【実施例1】
【0033】
図1は本実施例の撮像装置の等価回路図である。画素100は、複数の光電変換部を有し、ここでは第1の光電変換部101Aおよび第2の光電変換部102Aを有する。光電変換部としてはフォトダイオードを用いることができる。
【0034】
転送トランジスタ103A、104Aは複数の光電変換部の各々に対応して設けられ、対応する光電変換部の信号をFD部110に転送する。FD部110は、増幅部の入力ノードである。
【0035】
増幅部201はFD部110に転送された信号を増幅して出力線207へ出力する。増幅部201にはMOSトランジスタを用いることができる。
【0036】
リセットトランジスタ202は増幅部の入力ノードにリセット電圧を供給する。選択トランジスタ203は増幅部201と出力線207との間の電気的導通を制御する。
【0037】
出力線207には電流源208が電気的に接続される。電流源208は増幅部201にバイアス電流を供給し、増幅部201と電流源208とでソースフォロアを構成する。
【0038】
第1の転送トランジスタ103A、第2の転送トランジスタ104A、リセットトランジスタ202、選択トランジスタ203のゲートには、それぞれ駆動線211A、駆動線212A、駆動線209、駆動線210が接続される。それぞれのゲートには垂直走査回路112からの駆動パルスが、行ごとに順次もしくはランダムに供給される。本実施例において、垂直走査回路112が制御部である。
【0039】
列回路113は出力線207からの信号を受ける。列回路113は出力線207に直接もしくはスイッチを介して接続される。列回路113で処理された信号は水平走査回路114により順次出力アンプ115に出力され外部へ出力される。
【0040】
列回路113の主たる動作は出力線207の信号を入力容量116の容量値及びフィードバック容量117の容量値とで決まるゲインで反転増幅する。更には仮想接地動作も可能であり、入力容量116を用いたクランプ動作によりCDS(相関2重サンプリング)動作を行なうことが可能である。
【0041】
次に、列回路113の具体的な回路の一例を説明する。入力容量116は第1ノードが出力線207に電気的に接続され、第2ノードが演算増幅器119の反転入力ノードに電気的に接続される。フィードバック容量117の第1ノードは、演算増幅器119の反転入力ノード及び入力容量の第2ノードに電気的に接続される。フィードバック容量117の第2ノードは演算増幅器119の出力ノードに電気的に接続される。
【0042】
スイッチ118は演算増幅器119の反転入力ノードと出力ノードとの間のフィードバック経路に、両者の電気的接続を制御するために設けられる。フィードバック容量117とスイッチ118とは並列に設けられる。
【0043】
電源120は基準電圧Vrefを演算増幅器119の非反転入力ノードに供給する。保持容量121〜124は演算増幅器119からの出力を保持する容量である。スイッチ125〜128は保持容量121〜124と演算増幅器119との間の電気経路に設けられ、演算増幅器119の出力ノードと、保持容量121〜124との電気的導通を制御する。スイッチ129〜132は水平走査回路114からの信号を受けて、保持容量121〜124で保持された信号を水平出力線139、140へ出力させる。出力アンプ115は水平出力線139、140に出力された信号の差分を取り外部へ出力する。
【0044】
駆動パルスPC0Rはスイッチ118へ供給される。駆動パルスPTNはスイッチ126、128へ供給される。駆動パルスPTSAはスイッチ125へ供給される。駆動パルスPTSABはスイッチ127へ供給される。
【0045】
図1では、複数の画素100のそれぞれに増幅部201が含まれる。
図2に示すように、複数の画素100A、100Bが1つの増幅部201を共有する構成でもよい。
図2において、
図1と同様の機能を有する部分には同じ符号が付されている。符号の後のアルファベットを付すことにより、異なる画素に含まれることを示している。
【0046】
図2に示された撮像装置は、光電変換部101Aおよび102Aを含む第1の画素100Aと、光電変換部101Bおよび102Bを含む第2の画素100Bとを有する。第1の画素に含まれる複数の光電変換部には第1のマイクロレンズにより集光された光が入射し、第2の画素に含まれる複数の光電変換部には第2のマイクロレンズにより集光された光が入射する。
【0047】
それぞれの光電変換部101A、102A、101B、102Bに対応して、転送トランジスタ103A、104A、103B、104Bが配される。転送トランジスタ103A、104A、103B、104Bに駆動パルスを供給する配線として、駆動線211A、212A、211B、212Bが配されている。
【0048】
このような構成によれば、増幅部201、リセットトランジスタ202、選択トランジスタ203を、撮像用の複数の画素が共有することができる。これにより1つの画素あたりのトランジスタ数を削減することが可能となる。その結果、光電変換部の面積を拡大させることができる。
【0049】
次に、本実施例の撮像装置の平面構造について説明する。
図3は、
図2に示される撮像装置の平面構造を模式的に示す図である。
図2で示された素子に対応する部分には、
図2と同じ符号が付されている。
【0050】
撮像装置は、例えばシリコン基板などの半導体基板に形成される。半導体基板は複数の活性領域を含む。第1の画素に含まれる2つの光電変換部101A、102Aは、第1の活性領域に配される。なお
図3では省略されているが、第2の画素に含まれる2つの光電変換部101B、102Bは、第1の活性領域とは別の、第2の活性領域に配される。各光電変換部は、信号電荷を蓄積するN型の半導体領域を含んでいる。
【0051】
第1の活性領域には、第1のFD領域107Aと、第2のFD領域108Aとが配される。第1のFD領域107Aには、第1の光電変換部101Aの電荷が転送される。第2のFD領域108Aには、第2の光電変換部102Aの電荷が転送される。2つのFD領域107A、108Aは、コンタクトプラグと導電部材109Aとによって相互に電気的に接続される。第1のFD領域107A、第2のFD領域108A、および、導電部材109Aは、FD部110を構成する。なお、符号310が付された図形がコンタクトプラグを示している。同様の図形は全てコンタクトプラグである。ただし、図面を簡素化するため、他のコンタクトプラグの符号は省略している。他の図面も同様である。
【0052】
図3において、各トランジスタのゲート電極に、
図2で示された対応する素子と同じ符号を付している。例えば、ゲート電極103Aは、
図2の第1の転送トランジスタ103Aのゲートを構成する。他のゲート電極についても同様である。
【0053】
図3が示す通り、ゲート電極103Aが、平面視において、第1の光電変換部101AとFD領域107Aとの間に配される。また、ゲート電極104Aが、平面視において、第2の光電変換部102AとFD領域108Aとの間に配される。
【0054】
図3では省略されているが、増幅トランジスタ201、リセットトランジスタ202、および、選択トランジスタ203は、光電変換部が配された活性領域とは別の、第3の活性領域に配される。これらのトランジスタは、ソース領域またはドレイン領域を他のトランジスタと共有している。増幅トランジスタ201とリセットトランジスタ202とが共有するドレイン領域は、コンタクトプラグを介して、電源電圧を供給する導電部材に電気的に接続されている。また、選択トランジスタのソース領域は、コンタクトプラグを介して、出力線207を構成する導電部材に電気的に接続されている。
【0055】
また、FD部110は、コンタクトプラグを介して、増幅トランジスタ201のゲート電極に電気的に接続される。具体的には、2つのFD領域107A、108Aを相互に電気的に接続する導電部材109Aが、コンタクトプラグを介して、増幅トランジスタ201のゲート電極に電気的に接続される。なお、第2の画素に対応するFD領域107B、108Bも、不図示の導電部材およびコンタクトプラグを介して、増幅トランジスタ201のゲート電極に電気的に接続される。
【0056】
第1の転送トランジスタのゲート電極103Aは、コンタクトプラグを介して、対応する駆動線211Aを構成する導電部材105Aに電気的に接続されている。第2の転送トランジスタのゲート電極104Aは、コンタクトプラグを介して、対応する駆動線212Aを構成する導電部材106Aに電気的に接続されている。
【0057】
この実施例では、導電部材105A、106A、109Aが同じ配線層に配されている。もちろん、これらの導電部材のいずれかが、他の配線層に配されてもよい。また、
図3に示されていない配線層に、出力線207、電源配線、GND配線、遮光用配線などを構成する導電部材が含まれている。
【0058】
なお、複数の画素の各々に対応して配された複数のレンズを有するレンズアレイ(不図示)が光電変換部の上部に配される。レンズアレイの各レンズは同一画素の複数の光電変換部に集光する。各画素に含まれる複数の光電変換部は平面視において、異なる位置に配される。
【0059】
ここで、この実施例の特徴的な部分について説明する。
図3が示す通り、第1の転送トランジスタのゲート電極103Aに電気的に接続された第1の導電部材105Aが、第2の転送トランジスタのゲート電極104Aに電気的に接続された第2の導電部材106Aよりも、FD部110の近くに配されている。言い換えれば、第1の導電部材105AとFD部110との互いに最も近接する部分の距離d1が、第2の導電部材106AとFD部110と互いに最も近接する部分の距離d2よりも短い。本実施例のようにFD部110が半導体領域(FD領域)を含む場合には、互いに最も近接する部分として以下のケースがある。第1は、第1の導電部材105AからFD領域107Aまでの距離d1が、第2の導電部材106AからFD領域108Aまでの距離d2よりも短いケースである。第2は、第1の導電部材105Aから導電部材109Aまでの距離d1が、第2の導電部材106Aから導電部材109Aまでの距離d2よりも短いケースである。
【0060】
また別の観点では、第1の導電部材105Aと、第2の導電部材106Aとが同一の配線層に配されている。そして、第1の導電部材105Aの所定の面への正射影の少なくとも一部が、第2の導電部材106Aの当該所定の面への正射影と、FD部110に含まれるFD領域107Aまたは108Aの当該所定の面への正射影との間に位置する。所定の面は、例えば、第1の光電変換部101Aに含まれる半導体領域と第1の光電変換部101Aの上に配された絶縁膜との界面、つまり、第1の光電変換部101の表面に対して、平行な面である。
【0061】
さらに、別の観点では、第1の導電部材105Aと、第2の導電部材106Aと、FD部110に含まれる導電部材109Aとが、同一の配線層に配されている。そして、第1の導電部材105Aの少なくとも一部が、第2の導電部材106Aと、FD部110に含まれる導電部材109Aとの間に位置する。
【0062】
このような構造のため、第1の導電部材105AとFD部110との間の容量成分が、第2の導電部材106AとFD部110との間の容量成分より大きい。具体的に、本実施例では、導電部材105A、106Aと、FD部110とが並走している距離d3が約2.4マイクロメートルであり、第1の導電部材105Aと、106Aとの配線の間隔が約0.3マイクロメートルである。この場合、第1の導電部材105AとFD部110との間の容量成分は、第2の導電部材106AとFD部110との間の容量成分の半分程度である。また、FD部110の全容量に対して、第1および第2の導電部材105A、106Aとの間の容量成分の合計は、約20%である。なお、上述の数値はあくまでも一例であり、適宜変更されるものである。
【0063】
なお、この実施例には、以下の副次的な特徴がある。1点目として、第1の光電変換部101Aと、第1の転送トランジスタのゲート電極103Aと、第1のFD領域107Aとが、第1の方向に沿って並んでいる。そして、第2の光電変換部102Aと、第2の転送トランジスタのゲート電極104Aと、第2の半導体領域108Aとが、第1の方向に沿って並んでいる。一方で、第1の導電部材105A、および、第2の導電部材106Aのそれぞれが、第1の方向と交差する方向(
図2の第2方向)に沿って延在している。このような配置により、転送トランジスタの駆動線を効率的に配置できるため、光電変換部の上の開口を大きくすることができる。その結果、この実施例によれば、感度を向上させることができる。
【0064】
また、この実施例の副次的な特徴の2点目として、第1の転送トランジスタのゲート電極103Aの所定の面への正射影が、第1の導電部材105Aおよび第2の導電部材106Aの当該所定の面への正射影のそれぞれと、少なくとも部分的に重なる。そして、第2の転送トランジスタのゲート電極104Aの所定の面への正射影が、第1の導電部材105Aおよび第2の導電部材106Aの当該所定の面への正射影のそれぞれと、少なくとも部分的に重なる。このような配置により、転送トランジスタの駆動線を効率的に配置できるため、光電変換部の上の開口を大きくすることができる。その結果、この実施例によれば、感度を向上させることができる。
【0065】
次に本実施例の撮像装置の駆動に関して、
図4に示された駆動パルスを用いて説明する。ここでは、
図1に示された撮像装置の動作を説明する。いずれの駆動パルスについても、ハイレベルのパルスで対応するトランジスタがオンになり、ローレベルのパルスで対応するトランジスタがオフになる。
【0066】
まず時刻T=t1において、駆動線211Aおよび212Aに供給される駆動パルスPTXAおよびPTXBがハイレベルとなる。この時、駆動線209に供給される駆動パルスPRESがハイレベルであるため、光電変換部101A、102Aがリセットされる。
【0067】
次にT=t2において、駆動パルスPTXAおよびPTXBがローレベルとなる。このタイミングで光電変換部101A、102Aでの電荷蓄積期間が開始する。駆動パルスPRESはハイレベルを維持しているため、増幅部201の入力ノードであるFD部110のリセット動作は継続している。所定期間蓄積を行った後に各行ごと、もしくは複数行ごとに順次出力線207への信号の読み出しを行う。
【0068】
時刻T=t3において、選択トランジスタ203の駆動線210に供給される駆動パルスPSELがハイレベルとなり、選択トランジスタ203がオンする。これにより、FD部110の電位、つまり、増幅部201の入力ノードの電位に応じた信号が出力線207に出力される。この時には、FD部110がリセットされた状態に基づく信号(リセット信号レベル)が出力される。
【0069】
時刻T=t4でリセットトランジスタ202の駆動線209に供給される駆動パルスPRESをローレベルとすることにより増幅部201の入力ノードのリセット動作を解除する。そしてリセット信号レベルを出力線207へ読み出し、列回路113に入力する。この時、列回路113は演算増幅器119が仮想接地状態となっている。具体的には駆動パルスPC0Rがハイレベルとなりスイッチ118が導通状態である。演算増幅器119はVrefの出力をバッファする状態でありこの状態で入力容量116にリセット信号レベルが供給される。
【0070】
次にT=t5において駆動パルスPC0Rをローレベルとし、T=t6において駆動パルスPTNをローレベルからハイレベルへ切り替え、スイッチ126、128をオンとする。T=t7で駆動パルスPTNをハイレベルからローレベルへと切り替え、スイッチ126、128をオフする。この動作により略Vrefの出力が保持容量122、124へ供給され、その後保持容量122、124と演算増幅器119の出力ノードとが非導通となる。
【0071】
引き続きT=t8において、駆動パルスPTXAをハイレベルとし第1の光電変換部101Aの電荷をFD部110へ転送し、T=t9において駆動パルスPTXAをローレベルとする。この動作により光電変換部101Aの電荷がFD部110へ転送される。これにより第1の光電変換部101Aで生じた電荷に基づく信号が、増幅部201、出力線207を介して列回路113へ供給される。以上の動作により、出力線207に焦点検出用の信号を生じさせることができる。
【0072】
なお、時刻T=t8から時刻T=t9までの間は、駆動パルスPTXBはローレベルなので、第2の転送トランジスタ104Aはオフに維持される。つまり、時刻T=t8において、第1および第2の転送トランジスタ103A、104Aの両方がオフの状態から、第2の転送トランジスタ104Aをオフにしたまま、第1の転送トランジスタ103Aをオンにしている。
【0073】
列回路113では入力容量116の容量値C0、フィードバック容量117の容量値Cfの比率で電圧変化に反転ゲインが掛け合された値が出力される。具体的には出力線207の電圧変化をΔVa(負)、演算増幅器119の出力をV(A)とすると、
V(A)=Vref+ΔVa×(−C0/Cf) 式(1)
となる。
【0074】
次にT=t10において、駆動パルスPTSAをローレベルからハイレベルへ切り替えスイッチ125をオンする。T=t11において駆動パルスPTSAをハイレベルからローレベルへと切り替え、スイッチ125をオフする。この動作により保持容量121に信号を保持する。
【0075】
ひきつづきT=t12において、駆動パルスPTXAをハイレベルとし、駆動パルスPTXAのハイレベル期間の少なくとも一部の期間で駆動パルスPTXBをハイレベルとする。これにより、第1の転送トランジスタ103Aおよび第2の転送トランジスタ104Aの両方が並行してオンする。この動作により光電変換部101Aと102Aの双方の電荷を同時にFD部110へ転送することができる。この動作により、出力線207に画像形成用の信号を生じさせることができる。なお、駆動パルスPTXAと駆動パルスPTXBとを、同時にローレベルからハイレベルへ遷移させてもよい。あるいは、駆動パルスPTXAを、駆動パルスPTXBよりも先に、ローレベルからハイレベルへ遷移させてもよい。あるいは、駆動パルスPTXAを、駆動パルスPTXBよりも後に、ローレベルからハイレベルへ遷移させてもよい。
【0076】
光電変換部101Aの電荷を転送してから、光電変換部101Aと102Aの双方の電荷を並行してFD部110へ転送するまでの間、FD部110の電位、つまり、増幅部201の入力ノードの電位はリセットされない。つまり、第1の転送トランジスタ103Aがオンしてから第1および第2の転送トランジスタ103A、104Aの両方がオンするまでの間は、リセットトランジスタ202がオフに維持される。
【0077】
そして、FD部110へ転送された電荷に基づく信号が、光電変換部101Aの電荷のみを転送した際と同様に、列回路113へ供給される。出力線207の電位変化をΔVa+b(負)、演算増幅器119の出力電位をV(A+B)とすると
V(A+B)=Vref+ΔVa+b×(−C0/Cf) 式(2)
となる。
【0078】
T=t14において、駆動パルスPTSABをローレベルからハイレベルへ切り替え、スイッチ122をオンする。そしてT=t15において駆動パルスPTSABをハイレベルからローレベルへと切り替え、スイッチ122をオフする。この動作により演算増幅器119の出力ノードの電位V(A+B)を保持容量123へ書き込むことができる。
【0079】
そして容量CTSABとCTNの差電圧である、
V(A+B)−Vref=ΔVa+b×(−C0/Cf) 式(3)
を得ることができる。これは画素に含まれる2つの光電変換部の信号を加算して得られたものに相当する。画素に含まれる複数の光電変換部で撮像をする際の1画素に相当する信号が得られる。
【0080】
また、保持容量121と122の電位差
V(A)−Vref=ΔVa×(−C0/Cf) 式(4)
を得ることで、第1の光電変換部101Aのみの信号を得ることができる。第1の光電変換部101Aによって得られる信号は集光された撮影レンズの瞳の一部を透過する光束の情報に相当する。さらにこれらの電位差、すなわち、
(ΔVa+b×(−C0/Cf))−(ΔVa×(−C0/Cf))
=(ΔVa+b−ΔVa)×(−C0/Cf) 式(5)
を得ることにより第2の光電変換部102Aのみの信号を得ることができる。第2の光電変換部102Aよって得られる信号は集光された撮影レンズの瞳の別の一部を透過する光束の情報が得られる。各画素に含まれる複数の2つの光電変換部は平面視において、異なる位置に配される。そして光電変換部101A、102Aの2つの光束の情報から焦点検出を行なうことができる。
【0081】
上記演算は撮像装置内で行うこともできるし、撮像装置から出力された後に信号処理部で行うこともできる。ただし第1の光電変換部101Aのみの信号、及び2つの光電変換部101A、102Aの加算後の信号は撮像装置内で得られる。
【0082】
次にT=t16で駆動パルスPRESをハイレベルとし、リセットトランジスタ202をオンし、FD部110の電位をリセットする。
【0083】
保持容量121〜124に保持された信号はT=t17以降にパルスPHに同期した駆動パルス133、134が順次導通することで読み出される。本実施例によれば水平出力線139、140の後段に差分処理を行なうことが可能な出力アンプ115を有しているため、保持容量121、122に保持された信号の差分を撮像装置外部に出力することができる。更に保持容量123、124に保持された信号の差分を撮像装置外部に出力することができる。これにより水平出力線139、140において生じるノイズを低減することができる。しかしながら出力アンプ115は必ずしも差分出力を得る構成である必要はなく単なるバッファ段でもよい。これ以降、順次各列の信号が水平走査回路114により走査されて水平出力線139、140に読み出される。
【0084】
なお、読み出しの順番は第1の光電変換部101Aのみの信号を読み出した後に、第1および第2の光電変換部101A、102Aの加算信号を読み出す例を示したが、順番を入れ替えてもよい。第1の光電変換部101Aのみの信号を先に読み出すことで、よりよい信号が得られる。なぜならば保持容量121〜124に保持されている時間が長いほど容量およびスイッチによるリーク電流の影響を受けやすくなるからである。
【0085】
以上では、
図1に示された撮像装置の動作について説明した。
図2で示された撮像装置の動作についても、
図4で示される駆動タイミングと同様な読み出しを行う。
図2に示された撮像装置では、光電変換部101A、102Aからの信号と、光電変換部101B、102Bからの信号とを、異なる行の信号として読み出すことができる。
【0086】
具体的には、第1の画素では光電変換部101Aの信号を読み出したのちに、光電変換部101A、102Aの電荷をFD部110で加算する。これにより焦点検出量の信号と撮像用の信号の両者を生じさせることができる。続いて、第2の画素では光電変換部101Bの信号を読み出したのちに、光電変換部101B、102Bの電荷をFD部110で加算する。これにより焦点検出量の信号と撮像用の信号の両者を生じさせることができる。
【0087】
また、
図2で示された撮像装置では、異なる2つの画素が増幅部201を共有している。したがって光電変換部101A、101Bの電荷をFD部110で加算し、光電変換部102A、102Bの信号をFD部110で加算することもできる。
【0088】
2つの画素の信号を加算して読み出す場合の、駆動タイミングの例を
図5に示す。ここで転送トランジスタ103Aに供給される駆動パルスをPTXA(103A)、転送トランジスタ104Aに供給される駆動パルスをPTXB(104A)とする。更に、転送トランジスタ103Bに供給される駆動パルスをPTXA(103B)、転送トランジスタ104Bに供給される駆動パルスをPTXB(104B)とする。
【0089】
時刻T=t8において、駆動パルスPTXA(103A)、PTXA(103B)をローレベルからハイレベルとする。その後時刻T=t9において、駆動パルスPTXA(103A)、PTXA(103B)をハイレベルからローレベルとする。この動作により異なる画素に含まれる光電変換部101A、101Bの電荷がFD部110で加算される。この信号は焦点検出用の信号として用いられる。
【0090】
そして時刻T=t12において、駆動パルスPTXA(103A)、PTXA(103B)PTXA(103B)、PTXB(104B)をローレベルからハイレベルとする。その後、T=t13において、駆動パルスPTXA(103A)、PTXA(103B)PTXA(103B)、PTXB(104B)をハイレベルからローレベルとする。この動作により異なる画素に含まれる全ての光電変換部101A、102A、101B、102Bの電荷がFD部110で加算される。この信号は撮像用の信号として用いられる。
【0091】
本動作により焦点検出用の信号を、異なる画素に含まれる複数の光電変換部の電荷を加算して得ている。そのため、S/Nを向上させることができる。その結果、精度の高い焦点検出が可能となる。
【0092】
本実施例の撮像装置では、高速に信号を読み出すことができる。この効果について図面を用いて説明する。
【0093】
一般に、転送トランジスタのゲートの電位が、オフに対応するレベルからオンに対応するレベルに遷移する際に、転送トランジスタのゲートに電気的に接続された導電部材と、FD部との容量結合によりFD部の電位が変化しうる。そのため、信号電荷の極性に応じて、FD部の電位を変化させることにより、転送効率を上げることができる。具体的には、電荷を転送できる最大の量を増やすこと、あるいは、電荷を高速に転送すること、あるいはその両方が可能となる。
【0094】
本実施例では、2つの光電変換部のうちの第1の光電変換部101Aの電荷に基づく信号が独立して読み出される。そのために、2つの転送トランジスタ103A、104Aのうち、第2の転送トランジスタ104Aをオフに維持したまま、第1の転送トランジスタ103Aをオフからオンに制御している。これにより、第1の光電変換部101Aの電荷が転送されるときの、FD部110の電位を高くすることができる。その結果、転送効率を上げることができる。
【0095】
図6は実施例の撮像装置における、読み出し期間のFD部110の電位の変化を模式的に示す図である。第1の転送トランジスタ103Aの駆動線211Aに供給される駆動パルスをPTXA、第2の転送トランジスタ104Aの駆動線212Aに供給される駆動パルスをPTXBとする。また、FD部110の電位は、VFDで表される。実線が本実施例のFD部110の電位の変化を示したもので、点線が比較例のFD部の電位の変化を示したものである。なお、
図6の時刻T=t1、T=t2、T=t3、T=t4は、それぞれ、
図4および
図5の時刻T=t8、T=t9、T=t12、T=t13に対応する。
【0096】
図6の時刻T=t1において、駆動パルスPTXAをローレベルからハイレベルとする。この動作により、光電変換部101Aに蓄積された電荷がFD部1110へ読み出される状態となる。この信号は例えば焦点検出用の信号として用いられる。この時のFD部110の電位の変化の量をaとする。ここで、駆動パルスPTXBのみをローレベルからハイレベルとした場合のFD部の電位の変化の量をbとし、点線にて図示する。
【0097】
本実施例においては、第1の転送トランジスタ103Aのゲート電極に電気的に接続された第1の導電部材105Aが、第2の転送トランジスタ104Aのゲート電極に電気的に接続された第2の導電部材106Aよりも、FD部110の近くに配置される。そのため、第1の導電部材105AとFD部110との容量成分は、第2の導電部材106AとFD部110と容量成分より大きい。したがって、第1の転送トランジスタ103Aがオンする際の、FD部110の電位の変化のほうが、第2の転送トランジスタ104Aがオンする際の、FD部110の電位の変化よりも大きい。つまり、a>bである。
【0098】
このため、
図6が示す通り、実施例によれば、FD部110の電位をより高くした状態で、電荷の転送を行うことができる。結果として、電荷を転送できる最大の量を増やすこと、あるいは、電荷を高速に転送すること、あるいはその両方が可能となる。
【0099】
さらに、本実施例には、以下の副次的な効果がある。
【0100】
特許文献1には、以下の動作が開示されている。第1の光電変換部の信号を保持容量に書き込み、水平転送動作を行い、信号を撮像装置外へ読み出す。そしてリセットトランジスタによりリセット動作を行なう。その後、第2の光電変換部の信号を保持容量に書き込み、水平転送動作を行い、信号をセンサ外へ読み出す。そして再度リセットトランジスタによりリセット動作を行なう。
【0101】
この場合、第1の光電変換部の信号と第2の光電変換部の信号とを読み出す間には1行分の読み出し時間差(数十〜数百μsec)が発生してしまう。
【0102】
本実施例では、まず第1の光電変換部101の信号を、T=t11で保持容量に信号を書き込む。そして、FD部110に光電変換部101から転送された電荷を保持したまま、T=t12において光電変換部101、102の双方の電荷を転送する。このことにより読み出し時間は大幅(数μsec)に短縮される。更に、2つの光電変換部101、102間の信号読み出しの時間差が短くなり、焦点検出の精度を高くする効果がある。
【0103】
また、駆動パルスPTXA、PTXBの両方を並行してハイレベルにすることにより以下の効果が得られる。
【0104】
一般に、転送トランジスタのゲートの電位がローレベルからハイレベルに遷移する際に転送トランジスタの駆動線と、FD部110との容量結合によりFD部110の電位が上昇する。本実施例では2つの転送トランジスタ103A、104Aのゲートの電位が並行してローレベルからハイレベルに遷移する。したがって1つの転送トランジスタのみがオンする場合より、FD部110の電位の上昇量が大きくなる。FD部110の電位が高くなると光電変換部101A、102Aの電荷がFD部110に転送されやすくなる。したがって転送効率を向上させることができる。なお、この転送効率向上の効果は、2つの転送トランジスタが少なくとも並行してオンしていれば得られる。2つの転送トランジスタが同時にオンすることで、より転送効率を向上させることができる。
【0105】
特に、本実施例のように、1つの撮像用の画素100が、2つの光電変換部で構成される撮像装置では、2つの光電変換部101Aと102Aの間にはポテンシャル障壁を設ける場合が多い。このポテンシャル障壁により、光電変換部のポテンシャル分布が複雑になる。このため転送時の電荷残りが発生しやすく、固定パターンノイズやランダムノイズが生じる場合がある。これに対して駆動パルスPTXA、PTXBを同時刻にハイレベルとすることにより、FD部110の電位が高い状態で電荷を転送することができ、固定パターンノイズやランダムノイズを低減する効果がある。
【0106】
このほかに、2つの光電変換部101A、102Aの蓄積時間の差を小さくすることができる。特許文献1の構成では、2つの光電変換部における蓄積時間がずれてしまう。これに対し、本実施例では、FD部110で電荷を加算する際に、加算を行なう光電変換部に対応する複数の転送トランジスタをオフするタイミングを略同一にしている。これにより、蓄積時間を揃えることができる。これは撮像装置の撮像面において焦点検出用の信号を得る構成において特に有効である。