特許第6238570号(P6238570)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6238570プラズマ・イオン源に対する改良された画像化および処理
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238570
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】プラズマ・イオン源に対する改良された画像化および処理
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/317 20060101AFI20171120BHJP
   H01J 37/18 20060101ALI20171120BHJP
   H01J 37/08 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   H01J37/317 D
   H01J37/18
   H01J37/08
【請求項の数】22
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-108815(P2013-108815)
(22)【出願日】2013年5月23日
(65)【公開番号】特開2013-251258(P2013-251258A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2016年5月19日
(31)【優先権主張番号】61/653,930
(32)【優先日】2012年5月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501419107
【氏名又は名称】エフ・イ−・アイ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】トム・ミラー
(72)【発明者】
【氏名】ショーン・ケロッグ
(72)【発明者】
【氏名】ショウイン・ジャーン
(72)【発明者】
【氏名】モスタファ・マーゾウス
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー・グラウペラ
【審査官】 鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭52−088900(JP,A)
【文献】 特開2011−100722(JP,A)
【文献】 米国特許第05313067(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 27/00 −27/26
H01J 37/00 −37/18
H01J 37/21
H01J 37/24 −37/36
H01L 21/26 −21/268
H01L 21/322−21/326
H01L 21/42 −21/425
H01L 21/428
H01L 21/477−21/479
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集束イオン・ビーム・カラムを備える集束イオン・ビーム・システムであって、
プラズマを収容するプラズマ室と、
プラズマをバイアスするための源電極と、
前記プラズマ室からイオンを引き出し、前記イオンを加工物に向かって加速する引出し電極と、
前記イオンを、前記加工物上に1マイクロメートル未満のスポットを有するビームに集束させる集束レンズと、
前記加工物を収容するための試料室であり、真空ポンプに接続された試料室と、
前記プラズマ室の一端に接続され、第1の真空ポンプに接続された第1の中間真空室と、
第2の真空ポンプに接続された第2の中間真空室と、
前記第1の中間真空室と前記第2の中間真空室を接続する第1の差動排気絞りと、
前記第2の中間真空室を、前記試料室または1または複数の追加の中間真空室に接続する第2の差動排気絞りと、
を備え、
動作時に、集束イオン・ビームが、前記試料室に至るまでに、前記第1の中間真空室から前記第2の中間真空室を通過し、前記追加の中間真空室がそれぞれ、直前の前記中間真空室よりも低い圧力を有する、
集束イオン・ビーム・システム。
【請求項2】
前記追加の中間真空室がそれぞれ、直前の前記中間真空室の圧力の1/10よりも低い圧力を有する、請求項に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項3】
前記第1の中間真空室は、前記プラズマ室内の圧力の1/5以下の圧力を有する、請求項1または2に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項4】
前記第1の差動排気絞りの長さが、直径の少なくとも2倍である、請求項1からのいずれか一項に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項5】
前記試料室の圧力が直前の前記中間真空室の圧力よりも高い、請求項1からのいずれか一項に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項6】
前記集束イオン・ビームのイオンが、前記第1、第2あるいは1または複数の追加の中間真空室内で高エネルギー中性粒子を生成する確率は1%未満であり、前記高エネルギー中性粒子は、前記イオンと中性ガス分子との衝突の結果として生成される中性粒子であり、前記衝突の結果として、前記イオンと中性ガス分子との間で電荷が交換される、請求項1から5のいずれか一項に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項7】
前記イオンが、前記第1、第2あるいは1または複数の追加の中間真空室内で前記高エネルギー中性粒子を生成する確率は0.01%未満である、請求項6に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項8】
前記プラズマ室から放出されるイオンのエネルギー幅を、10eV未満に低減する手段をさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項9】
前記第1の差動排気絞りおよび前記第2の差動排気絞りが、必要なイオン電流を通す十分な大きさであり、かつ、前記差動排気絞りによって接続された前記中間真空室間の圧力差を維持する十分な小ささである直径を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項10】
集束イオン・ビーム・カラムを備える集束イオン・ビーム・システムであって、
プラズマを収容するプラズマ室と、
プラズマをバイアスするための源電極と、
前記プラズマ室からイオンを引き出し、前記イオンを加工物に向かって加速する引出し電極と、
前記イオンを、前記加工物上に1マイクロメートル未満のスポットを有するビームに集束させる集束レンズと、
前記加工物を収容するための試料室であり、真空ポンプに接続された試料室と、
前記プラズマ室の一端に接続され、第1の真空ポンプに接続された第1の中間真空室と、
第2の真空ポンプに接続された第2の中間真空室と、
前記第1の中間真空室と前記第2の中間真空室を接続する第1の差動排気絞りと、
前記第2の中間真空室を、前記試料室または1または複数の追加の中間真空室に接続する第2の差動排気絞りと、
を備え、
動作時に、
集束イオン・ビームが、前記試料室に至るまでに、前記第1の中間真空室から前記第2の中間真空室を通過し、
前記第1、第2および1または複数の追加の中間真空室と前記試料室のそれぞれは所定の圧力を有しており、
前記第1、第2および1または複数の追加の中間真空室と前記試料室のそれぞれを通る所定の経路長があり、
前記所定の圧力と、前記第1、第2および1または複数の追加の中間真空室と前記試料室の前記所定の経路長との積和が、3×10-3ミリバール・mm未満である、集束イオン・ビーム・システム
【請求項11】
前記所定の圧力と、前記第1、第2および1または複数の追加の中間真空室と前記試料室の前記所定の経路長との積和が、3×10-5ミリバール・mm未満である、請求項10に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項12】
前記集束イオン・ビームのイオンが、前記第1、第2あるいは1または複数の追加の中間真空室内で高エネルギー中性粒子を生成する確率は1%未満であり、前記高エネルギー中性粒子は、前記イオンと中性ガス分子との衝突の結果として生成される中性粒子であり、前記衝突の結果として、前記イオンと中性ガス分子との間で電荷が交換される、請求項10または11に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項13】
前記イオンが、前記第1、第2あるいは1または複数の追加の中間真空室内で前記高エネルギー中性粒子を生成する確率は0.01%未満である、請求項12に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項14】
前記プラズマ室から放出されるイオンのエネルギー幅を10eV未満に低減する手段をさらに備える、請求項10から13のいずれか一項に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項15】
前記第1の差動排気絞りおよび前記第2の差動排気絞りが、必要なイオン電流を通す十分な大きさであり、かつ、前記差動排気絞りによって接続された前記中間真空室間の圧力差を維持する十分な小ささである直径を有する、請求項10から14のいずれか一項に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項16】
プラズマ・イオン源を使用した集束イオン・ビーム処理を、加工物に衝突する高エネルギー中性粒子の数を低減させることによって改良する方法であって、
プラズマを生成するために、第1の圧力に維持されているプラズマ室内のガスにエネルギーを供給することと、
前記プラズマ室からイオンを引き出して第1の中間真空室に入れることであって、前記第1の中間真空室が、前記第1の圧力より低い第2の圧力に維持されていることと、
集束イオン・ビーム・カラム内で前記イオンをイオン・ビームに形成することであって、前記集束イオン・ビーム・カラムが前記第1の中間真空室、第2の中間真空室、第1の差動排気絞り、および第2の差動排気絞りを備えることと、
前記イオン・ビームを、前記第1の中間真空室から前記第1の差動排気絞りを通して前記第2の中間真空室に入れることであって、前記第2の中間真空室が、前記第2の圧力より低い第3の圧力に維持されていることと、
前記イオン・ビームを、前記第2の差動排気絞りを通して試料室に入れること、および、前記イオン・ビームを、前記集束イオン・ビーム・カラム内に配置された集束レンズを使用して、前記試料室内の前記加工物上の1マイクロメートル未満のスポットに集束させることと、
前記加工物を前記集束イオン・ビームで処理すること、
を含み、前記高エネルギー中性粒子は、前記イオン・ビームのイオンと中性ガス分子との衝突の結果として生成される中性粒子であり、前記衝突の結果として、前記イオンと中性ガス分子との間で電荷が交換される方法。
【請求項17】
前記第1および第2の中間真空室と前記試料室のそれぞれの圧力と経路長の積和が、3×10-3ミリバール・mm未満である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1および第2の中間真空室と前記試料室のそれぞれの圧力と経路長の積和が、3×10-5ミリバール・mm未満である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記イオン・ビームのイオンが、前記加工物に向かって前記第1および第2の中間真空室を通過する間に中性ガス分子と衝突することによって前記高エネルギー中性粒子を生成する確率は1%未満である、請求項16から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記イオン・ビームのイオンが、前記加工物に向かって前記第1および第2の中間真空室を通過する間に中性ガス分子と衝突することによって前記高エネルギー中性粒子を生成する確率は0.01%未満である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の中間真空室が10-5ミリバールから10-6ミリバールの間の圧力に維持され、前記第2の中間真空室が5×10-7ミリバールから10-7ミリバールの間の圧力に維持される、請求項16から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記プラズマ室からイオンを引き出して前記第1の中間真空室に入れることが、10eV未満のエネルギー幅を有するイオンを引き出すことを含む、請求項16から21のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ・イオン源を使用する集束イオン・ビーム・システムであって、1ミクロン未満のスポットを加工物の表面に形成することができる集束イオン・ビーム・システムに関する。
【背景技術】
【0002】
集束イオン・ビーム・システムは、マイクロスコピックまたはナノスコピック構造体を製造しまたは改変するのに使用されている。一部の集束イオン・ビーム(FIB)カラムは、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第7,241,361号明細書に記載されている誘導結合プラズマ(ICP)源などのプラズマ・イオン源を使用する。上記のプラズマ・イオン源などのプラズマ・イオン源を使用する集束イオン・ビーム・システムは、液体金属イオン源を使用するシステムにはないいくつかの利点を有する。例えば、プラズマ・イオン源は、より高い輝度およびより狭いエネルギー幅を提供することができる。プラズマ・イオン源は、さまざまなイオン種を供給することができ、そのようなイオン種の一部はより高いスパッタ歩留りを有し、サンプルを汚染しない。
【0003】
図1は、米国特許第7,241,361号明細書に記載された先行技術に基づくICPシステムを概略的に示す。システム100は、プラズマ室104を含むプラズマ・イオン源を備えるイオン・ビーム・カラム102を含み、プラズマ室104には、ガス入口106の毛管または流れ絞りを通して1種または数種のガスが供給される。プラズマ室104内のガスをイオン化するためのエネルギーを供給する、図示しないRF源に、インピーダンス整合回路によってコイル107が結合される。システム100は、イオン・ビーム中のイオンのエネルギー幅を狭める手段を含むことが好ましい。このような手段は、アンテナとプラズマとの間の容量結合を低減させる分割ファラデー・シールドまたは平衡アンテナを含むことができる。イオン化されたガス原子またはガス分子は、引出し電極105によってプラズマ室104から引き出される。引出し電極105は絞り108を通してイオンを引き出し、絞り108は、プラズマを高電位に電気的にバイアスする。イオンは、調整可能なステージ112上に配置された加工物110に向かって加速される。一般に、イオン・ビーム・システムはさらに、イオン・ビームを遮断するビーム・ブランカ130、ビームの位置決めをするビーム偏向器132、およびイオン化された分子のビームを平行にしまたは集束させる集束レンズ134を含む。
【0004】
一般に、プラズマ室内の原子または分子のうちイオン化されるのは非常に小さな割合だけである。中性原子は、イオンが引き出される絞りを通って拡散することができる。しかしながら、引出し電極によって加速されないため、それらの中性原子のエネルギーは非常に低い。これらの低エネルギー中性原子は、この絞りからランダムな方向へ拡散し、光学カラムの要素に衝突し、真空ポンプによって除去されるため、加工物に到達する中性原子は非常に少ないと考えられていた。
【0005】
集束イオン・ビーム・システムは、加工物から材料をエッチングしまたは加工物の表面に材料を付着させることによって、マイクロスコピック構造体を形成する目的にも使用されている。イオンは、スパッタリング、すなわちイオンから加工物の原子への運動量の移動、によって表面から材料を除去することができる。イオンはさらに、イオン・ビームの存在下で分解して、材料を付着させ、またはターゲット材料と揮発性の化合物を形成しターゲットのエッチングを強化する前駆体ガスを活性化することができる。さらに、イオン・ビーム・システムはしばしば、前駆体ガス140を注入するためのガス入口および加工物表面に向かって前駆体ガスの流れを導く針142を含む。
【0006】
一般に、集束イオン・ビーム・システムはさらに、イオン・ビームが試料表面を走査し、イオン・ビームの衝突によって2次電子が生成されたときに画像を形成する、エバーハート−ソーンリー(Everhart−Thornley)検出器などの2次電子検出器150を含む。各点における画像のコントラストは、検出される2次イオンの数によって決まる。プラズマ源からのイオン・ビームによって形成される2次電子画像のコントラストが予想外に悪いことがあることを本出願の出願人は見出した。したがって、より高品質の2次電子画像を集め、より高分解能のエッチングまたは付着を提供する、改良された装置および方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,241,361号明細書
【特許文献2】米国特許第8,053,725号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、プラズマ・イオン源を使用する集束イオン・ビーム・システムによる処理を改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
高エネルギーのイオンと中性ガスとの衝突によって運動エネルギーが大きい中性粒子が生成され、この中性粒子が加工物に衝突し、それによって画像化および処理の質が低下することを本出願の出願人は見出した。高エネルギーのイオンとプラズマ室から拡散しているガスとの接触を減らすことによって、試料表面に到達する高運動エネルギーの中性イオンの数が減り、イオン・ビームによる画像化および処理の質が向上する。一実施形態では、差動排気された一連の室が、イオン・ビームが遭遇するガスの量を減らすことによって高エネルギー・イオンと中性ガスとが衝突する回数を減らし、それによって加工物に衝突する高運動エネルギーの中性粒子の生成を低減させる。
【0010】
以上では、以下の本発明の詳細な説明をより十分に理解できるように、本発明の特徴および技術上の利点をかなり広く概説した。以下では、本発明の追加の特徴および利点を説明する。開示される着想および特定の実施形態を、本発明の同じ目的を達成するために他の構造を変更しまたは設計するベースとして容易に利用することができることを当業者は理解すべきである。さらに、このような等価の構造は、添付の特許請求の趣旨および範囲に記載された本発明の範囲を逸脱しないことを当業者は理解すべきである。
【0011】
次に、本発明および本発明の利点のより完全な理解のため、添付図面に関して書かれた以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】プラズマ源を有する先行技術のイオン・ビーム・システムの略図である。
図2】本発明の4室実施形態の略図である。
図3】本発明の他の実施形態の略図である。
図4】本発明の一実施形態の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
イオンは、引出し電極および陰極によって、高い運動エネルギーでプラズマ室を出、加速される。イオンは、集束カラム内でビームとなり、集束して、加工物の表面の微小なスポットに衝突する。ビームは一般に、静電偏向器を使用して試料表面を走査される。中性原子も絞りを通って漏れ出るが、この低速の中性ガス粒子の大部分はカラム内の要素に衝突し、加工物に到達するのはごくわずかであると考えられた。
【0014】
プラズマ・イオン源を使用して生み出される2次電子画像のコントラストがよくない原因を調べることにより、本出願の出願人は、コントラストがよくない原因が「高エネルギー中性粒子」にあることを見出した。「高エネルギー中性粒子」は、かなりのエネルギーを有するイオンが、ビーム経路上のガス分子と、電荷交換が起こるような態様で相互作用したときに生成される。これらの「高エネルギー中性粒子」の少なくとも一部は、元のイオンの軌道から最小限しか変化していない軌道を有し、集束したりまたは偏向されたりすることがないため、試料表面までまっすぐに進む。
【0015】
高エネルギー中性粒子が試料に衝突すると2次電子が放出されるが、中性原子は、イオン・ビームと一緒に集束したり、または走査されたりしないため、2次電子電流は試料の幅広いエリアから放出される。したがって、高エネルギー中性粒子に起因する2次電子電流は、ビームが衝突した点からの2次電子信号に加えて検出される「ノイズ」を構成する。このノイズは、イオン・ビーム画像のコントラストを低下させる。このノイズは、ビームが衝突した点からの信号が意味をなさなくなるほどにまで強くなることがある。この高エネルギー中性粒子はさらにスパッタリングを引き起こし、室内に前駆体ガスが存在する場合には、その前駆体ガスを分解して、イオン・ビームが衝突する点から離れた位置におけるエッチングまたは付着の原因となる。
【0016】
プラズマ源からのイオンのエネルギー幅が大きいために小さなスポットを形成することが困難であったため、プラズマ・イオン源を使用する集束イオン・ビーム・システムは一般に、高精度製造用途には使用されなかった。しかしながら、例えば米国特許第8,053,725号明細書に記載されているプラズマ・イオン源は、イオンのエネルギー幅が狭いイオン・ビームを提供することができる。プラズマ・イオン源は液体金属イオン源よりも汎用性が高く、大きなビーム電流、またはより精度の高い小さなビーム電流を生み出すことができる。例えば、あるプラズマ・イオン源は、エネルギー幅約10eV未満、スポット・サイズ約25nm未満、電流約2pAのビームを生成することができる。プラズマ・イオン源を使用する高分解能FIBを開発することによって、本出願の出願人は、以前には専ら液体金属イオン源が使用されていた用途で使用されているシステムを生み出した。プラズマ・イオン源を使用するFIBの高い分解能は新たな用途を可能にするため、以前には見られなかった新たな問題が生じる。画像分解能が低い問題もそのような問題の1つである。
【0017】
図1のシステムでは、絞り108を通ってプラズマ源から漏れ出た中性粒子の一部が、イオン・カラム102を通り抜けることがある。プラズマ室内のガス圧は一般に、約10-3ミリバールから約1ミリバールの間にあり、そのため、イオン源から引き出されるイオンと中性粒子とが衝突し、それによりイオン・カラムに沿って導かれる高エネルギー中性粒子が生成される十分な機会が提供される。
【0018】
引出し電極105によって引き出され、プラズマと集束カラムの間の電位差によって加速されたイオンは、この中性粒子と衝突し、その一部が中性粒子になるが、その中性粒子は、大部分のエネルギーおよび加工物へ向かう方向の大部分の運動量を保持し続ける。この高エネルギーの中性粒子は加工物110に到達する。中性粒子は、集束レンズ134の場に反応しないため、絞りプレート120によって遮断されなかった中性粒子は、加工物表面110のあるエリアにわたって広がる。このエリアは一般に、集束イオン・ビームが走査するエリアよりもはるかに大きなエリアである。以前は、試料表面に到達する中性原子はごくわずかであると考えられていたが、高エネルギー・イオンの中性化によって生成された高エネルギーの中性粒子は、有害な効果を生む十分な量が、試料表面に到達するようである。
【0019】
図2は、プラズマ室201を使用する集束イオン・ビーム・カラム200を含む本発明の一実施形態の略図を示す。毛管、ニードル弁などの流れ絞り204を介して、プラズマ室201に高圧ガス源202が接続される。流れ絞り204は、プラズマ室201に流入するガスを制限し、プラズマ室201内の圧力を、一般に10-3ミリバールから1ミリバールの間の圧力まで低下させる。用語流れ絞り204は、同じくプラズマ室に流入するガスを制限する絞りという用語と相互に交換可能に使用することができる。イオンは、図2では管として概略的に示された出口絞り205を通ってプラズマ室201を出る。出口絞り205は、必要なイオン電流を通すのに十分な大きさの直径を有する。いくつかの実施形態ではこの直径が約2mmである。いくつかの実施形態では、プラズマをバイアスするために、この出口絞りが高電圧に電気的にバイアスされる。
【0020】
イオンは、出口絞り205を通ってプラズマ室201を出、排気された第1の中間真空室206に入る。中性原子も出口絞り205から拡散し、排気された第1の中間真空室206に入る。試料へ向かう方向の大きな運動量を有する高エネルギー・イオンと、それよりも低いエネルギーを有する拡散している中性ガスとが衝突すると、電荷の交換が起こり、その結果、試料へ向かう方向の大きな運動量を有する高エネルギーの中性粒子が生成される。プラズマ室と試料の間のガスの総量を減らすことによって、衝突回数が低減し、生成される高エネルギー中性粒子の数が減る。
【0021】
高エネルギー中性粒子が生成される確率の1つの尺度が、高エネルギー・イオンと中性ガス粒子の衝突回数と、高エネルギー・イオンが中性ガスから電荷を受け取る確率との積である。衝突の確率は、ビームが通過する領域内のガス圧と、その領域を通る経路の長さとに依存する。本発明の実施形態は、圧力を迅速に低下させて、より高圧の領域を通る経路の長さを短くすることにより、圧力と経路長の積和を小さくする。本発明の実施形態は、圧力制限絞りによって分離された差動排気された複数の室をビーム経路上に配置して、ビームがプラズマ室から遠ざかるにつれてガス圧が低下するようにする。プラズマの下の最初の真空室の圧力を、排気により所望の圧力まで低下させて、全てのガスを除去するのが理想だが、実際には、ポンプの排気速度の実用限界および絞りを通したガスの拡散のため、複数の室が必要となる。さらに、かなりのサイズの絞りがある高圧の領域から低圧の領域への移行は非常に難しい。
【0022】
好ましい一実施形態では、圧力と経路長の積和が3E−3ミリバール・mm未満、好ましくは3E−4ミリバール・mm未満、最も好ましくは3E−5ミリバール・mm未満である。高エネルギー中性粒子が生成される確率は、多くの因数からなる複雑な関数だが、合理的ないくつかの仮定を設け、カラムに沿って進むそれぞれのイオンについて圧力と長さの積を記載のとおりにすると、好ましいことに、中性粒子が生成される確率は、1%未満、より好ましくは0.1%未満、最も好ましくは0.01%未満まで低下する。高エネルギー中性粒子が試料に到達する確率は、このような偏向を生み出さない高エネルギー中性粒子を生成する衝突の確率に依存する。高エネルギー中性粒子が試料に到達する確率は、高エネルギー・イオンのエネルギーにも依存する。多重衝突も、試料に到達する高エネルギー中性粒子の数の決定に役割を果たすことがある。さらに複雑になる要因は、入射するイオンと標的中性ガス種の組合せごとに確率が異なることである。
【0023】
中間真空室206は、貴ガスを取り扱うことができる大容量ポンプ208によって排気され、大容量ポンプ208は、ターボ・ポンプとすることができ、室206の圧力を約10-5ミリバールから10-6ミリバールに維持することができる。次いで、イオン・ビームおよび一部の中性ガス分子が、真空室206から、差動排気絞り(differential pumping aperture)(DPA)209を通って、排気された第2の中間真空室210に入る。排気された第1の中間真空室206と排気された第2の中間真空室210の間の十分に大きな真空差を達成することができるように、この絞りの長さは直径の2倍よりも大きいことが好ましい。
【0024】
真空室210は、第2のターボ・ポンプ212を使用して排気され、第2のターボ・ポンプ212は、好ましくは10-6ミリバール未満、より好ましくは10-7ミリバール未満の真空を維持する。イオン・ビームおよびごく少数の中性ガス分子が、中間真空室210から、第2のDPA213を通って、排気された最後の真空室214に入る。真空室214は、イオン・ポンプ216を使用して排気され、イオン・ポンプ216は、非常に質の高い、好ましくは1E−8ミリバールから5E−7ミリバールの範囲の真空を達成することができる。DPA213は一般に、直径1または2ミリメートル、長さ数ミリメートルの管である。
【0025】
排気された中間真空室214は、中間真空室のうち最も長い室であり、ビームが、最も質の高い真空環境内で大部分の時間を費やすことを可能にし、それにより、高エネルギー中性粒子が形成される機会がさらに減る。イオン・ガス・ビームは、真空室214を出、一般に直径1または2ミリメートルの最後のDPA217を通って試料室218に入る。処理の間、高出力ターボ・ポンプ220などの排気システムが、試料真空室218内を、好ましくは1×10-5ミリバール未満、より好ましくは1×10-6ミリバール未満、よりいっそう好ましくは約1×10-7ミリバール以下の真空に維持する。
【0026】
試料室218内の圧力は一般に、直前の室214内の圧力よりも高い。試料室218内の圧力は、前駆体ガスの使用、または加工物を挿入しもしくは取り出すために試料室を開いたときに表面に吸着したガスの脱離によって上昇することがある。加工物を挿入するために試料室218を大気に対して開くときに室214を密閉するための弁を含めることができる。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、プラズマ・ガス源202を相対圧力(P0)にセットする。プラズマ室201の圧力(P1)はP0よりも低いことが好ましい。中間真空室206の圧力(P2)がP1よりも低く、中間室の圧力(P3)がP2よりも低いとよりいっそう好ましい。ある種の実施形態では、処理条件に応じて、中間室214の圧力(P4)をP3よりも高くし、またはP3よりも低くすることができる。最後に、試料室218の圧力は、処理条件に基づいて、P4よりも高くしまたはP4よりも低くすることが好ましい。
【0028】
当業者は、集束レンズ、ビーム偏向器、ビーム・ブランカなどのイオン・ビーム・カラムの構成要素を、これらの異なる中間室のうちのどの中間室に配置してもよいことを容易に理解するであろう。最適なスポット・サイズは、最後のレンズと試料との距離が最小化されたときに達成されるため、最後の集束レンズは室214の底の近くに配置することが好ましい。
【0029】
図3は、本発明の方法に基づく誘導結合プラズマ(ICP)イオン・ビーム・カラム300の一実施形態の略図を示す。このシステムでは、前述の3つの真空室の代わりに、直列に配置された排気された2つの真空室306および308が使用される。イオンは、図2では管として概略的に示された出口絞り314を通ってプラズマ室201を出る。出口絞り314は、必要なイオン電流を通すのに十分な大きさの直径を有する。いくつかの実施形態ではこの直径が約2mmである。いくつかの実施形態では、プラズマをバイアスするために、この出口絞りが高電圧に電気的にバイアスされる。イオンは、排気された第1の中間真空室306に入る。中性原子も出口絞り314から拡散し、排気された第1の中間真空室306に入る。
【0030】
中間真空室306はポンプ322に取り付けられており、ポンプ322は、貴ガスを取り扱うことができ、室306の圧力を約10-5ミリバールから10-6ミリバールに維持することができる大容量ポンプであることが好ましい。次いで、イオン・ビームおよび一部の中性ガス分子が、真空室306から、DPA316を通って、排気された第2の中間真空室308に入る。排気された第2の中間真空室308は、イオン・ポンプ324を使用して排気される。室308は、中間真空室のうち最も長い室であり、ビームが、最も質の高い真空環境内で大部分の時間を費やすことを可能にし、それにより、高エネルギー中性粒子が形成される機会がさらに減る。イオン・ガス・ビームは、真空室308を出、最後のDPA318を通って試料室218に入る。上記の説明では、全体を通して、差動排気絞りという用語を使用したが、この用語が本発明を限定することは意図されていないことに留意されたい。DPAという用語は、コンダクタンス制限絞り、圧力制限絞りなどの多くの種類の絞りと相互に交換可能である。
【0031】
さらに、図3に示した実施形態では、中間真空室306および308と対応するそれぞれの出口絞りおよびポンプのセットを、図2に示した3つの室のうちの任意の2つ室の組合せと全く同じにすることができることにも留意されたい。プラズマ・ガス源202の圧力が最も高く、イオンが室を通り抜けるたびに圧力が低下することが好ましい。ある種の実施形態では、処理条件により、試料室218の圧力が中間室308の圧力よりも高い。
【0032】
図4は、プラズマ・イオン源を使用する集束イオン・ビーム・カラムでのイオン・ビーム処理を改良する一実施形態の流れ図である。ステップ402で、プラズマ室内のガスにエネルギーを供給してガス分子の一部をイオン化し、プラズマを生成する。プラズマ室に供給するガスの圧力は一般に非常に高いため、プラズマ室の圧力は一般に10-3ミリバールから1ミリバールの間になる。ステップ404で、イオン化された原子または分子を、引出し電極を使用してプラズマ室から引き出し、絞りを通して第1の真空室内へ引き入れる。このとき、一部の中性原子も、引出し絞りを通って第1の真空室内へ拡散する。引出し電極によって加速されないため、それらの中性原子のエネルギーは非常に低い。低エネルギーのそれらの中性原子は、第1の真空室内でランダムな方向へ拡散し、引出し電極によって生成されたイオン・カラムに沿って移動し続けることはないと考えられる。
【0033】
第1の真空室は、第1の真空室内の圧力が10-5ミリバールから10-6ミリバールの間の圧力に低下するように排気される。第1の真空室内の圧力を下げることによって、イオン・ビームが通り過ぎる必要がある中性ガス分子の数が減り、したがってイオン化された原子と中性分子とが衝突する可能性が低下する。第1の真空室は、好ましくはできるだけ短くなるように構成され、これにより、ステップ406で圧力制限絞りを通って第2の真空室へ入る前にイオンが中性分子と衝突する機会がさらに減る。この圧力制限絞りは、第2の室内の圧力をよりいっそう低下させることを可能にし、一般に、ターボ・ポンプを使用する場合には5×10-7ミリバールから1×10-7ミリバールの圧力、排気にイオン・ポンプを使用する場合にはよりいっそう低い例えば5×10-8ミリバールの圧力まで低下させることができる。
【0034】
2つ以上の真空室を使用する場合、条件ステップ408はステップ406を繰り返し、後続のそれぞれの真空室内の圧力をさらに低下させる。目的は、圧力をできるだけ低くし、高エネルギー中性粒子を生成する衝突に関与しうる中性分子の数を減らすことである。イオン・ビームが、中性分子との衝突が起こる可能性が最も低い最も低圧の環境内で最も長い時間を費やすことを可能にするため、最後の真空室は一般に最も低い圧力を有し、一般に、それよりも前のどの真空室よりも長い。
【0035】
ステップ410で、このビームを、圧力制限絞りを通して試料室に入れ、次いで、ステップ412で、試料室内において、このビームを使用して加工物を処理する。最後の真空室と試料室の間の圧力制限絞りは、最後の真空室内を依然として非常に低い圧力に維持しながら、試料室内の圧力をより高くすることを可能にする。このことは、前駆体ガスが使用されている場合に起こるであろう。上述の中間真空室のうちのどの真空室でイオンを集束させてもよいが、プローブを形成する最後の集束は、試料室に到達する前の最後の中間真空室で、試料のできるだけ近くで実行されることが好ましいことに留意されたい。
【0036】
加工物の処理が完了すればこの方法は完了である。
【0037】
本発明の実施形態は、先行技術の一般的なICPイオン・ビーム・システムにはない1つまたは複数の利点を提供することができる。全ての実施形態に共通する主たる利点は、イオン引出し領域と試料表面の間をイオン・ビーム・カラムに沿ってイオン・ビームが進むときに生成される中性粒子の数が減ることである。
【0038】
ICPイオン技術分野の技術者には理解されることだが、上で説明した多真空室システムは、イオン源から最小の距離で超高真空を達成することを可能にし、超高真空環境は、イオン・ビームがカラムを下って進むときにイオンが中性ガス分子と衝突する機会を減らすことによって、加工物に到達する「高エネルギー中性粒子」の数を減らす。
【0039】
ある種の実施形態では、上で説明した複数の真空室を、走査電子顕微鏡(SEM)/ICP−FIBシステムなどのデュアル・ビーム・システムで使用することができる。FIBによって生成される2次電子がSEM画像化を害することがあるため、このような構成では、中性粒子の生成を軽減することが特に望ましい。
【0040】
説明した発明は、誘導結合プラズマ源に限定されないことを当業者は理解するであろう。以上に説明した発明は、電子サイクロトロン共鳴(electron cyclotron resonance)(ECR)に基づくプラズマ源など、他のプラズマ源と一緒に使用することもできる。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態によれば、集束イオン・ビーム・システムが、少なくとも20,000ボルトにバイアスされたプラズマ室と、RF電気源によって励振されてプラズマをイオン化するアンテナと、イオン・ビーム中のイオンのエネルギー幅を狭める手段と、イオン化されたプラズマを引き出してビームにする引出し電極と、ビームを集束させる集束機構と、プラズマ室および真空ポンプに接続された排気された第1の真空室であり、プラズマ室内の圧力の1/5以下の圧力を有する排気された第1の真空室と、加工物を収容するための試料室であり、真空ポンプに接続された試料室と、排気された第1の真空室と試料室の間に直列に接続された少なくとも1つの追加の真空室であり、それぞれが、コンダクタンス制限絞りによって、排気された第1の真空室、試料室、または前記少なくとも1つの追加の真空室のうちの別の真空室に接続されており、直前の排気された室の圧力の1/10以下の圧力をそれぞれが有する少なくとも1つの追加の真空室とを備え、前記複数の真空室が、イオン・ビームと中性ガス粒子との衝突を減らし、それによって加工物に衝突する高エネルギー中性粒子の生成を低減させる。
【0042】
いくつかの実施形態では、直列に接続された前記少なくとも1つの追加の真空室の最後の真空室と試料室との間のコンダクタンス制限絞りの長さが、コンダクタンス制限絞りの直径の少なくとも2倍である。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの追加の真空室が2つの追加の真空室を含み、追加の第1の真空室が、排気された第2の真空室および追加の第2の真空室に接続され、追加の第2の真空室が、追加の第1の真空室および試料室に接続される。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態によれば、プラズマ・イオン源を使用したイオン・ビーム処理を改良する方法が、プラズマ室内においてプラズマを生成するステップと、プラズマ室からイオンを引き出して真空室に入れるステップであり、イオンのエネルギー幅が10eVよりも小さく、第1の真空室が真空ポンプに接続されており、第1の真空室の圧力がプラズマ室内の圧力の約1/10よりも低いステップと、イオンを、圧力制限絞りを通して第2の真空室に入れるステップであり、第2の真空室が真空ポンプに接続されており、第2の真空室の圧力が第1の真空室内の圧力の約1/10よりも低いステップと、イオン・ビームを加工物の表面に集束させるステップと、イオンを、圧力制限絞りを通して試料室に入れるステップであり、試料室内の圧力が第2の真空室内の圧力よりも高く、イオンを、加工物の表面の1ミクロン未満のスポットに集束させるステップとを含む。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態によれば、荷電粒子ビーム・システムが、プラズマ室と、RF電気源によって励振されてプラズマをイオン化するアンテナと、ビームを集束させる集束レンズと、プラズマ室および真空ポンプに接続された第1の中間室であり、プラズマ室内よりも低圧の第1の中間真空を収容するための第1の中間室と、加工物を収容するための試料室であり、真空ポンプに接続された試料室と、コンダクタンス制限絞りによって第1の中間室と試料室の間に直列に接続された少なくとも1つの追加の中間室であり、直前の室の圧力よりも低い圧力をそれぞれが有する少なくとも1つの追加の中間室とを備え、前記複数の中間室が、イオン・ビームと中性ガス粒子との衝突を減らし、それによって加工物に衝突する高エネルギー中性粒子の生成を低減させる。いくつかの実施形態では、試料室の圧力が最後の中間室の圧力よりも高い。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態によれば、デュアル・ビーム・システムが、プラズマ室と、プラズマ室および真空ポンプに接続された第1の中間室であり、プラズマ室内よりも低圧の第1の中間真空を収容するための第1の中間室と、加工物を収容するための試料室であり、真空ポンプに接続された試料室と、第1の中間室と試料室の間に直列に接続された少なくとも1つの追加の中間室とを備え、前記複数の中間室が、イオン・ビームと中性ガス粒子との衝突を減らし、それによって加工物に衝突する高エネルギー中性粒子の生成を低減させる。いくつかの実施形態では、プラズマ室の圧力が最も高く、後続の中間室がそれぞれ、直前の室よりも低い圧力を有する。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態によれば、荷電粒子ビーム・システムが、プラズマ源と、プラズマ室および真空ポンプに接続された第1の中間室であり、プラズマ室内の圧力よりも低い圧力を有する第1の中間真空を収容するための第1の中間室と、加工物を収容するための試料室であり、真空ポンプに接続された試料室と、第1の中間室と試料室の間に直列に接続された少なくとも1つの追加の中間室であり、ポンプにそれぞれ接続された少なくとも1つの追加の中間室とを備え、前記複数の中間室が、イオン・ビームと中性ガス粒子との衝突を減らし、それによって加工物に衝突する高エネルギー中性粒子の生成を低減させる。
【0047】
いくつかの実施形態では、第1の中間室の圧力が、前記少なくとも1つの追加の中間室の圧力よりも高く、前記少なくとも1つの追加の中間室がそれぞれ、直前の室よりも低い圧力を有する。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの追加の中間室がコンダクタンス制限絞りによって接続される。いくつかの実施形態では、プラズマ源が、電子サイクロトロン共鳴源を備える。
【0048】
本発明および本発明の利点を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に、さまざまな変更、置換および改変を加えることができることを理解すべきである。さらに、本出願の範囲が、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法およびステップの特定の実施形態に限定されることは意図されていない。当業者なら本発明の開示から容易に理解するように、本明細書に記載された対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行し、または実質的に同じ結果を達成する既存のまたは今後開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを、本発明に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、このようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを含むことが意図されている。
【符号の説明】
【0049】
200 集束イオン・ビーム・カラム
201 プラズマ室
204 流れ絞り
205 出口絞り
218 試料室
図1
図2
図3
図4