(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カム(60)は、前記ラッチ(5)に堅固に固定されたピン(70)を案内することができるカム経路(68)を定義し、前記カム経路(68)は、前記ピン(70)がばね(66)によって固定されるくぼみを含む、請求項4に記載のスピーカキャビネット。
前記作動制御は、ハンドル(6)によって実行され、前記ハンドルの自動ロック機構(102、104)を備える、請求項1から6のいずれか一つに記載のスピーカキャビネット。
要素(8)を備え、動作位置にある前記要素の長さによって前記キャビネットと前記別のキャビネットとの間に形成される角度を調整し、前記長さは回転コンポーネント(10)の位置に応じて決定される、請求項1から7のいずれか一つに記載のスピーカキャビネット。
前記要素は、本体(78)の中に摺動可能に取り付けられたロッド(80)を備えるピストン(8)であり、前記回転コンポーネントは、前記ピストン(8)の主軸を中心に回転可能に取り付けられた歯車(10)である、請求項8に記載のスピーカキャビネット。
キャビネットと別のスピーカキャビネットとの間に形成される角度を調整するための装置を備えるスピーカキャビネットであって、前記スピーカキャビネットは要素(8)を備え、動作位置にある前記要素の長さは前記角度を調整し、回転コンポーネント(10)の位置に応じて決定されることを特徴とするスピーカキャビネット。
前記要素は、本体(78)の中に摺動可能に取り付けられたロッド(80)を備えるピストン(8)であり、前記回転コンポーネントは、前記ピストン(8)の主軸を中心に回転可能に取り付けられた歯車(10)である、請求項10に記載のスピーカキャビネット。
前記本体(78)に対して最大伸張の位置で前記ロッド(80)をロックする装置(84、86、88)を備える、請求項11から13のいずれか一つに記載のスピーカキャビネット。
前記本体(78)内の格納位置で前記ロッド(80)をロックする装置(84、86、94)を備える、請求項11から14のいずれか一つに記載のスピーカキャビネット。
第一方向への並進作動制御(6)を、前記第一方向とは異なる第二方向への少なくとも一つの第一ラッチ(5)の並進運動に変換する変換機構(54、56、60)を備え、前記格納可能なシャフトは、前記第一ラッチ(5)を備える、請求項16に記載のスピーカキャビネット。
【背景技術】
【0002】
専門的な音響システムキャビネットを縦列(または「直線配列」)に組み合わせることは、10年以上もの間、一般的に行われている。このような組み合わせは、一個50Kgを超える数十個のキャビネットによって構成され得る。
【0003】
それゆえ、取り付け(Rigging)システムは、上部のキャビネットを巻き上げモータに接続するフレーム(又は「バンパ」)と、キャビネット同士を接続する、各キャビネットを取り付けるための機械的な構成要素との二つのカテゴリーに分けられることが提唱されてきた。
【0004】
キャビネット間取り付けシステムの多くは、以下の特徴を有している。
【0005】
複数のキャビネットが重力によって最終角度に達する場合には、キャビネットは張力取り付け方法(tension mounting method)を利用して取り付けられる。または、アセンブリの底にかけられる戻り力(return force)が各キャビネットを最終角度にさせる場合には、キャビネットは圧縮取り付け方法を利用して取り付けられる。
【0006】
キャビネット間取り付けシステムは四点システム(4-point system)であるため、一平面の定義において過大応力となり、その結果四点目は常に接続困難になる。
【0007】
キャビネット間取り付けシステムは、複数のボールロック又は簡易脱着ピンを使用し、従ってこれらのボールロックを受容する穴の許容誤差は、非常に厳密に規定されなければならない(穴が小さすぎる場合、ピンは入らず、穴が大きすぎる場合、ピンは保持されない)。
【0008】
当該ピンは、キャビネット間の接続とキャビネット間の角度調整(一般に角度は0°から10°の間に調整される)の両方を実現するが、角度調整はキャビネットのそれぞれの側面上で同一にしなければならないため、システムとその組み立てをより複雑にする。
【0009】
ボールロックは、キャビネットから分離された部品であり、無くしやすい。
【0010】
キャビネットが張力によって取り付けられる場合、キャビネットを取り付ける方法が、各キャビネット間に必要とされる角度値に対応する穴にボールロックを挿入するために、キャビネットの後部を手動で持ち上げるという意味を含むため、上記の問題点は大きくなる。
【0011】
その結果、上記の現在のシステムは組み立てが複雑であり、少なくとも2、3人の熟練した技術者を必要とする。そのような組み立ては、同日の夕方に開催されるコンサートのために実行する場合、貴重な時間をさらに必要とすることとなる。
【0012】
さらに、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載の解決法が知られている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
これに関連して、本発明は、別のスピーカキャビネットに機械的に接続する装置を備えるスピーカキャビネットであって、前記接続する装置は、第一方向への並進作動制御を、前記第一方向とは異なる第二方向への少なくとも一つの第一ラッチの並進運動に変換する機構を含むことを特徴とするスピーカキャビネットを提案する。
【0015】
従って作動制御は、特に、キャビネット上の容易に接触可能な場所に配置することができる。同様に、操作者が作動制御を行うために実行する動作は、それゆえ(必ずしもラッチの移動方向ではなく、)実際面で望ましい方向になされる。
【0016】
さらに変換機構は、上記並進作動を第二ラッチの並進運動に変換でき、それによって単一の作動制御から二つのロックポイントの駆動を可能にする。
【0017】
第二ラッチの前記並進運動は、例えば第一ラッチの並進運動と反対方向の第二方向であり、前述の作動制御によってキャビネットの両側面の同時接続を可能にする。
【0018】
変換機構は、前記作動制御によって駆動されるカムを備える。そのようなカムは、特に適切なカム経路を選択することによって、任意に上下の動きを連動させるだけでなく、方向転換を実行できるようにする。
【0019】
カムは、ラッチに堅固に固定されたピンを案内するのに適したカム経路などを定義する。さらに、ばねによってピンが固定されるくぼみを備えるカム経路を設けることが可能である。このように、カムとバネの組み合わせによって、ある特定の方向に機構をロックすることを可能にする。
【0020】
以下に説明する実施例にあるように、第一方向は、例えば基本的に前記第二方向に対して垂直であるため、特に実用的な構成となる。しかしながら、変形例として、第一方向と第二方向との間に直角とは異なる(0ではない)角度を形成することが可能である。
【0021】
上記作動は、ハンドルによって実行できる。さらに、ラッチの接続位置に対応する位置に、ハンドルを自動的にロックするための機構を設けることができる。キャビネットが接続されるとすぐに、ハンドルは、その時自動的にロックされる(すなわち、例えば、キャビネットがラッチによって別のキャビネットに接続される位置に操作者がハンドルを動かすと、ロック機構上で操作者の動作なしにロックされる)。反対に、ロックを解除するためには、以下に説明するように、ロック機構上で操作者による特定の動作を必要とし、それによりさらなる安全性を提供する。
【0022】
本発明はさらに、上記とは別個に必要に応じて、キャビネットと別のキャビネットとの間に形成される角度を調整するための装置を備えるスピーカキャビネットを提供する。前記スピーカキャビネットは、動作位置にあるその長さによって前記角度を調整する要素を備え、前記要素の長さは、例えば、一般にユーザによる回転コンポーネントの回転によって、ユーザが調整可能である回転コンポーネントの位置に応じて決定されることを特徴とする。そのような回転コンポーネントの使用により、前記要素の長さの調整をかなり簡素化し、その結果、キャビネット間の角度の調整も簡素化される。それゆえユーザは、回転コンポーネントを所望の位置に回転でき、動作位置で要素の長さを決定する。
【0023】
要素は、例えば、本体の中に摺動可能に取り付けられたロッドを備えるピストンであり、回転コンポーネントは、ピストンの主軸を中心に回転可能に取り付けられた歯車でもよい。
【0024】
以下に説明するように、動作位置にあるピストンの長さの調整によってキャビネット間の角度の調整ができるように、キャビネットは次に例えば本体に堅固に固定され、それと同時に別のキャビネットは例えば(任意でボールロックを使用して)ロッドに取り付けられる。
【0025】
例えば、以下に説明する実施形態と同様に、ピストンを動作位置において圧縮状態にすることができる。
【0026】
別の可能性としては、以下の説明の最後に記載した変形例にあるように、ピストンは、動作位置において伸張状態になることもできる。
【0027】
さらに、本体に対して最大伸張の位置でロッドをロックする装置を設けることができ、その装置により幾つかのキャビネットを運送のために水平に保ったままドリー(dolly)上に積み重ねることを可能にする。
【0028】
さらに、本体内の格納位置でロッドをロックする装置を設けることもでき、それによりキャビネットの高さの範囲内で、ピストンを本体内に保管することができる。
【0029】
上述の角度調整は、別のキャビネットとの接続用にキャビネット内に設けられた格納可能な軸を中心に行うことができる。
【0030】
これに関連して、上述のように、第一方向への並進作動を、第一方向とは異なる第二方向への少なくとも一つの第一ラッチの並進運動に変換するための機構を提供できる。さらに、格納可能な軸は、前記第一ラッチを有することができる。
【0031】
この変換機構は、上述した任意の特徴のうち一つ以上を本発明が提案する変換機構に対して必要に応じて組み込むことができる。
【0032】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の説明を考慮し、添付の図面を参照することによって、明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1及び
図2は、互いに機械的に関連した特に以下の三つの装置を備えるスピーカキャビネット2を示している。
【0035】
一つ目の装置は、キャビネットの下に格納され、キャビネットの背面に配置されたハンドル6の深さ方向の並進運動を、サイドラッチ(
図3の参照番号5)をそれぞれ駆動する側方運動に変換する機構を備えている「T型」アセンブリ4である。
【0036】
二つ目の装置は、ここでは単一のピストンであって、キャビネット2と別のキャビネットとの間の角度調整だけでなく、別のキャビネットと背面接続を行うピストン8である。ピストンの上部はキャビネット内に係留され、ピストンの下部は単一のボールロックによって下部キャビネットに接続される。歯車10は、ピストン8の軸周りに回転可能に取り付けられ、歯車10の位置は例えば文字などによって印を付けられており、当該歯車10によってピストンの長さ(以下に説明するように、一旦各キャビネットが組立てられた場合の長さ)の事前調整が可能となり、その結果、キャビネット間の角度の事前調節が可能となる。
【0037】
三つ目の装置は、(狭角上に作用する重力に対する)上下の金属連続性、及び(広角の場合の力の移動に対する)前後の金属連続性といったアセンブリの剛性を確保する金属バンパ12である。
【0038】
上記の構造上の各アセンブリ以外に、キャビネット2は外壁を備え、すなわち、具体的には上部壁14、下部壁20、側壁22、及びくぼみ(indentation)にピストン8を受容するように構成された後部壁24を備えている。
【0039】
キャビネット2の前面自体は、音波を放射させるために格子26によってふさがれている。
【0040】
上部壁14は、基本的に平面である前方部18と、基本的に平面かつ前方部18に対してわずかに傾斜している後方部16とを備える。
【0041】
実施例に示すように、前方部18は略水平(すなわち、キャビネットの音響放射の方向に略平行)であり、後方部16は、キャビネット間の角度について想定される最大の半減角によって傾斜している。
【0042】
上部壁14の後方部16の前方部分においては、二つの突起(lug)28が上部壁14上に延在し、当該突起28は、上部壁14の横方向の端部にそれぞれ位置している。
【0043】
さらに以下に説明されるように、各突起28はバンパ12から生じている(すなわち、バンパ12に機械的に接続されている)。また、突起28は、例えば
図1のキャビネットのように設計された別のキャビネットの各ラッチを受容するようになっており、当該別のキャビネットは、二つの突起28の間、特に各突起28の穴の中心の間に延在しているヒンジラインCの位置でキャビネット2と接触して設置される。突起は、前方部18と後方部16との間の接合部の位置に取り付けられる。
【0044】
下部壁20もまた、基本的に平面(かつ、ここでは略水平)である前方部21と、基本的に平面かつ、(またここでもキャビネット間の角度に対して想定される最大の半減角によって)前方部21に対してわずかに傾斜している後方部19とを備える。
【0045】
T型アセンブリ4は、T型アセンブリ4の下面が下部壁20の後方部19の面に延在するように、すなわち、T型アセンブリが下部壁20の後方部19によって定義される面以上に延在しないように、キャビネット2上に、特に下部壁20の後方部19上に取り付けられる。なお、T型アセンブリ4(特に、以下に記載されるその横軸部分32)は、前方部21と後方部19との間の接合部を形成する。
【0046】
以下により詳細に説明されるように、T型アセンブリ4は、軸部分30と横軸部分32とを備える。軸部分30は、下部壁20の後方部19の平面上ではあるが、ハンドル6と横軸部分32との間で基本的に音響放射の方向に延在している。
【0047】
なお、ハンドル6は、キャビネットの後方から容易に操作可能となるように、ここでは下部壁20の後方端部の位置に延在するのが好ましい。
【0048】
横軸部分32は、以下に説明するように、下部壁20の後方部19の略全幅に渡って軸部分30に対して垂直に延在し、その各端部で取り外し可能なラッチを支える。
【0049】
さらに、T型アセンブリ4は、ラッチ5を支えているその横軸部分32の各端部がバンパ12から生じている二つの平行なタブ34、タブ36の位置にそれぞれ配置されるように、下部壁20の位置に配置される。
【0050】
タブ34及びタブ36はそれぞれ、(T型アセンブリ4の横軸部分32によって支えられる)隣接ラッチ5を配置位置で留め得るホール38を有している。
【0051】
図3は、キャビネットのタブ34、タブ36及びT型アセンブリ4と、別のキャビネットの突起28′とを用いた二つのキャビネット間の接続を示している。
【0052】
図3は、一旦二つのキャビネットが互いに接触して配置されると(すなわち、キャビネットのうちの一つのヒンジラインCが別のキャビネットのT型アセンブリ4の横軸部分32に沿って配置されると)、以下に説明するように、ラッチ5が配置位置に移動できるように、突起28′のオリフィスは、別のキャビネットタブ34、タブ36のそれぞれのオリフィス38と一直線になって位置していることを示している。ラッチ5の配置位置とは、そのラッチ5のキャビネットのオリフィス38の位置であり、ラッチ5が結果として突起28′のオリフィスを通り抜けることとなる。
【0053】
そのような組み立ては、二つのキャビネットのアセンブリの横方向の端部のそれぞれで行われ、それにより、二つのキャビネットは、この場合、ヒンジラインCとして上に定義された、二つのラッチ5を連結する軸の位置で互いに接続される。
【0054】
図4は、ピストン8が取り付けられたむき出しのバンパ(すなわち、キャビネットの壁のないバンパ)を示している。
【0055】
バンパ12は、主要部をなす交差部材40を備え、交差部材40は、ピストン8の上部を回転可能に支持するようになっているブラケット42をその中央で支持する。
【0056】
交差部材40は、バンパ12のサイド部分44上のバンパの端部で取り付けられる。
【0057】
サイド部分44は基本的に、対応する側壁22の面にほぼ相当する面にそれぞれ延在するため、交差部材40の全体的な方向に対して基本的に垂直である。
【0058】
バンパ12のサイド部分44は、それぞれ三角構造46を備えている。三角構造46は、それによって形成される三角形の頂点で交差部材40の複数の留め具を受容し、頂点48の対辺である三角構造46のサイド50は、突起28を上述のタブ34、タブ36に機械的に連結する。
【0059】
キャビネット間接続アセンブリ(前述の突起28、タブ34、タブ36)の間のそれぞれの位置により、
図4に示すように、例えば二つの平行なレールの形で作ることによって、三角構造46のサイド50を補強することができる。
【0060】
図5及び
図6は、前述のように、キャビネットの深さ方向への(すなわち、キャビネットの放射の一般的な方向への)ハンドル6の動きをラッチ5のそれぞれの側方運動に、すなわち、ここでは特にT型アセンブリ4の平面(すなわち、前述のようにキャビネット2の下部壁20の後方部によって形成される平面)におけるハンドル6の移動に対して垂直な動きに変換することを可能にするT型アセンブリ4のロッド連結機構の断面を示している。
【0061】
図5は、ハンドル6が最後方位置にあり、かつそれによりラッチ5がそれぞれ格納される場合の機構を示している。一方で
図6は、
図3を参照して上述したように、ハンドル6が最前方位置にあり、かつそれによりラッチ5が完全に配置されて、二つのキャビネットのアセンブリをロックできる場合の機構を示している。
【0062】
当該機構は軸制御ロッド54を備え、軸制御ロッド54はハンドル6とカム60との間に位置付けられ、軸受62によってロッド自身の軸に沿って並進運動で案内される。
【0063】
したがって、軸制御ロッド54は、ユーザによってハンドル6に与えられた運動と同一の並進運動で、以下に詳細を説明するカム60を駆動できるようにする。
【0064】
また、当該機構は、それぞれがカム60をラッチ5に接続する二つの横制御ロッド56、58をも備える。横制御ロッド56、58はそれぞれ、各ラッチ5の動作方向、すなわち、ここでは軸制御ロッド54に対して垂直の方向に、軸受64によって並進運動で案内される。
【0065】
さらに、ばね66は、カム60と軸受64との間で横制御ロッド56、58のそれぞれに取り付けられる。
【0066】
カム60は、横制御ロッド56、58に堅固に固定されたピン70とそれぞれ協働する二つのカム経路68を備える。カム経路68はそれぞれ、ここでは45°に傾いた面で形成される第一部分と、対応する横制御ロッド56、58の格納方向にわずかなくぼみを有する第二部分とを備える。
【0067】
上述したように、
図5は、ラッチ5がそれぞれT型アセンブリ4内に格納された(すなわち、戻った)位置にある機構を示している。
【0068】
ユーザは、次に
図5に示す矢印Uに沿ってハンドルを押し込み、軸制御ロッド54を移動させ、それによってカム60を同じ方向に並進運動で移動させる。
【0069】
特にここでは45°の面であるカム経路68内のピン70の変位によるカム60の動きは、ピン70を移動させ、それにより横制御ロッド56、58を当該制御ロッドの軸に沿ってかつそれぞれの外側に向かって移動させ、すなわち、T型アセンブリ4のラッチ5の配置方向に移動させる。
【0070】
なお、この動きは、ばね66の圧縮を伴う。
【0071】
上述の動きは、ピン70がカム経路68のくぼみを形成する位置に到達するまで続き、
図7Bの詳細図に示すように、その位置でピン70は、(くぼみにピン70を保持する役割を果たす)ばね66の圧縮効果により固定される。
【0072】
このようにして、
図6に示すように、ラッチ5の配置位置が実現する。この位置は、各くぼみに固定されているピン70により安定している。
【0073】
さらなる安全性を提供するために、ハンドル6をラッチ5の配置位置に対応する位置にロックする機構をここで使用する。この機構を
図7Aに示す。
【0074】
当該機構はロッド104を備え、ロッド104は、ブレース108によって案内され、ばね102によって(すなわち、ここでは下向きに)ハンドル6と接触した状態である。
【0075】
ロッド104の上部は、把持装置106を支持する。
【0076】
図7Aに示す位置(ハンドル6の最前方位置に相当する位置、すなわちラッチの格納位置に相当する位置)において、ロッド104の下部分はハンドル6の上面上に載っている。
【0077】
前述したように、ハンドル6が前方に押されてラッチ5の配置位置に到達すると、ロッドはハンドル6内に設けられたホール110と一直線になり、当該ホール110内に自動的に挿入されて、ハンドル6をその最前方位置にロックする。
【0078】
しかしながら、既に説明したようにばね66に対して力をかけることに加えて、ハンドル6をその最後方位置に戻すことは、ホール110からロッドを取り除くためにユーザが(把持装置106を用いて)ロッド104を持ち上げて、それによってハンドル6のロックを解除することを要する。
【0079】
なお、既に
図3を参照して説明したように、配置位置においてラッチ5は二つのキャビネットを互いにロックされるようにし、また、各ラッチ5を連結する軸に相当するキャビネット間の回転軸が定義されるようにする。
【0080】
なお、最終的に、カム経路68のくぼみにピン70を保持する力は、ユーザがハンドル6を後方に(すなわち、
図6に示す位置から
図5に示す位置に戻るために)操作した場合、ピン70が対応するくぼみから出るように設計される。
【0081】
図8及び
図9は、調整位置又は移送位置にあるピストン8を示し、該位置はピストンの最大伸張位置に相当する。
【0082】
ピストン8は、上部取付部位72と下部取付部位74とを備える。
【0083】
上部取付部位72は、ピストンの本体78に堅固に固定され、ここでは本体78を囲いながら本体に堅固に固定されたケーシング76と一体成形されている。
【0084】
本体78は、ピストン8の雌部分を形成し、一方で雄部分は、本体78内に摺動可能に取り付けられて下部取付部位74を有するロッド80によって形成される。
【0085】
制御レバー82は、ケーシング76の側壁に取り付けられ、また、ラッチ86を備えている。ラッチ86は、ピストン8の軸に対して垂直方向に摺動可能に取り付けられ、制御レバー82に取り付けられたばね84によって常にピストン8の軸に向けられている。
【0086】
なお、ラッチ86は、(制御レバー82が取り付けられる)ケーシングの適切な開口を通るだけでなく、本体78に形成された円筒形のボア79をも通って摺動可能に取り付けられる。
【0087】
ばね84によって生成される力に抗して作用することによって、ユーザは、以下に説明するように、ラッチ86をピストン8の軸に沿ってさまざまな位置に操作できる。
【0088】
図8及び
図9に示す位置において、(ばね84の影響下にある)ラッチ86は、ロッド80の上部分(すなわち、上部取付部位72側に位置する部分)においてロッド80の円周上に形成された環状凹部88に入る。
【0089】
したがってロッド80は、本体78に対してあらかじめ定義された長手方向の位置にあり、その位置は、ラッチ86と環状凹部88の相対的な位置付けによって決定されている。環状凹部88がロッド80の上側部分に位置しているため、この位置は、ピストン8の最大伸張使用位置に相当する。
【0090】
この位置において、ユーザは、ロッド80に堅固に固定された(特にピストン8の軸を中心に回転可能に固定された)歯車10を、例えば所定の文字で印された所望の位置に回転できる。
【0091】
そうすると、ユーザは、軸を中心にロッド80の角度位置を調整し、それにより特に(キャビネットに対して回転可能に固定された)本体78に対する角度位置を調整する。なお、この点において、互いに堅固に固定されたロッド80と歯車10は、下部取付部位74に対して回転して移動できる。
【0092】
図9に示す位置を起点とし、ユーザは、ラッチ86を凹部88から出すために制御レバー82を引っ張ることができ、本体78におけるロッド80の並進運動を解放する。
【0093】
この運動は、ここでより詳細に説明されるように、ロッド80が有するピン90が、本体78上に設けられた断面92の表面と係合するまで可能である。
【0094】
圧縮状態にあるピストンの長さは、(以下に説明するキャビネットの組み立て後のピストンの圧縮動作中に、)例えば
図11及び
図12に示す位置などの、ロッド80のピン90が本体78にある断面92上に接する長手方向の位置によって決定される。
【0095】
断面92の特定形状により(特に、
図13の本体78の斜視図を参照)、ピンが断面92に接するロッド80の長手方向の位置は、本体78とロッド80との相対的な角度位置により定まり、当該位置は、特に
図8及び
図9を参照して上述したように、ユーザによって事前調整される。
【0096】
図14は、
図1及び
図2にさらに示すように、最小体積になる格納(又は保管)位置にあるピストン8を示す。
【0097】
ロッド80は、(ロッド80の主軸に対して軸が垂直である)円筒形のボア94を備え、ボア94は、ロッド80が本体78の中に、特に本体78に対してロッド80のある特定の角度位置に完全に格納された場合に、前述のようにラッチ86が通り抜ける円筒形のボア79と同じ高さに位置付けられる。
【0098】
したがって、ユーザが、例えばこのために適宜ラベル付けされた適切な位置に歯車10を配置し、ロッド80を本体78の中に(例えば下部取付部位74を把持してそれを持ち上げることによって)押し込むと、ラッチ86は、ばね84の圧力を受けてロッド80の円筒形のボア94に入り、それによってロッド80を本体78内に長手方向に固定する。当該固定位置は、上述の格納固定された位置を定義することとなる。
【0099】
本発明の教示による一組のキャビネットを取り付ける手順をこれから説明する。
【0100】
図15は、バンパに接続された第一キャビネットC1を示し、バンパ自体は二つの巻き上げモータに接続されている。
【0101】
図16及び
図17は、第二キャビネットC2がどのようにして第一キャビネットC1に接続されるかを示している。
【0102】
これらの二つのキャビネットを組み合わせる手順は、例えば以下の通りである。
【0103】
第一キャビネットC1は、このキャビネットのピストン8′を(
図8及び
図9に示す)調整位置に位置付けて歯車10′を選択位置に調整することによって用意される。
【0104】
第二キャビネットC2のピストン8″の上部取付部位72″に取り付けられたボールロック73″が取り除かれる。
【0105】
第二キャビネットC2は、上述のように、両キャビネットを一直線に並べることによって(すなわち、第二キャビネットC2のヒンジラインCを第一キャビネットC1のラッチの軸と一直線にすることにより)第一キャビネットC1の下に位置付けられる。
【0106】
第一キャビネットC1の接続機構のハンドル6′を前方に動かして、既に
図3を参照して説明したように、キャビネットC1及びキャビネットC2を互いに結合できるようにする。
【0107】
ボールロック73″は、第二キャビネットC2のピストン8″の上部取付部位72″と第一キャビネットC1のピストン8′の下部取付部位74′とを通って取り付けられる。
【0108】
上記のようにして構成された新しいアセンブリは、次のキャビネットを受容するために、
図18に示すように巻き上げモータを用いて持ち上げられる。
【0109】
図19に示すように組み合わされた複数のキャビネットが得られるように、追加されるキャビネットのそれぞれに対して上記手順を繰り返す。
【0110】
図20に示すように、複数のキャビネットのうちの最後のキャビネット(すなわち、一番下のキャビネット)に接続される後方吊り上げモータは、ピストンが圧縮されるようにアセンブリを圧縮し、それによりピストンの動作位置に達し、キャビネット間の角度は歯車の調整によって決定された各キャビネットの最終角度値を採用する。
【0111】
次にシステムは、最終的な高さにまで持ち上げられる。
【0112】
なお、このいわゆる「圧縮」取り付け(rigging)方法は、角度を調整するために連続するキャビネットの後方を持ち上げる必要性を無くす利点がある。つまり、キャビネットは垂直に立ち上がり、巻き上げモータによってアセンブリの最終的な構成が提供される。
【0113】
取り外す手順は、取り付け手順と逆の順番に行われ、違う点は、キャビネットを切り離す際に上述のようにロック機構上で操作者による特定の操作を必要とすることである。
【0114】
また、本発明が提案する角度調整システムは、張力取り付け(tension rigging)方法が使用される場合にも同様に適用可能である。しかしながら、この場合、
図21及び
図22に示すように、(前述のように歯車を利用して調整した)ロッドの角度位置が、(上述の実施例にあるような圧縮したピストンの長さではなく)伸張したピストンの長さを決定する、ピストンが使用されるであろう。
【0115】
さらに、上記の各実施例は、単に実行可能な本発明の実施形態にすぎず、限定するものではない。