録材Pを加熱加圧して記録材Pに画像を定着させる。二次転写部T2を通過して四色のトナー像を二次転写された記録材Pは、中間転写ベルト101から曲率分離して定着装置112へ送り込まれ、定着装置112で画像が定着された記録材Pが機体外へ排出される。
【0018】
(画像形成部)
画像形成部109Y、109M、109C、109Bkは、それぞれの現像装置で用いるトナーの色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外は、実質的に同一に構成される。以下では、イエローの画像形成部109Yについてトナー像の形成プロセスを説明し、他の画像形成部109M、109C、109Bkに関する重複した説明を省略する。
【0019】
画像形成部109Yは、感光ドラム103の周囲に、帯電ローラ104、露光装置105、現像装置106、一次転写ローラ107、ドラムクリーニング装置108を配置している。感光ドラム103は、感光層を表面に形成され、所定のプロセススピードで矢印方向に回転する。帯電ローラ104は、感光ドラム103の表面を一様な電位に帯電させる。露光装置105は、レーザービームを回転ミラーで走査して、感光ドラム103の表面に画像の静電像を書き込む。
【0020】
現像装置106は、感光ドラム103にトナーを移転させて静電像をトナー像に現像する。一次転写ローラ107は、電圧を印加されて、感光ドラム103に担持されたトナー像を中間転写ベルト101へ転写する。ドラムクリーニング装置108は、感光ドラム103にクリーニングブレードを当接させて、感光ドラム103に残った転写残トナーを回収する。
【0021】
(中間転写ユニット)
図1に示すように、駆動ローラ110は、無端状のベルト部材の一例である中間転写ベルト101を張架して駆動する。フレームステー8は、駆動ローラ110を回転自在に支持するフレーム部材の一部である。交換ユニットの一例である中間転写ユニット124は、
図3に示すように、フレームステー8、中間転写ベルト101、駆動ローラ110、ステアリングローラ1、張架ローラ113、114、及び一次転写ローラ107を一体に組み立てている。中間転写ユニット124は、画像形成装置100の筐体構造から一体に取り外し可能である。
【0022】
中間転写ベルト101は、駆動ローラ110、ステアリングローラ1、張架ローラ113、114、及び一次転写ローラ107に張架されている。駆動ローラ110は、二次転写ローラ111との間に中間転写ベルト101を挟み込んで二次転写部T2を形成する二次転写内ローラの機能を兼ねている。ステアリングローラ1は、中間転写ベルト101に所定の張力を付与するテンションローラの機能を兼ねている。
【0023】
中間転写ベルト101は、ポリイミド(PI)を基層とする樹脂ベルトで構成され、引張り弾性係数E=18000N/cm
2、厚さ0.08mmである。中間転写ベルト101は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアミド、ポリイミド樹脂(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)等、剛性の高い樹脂が望ましい。中間転写ベルト101の厚さは、0.02mm〜0.50mmの範囲が望ましい。中間転写ベルト101が薄すぎると磨耗による十分な耐久性が得られなくなり、厚すぎると駆動ローラ110やステアリングローラ1、張架ローラ113、114で曲がりにくくなって変形や折れが発生する。
【0024】
(セルフステアリング機構)
図2はセルフステアリング機構の動作の説明図である。
図3はセルフステアリング機構の斜視図である。
【0025】
図2の(a)に示すように、セルフステアリング機構10は、両端部の摩擦力のバランスによりステアリングローラ1が自律的に傾動して中間転写ベルト101を寄り移動させる。ステアリングローラ1は、回転軸21を中心にして揺動自在に支持される。中間転写ベルト101の両端が左右の摺動リング部3に掛っている場合、ステアリングローラ1に作用する左右の摩擦力は等しく、ステアリングローラ1は傾動しない。(b)、(c)に示すように、外乱によって中間転写ベルト101に寄り移動が発生すると、ステアリングローラ1が必要な方向に必要なだけ傾動して、中間転写ベルト101を(a)の状態に復帰させる。
【0026】
図2の(b)に示すように、中間転写ベルト101に左方向の寄り移動が発生すると、中間転写ベルト101が左の摺動リング部3に大きく掛って左側の摩擦力が大きくなるので、ステアリングローラ1は左側を下げる方向に傾動する。その結果、ステアリングローラ1に巻き付いた中間転写ベルト101には右方向の寄り力が作用する。
【0027】
図2の(c)に示すように、中間転写ベルト101に右方向の寄り移動が発生すると、中間転写ベルト101が右の摺動リング部3に大きく掛って右側の摩擦力が大きくなるので、ステアリングローラ1は右側を下げる方向に傾動する。その結果、ステアリングローラ1に巻き付いた中間転写ベルト101には左方向の寄り力が作用する。
【0028】
図3に示すように、ステアリングローラ1は、両端部を除く中央部が回転自在な従動ローラ部2となっている。従動ローラ部2は、中間転写ベルト101の回転に伴って従動回転する。一方、ステアリングローラ1の両端部は、回転を規制された摺動リング部3となっている。摺動リング部3は、中間転写ベルト101の回転に伴って中間転写ベルト101を摺擦して摩擦抵抗を発生する。
【0029】
回動プレート7の両端部にサイド支持部材6が起立している。回動プレート7およびサイド支持部材6は、ステアリングローラ1を支持する支持台を構成している。スライド軸受け4は、サイド支持部材6に形成されたスライド溝部に嵌合して、矢印PT方向へ移動可能である。スライド軸受け4は、ステアリングローラ1の回転軸の端部を回転自在に支持する。テンションバネ(圧縮バネ)5は、スライド軸受け4を矢印PT方向に付勢する。ステアリングローラ1は、両端部をテンションバネ5によって付勢されて、中間転写ベルト101にテンションを付与する。
【0030】
回動プレート7は、中央の回転軸線Jに関して矢印S方向に回動可能である。
図7の(b)に示すように、フレームステー8は、中間転写ユニット124の側板8F間に掛け渡されて、ユニットフレームを構成する部材である。
図3に示すように、フレームステー8は、両端部にスライドコロ9を備えている。スライドコロ9は、フレームステー8上での回動プレート7の回動抵抗を低減している。
【0031】
(第一の支持部)
図4はセルフステアリング機構の回動中心部の斜視図である。
図4に示すように、回動プレート7の中心部には、回動プレート7の回転軸21が嵌合し、ビス24にて一体的に締結されている。回転軸21の一端部には、平行面21Dが形成され、組み立て時には、工具で平行面21Dを拘束して回転軸21を回り止めする。回転軸21は、フレームステー8に固定された軸受け23(ボールベアリング)に挿入して回転自在に支持される。回転軸21の他端部には抜け止め部材26が固定されている。回転軸21は、ロータリーダンパー20の中心軸になっている。ロータリーダンパー20は、ビス25によってフレームステー8の中央位置に固定されている。
【0032】
ロータリーダンパー20は、オイルの粘性抵抗を利用して回転抵抗力を発生する機械素子であり、回転軸21が発生するせん断速度の大きさに応じて回転抵抗力を増大させる。回転軸21の揺動速度の時間変化率が大きくなると、ロータリーダンパー20の回転抵抗力が大きくなるため、ステアリングローラ1のノイズ的な揺動成分がカットされて、ステアリングローラ1による中間転写ベルト101のステアリング動作が安定する。
【0033】
(摺動リング部)
図5はステアリングローラの端部の斜視図である。
図6はステアリングローラに対する中間転写ベルトの掛り幅の説明図である。
【0034】
図5の(a)に示すように、摺動リング部3は、ローラ軸方向で均一な外径分布を有するストレート型を採用している。摺動リング部3がストレート形状となっている場合には、摺動リング部3の静止摩擦係数μs=0.6程度に設定することが望ましい。摺動リング部3は、摺擦耐久性を有するポリアセタール(略号:POM)などの樹脂材料で形成される。中間転写ベルト101との摩擦帯電による静電的な弊害を考慮して、樹脂材料に導電性を付与している。ステアリングローラ軸30の端部は、Dカット形状を有することでスライド軸受け4に対して回転不可能に支持されている。摺動リング部3は、ステアリングローラ軸30に対して回転不可能に取り付けられている。
【0035】
一方、従動ローラ部2は、アルミニウムの円筒材料で形成される。従動ローラ部2は、内蔵される軸受け部材によって、ステアリングローラ軸30に対して回転自在に支持されている。ステアリングローラ1は、両端部が非回転に設定され、両端部の内側の部分が回転自在に設定されているため、中間転写ベルト101の回転に対する両端部の抵抗負荷は中央部より格段に高い。
【0036】
したがって、ステアリングローラ1に張架された中間転写ベルト101が回転したとき、ステアリングローラ1の従動ローラ部2はベルト内周面に対して摺擦しない。しかし、ステアリングローラ1の摺動リング部3は、中間転写ベルト101に対して摺動して大きな摩擦力を作用させる。摺動リング部3及び従動ローラ部2の摩擦係数は、中間転写ベルト101の内周面の材料であるポリイミドシートをテストピースとして、JIS K7125 プラスチック−フィルム及びシート−摩擦係数試験方法により測定した。
【0037】
なお、
図5の(b)に示すように、摺動リング部3は、ローラ軸方向の外側に向かって連続的に外径が大径化するテーパ型を採用してもよい。ステアリングローラ1の両端部が外側ほど直径が大きいテーパ形状を有する場合、メカニカルフィードバックは、ステアリングローラ101と中間転写ベルト101の摩擦変動による影響を受けにくくなり、自律的な寄り移動の相殺効果が安定する。そのため、摺動リング部3がテーパ形状になっている場合、静止摩擦係数μsは、ストレート形状の場合よりも小さくすることができる。具体的には、テーパ角φ=8°において、μs=0.3程度が望ましい。
【0038】
また、摺動リング部3は、従動ローラ部2の回転方向において回転しないように固定されている構成には限定されず、摺動リング部3が回転可能とする構成であってもよい。ただし、回転可能とする場合には、中間転写ベルト101の回転方向における摺動リング部3を回転させるために必要なトルクが従動ローラ部2を同方向に回転させるために必要なトルクよりも大きくなるようにする必要がある。
【0039】
図6の(a)に示すように、中間転写ベルト101の幅は、従動ローラ部2の幅よりも広く、かつステアリングローラ1(従動ローラ部2+両端の摺動リング部3)の幅よりも狭い。中間転写ベルト101と摺動リング部3は、両端部で、等しい掛かり幅w(図中ハッチング部)を有する。このため、中間転写ベルト101はいずれか一方の摺動リング部3と摺擦する。
【0040】
これに対して、
図6の(b)に示すように、中間転写ベルト101の幅が従動ローラ部2の幅よりも狭い場合、中間転写ベルト101に寄り移動が発生しても摺動リング部3に掛かり幅を持つまでステアリングローラ1が傾動しない。このため、掛かり幅を持った瞬間に急激な傾動と寄り移動が発生して中間転写ベルト101の寄り制御が不安定になり易い。
【0041】
(ベルトクリーニング装置)
図7はベルトクリーニング装置の構成の説明図である。
図7に示すように、ベルトクリーニング装置102はクリーニングブレード102bを中間転写ベルト101に当接させて転写残トナーを回収する。クリーニングブレード102bは、中間転写ベルト101が下向き移動する位置に当接する。
【0042】
図7の(a)に示すように、クリーニングブレード102bは、ステアリングローラ1に内側面を支持された中間転写ベルト101の移動方向に対してカウンタ方向に配置される。ベルトクリーニング装置102は、中間転写ベルト101の外側面にクリーニングブレード102bの先端部を当接させて、記録材Pに転写されずに中間転写ベルト101に残った転写残トナー等を回収する。クリーニングブレード102bは、ウレタンゴムからなる。ウレタンゴムの硬度はJIS−A硬度で75度、ウレタンゴムの厚さは2mmである。クリーニングブレード102bの当接角は、25°、当接圧は、3N/m(30gf/cm)である。しかし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】
図7の(b)に示すように、回動プレート7は、回転軸21を中心にしてフレームステー8に対して回動自在である。ベルトクリーニング装置102は、端部をスライド軸受け4に回動自在に取り付けられている。スライド軸受け4は、ステアリングローラ1の端部を回転自在に支持して、回動プレート7に固定されたサイド支持部材6に沿って移動可能である。
【0044】
ベルトクリーニング装置102とステアリングローラ1は、平行を保った状態で、サイド支持部材6に対する交差角度を変更可能である。ベルトクリーニング装置102は、ステアリングローラ1と一体となって傾動して、ステアリングローラ1の常に一定の位置において、中間転写ベルト101を介してクリーニングブレード102bの先端を圧接させる。クリーニングブレード102bは、ステアリングローラ1に対して常に平行を保つように配置されて、中間転写ベルト101に対するクリーニングブレード102bの当接長さの全域で摩擦状態を均一に確保する。中間転写ベルト101に寄り移動が発生して、ステアリングローラ1が傾動している間も、中間転写ベルト101とクリーニングブレード102aの当接状態が同一に保たれて、転写残トナーの回収が行われる。
【0045】
(自律ステアリング方式の課題)
ところで、
図7の(a)に示すように、画像形成が開始されると、矢印V方向に中間転写ベルト101の搬送が開始される。すると、中間転写ベルト101に接触しているクリーニングブレード102bは摩擦力によって中間転写ベルト101の搬送方向に力を受ける。と同時に、クリーニングブレード102bが取り付けられているベルトクリーニング装置102も中間転写ベルト101の搬送方向に力を受ける。ベルトクリーニング装置102は端部をステアリングローラ1のスライド軸受け4に取り付けられていることから、ステアリングローラ1及び回動プレート7は、ベルトクリーニング装置102から矢印A方向に曲げ力を受ける。曲げ力を受けて回転軸21及びフレームステー8が変形すると、ステアリングローラ1と回動プレート7が下がって、中間転写ベルト101に所望のテンションが付与されなくなって画像不良につながる。下がっても接触しないように周囲の部品との間により大きなスペースを設ける必要があるため、画像形成装置100が大型化する。
【0046】
そこで、以下の実施例では、ベルトクリーニング装置102の回収トナー容器31の下面を、画像形成装置100に付設された制御ボックス32に当接させて支持している。回転軸21及びフレームステー8に作用する力を制御ボックス32に分担させることで、回転軸21及びフレームステー8の負担を軽減している。
【0047】
(実施例1の特徴構成)
図8は実施例1における第二の支持部の斜視図である。
図9はステアリング動作時の第二の支持部の移動の説明図である。
図10は張力印加方向と第二の支持部の摺擦方向の関係の説明図である。
【0048】
図1に示すように、ステアリングローラ1は、駆動ローラ110から離れた位置で中間転写ベルト101を張架して、中間転写ベルト101に従動回転する。
図7に示すように、摺擦部材の一例であるクリーニングブレード102bは、ステアリングローラ1との間に中間転写ベルト101を挟み込んで摺擦する。
【0049】
図5に示すように、ステアリングローラ支持部の一例であるサイド支持部材6は、ステアリングローラ1の端部を中間転写ベルト101の張力付与方向へ移動可能に支持する。付勢部材の一例であるテンションバネ5は、一対のサイド支持部材6をそれぞれ張力付与方向へ付勢する。
図7に示すように、クリーニングユニットの一例であるベルトクリーニング装置102は、ステアリングローラに対向する位置でクリーニング部材の一例であるクリーニングブレード102bにより中間転写ベルト101をクリーニングする。
【0050】
図4に示すように、第一の支持機構の一例である回転軸21は、フレームステー8に配置されて、ステアリングローラ1の回転軸線に垂直な所定の回転軸線の周りでステアリングローラ1及びベルトクリーニング装置102を傾動自在に支持する。
【0051】
図9に示すように、第二の支持機構の一例であるバックアップ面32aは、中間転写ベルト101の移動に伴って回転軸21に作用する力を軽減させるように、ベルトクリーニング装置102を所定の回転軸線の周りで傾動自在に支持する。
【0052】
図8に示すように、ベルト側
被支持部の一例であるバックアップ受け面31aは、ベルトクリーニング装置102の下向き面に配置される。バックアップ受け面31aは、所定の回転軸線の周りで中間転写ベルト101及びクリーニングブレード102bと一体に傾動する。
【0053】
筐体側支持部の一例であるバックアップ面32aは、画像形成装置100の筐体構造に固定された上向き面の一例である制御ボックス32に配置される。バックアップ面32aは、バックアップ受け面31aに接触してステアリングローラ1及びベルトクリーニング装置102を支持する。バックアップ受け面31aとバックアップ受け面32aとは、所定の回転軸線と平行に形成されているため、張力付与方向へステアリングローラ1が移動しても、所定の接触状態を維持して力を分担可能である。バックアップ受け面31aとバックアップ受け面32aとは、耐摩耗性樹脂材料が表面に配置された一対の摺擦面である。
【0054】
図1に示すように、画像形成装置100には、本体フレームに固定して制御ボックス32が付設されている。
図8に示すように、制御ボックス32は、磁気シールドを兼ねた鋼板で形成され、内部に、電源装置、高圧電源基板、制御基板、信号処理回路等を収容している。回収トナー容器31のバックアップ受け面31aに当接するように、制御ボックス32の上面にバックアップ面32aが形成されている。回収トナー容器31のバックアップ受け面31aと制御ボックス32のバックアップ面32aとは、当接して負荷を受け持つために必要な位置関係及び剛性を備えている。バックアップ受け面31aとバックアップ面32aとは、互いに当接して回転軸21の回転軸線方向及び回転軸21を中心とする円周方向に微小に摺動するため、摺動性を有するポリアセタール樹脂(POM)、フッ素樹脂(FRP)などで形成される。これにより、中間転写ベルト101の自律ステアリングに必要なステアリングローラ1の傾動自在な性質が損なわれない。
【0055】
上述したように、クリーニングブレード102bは当接部で中間転写ベルト101の移動方向に力を受け、その力はベルトクリーニング装置102、スライド軸受け4を介してステアリングローラ1に矢印A方向の力が作用する。このとき、矢印A方向の力は、ベルトクリーニング装置102のバックアップ受け面31aから制御ボックス32のバックアップ面32aへ伝達されて、回転軸21、及びフレームステー8の負荷上昇が軽減される。
【0056】
図9に示すように、制御ボックス32のバックアップ面32aは、回転軸21を中心とする曲率半径R2の上向きに凹な円周面である。バックアップ受け面31a及びバックアップ面32aは、ステアリングローラ1と回動プレート7を回動可能に支持する回転軸21と略同軸上に形成される。ベルトクリーニング装置102のバックアップ受け面31aは、回転軸21から距離R2のピークを形成した曲率半径R2よりもわずかに小さい曲率半径α1の下向きに凸な円周面である。
α1>α2
【0057】
図8に示すように、中間転写ベルト101に寄り移動が発生すると、ステアリングローラ1が自律的に傾動して中間転写ベルト101をステアリングする。
図9に示すように、ステアリングローラ1の傾動に伴って、バックアップ受け面31aは、回転軸21に近い位置でバックアップ面32aを摺擦する。このとき、バックアップ受け面31aが回転軸21と同軸上の円周面であるため、バックアップ受け面31aとバックアップ面32aとはほぼ等しい接触状態を維持する。
図7に示すように、ステアリングローラ1のステアリング動作に回動抵抗を与えることなく、ステアリングローラ1が矢印A方向に傾くことを防止できる。
【0058】
図10の(a)に示すように、テンションバネ5がステアリングローラ1を付勢して移動させる方向と平行にベルトクリーニング装置102のバックアップ受け面31aと制御ボックス32のバックアップ面32aとが形成されている。ベルトクリーニング装置102のバックアップ受け面31aと制御ボックス32のバックアップ面32aとは、回動プレート7の回転軸21と平行に形成されている。
【0059】
なお、画像形成装置100の本体側に設けられたバックアップ面(32a)は、制御ボックス(電源ボックス、基盤ホルダ)上に限定されず、画像形成装置100を構成する本体フレームに形成されてもよいし、別の部品に設けられても良い。
【0060】
(実施例1の効果)
図3に示すように、実施例1では、自律ステアリング方式を採用しており、ステアリングローラ1が左右の摩擦力のバランスにより自動的に中間転写ベルト101の寄り移動制御を行う。ステアリングローラ1の左右の摩擦抵抗バランスがメカニカルフィードバックを発生し、中間転写ベルト101に寄り移動が発生すると、ステアリングローラ1が自律的に傾動して寄り移動を相殺する。メカニカルフィードバックは、モータを用いないので、中間転写ベルト101の寄り制御に伴う電力消費が皆無である。自律ステアリング方式は、部品点数が少なく、簡易で低コストのベルト寄り制御方法である。
【0061】
中間転写ベルト101の寄り移動を検出するセンサ、センサの出力からステアリングローラ1の傾動量を演算してモータを作動させる制御手段、モータの回転角度をステアリングローラ1の傾動量に変換する駆動伝達機構がいずれも不要である。寄り制御の精度がセンサによる寄り量の検出精度と無関係である。センサの突発的な出力変動に起因する中間転写ベルト101の不必要な寄り移動が発生して、中間転写ベルト101を蛇行させることもない。
【0062】
図8に示すように、実施例1では、ステアリングローラ1のほぼ中央且つ回転軸21の近傍にバックアップ受け面31aを設け、画像形成装置100の本体側にバックアップ受け面31aと当接するバックアップ面32aを形成している。バックアップ受け面31aを回転軸21と同軸上の円周面とすることで、中間転写ベルト101の搬送方向の力に対して、ステアリングローラ1のステアリング動作に影響を与えることなく、ステアリングローラ1及び回動プレート7の変形を抑える。
【0063】
図7に示すように、実施例1では、ステアリングローラ1に下向きの力が発生した場合に、バックアップ面32aがバックアップ受け面31aを支持する。このため、クリーニングブレード102bの摺擦抵抗が変化して、矢印A方向の力が大きく変動した場合に、ベルトクリーニング装置102が振動して振動音を発生したり、大きく沈み込んで一次転写部におけるトナー像の転写が妨げられたりしない。矢印A方向の力が大きくなっても、ステアリングローラ1を支持する回動プレート7、回転軸21、ロータリーダンパー20、及びフレームステー8が矢印A方向に変位又は変形しないで済む。
【0064】
実施例1では、ステアリングローラ1が中間転写ベルト101の移動方向の力を受けた場合でも、中間転写ベルト101に所望のテンションが付与されて画像不良が発生しにくい。中間転写ベルト101の移動方向に大きな力が加わった場合でも、自律ステアリング方式のステアリング動作を妨げることなくステアリングローラ1およびその支持構造が傾きにくいため、安定したベルト搬送を実現できる。バックアップ受け面31aとバックアップ面32aとを当接させる構成は、周囲の部品との間に大きなスペースを設ける必要がないため、画像形成装置の小型化に利する。
【0065】
<実施例2>
図11は実施例2におけるベルトクリーニング装置支持構造の説明図である。
図11に示すように、複数の像担持体の一例である感光ドラム103は、中間転写ベルト101に当接する。接離機構は、中間転写ベルト101を移動させて感光ドラム103に中間転写ベルト101を接離させる。バックアップ受け面31aとバックアップ面32aの当接長さは、接離機構の動作に伴うステアリングローラ1の所定の回転軸線に沿った移動長さよりも長い。
【0066】
図11の(a)に示すように、フルカラーモードでは、4色のトナー像を中間転写ベルト101上に転写する必要があるため、中間転写ベルト101に4色全ての感光ドラム103(Y、M、C、Bk)を当接させる。このとき、中間転写ベルト101が一次転写ローラ107(Y、M、C、Bk)によって下方へ押圧されるため、テンションバネ5が縮んでステアリングローラ1が二次転写内ローラ110側へ移動している。
【0067】
一方、ブラック単色モードでは、中間転写ベルト101にブラックの感光ドラム103(Bk)を当接させるが、残りの3色の感光ドラム103(Y、M、C)は中間転写ベルト101から離間させる。感光ドラム103(Y、M、C)の不必要な摩耗を回避して交換寿命を引き伸ばす等が目的である。このとき、一次転写ローラ107(Y、M、C)が上方へ移動して、中間転写ベルト101を下方へ押圧しなくなるため、テンションバネ5が伸びてステアリングローラ1が外側へ移動して中間転写ベルト101のたるみを吸収する。
【0068】
図11の(b)に示すように、中間転写ベルト101の交換時には、一次転写ローラ107(Y、M、C、Bk)に加えて張架ローラ114も上方へ移動して、中間転写ベルト101に最大のたるみが発生する。このとき、テンションバネ5がさらに伸びてステアリングローラ1が外側へ移動して中間転写ベルト101のたるみを吸収する。
【0069】
これらの場合において、バックアップ受け面31a及びバックアップ面32aがステアリングローラ1の移動方向と平行に配置されているため、バックアップ受け面31aとバックアップ面32aが円滑に摺擦して、中間転写ベルト101にたるみを発生しない。
【0070】
<実施例3>
図12は実施例3におけるベルトクリーニング装置支持構造の説明図である。実施例1では、バックアップ受け面31a及びバックアップ面32aは、円周面と円周面の組み合わせで構成としたが、本発明は、円周面と円周面の組み合わせには限定されない。曲面と平面、平面と平面の組み合わせでもよい。
【0071】
図12に示すように、実施例3では、対向面の一方の一例であるバックアップ面32aは、所定の回転軸線を中心軸とする部分円筒面に形成されている。対向面の他方の一例であるバックアップ受け面31aは、バックアップ面32aに案内される転がり部材を有する。
【0072】
コロ133を介して回収トナー容器31のバックアップ受け面131aと制御ボックス32のバックアップ面132aとが当接する。コロ133は、バックアップ面132a上に不図示の回転軸で回転自在に取り付けられている。回収トナー容器31のバックアップ受け面131aは、ステアリングローラ1の回転軸21を中心とするコロ133の内側の包絡円周面になるように形成されている。
【0073】
なお、回収トナー容器31のバックアップ受け面131aにコロ133を取り付けて、制御ボックス32のバックアップ面132aをコロ133の外側の包絡円周面になるように形成してもよい。
【0074】
<実施例4>
図13は実施例4におけるベルトクリーニング装置支持構造の説明図である。実施例1では、回収トナー容器31の下面を、上向き面に当接させて下から支える構成としたが、本発明は、面を面で当接支持する構成には限定されない。ベルトクリーニング装置102は、上方から吊り下げて支持してもよい。支持させる構造は、画像形成装置の筐体には限らず、中間転写ユニットのフレーム枠構造でもよい。
【0075】
図13の(a)に示すように、実施例4では、回収トナー容器31に、回転軸21とほぼ同一軸上に支持軸221が取り付けられている。支持軸221は、画像形成装置100のフレームに取り付けられた軸受け122に回転自在に支持されている。軸受け122は、水平方向に若干のがたつきを持たせて支持されているので、左右のテンションバネ5の自由な伸縮を妨げない。
【0076】
なお、破線で示すように、中間転写ユニット124の側板8Fから延長したフレーム枠8Wに軸受122を支持させてもよい。フレーム枠8Wに回収トナー容器31の当接面を配置してもよく、フレーム枠8Wから回収トナー容器31を吊り下げ支持してもよい。いずれの構成にせよ、フレーム枠8Wに回収トナー容器31が支持されることで、回転軸21に作用する曲げモーメントが軽減され、回動プレート7、フレームステー8等の負担が軽減される。
【0077】
<実施例5>
本発明は、駆動を伴わないベルト部材の自律的な寄り制御を行うステアリングローラを回動自在に2か所以上で支持する限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
【0078】
従って、自律的なベルト部材の寄り制御を採用した画像形成装置であれば、タンデム型/1ドラム型、中間転写型/記録材搬送型の区別無く実施できる。ベルト部材は、中間転写ベルト以外の転写ベルトや定着ベルトであってもよい。
【0079】
本発明は、クリーニングブレード102b以外の要因で中間転写ベルト101に大きな下向き力がかかった場合にも、ステアリングローラ1及びその支持台が下方へ移動したり振動したりすることを防止できる。
図3に示すように、摺擦部の一例である摺動リング部3は、ステアリングローラ1の両端部に配置され、中間転写ベルト101に対する従動回転を規制されて中間転写ベルト101の縁領域に摺擦する。そして、中間転写ベルト101の駆動ローラ110に駆動が入力され中間転写ベルト101が回転し始める際に、静止摩擦力を破るために中間転写ベルト101の移動方向に力が働く。
【0080】
このような場合においても、第一の支持機構と第二の支持機構とが力を分担することで、回転軸を両持ちして歪みや応力が軽減されて、ステアリングローラ1がその支持台ごと傾くことがない。
【0081】
本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。