特許第6238558号(P6238558)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238558
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】撮像装置、および、撮像システム。
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20171120BHJP
   H04N 5/369 20110101ALI20171120BHJP
   H04N 5/374 20110101ALI20171120BHJP
【FI】
   H01L27/146 A
   H04N5/369
   H04N5/374
【請求項の数】21
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-93886(P2013-93886)
(22)【出願日】2013年4月26日
(65)【公開番号】特開2014-216537(P2014-216537A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】和田 洋一
(72)【発明者】
【氏名】小林 昌弘
【審査官】 田邊 顕人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−319837(JP,A)
【文献】 特開2007−035674(JP,A)
【文献】 特開2010−219437(JP,A)
【文献】 特開2012−213137(JP,A)
【文献】 特開2006−080937(JP,A)
【文献】 特開2003−101006(JP,A)
【文献】 特開2011−066506(JP,A)
【文献】 特開平05−207376(JP,A)
【文献】 特開2010−011224(JP,A)
【文献】 特開2003−274290(JP,A)
【文献】 特開2013−041940(JP,A)
【文献】 特開2014−216536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 5/369
H04N 5/374
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光電変換部、第2の光電変換部、フローティングディフュージョン部、前記第1の光電変換部で生じた電荷を前記フローティングディフュージョン部へ転送する第1の転送トランジスタ、前記第2の光電変換部で生じた電荷を前記フローティングディフュージョン部へ転送する第2の転送トランジスタ、および、前記フローティングディフュージョン部の電荷に基づく信号を出力する増幅部を少なくとも含む画素と、
前記第1の転送トランジスタのゲート電極に電気的に接続された第1の導電部材と、
前記第2の転送トランジスタのゲート電極に電気的に接続された第2の導電部材と、
前記第1の導電部材および前記第2の導電部材のそれぞれを介して、前記第1の転送トランジスタおよび前記第2の転送トランジスタに電気的に接続された制御部と、を有し、
前記フローティングディフュージョン部が配された基板の表面に対する平面視において、前記第1の転送トランジスタのゲート電極は前記フローティングディフュージョン部に隣接して配され、かつ、前記第2の転送トランジスタのゲート電極は前記フローティングディフュージョン部に隣接して配され、
前記第1の導電部材と前記フローティングディフュージョン部との最も近接する部分の距離が、前記第2の導電部材と前記フローティングディフュージョン部との最も近接する部分の距離よりも短く、
前記制御部が、
前記第1の転送トランジスタ、および、前記第2の転送トランジスタの両方がオフの状態から、前記第2の転送トランジスタをオフにしたまま、前記第1の転送トランジスタをオンにする第1の制御動作と、
前記第1の制御動作によって転送された電荷が前記フローティングディフュージョン部に保持されている状態で、前記第1の転送トランジスタ、および、前記第2の転送トランジスタを並行してオンにする第2の制御動作と、を行い、
前記増幅部は、前記第1の制御動作の開始から前記第2の制御動作の開始までの期間に、前記第1の光電変換部で生じた電荷に基づく第1の信号を出力し、前記第2の制御動作が開始された後に、前記フローティングディフュージョン部において加算された電荷に基づく第2の信号を出力することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
第1の光電変換部、第2の光電変換部、フローティングディフュージョン部、前記第1の光電変換部で生じた電荷を前記フローティングディフュージョン部へ転送する第1の転送トランジスタ、および、前記第2の光電変換部で生じた電荷を前記フローティングディフュージョン部へ転送する第2の転送トランジスタ、を少なくとも含む画素と、
前記第1の転送トランジスタのゲート電極に電気的に接続された第1の導電部材と、
前記第2の転送トランジスタのゲート電極に電気的に接続された第2の導電部材と、
前記第1の導電部材および前記第2の導電部材のそれぞれを介して、前記第1の転送トランジスタおよび前記第2の転送トランジスタに電気的に接続された制御部と、を有し、
前記フローティングディフュージョン部が配された基板の表面に対する平面視において、前記第1の転送トランジスタのゲート電極は前記フローティングディフュージョン部に隣接して配され、かつ、前記第2の転送トランジスタのゲート電極は前記フローティングディフュージョン部に隣接して配され、
前記第1の導電部材と前記フローティングディフュージョン部との最も近接する部分の距離が、前記第2の導電部材と前記フローティングディフュージョン部との最も近接する部分の距離よりも短く、
前記制御部が、
前記第1の転送トランジスタ、および、前記第2の転送トランジスタの両方がオフの状態から、前記第2の転送トランジスタをオフにしたまま、前記第1の転送トランジスタをオンにする第1の制御動作と、
前記第1の制御動作によって転送された電荷が前記フローティングディフュージョン部に保持されている状態で、前記第1の転送トランジスタ、および、前記第2の転送トランジスタを並行してオンにする第2の制御動作と、
前記第1の制御動作と前記第2の制御動作との間に、前記第1の転送トランジスタ、および、前記第2の転送トランジスタの両方をオフの状態にする動作と、を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
前記フローティングディフュージョン部は、半導体基板に配され、転送された電荷を保持する半導体領域と、前記半導体領域に電気的に接続された導電部材とを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記半導体領域は、前記第1の光電変換部に対応して配された第1の半導体領域と、前記第2の光電変換部に対応して配された第2の半導体領域とを含み、
前記導電部材は、前記第1の半導体領域および前記第2の半導体領域を相互に電気的に接続することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1の光電変換部と、前記第1の転送トランジスタの前記ゲート電極と、前記第1の半導体領域とが、第1の方向に沿って並んでいて、
前記第2の光電変換部と、前記第2の転送トランジスタの前記ゲート電極と、前記第2の半導体領域とが、前記第1の方向に沿って並んでいて、
前記第1の導電部材、および、前記第2の導電部材のそれぞれが、前記第1の方向と交差する第2の方向に沿って延在していることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1の光電変換部と、前記第1の転送トランジスタの前記ゲート電極と、前記第1の半導体領域とが、第1の方向に沿って並んでいて、
前記第2の光電変換部と、前記第2の転送トランジスタの前記ゲート電極と、前記第2の半導体領域とが、前記第1の方向に沿って並んでいて、
前記第1の導電部材、および、前記第2の導電部材のそれぞれが、前記第1の方向と平行な方向に延在していることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1の光電変換部の表面と平行な面において、前記第1の導電部材の前記面への正射影の少なくとも一部が、前記第2の導電部材の前記面への正射影と、前記フローティングディフュージョン部に含まれる前記半導体領域の前記面への正射影との間の領域に位置することを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第1の光電変換部の表面と平行な面において、前記第1の転送トランジスタの前記ゲート電極の前記面への正射影の少なくとも一部が、前記第2の導電部材の前記面への正射影、および、前記第1の導電部材の前記面への正射影のそれぞれと重なり、
前記面において、前記第2の転送トランジスタの前記ゲート電極の前記面への正射影の少なくとも一部が、前記第2の導電部材の前記面への前記正射影、および、前記第1の導電部材の前記面への前記正射影のそれぞれと重なることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項9】
第1の光電変換部、第2の光電変換部、フローティングディフュージョン部、前記第1の光電変換部で生じた電荷を前記フローティングディフュージョン部へ転送する第1の転送トランジスタ、前記第2の光電変換部で生じた電荷を前記フローティングディフュージョン部へ転送する第2の転送トランジスタ、および、前記フローティングディフュージョン部の電荷に基づく信号を出力する増幅部を少なくとも含む画素と、
前記第1の転送トランジスタのゲート電極に電気的に接続された第1の導電部材と、
前記第2の転送トランジスタのゲート電極に電気的に接続された第2の導電部材と、
前記第1の導電部材および前記第2の導電部材のそれぞれを介して、前記第1の転送トランジスタおよび前記第2の転送トランジスタに電気的に接続された制御部と、を有し、
前記フローティングディフュージョン部が配された基板の表面に対する平面視において、前記第1の転送トランジスタのゲート電極は前記フローティングディフュージョン部に隣接して配され、かつ、前記第2の転送トランジスタのゲート電極は前記フローティングディフュージョン部に隣接して配され、
前記第1の導電部材と前記第2の導電部材とは同一の配線層に配され、
前記第1の光電変換部の表面と平行な面において、前記第1の導電部材の前記面への正射影の少なくとも一部が、前記第2の導電部材の前記面への正射影と、前記フローティングディフュージョン部の前記面への正射影との間の領域に位置し、
前記制御部が、
前記第1の転送トランジスタ、および、前記第2の転送トランジスタの両方がオフの状態から、前記第2の転送トランジスタをオフにしたまま、前記第1の転送トランジスタをオンにする第1の制御動作と、
前記第1の制御動作によって転送された電荷が前記フローティングディフュージョン部に保持されている状態で、前記第1の転送トランジスタ、および、前記第2の転送トランジスタを並行してオンにする第2の制御動作と、を行い、
前記増幅部は、前記第1の制御動作の開始から前記第2の制御動作の開始までの期間に、前記第1の光電変換部で生じた電荷に基づく第1の信号を出力し、前記第2の制御動作が開始された後に、前記フローティングディフュージョン部において加算された電荷に基づく第2の信号を出力することを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
第1の光電変換部、第2の光電変換部、フローティングディフュージョン部、前記第1の光電変換部で生じた電荷を前記フローティングディフュージョン部へ転送する第1の転送トランジスタ、および、前記第2の光電変換部で生じた電荷を前記フローティングディフュージョン部へ転送する第2の転送トランジスタ、を少なくとも含む画素と、
前記第1の転送トランジスタのゲート電極に電気的に接続された第1の導電部材と、
前記第2の転送トランジスタのゲート電極に電気的に接続された第2の導電部材と、
前記第1の導電部材および前記第2の導電部材のそれぞれを介して、前記第1の転送トランジスタおよび前記第2の転送トランジスタに電気的に接続された制御部と、を有し、
前記第1の導電部材と前記第2の導電部材とは同一の配線層に配され、
前記第1の光電変換部の表面と平行な面において、前記第1の導電部材の前記面への正射影の少なくとも一部が、前記第2の導電部材の前記面への正射影と、前記フローティングディフュージョン部の前記面への正射影との間の領域に位置し、
前記制御部が、
前記第1の転送トランジスタ、および、前記第2の転送トランジスタの両方がオフの状態から、前記第2の転送トランジスタをオフにしたまま、前記第1の転送トランジスタをオンにする第1の制御動作と、
前記第1の制御動作によって転送された電荷が前記フローティングディフュージョン部に保持されている状態で、前記第1の転送トランジスタ、および、前記第2の転送トランジスタを並行してオンにする第2の制御動作と、
前記第1の制御動作と前記第2の制御動作との間に、前記第1の転送トランジスタ、および、前記第2の転送トランジスタの両方をオフの状態にする動作と、を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
前記フローティングディフュージョン部は半導体領域を含み、
前記面において、前記第1の導電部材の前記面への正射影の少なくとも一部が、前記第2の導電部材の前記面への正射影と、前記フローティングディフュージョン部に含まれる前記半導体領域の前記面への正射影との間の領域に位置することを特徴とする請求項9または請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
第1の光電変換部、第2の光電変換部、フローティングディフュージョン部、前記第1の光電変換部で生じた電荷を前記フローティングディフュージョン部へ転送する第1の転送トランジスタ、前記第2の光電変換部で生じた電荷を前記フローティングディフュージョン部へ転送する第2の転送トランジスタ、および、前記フローティングディフュージョン部の電荷に基づく信号を出力する増幅部を少なくとも含む画素と、
前記第1の転送トランジスタのゲート電極に電気的に接続された第1の導電部材と、
前記第2の転送トランジスタのゲート電極に電気的に接続された第2の導電部材と、
前記第1の導電部材および前記第2の導電部材のそれぞれを介して、前記第1の転送トランジスタおよび前記第2の転送トランジスタに電気的に接続された制御部と、を有し、
前記フローティングディフュージョン部が配された基板の表面に対する平面視において、前記第1の転送トランジスタのゲート電極は前記フローティングディフュージョン部に隣接して配され、かつ、前記第2の転送トランジスタのゲート電極は前記フローティングディフュージョン部に隣接して配され、
前記第1の導電部材と前記第2の導電部材とは同一の配線層に配され、
前記フローティングディフュージョン部は、前記配線層に配された導電部材を含み、
前記第1の導電部材の少なくとも一部が、前記第2の導電部材と、前記フローティングディフュージョン部に含まれる前記導電部材との間に位置し、
前記制御部が、
前記第1の転送トランジスタ、および、前記第2の転送トランジスタの両方がオフの状態から、前記第2の転送トランジスタをオフにしたまま、前記第1の転送トランジスタをオンにする第1の制御動作と、
前記第1の制御動作によって転送された電荷が前記フローティングディフュージョン部に保持されている状態で、前記第1の転送トランジスタ、および、前記第2の転送トランジスタを並行してオンにする第2の制御動作と、を行い、
前記増幅部は、前記第1の制御動作の開始から前記第2の制御動作の開始までの期間に、前記第1の光電変換部で生じた電荷に基づく第1の信号を出力し、前記第2の制御動作が開始された後に、前記フローティングディフュージョン部において加算された電荷に基づく第2の信号を出力することを特徴とする撮像装置。
【請求項13】
第1の光電変換部、第2の光電変換部、フローティングディフュージョン部、前記第1の光電変換部で生じた電荷を前記フローティングディフュージョン部へ転送する第1の転送トランジスタ、および、前記第2の光電変換部で生じた電荷を前記フローティングディフュージョン部へ転送する第2の転送トランジスタ、を少なくとも含む画素と、
前記第1の転送トランジスタのゲート電極に電気的に接続された第1の導電部材と、
前記第2の転送トランジスタのゲート電極に電気的に接続された第2の導電部材と、
前記第1の導電部材および前記第2の導電部材のそれぞれを介して、前記第1の転送トランジスタおよび前記第2の転送トランジスタに電気的に接続された制御部と、を有し、
前記フローティングディフュージョン部が配された基板の表面に対する平面視において、前記第1の転送トランジスタのゲート電極は前記フローティングディフュージョン部に隣接して配され、かつ、前記第2の転送トランジスタのゲート電極は前記フローティングディフュージョン部に隣接して配され、
前記第1の導電部材と前記第2の導電部材とは同一の配線層に配され、
前記フローティングディフュージョン部は、前記配線層に配された導電部材を含み、
前記第1の導電部材の少なくとも一部が、前記第2の導電部材と、前記フローティングディフュージョン部に含まれる前記導電部材との間に位置し、
前記制御部が、
前記第1の転送トランジスタ、および、前記第2の転送トランジスタの両方がオフの状態から、前記第2の転送トランジスタをオフにしたまま、前記第1の転送トランジスタをオンにする第1の制御動作と、
前記第1の制御動作によって転送された電荷が前記フローティングディフュージョン部に保持されている状態で、前記第1の転送トランジスタ、および、前記第2の転送トランジスタを並行してオンにする第2の制御動作と、
前記第1の制御動作と前記第2の制御動作との間に、前記第1の転送トランジスタ、および、前記第2の転送トランジスタの両方をオフの状態にする動作と、を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項14】
前記制御部が、前記第1の制御動作と前記第2の制御動作との間に、前記第1の転送トランジスタ、および、前記第2の転送トランジスタを並行してオフにすることを特徴とする請求項1、請求項9、および、請求項12のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記画素が、前記フローティングディフュージョン部の電荷に基づく信号を出力する増幅部をさらに含み、
前記増幅部は、前記第1の制御動作の開始から前記第2の制御動作の開始までの期間に、前記第1の光電変換部で生じた電荷に基づく第1の信号を出力し、前記第2の制御動作が開始された後に、前記フローティングディフュージョン部において加算された電荷に基づく第2の信号を出力することを特徴とする請求項2、請求項10、および、請求項13のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記第1の導電部材と前記フローティングディフュージョン部との間の容量成分が、前記第2の導電部材と前記フローティングディフュージョン部との間の容量成分より大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記第1の導電部材の電位の変化による前記フローティングディフュージョン部の電位の変化が、前記第2の導電部材の電位の変化による前記フローティングディフュージョン部の電位の変化より大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項18】
前記ゲート電極を構成する材料と、前記第1の導電部材および前記第2の導電部材を構成する材料とが異なることを特徴とする請求項1乃至請求項17のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項19】
前記第1の導電部材、および、前記第2の導電部材は、コンタクトプラグを介して、ぞれぞれ、前記第1の転送トランジスタの前記ゲート電極、および、前記第2の転送トランジスタの前記ゲート電極に電気的に接続されたことを特徴とする請求項1乃至請求項18のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項20】
請求項1乃至請求項19のいずれか一項に記載の撮像装置と、
前記撮像装置からの信号を処理する信号処理装置と、を備えた撮像システム。
【請求項21】
前記信号処理装置が、前記撮像装置から出力される、前記第1の光電変換部で生じた電荷に基づく信号と、前記第2の光電変換部で生じた電荷に基づく信号とを処理し、撮像装置から被写体までの距離情報を取得することを特徴とする請求項20に記載の撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置、および、撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
焦点検出と撮像の両方を行えるように構成された撮像装置が提案されている。特許文献1によれば、撮像装置の1つの画素は、光電変換部Aと光電変換部Bとを含んでいる。それぞれ光電変換部はレンズの瞳とほぼ共役となるように配置される。焦点検出時には複数の画素の光電変換部Aおよび光電変換部Bの各々から独立して信号が読みだされ、レンズの瞳の互いに異なる位置を透過した光束による2つの像が生成される。また、2つの光電変換部の信号を加算することにより被写体の像を得ること(撮像)ができる。
【0003】
また、特許文献2には、複数の画素に1つの共通アンプを持つ構成の撮像装置が開示されている。このような撮像装置において、1行目のフォトダイオードに蓄積される電荷に対応する信号と、1行目と2行目のフォトダイオードに蓄積される各電荷の加算信号に対応する信号とを出力することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−124984号公報
【特許文献2】特開2004−134867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
撮像装置において、光電変換部からの電荷の転送効率を向上させることが求められている。本発明者らは、画素のレイアウトに対応した信号の読み出しを行うことにより、焦点検出と撮像の両方を行うように構成された撮像装置において、電荷の転送効率を向上し得ることを見出した。
このような課題に鑑み、本発明は、撮像装置において電荷の転送効率を向上することを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの側面に係る実施例の撮像装置は、第1の光電変換部、第2の光電変換部、フローティングディフュージョン部、前記第1の光電変換部で生じた電荷を前記フローティングディフュージョン部へ転送する第1の転送トランジスタ、前記第2の光電変換部で生じた電荷を前記フローティングディフュージョン部へ転送する第2の転送トランジスタ、および、前記フローティングディフュージョン部の電荷に基づく信号を出力する増幅部を少なくとも含む画素と、前記第1の転送トランジスタのゲート電極に電気的に接続された第1の導電部材と、前記第2の転送トランジスタのゲート電極に電気的に接続された第2の導電部材と、前記第1の導電部材および前記第2の導電部材のそれぞれを介して、前記第1の転送トランジスタおよび前記第2の転送トランジスタに電気的に接続された制御部と、を有し、前記フローティングディフュージョン部が配された基板の表面に対する平面視において、前記第1の転送トランジスタのゲート電極は前記フローティングディフュージョン部に隣接して配され、かつ、前記第2の転送トランジスタのゲート電極は前記フローティングディフュージョン部に隣接して配され、前記第1の導電部材と前記フローティングディフュージョン部との最も近接する部分の距離が、前記第2の導電部材と前記フローティングディフュージョン部との最も近接する部分の距離よりも短く、前記制御部が、前記第1の転送トランジスタ、および、前記第2の転送トランジスタの両方がオフの状態から、前記第2の転送トランジスタをオフにしたまま、前記第1の転送トランジスタをオンにする第1の制御動作と、前記第1の制御動作によって転送された電荷が前記フローティングディフュージョン部に保持されている状態で、前記第1の転送トランジスタ、および、前記第2の転送トランジスタを並行してオンにする第2の制御動作と、を行い、前記増幅部は、前記第1の制御動作の開始から前記第2の制御動作の開始までの期間に、前記第1の光電変換部で生じた電荷に基づく第1の信号を出力し、前記第2の制御動作が開始された後に、前記フローティングディフュージョン部において加算された電荷に基づく第2の信号を出力することを特徴とする。
【0007】
本発明の別の側面に係る実施例の撮像装置は、第1の光電変換部、第2の光電変換部、フローティングディフュージョン部、前記第1の光電変換部で生じた電荷を前記フローティングディフュージョン部へ転送する第1の転送トランジスタ、前記第2の光電変換部で生じた電荷を前記フローティングディフュージョン部へ転送する第2の転送トランジスタ、および、前記フローティングディフュージョン部の電荷に基づく信号を出力する増幅部を少なくとも含む画素と、前記第1の転送トランジスタのゲート電極に電気的に接続された第1の導電部材と、前記第2の転送トランジスタのゲート電極に電気的に接続された第2の導電部材と、前記第1の導電部材および前記第2の導電部材のそれぞれを介して、前記第1の転送トランジスタおよび前記第2の転送トランジスタに電気的に接続された制御部と、を有し、前記フローティングディフュージョン部が配された基板の表面に対する平面視において、前記第1の転送トランジスタのゲート電極は前記フローティングディフュージョン部に隣接して配され、かつ、前記第2の転送トランジスタのゲート電極は前記フローティングディフュージョン部に隣接して配され、前記第1の導電部材と前記第2の導電部材とは同一の配線層に配され、前記第1の光電変換部の表面と平行な面において、前記第1の導電部材の前記面への正射影の少なくとも一部が、前記第2の導電部材の前記面への正射影と、前記フローティングディフュージョン部の前記面への正射影との間の領域に位置し、前記制御部が、前記第1の転送トランジスタ、および、前記第2の転送トランジスタの両方がオフの状態から、前記第2の転送トランジスタをオフにしたまま、前記第1の転送トランジスタをオンにする第1の制御動作と、前記第1の制御動作によって転送された電荷が前記フローティングディフュージョン部に保持されている状態で、前記第1の転送トランジスタ、および、前記第2の転送トランジスタを並行してオンにする第2の制御動作と、を行い、前記増幅部は、前記第1の制御動作の開始から前記第2の制御動作の開始までの期間に、前記第1の光電変換部で生じた電荷に基づく第1の信号を出力し、前記第2の制御動作が開始された後に、前記フローティングディフュージョン部において加算された電荷に基づく第2の信号を出力することを特徴とする。
【0008】
本発明のさらに別の側面に係る実施例の撮像装置は、第1の光電変換部、第2の光電変換部、フローティングディフュージョン部、前記第1の光電変換部で生じた電荷を前記フローティングディフュージョン部へ転送する第1の転送トランジスタ、前記第2の光電変換部で生じた電荷を前記フローティングディフュージョン部へ転送する第2の転送トランジスタ、および、前記フローティングディフュージョン部の電荷に基づく信号を出力する増幅部を少なくとも含む画素と、前記第1の転送トランジスタのゲート電極に電気的に接続された第1の導電部材と、前記第2の転送トランジスタのゲート電極に電気的に接続された第2の導電部材と、前記第1の導電部材および前記第2の導電部材のそれぞれを介して、前記第1の転送トランジスタおよび前記第2の転送トランジスタに電気的に接続された制御部と、を有し、前記フローティングディフュージョン部が配された基板の表面に対する平面視において、前記第1の転送トランジスタのゲート電極は前記フローティングディフュージョン部に隣接して配され、かつ、前記第2の転送トランジスタのゲート電極は前記フローティングディフュージョン部に隣接して配され、前記第1の導電部材と前記第2の導電部材とは同一の配線層に配され、前記フローティングディフュージョン部は、前記配線層に配された導電部材を含み、前記第1の導電部材の少なくとも一部が、前記第2の導電部材と、前記フローティングディフュージョン部に含まれる前記導電部材との間に位置し、前記制御部が、前記第1の転送トランジスタ、および、前記第2の転送トランジスタの両方がオフの状態から、前記第2の転送トランジスタをオフにしたまま、前記第1の転送トランジスタをオンにする第1の制御動作と、前記第1の制御動作によって転送された電荷が前記フローティングディフュージョン部に保持されている状態で、前記第1の転送トランジスタ、および、前記第2の転送トランジスタを並行してオンにする第2の制御動作と、を行い、前記増幅部は、前記第1の制御動作の開始から前記第2の制御動作の開始までの期間に、前記第1の光電変換部で生じた電荷に基づく第1の信号を出力し、前記第2の制御動作が開始された後に、前記フローティングディフュージョン部において加算された電荷に基づく第2の信号を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電荷の転送効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】撮像装置の等価回路を示す図。
図2】撮像装置の等価回路を示す図。
図3】撮像装置の平面構造を模式的に示す図。
図4】撮像装置の駆動タイミングを示す図。
図5】撮像装置の駆動タイミングを示す図。
図6】撮像装置の効果を説明するための図。
図7】撮像装置の平面構造を模式的に示す図。
図8】撮像装置の平面構造を模式的に示す図。
図9】撮像装置の平面構造を模式的に示す図。
図10】撮像システムの実施例のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る1つの実施形態は、撮像装置である。撮像装置に含まれる画素は、第1の光電変換部、第2の光電変換部、第1の転送トランジスタ、第2の転送トランジスタ、および、フローティングディフュージョン部(以下、FD部)を含む。第1の転送トランジスタは、第1の光電変換部で生じた電荷をFD部へ転送する。第2の転送トランジスタは、第2の光電変換部で生じた電荷をFD部へ転送する。なお、図3において、第1の光電変換部101A、第2の光電変換部102A、第1の転送トランジスタのゲート電極103A、第2の転送トランジスタのゲート電極104Aが例示されている。
【0013】
第1および第2の光電変換部は、レンズの瞳とほぼ共役となるように配置される。そして、第1および第2の光電変換部は、レンズの瞳の互いに異なる位置を透過した光束を受光する。この構成により、焦点検出が可能である。なお、焦点検出用の撮像装置は、複数の実施形態のうちの1つである。本発明の他の実施形態では、他の用途のために、2つの光電変換部から、単独の信号と、加算された信号とを読み出す動作が行われてもよい。
【0014】
FD部は、例えば、信号電荷の極性に応じた導電型を有する半導体領域(以下、FD領域)と、FD領域に電気的に接続された導電部材とを含む。本発明のいくつかの実施形態では、FD部が画素の増幅部の入力ノードを構成する。つまり、これらの実施形態は、画素増幅型の撮像装置(APS:Active Pixel Sensor)である。この場合、FD部が増幅トランジスタのゲート電極を含んでいてもよい。また、いくつかの実施形態では、FD部が、複数の光電変換部に対応した複数のFD領域と、それらを相互に電気的に接続する導電部材とを含む。FD部は、半導体領域と導電部材とを接続するコンタクトプラグを含んでもよい。なお、図3において、FD部を構成する、FD領域107A、108A、および、それらを相互に電気的に接続する導電部材109Aが、例示されている。
【0015】
それぞれの転送トランジスタのゲートには、制御信号を供給するための導電部材が電気的に接続される。導電部材は、半導体基板の上に配された配線層を構成する部材である。導電部材と、半導体領域またはゲート電極とは、コンタクトプラグを介して、電気的に接続される。また、異なる配線層に配された導電部材は、コンタクトプラグを介して、互いに電気的に接続される。コンタクトプラグは、導電部材とは別の材料で形成されてもよい。または、導電部材およびコンタクトプラグがデュアルダマシン法で形成される場合など、導電部材とコンタクトプラグとが同じ材料で構成されてもよい。
【0016】
転送トランジスタのゲート電極と、そこに電気的に接続される導電部材とは、半導体分野の技術常識に基づいて区別される。例えば、ゲート電極と、そこに電気的に接続される導電部材とは、材料が異なることによって区別されうる。具体的に、転送トランジスタは、ポリシリコンで形成されたゲート電極を含む。そして、当該ゲート電極に、アルミ、アルミの合金、銅、または、銅の合金などで形成された導電部材が電気的に接続される。導電部材は、タングステンなどで構成されたコンタクトプラグを介して、ゲート電極に電気的に接続されうる。
【0017】
あるいは、ゲート電極と、そこに電気的に接続される導電部材とは、形成プロセスが異なることによって区別されうる。通常は、ゲート電極を形成するプロセスの後に、当該ゲート電極の上に絶縁層が形成される。そして、絶縁層に開口を形成し、ゲート電極に電気的に接続されるコンタクトプラグを形成する。その後、ゲート電極と電気的に接続される導電部材を形成する。
【0018】
本発明に係る実施形態においては、第1の転送トランジスタに電気的に接続された導電部材(以下、第1の導電部材)のほうが、第2の転送トランジスタに電気的に接続された導電部材(以下、第2の導電部材)より、FD部の近くに配される。
【0019】
例えば、いくつかの実施形態において、第1の導電部材からFD部までの距離d1が、第2の導電部材からFD部までの距離d2よりも短い。ここで、導電部材からFD部までの距離は、転送トランジスタのゲートに電気的に接続された導電部材と、FD部に含まれる半導体領域または導電部材との、互いに最も近接する部分の距離である。図3の矢印d1およびd2で例示されている。なお、FD領域の端は、PN接合面および別の材料との接触面で規定される。
【0020】
また、他のいくつかの実施形態においては、第1の導電部材と、第2の導電部材とが同一の配線層に配される。そして、第1の導電部材の所定の面への正射影の少なくとも一部が、第2の導電部材の当該所定の面への正射影と、FD部に含まれる半導体領域の当該所定の面への正射影との間の領域に位置する。所定の面は、例えば、第1の光電変換部に含まれる半導体領域と第1の光電変換部の上に配された絶縁膜との界面、つまり、第1の光電変換部の表面に対して、平行な面である。また、同一の配線層とは、光電変換部の表面からほぼ等しい高さに配される導電部材の集まりである。通常は、同一の配線層に含まれる導電部材は、同一のプロセスで形成される。
【0021】
また、他のいくつかの実施形態においては、第1の導電部材と、第2の導電部材と、FD部に含まれる導電部材とが、同一の配線層に配される。そして、第1の導電部材の少なくとも一部が、第2の導電部材と、FD部に含まれる導電部材との間に位置する。
【0022】
このような構成において、まず、第1の光電変換部の電荷をFD部に転送する。その後、第1および第2の光電変換部にそれぞれ対応する転送トランジスタの両方を並行してオンする。このような動作により、第1の光電変換部の電荷と、第2の光電変換部の電荷とを、FD部において加算する。なお、2つの転送トランジスタが並行してオンするとは、2つの転送トランジスタの両方ともがオンになっている期間が存在することを意味する。2つの転送トランジスタがオフからオンに遷移するタイミングは、必ずしも同時でなくてよい。また、2つの転送トランジスタがオンからオフに遷移するタイミングは、必ずしも同時でなくてよい。同様に、2つのトランジスタが並行してオフするとは、2つの転送トランジスタの両方ともがオフになっている期間が存在することを意味する。
【0023】
具体的に、いくつかの実施形態の撮像装置は、転送トランジスタをオンまたはオフに制御する制御部を有している。制御部は、第1、および、第2の転送トランジスタの両方がオフの状態から、第2の転送トランジスタをオフにしたまま、第1の転送トランジスタをオンにする第1の制御動作を行う。これにより、第1の光電変換部で生じた電荷をFD部へ転送する。そして、第1の制御動作によって転送された電荷がFD部に保持されている状態で、第1、および、前記第2の転送トランジスタを並行してオンにする第2の制御動作を行う。これにより、第1の光電変換部で生じた電荷と第2の光電変換部で生じた電荷とをFD部において加算する。
【0024】
制御部は、例えば、シフトレジスタやデコーダなどの回路で構成される。この場合、制御動作とは、各転送トランジスタをオンまたはオフにするような駆動パルスを出力することである。このほかにも、制御部には、転送トランジスタを制御し得る種々の回路が用いられる。
【0025】
以上の動作を行うことにより、2つの光電変換部のうちの一方の電荷に基づく信号を読み出し、その後、加算された電荷に基づく信号を読み出すことができる。また、先に読み出された一方の光電変換部の電荷に基づく信号と、加算された電荷に基づく信号との差分処理を行うことで、他方の光電変換部の電荷に基づく信号を得ることができる。
【0026】
本発明に係るいくつかの実施形態では、電荷の転送効率を向上させることができる。この高速な信号読み出しの効果について説明する。
【0027】
一般に、転送トランジスタのゲートの電位が、オフに対応するレベルからオンに対応するレベルに遷移する際に、転送トランジスタのゲートに電気的に接続された導電部材と、FD部との容量結合によりFD部の電位が変化しうる。そのため、信号電荷の極性に応じて、FD部の電位を変化させることにより、転送効率を上げることができる。具体的には、転送できる電荷の最大量を増やすことができる。
【0028】
本発明の実施形態では、先述の通り、2つの光電変換部のうちの一方の電荷に基づく信号が読み出される。そのために、2つの転送トランジスタのうち、一方のトランジスタをオフに維持したまま、他方の転送トランジスタをオフからオンにする制御が行われる。
【0029】
ここで、本発明に係る実施形態では、第1の導電部材のほうが、第2の導電部材よりも、FD部の近くに配されている。つまり、第1の導電部材とFD部との結合容量は、第2の導電部材とFD部との結合容量よりも大きい。したがって、第1の転送トランジスタがオンする際の、FD部の電位の変化のほうが、第2の転送トランジスタがオンする際の、FD部の電位の変化よりも大きい。
【0030】
そこで、本発明に係る実施形態では、第2の転送トランジスタをオフに維持したまま、FD部により近い位置に配された導電部材がそのゲートに接続された、第1の転送トランジスタをオンしている。これにより、FD部の電位の変化を大きくすることができる。その結果、電荷の転送効率を向上させることができる。
【0031】
なお、信号電荷が電子の場合には、第1の転送トランジスタをオフからオンに制御するときに、ゲートの電位を低い電位から高い電位に変化させる。例えば、第1の転送トランジスタに、Nチャネル型のMOSトランジスタを用いればよい。一方、信号電荷がホールの場合には、第1の転送トランジスタをオフからオンに制御するときに、ゲートの電位を高い電位から低い電位に変化させる。例えば、第1の転送トランジスタに、Pチャネル型のMOSトランジスタを用いればよい。
【0032】
以下では、本発明の実施例について図面を用いて詳細に説明する。本発明は以下に説明される実施例のみに限定されない。本発明の趣旨を超えない範囲で以下に説明される実施例の一部の構成が変更された変形例も、本発明の実施例である。また、以下のいずれかの実施例の一部の構成を、他の実施例に追加した例、あるいは他の実施例の一部の構成と置換した例も本発明の実施例である。
【実施例1】
【0033】
図1は本実施例の撮像装置の等価回路図である。画素100は、複数の光電変換部を有し、ここでは第1の光電変換部101Aおよび第2の光電変換部102Aを有する。光電変換部としてはフォトダイオードを用いることができる。
【0034】
転送トランジスタ103A、104Aは複数の光電変換部の各々に対応して設けられ、対応する光電変換部の信号をFD部110に転送する。FD部110は、増幅部の入力ノードである。
【0035】
増幅部201はFD部110に転送された信号を増幅して出力線207へ出力する。増幅部201にはMOSトランジスタを用いることができる。
【0036】
リセットトランジスタ202は増幅部の入力ノードにリセット電圧を供給する。選択トランジスタ203は増幅部201と出力線207との間の電気的導通を制御する。
【0037】
出力線207には電流源208が電気的に接続される。電流源208は増幅部201にバイアス電流を供給し、増幅部201と電流源208とでソースフォロアを構成する。
【0038】
第1の転送トランジスタ103A、第2の転送トランジスタ104A、リセットトランジスタ202、選択トランジスタ203のゲートには、それぞれ駆動線211A、駆動線212A、駆動線209、駆動線210が接続される。それぞれのゲートには垂直走査回路112からの駆動パルスが、行ごとに順次もしくはランダムに供給される。本実施例において、垂直走査回路112が制御部である。
【0039】
列回路113は出力線207からの信号を受ける。列回路113は出力線207に直接もしくはスイッチを介して接続される。列回路113で処理された信号は水平走査回路114により順次出力アンプ115に出力され外部へ出力される。
【0040】
列回路113の主たる動作は出力線207の信号を入力容量116の容量値及びフィードバック容量117の容量値とで決まるゲインで反転増幅する。更には仮想接地動作も可能であり、入力容量116を用いたクランプ動作によりCDS(相関2重サンプリング)動作を行なうことが可能である。
【0041】
次に、列回路113の具体的な回路の一例を説明する。入力容量116は第1ノードが出力線207に電気的に接続され、第2ノードが演算増幅器119の反転入力ノードに電気的に接続される。フィードバック容量117の第1ノードは、演算増幅器119の反転入力ノード及び入力容量の第2ノードに電気的に接続される。フィードバック容量117の第2ノードは演算増幅器119の出力ノードに電気的に接続される。
【0042】
スイッチ118は演算増幅器119の反転入力ノードと出力ノードとの間のフィードバック経路に、両者の電気的接続を制御するために設けられる。フィードバック容量117とスイッチ118とは並列に設けられる。
【0043】
電源120は基準電圧Vrefを演算増幅器119の非反転入力ノードに供給する。保持容量121〜124は演算増幅器119からの出力を保持する容量である。スイッチ125〜128は保持容量121〜124と演算増幅器119との間の電気経路に設けられ、演算増幅器119の出力ノードと、保持容量121〜124との電気的導通を制御する。スイッチ129〜132は水平走査回路114からの信号を受けて、保持容量121〜124で保持された信号を水平出力線139、140へ出力させる。出力アンプ115は水平出力線139、140に出力された信号の差分を取り外部へ出力する。
【0044】
駆動パルスPC0Rはスイッチ118へ供給される。駆動パルスPTNはスイッチ126、128へ供給される。駆動パルスPTSAはスイッチ125へ供給される。駆動パルスPTSABはスイッチ127へ供給される。
【0045】
図1では、複数の画素100のそれぞれに増幅部201が含まれる。図2に示すように、複数の画素100A、100Bが1つの増幅部201を共有する構成でもよい。図2において、図1と同様の機能を有する部分には同じ符号が付されている。符号の後のアルファベットを付すことにより、異なる画素に含まれることを示している。
【0046】
図2に示された撮像装置は、光電変換部101Aおよび102Aを含む第1の画素100Aと、光電変換部101Bおよび102Bを含む第2の画素100Bとを有する。第1の画素に含まれる複数の光電変換部には第1のマイクロレンズにより集光された光が入射し、第2の画素に含まれる複数の光電変換部には第2のマイクロレンズにより集光された光が入射する。
【0047】
それぞれの光電変換部101A、102A、101B、102Bに対応して、転送トランジスタ103A、104A、103B、104Bが配される。転送トランジスタ103A、104A、103B、104Bに駆動パルスを供給する配線として、駆動線211A、212A、211B、212Bが配されている。
【0048】
このような構成によれば、増幅部201、リセットトランジスタ202、選択トランジスタ203を、撮像用の複数の画素が共有することができる。これにより1つの画素あたりのトランジスタ数を削減することが可能となる。その結果、光電変換部の面積を拡大させることができる。
【0049】
次に、本実施例の撮像装置の平面構造について説明する。図3は、図2に示される撮像装置の平面構造を模式的に示す図である。図2で示された素子に対応する部分には、図2と同じ符号が付されている。
【0050】
撮像装置は、例えばシリコン基板などの半導体基板に形成される。半導体基板は複数の活性領域を含む。第1の画素に含まれる2つの光電変換部101A、102Aは、第1の活性領域に配される。なお図3では省略されているが、第2の画素に含まれる2つの光電変換部101B、102Bは、第1の活性領域とは別の、第2の活性領域に配される。各光電変換部は、信号電荷を蓄積するN型の半導体領域を含んでいる。
【0051】
第1の活性領域には、第1のFD領域107Aと、第2のFD領域108Aとが配される。第1のFD領域107Aには、第1の光電変換部101Aの電荷が転送される。第2のFD領域108Aには、第2の光電変換部102Aの電荷が転送される。2つのFD領域107A、108Aは、コンタクトプラグと導電部材109Aとによって相互に電気的に接続される。第1のFD領域107A、第2のFD領域108A、および、導電部材109Aは、FD部110を構成する。なお、符号310が付された図形がコンタクトプラグを示している。同様の図形は全てコンタクトプラグである。ただし、図面を簡素化するため、他のコンタクトプラグの符号は省略している。他の図面も同様である。
【0052】
図3において、各トランジスタのゲート電極に、図2で示された対応する素子と同じ符号を付している。例えば、ゲート電極103Aは、図2の第1の転送トランジスタ103Aのゲートを構成する。他のゲート電極についても同様である。
【0053】
図3が示す通り、ゲート電極103Aが、平面視において、第1の光電変換部101AとFD領域107Aとの間に配される。また、ゲート電極104Aが、平面視において、第2の光電変換部102AとFD領域108Aとの間に配される。
【0054】
図3では省略されているが、増幅トランジスタ201、リセットトランジスタ202、および、選択トランジスタ203は、光電変換部が配された活性領域とは別の、第3の活性領域に配される。これらのトランジスタは、ソース領域またはドレイン領域を他のトランジスタと共有している。増幅トランジスタ201とリセットトランジスタ202とが共有するドレイン領域は、コンタクトプラグを介して、電源電圧を供給する導電部材に電気的に接続されている。また、選択トランジスタのソース領域は、コンタクトプラグを介して、出力線207を構成する導電部材に電気的に接続されている。
【0055】
また、FD部110は、コンタクトプラグを介して、増幅トランジスタ201のゲート電極に電気的に接続される。具体的には、2つのFD領域107A、108Aを相互に電気的に接続する導電部材109Aが、コンタクトプラグを介して、増幅トランジスタ201のゲート電極に電気的に接続される。なお、第2の画素に対応するFD領域107B、108Bも、不図示の導電部材およびコンタクトプラグを介して、増幅トランジスタ201のゲート電極に電気的に接続される。
【0056】
第1の転送トランジスタのゲート電極103Aは、コンタクトプラグを介して、対応する駆動線211Aを構成する導電部材105Aに電気的に接続されている。第2の転送トランジスタのゲート電極104Aは、コンタクトプラグを介して、対応する駆動線212Aを構成する導電部材106Aに電気的に接続されている。
【0057】
この実施例では、導電部材105A、106A、109Aが同じ配線層に配されている。もちろん、これらの導電部材のいずれかが、他の配線層に配されてもよい。また、図3に示されていない配線層に、出力線207、電源配線、GND配線、遮光用配線などを構成する導電部材が含まれている。
【0058】
なお、複数の画素の各々に対応して配された複数のレンズを有するレンズアレイ(不図示)が光電変換部の上部に配される。レンズアレイの各レンズは同一画素の複数の光電変換部に集光する。各画素に含まれる複数の光電変換部は平面視において、異なる位置に配される。
【0059】
ここで、この実施例の特徴的な部分について説明する。図3が示す通り、第1の転送トランジスタのゲート電極103Aに電気的に接続された第1の導電部材105Aが、第2の転送トランジスタのゲート電極104Aに電気的に接続された第2の導電部材106Aよりも、FD部110の近くに配されている。言い換えれば、第1の導電部材105AとFD部110との互いに最も近接する部分の距離d1が、第2の導電部材106AとFD部110と互いに最も近接する部分の距離d2よりも短い。本実施例のようにFD部110が半導体領域(FD領域)を含む場合には、互いに最も近接する部分として以下のケースがある。第1は、第1の導電部材105AからFD領域107Aまでの距離d1が、第2の導電部材106AからFD領域108Aまでの距離d2よりも短いケースである。第2は、第1の導電部材105Aから導電部材109Aまでの距離d1が、第2の導電部材106Aから導電部材109Aまでの距離d2よりも短いケースである。
【0060】
また別の観点では、第1の導電部材105Aと、第2の導電部材106Aとが同一の配線層に配されている。そして、第1の導電部材105Aの所定の面への正射影の少なくとも一部が、第2の導電部材106Aの当該所定の面への正射影と、FD部110に含まれるFD領域107Aまたは108Aの当該所定の面への正射影との間に位置する。所定の面は、例えば、第1の光電変換部101Aに含まれる半導体領域と第1の光電変換部101Aの上に配された絶縁膜との界面、つまり、第1の光電変換部101の表面に対して、平行な面である。
【0061】
さらに、別の観点では、第1の導電部材105Aと、第2の導電部材106Aと、FD部110に含まれる導電部材109Aとが、同一の配線層に配されている。そして、第1の導電部材105Aの少なくとも一部が、第2の導電部材106Aと、FD部110に含まれる導電部材109Aとの間に位置する。
【0062】
このような構造のため、第1の導電部材105AとFD部110との間の容量成分が、第2の導電部材106AとFD部110との間の容量成分より大きい。具体的に、本実施例では、導電部材105A、106Aと、FD部110とが並走している距離d3が約2.4マイクロメートルであり、第1の導電部材105Aと、106Aとの配線の間隔が約0.3マイクロメートルである。この場合、第1の導電部材105AとFD部110との間の容量成分は、第2の導電部材106AとFD部110との間の容量成分の半分程度である。また、FD部110の全容量に対して、第1および第2の導電部材105A、106Aとの間の容量成分の合計は、約20%である。なお、上述の数値はあくまでも一例であり、適宜変更されるものである。
【0063】
なお、この実施例には、以下の副次的な特徴がある。1点目として、第1の光電変換部101Aと、第1の転送トランジスタのゲート電極103Aと、第1のFD領域107Aとが、第1の方向に沿って並んでいる。そして、第2の光電変換部102Aと、第2の転送トランジスタのゲート電極104Aと、第2の半導体領域108Aとが、第1の方向に沿って並んでいる。一方で、第1の導電部材105A、および、第2の導電部材106Aのそれぞれが、第1の方向と交差する方向(図2の第2方向)に沿って延在している。このような配置により、転送トランジスタの駆動線を効率的に配置できるため、光電変換部の上の開口を大きくすることができる。その結果、この実施例によれば、感度を向上させることができる。
【0064】
また、この実施例の副次的な特徴の2点目として、第1の転送トランジスタのゲート電極103Aの所定の面への正射影が、第1の導電部材105Aおよび第2の導電部材106Aの当該所定の面への正射影のそれぞれと、少なくとも部分的に重なる。そして、第2の転送トランジスタのゲート電極104Aの所定の面への正射影が、第1の導電部材105Aおよび第2の導電部材106Aの当該所定の面への正射影のそれぞれと、少なくとも部分的に重なる。このような配置により、転送トランジスタの駆動線を効率的に配置できるため、光電変換部の上の開口を大きくすることができる。その結果、この実施例によれば、感度を向上させることができる。
【0065】
次に本実施例の撮像装置の駆動に関して、図4に示された駆動パルスを用いて説明する。ここでは、図1に示された撮像装置の動作を説明する。いずれの駆動パルスについても、ハイレベルのパルスで対応するトランジスタがオンになり、ローレベルのパルスで対応するトランジスタがオフになる。
【0066】
まず時刻T=t1において、駆動線211Aおよび212Aに供給される駆動パルスPTXAおよびPTXBがハイレベルとなる。この時、駆動線209に供給される駆動パルスPRESがハイレベルであるため、光電変換部101A、102Aがリセットされる。
【0067】
次にT=t2において、駆動パルスPTXAおよびPTXBがローレベルとなる。このタイミングで光電変換部101A、102Aでの電荷蓄積期間が開始する。駆動パルスPRESはハイレベルを維持しているため、増幅部201の入力ノードであるFD部110のリセット動作は継続している。所定期間蓄積を行った後に各行ごと、もしくは複数行ごとに順次出力線207への信号の読み出しを行う。
【0068】
時刻T=t3において、選択トランジスタ203の駆動線210に供給される駆動パルスPSELがハイレベルとなり、選択トランジスタ203がオンする。これにより、FD部110の電位、つまり、増幅部201の入力ノードの電位に応じた信号が出力線207に出力される。この時には、FD部110がリセットされた状態に基づく信号(リセット信号レベル)が出力される。
【0069】
時刻T=t4でリセットトランジスタ202の駆動線209に供給される駆動パルスPRESをローレベルとすることにより増幅部201の入力ノードのリセット動作を解除する。そしてリセット信号レベルを出力線207へ読み出し、列回路113に入力する。この時、列回路113は演算増幅器119が仮想接地状態となっている。具体的には駆動パルスPC0Rがハイレベルとなりスイッチ118が導通状態である。演算増幅器119はVrefの出力をバッファする状態でありこの状態で入力容量116にリセット信号レベルが供給される。
【0070】
次にT=t5において駆動パルスPC0Rをローレベルとし、T=t6において駆動パルスPTNをローレベルからハイレベルへ切り替え、スイッチ126、128をオンとする。T=t7で駆動パルスPTNをハイレベルからローレベルへと切り替え、スイッチ126、128をオフする。この動作により略Vrefの出力が保持容量122、124へ供給され、その後保持容量122、124と演算増幅器119の出力ノードとが非導通となる。
【0071】
引き続きT=t8において、駆動パルスPTXAをハイレベルとし第1の光電変換部101Aの電荷をFD部110へ転送し、T=t9において駆動パルスPTXAをローレベルとする。この動作により光電変換部101Aの電荷がFD部110へ転送される。これにより第1の光電変換部101Aで生じた電荷に基づく信号が、増幅部201、出力線207を介して列回路113へ供給される。以上の動作により、出力線207に焦点検出用の信号を生じさせることができる。
【0072】
なお、時刻T=t8から時刻T=t9までの間は、駆動パルスPTXBはローレベルなので、第2の転送トランジスタ104Aはオフに維持される。つまり、時刻T=t8において、第1および第2の転送トランジスタ103A、104Aの両方がオフの状態から、第2の転送トランジスタ104Aをオフにしたまま、第1の転送トランジスタ103Aをオンにしている。
【0073】
列回路113では入力容量116の容量値C0、フィードバック容量117の容量値Cfの比率で電圧変化に反転ゲインが掛け合された値が出力される。具体的には出力線207の電圧変化をΔVa(負)、演算増幅器119の出力をV(A)とすると、
V(A)=Vref+ΔVa×(−C0/Cf) 式(1)
となる。
【0074】
次にT=t10において、駆動パルスPTSAをローレベルからハイレベルへ切り替えスイッチ125をオンする。T=t11において駆動パルスPTSAをハイレベルからローレベルへと切り替え、スイッチ125をオフする。この動作により保持容量121に信号を保持する。
【0075】
ひきつづきT=t12において、駆動パルスPTXAをハイレベルとし、駆動パルスPTXAのハイレベル期間の少なくとも一部の期間で駆動パルスPTXBをハイレベルとする。これにより、第1の転送トランジスタ103Aおよび第2の転送トランジスタ104Aの両方が並行してオンする。この動作により光電変換部101Aと102Aの双方の電荷を同時にFD部110へ転送することができる。この動作により、出力線207に画像形成用の信号を生じさせることができる。なお、駆動パルスPTXAと駆動パルスPTXBとを、同時にローレベルからハイレベルへ遷移させてもよい。あるいは、駆動パルスPTXAを、駆動パルスPTXBよりも先に、ローレベルからハイレベルへ遷移させてもよい。あるいは、駆動パルスPTXAを、駆動パルスPTXBよりも後に、ローレベルからハイレベルへ遷移させてもよい。
【0076】
光電変換部101Aの電荷を転送してから、光電変換部101Aと102Aの双方の電荷を並行してFD部110へ転送するまでの間、FD部110の電位、つまり、増幅部201の入力ノードの電位はリセットされない。つまり、第1の転送トランジスタ103Aがオンしてから第1および第2の転送トランジスタ103A、104Aの両方がオンするまでの間は、リセットトランジスタ202がオフに維持される。
【0077】
そして、FD部110へ転送された電荷に基づく信号が、光電変換部101Aの電荷のみを転送した際と同様に、列回路113へ供給される。出力線207の電位変化をΔVa+b(負)、演算増幅器119の出力電位をV(A+B)とすると
V(A+B)=Vref+ΔVa+b×(−C0/Cf) 式(2)
となる。
【0078】
T=t14において、駆動パルスPTSABをローレベルからハイレベルへ切り替え、スイッチ122をオンする。そしてT=t15において駆動パルスPTSABをハイレベルからローレベルへと切り替え、スイッチ122をオフする。この動作により演算増幅器119の出力ノードの電位V(A+B)を保持容量123へ書き込むことができる。
【0079】
そして容量CTSABとCTNの差電圧である、
V(A+B)−Vref=ΔVa+b×(−C0/Cf) 式(3)
を得ることができる。これは画素に含まれる2つの光電変換部の信号を加算して得られたものに相当する。画素に含まれる複数の光電変換部で撮像をする際の1画素に相当する信号が得られる。
【0080】
また、保持容量121と122の電位差
V(A)−Vref=ΔVa×(−C0/Cf) 式(4)
を得ることで、第1の光電変換部101Aのみの信号を得ることができる。第1の光電変換部101Aによって得られる信号は集光された撮影レンズの瞳の一部を透過する光束の情報に相当する。さらにこれらの電位差、すなわち、
(ΔVa+b×(−C0/Cf))−(ΔVa×(−C0/Cf))
=(ΔVa+b−ΔVa)×(−C0/Cf) 式(5)
を得ることにより第2の光電変換部102Aのみの信号を得ることができる。第2の光電変換部102Aよって得られる信号は集光された撮影レンズの瞳の別の一部を透過する光束の情報が得られる。各画素に含まれる複数の2つの光電変換部は平面視において、異なる位置に配される。そして光電変換部101A、102Aの2つの光束の情報から焦点検出を行なうことができる。
【0081】
上記演算は撮像装置内で行うこともできるし、撮像装置から出力された後に信号処理部で行うこともできる。ただし第1の光電変換部101Aのみの信号、及び2つの光電変換部101A、102Aの加算後の信号は撮像装置内で得られる。
【0082】
次にT=t16で駆動パルスPRESをハイレベルとし、リセットトランジスタ202をオンし、FD部110の電位をリセットする。
【0083】
保持容量121〜124に保持された信号はT=t17以降にパルスPHに同期した駆動パルス133、134が順次導通することで読み出される。本実施例によれば水平出力線139、140の後段に差分処理を行なうことが可能な出力アンプ115を有しているため、保持容量121、122に保持された信号の差分を撮像装置外部に出力することができる。更に保持容量123、124に保持された信号の差分を撮像装置外部に出力することができる。これにより水平出力線139、140において生じるノイズを低減することができる。しかしながら出力アンプ115は必ずしも差分出力を得る構成である必要はなく単なるバッファ段でもよい。これ以降、順次各列の信号が水平走査回路114により走査されて水平出力線139、140に読み出される。
【0084】
なお、読み出しの順番は第1の光電変換部101Aのみの信号を読み出した後に、第1および第2の光電変換部101A、102Aの加算信号を読み出す例を示したが、順番を入れ替えてもよい。第1の光電変換部101Aのみの信号を先に読み出すことで、よりよい信号が得られる。なぜならば保持容量121〜124に保持されている時間が長いほど容量およびスイッチによるリーク電流の影響を受けやすくなるからである。
【0085】
以上では、図1に示された撮像装置の動作について説明した。図2で示された撮像装置の動作についても、図4で示される駆動タイミングと同様な読み出しを行う。図2に示された撮像装置では、光電変換部101A、102Aからの信号と、光電変換部101B、102Bからの信号とを、異なる行の信号として読み出すことができる。
【0086】
具体的には、第1の画素では光電変換部101Aの信号を読み出したのちに、光電変換部101A、102Aの電荷をFD部110で加算する。これにより焦点検出量の信号と撮像用の信号の両者を生じさせることができる。続いて、第2の画素では光電変換部101Bの信号を読み出したのちに、光電変換部101B、102Bの電荷をFD部110で加算する。これにより焦点検出量の信号と撮像用の信号の両者を生じさせることができる。
【0087】
また、図2で示された撮像装置では、異なる2つの画素が増幅部201を共有している。したがって光電変換部101A、101Bの電荷をFD部110で加算し、光電変換部102A、102Bの信号をFD部110で加算することもできる。
【0088】
2つの画素の信号を加算して読み出す場合の、駆動タイミングの例を図5に示す。ここで転送トランジスタ103Aに供給される駆動パルスをPTXA(103A)、転送トランジスタ104Aに供給される駆動パルスをPTXB(104A)とする。更に、転送トランジスタ103Bに供給される駆動パルスをPTXA(103B)、転送トランジスタ104Bに供給される駆動パルスをPTXB(104B)とする。
【0089】
時刻T=t8において、駆動パルスPTXA(103A)、PTXA(103B)をローレベルからハイレベルとする。その後時刻T=t9において、駆動パルスPTXA(103A)、PTXA(103B)をハイレベルからローレベルとする。この動作により異なる画素に含まれる光電変換部101A、101Bの電荷がFD部110で加算される。この信号は焦点検出用の信号として用いられる。
【0090】
そして時刻T=t12において、駆動パルスPTXA(103A)、PTXA(103B)PTXA(103B)、PTXB(104B)をローレベルからハイレベルとする。その後、T=t13において、駆動パルスPTXA(103A)、PTXA(103B)PTXA(103B)、PTXB(104B)をハイレベルからローレベルとする。この動作により異なる画素に含まれる全ての光電変換部101A、102A、101B、102Bの電荷がFD部110で加算される。この信号は撮像用の信号として用いられる。
【0091】
本動作により焦点検出用の信号を、異なる画素に含まれる複数の光電変換部の電荷を加算して得ている。そのため、S/Nを向上させることができる。その結果、精度の高い焦点検出が可能となる。
【0092】
本実施例の撮像装置では、高速に信号を読み出すことができる。この効果について図面を用いて説明する。
【0093】
一般に、転送トランジスタのゲートの電位が、オフに対応するレベルからオンに対応するレベルに遷移する際に、転送トランジスタのゲートに電気的に接続された導電部材と、FD部との容量結合によりFD部の電位が変化しうる。そのため、信号電荷の極性に応じて、FD部の電位を変化させることにより、転送効率を上げることができる。具体的には、電荷を転送できる最大の量を増やすこと、あるいは、電荷を高速に転送すること、あるいはその両方が可能となる。
【0094】
本実施例では、2つの光電変換部のうちの第1の光電変換部101Aの電荷に基づく信号が独立して読み出される。そのために、2つの転送トランジスタ103A、104Aのうち、第2の転送トランジスタ104Aをオフに維持したまま、第1の転送トランジスタ103Aをオフからオンに制御している。これにより、第1の光電変換部101Aの電荷が転送されるときの、FD部110の電位を高くすることができる。その結果、転送効率を上げることができる。
【0095】
図6は実施例の撮像装置における、読み出し期間のFD部110の電位の変化を模式的に示す図である。第1の転送トランジスタ103Aの駆動線211Aに供給される駆動パルスをPTXA、第2の転送トランジスタ104Aの駆動線212Aに供給される駆動パルスをPTXBとする。また、FD部110の電位は、VFDで表される。実線が本実施例のFD部110の電位の変化を示したもので、点線が比較例のFD部の電位の変化を示したものである。なお、図6の時刻T=t1、T=t2、T=t3、T=t4は、それぞれ、図4および図5の時刻T=t8、T=t9、T=t12、T=t13に対応する。
【0096】
図6の時刻T=t1において、駆動パルスPTXAをローレベルからハイレベルとする。この動作により、光電変換部101Aに蓄積された電荷がFD部1110へ読み出される状態となる。この信号は例えば焦点検出用の信号として用いられる。この時のFD部110の電位の変化の量をaとする。ここで、駆動パルスPTXBのみをローレベルからハイレベルとした場合のFD部の電位の変化の量をbとし、点線にて図示する。
【0097】
本実施例においては、第1の転送トランジスタ103Aのゲート電極に電気的に接続された第1の導電部材105Aが、第2の転送トランジスタ104Aのゲート電極に電気的に接続された第2の導電部材106Aよりも、FD部110の近くに配置される。そのため、第1の導電部材105AとFD部110との容量成分は、第2の導電部材106AとFD部110と容量成分より大きい。したがって、第1の転送トランジスタ103Aがオンする際の、FD部110の電位の変化のほうが、第2の転送トランジスタ104Aがオンする際の、FD部110の電位の変化よりも大きい。つまり、a>bである。
【0098】
このため、図6が示す通り、実施例によれば、FD部110の電位をより高くした状態で、電荷の転送を行うことができる。結果として、電荷を転送できる最大の量を増やすこと、あるいは、電荷を高速に転送すること、あるいはその両方が可能となる。
【0099】
さらに、本実施例には、以下の副次的な効果がある。
【0100】
特許文献1には、以下の動作が開示されている。第1の光電変換部の信号を保持容量に書き込み、水平転送動作を行い、信号を撮像装置外へ読み出す。そしてリセットトランジスタによりリセット動作を行なう。その後、第2の光電変換部の信号を保持容量に書き込み、水平転送動作を行い、信号をセンサ外へ読み出す。そして再度リセットトランジスタによりリセット動作を行なう。
【0101】
この場合、第1の光電変換部の信号と第2の光電変換部の信号とを読み出す間には1行分の読み出し時間差(数十〜数百μsec)が発生してしまう。
【0102】
本実施例では、まず第1の光電変換部101の信号を、T=t11で保持容量に信号を書き込む。そして、FD部110に光電変換部101から転送された電荷を保持したまま、T=t12において光電変換部101、102の双方の電荷を転送する。このことにより読み出し時間は大幅(数μsec)に短縮される。更に、2つの光電変換部101、102間の信号読み出しの時間差が短くなり、焦点検出の精度を高くする効果がある。
【0103】
また、駆動パルスPTXA、PTXBの両方を並行してハイレベルにすることにより以下の効果が得られる。
【0104】
一般に、転送トランジスタのゲートの電位がローレベルからハイレベルに遷移する際に転送トランジスタの駆動線と、FD部110との容量結合によりFD部110の電位が上昇する。本実施例では2つの転送トランジスタ103A、104Aのゲートの電位が並行してローレベルからハイレベルに遷移する。したがって1つの転送トランジスタのみがオンする場合より、FD部110の電位の上昇量が大きくなる。FD部110の電位が高くなると光電変換部101A、102Aの電荷がFD部110に転送されやすくなる。したがって転送効率を向上させることができる。なお、この転送効率向上の効果は、2つの転送トランジスタが少なくとも並行してオンしていれば得られる。2つの転送トランジスタが同時にオンすることで、より転送効率を向上させることができる。
【0105】
特に、本実施例のように、1つの撮像用の画素100が、2つの光電変換部で構成される撮像装置では、2つの光電変換部101Aと102Aの間にはポテンシャル障壁を設ける場合が多い。このポテンシャル障壁により、光電変換部のポテンシャル分布が複雑になる。このため転送時の電荷残りが発生しやすく、固定パターンノイズやランダムノイズが生じる場合がある。これに対して駆動パルスPTXA、PTXBを同時刻にハイレベルとすることにより、FD部110の電位が高い状態で電荷を転送することができ、固定パターンノイズやランダムノイズを低減する効果がある。
【0106】
このほかに、2つの光電変換部101A、102Aの蓄積時間の差を小さくすることができる。特許文献1の構成では、2つの光電変換部における蓄積時間がずれてしまう。これに対し、本実施例では、FD部110で電荷を加算する際に、加算を行なう光電変換部に対応する複数の転送トランジスタをオフするタイミングを略同一にしている。これにより、蓄積時間を揃えることができる。これは撮像装置の撮像面において焦点検出用の信号を得る構成において特に有効である。
【実施例2】
【0107】
別の実施例を説明する。実施例1との相違は、第1の光電変換部101Aの電荷、および、第2の光電変換部102Aの電荷が、同一の半導体領域801に転送されることである。そこで、実施例1と異なる点のみを説明し、実施例1と同様の部分についての説明は省略する。
【0108】
図7は、本実施例の撮像装置の平面構造を模式的に示す図である。図3と同様の機能を有する部分には同じ符号を付している。図7が示す通り、2つの光電変換部101A、102Aは、それぞれ対応する転送トランジスタのゲート電極103A、104Bを介して、半導体領域801に電気的に接続される。つまり、FD部110は、1つの半導体領域801で構成される。
【0109】
なお、半導体領域801は、不図示の導電部材によって増幅部の入力ノードと電気的に接続されてもよい。あるいは、半導体領域801が、バイポーラトランジスタやJFETなどの制御ノードを構成してもよい。
【0110】
本実施例では、実施例1の効果のほかに以下の効果を得られる。FD部110が、1つの半導体領域801で構成される。これにより、FD部110の容量を低減できる。したがって、FD部110での電荷電圧変換効率を向上させることができる。
【実施例3】
【0111】
別の実施例を説明する。実施例1との相違は、画素のレイアウトが異なることである。そこで、実施例1と異なる点のみを説明し、実施例1と同様の部分についての説明は省略する。
【0112】
図8は本実施例の撮像装置の平面構造を模式的に示す図である。図3と同様の機能を有する部分には同じ符号を付している。図8が示す通り、本実施例では、第1の光電変換部101A、第1の転送トランジスタのゲート電極103A、および、FD領域107Aが第2の方向に沿って並ぶ。そして、ゲート電極103Aに電気的に接続された第1の導電部材105Aが、第2の方向に沿って延在している。また、第2の光電変換部102A、第2の転送トランジスタのゲート電極104A、および、FD領域108Aが第2の方向に沿って並ぶ。そして、ゲート電極104Aに電気的に接続された第2の導電部材106Aが、第2の方向に沿って延在している。
【0113】
ゲート電極103Aと第1の導電部材105Aとは、導電部材901を介して電気的に接続されている。ゲート電極104Aと第2の導電部材106Aとは、導電部材902を介して電気的に接続されている。導電部材105A、106A、109Aは第1の配線層に配される。導電部材901および902は、第1の配線層の上の第2の配線層に配される。
【0114】
本実施例においては、ミラー対称性を高めるために、2つのFD領域107Aと108Aとが、両者の間に光電変換部が配されるように配置される。したがって、FD部110に含まれる導電部材109Aが長くなりやすい。このようなレイアウトにおいて、第1の導電部材105AとFD部110との距離d1が、第2の導電部材106AとFD部110の距離d2より短いことで、実施例1の効果がより顕著になる。つまり、電荷の転送効率が向上するという効果が大きい。
【0115】
なお、この実施例では、第1の配線層と、第2の配線層との間隔は広いため、ゲート電極103Aに接続された導電部材のうち、第1の導電部材105Aが、FD部110に、具体的には導電部材109Aに、最も近接して配されている。同様に、ゲート電極104Aに接続された導電部材のうち、第2の導電部材106Aが、FD部110に、具体的には導電部材109Aに、最も近接して配されている。
【0116】
これに対して、導電部材901および902が、FD部110に最も近接していてもよい。しかし、導電部材901および902は、FD部110に含まれる導電部材109Aと交差する方向に沿って延在している。このため、FD部110の容量のうち、導電部材901および902による容量成分は小さい。したがって、FD部110の導電部材109Aと同じ方向に沿って延在する導電部材105A、106Aの配置によって、FD部110との容量成分が大きく変化する。
【実施例4】
【0117】
別の実施例を説明する。実施例1との相違は、画素のレイアウトが異なることである。そこで、実施例1と異なる点のみを説明し、実施例1と同様の部分についての説明は省略する。
【0118】
図9は本実施例の撮像装置の平面構造を模式的に示す図である。図3と同様の機能を有する部分には同じ符号を付している。図9が示す通り、本実施例では、第1の光電変換部101A、第1の転送トランジスタのゲート電極103A、および、FD領域107Aが第2の方向に沿って並ぶ。そして、ゲート電極103Aに電気的に接続された第1の導電部材105Aが、第2の方向に沿って延在している。また、第2の光電変換部102A、第2の転送トランジスタのゲート電極104A、および、FD領域108Aが第2の方向に沿って並ぶ。そして、ゲート電極104Aに電気的に接続された第2の導電部材106Aが、第2の方向に沿って延在している。
【0119】
この実施例では、導電部材105A、106A、109Aが同じ配線層に配される。そのため、他の配線層のレイアウトの自由度を制限することなく、実施例1と同じ効果を得ることができる。
【実施例5】
【0120】
本発明に係る撮像システムの実施例について説明する。撮像システムとして、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星などがあげられる。図10に、撮像システムの例としてデジタルスチルカメラのブロック図を示す。
【0121】
図10において、1001はレンズの保護のためのバリア、1002は被写体の光学像を撮像装置1004に結像させるレンズ、1003はレンズ1002を通った光量を可変するための絞りである。1004は上述の各実施例で説明した撮像装置であって、レンズ1002により結像された光学像を画像データとして変換する。ここで、撮像装置1004の半導体基板にはAD変換部が形成されているものとする。1007は撮像装置1004より出力された撮像データに各種の補正やデータを圧縮する信号処理部である。そして、図10において、1008は撮像装置1004および信号処理部1007に、各種タイミング信号を出力するタイミング発生部、1009はデジタルスチルカメラ全体を制御する全体制御部である。1010は画像データを一時的に記憶する為のフレームメモリ部、1011は記録媒体に記録または読み出しを行うためのインターフェース部、1012は撮像データの記録または読み出しを行う為の半導体メモリ等の着脱可能な記録媒体である。そして、1013は外部コンピュータ等と通信する為のインターフェース部である。ここで、タイミング信号などは撮像システムの外部から入力されてもよく、撮像システムは少なくとも撮像装置1004と、撮像装置1004から出力された撮像信号を処理する信号処理部1007とを有すればよい。
【0122】
本実施例では、撮像装置1004とAD変換部とが別の半導体基板に設けられた構成を説明した。しかし、撮像装置1004とAD変換部とが同一の半導体基板に形成されていてもよい。また、撮像装置1004と信号処理部1007とが同一の半導体基板に形成されていてもよい。
【0123】
また、信号処理部1007は、第1の光電変換部101Aで生じた電荷に基づく信号と、第2の光電変換部102Aで生じた電荷に基づく信号とを処理し、撮像装置1004から被写体までの距離情報を取得するように構成されてもよい。
【0124】
撮像システムの実施例において、撮像装置1004には、実施例1または実施例2の撮像装置が用いられる。このように、撮像システムにおいて本発明に係る実施例を適用することにより、電荷の転送効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0125】
101A、101B 第1の光電変換部
102A、102B 第2の光電変換部
103A、103B 第1の転送トランジスタ
104A、104B 第2の転送トランジスタ
105A、105B 第1の導電部材
106A、106B 第2の導電部材
110 フローティングディフュージョン部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10