【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
【0008】
すなわち、ワークを撮像する高速撮像方法の一実施形態であって、
ラインセンサを備えた複数台の撮像機からなる撮像ユニットと前記ワークを保持する保持テーブルとを所定の移動速度で相対的に水平移動させながら当該ワークを撮像する撮像過程と、
前記各撮像機から取得した輝度値に基づいてワークの画像を再構成する画像再構成過程を備え、
前記撮像過程は、前記移動速度を撮像機の台数に応じて、ラインセンサの分解能とスキャンレートから決まる最適移動速度よりも速い速度に調整し、
前記撮像機のスキャンレートによって決まるスキャン周期を、前記撮像機の台数に応じて均等に分割し、
前記分割後の
スキャン周期を撮像機に順番に割当て
、割当てられた前記分割後のスキャン周期の始点で撮像機のシャッタリングを行うとともに、
割当てられた前記分割後のスキャン周期内で撮像機の露光時間を調整したサイクルを繰り返しながら前記ワークを撮像する
過程で、
撮像しきれないエリアを互いに補うように先行の撮像機と後行の撮像機を順番に撮像させる撮像サイクルを繰り返しながら前記ワークを撮像し、撮像機ごとに取得された複数画素分の輝度値を記憶部に格納し、
前記画像再構成過程は、取得した前記輝度値を読み出し、読み出された前記輝度値を前記撮像機の台数に応じて増幅させ、増幅後の輝度値に基づいて、ワークの画像を再構成する
ことを特徴とする。
【0009】
(作用・効果) この方法によれば、
撮像機のスキャンレートによって決まるスキャン周期を、撮像機の台数に応じて均等に分割し、当該
分割後のスキャン周期に複数台の撮像機を順番に割当て
、割当てられた分割後のスキャン周期の始点で撮像機のシャッタリングを行う。このとき、
割当てられた分割後のスキャン周期ごとに撮像機の露光時間が調整される。オリジナルのスキャンレート
によって決まるスキャン周期を分割し、複数台の撮像機で
割当てられた分割後のスキャン周期を利用した1サイクルの撮像を繰り返してワークを撮像する。したがって、撮像機の最適移動速度を超えた速度でワークを撮像している過程で、先行する撮像機によって撮像しきれないエリアの画像を後方から追従する撮像機が撮像するので、目的とする撮像エリア全体の画像データを取得することができる。なお、各撮像機のラインセンサの露光時間は重複しないので、各撮像機の出力信号から求めた輝度値を合成するだけでワークの画像を再構成することができる。換言すれば、露光時間を分割後のスキャンレートよりも短い時間となるようシャッタリングを調整可能な撮像機によって好適に実施することができる。
【0010】
また、他の実施形態は、ラインセンサを備えた複数台の撮像機からなる撮像ユニットと前記ワークを保持する保持テーブルとを所定の移動速度で相対的に水平移動させながら当該ワークを撮像する撮像過程と、
前記各撮像機から取得した輝度値に基づいてワークの画像を再構成する画像再構成過程を備え、
前記撮像過程は、前記移動速度を撮像機の台数に応じて、ラインセンサの分解能とスキャンレートから決まる最適移動速度よりも速い速度に調整し、
前記撮像機のスキャンレートによって決まるスキャン周期を、前記撮像機の台数に応じ
て均等に分割し、
前記分割後の
スキャン周期を撮像機に順番に割当て
、割当てられた前記分割後のスキャン周期の始点で撮像機のシャッタリングを行うとともに、
割当てられた前記分割後のスキャン周期を超えて撮像機の露光時間を終了させ、先行の撮像機と後行の撮像機の露光時間をオーバーラップさせたサイクルを繰り返しながら前記ワークを撮像し、複数画素分にわたって取得された輝度値を撮像機ごとに画素数で平均化した輝度値を記憶部に格納し、
前記画像再構成過程は、記憶部から取得した順に前記輝度値を読み出し、演算時点の画素の輝度値を平均化前の輝度値まで増幅させ、直前に算出した画素の輝度値から現時点の増幅後の輝度値を減算した輝度値に基づいて、ワークの画像を再構成する
ことを特徴とする。
【0011】
この方法によれば、先行および後行の撮像機の露光時間をオーバーラップさせて撮像するので、各撮像機から出力される輝度値は、互いに合成されている、しかしながら、演算時点の画素の輝度値を平均化前の輝度値まで増幅させ、直前に算出した画素の輝度値から現時点の増幅後の輝度値を減算した輝度値を求め、当該輝度値に基づいてワークの画像を再構成するができる。したがって、露光時間が調整できない安価な撮像機であっても撮像機自体のスキャンレートに制限されることなく、ワークの画像を高速に取得することができる。
【0012】
さらに、他の実施形態は、同じ複数本のラインセンサを有する複数台の撮像機を備えた撮像ユニットと前記ワークを保持する保持テーブルとを所定の移動速度で相対的に水平移動させながら当該ワークを撮像する撮像過程と、
前記各撮像機から取得した輝度値に基づいてワークの画像を再構成する画像再構成過程を備え、
前記撮像過程は、前記移動速度を撮像機のラインセンサに応じて、ラインセンサの分解能とスキャンレートから決まる最適移動速度よりも速い速度に調整し、
前記撮像機のスキャンレートによって決まるスキャン周期を、前記撮像機の有する
ラインセンサの本数に応じ
て均等に分割し、
前記撮像機ごとに分割後の
スキャン周期を
ラインセンサに順番に割当て
、割当てられた前記分割後のスキャン周期の始点でシャッタリングを行うとともに、
割当てられた前記分割後のスキャン周期内で各ラインセンサへの露光時間を終了させるよう調整したサイクルを繰り返しながら前記ワークを撮像させる過程で、
先行の撮像機と後行の撮像機の撮像タイミングをずらしながら交互に同一部位をオーバーラップさせる撮像サイクルを繰り返しながら前記ワークを撮像し、撮像機ごとに複数本のラインセンサにわたって取得された複数画素分の輝度値を積分遅延回路により1画素分の輝度値として記憶部に格納し、
前記画像再構成過程は、取得した順に前記輝度値を読み出し、演算時点の画素の輝度値を平均化前の輝度値まで増幅させ、直前に算出した画素の輝度値から現時点の増幅後の輝度値を減算した輝度値に基づいて、ワークの画像を再構成する
ことを特徴とする。
【0013】
この方法によれば、1台の撮像機が複数本のラインセンサを有しているので、1台の撮像機当たりの撮像領域を広げることができる。また、撮像機の台数に応じてスキャンレートを分割し、分割後のスキャンレートを各ラインセンサに割り当てた状態でワークの撮像を可能にする。ここで、撮像機ごとに複数本のラインセンサにわたって取得された複数画素分の輝度値を積分遅延回路により1画素分の輝度値として出力するので、ビニング機能を利用してワークを高速に撮像することができる。なお、先行する撮像機と後行する撮像機によって撮像される領域が重複する部分が生じるが、取得した順に前記輝度値を読み出し、演算時点の画素の輝度値を平均化前の輝度値まで増幅させ、直前に算出した画素の輝度値から現時点の増幅後の輝度値を減算した輝度値に基づいて、ワークの画像を再構成することにより、重複分の輝度値を除去した鮮明なワークの画像を再構成することができる。
【0014】
さらに、上記各実施形態において、複数台の撮像機ごとに保持テーブルとの相対的な位置関係を検出する検出過程と、
検出過程で求めた前記位置関係から撮像機同士の相対的なズレ量を求める演算過程を備え、
画像再構成過程は、演算過程で求まったズレ量に基づいて、取得画像データの位置を補正しながら画像を再構成することが好ましい。
【0015】
この方法によれば、各撮像機の位置ズレがオフセットされるので、微妙な位置調整を行う手間を省きつつ正確な位置合わせが容易にでき、画像を再構成することができる。
【0016】
また、この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
【0017】
すなわち、ワークを撮像する高速撮像装置の一実施形態であって、
前記ワークを保持する保持テーブルと、
前記保持テーブルに載置されたワークに向けて光を照射する照明ユニットと、
前記ワークを撮像するラインセンサを備えた複数台の撮像機からなる撮像ユニットと、
前記保持テーブルと撮像ユニットを所定の移動速度で相対的に水平移動させる水平駆動機構と、
前記撮像機の台数に応じて、ラインセンサの分解能とスキャンレートから決まる最適移動速度よりも速い移動速度に調整し、
前記撮像機のスキャンレートによって決まるスキャン周期を、前記撮像機の台数
に応じて均等に分割し、
前記分割後の
スキャン周期を撮像機に順番に割当て
、割当てられた前記分割後のスキャン周期の始点で撮像機にシャッタリングを行わせるとともに、
割当てられた前記分割後のスキャン周期内で撮像機の露光時間を調整したサイクルを繰り返しながら複数台の撮像機で前記ワークを撮像させる
過程で、
撮像しきれないエリアを互いに補うように先行の撮像機と後行の撮像機を順番に撮像させる撮像サイクルを繰り返しながら前記ワークを撮像し、撮像機ごとに取得された複数画素分の輝度値を記憶部に格納させる制御部と、
前記各撮像機によって取得された輝度値を
読み出し、読み出された前記輝度値を前記撮像機の台数に応じて増幅させ、増幅後の輝度値に基づいて、ワークの画像を再構成する演算処理部と、
を備えたことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、制御部が、
撮像機の台数に応じて、ラインセンサの分解能とスキャンレートから決まる最適移動速度よりも速い移動速度に調整し、
撮像機のスキャンレートによって決まるスキャン周期を、撮像機の台数
に応じて均等に分割し、分割後の
スキャン周期を撮像機に順番に割当て
、割当てられた分割後のスキャン周期の始点で撮像機にシャッタリングを行わせるとともに、
割当てられた分割後のスキャン周期内で撮像機の露光時間を調整したサイクルを繰り返しながら複数台の撮像機でワークを撮像させる
過程で、撮像しきれないエリアを互いに補うように先行の撮像機と後行の撮像機を順番に撮像させる撮像サイクルを繰り返しながら前記ワークを撮像し、撮像機ごとに取得された複数画素分の輝度値を記憶部に格納させる。したがって、上記方法の一実施形態を好適に実現することができる。
【0019】
また、他の高速撮像装置の実施形態は、
前記ワークを保持する保持テーブルと、
前記保持テーブルに載置されたワークに向けて光を照射する照明ユニットと、
前記ワークを撮像するラインセンサを備えた複数台の撮像機からなる撮像ユニットと、
前記保持テーブルと撮像ユニットを所定の移動速度で相対的に水平移動させる水平駆動機構と、
前記撮像機の台数に応じて、ラインセンサの分解能とスキャンレートから決まる最適移動速度よりも速い移動速度に調整し、
前記撮像機のスキャンレートによって決まるスキャン周期を、前記撮像機の台数
に応じて均等に分割し、
前記分割後の
スキャン周期を撮像機に順番に割当て
、割当てられた前記分割後のスキャン周期の始点で撮像機にシャッタリングを行わせるとともに、
割当てられた前記分割後のスキャン周期を超えて撮像機の露光時間を終了させ、先行の撮像機と後行の撮像機の露光時間をオーバーラップさせたサイクルを繰り返させながら複数台の撮像機で前記ワークを撮像させ、複数画素分にわたって取得された輝度値を撮像機ごとに画素数で平均化した輝度値を記憶部に格納させる制御部と、
前記記憶部から取得した順に前記輝度値を読み出し、演算時点の画素の輝度値を平均化前の輝度値まで増幅させ、直前に算出した画素の輝度値から現時点の増幅後の輝度値を減算した輝度値に基づいて、ワークの画像を再構成する演算処理部と、
を備えたことを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、制御部が、撮像機の台数に応じて、ラインセンサの分解能とスキャンレートから決まる最適移動速度よりも速い移動速度に調整し、
撮像機のスキャンレートによって決まるスキャン周期を、撮像機の台数
に応じて均等に分割し、分割後の
スキャン周期を撮像機に順番に割当て、
、割当てられた各前記分割後のスキャン周期の始点でで撮像機にシャッタリングを行わせるとともに、
割当てられた分割後のスキャン周期を超えて撮像機の露光時間を終了させ、先行の撮像機と後行の撮像機の露光時間をオーバーラップさせたサイクルを繰り返しながら複数台の撮像機で前記ワークを撮像させ、複数画素分にわたって取得された輝度値を撮像機ごとに画素数で平均化した輝度値を記憶部に格納させる。したがって、上記方法の一実施形態を好適に実現することができる。
【0021】
さらに、他の高速撮像装置の実施形態は、
前記ワークを保持する保持テーブルと、
前記保持テーブルに載置されたワークに向けて光を照射する照明ユニットと、
前記ワークを撮像する同じ複数本のラインセンサを有する複数台の撮像機からなる撮像ユニットと、
前記保持テーブルと撮像ユニットを所定の移動速度で相対的に水平移動させる水平駆動機構と、
前記撮像機のラインセンサに応じて、ラインセンサの分解能とスキャンレートから決まる最適移動速度よりも速い移動速度に調整し、
前記撮像機のスキャンレートによって決まるスキャン周期を、前記撮像機の有する
ラインセンサの本数に応じ
て均等に分割し、撮像機ごとに分割後の
スキャン周期を
ラインセンサに順番に割当て
、割当てられた前記分割後のスキャン周期の始点でシャッタリングを行うとともに、
割当てられた前記分割後のスキャン周期内で各ラインセンサへの露光時間を終了させるよう調整したサイクルを繰り返しながら前記ワークを撮像させる過程で、
先行の前記撮像機と後行の前記撮像機の撮像タイミングをずらしながら交互に同一部位をオーバーラップさせる撮像サイクルを繰り返させながら前記ワークを撮像し、撮像機ごとに複数本のラインセンサにわたって取得された複数画素分の輝度値を積分遅延回路により1画素分の輝度値として記憶部に格納させる制御部と、
前記記憶部から取得した順に前記輝度値を読み出し、演算時点の画素の輝度値を平均化前の輝度値まで増幅させ、直前に算出した画素の輝度値から現時点の増幅後の輝度値を減算した輝度値に基づいて、ワークの画像を再構成する演算処理部と、
を備えたことを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、制御部が、撮像機のラインセンサに応じて、ラインセンサの分解能とスキャンレートから決まる最適移動速度よりも速い移動速度に調整し、記撮像機の有するライセンサの本数に応じて
撮像機のスキャンレートによって決まるスキャン周期を均等に分割し、撮像機ごとに分割後の
スキャン周期を
ラインセンサに順番に割当て、
割当てられた分割後のスキャン周期の始点でシャッタリングを行うとともに、
割当てられた分割後のスキャン周期内で各ラインセンサへの露光時間を終了させるよう調整したサイクルを繰り返しながら前記ワークを撮像させる過程で、先行の前記撮像機と後行の前記撮像機の撮像タイミングをずらしながら交互に同一部位をオーバーラップさせる撮像サイクルを繰り返させながら前記ワークを撮像し、撮像機ごとに複数本のラインセンサにわたって取得された複数画素分の輝度値を積分遅延回路により1画素分の輝度値として記憶部に格納させる。したがって、上記方法の一実施形態を好適に実現することができる。
【0023】
この構成において、撮像機は、例えば、照明ユニットから照射されてワークで反射した光または当該ワークを透過した光を導光する鏡筒部と、
前記鏡筒部を導光する光を一部透過させるとともに、角度を変えて一部を反射させて複数台の撮像機に光を導光さる光学部材とから構成する。
【0024】
この構成によれば、同一視野から取り込まれた反射光が複数台の撮像機のラインセンサに投影されるので、位置ズレのない同一条件からワークの画像をより精度よく再構成することができる。
【0025】
なお、上記各実施形態において複数台の前記撮像機ごとに保持テーブルとの相対的な位置を検出する検出器を備え、
制御部は、検出器によって検出された位置情報を記憶する記憶部を備え、
演算処理部は、撮像機ごとに取得された位置情報を前記
記憶部から読み出して撮像機同士の相対的なズレ量を求め、当該ズレ量に基づいて取得画像データの位置を補正しながら画像を再構成することが好ましい。
【0026】
この構成によれば、各撮像機の位置ズレがオフセットされるので、微妙な位置調整を行う手間を省きつつ正確な位置合わせが容易にでき、画像を再構成することができる。