(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本実施の形態に係わる内視鏡装置の構成を示す構成図である。
図1に示すように、内視鏡装置1は、細長の挿入部2と、挿入部2の基端部に接続された本体部3とを有して構成されている。挿入部2は、先端部に撮像素子であるCCD11が設けられており、CCD11は、図示しない光学系を通して受光した検査対象の像を光電変換して、撮像信号を生成して出力する内視鏡撮像部である。
【0014】
内視鏡画像処理装置としての本体部3は、制御部21、表示部22、メモリカード23、ドライバ24、A/D変換器25、FPGA26、ROM27、RAM28、カード装着部29、及び操作部30を含んで構成される。なお、ここでは、挿入部2の先端部に設けられている湾曲機構、検査対象を照明するための発光ダイオード等の照明装置等については、説明を省略する。
【0015】
制御部21は、中央処理装置(CPU)を含み、内視鏡装置1全体の制御を行うと共に、検査者であるユーザにより指定された各種機能のための各種処理を実行する。各種処理のためのソフトウエアプログラムは、ROM27に記憶されており、FPGA26を介して制御部21により読み出されて、RAM28に展開され実行される。
【0016】
表示部22は、液晶表示器(LCD)であり、ユーザの指示に応じて、制御部21の制御の下、撮像素子であるCCD11により撮像して得られた検査対象のライブ画像、フリーズされたときのフリーズ画像、メモリカード23に記録された検査画像、操作のためのメニュー画面、等々を表示する。
【0017】
メモリカード23は、本体部3に設けられたカード装着部29に装着される。検査画像の記録部としてのメモリカード23には、CCD11により撮像して得られた検査画像の静止画及び動画が記録される。すなわち、メモリカード23は、内視鏡撮像部であるCCD11により検査対象を撮影して得られた検査画像を記録する記録部を構成する記憶装置である。
【0018】
なお、ここでは、撮像して得られた検査画像の静止画あるいは動画は、カード装着部29に装着されたメモリカード23に記録されるが、ハードディスクドライブのような記憶装置に記録するようにしてもよい。
【0019】
ドライバ24は、FPGA26からの駆動制御信号に基づいて、CCD11を駆動するための駆動信号をCCD11へ出力する駆動回路である。
A/D変換器25は、CCD11が出力するアナログ信号である撮像信号をデジタル信号に変換し、FPGA26へ出力する回路である。
【0020】
FPGA26は、制御部21からの制御信号に応じて、ドライバ24を制御すると共に、CCD11からの撮像信号を、A/D変換器25を介して入力し、入力されたデジタル信号の画像信号に対して、所定の画像処理を行って制御部21へ出力する処理を行う処理回路である。
【0021】
ROM27は、各種プログラム及び各種データを記録する記憶装置である。RAM28は、一時記憶用の記憶装置である。
制御部21は、FPGA26を介して、ROM27から各種プログラム及び各種データを読み出すことができる。制御部21は、FPGA26から取得した画像信号に対して、画質調整処理等を含む所定の画像処理を行う。さらに、制御部21は、後述する重畳表示のための重畳表示プログラムを、ROM27から読み出して、RAM28に展開して実行する。
【0022】
また、制御部21は、取得された内視鏡画像であるライブ画像である検査画像を、表示部22に表示する。さらに、検査者の指示に基づいて、制御部21は、取得された検査画像をメモリカード23に記録すると共に、メモリカード23に記録された検査画像を読み出すこともできる。
【0023】
操作部30は、各種操作ボタン、ジョイスティック、等々の操作部材を含み、ユーザがこれらの操作部材を操作すると、操作信号を、制御部21へ出力する。各種操作ボタンの中には、後述する重畳表示機能をオンあるいはオフにする操作ボタンが含まれる。
【0024】
なお、操作部30は、本体部3に設けられるのではなく、本体部3にケーブルを介して接続されるように構成されていてもよい。
さらになお、操作部30は、表示部22に取り付けられたタッチパネルと、表示部22に表示されたボタン表示などとから構成されたグラフィカルユーザインターフェース(GUI)でもよい。
【0025】
以上の構成の内視鏡装置1は、ユーザが操作部30を操作することにより、所望の機能を指示すると、指示された機能に対応するプログラムを制御部21のCPUが実行することにより、CCD11により撮像して得られた内視鏡画像である検査画像を、表示部22に表示させたり、メモリカード23に記録させたりすることができる。
【0026】
内視鏡画像処理装置である本体部3は、種々の機能を有し、以下、本体部3の有する機能の一つである重畳表示機能の実行が指定されたときの動作について説明する。
(作用)
ここでは、ユーザの指示の下、メモリカード23に記録された静止画の検査画像を読み出した後に、重畳表示機能の実行が指示された場合における、本体部3の動作について説明する。
図2は、重畳表示機能の実行が指定されたときにおける本体部3の処理の流れの例を示すフローチャートである。
【0027】
内視鏡装置1のユーザは、操作部30に対して所定の操作を行うことにより、メモリカード23に記録されている検査画像の再生機能の実行指示を内視鏡装置1に対して行い、メモリカード23に記録されている検査画像を読み出して表示部22の画面上に表示させることができる。
【0028】
制御部21は、その再生機能の実行指示の入力を受けると、メモリカード23に記録されている検査画像の再生処理を実行する(S1)。S1の再生処理では、例えば、メモリカード23に記録されている複数の検査画像のファイル名リストあるいは各サムネイルを表示部22に表示し、その表示されたファイル名リストなどの中から再生して表示させたいファイルを選択することにより、ユーザは再生対象の検査画像を指定することができる。
【0029】
制御部21は、重畳表示機能がオンされたか否かを判定し(S2)、重畳表示機能がオンされなければ(S2:NO)、処理は、S1に戻る。重畳表示機能がオンされると(S2:YES)、処理は、S3に移行する。
【0030】
S2では、制御部21は、透過率の変更の指示があるか否かを判定し(S3)、透過率の変更の指示がなければ(S3:NO)、制御部21は、指定された検査画像に対して、設定されている透過率を有する画像に変更する画像処理を施すことによって、参照画像である静止画の比較対象画像を生成する(S4)。すなわち、S4の処理は、記録部であるメモリカード23に記録された検査画像から、透過率が0でない参照画像を生成する参照画像生成部を構成する。
【0031】
透過率は、初期値が予め設定されており、その初期値、例えば50%、を有する比較対象画像が生成される。比較対象画像は、例えば、アルファブレンディング処理により、ライブ画像に対して半透明な画像として生成される。
【0032】
制御部21は、CCD11により取得されたライブ画像上に、生成した静止画の比較対象画像を重畳表示する(S5)。すなわち、S5の処理は、所定の指示に応じて、内視鏡装置の撮像部であるCCD11により撮影して得られた検査画像上に、参照画像生成部であるS4の処理において生成された参照画像である比較対象画像を重畳して表示装置である表示部22に表示する参照画像重畳部を構成する。
【0033】
また、透過率の変更の指示があると(S3:YES)、制御部21は、透過率変更処理を実行する(S6)。透過率変更処理(S6)では、ユーザが、画面22a上に表示される比較対象画像CIの透過率を、所望の値に、指定あるいは変更することができる。すなわち、S6の処理は、参照画像である比較対象画像の透過率を設定あるいは変更するための透過率設定変更部を構成する。
【0034】
ここでは、検査対象の色の濃さ、彩度等により、比較対象画像CIをライブ画像LI上に重畳したときに、比較対象画像CIとライブ画像LIの差異が解り難い場合があるので、S6の処理を設け、ユーザが比較対象画像CIの透過率を調整することができるようにしている。
【0035】
図3は、透過率変更処理における透過率変更のための透過率変更指示部の例を示す図である。透過率の変更の指示があると(S3:YES)、制御部21は、
図3に示すような透過率変更指示部41を表示部22の画面22a上に表示する。透過率変更指示部41は、操作レバーを示すアイコン42を含む。
【0036】
ユーザは、カーソルを用いて操作レバーを示すアイコン42を選択し、矢印A1で示す方向に移動すると、透過率を、上昇させることができ、操作レバーを示すアイコン42を、矢印A2で示す方向に移動すると、透過率を、低下させることができる。比較対象画像CIの透過率が100%であれば、比較対象画像CIは、消えて表示されず、比較対象画像CIの透過率が0%であれば、比較対象画像CIの下にあり、比較対象画像CIにより覆われたライブ画像の部分は、表示されない。すなわち、比較対象画像CIの透過率が0%でなければ、比較対象画像CIを通して、ライブ画像が透けて見える。
【0037】
ユーザは、画面22a上のカーソルを利用して、操作レバーを示すアイコン42を、透過率指定範囲(0〜100%)の間で所望の位置に移動させることにより、比較対象画像CIの透過率を、所望の透過率に指定あるいは変更することができる。
【0038】
検査対象の色、彩度などによっては、ライブ画像LIと比較対象画像CIの不一致部分が見難い場合がある。そのような場合は、比較対象画像CIの透過率を変更することにより、ライブ画像LIと比較対象画像CIの不一致部分が認識し易いように比較対象画像CIの見え方を調整することができる。
【0039】
例えば、検査対象の画像が全体に薄い色であるときは、比較対象画像CIの透過率を上げることによって、ライブ画像LIと比較対象画像CIの不一致部分が認識し易いようになる。すなわち、検査対象の色、その色の濃さ、影部分の存在、等々によって、比較対象画像CIの透過率を調整して、ライブ画像LIと比較対象画像CIの不一致部分を認識し易いようにすることができる。
【0040】
さらに、本実施の形態では、検査対象の実際の検査画像を用いているので、検査対象の良好な状態のときの画像に基づいて比較対象画像CIを生成すれば、ユーザは、現在の検査対象が、良好な状態のときと比べて、どこの部分が、どのように変化したかを迅速かつ明確に判定することができる。また、検査対象の前回の検査時の画像に基づいて比較対象画像CIを生成すれば、ユーザは、現在の検査対象が、前回の検査時と比べて、どこの部分が、どのように変化したかを迅速かつ明確に判定することができる。
【0041】
図4は、ライブ画像上への比較対象画像の重畳表示を説明するための図である。なお、ここでは、説明を解り易くするために、内視鏡により得られた画像を文字群(ここでは複数の文字「F」)に置き換えて示している。
【0042】
図4に示すように、表示部22の画面22a上には、ライブ画像LIが表示され、そのライブ画像LI上に、設定された透過率を持つ比較対象画像CIが重畳される。よって、S5の処理により、ライブ画像LI上に比較対象画像CIが重畳された画像が、表示部22の画面22a上に表示される。
【0043】
次に、制御部21は、パン・チルト処理を実行する(S7)。このパン・チルト処理は、ユーザによってその機能の実行が指示されると実行される。すなわち、ユーザは、ユーザが操作部30に対して所定の操作を行うことによって、パン・チルト処理の指示を行うことができる。
パン・チルト処理について説明する。
図5は、ライブ画像と、そのライブ画像上に重畳された比較対象画像の表示状態を説明するための図である。
【0044】
図5は、ライブ画像LI上に比較対象画像CIが重畳されたときに、ライブ画像LIと比較対象画像CIが互いにずれて重畳される場合を示している。
図5では、比較対象画像CIの画像(文字F)は、黒色ではなく薄いグレー色で示されている。このようなずれは、比較対象画像CIの元となる検査画像を撮像したときのCCD11の視線方向と、ライブ画像を撮像しているCCD11の現在の視線方向とが、不一致である場合に生じる。
このようなライブ画像LIと比較対象画像CIの重畳時における位置ずれを修正するために、ユーザは、パン・チルト処理の実行を指示する。
【0045】
パン・チルト処理は、画面22a上における比較対象画像CIの位置(すなわちXY方向の位置)を移動させる処理である。なお、ここでは、パンとは、画像を左右方向に移動させることをいい、チルトは、画像を上下方向に移動させることをいう。
【0046】
図5に示すように、例えばライブ画像LIに対して、比較対象画像CIがずれ表示されているとき、ユーザは、比較対象画像CIを、画面22a上で移動させて、ライブ画像LIに対して比較対象画像CIが位置ずれの無い位置へ移動させることができる。
【0047】
例えば、パン・チルト処理の実行が指示されると、表示部22の画面22a上に、比較対象画像CIの移動方向(XY方向)を指示するための、矢印のアイコン(図示せず)が表示される。ユーザは、比較対象画像CIを移動させたい方向に対応するアイコンを選択することにより、比較対象画像CIを、所望の位置へ移動させることができる。そして、最終的に、ユーザは、ライブ画像LIに対して比較対象画像CIを位置ずれの無い位置へ移動させることができる。ユーザは、パン動作を指示すると、
図5において矢印B1方向に沿って比較対象画像CIを移動させ、チルト動作を指示すると、矢印B2方向に沿って比較対象画像CIを移動させることができる。
【0048】
なお、挿入部2の先端部にある湾曲部(図示せず)の湾曲操作ではなく、パン・チルト処理において、ライブ画像LIを、画面22a上で移動させて、比較対象画像CIに対してライブ画像LIを位置ずれの無い位置へ移動させるようにしてもよい。以上のように、S7の処理は、比較対象画像CI又はライブ画像LIのいずれか一方を、表示装置である表示部22の表示画面上で移動させる移動部を構成する。
【0049】
S5において比較対象画像CIが、設定された透過度でライブ画像LI上に重畳されると、ユーザは、不一致部分を認識し易い。また、ライブ画像LIに対して、比較対象画像CIがずれ表示されているときに、上述したパン・チルト処理により、ライブ画像LIに対する比較対象画像CIの位置ずれを無くすことができるので、比較対象画像CIとライブ画像LIの不一致部分を認識し易くすることができる。
【0050】
また、検査対象の前回の検査時の検査画像に基づいて比較対象画像CIを生成するようにすれば、ユーザは、現在の検査対象が、前回の検査時のときと比べて、どこの部分が、どのように変化したか、あるいは前回に比べて、変形(例えば欠けなど)がどの程度進んだかを迅速かつ明確に判定することができる。
【0051】
図6は、ライブ画像LI上に比較対象画像CIが重畳された様子を示す図である。
図6に示すように、検査対象の部材M、例えばエンジンブレード、の一部に欠け部CPがあるとき、比較対象画像CIの欠け部CPの形状CP1と、ライブ画像LIの欠け部CPの形状CP2とが異なっていると、斜線で示す欠け部CPの形状の異なる領域の部分TPが、見易くなるため、ユーザは、欠け部CPの欠けがどの程度進んだかを迅速かつ明確に判定することができる。
【0052】
S7の処理の後、制御部21は、記録指示がされたか否かを判定する(S8)。記録指示は、ユーザが操作部30の所定の操作ボタン、例えば記録ボタン、を押すことにより、行われる。
【0053】
記録指示がされると(S8:YES)、制御部21は、記録処理を実行する(S9)。記録処理では、制御部21は、ライブ画像LIの静止画の画像データを、メモリカード23に書き込む。また、S9では、ライブ画像LIの画像データ中に、あるいはライブ画像LIの画像データに関連付けて、比較対象画像CIの透過率の情報も、制御部21は、記録する。ライブ画像LIの画像データ中に比較対象画像CIの透過率の情報を含ませる方法としては、例えば、Exif仕様のヘッダ情報部に、透過率の情報を書き込む方法がある。
【0054】
すなわち、S9の処理は、記録部であるメモリカード23に検査画像を記録するときに、S5の参照画像重畳部により検査画像であるライブ画像LI上に、参照画像としての比較対象画像CIを重畳したときの比較対象画像CIの透過率の情報を、検査画像に含ませて、あるいは検査画像に関連付けて、メモリカード23に記録する透過率情報記録処理部を構成する。
【0055】
なお、S9の記録処理では、ライブ画像LIの画像データに代えて、比較対象画像CIが重畳したライブ画像LIを記録するように、あるいはライブ画像LIの画像データと共に、比較対象画像CIが重畳したライブ画像LIも記録するようにしてもよい。すなわち、その場合、S9の処理は、記録部であるメモリカード23に検査画像を記録するときに、ライブ画像である検査画像上に参照画像である比較対象画像CIが重畳された画像を、メモリカード23に記録する重畳画像記録部を構成する。
【0056】
記録指示がされないとき(S8:NO)及び記録処理(S9)の後、制御部21は、重畳表示処理の実行の終了の指示があるか否かを判定する(S10)。重畳表示処理の実行の終了の指示があると(S10:YES)、重畳表示処理の実行を終了し、重畳表示機能の実行の終了の指示がなければ(S10:NO)、処理は、S3に戻る。
【0057】
以上のように、本実施の形態の内視鏡装置によれば、内視鏡撮像部により撮像して得られた検査画像と、比較対象画像との比較において、検査対象あるいは検査部位の状態判定がし易い内視鏡画像処理装置及び内視鏡装置を提供することができる。
【0058】
特に、比較対象画像は、過去に実際に撮像して得られた検査対象の検査画像から生成され、透過率も変更できるので、検査対象の観察状況に応じてライブ画像と比較対象画像との差異を判別し易くすることができる。
【0059】
従って、結果として、検査者は、検査結果に対する判断をより迅速かつ明確に行うことができる。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、記録処理において、ライブ画像LIの画像データと共に、比較対象画像CIの透過率の情報がメモリカード23に記録されるが、第2の実施の形態では、検査画像の記録処理において、ライブ画像LIの画像データと共に、透過率の情報だけでなく、検査画像を記録したときの画像記録時情報も併せてメモリカード23に記録されるようにして、その後、その撮影状況情報を用いて検査対象のライブ画像を生成するようにしている。
【0060】
本実施の形態の内視鏡装置の構成は、第1の実施の形態の内視鏡装置1の構成と略同じであるので、以下、第1の実施の形態の内視鏡装置1と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明は省略し、構成の異なる点を説明する。
【0061】
図7は、検査画像の記録時の処理の流れの例を示すフローチャートである。
制御部21は、内視鏡検査中に、ユーザにより、操作部30において記録指示がされると、
図7の処理が実行される。
【0062】
制御部21は、記録指示の信号を受信すると(S11:YES)、画像データと共に、画像記録時情報を、検査画像の画像データ中に、あるいは検査画像の画像データと関連付けて別のファイルに記録する(S12)。
【0063】
画像記録時情報は、検査画像の記録時における、照明装置の出力レベル、ズーム倍率、シャッタースピード、等の撮影条件情報、及び明るさ調整値、コントラスト調整値、等の画質調整情報である。記録指示の信号を受信しなければ(S11:NO)、処理は、何もしない。
【0064】
なお、ここでは、画像記録時情報は、撮影条件情報と画質調整情報の両方を含むが、撮影条件情報と画質調整情報の少なくとも一方でもよい。すなわち、S12の処理は、記録部であるメモリカード23に検査画像を記録するときに、その検査画像についての撮影条件情報、及び画質調整情報の少なくとも1つを画像記録時情報として、検査画像に含ませて、あるいは検査画像に関連付けて、メモリカード23に記録する透過率情報記録処理部を構成する。
【0065】
図8は、重畳表示機能の実行が指定されたときにおける内視鏡装置1の処理の流れの例を示すフローチャートである。
図8において、
図2と同じ処理については、同じステップ番号を付して説明は省略する。
【0066】
ここでは、
図7において記録された検査画像が、比較対象画像として再生される。
図8のS1において、その記録された検査画像が再生されて、重畳表示機能がオンされて、比較対象画像が生成される(S4)。
【0067】
そして、検査対象を撮影するときの照明装置の出力レベルすなわち明るさ、ズーム倍率、CCD11についての各種調整値、画質に関する設定調整値などを、比較対象画像に関連付けて記録されている画像記録時情報に基づいて、制御部21は、CCD11や照明装置などを駆動し、さらに、取得した撮像信号に対する画質調整を行い、ライブ画像を取得する(S21)。S21の処理は、内視鏡撮像部であるCCD11により撮影して得られた検査画像を、S12で記録された画像記録時情報に基づいて取得する検査画像取得部を構成する。
【0068】
すなわち、
図7のS12で比較対象画像CIの元となった検査画像を記録したときの、明るさなどの撮影条件、ゲイン値などのCCD11の各種調整値、見易い画像にするためのコントラスト調整値などの画質調整値、等々の画像記録時情報に基づいて、制御部21は、ライブ画像を生成する。
【0069】
これは、比較対象画像CIの元となった検査画像を取得して記録したときと同じ条件で、検査対象を撮影し、かつ同じ画質調整を行うことによって、ライブ画像LIと比較対象画像CIとが比較し易くなり、ライブ画像LI上に比較対象画像CIを重畳したときの変化部分を見出しやすくするためである。逆に言えば、比較対象画像CIの元となる検査画像と、ライブ画像LIとが、輝度、コントラストなどが大きく異なっていると、ライブ画像LI上に比較対象画像CIを重畳したときの変化部分が見出し難くなる場合があるので、そのような場合の発生を防止するためである。
【0070】
よって、
図8のS21において、ライブ画像LIが、比較対象画像CIの元となる検査画像が記録されたときの撮影条件、画質調整内容等と同じ条件、同じ内容等で生成されるので、S5において、ライブ画像LI上に比較対象画像CIが重畳されたときに、互いに異なる部分がより認識し易くなる。
【0071】
さらに、
図8では、記録指示がされると(S8:YES)、制御部21は、記録処理を実行するが(S22)、その記録処理では、制御部21は、ライブ画像LIの画像データ中に、あるいはライブ画像LIの画像データに関連付けて、比較対象画像CIの透過率の情報だけでなく、ライブ画像を撮影時の照明装置の出力レベル値、CCD11の調整値等の撮影条件情報、及び、コントラスト調整値などの画質調整情報も、メモリカード23に書き込む。
【0072】
すなわち、S22において、検査画像が記録されたときにも、その検査画像が記録されたときの画像記録時情報も、ライブ画像LIの画像データ中に、あるいはライブ画像LIの画像データに関連付けて、メモリカード23に記録される。
【0073】
よって、重畳表示機能がオンされたときにおいて検査画像が記録されるときにも、画像記録時情報が、画像データ中に、あるいはライブ画像LIの画像データに関連付けて、メモリカード23に記録される。
【0074】
なお、上記の例では、S21において、画像記録時情報がライブ画像の取得のために、制御部21によるCCD11の駆動処理などと、画質調整処理に利用されているが、検査者が、比較対象画像CIの画像記録時情報をメモリカード23から読み出して参照して、手動でライブ画像取得のための各種調整、照明装置の出力レベルの調整、コントラストの調整等、を行うようにしてもよい。
【0075】
従って、本実施の形態の内視鏡装置によっても、第1の実施の形態の内視鏡装置と同様の効果を得ることができると共に、検査対象又は検査部位を、比較対象画像CIの元となった検査画像を取得したときと同じ撮影条件で撮影でき、さらに、比較対象画像CIの元となった検査画像に対して同じ画質で、ライブ画像を表示させることができるので、検査結果の確実性の向上にも繋がる。
【0076】
以上のように、上述した各実施の形態によれば、内視鏡撮像部により撮像して得られた検査画像と比較対象画像との比較において、検査対象あるいは検査部位の状態判定がし易い内視鏡画像処理装置及び内視鏡装置を提供することができる。
【0077】
上述した各実施の形態では、従来のような、CADオブジェクトを比較対象画像としておらず、実際の検査画像を用いているので、検査者はライブ画像との比較が容易であり、また、従来のような2つの画面に分けて左右で見比べるものではなく、大きな画面で透過度を有する画像との比較なので、検査者は容易に比較し易い。
なお、上述した2つの実施の形態では、比較対象画像CIは、静止画であるが、動画でもよい。
【0078】
さらになお、上述した2つの実施の形態では、メモリカード23に記録された検査画像を読み出した後、重畳表示機能の実行が指示されたときに、ライブ画像上に、比較対象画像としての過去の検査画像を重畳表示する場合であるが、ライブ画像を表示部22に表示させているときに、重畳表示機能の実行が指示されるようにしてもよい。すなわち、ライブ画像を表示しているときに、記録されている検査画像を選択する操作を行うと、S3以降の処理が実行されるようにしてもよい。
【0079】
また、上述した2つの実施の形態では、内視鏡装置1に記録された検査画像であるライブ画像上に、比較対象画像を重畳しているが、内視鏡装置により取得されて得られた複数の検査画像が、パーソナルコンピュータ(以下、PCという)の記憶装置に記憶されている場合に、そのPC上で、2つの検査画像の一方を比較対象画像とし、他方の検査画像上に重畳表示をするようにしてもよい。この場合、PCが、内視鏡画像処理装置ということができる。
【0080】
すなわち、
図2及び
図8のS5において、所定の指示に応じて、PCの記憶装置に記録された検査画像上に、S4において生成された参照画像である比較対象画像CIを重畳して、PCの表示装置に表示するようにしてもよい。
【0081】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。