(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1金属製表面材は、ドアの室外側面部を形成する主面部と、ドアの上面、下面、側面の室外側部位を形成する四周の折曲片と、を備え、前記四周の折曲片が当該第1金属製表面材の前記周縁部を形成しており、
前記第2金属製表面材は、ドアの室内側面部を形成する主面部と、ドアの上面、下面、側面の室内側部位を形成する四周の折曲片と、を備え、前記四周の折曲片が当該第2金属製表面材の前記周縁部を形成しており、
前記四周枠は、室外側見付面と、室内側見付面と、上面と、下面と、側面と、を備え、
前記第1金属表面材の主面部と前記四周枠の室外側見付面との間、前記第2金属表面材の主面部と前記四周枠の室内側見付面との間には前記第2熱膨張耐火部材が設けてあり、
前記第1金属表面材の四周の折曲片及び前記第2金属表面材の四周の折曲片と、前記四周枠の上面、下面、側面と、の間には前記第1熱膨張耐火部材が設けてある、
請求項1に記載の遮炎断熱スチールドア。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、スチールドアの断熱構造(上記断熱部材の有無、上記芯材の固定する接着剤の有無等)に影響を受けにくい防火性能を備えたスチールドアを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が採用した技術手段は、
金属製四周枠と、
金属製四周枠に固定された第1金属製表面材及び第2金属製表面材と、
第1金属製表面材と第2金属製表面材との間に充填された芯材と、
を備えたスチールドアにおいて、
前記第1金属製表面材の周縁部及び前記第2金属製表面材の周縁部と、前記金属製四周枠と、の間には、熱膨張耐火部材が設けてある、
遮炎断熱スチールドア、である。
【0008】
1つの態様では、
前記第1金属製表面材は、ドアの室外側面部を形成する主面部と、ドアの上面、下面、側面の室外側部位を形成する四周の折曲片と、を備え、前記四周の折曲片が当該第1金属製表面材の前記周縁部を形成しており、
前記第2金属製表面材は、ドアの室内側面部を形成する主面部と、ドアの上面、下面、側面の室内側部位を形成する四周の折曲片と、を備え、前記四周の折曲片が当該第2金属製表面材の前記周縁部を形成しており、
前記四周枠は、室外側見付面と、室内側見付面と、上面と、下面と、側面と、を備え、
前記第1金属表面材の主面部と前記四周枠の室外側見付面との間、前記第2金属表面材の主面部と前記四周枠の室内側見付面との間には断熱部材が設けてあり、
前記第1金属表面材の四周の折曲片及び前記第2金属表面材の四周の折曲片と、前記四周枠の上面、下面、側面と、の間には熱膨張耐火部材が設けてある。
前記断熱部材は、金属よりも熱伝導性の低い材料から形成されるいかなる部材でもよく、従来のスチールドアに用いられている樹脂製等の断熱部材を用いてもよいが、後述する実施形態では、前記断熱部材は、熱膨張耐火部材から形成されている。
【0009】
1つの態様では、前記熱膨張耐火部材は、前記第1金属製表面材の周縁部及び前記第2金属製表面材の周縁部と、前記金属製四周枠と、の間に挟まれた状態で止着部材(リベット、螺子等)によって固定されている。
【0010】
1つの態様では、前記遮炎断熱スチールドアは窓部を備えており、
前記第1金属表面材及び前記第2金属表面材には前記窓部に対応して開口が形成されていると共に、前記第1金属表面材・前記第2金属表面材間には窓部用の金属製四周枠が設けてあり、
前記第1金属製表面材の開口周縁部及び前記第2金属製表面材の開口周縁部と、前記窓部用の金属製四周枠と、の間には、熱膨張耐火部材が設けてある。
【0011】
1つの態様では、
前記第1金属表面材は上側折曲片を含み、
前記第2金属表面材は上側折曲片を含み、
前記四周枠の上面には、少なくとも1つの孔部が形成されており、前記孔部を挟むように2列の熱膨張耐火部材が設けてあり、
一方の熱膨張耐火部材は前記第1金属表面材の上側折曲片に固定されており、
他方の熱膨張耐火部材は前記第2金属表面材の上側折曲片に固定されている。
1つの態様では、前記孔部は所定温度(例えば、80℃〜100℃)で溶融する熱溶融材料(例えば、ホットメルト)によって閉塞されており、常時は孔部は閉鎖されており、火災時の熱で熱溶融材料が溶けて孔部が露出する。なお、スチールドアが雨水の影響を受けない場所に設置される場合には、孔部を常時開口状としてもよい。
本発明が採用した他の技術手段は、
上記遮炎断熱スチールドアと、躯体側のドア枠と、を備えたドア装置であって、
前記遮炎断熱スチールドアの上端側かつ前記孔部よりも室内側の部位、当該部位に対向するドア枠の部位(上枠、ないし、戸尻側縦枠、戸先側縦枠の上方部位)、のいずれか一方あるいは両方の部位には、熱膨張耐火部材が設けてある、ドア装置、である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るスチールドアでは、第1金属製表面材の周縁部及び第2金属製表面材の周縁部と、金属製四周枠と、の間には、熱膨張耐火部材が設けてあり、火災時の熱で熱膨張耐火部材が膨張して前記金属製表面材の周縁部を閉塞するので、火災時の熱によってスチールドア内部の可燃性物質が溶融、さらには気化した場合であっても、気化したガスや溶融した樹脂が前記金属製表面材の裏面を伝って、前記金属製表面材と前記金属製四周枠との隙間からスチールドアの外部に漏れることを可及的に防止する。
したがって、金属製四周枠と金属製表面材間に断熱材(可燃性であってもよい)を設けることができ、断熱性と防火性の両方を備えたスチールドアを提供することができる。
【0013】
四周枠の上面に少なくとも1つの孔部が形成されており、前記孔部をホットメルトによって閉塞したものでは、上記効果に加えて、スチールドア内部で発生したガスの一部を前記孔部からスチールドア外部に排出することができる。
火災時には、熱膨張耐火部材が膨張するよりも先にホットメルトが溶融して孔部から初期に発生したガスが排出され、膨張した熱膨張耐火部材によって前記孔部が塞がれる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1はスチールドア1を室内外から見た正面図、
図2はスチールドア1の一部省略縦断面図、
図3はスチールドア1の横断面図である。
図4〜
図6は、それぞれ
図2の上方部位、下方部位、高さ方向中間部位(窓部)の部分拡大図、
図7〜
図9は、それぞれ
図3の戸尻側部位、戸先側部位、幅方向中間部位(窓部)の部分拡大図である。
【0016】
スチールドア1は、正面視長方形状で所定の見込寸法(厚み)を有するパネル体であり、室外側面部、室内側面部、戸先側端面、戸尻側端面、上面部、下面部を有する。図示の態様では、スチールドア1の幅方向中央に位置して複層防火ガラス2を嵌め込むことで窓部が形成されている。スチールドア1の室内外の面部の戸先側には取手1aが設けてあり、スチールドア1の室外側面部の戸先側には鍵孔1bが設けてある。スチールドア1の戸尻側端面には丁番1cが設けてある。スチールドア1の室内側面部の戸尻側上方部位にはドアクローザ1dが設けてある。スチールドア1の戸先側端面には高さ方向に亘って戸先エッジ部材1eが設けてある。
【0017】
スチールドア1は、四周状に設けられた金属製枠体と、金属製枠体に対して装着された金属製の表面板材と、を備えている。
図2、
図3に示すように、四周状の金属製枠体は、水平状に延びる長尺状の上枠材3、下枠材4と、垂直状に延びる長尺状の左右の縦枠材5、6と、からなる。表面板材は、スチールドア1の室外側部位を形成する第1表面材7と、スチールドア1の室内側部位を形成する第2表面材8と、からなる。
【0018】
図4に示すように、断面視において、上枠材3は、スチールドア1の見込方向(厚さ方向)に延びる上辺30と、上辺30の両端部からスチールドア1の見付面に沿って対向状に垂下する室外側見付辺31及び室内側見付辺32と、から断面視コ字形状に形成されている。
【0019】
図5に示すように、断面視において、下枠材4は、スチールドア1の見込方向(厚さ方向)に延びる下辺40と、下辺40の両端部からスチールドア1の見付面に沿って対向状に垂直に立ち上がる室外側見付辺41、室内側見付辺42と、から断面視コ字形状に形成されている。
【0020】
図7に示すように、断面視において、戸尻側の縦枠材5は、スチールドア1の見込方向(厚さ方向)に延びる側辺50と、側辺の両端部からスチールドア1の見付面に沿って対向状に戸先側に向かって(側辺50に対して垂直状に)延びる室外側見付辺51、室内側見付辺52と、から断面視コ字形状に形成されている。
【0021】
図8に示すように、断面視において、戸先側の縦枠材6は、スチールドア1の見込方向(厚さ方向)に延びる側辺60と、側辺60の両端部からスチールドア1の見付面に沿って対向状に戸尻側に向かって(側辺60に対して垂直状に)延びる室外側見付辺61、室内側見付辺62と、から断面視コ字形状に形成されている。
【0022】
本実施形態では、
図3、
図8に示すように、縦枠材6に対して縦枠材6´が連結(例えば、溶接)されている。縦枠材6´は、断面視において、スチールドア1の見込方向(厚さ方向)に延びる側辺60´と、側辺60´の両端部からスチールドア1の見付面に沿って対向状に戸先側に向かって(側辺60´に対して垂直状に)延びる室外側見付辺61´、室内側見付辺62´と、から断面視コ字形状に形成されている。縦枠材6の室外側見付辺61、縦枠材6´の室外側見付辺61´の先端と、縦枠材6の室内側見付辺62、縦枠材6´の室内側見付辺62´の先端と、を溶接することで断面視長方形状となっている。1つの態様では、縦枠材6´は、縦枠材6と同じ高さ寸法を備えているが、少なくとも、スチールドア1の内部空間の戸先側部位に設けられる錠装置の高さ位置に対応して縦枠材6に固定されており、錠装置が取り付けられる高さ寸法を有していればよい。
【0023】
図4、
図5、
図7、
図8に示すように、第1表面材7は、スチールドア1の室外側面部を形成する主面部70と、主面部70の四周縁から当該主面部70に対して垂直状に延びる水平状の上側折曲片71及び下側折曲片72、当該主面部70に対して垂直状に室内側へ向かって延びる垂直状の戸尻側折曲片73及び戸先側折曲片74と、からなる。同様に、第2表面材8は、スチールドア1の室内側面部を形成する主面部80と、主面部80の四周縁から当該主面部80に対して垂直状に延びる水平状の上側折曲片81及び下側折曲片82、当該主面部80に対して垂直状に室外側に向かって延びる垂直状の戸尻側折曲片83及び戸先側折曲片84と、からなる。
【0024】
四周状の金属枠体に第1表面材7及び第2表面材8を装着した状態において、第1表面材7及び第2表面材8の上側折曲片71、81がスチールドア1の上面部を形成し、第1表面材7及び第2表面材8の下側折曲片72、82がスチールドア1の下面部を形成し、第1表面材7及び第2表面材8の戸尻側折曲片73、83がスチールドア1の戸尻側端面を形成し、第1表面材7及び第2表面材8の戸先側折曲片74、84が扉体の戸先側端面を形成する。
【0025】
図4、
図10、
図11に示すように、上枠材3の室外側見付辺31と第1表面材7の主面部70の上方部位との間、上枠材3の室内側見付辺32と第2表面材8の主面部80の上方部位との間には、スチールドア1の幅方向に亘って長尺状の熱膨張耐火部材9A、9Bが設けてある。上枠材3の上辺30と第1表面材7及び第2表面材8の上側折曲片71、上側折曲片81との間には、上側折曲片71、上側折曲片81の先端側に位置して、スチールドア1の幅方向に亘って長尺状の熱膨張耐火部材9C、9Dが設けてある。上枠材3の上辺30に接触する熱膨張耐火部材9C、9Dは、上側折曲片71、上側折曲片81にそれぞれ接触するように2列に亘って設けてある。上側折曲片71と上辺30が熱膨張耐火部材9Cを挟んだ状態で、上側折曲片71と上辺30がリベットRで固定されており、上側折曲片81と上辺30が熱膨張耐火部材9Dを挟んだ状態で、上側折曲片81と上辺30がリベットRで固定されている。
【0026】
上側折曲片71と上側折曲片81との先端間及び熱膨張耐火部材9C、9D間には隙間が形成されており、上枠材3の上辺30には、当該隙間に位置して、スチールドア1の幅方向に亘って複数の孔部(長孔でもよい)300が形成されている。そして、孔部300及び上記隙間を塞ぐように、所定の温度で溶融する材料として例示するホットメルト10が充填されている。上側折曲片81の上面の室内側部位にも熱膨張耐火部材9Eが設けてある。孔部300を塞ぐ熱溶融性材料は、所定温度(例えば、80℃〜100℃)で溶融する材料であれば、ホットメルト以外の樹脂製材料であってもよい。なお、スチールドア1が雨水の影響を受けない場所に設置されている場合には、孔部300を常時開口させておいてもよい。
【0027】
図4中の参照番号11はドアクローザライナーであり、ドアクローザライナー11は、上枠材3に対して固定されており、第2表面材8の主面部80においてドアクローザ1dが取り付けられる部位を内側から補強している。
【0028】
図5に示すように、下枠材4の室外側見付辺41と第1表面材7の主面部70の下方部位との間、下枠材4の室内側見付辺42と第2表面材8の主面部80の下方部位との間には、スチールドア1の幅方向に亘って長尺状の熱膨張耐火部材9F、9Gが設けてある。下枠材4の下辺40と第1表面材7及び第2表面材8の下側折曲片72、下側折曲片82との間には、下側折曲片72、下側折曲片82の先端側に位置して、スチールドア1の幅方向に亘って長尺状の熱膨張耐火部材9H、9Iが設けてある。
【0029】
下枠材4の下辺40に接触する熱膨張耐火部材9H、9Iは、下側折曲片72、下側折曲片82にそれぞれ接触するように2列に亘って設けてある。下側折曲片72と下辺40が熱膨張耐火部材9Hを挟んだ状態で、下側折曲片72と下辺40がリベットRで固定されており、下側折曲片82と下辺40が熱膨張耐火部材9Iを挟んだ状態で、下側折曲片82と下辺40がリベットRで固定されている。
【0030】
下側折曲片72と下側折曲片82との先端間には隙間が形成されており、下枠材4の下辺40にはスチールドア1の幅方向に亘って複数の孔部(長孔でもよい)400が形成されている。
【0031】
図7に示すように、縦枠材5の室外側見付辺51と第1表面材7の主面部70の戸尻側部位との間、縦枠材5の室内側見付辺52と第2表面材8の主面部80の戸尻側部位との間には、スチールドア1の高さ方向に亘って長尺状の熱膨張耐火部材9J、9Kが設けてある。縦枠材5の側辺50と第1表面材7及び第2表面材8の戸尻側折曲片73、戸尻側折曲片83との間には、戸尻側折曲片73、戸尻側折曲片83の先端側に位置して、スチールドア1の高さ方向に亘って長尺状の熱膨張耐火部材9Lが設けてある。
【0032】
縦枠材5の側辺50に接触する熱膨張耐火部材9Lは、上辺30、下辺40に設けられる熱膨張耐火部材9C、9D、9H、9Iよりも幅広であり、戸尻側折曲片73、戸尻側折曲片83の先端間に跨るように設けてある。戸尻側折曲片73と側辺50が熱膨張耐火部材9Lを挟んだ状態で、戸尻側折曲片73と側辺50がリベットRで固定されており、戸尻側折曲片83と側辺50が熱膨張耐火部材9Lを挟んだ状態で、戸尻側折曲片83と側辺50がリベットRで固定されている。
【0033】
図8に示すように、縦枠材6の室外側見付辺61及び縦枠材6´の室外側見付辺61´と第1表面材7の主面部70の戸先側部位との間、縦枠材6の室内側見付辺62及び縦枠材6´の室内側見付辺62´と第2表面材8の主面部80の戸先側部位との間には、スチールドア1の高さ方向に亘って長尺状の熱膨張耐火部材9M、9Nが設けてある。縦枠材6の側辺60と第1表面材7及び第2表面材8の戸先側折曲片74、戸先側折曲片84との間には、戸先側折曲片74、戸先側折曲片84の先端側に位置して、スチールドア1の高さ方向に亘って長尺状の熱膨張耐火部材9Oが設けてある。
【0034】
縦枠材6の側辺60に接触する熱膨張耐火部材9Oは、上辺30、下辺40に設けられる熱膨張耐火部材9C、9D、9H、9Iよりも幅広であり、戸先側折曲片74、戸先側折曲片84の先端間に跨るように設けてある。戸先側折曲片74と側辺60が熱膨張耐火部材9Oを挟んだ状態で、戸先側折曲片74と側辺60がリベットRで固定されており、戸先側折曲片84と側辺60が熱膨張耐火部材9Oを挟んだ状態で、戸先側折曲片84と側辺60がリベットRで固定されている。
【0035】
スチールドア1の戸先側端面には、当該戸先側端面を覆うように、戸先側エッジ部材1eが螺子Sによって熱膨張耐火部材9O及び側辺60に固定されている。戸先側エッジ部材1eには室外側に位置して熱膨張耐火部材9Pが高さ方向に亘って設けてある。
【0036】
熱膨張耐火部材9A〜9Pには、例えば、温度が150℃〜250℃の温度に加熱されることで発泡して膨張する部材である。熱膨張耐火部材9としては、例えば、積水化学工業株式会社のフィブロック(登録商標)を用いることができる。
【0037】
本実施形態では、シート状の熱膨張耐火部材9A〜9Pの表面には、接着テープが設けてあり、熱膨張耐火部材9A〜9Pは、接着テープによって第1表面材7、第2表面材8と金属製四周枠(上枠材3、下枠材4、縦枠材5、6)との間に固定される。さらに、第1表面材7及び第2表面材8の先端部位、すなわち、上側折曲片71、81、下側折曲片72、82、戸尻側折曲片73、83、戸先側折曲片74、84の先端部位に設けられる熱膨張耐火部材9C、9D、9H、9I、9L、9OはリベットRで固定されているので、熱の影響で接着力が低下した場合、第1表面材7、第2表面材8が熱変形した場合等における熱膨張耐火部材の脱落が防止される。
【0038】
第1表面材7及び第2表面材8の主面部70、80には、窓部に対応して縦長方形状の開口が形成されている。
図3、
図9に示すように、第1表面材7の主面部70と第2表面材8の主面部80との間には、高さ方向に亘って第1中骨12、第2中骨13が間隔を存して設けてあり、第1中骨12が窓部用の戸先側の縦枠、第2中骨13が窓部用の戸尻側の縦枠を形成している。
図2、
図6に示すように、第1中骨12と第2中骨13間には、窓部の上端、下端にそれぞれ位置して、短尺かつ水平状の上側枠材14、下側枠材15が設けてあり、上側枠材14が窓部用の上枠材、下側枠材15が窓部用の下枠材を形成している。このように、第1中骨12、第2中骨13、上側枠材14、下側枠材15から窓部用の金属製四周枠体が形成されている。
【0039】
図6に示すように、上側枠材14は、スチールドア1の見込方向(厚さ方向)に延びる上辺140と、上辺140の両端部からスチールドア1の見付面に沿って対向状に垂下する室外側見付辺141、室内側見付辺142と、から略断面視コ字形状に形成されている。室外側見付辺141は室内側見付辺142よりも長尺であり、室外側見付辺141の下端には室内側へ延びる水平状の折曲片が形成されている。第1表面材7の主面部70と室外側見付辺141との間には、室外側見付辺141の幅方向に亘って熱膨張耐火部材16Aが設けてあり、第2表面材8の主面部80と室内側見付辺142との間には、室内側見付辺142の幅方向に亘って熱膨張耐火部材16Bが設けてある。上辺140の下面には、上辺140の幅方向に亘って熱膨張耐火部材16Cが設けてある。
【0040】
同じく
図6に示すように、下側枠材15は、スチールドア1の見込方向(厚さ方向)に延びる下辺150と、下辺150の両端部からスチールドア1の見付面に沿って対向状に垂直に立ち上がる室外側見付辺151、室内側見付辺152と、から略断面視コ字形状に形成されている。室外側見付辺151は室内側見付辺152よりも長尺であり、室外側見付辺151の上端には室内側へ延びる水平状の折曲片が形成されている。第1表面材7の主面部70と室外側見付辺151との間には、室外側見付辺151の幅方向に亘って熱膨張耐火部材16Dが設けてあり、第2表面材8の主面部80と室内側見付辺152との間には、室内側見付辺152の幅方向に亘って熱膨張耐火部材16Eが設けてある。下辺150の上面には、下辺150の幅方向に亘って熱膨張耐火部材16Fが設けてある。
【0041】
図9に示すように、第1中骨12は、スチールドア1の見込方向(厚さ方向)に延びる側辺120と、側辺120の両端部からスチールドア1の見付面に沿って対向状に延びる室外側見付辺121、室内側見付辺122と、から略断面視コ字形状に形成されている。室外側見付辺121の先端側は室内側に向かって延びる折曲片が形成されている。第1表面材7の主面部70と室外側見付辺121との間には、室外側見付辺121の高さ方向に亘って熱膨張耐火部材16Gが設けてあり、第2表面材8の主面部80と室内側見付辺122との間には、室内側見付辺122の高さ方向に亘って熱膨張耐火部材16Hが設けてある。側辺120の内面には、側辺120の高さ方向に亘って熱膨張耐火部材16Iが設けてある。
【0042】
同じく
図9に示すように、第2中骨13は、スチールドア1の見込方向(厚さ方向)に延びる側辺130と、側辺130の両端部からスチールドア1の見付面に沿って対向状に延びる室外側見付辺131、室内側見付辺132と、から略断面視コ字形状に形成されている。室外側見付辺131の先端側は室内側に向かって延びる折曲片が形成されている。第1表面材7の主面部70と室外側見付辺131との間には、室外側見付辺131の高さ方向に亘って熱膨張耐火部材16Jが設けてあり、第2表面材8の主面部80と室内側見付辺132との間には、室内側見付辺132の高さ方向に亘って熱膨張耐火部材16Kが設けてある。側辺130の内面には、側辺130の高さ方向に亘って熱膨張耐火部材16Lが設けてある。
【0043】
図6に示すように、複層防火ガラス2の上端部位は、上側枠材14に受け入れられた状態で、室外側額縁ベース17A、室内側額縁ベース17B間に挟まれており、複層防火ガラス2の下端部位は、下側枠材15に受け入れられた状態で、室外側額縁ベース17C、室内側額縁ベース17D間に挟まれている。室外側額縁ベース17A、17C、室内側額縁ベース17B、17Dは、いずれも、見込方向に延びる見込片と、見付方向に延びる見付片と、から断面視略L字形状を有している。室内側額縁ベース17Bの見付片は、室内側垂直片142´と、被嵌合片180Eと共に螺子Sで室内側見付辺142に連結されている。室内側額縁ベース17Dの見付片は、室内側垂直片152´と、被嵌合片180Fと共に螺子Sで室内側見付辺152に連結されている。
【0044】
図9に示すように、複層防火ガラス2の幅方向一方の端部は、第1中骨12に受け入れられた状態で、室外側額縁ベース17E、室内側額縁ベース17F間に挟まれており、複層防火ガラス2の幅方向の他方の端部は、第2中骨13に受け入れられた状態で、室外側額縁ベース17G、室内側額縁ベース17H間に挟まれている。室外側額縁ベース17Eの見付片は、被嵌合片180Aと共に螺子Sで室外側見付辺121に連結されている。室外側額縁ベース17Gは、被嵌合片180Bと共に螺子Sで室外側見付辺131に連結されている。室内側額縁ベース17Fの見付片は、被嵌合片180Cと共に螺子Sで室内側見付辺122に連結されている。室内側額縁ベース17Hは、被嵌合片180Dと共に螺子Sで室内側見付辺132に連結されている。
【0045】
スチールドア1の室外側面部には、複層防火ガラス2の正面視両側に位置してスチールドア1の全高に亘って室外側化粧モール18A、18Bが装着されている。室外側化粧モール18A、18Bは、嵌合片180A、180Bに嵌合することでスチールドア1の室外側面部に装着される。スチールドア1の室内側面部には、複層防火ガラス2の正面視両側に位置して窓部の全高に亘って室内側化粧モール18C、18Dが装着されている。室内側化粧モール18C、18Dは、嵌合片180C、180Dに嵌合することでスチールドア1の室内側面部に装着される。スチールドア1の室内側面部には、左右の室内側化粧モールの上端同士、下端同士を接続するように上側化粧モール18E、下側化粧モール18Fが装着されている。上側化粧モール18E、下側化粧モール18Fは、嵌合片180E、180Fに嵌合することでスチールドア1の室内側面部に装着される。スチールドア1の室外側面部において、室外側化粧モール18A、18B間には、窓部の上下に位置して化粧パネル19が設けてある。
【0046】
第1表面材7の主面部70と第2表面材8の主面部80との間の空間には、芯材20、21が充填されている。本実施形態では、芯材20はフェノールフォーム断熱材であり、芯材21は水酸化アルミコアである。芯材20、21は、接着剤によって主面部70の内面、主面部80の内面に固定されている。フェノールフォーム断熱材、水酸化アルミコアは、断熱材の例示に過ぎないものであり、他の材料からなる断熱材を用いてもよい。
【0047】
スチールドア1は、躯体側に設けられたドア枠から形成される開口部を開閉する。ドア枠は、上枠22、下枠23、戸尻側縦枠24、戸先側縦枠25と、から四周枠状に形成されている。
図12、
図13には、スチールドア1が四周状のドア枠を閉鎖した状態が示してある。
図12の左図は通常時(非火災時)におけるドア装置の縦断面図、右図は火災時におけるドア装置の縦断面図である。
図13の上図は通常時(非火災時)におけるドア装置の横断面図、下図は火災時におけるドア装置の横断面図である。
【0048】
本実施形態では、火災時にスチールドア1が高温に晒されると、熱膨張耐火部材9C、9D、9H、9I、9L、9Oが加熱膨張して、上側折曲片71、81、下側折曲片72、82、戸尻側折曲片73、83、戸先側折曲片74、84の先端部位と、上枠材3の上辺30、下枠材4の下辺40、縦枠材5、6の側辺50、60との間を塞ぐようになっている。火災時の熱によってスチールドア1内部の可燃性物質(例えば、芯材20、21を固定する接着剤)が溶融、さらには気化した場合であっても、気化したガスや溶融した樹脂が第1表面材7、第2表面材8の裏面を伝って、第1表面材7、第2表面材8と金属製四周枠(上枠材3、下枠材4、縦枠材5、6)との隙間からスチールドア1の外部に漏れることを可及的に防止する。
【0049】
本実施態様では、上枠材3の室外側見付辺31と第1表面材7の主面部70の上方部位との間、上枠材3の室内側見付辺32と第2表面材8の主面部80の上方部位との間にはそれぞれ熱膨張耐火部材9A、9Bが設けてあり、下枠材4の室外側見付辺41と第1表面材7の主面部70の下方部位との間、下枠材4の室内側見付辺42と第2表面材8の主面部80の下方部位との間にはそれぞれ熱膨張耐火部材9F、9Gが設けてあり、縦枠材5の室外側見付辺51と第1表面材7の主面部70の戸尻側部位との間、縦枠材5の室内側見付辺52と第2表面材8の主面部80の戸尻側部位との間にはそれぞれ熱膨張耐火部材9J、9Kが設けてあり、縦枠材6の室外側見付辺61と第1表面材7の主面部70の戸先側部位との間、縦枠材6の室内側見付辺62と第2表面材8の主面部80の戸先側部位との間にはそれぞれ熱膨張耐火部材9M、9Nが設けてあり、これらの熱膨張耐火部材9A、9B、9F、9G、9J、9K、9M、9Nは、断熱材として作用する。さらに、熱膨張耐火部材9A、9B、9F、9G、9J、9K、9M、9Nは所定の温度で膨張するので、熱膨張耐火部材9A、9B、9F、9G、9K、9J、9M、9Nの周囲に当該熱膨張耐火部材の膨張を許容する空隙があれば、火災時に、かかる空間内で膨張して密閉性を向上させる。
【0050】
本実施形態では、第1表面材7及び第2表面材8の周縁部(具体的には、上側折曲片71、81、下側折曲片72、82、戸尻側折曲片73、83、戸先側折曲片74、84の先端部位)に、熱膨張耐火部材9C、9D、9H、9I、9L、9Oが設けてあり、火災時に第1表面材7及び第2表面材8の周縁部と金属製四周枠との間を閉塞するので、熱膨張耐火部材9A、9B、9F、9G、9J、9K、9M、9Nに代えて従来の断熱用の樹脂を設けてもよい。
【0051】
火災時には、孔部300を塞いでいるホットメルト10が加熱により溶融して、孔部300が開放するので、スチールドア1内部で発生したガスを孔部300からスチールドア1外部に排出することができる。火災時には、熱膨張耐火部材9C、9Dが膨張するよりも先にホットメルトが溶融して孔部300が開放されて初期に発生したガスが排出され、膨張した熱膨張耐火部材9C、9Dによって孔部300の全部あるいは一部が塞がれる。
図12に示すように、閉鎖姿勢にあるスチールドア1の上端側かつ孔部300よりも室内側の部位(上側折曲片81の表面)、当該部位に対向するドア枠の部分(上枠22の垂直片)、の両方の部位に、熱膨張耐火部材9E、9Qを設けてあり、火災時には、熱膨張耐火部材9E、9Qが膨張して孔部300の室内側空間を閉塞するので、孔部300(膨張した熱膨張耐火部材9C、9Dによって塞がれない場合であっても)から排出されたガスが室内側に流入することを防止する。戸先側縦枠25の室内側部位には、閉鎖姿勢にあるスチールドア1の室内側面部の戸先側部位に対向して熱膨張耐火部材9Rが高さ方向に亘って設けてある。
【0052】
図12の右図、
図13の下図に示すように、火災時には、膨張した熱膨張耐火部材9C´、9D´、9E´、9H´、9I´、9Q´、9L´、9P´、9R´によって、スチールドア1とドア枠(上枠22、下枠23、戸尻側縦枠24、戸先側縦枠25)との隙間が四周に亘って閉塞される。
【0053】
本実施形態では、スチールドア1には窓部が形成されているが、第1表面材7の主面部70と室外側見付辺141との間には、室外側見付辺141の幅方向に亘って熱膨張耐火部材16Aが設けてあり、第2表面材8の主面部80と室内側見付辺142との間には、室内側見付辺142の幅方向に亘って熱膨張耐火部材16Bが設けてあり、第1表面材7の主面部70と室外側見付辺151との間には、室外側見付辺151の幅方向に亘って熱膨張耐火部材16Dが設けてあり、第2表面材8の主面部80と室内側見付辺152との間には、室内側見付辺152の幅方向に亘って熱膨張耐火部材16Eが設けてあり、第1表面材7の主面部70と室外側見付辺121との間には、室外側見付辺121の高さ方向に亘って熱膨張耐火部材16Gが設けてあり、第2表面材8の主面部80と室内側見付辺122との間には、室内側見付辺122の高さ方向に亘って熱膨張耐火部材16Hが設けてあり、第1表面材7の主面部70と室外側見付辺131との間には、室外側見付辺131の高さ方向に亘って熱膨張耐火部材16Jが設けてあり、第2表面材8の主面部80と室内側見付辺132との間には、室内側見付辺132の高さ方向に亘って熱膨張耐火部材16Kが設けてあり、これらの熱膨張耐火部材16A〜16Kは、通常時には断熱材として作用すると共に、火災時の熱によってスチールドア1内部の可燃性物質(例えば、芯材20、21を固定する接着剤)が溶融、さらには気化した場合であっても、気化したガスや溶融した樹脂が第1表面材7、第2表面材8の裏面を伝って、第1表面材7、第2表面材8と窓部用の金属製四周枠体(第1中骨12、第2中骨13、上側枠材14、下側枠材15)との隙間からスチールドア1の外部に漏れることを可及的に防止する。