(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上下動作する針棒に装着された針と水平釜とが協働して縫い目を形成するための下糸を供給するボビンにおいて、下糸を巻き付ける糸巻軸の両端にフランジを有するボビン本体と、該ボビン本体のいずれか一方の前記フランジに装着する外フランジとからなり、該外フランジと前記ボビン本体のフランジとの間に前記下糸の糸端が収納される隙間が設けられ、前記隙間は、前記下糸の糸径と同等又は前記糸径よりも前記下糸を変形させることがない程度に小さく設定されてなること特徴とするボビン。
前記糸外れ防止手段は、前記外フランジ又は前記ボビン本体のフランジの少なくともいずれか一方から他方に向かって対向するように突出する突起部として形成されてなることを特徴とする請求項2に記載のボビン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、糸止めリングはボビン本体とは別部材としたものであり、この糸止めリングは、縫製作業時にはボビン本体から取り外さなくてはならず、作業性が極めて悪い上、縫製作業中に糸止めリングを紛失する可能性もある。特許文献2では、ボビンのフランジにV字状の切欠き部が形成されている。
【0008】
そのために、水平釜ミシンでは、上糸通過側に切欠き部が向いてしまうと、上糸に切欠き部が接触して、縫い調子不良や糸切れの原因となる。そのため、切欠きのあるフランジが上糸通過側と反対側に来るようにしなければならないが、内釜に取付ける際に糸の巻取り方向が正しくないと、やはり縫い調子不良や糸切れの原因となる。
【0009】
また、このような従来の糸を保持する方法では、糸を挟んで糸の形状を潰しながら、保持するものであった。こうした糸にストレスが加わった状態での保持は糸にとって好ましいものではなかった。
【0010】
特許文献3では、市販糸の糸コマであるので、そのままボビンケースの構成に当てはめることはできず、したがって、内釜に装着することはできない。
【0011】
そこで、本発明の目的(解決しようとする技術的課題)は、糸巻き軸に巻き付けられた下糸の端部を下糸の形状を潰すことなく、収納し易くした収納部を設け、且つミシンに装着するときには通常のボビンと全く変わらずに使用することができるボビンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意、研究を重ねた結果、請求項1の発明を、上下動作する針棒に装着された針と水平釜とが協働して縫い目を形成するための下糸を供給するボビンにおいて、下糸を巻き付ける糸巻軸の両端にフランジを有するボビン本体と、該ボビン本体のいずれか一方の前記フランジに装着する外フランジとからなり、該外フランジと前記ボビン本体のフランジとの間に前記下糸の糸端が収納される隙間が設けられ、前記隙間は、前記下糸の糸径と同等又は前記糸径よりも前記下糸を変形させることがない程度に小さく設定されてなるボビンとしたことにより、上記課題を解決した。
【0013】
請求項2の発明を、前記隙間には、収納された前記下糸の糸端が前記隙間から外れることを防止する糸外れ防止手段が設けられてなる請求項1に記載のボビンとしたことにより、上記課題を解決した。請求項3の発明を、前記糸外れ防止手段は、前記外フランジ又は前記ボビン本体のフランジの少なくともいずれか一方から他方に向かって対向するように突出する突起部として形成されてなる請求項2に記載のボビンとしたことにより、上記課題を解決した。また、前記突起部は、前記フランジと前記外フランジの両側から対向するように突出する構成としてもかまわない。
【0014】
請求項4の発明を、前記突起部は前記外フランジに形成されてなる請求項3に記載のボビンとしたことにより、上記課題を解決した。請求項5の発明を、前記突起部は前記ボビン本体のフランジに形成されてなる請求項3に記載のボビンとしたことにより、上記課題を解決した。
【0015】
請求項6の発明を、前記突起部は、前記ボビン本体のフランジと、前記外フランジの両方に形成されてなる請求項3に記載のボビンとしたことにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明では、外フランジと、ボビン本体のフランジとの間に下糸の糸端が収納される隙間が設けられたことにより、該隙間に糸端を挿入することにより、下糸の形状を潰すことなく収納して保持することを可能にしている。従来のような糸を潰して保持すると、下糸は形状が変形し、下糸の取扱いが煩雑となるが、本願発明では下糸の形状は変形することがないので、取扱いが容易となる。さらに、ボビンにおいて、ボビン本体のフランジと、外フランジとの間に下糸の糸径と同等又は前記糸径が大なる隙間が設けられる構成としたものである。ボビンから引き出された下糸の端部を隙間に挿入したときに、隙間の間隔寸法を糸径と同等又は小さく設定しているので、下糸は、隙間内に収納されたときに、フランジと外フランジとの両収納側面にて、略挟持状態になり、安定した収納状態にできる。特に、隙間を下糸の糸径よりも僅かに小さく設定することで、下糸には隙間内で適当に弱い圧力を受け、下糸を無理なく隙間に挿入することができ、且つ該隙間内に挿入された状態で下糸が固定される。これによって、下糸は変形することなく、該下糸はより一層、安定した収納状態にすることができる。
【0017】
請求項2の発明では、前記隙間には、収納された前記下糸の糸端が前記隙間から外れることを防止する糸外れ防止手段が設けられたことにより、前記隙間に挿入された下糸糸端が前記隙間から外れることを防止できる。また、前記隙間は、外フランジと第2フランジとの間に設けられる構成としたことにより、前記隙間を容易に形成することができると共に、ボビンの構造も簡単にできる。
【0018】
さらに、本発明は、従来の糸巻の糸端の外れ防止構造に見られるような、フランジ部分に切欠を形成し、該切欠に糸端を係止するものではなく、隙間に糸端を挿入して糸端を保持しようとするものである。したがって、従来の糸巻では、これをミシン等に装着したときに、切欠に糸端が不用意に引っ掛かり、糸端を切断してしまい、よって、このようなことがミシン縫製作業の障害となっていた。
【0019】
また、本発明では、外フランジと第2フランジとの隙間に糸端を挿入して保持するものであり、隙間には下糸が引っ掛かることがなく、これによって下糸が不用意に切断されるという不具合を無くすことができ、糸を無駄に使用してしまうという種々の問題点を無くすことができた。
【0020】
請求項3の発明では、外フランジ又はボビン本体のフランジの少なくともいずれか一方に突起部を形成するのみで、糸外れ防止手段の構成を極めて簡単に構成することができる。そして、下糸の糸端を隙間によって保持するときには、前記糸端を隙間に挿入し、突起部を乗り越えるようにして隙間の奥側に収納するのみで、突起部が糸端を隙間の奥に収納される状態にできる。さらに、隙間内に収納された下糸は、前記突起部によって押し留められ、糸端が隙間から外れる出ることを防止し、安定した糸端の保持ができる。
【0021】
請求項4の発明では、突起部は外フランジ側に形成されることにより、突起部が形成されないボビン本体側の形状が簡単になり、製造価格を低く抑えることができる。特に、外フランジを軟質性の合成樹脂にて形成すれば、外フランジ全体が変形し易くなり、下糸を隙間内に挿入する際において、下糸の突起部を乗り越える動作を無理なく円滑にできる。
【0022】
請求項5の発明では、突起部はボビン本体のフランジに形成される構成としたことにより、突起部が形成されない外フランジの形状が簡単にできる。その他の効果は請求項4と同等である。請求項6の発明では、外フランジと第2フランジの両方に突起部が形成されることにより、突起部は、外フランジと第2フランジとの両方に向かって突出する構成にでき、これによって、隙間に収納された糸端の保持をより一層、確実なものにすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明は、
図1乃至
図3等に示すように、ボビン本体1と、外フランジ2と、糸外れ防止手段3と、隙間cと、隙間形成手段4と、接合手段5等とから構成される。そして、ボビン本体1は、フランジと糸巻き軸13とから構成される。前記フランジは、2つ存在し、一方を第1フランジ11と称し、他方を第2フランジ12と称する。
【0027】
糸巻き軸13は、円筒状に形成され、該糸巻き軸13の軸方向の一方側端部に第1フランジ11が形成され、他方側端部に第2フランジ12が形成されている〔
図1(A),
図2(A),(B)及び
図3(A)参照〕。
【0028】
本発明におけるボビンは、ミシンの水平釜に設置する状態で、上下方向が決まっており、ボビン本体1の糸巻き軸13の軸方向を垂直方向とした場合において、第1フランジ11が上方側であり、第2フランジ12が下方側となる〔
図1(A)参照〕。つまり、ボビンの第2フランジ12は、水平釜の内釜の底部に設置されることになる。
【0029】
第1フランジ11及び第2フランジ12は、円板形状に形成されており、一方の第1フランジ11は、通常のフランジとして使用されるものであり、糸巻取用孔11a等が形成されている。他方の第2フランジ12は、後述する外フランジ2が装着され、該外フランジ2と共に隙間cを形成するものである。
【0030】
第2フランジ12の外側の面(糸巻き軸13と連続する面に対する反対側の面)は、収納側面12aと称する。そして、該収納側面12aに、前記外フランジ2が装着され、該外フランジ2と共に、下糸nの糸端ntが収納される隙間cを構成する〔
図1(A),(B),(D)参照〕。
【0031】
第2フランジ12と、外フランジ2とが接合することによって、前記第1フランジ11と略同等形状のフランジが構成されることになる〔
図1(A),
図2(D)参照〕。ボビン本体1には、前記第1フランジ11と前記第2フランジ12と前記糸巻き軸13とを軸方向に貫通する貫通孔14が形成されている。
【0032】
第2フランジ12、外フランジ2とは、後述する接合手段5を介して接合されるものであって、その両方には該接合手段5を構成する部分が設けられている。ボビン本体1は、プラスチック等の合成樹脂にて形成されたものである。
【0033】
外フランジ2は、円板状に形成された円板部21の一方の面が収納側面21aである。外フランジ2は、プラスチック等の合成樹脂製にて形成されたものであり〔
図2(C)参照〕、特に微小の変形が可能となる軟質性の材質が好適である。
【0034】
外フランジ2の収納側面21aは、前記ボビン本体1の第2フランジ12に外フランジ2が装着された状態において、前記第2フランジ12の収納側面12aと対向する面である。前記収納側面21aは、前記収納側面12aと同様に平坦状の面として形成されている。
【0035】
また、外フランジ2の収納側面21aと反対側の面となる外側の面は、外側面21bと称する。該外側面21bは扁平球面状に形成されている。外フランジ2の直径中心位置には貫通孔22が形成されている。該貫通孔22は、外フランジ2が前記ボビン本体1に装着された状態で、該ボビン本体1の貫通孔14と軸芯が共に一致するようになっている。
【0036】
外フランジ2は、前記ボビン本体1の第2フランジ12に対して隙間cを設けて装着される。該隙間cは、第2フランジ12の収納側面12aと、外フランジ2の収納側面12a,21a同士が対向して接合されるときの間隔のことである(
図3参照)。そして、両収納側面12a,21a同士の間隔寸法をδとすると、該間隔寸法δは前記両収納側面12a,21aのいずれ部分においても同一となるように設定される。
【0037】
ボビン本体1の第2フランジ12と、外フランジ2によって構成される隙間cは、糸巻き軸13に巻き付けられた下糸nの糸端ntを収納し、下糸nのボビンからのほつれ(外れ)を防止する役目をなす〔
図4(E),(F),
図7,
図8等参照〕。
【0038】
前記隙間cには、糸外れ防止手段3が設けられている。該糸外れ防止手段3は、前記隙間cに収納された前記下糸nの糸端ntが前記隙間cから外れて、第2フランジ12と外フランジ2の外部に飛び出し、下糸nが簡単にボビンのボビン本体1から解き放されてしまうことを防止する役目をなすものである。
【0039】
前記糸外れ防止手段3には、複数の実施形態が存在する。まず、第1実施形態では、前記外フランジ2又は前記ボビン本体1のフランジの少なくともいずれか一方から他方に向かって対向するように突出する突起部31が形成されたものである〔
図1,
図2(C),(E)参照〕。
【0040】
突起部31は、外フランジ2又は前記第2フランジ12の少なくともいずれか一方に形成される。具体的には、外フランジ2又は第1フランジ11の外周側で且つ他方側に向かって突出するように形成されたものである。第1実施形態には、3のタイプが存在する。
【0041】
第1タイプでは突起部31が外フランジ2に形成されるものである〔
図1,
図2(C),(E),
図3等参照〕。突起部31は、略半球形状の膨出状突起であり、また極めて小さい突起である。そして、突起部31は、外フランジ2の収納側面21aの外周端縁寄りの位置で且つ円周方向に沿って等間隔に複数個が形成される〔
図1(C),
図2(C),(E)参照〕。具体的には、突起部31は6個形成されている〔
図1(C)参照〕。
【0042】
外フランジ2の収納側面21aから突起部31の頂部までの高さ寸法は、隙間cの間隔寸法δと同一又は略同一も含むものである〔
図1(D)参照〕。つまり、突起部31の先端は、外フランジ2と対向する第2フランジ12の収納側面12aに当接又は近接する程度である。
【0043】
また、突起部31が収納側面12aに近接する場合には、突起部31の先端と収納側面12aとの間隔は、下糸nの糸径dよりも小さく設定される。つまり、下糸nの糸端ntが力をかけない限り、隙間cから簡単に外れないようにするためである。
【0044】
突起部31とした糸外れ防止手段3の第1実施形態における下糸nの固定は、まず、ボビンから糸巻き軸13に巻き付けられた下糸nの糸端ntを引き出して、該糸端ntを第2フランジ12と外フランジ2との間に形成された隙間cに挿入する〔
図4(C),(D)参照〕。
【0045】
このとき、下糸nの糸端ntに引張力を掛けながら、隙間cの奥側に向かって糸端ntを移動させるようにすることで、該糸端ntは、隙間c内に形成された突起部31を乗り越えて隙間cの奥側に入り込むことができる〔
図4(E),(F),
図7参照〕。
【0046】
このように、下糸nの糸端ntが突起部31を乗り越えることが出来やすいようにするために、突起部31は扁平球面形状とし〔
図1(D)参照〕、また外フランジ2自体も軟質性の合成樹脂にて形成されることが好ましい。これによって、外フランジ2は、僅かに撓み変形することができ、糸端ntが突起部31を乗り越える動作が容易にできる。
【0047】
第1実施形態の第2タイプでは、前記突起部31が第2フランジ12の収納側面12aに形成されるものである〔
図9(A)参照〕。第2タイプの突起部31の形状は、第1タイプと同一であり、第2フランジ12の収納側面12aに形成される構成も、第1タイプと同様である。
【0048】
次に、第1実施形態の第3タイプでは、突起部31は、外フランジ2と第2フランジ12との両方に形成されるものである〔
図9(B)参照〕。この第3タイプでは、外フランジ2と、第2フランジ12のそれぞれに、同一個数の突起部31が形成される。
【0049】
また、外フランジ2と第2フランジ12のそれぞれの収納側面12a,21aにおいて、同一直径の円周上に突起部31が等間隔に配置される。そして、外フランジ2と第2フランジ12の両方の突起部31,31同士は同一位置となり、その先端同士が当接し合うように配置形成される。
【0050】
また、第3タイプでは、外フランジ2と第2フランジ12に形成される突起部31は、上記のように規則性を有するものとしたが、必ずしも、このような構成にする必要は無く、突起部31の形成位置を適宜に決定しても構わない。
【0051】
次に、糸外れ防止手段3の第2実施形態としては、前記隙間cの間隔寸法δは、本発明のボビンの糸巻き軸1に巻き付けられた下糸nの糸径dと同等、又は隙間cの間隔寸法δが下糸nの糸径dよりも小さく設定されたものである〔
図9(D),(E)参照〕。
すなわち、
である。ここで、糸径dは、糸の直径寸法がdであることを意味する。
【0052】
下糸nを、隙間cに収納したときに、下糸nを変形させることなく収納するため、隙間cの間隔寸法δは、下糸nの糸径dよりも僅かに小さい程度とすることが好適である。具体的には、下糸nの糸端ntが隙間c内に挿入された状態において、両収納側面12a,21aに挟持された状態で、下糸nが両収納側面12a,21aから軽い挟持圧力を受け、隙間cの内部で留まるようにされることが好ましい。
【0053】
下糸nは、両収納側面12a,21aによる隙間cに挿入するようにして、収納することにより、下糸nの糸端ntを安定した収納状態にすることができる〔
図9(D),(E)参照〕。つまり、この第2実施形態の糸外れ防止手段3では、隙間cから糸端ntに僅かな圧力をかけて、隙間c内に留めておく手段としたものである〔
図9(E)参照〕。
【0054】
次に、隙間形成手段4は、前記外フランジ2と前記第2フランジ12との間に、前記隙間cを形成する手段であり、且つ該隙間cの間隔寸法δを設定するものである〔
図1(B),(D)参照〕。隙間形成手段4の第1タイプとしては、段差膨出部41としたものである。
【0055】
該段差膨出部41は、前記外フランジ2又は前記第2フランジ12のいずれか一方の直径中心の貫通孔22の周縁箇所で、その円周に沿って環状且つ段差状に形成された部位である〔
図1(B),
図2(C),
図3,
図9(D)等参照〕。以下、段差膨出部41は、外フランジ2側に形成されたものとして説明する。
【0056】
段差膨出部41の高さ寸法は、収納側面21aを基準にして、前記隙間cの間隔寸法δと同一である〔
図1(B)参照〕。段差膨出部41によって、第2フランジ12と外フランジ2の両収納側面12a,21aとの間に間隔寸法δとした隙間cを構成する。
【0057】
また、段差膨出部41の変形例として、前記収納側面21aの直径中心位置を基準にして、点対称となるように、二つ或いは複数の部分膨出部42,42,…が形成されたものである〔
図2(E)参照〕。該部分膨出部42は、その頂面が平坦面であり、具体的には、略半円形状の膨出部としたものである。また、その高さ寸法はδである。
【0058】
さらに、隙間形成手段4の第2タイプとしては、前記突起部31が糸外れ防止手段3として使用されると共に、隙間形成手段4としても使用されるものである〔
図9(C)参照〕。つまり、突起部31の高さを、隙間cの間隔寸法δとしたものである。
【0059】
本発明では、前記突起部31とした糸外れ防止手段3と、前記隙間形成手段4は、共に使用されることが多い。しかし、隙間形成手段4として突起部31が使用されるときには、隙間形成手段4(段差膨出部41,部分膨出部42)は設けられないこともある〔
図9(C)参照〕。
【0060】
さらに、本発明において、第2実施形態が使用される場合では、第2フランジ12と外フランジ2には、突起部31が存在せず、ボビンには、隙間cを構成する隙間形成手段4のみを設けることになる〔
図9(D)参照〕。
【0061】
次に、前記ボビン本体1の第2フランジ12と、前記外フランジ2とは、接合手段5によって分離自在に接合される構成となっている。該接合手段5の第1タイプとしては、前記外フランジ2側に嵌合突起51が形成され、前記第2フランジ12側に前記嵌合突起51と嵌合する被嵌合部52が形成されたものが存在する。
【0062】
具体的には、外フランジ2の収納側面21a側で且つ貫通孔22の周縁で直径方向両端箇所に鉤状の嵌合突片51a,51aを有する2個の嵌合突起51,51が形成されている〔
図2(B)参照〕。また、ボビン本体1の第2フランジ12側には、前記嵌合突起51が嵌合する被嵌合部52,52が形成されている。
【0063】
被嵌合部52,52は、第2フランジ12の貫通孔14の周縁に形成され、軸方向に突出する挿入筒状部15に形成されている〔
図2(B)参照〕。そして、ボビン本体1と外フランジ2とを接合するには、第2フランジ12の挿入筒状部15を外フランジ2の貫通孔22に挿入すると共に、外フランジ2の嵌合突起51,51をボビン本体1側の被嵌合部52,52に嵌合させて、嵌合固定を行うものである(
図3参照)。
【0064】
接合手段5の第2タイプとして、前記外フランジ2側に軸方向に突出する円筒状のカラー部53が形成されたものである。該カラー部53は、前記第2フランジ12の直径中心の貫通孔14に圧入固定されて、接合固定するものである〔
図9(D)参照〕。
【0065】
次に、本発明において、ボビンに巻き付けられた下糸nの糸端ntを、前記隙間cに収納する行程について
図4乃至
図8に基づいて説明する。また、この説明では、糸外れ防止手段3として、突起部31が使用されたものとする。
【0066】
まず、ボビンから下糸nの糸端ntを適当な量だけ引き出す〔
図4(A),(B)参照〕。次に、指先にて下糸nを第2フランジ12と、外フランジ2の外周縁に押さえつつ、下糸nの糸端ntを隙間cに押し込むようにして挿入する〔
図4(C),(D),
図6等参照〕。次に、下糸nの糸端ntを少し強く引っ張り、隙間cに挿入した糸端ntが突起部31を乗り越えるようにして、糸端ntを隙間cの奥側に送り込む〔
図4(E),(F),
図7等参照〕。
【0067】
そして、隙間cに挿入した下糸nの糸端ntをさらに引っ張って2個以上の突起部31を乗り越えるようにして、隙間cの奥側に下糸nの糸端ntを配置する。これによって、隙間cの奥側に入り込んだ糸端ntは。複数の突起部31にて隙間c内に閉じ込められた状態となり、突起部31によって、隙間cの外部に糸端ntが外れだすことを防止することができる。
【0068】
また、本発明の第2実施形態〔
図9(D),(E)参照〕とした場合には、下糸nの糸端ntが隙間cに挿入された状態で、糸端ntは両収納側面12a,21aに挟持状態に固定されることになり、下糸nの糸端ntを安定した状態に収納することができる〔
図9(E)参照〕。