特許第6238622号(P6238622)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツングの特許一覧

特許6238622ガス感応性の電界効果トランジスタを用いてガスパラメータを測定するための方法および制御装置
<>
  • 特許6238622-ガス感応性の電界効果トランジスタを用いてガスパラメータを測定するための方法および制御装置 図000002
  • 特許6238622-ガス感応性の電界効果トランジスタを用いてガスパラメータを測定するための方法および制御装置 図000003
  • 特許6238622-ガス感応性の電界効果トランジスタを用いてガスパラメータを測定するための方法および制御装置 図000004
  • 特許6238622-ガス感応性の電界効果トランジスタを用いてガスパラメータを測定するための方法および制御装置 図000005
  • 特許6238622-ガス感応性の電界効果トランジスタを用いてガスパラメータを測定するための方法および制御装置 図000006
  • 特許6238622-ガス感応性の電界効果トランジスタを用いてガスパラメータを測定するための方法および制御装置 図000007
  • 特許6238622-ガス感応性の電界効果トランジスタを用いてガスパラメータを測定するための方法および制御装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238622
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】ガス感応性の電界効果トランジスタを用いてガスパラメータを測定するための方法および制御装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/414 20060101AFI20171120BHJP
   G01N 27/00 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   G01N27/414 301Z
   G01N27/414 301X
   G01N27/00 J
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-158813(P2013-158813)
(22)【出願日】2013年7月31日
(65)【公開番号】特開2014-32194(P2014-32194A)
(43)【公開日】2014年2月20日
【審査請求日】2016年7月29日
(31)【優先権主張番号】10 2012 213 429.8
(32)【優先日】2012年7月31日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】リヒャート フィクス
(72)【発明者】
【氏名】デニス クンツ
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン グラーフ
(72)【発明者】
【氏名】フランシスコ エルナンデス ギレン
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ノル
【審査官】 黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0193375(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0139365(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02362216(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26−27/49
G01N 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス感応性の電界効果トランジスタ(100)を用いてガスパラメータ(175)を測定する方法(500)であって、
・準備期間(t23)中に前記電界効果トランジスタ(100)のゲート電極(115)に準備電圧(UVS)を印加するステップ(520,545)と、
・前記準備期間(t23)の直後の検出期間(t34)中に、所定のレベル値を有する検出電圧(UES)を前記ゲート電極(115)に印加しながら、前記電界効果トランジスタ(100)のソース端子(140)とドレイン端子(145)との間の測定量(165)を検出するステップ(530)と、
・検出した前記測定量(165)を用いて前記ガスパラメータ(175)を求めるステップ(535)と
を有し、
前記検出するステップ(530)後にさらに、前記電界効果トランジスタ(100)のソース端子(140)とドレイン端子(145)との間のチャネル領域(135)における物理的状態を表す状態値(555,547)を求めるステップ(540,550)を実施し、
前記印加するステップ(520)において、前記状態値(547)に依存する準備電圧(UVS1)を前記ゲート電極(115)に印加する、
ことを特徴とする方法(500)。
【請求項2】
前記求めるステップ(535)において、もっぱら前記検出するステップ(530)においてのみ検出された測定量(165)を使用して前記ガスパラメータ(175)を求める、
請求項1記載の方法(500)。
【請求項3】
前記印加するステップ(520,545)において、前記検出電圧(UES)の符号と異なる符号を有する準備電圧(UVS)を前記ゲート電極(115)に印加するか、
または、
前記印加するステップ(520,545)において、前記検出電圧(UES)の符号と同じ符号を有する準備電圧(UVS)を前記ゲート電極(115)に印加する、
請求項1または2記載の方法(500)。
【請求項4】
前記方法(500)の各ステップを少なくとも1回繰り返して実施する、
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法(500)。
【請求項5】
連続して実施される複数の前記印加するステップ(520,545)の前記準備期間(UVS)が異なるように、前記印加するステップ(520,545)を実施し、
および/または、
連続して実施される複数の前記検出するステップ(530)の前記検出期間(t34,t56)が異なるように、前記検出するステップ(530)を実施する、
請求項4記載の方法(500)。
【請求項6】
前記印加するステップ(520)において、前記ソース端子(140)と前記ドレイン端子(145)との間に、上昇するテスト電圧(U)を印加し、その後、下降するテスト電圧(U)を印加し、
前記ソース端子(140)と前記ドレイン端子(145)との間の電流(I)の特性経過(600)を測定し、
前記検出するステップ(530)において、前記ソース端子(140)と前記ドレイン端子(145)との間に印加される電圧は、前記電流(I)の測定された特性経過(600)の少なくとも1つの値に依存する、
請求項1からまでのいずれか1項記載の方法(500)。
【請求項7】
前記検出するステップ(530)において、上昇するテスト電圧の場合の所定のテスト電圧値(640)に対応する前記電流(I)の特性経過(600)の1つの値と、下降するテスト電圧の場合の前記所定のテスト電圧値(640)に対応する当該電流(I)の特性経過(600)の1つの値との間の差(630)の大きさが、予め決定された閾値を超える場合に、前記ソース端子(140)と前記ドレイン端子(145)との間に印加される電圧を第1の電圧値から第2の電圧値へ変化させる、
請求項記載の方法(500)。
【請求項8】
ソース端子領域(140)と、ドレイン端子領域(145)と、前記ソース端子領域(140)と前記ドレイン端子領域(145)とを接続するチャネル領域(135)と、混合気または混合流体(125)に含まれていた気体成分(120)が吸着または侵入するガス感応性のゲート電極(115)と、前記ゲート電極(115)と前記チャネル領域(135)とを分離するガス感応性の絶縁層(130)と、を有する電界効果トランジスタ(100)を駆動制御するための制御装置(110)であって、
前記チャネル領域(135)を所定の物理的状態にするための準備電圧を前記ゲート電極(115)に印加する準備ユニット(150)と、
前記所定の物理的状態の前記チャネル領域(135)における電流を測定量として測定するための検出電圧を前記ゲート電極(115)に印加する検出ユニット(160)と、
前記測定量(165)を用いて前記気体成分(120)のガスパラメータ(175)を算出する算出ユニット(170)と、
を備えており、
前記検出ユニット(160)は、前記電界効果トランジスタ(100)の前記ソース端子領域(140)と前記ドレイン端子領域(145)との間の前記チャネル領域(135)における物理的状態を表す状態値(555,547)を求め、
前記準備ユニット(150)は、前記状態値(547)に依存する準備電圧(UVS1)を前記ゲート電極(115)に印加する、
ことを特徴とする制御装置(110)。
【請求項9】
ソース端子領域(140)と、ドレイン端子領域(145)と、前記ソース端子領域(140)と前記ドレイン端子領域(145)とを接続するチャネル領域(135)と、混合気または混合流体(125)に含まれていた気体成分(120)が吸着または侵入するガス感応性のゲート電極(115)と、前記ゲート電極(115)と前記チャネル領域(135)とを分離するガス感応性の絶縁層(130)と、を有する電界効果トランジスタ(100)と、
前記チャネル領域(135)を所定の物理的状態にするための準備電圧を前記ゲート電極(115)に印加する準備ユニット(150)と、前記所定の物理的状態の前記チャネル領域(135)における電流を測定量として測定するための検出電圧を前記ゲート電極(115)に印加する検出ユニット(160)と、前記測定量(165)を用いて前記気体成分(120)のガスパラメータ(175)を算出する算出ユニット(170)とを含み、前記電界効果トランジスタ(100)を駆動制御する制御装置(110)と、
を備えており、
前記検出ユニット(160)は、前記電界効果トランジスタ(100)の前記ソース端子領域(140)と前記ドレイン端子領域(145)との間の前記チャネル領域(135)における物理的状態を表す状態値(555,547)を求め、
前記準備ユニット(150)は、前記状態値(547)に依存する準備電圧(UVS1)を前記ゲート電極(115)に印加する、
ことを特徴とする、
混合気または混合流体(125)に含まれる気体成分(120)のガスパラメータ(175)を測定するための装置。
【請求項10】
コンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムが制御装置(110)上で実行されるときに請求項1からまでのいずれか1項記載の方法(500)を実施するためのプログラムコードを有する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス感応性の電界効果トランジスタを用いてガスパラメータを測定する方法と、これに対応する制御装置と、これに対応するコンピュータプログラム製品とに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体をベースとする化学的ガスセンサは、現在すでに開発中である。このような化学的ガスセンサでは大抵、電界効果トランジスタ(FET)にガス感応性の電極が備えられており、電界効果トランジスタのスイッチオン後のチャネル電流は一定ではなく、ガス雰囲気が不変であるにも関わらず、このチャネル電流は有意に変化する(以下、これをドリフトと称する)。たとえばDE102007039567A1に、ガス感応性の電界効果トランジスタのこのようなドリフト特性が記載されている。ガス雰囲気が一定である場合、チャネル電流はバックグラウンド信号となり(以下、ベースラインとも称する)、その変化はすべて、ガスセンサ信号として評価される。ガスセンサにおいて実用上特に重要なのは、100msより長く続くドリフトである。このようなドリフトの原因は基本的に、素子内における電荷の分布の変化であり、劣化ではない。これは、可逆的な作用でもある。一定バイアスストレスにより、素子の閾値が変化し、素子をスイッチオフすると、この変化は元の状態に緩和される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】DE102007039567A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、素子内における電界の分布の変化に起因するドリフトを解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題は、
・準備期間中に電界効果トランジスタのゲート電極に準備電圧を印加するステップ、
・前記準備期間の直後の検出期間中に、或るレベル値を有する検出電圧を前記ゲート電極に印加しながら、前記電界効果トランジスタのソース端子とドレイン端子との間の測定量を検出するステップと、
・検出した前記測定量を用いて前記ガスパラメータを求めるステップと
を有する方法によって解決される。
【0006】
上述のことを背景として、本発明では、独立請求項に記載の、ガス感応性の電界効果トランジスタを用いてガスパラメータを測定する方法を提供し、さらに、独立請求項に記載の、当該方法を用いる制御装置と、最後に、これに対応するコンピュータプログラム製品とを提供する。各従属請求項と以下の記載内容とから、有利な実施形態を導き出すことができる。
【0007】
ガス感応性の電界効果トランジスタを用いてガスパラメータを測定する本発明の方法は、以下のステップを有する:
・準備期間中に、前記電界効果トランジスタのゲート電極に準備電圧を印加するステップ;
・前記準備期間の直後の検出期間中に、或るレベル値を有する検出電圧を前記ゲート電極に印加しながら、前記電界効果トランジスタのソース端子とドレイン端子との間で測定量を検出するステップ;
・検出した前記測定量を用いて、前記ガスパラメータを求めるステップ。
とりわけ、前記検出電圧のレベル値の大きさは、前記準備電圧の絶対値より小さい。
【0008】
本発明ではさらに、本発明の上述の方法の各ステップを適切な装置で実行ないしは制御ないしは実施するように構成された制御装置も提供する。本発明をこのように制御装置の形態で具現化することによっても、本発明の基礎となる課題を迅速かつ効率的に解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施例による、ガス感応性電界効果トランジスタを用いてガスパラメータを測定するための制御装置のブロック回路図である。
図2】本発明の方法の一実施例による、電界効果トランジスタのゲート電極に印加される電圧の特性経過を示すグラフである。
図3】本発明の方法の別の実施例による、電界効果トランジスタのゲート電極に印加される電圧の別の特性経過を示すグラフである。
図4】本発明の方法の別の実施例による、電界効果トランジスタのゲート電極に印加される電圧の別の特性経過を示すグラフである。
図5】本発明の一実施例の方法の各ステップを示す状態変化チャートである。
図6A】本発明の一実施例による、測定量を検出するのに最適な動作点の求め方を説明する図である。
図6B】本発明の一実施例による、測定量を検出するのに最適な動作点の求め方を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願において制御装置とは、センサ信号を処理し当該センサ信号に依存して制御信号および/またはデータ信号を出力する電気機器を指すことができる。この制御装置はインタフェースを有することができ、このインタフェースは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで構成することができる。前記インタフェースをハードウェアで構成する場合、これは、前記制御装置の複数の非常に異なる機能を備えたいわゆるシステムASICの一部とすることができる。また、前記インタフェースを専用の集積回路とするか、または、前記インタフェースの少なくとも一部をディスクリート部品から構成することも可能である。前記インタフェースをソフトウェアで構成する場合、これは、たとえばマイクロコントローラ上に他のソフトウェアモジュールと並んで設けられるソフトウェアモジュールとすることができる。
【0011】
また、機械読取り可能な担体上に記憶することができるプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品であって、当該コンピュータプログラム製品がコンピュータ上または装置上または制御装置上にて実行されるときに前記実施形態のうちいずれかの方法のステップを実行または制御するために用いられるプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品も有利である。前記機械読取り可能な担体はたとえば、半導体メモリ、ハードディスク記憶装置または光メモリ等である。
【0012】
ガスパラメータとはたとえば、混合気中または流体中の所定のガスの濃度または種類を指すことができる。ゲート電極とは、混合気中または流体中からガスを吸収または吸着することができる、電界効果トランジスタのゲートとなる電極であって、前記ガスの吸収または吸着により前記ゲートの電気的特性または容量特性を変化させる電極を指すことができる。このことにより、たとえば、ゲートないしはゲート電極と接触するガスの種類または濃度が異なると、電界効果トランジスタの電気的特性、ないしは、ソース端子とドレイン端子との間の抵抗が変化することができる。準備電圧とは、所定の準備期間中、次に行われる測定のために電界効果トランジスタないしは電界効果トランジスタのチャネルを準備するために前記ゲート電極に印加される電圧を指すことができる。
【0013】
測定量とはたとえば、電界効果トランジスタのソース端子とゲート端子との間に現れる抵抗または電流を指すことができる。その場合には、前記検出ステップ中に、大きさが前記検出電圧の絶対値より小さいレベル値を有する検出電圧を前記ゲート電極に印加する。このレベル値とは、電圧の具体的な値を意味することができる。前記検出電圧の絶対値とは、当該検出電圧の大きさを意味することができ、前記準備電圧の絶対値とは、当該準備電圧の大きさを意味することができる。
【0014】
本発明の基礎となっているのは、ガスパラメータを高精度で測定する前に、この測定のために電界効果トランジスタを可能な限り良好に準備しなければならないという認識である。電界効果トランジスタをこのように準備することは、次のステップにて測定量を実際に検出するのに使用される検出電圧の値の大きさより大きい絶対値を有する準備電圧を電界効果トランジスタのゲート電極に印加することによって実施することができる。その際には、前記検出電圧より格段に大きい正または負の電圧値を有する準備電圧を使用することにより、たとえば、電界効果トランジスタのチャネル領域の半導体材料の不純物を中性化できることを保証することができる。たとえば、(検出電圧と比較して大きい)準備電圧により、チャネル領域内の可動キャリアをゲート電極の方向に移動させるか、またはゲート電極から離れていく方向に移動させることにより、上述の不純物の中性化を実現することができる。このようにして、後続の測定を非常に高精度で実現できるように電界効果トランジスタないしは電界効果トランジスタのチャネル領域を準備することができ、かつ、その際には、前記測定時に予測不能な電気的作用を引き起こす原因となる、前記チャネル領域における汚染物または妨害作用を、可能な限り良好に補償することができる。その次に測定量の検出を行うために、直後の検出期間では、ゲート電極により低い検出電圧を用いて測定量の測定を行うことができる。つまり、準備電圧が無くなった後も、準備電圧を印加した直後の上述の期間中、ある程度の時間にわたって、電界効果トランジスタのチャネル領域の好適な測定特性をなお維持することができる。
【0015】
本発明は、上述の準備電圧をゲート電極に印加することによって電界効果トランジスタを準備することにより、従来技術で実現できたよりも測定量の検出を格段に良好に実現できるという利点を奏する。このことにより、ガスパラメータを格段に高精度で検出することも可能になり、その際には、電界効果トランジスタの駆動制御ないしは電界効果トランジスタの端子への印加を、従来技術に対して変更するだけでよい。このことにより、技術的に非常に簡単な手段で、測定量の検出を格段に改善することができ、これにより、ガス感応性の電界効果トランジスタを用いてガスパラメータの測定を格段に改善することができる。
【0016】
本発明の一実施形態では、前記求めるステップにおいて、もっぱら前記検出ステップのみにおいて検出した前記測定量を用いて前記ガスパラメータを求めることができる。本発明のこのような実施形態により、(前記準備電圧の絶対値と比較して小さい)検出電圧が電界効果トランジスタのゲート電極に印加された場合にのみ、前記ガスパラメータを求めるために前記測定量が考慮されることが保証される。このようにして、ガスパラメータを求める際に妨害となる影響を回避することができる。この妨害となる影響はたとえば、ゲート電極に過度に大きな電圧を生じさせることにより電界効果トランジスタを動作点外にて動作させる原因となる影響である。
【0017】
本発明の別の実施形態では、前記印加ステップにおいて、前記検出電圧の符号と異なる符号を有する準備電圧を前記ゲート電極に印加するか、または、前記印加ステップにおいて、前記検出電圧の符号と同じ符号を有する準備電圧を前記ゲート電圧に印加することもできる。その際にはたとえば、第1の印加ステップにおいて、第1の符号を有する準備電圧を使用し、その次の印加ステップにおいて、前記第1の符号と逆の第2の符号を有する準備電圧を使用することもできる。本発明のこのような実施形態によって奏される利点は、電界効果トランジスタないしは電界効果トランジスタの電気的特性を「リセット」でき、これにより、電界効果トランジスタないしは電界効果トランジスタの電気的特性を技術的に非常に簡単に、かつ、より長い動作時間にわたって初期状態に戻すことができることである。また、異なる使用環境に応じてガスパラメータの測定を行えるように、測定を最適化することもできる。
【0018】
特に有利なのは、前記方法の各ステップを少なくとも1回繰り返す、本発明の実施形態である。本発明のこの実施形態は、前記準備電圧を取り除いた後、ある程度の期間が経過すると可動キャリアが緩和して再び元の位置に戻るという事実に基づいている。上述の各ステップを複数回、少なくとも1回繰り返す、本発明のこのような実施形態によって奏される利点は、比較的長い時間にわたって前記測定量の測定を行った後、電界効果トランジスタのチャネル領域内から可動キャリアがドリフトして出て行くのを戻すことができるようになり、これによって、測定量の非常に正確な測定を行える時間も長くなり、ひいては、この長くなった時間にわたってガスパラメータを非常に正確に求められるのを保証できることである。
【0019】
特に有利なのは、前記複数の印加ステップにおいて前記準備期間が異なるように当該複数の印加ステップを連続して行う本発明の実施形態、および/または、前記複数の検出ステップにおいて前記検出期間が異なるように当該複数の検出ステップを連続して行う本発明の実施形態である。たとえば、第1の準備期間を次の第2の準備期間より長くするか、または、第1の検出期間を次の第2の期間より長くすることができる。これに代えて択一的に、またはこれと組み合わせて、第1の準備期間を次の第1の検出期間より短くすること、および/または、前記第1の検出期間の次の第2の準備期間を、当該第2の準備期間の次に行われる第2の検出期間より短くすることができる。このようにして、実際の環境シナリオ(たとえば、電界効果トランジスタを所定のガス環境または所定の温度にさらすこと)に、または、電界効果トランジスタ個別のパラメータ(たとえば半導体パラメータ)に、電界効果トランジスタの準備を非常にフレキシブルに適合させることが可能になり、かつ、このような環境シナリオにおいて電界効果トランジスタを用いることによって動作中に引き起こされる電界効果トランジスタの応答を種々異なったものとすることができる。
【0020】
後続の測定量検出のために、特に、電界効果トランジスタの現在の実際の動作状況に適合した準備を実現するためには、検出ステップ後にさらに、状態値を求めるステップを実施することができる。この状態値は、電界効果トランジスタのソース端子とドレイン端子との間のチャネル領域における物理的状態を表すものである。それと同時に、前記印加ステップにおいて、前記状態値に依存する準備電圧を前記ゲート電極に印加することができる。この状態値はたとえば、電界効果トランジスタのチャネル領域の不純物濃度または電荷量を指すことができる。本発明のこのような実施形態の利点は、後続の測定値検出のために前記電界効果トランジスタのチャネル領域の最適な状態(とりわけ、可能性のある妨害影響に関して最適な状態)を準備するため、前記準備電圧を非常に正確に調整できることである。
【0021】
本発明の別の実施形態では、前記印加ステップにおいて、前記ソース端子と前記ドレイン端子との間において、上昇するテスト電圧を印加し、その後、下降するテスト電圧を印加し、前記ソース端子と前記ドレイン端子との間の電流の特性経過を測定することができる。その際には、前記検出ステップにおいて、前記ソース端子と前記ドレイン端子との間に印加される電圧は、前記電流の前記測定された特性経過の少なくとも1つの値に依存することができる。ここでは上述のようなテスト電圧とは、前記ゲート電極に印加して電界効果トランジスタによるガスパラメータの測定に最適な動作点を求めるのに使用できる電圧の値の列または特性経過を指すことができる。本発明のこのような実施形態は、前記テスト電圧の上昇する特性経過および下降する特性経過は、測定量の検出中に電圧を調整するために動作点を最適化させることが可能になるという利点を奏する。このようにして、前記ガスパラメータを求めるのに使用される測定量自体を検出する直前に、実際の使用シナリオにおいて前記電界効果トランジスタの感度が最大になる動作点を求めることができる。このような動作点が求められることにより、ガスパラメータを高精度で求めることができる。
【0022】
特に有利なのは、前記検出ステップにおいて、上昇するテスト電圧の場合の所定のテスト電圧値に対応する電流の特性経過の1つの値と、下降するテスト電圧の場合の前記所定のテスト電圧値に対応する電流の特性経過の1つの値との間の差の大きさが、予め決定された閾値を超える場合に、前記ソース端子と前記ドレイン端子との間に印加される電圧を第1の電圧値から第2の電圧値へ変化させる、本発明の実施形態である。本発明のこのような実施形態の利点は、たとえば前記検出ステップにおいて前記ゲート電極に、予め設定された検出電圧値を印加でき、かつ、電界効果トランジスタのチャネルに流れる電流のヒステリシス曲線において、上昇ないしは下降するテスト電圧のときの電流の部分特性曲線の偏差が過度に大きくなった場合にのみ、前記予め設定された検出電圧値を変化すればよいことである。前記電流の部分特性曲線のこのような大きな偏差により、従来使用されていた検出電圧を用いて前記測定量を検出する間に電界効果トランジスタのチャネル領域に電荷反転プロセスが生じる可能性があることが分かり、これにより、このような電荷反転プロセスを回避するために、測定量を検出するための検出電圧の適合が必要であることが分かる。
【実施例】
【0023】
以下、添付の図面を一例として参照して、本発明を詳細に説明する。
【0024】
以下の、本発明の有利な実施例の説明では、複数の異なる図において示された同様の機能の要素には同一または同様の符号を使用しており、これらの要素について繰り返し説明することは省略する。
【0025】
図1に、ガス感応性電界効果トランジスタ100の基本構成を示す。この電界効果トランジスタ100は、制御装置110によって駆動制御することができる。電界効果トランジスタはガス感応性のゲート電極115を有し、このゲート電極115には、混合気または混合流体125に含まれていた気体成分120が吸着または侵入し、この気体成分120から、電界効果トランジスタ100を用いてガスパラメータを求めることができる。ゲート電極115は(ガス感応性の)絶縁層130によって、前記電界効果トランジスタ110のチャネル領域135から分離されており、このチャネル領域135は、電界効果トランジスタ100のソース端子領域140とドレイン端子領域145とを接続する。
【0026】
前記制御装置110は、前記チャネル領域135に設けられた半導体材料の物理的状態を所定の物理的状態にするため、前記ゲート電極115に準備電圧を印加するためのユニット150を含む。前記準備電圧として選択される電圧の大きさは、たとえば、その次にチャネル領域における電流を測定量として測定するためにゲート電極115に印加される電圧(検出電圧)より大きくすることができる。ゲート電極115に準備電圧を印加した後に、たとえば、検出ユニット160がゲート電極115に検出電圧を印加できるようにするため、スイッチ155を切り替えることができる。この検出電圧は、前記準備電圧より低い電圧である。これに代えて択一的に、たとえば、前記ゲート電極115に印加される電圧が前記検出電圧値まで低下するように(ないしは、符号が逆である場合には上昇するように)前記ユニット150を制御することもできる。このような構成の場合にはスイッチ155を設けなくてもよく、それと同時に、スイッチ155の切替も不要となる。したがって、ゲート電極115に検出電圧を印加した後に、測定量165を測定ないしは検出して、当該測定量165を用いて上述のガスパラメータ175を求めるユニット170へ当該測定量165を伝送することができる。前記測定量165はここでは、ソース端子140とドレイン端子145との間のチャネル領域135に流れる電流、または、ソース端子140とドレイン端子145との間の抵抗である。とりわけ、ゲート電極に準備電圧を印加すること、および、次に検出電圧を用いて測定量を検出することは、相互に連続して複数回行うこと、たとえば周期的に行うことができる。
【0027】
本発明の重要な背景は、トランジスタのスイッチオン直後のセンサベースラインを一定にするため、電気的なドリフトを最小化することである。トランジスタのチャネル領域135において不純物密度を高くすると、このトランジスタのドリフト特性はより強くなる。すなわち、動作中に動作点が変化する。このような動作点の変化により、本当の測定点を推定できなくなるか、または、動作点の予測不能な変化により、別の欠点も生じてしまう。本願にて開示するアプローチにより、素子における電圧のドリフトの偏差を防ぐことができるようになる。
【0028】
また、酸化物中の可動イオンの位置変化も、チャネル領域内の電界ないしは特性を変化させるので、動作点の変化にも繋がる。このような作用は、本願にて開示した発明によって改善することができる。
【0029】
化学的感応性のガスセンサを使用する際には、素子にかかるストレスを最小化するために動作方法のストラテジーが必要となる。本願にて開示したアプローチは、素子(すなわち電界効果トランジスタ)に印加するためのこのストラテジーを適合するための制御パラメータを提供するものである。
【0030】
本発明の重要な側面は動的な動作である。すなわち、ガス感応性素子を一定の電圧で動作させるのではなく、所定の動作ストラテジーを用いて動作させることである。動作中に(電界効果)トランジスタに一定バイアスストレスを使用すると、(とりわけチャネル領域において)不純物が飽和し、ひいては、可動イオンの分布状態を所定の分布状態にすることができ、これにより、動作点を一定にすることができる。その際には、素子は一定の動作点で動作するのではなく、ストレス点でも動作する。ないしは、ストレス期間または準備期間では動作電圧を変化させて(すなわち、準備電圧と検出電圧とで)動作する。よって、本願にて開示したアプローチは、動作中に(とりわけ、測定量の測定を行うためにチャネル領域135における)状態を一定にするために、一定バイアスストレスの作用を利用するということである。
【0031】
以下、図2のチャートを参照して、本願にて開示したアプローチの基本動作を詳細に説明する。このチャートでは、縦軸上に、複数の異なる時点t(横軸)における、ゲート電極115に印加された電圧の特性経過を示している。トランジスタ100のスイッチオン後(すなわち、スイッチオン時点tにおける、ガスパラメータの検出方法の初期化の開始後)に、測定動作または制御動作自体を行う前に、このトランジスタ100に事前ストレスをかける。すなわち、時点tと時点tとの間の準備期間t23においてゲート電極115に準備電圧UVSを印加する。可能な「ストレス」はたとえば、ドレイン電圧(すなわち、ソース端子とドレイン端子との間の電圧)を印加することなく、本来の動作点(すなわち、次の検出期間にて使用される動作電圧UES)を大きく上回る高いゲート電圧Uをゲート電極に印加することである。確かに、トランジスタ100(のチャネル領域)には電流は流れないが、高電界により、ゲート内に電子が引き込まれ、酸化物の空格子点が飽和する。準備期間t23が終了する時点tにおいて、ゲート電極115に検出電圧UESを印加し、時点tまでの検出期間t34の間に測定量165を、ここではたとえば、ソース領域140とドレイン領域145との間に電圧を印加した後にチャネル領域135に流れる電流を検出する。ゲート電極115ないしは絶縁層130の電気的特性にガス成分120が及ぼす作用は知られているので、このようにして、ユニット170において前記測定量165からガスパラメータ175を求めることができる。
【0032】
動作期間中にドリフトを戻すために、トランジスタ100に上述のようにストレスをかけること(すなわち、ゲート電極115に準備電圧UVSを印加すること)を動作中にも繰り返すことができる。こうするためにはたとえば、時点tの後(すなわち、検出期間の終了時点後)、時点tまでの(より短い)準備期間t45にわたってゲート電極115に準備電圧UVSを印加するステップを行うことができる。というのも、期間t23における最初の印加ステップにおいてすでに、チャネル領域135の半導体材料の状態を所望の状態に再リフレッシュするだけでよいように、トランジスタ100は準備されているからである。その後、時点tまでの第2の検出期間t56における後続の検出ステップにおいて、再び測定量を検出することができ、この測定量から再びガスパラメータ175を検出することもできる。このようにして、トランジスタの準備サイクルを繰り返してその後に測定量を検出することにより、任意の長さの期間にわたって、ガスパラメータを求める基礎である測定量を高精度で測定または検出することができる。
【0033】
これに代えて択一的に、または、別の使用環境では、たとえば(複数の)前記印加ステップにおいて、検出電圧UESの符号と異なる符号を有する準備電圧UVSを使用することも可能である。こうすることにより、たとえば、検出電圧の符号と同じ符号の準備電圧を用いた場合と異なってトランジスタ100のチャネル領域135が最適化されるようにすることができ、または、検出電圧の符号と同じ符号の準備電圧を用いた場合と異なる不純物または異なる可動イオンの作用の中性化に関して前記トランジスタ100のチャネル領域135を最適化することができる。その際には(複数の)準備期間を、検出電圧の符号と同じ符号を有する(複数の)準備電圧を選択した場合の準備期間の長さと同様または同一の長さとすることができる。しかし、準備電圧の大きさは必ず、検出電圧の値の大きさより大きくしなければならない。というのも、このようにして、チャネル領域135の半導体材料における妨害となる電気的特性がゲート電極115への印加により補償されることを補償できるからである。図3は、検出電圧UESの符号と異なる符号を有する準備電圧UVSを用いてゲート電極115に印加したときのゲート電極電圧Uの時間特性を示す基本図である。
【0034】
換言すると、別の手段として、トランジスタ100を深い蓄積状態に追いやる負のストレスをトランジスタにかけることが可能である。この蓄積動作状態ではトランジスタ100は導通状態ではないが、チャネル135には反転時と逆方向のキャリアが存在する。しかし、このキャリアもまた、酸化物キャリアの飽和の原因となる。酸化物中の空格子点がアクセプタ特性を有するかまたはドナー特性を有するかに応じて、種々のストレスメカニズムを変化させることができる。負のバイアス電圧(準備電圧)を使用したときのこのプロセス例を、図3のチャートに示す。高温のストレス場により、酸化物中の可動イオンを所定のようにシフトさせることも可能である。ストレス電圧を印加することにより、素子の状態をいわば本来の動作前に早めることができる。
【0035】
さらにたとえば、検出ステップにおいて(すなわち期間t23中に)測定量を測定または検出した後、ドリフトないしは不純物濃度の測定400を行うこともできる。この測定400の一例を、図4のチャートに示す。その際には、図3に示した準備電圧UVSを、検出電圧UESの符号と異なる符号として使用する。その後、この測定の結果を使用して、次のステップにおいて実施する、ゲート電極115への準備電圧の印加を決定することができる。これによってたとえば、チャネル領域135における半導体材料が当該チャネル領域135におけるドリフト現象ないしは不純物濃度に及ぼす影響を補償できるように準備電圧を選択することができる。こうすると、検出ステップにおいて、ゲート電極115に印加される電圧が低下したときに不純物濃度の緩和を明確に検出することができ、実際の状態に応じて半導体材料を可能な限り迅速に、測定量の検出に最適な状態に戻すことができる。ドリフト/不純物濃度の測定400はたとえば、準備電圧UVSの大きさより大きい絶対値(かつ異なる符号)を有する電圧Uをゲート電極115に印加することができる。このことにより、測定量のドリフトに影響を及ぼす実際の不純物濃度を検出することができる。その後、この測定したドリフトないしは不純物濃度に応じて、第2の準備期間t45中に実施される(第2の)印加ステップにおいて前記準備電圧を選択することができる。この準備電圧UVSの値としては、最初の準備期間t23において行われる最初の第1の印加と同じ値を使用しているので、上述のことは図4には示されていない。このことは図4において、符号410によって示されている。
【0036】
図5に、ガス感応性電界効果トランジスタ100を用いてガスパラメータを測定するための本発明の方法500の一実施例の基本的なフローチャートを示す。同図のこの方法500の実施例の図示内容については、図4に示したゲート電極115に印加するプロセスを用いている。このフローチャートでは、第1のステップにおいて、(たとえば図1の時点tにおいて)方法500を開始する510。次のステップにおいて、準備期間t23中に電界効果トランジスタ100のゲート電極に準備電圧UVSを印加するステップ520を実施する(この印加ステップ520は、トランジスタに「事前ストレス」をかけるステップと称することもできる)。その次に、検出ステップ520において、前記準備期間の直後の検出期間中に、前記準備電圧の絶対値より小さいレベル値を有する検出電圧をゲート電極に印加しながら、電界効果トランジスタのソース端子とドレイン端子との間の測定量を検出する。このステップでは、前記電界効果トランジスタは既知の動作モード(動作とも称する)で動作する。この検出ステップ530において測定量を検出すると、次の求めるステップ535において、前記測定量を用いて(すなわち前記測定量から)ガスパラメータを求める。さらに次のステップにおいて、測定量のドリフトを状態値547として測定する540。このドリフトはとりわけ、チャネル領域135における半導体材料の物理的状態を示唆するものである。この測定ステップ540は、さらに次の印加ステップ545の一部とすることもできる。測定ステップ540の後、計算ステップ540において、次の印加ステップ520に使用される(新たな)準備電圧UVS1を計算することができる。この計算した準備電圧(変化した場合には、変化した準備電圧)UVS1をゲート電極115に印加した後、再び、測定量の検出ステップ530と、当該測定量からガスパラメータを求めるステップ535とを行う。
【0037】
上述のアプローチはこのようにして、動作(モード)中(ないしは動作(モード)後)に再び短時間にわたって、前記ゲート電極115に準備電圧を印加するストレスモードに切り替えて動作点のドリフトを解消するプロセスを可能にするものである。
【0038】
また、具体的な実際の使用例に可能な限り適合した準備電圧を設定するためには、より詳しい規則にしたがって上述の準備電圧ないしはこの準備電圧を計算することもできる。このようなアプローチにより、たとえば別の測定方式を用いて発生したドリフトを測定し、これに適用されるストレス信号を前記測定された不純物から計算するという別の可能な手段が実現される。こうするためにはたとえば、半導体製造技術から知られているチャージポンプ法を(場合によっては応用形態で)使用することができる。したがって、このチャージポンプ法(または、この手法から派生した手法)を、電界効果トランジスタ100における蓄積状態の閾値を求めるのに使用することができる。しかし、チャージポンプ法と異なり、この測定手法ではトランジスタ100に第4の端子を設けなくてもよい。
【0039】
このようなアプローチを用いることにより、深い蓄積状態に移行するようにトランジスタにパルスを印加して、動作中にフラットバンド電圧を測定することが可能となる。このことは、(たとえばn型トランジスタの場合)負の電圧を一時的に印加することにより実現される。このようにして、フラットバンド電圧に達すると不純物の荷電反転が行われる。フラットバンド電圧とは、外部から印加され半導体において最小電界を引き起こす電圧を指す。その後に、トランジスタの輸送特性曲線600(すなわち、たとえばドレイン端子145に対してゲート電極115に電圧を印加したときにソース端子140とドレイン端子145との間の電流を表す特性曲線)を測定すると、不純物の荷電反転が生じたか否かを特定することができる。図6Aおよび6Bに、電界効果トランジスタ100のこのような輸送特性曲線600を示す。ここでは、輸送特性曲線600を求めるために、まず最初に、前記輸送特性曲線600の第1の(上昇する)曲線610を得るために、上昇する電圧レベルをゲート電極115に印加し、その次に、当該輸送特性曲線600の第2の(下降する)曲線620を得るために、下降する電圧レベルを前記ゲート電極115に印加する。図6Aには、フラットバンド電圧を下回った場合の輸送特性曲線600を示しているのに対し、図6Bには、このフラットバンド電圧を下回らなかった場合の輸送特性曲線を示している。ここでは、この輸送特性曲線600の勾配は、ゲート電極115に印加された電圧に依存して変化し、また、この輸送特性曲線600は、上昇すると測定された輸送特性曲線(曲線610)と下降すると測定された輸送特性曲線(曲線620)との間にヒステリシスを形成する。図6Aに示した輸送特性曲線600では、上昇するゲート電圧の場合のソース端子140とドレイン端子145との間の電流の値と、下降するゲート電圧の場合のソース端子140とドレイン端子145との間の電流の値との間に大きな差630が生じること(いずれも、ゲート電圧値640が等しいとき)が示されている。このことにより、チャネル領域135の半導体材料中の不純物の荷電反転が生じたことを推定することができる。それに対し、図6Bに示した輸送特性曲線600では、上昇するゲート電圧の場合にチャネル領域に流れる電流と、下降するゲート電圧の場合にチャネル領域に流れる電流との間には小さい差630(これもそれぞれ、ゲート電圧値640が等しいとき)のみが生じている。本願にて開示したこのようなアプローチにより、チャネル領域における半導体材料中の不純物の荷電反転が生じなくなる、ゲート電極に印加される電圧を求めることができ、この電圧により、測定量の検出に妨害となる影響が及ぼされる可能性を無くすことができる。よって、不純物の作用が中性化される電圧の境界をこのようにテストすることにより、動作点を求めること、ないしは、測定量の測定のための実際の使用シナリオまたは測定シナリオにて実際に用いるべき、検出期間中にゲート電極に印加すべき検出電圧を求めることができる。たとえば、上述の輸送特性曲線600を評価して、上昇する輸送特性曲線610上の1つの値と、下降する特性曲線620上の1つの値との間の差が閾値を超えるか否か、すなわち、測定量のドリフトが過度に大きくてもはや許容範囲外にあるか否かを判定することができる。この場合にはその後、検出に使用される検出電圧の適合または変更を行うことができ、たとえば、検出電圧を上昇または下降させることができる。複数の負の電圧をテストすることにより、それぞれ対応する電圧においてフラットバンドを超えたか否かを特定することができる。このフラットバンド電圧を超えると、輸送曲線は所定の電圧領域だけシフトする。
【0040】
本発明は、電界効果をベースとする素子を用いた半導体をベースとするセンサ全般において、特に、トランジスタを用いた半導体をベースとするガスセンサにおいて使用することができる。
【0041】
上述にて説明し図面に示した実施例は、単に一例として選択したものに過ぎず、複数の異なる実施例全体を相互に組み合わせること、または、これらの実施例の一部の特徴を相互に組み合わせることも可能である。また、各実施例にさらに別の実施例の一部の特徴を補足することも可能である。
【0042】
さらに、本発明の方法の各ステップを繰り返して実施することも、また、ここで記載した順序と異なる順序で実施することも可能である。
【0043】
いずれかの実施例において、第1の特徴と第2の特徴とが「および/または」によって結合されている場合には、この実施例は、第1の特徴と第2の特徴との双方を含む実施形態と、第1の特徴または第2の特徴のいずれかのみを含む別の実施形態とを含むと解すべきである。
【符号の説明】
【0044】
100 ガス感応性電界効果トランジスタ
110 制御装置
115 ゲート電極
120 気体成分
125 混合気/混合流体
130 絶縁層
135 チャネル領域
140 ソース端子
145 ドレイン端子
150 ゲート電極115に準備電圧を印加するためのユニット
165 測定量
175 ガスパラメータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B