特許第6238625号(P6238625)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238625
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】シート処理装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/60 20060101AFI20171120BHJP
   B65H 29/58 20060101ALI20171120BHJP
   B65H 31/32 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   B65H29/60 B
   B65H29/58 B
   B65H31/32
【請求項の数】14
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-160374(P2013-160374)
(22)【出願日】2013年8月1日
(65)【公開番号】特開2014-61994(P2014-61994A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2016年7月29日
(31)【優先権主張番号】特願2012-187639(P2012-187639)
(32)【優先日】2012年8月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082337
【弁理士】
【氏名又は名称】近島 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141508
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 隆史
(72)【発明者】
【氏名】蒲生 洋平
【審査官】 冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−194582(JP,A)
【文献】 特開2010−173758(JP,A)
【文献】 特開2002−68572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H5/02、5/06、29/12−29/22、29/54−31/40
G03G15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理を行うシートを積載するシート積載部と、
前記シート積載部に向かってシートを搬送する第1シート搬送部と、
前記シート積載部と前記第1シート搬送部の間のシート搬送路から分岐して設けられ、シート積載部上のシート束が処理されている間、次に処理されるシートを待機させる待機部と、
前記シート積載部と前記待機部の間の前記シート搬送路に正逆転可能に設けられ、正転によりシートを前記シート積載部へ向けて搬送し、逆転によりシートを前記待機部に搬送する第2シート搬送部と、
前記待機部に正逆転可能に設けられ、前記第2シート搬送部により前記待機部に搬送されたシートを逆転により前記待機部に引き込んで待機させ、待機シートを正転により前記第2シート搬送部に搬送する第3シート搬送部と、
前記第1シート搬送部により順次搬送されるシートを直前の待機シートに対してシート搬送方向に順次ずらして重ねると共に、重なった状態のシートを前記待機部に搬送して待機させるよう前記第2シート搬送部及び前記第3シート搬送部を駆動する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1シート搬送部により搬送されるシートと直前に前記待機部に引き込まれて待機していた待機シートとの間のずらし量を、前記待機部へ引き込むシートの枚数が第1枚数の場合に、前記待機部へ引き込むシートの枚数が前記第1枚数よりも小さな第2枚数の場合よりも少なく設定する、ことを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
前記待機部へ引き込むシートの枚数が多いほど、前記ずらし量を減少させるように前記制御部が制御することを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
処理を行うシートを積載するシート積載部と、
前記シート積載部に向かってシートを搬送する第1シート搬送部と、
前記シート積載部と前記第1シート搬送部の間のシート搬送路から分岐して設けられ、シート積載部上のシート束が処理されている間、次に処理されるシートを待機させる待機部と、
前記シート積載部と前記待機部の間の前記シート搬送路に正逆転可能に設けられ、正転によりシートを前記シート積載部へ向けて搬送し、逆転によりシートを前記待機部に搬送する第2シート搬送部と、
前記待機部に正逆転可能に設けられ、前記第2シート搬送部により前記待機部に搬送されたシートを逆転により前記待機部に引き込んで待機させ、待機シートを正転により前記第2シート搬送部に搬送する第3シート搬送部と、
前記第1シート搬送部により順次搬送されるシートを直前の待機シートに対してシート搬送方向に順次ずらして重ねると共に、重なった状態のシートを前記待機部に搬送して待機させるよう前記第2シート搬送部及び前記第3シート搬送部を駆動する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記シート積載部に排出される際の重ねられたシート枚数が第1枚数の場合には、前記待機部に最初に引き込まれる1枚目のシートとそれに続く2枚目のシートとのずらし量を、前記シート積載部に排出される際の重ねられたシート枚数が前記第1枚数よりも小さい第2枚数の場合よりも、少なく設定する、ことを特徴とするシート処理装置。
【請求項4】
前記待機部のシート搬送方向上流に位置し、搬送されてきたシートが通過するタイミングを検知する検知部と、
前記第3シート搬送部を駆動する駆動部と、を備え、
前記制御部は、前記検知部のシート検知タイミングに基づき、設定された前記ずらし量となるように前記第3シート搬送部の正転を開始するタイミングを早くするよう前記駆動部を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項5】
前記待機部のシート搬送方向上流に位置し、搬送されてきたシートが通過するタイミングを検知する検知部と、
前記第3シート搬送部を駆動する駆動部と、を備え、
前記制御部は、前記検知部のシート検知タイミングに基づき、設定された前記ずらし量となるように前記第3シート搬送部の正転速度を速くするよう前記駆動部を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項6】
前記待機部のシート搬送方向上流に位置し、搬送されてきたシートが通過するタイミングを検知する検知部と、
前記第1シート搬送部を駆動する駆動部と、を備え、
前記制御部は、前記検知部のシート検知タイミングに基づき、設定された前記ずらし量となるように前記第1シート搬送部のシート搬送速度を遅くするよう前記駆動部を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項7】
前記待機部は、前記シート搬送路から分岐する湾曲パスを有し、
前記第1シート搬送部により搬送されたシートは、前記湾曲パスに搬送されたシートの上にシート搬送方向下流にずらして重ねられることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項8】
前記シート積載部は、シートのシート搬送方向上流端を受け止めるストッパを備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項9】
処理を行うシートを積載するシート積載部と、
前記シート積載部に向かってシートを搬送する第1シート搬送部と、
前記シート積載部と前記第1シート搬送部の間のシート搬送路から分岐して設けられ、シート積載部上のシート束が処理されている間、次に処理されるシートを待機させる待機部と、
シートを前記待機部に搬送する第2シート搬送部と、
前記第1シート搬送部により順次搬送されるシートを直前の待機シートに対して前記第1シート搬送部のシート搬送方向に順次ずらして重ねると共に、重なった状態のシートを前記待機部に待機させるよう前記第2シート搬送部を駆動する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1シート搬送部により搬送されるシートと直前に前記待機部に引き込まれて待機していた待機シートとの間のずらし量を、前記待機部へ引き込むシートの枚数が第1枚数の場合に、前記待機部へ引き込むシートの枚数が前記第1枚数よりも小さな第2枚数の場合よりも少なく設定することを特徴とするシート処理装置。
【請求項10】
前記待機部に正逆転可能に設けられ、前記第2シート搬送部により前記待機部に搬送されたシートを逆転により前記待機部に引き込んで待機させ、待機シートを正転により前記第2シート搬送部に搬送する第3シート搬送部を備え、
前記制御部は、前記第2シート搬送部と共に前記第3シート搬送部を、前記シートの重ね合わせの際に駆動させることを特徴とする請求項9記載のシート処理装置。
【請求項11】
前記待機部は、循環パスを有することを特徴とする請求項9に記載のシート処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、1枚目のシートと2枚目のシートとのずらし量を、前記シート積載部に排出される際の重ねられたシートの枚数が所定枚数であるときの場合、前記シート積載部に排出される際の重ねられるシートの枚数が前記所定枚数よりも少ない枚数であるときの場合よりも、少なく設定する、ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項記載のシート処理装置。
【請求項13】
前記制御部は、2枚目のシートと2枚目のシートに続く3枚目のシートとのずらし量を、前記シート積載部に排出される際の重ねられたシートの枚数が所定枚数であるときの場合、前記シート積載部に排出される際の重ねられるシートの枚数が前記所定枚数よりも少ない枚数であるときの場合よりも、少なくする、ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項記載のシート処理装置。
【請求項14】
シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部によって画像を形成されたシートを処理する請求項1乃至13のいずれか1項に記載のシート処理装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに対して処理を施すシート処理装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機等の画像形成装置においては、画像を形成したシートに対し綴じ処理、ソート処理等の処理を行うシート処理装置を備えたものがある。このようなシート処理装置としては、装置内に中間処理トレイを設け、この中間処理トレイに複数のシートを積載してシート束を形成し、このシート束に対して綴じ処理を行うものが広く用いられている。
【0003】
そして、このようなシート処理装置では、シートに綴じ処理を施す場合、ある一定の処理時間が必要になる。ここで、シート処理装置にシートを出力する画像形成装置の画像形成速度にも依存するが、処理されるシート束の最終シートが中間処理トレイに排出されてから次のシートが排紙されるまでに綴じ処理を完了できずに、処理時間がシートの排紙間隔を超える場合がある。この場合、先行シート束の綴じ処理を行うためには、後続シートの画像形成を中断させる必要があるが、画像形成を中断させると、生産性が低下する。
【0004】
そこで、従来、特開2010−173758号公報では、例えば中間処理トレイで先行シート束に対する綴じ処理が行われている間、後続シート束の先頭の数枚を一時待機させるバッファリング処理を行うようにしたシート処理装置が開示されている。具体的には、このシート処理装置は、シートを搬送する搬送路から分岐した分岐路を設け、バッファ処理を行う際には、この分岐路にシートを待機させるように構成されている。また、複数枚のシートを待機させる場合、分岐路で待機させているシートを、後続のシートが搬送されて来るのに合わせて分岐路から搬送路に戻し、これら重ね合わされたシートを分岐路にて待機させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−173758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、画像形成装置の画像形成速度は年々上昇している。このため、バッファリング処理により綴じ処理の時間を確保するためには、バッファリング処理において重ね合わせるシートの枚数を増加させる必要がある。しかし、重ね合わせるシートの枚数が増加すると、シートが上述した分岐路を出入りする回数も増加する。ここで、シートが分岐路に出入りする際に、この分岐路から搬送抵抗を受けるため、分岐路を出入りする回数の増加に応じて重ね合わせたシート間のずれが大きくなる。搬送抵抗としては例えば搬送ガイドとの摺擦によるものが考えられ、重ね合わせたシート間のずれは、分岐路の固定ガイドとの摺擦により広がるので、シートの分岐路への出入りする回数が増加すると、シート間のずれが固定ガイドとの摺擦回数に比例して大きくなる。すなわち、重ねられたシートのうち最後に重ねられるシートと、その前に重ねられたシートでは、前に重ねられたシートの方が固定ガイドとの摺擦の影響を受ける回数が1回多く、前に重ねられたシートほどその後に重ねられたシートとのずれが大きくなる。
【0007】
このため、上述したシート処理装置では、重ね合わせるシートの枚数が増加すると、シート間のずれが大きくなって、シートの重ね合わせ量が、処理トレイに排出された際に整合することができる所定の重ね合わせ量よりも大きくなってしまい、整合不良が発生する虞があった。
【0008】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、整合不良を発生させることなくシートの待機処理を行うことのできるシート処理装置及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るシート処理装置は、処理を行うシートを積載するシート積載部と、前記シート積載部に向かってシートを搬送する第1シート搬送部と、前記シート積載部と前記第1シート搬送部の間のシート搬送路から分岐して設けられ、シート積載部上のシート束が処理されている間、次に処理されるシートを待機させる待機部と、前記シート積載部と前記待機部の間の前記シート搬送路に正逆転可能に設けられ、正転によりシートを前記シート積載部へ向けて搬送し、逆転によりシートを前記待機部に搬送する第2シート搬送部と、前記待機部に正逆転可能に設けられ、前記第2シート搬送部により前記待機部に搬送されたシートを逆転により前記待機部に引き込んで待機させ、待機シートを正転により前記第2シート搬送部に搬送する第3シート搬送部と、前記第1シート搬送部により順次搬送されるシートを直前の待機シートに対してシート搬送方向に順次ずらして重ねると共に、重なった状態のシートを前記待機部に搬送して待機させるよう前記第2シート搬送部及び前記第3シート搬送部を駆動する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1シート搬送部により搬送されるシートと直前に前記待機部に引き込まれて待機していた待機シートとの間のずらし量を、前記待機部へ引き込むシートの枚数が第1枚数の場合に、前記待機部へ引き込むシートの枚数が前記第1枚数よりも小さな第2枚数の場合よりも少なく設定する、ことを特徴とする。
また、本発明に係るシート処理装置は、処理を行うシートを積載するシート積載部と、前記シート積載部に向かってシートを搬送する第1シート搬送部と、前記シート積載部と前記第1シート搬送部の間のシート搬送路から分岐して設けられ、シート積載部上のシート束が処理されている間、次に処理されるシートを待機させる待機部と、前記シート積載部と前記待機部の間の前記シート搬送路に正逆転可能に設けられ、正転によりシートを前記シート積載部へ向けて搬送し、逆転によりシートを前記待機部に搬送する第2シート搬送部と、前記待機部に正逆転可能に設けられ、前記第2シート搬送部により前記待機部に搬送されたシートを逆転により前記待機部に引き込んで待機させ、待機シートを正転により前記第2シート搬送部に搬送する第3シート搬送部と、前記第1シート搬送部により順次搬送されるシートを直前の待機シートに対してシート搬送方向に順次ずらして重ねると共に、重なった状態のシートを前記待機部に搬送して待機させるよう前記第2シート搬送部及び前記第3シート搬送部を駆動する制御部と、を備え、前記制御部は、前記シート積載部に排出される際の重ねられたシート枚数が第1枚数の場合には、前記待機部に最初に引き込まれる1枚目のシートとそれに続く2枚目のシートとのずらし量を、前記シート積載部に排出される際の重ねられたシート枚数が前記第1枚数よりも小さい第2枚数の場合よりも、少なく設定する、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るシート処理装置は、処理を行うシートを積載するシート積載部と、前記シート積載手段に向かってシートを搬送する第1シート搬送部と、前記シート積載部と前記第1シート搬送部の間のシート搬送路から分岐して設けられ、シート積載部上のシート束が処理されている間、次に処理されるシートを待機させる待機部と、シートを前記待機部に搬送する第2シート搬送部と、前記第1シート搬送部により順次搬送されるシートを直前の待機シートに対して前記第1シート搬送部のシート搬送方向に順次ずらして重ねると共に、重なった状態のシートを前記待機部に待機させるよう前記第2シート搬送部を駆動する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1シート搬送部により搬送されるシートと直前に前記待機部に引き込まれて待機していた待機シートとの間のずらし量を、前記待機部へ引き込むシートの枚数が第1枚数の場合に、前記待機部へ引き込むシートの枚数が前記第1枚数よりも小さな第2枚数の場合よりも少なく設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のように、待機シートの搬送シートとのずらし量を、待機部に引き込むシートの枚数に応じて設定することにより、整合不良を発生させることなくシートの待機処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施の形態に係るシート処理装置を備えた画像形成装置の一例であるカラー複写機の構成を示す図。
図2】上記シート処理装置であるフィニッシャの構成を説明する図。
図3】上記フィニッシャに設けられたステイプル部の構成を説明する図。
図4】上記ステイプル部に設けられた側端規制部の構成を説明する図。
図5】上記カラー複写機の制御ブロック図。
図6】上記フィニッシャの制御ブロック図。
図7】上記フィニッシャのシート重ね合わせ処理動作を説明するフローチャート。
図8】(a)上記フィニッシャのシートの重ね合わせ動作において、最初のシートが第1バッファローラ対に受け渡された状態を示す図、(b)第1バッファローラ対が逆転して上記最初のシートが分岐路に向けて搬送されている状態を示す図、(c)上記最初のシートが第2バッファローラ対に受け渡された状態を示す図。
図9】(a)フィニッシャのシートの重ね合わせ動作において、後続のシートが搬送されてきた状態を示す図、(b)後続のシートに合せて分岐路で待機していた最初のシートが搬送路に搬送されている状態を示す図、(c)最初のシートと後続のシートとが重ね合わされた状態を示す図。
図10】(a)上記シートの重ね合わせ動作において、重ね合わされたバッファシートを中間処理トレイに排出する際の状態を示す図、(b)バッファシートが排出ローラ対に受け渡された状態を示す図、(c)排出ローラ対によりバッファシートが後端ストッパに向けて搬送されている図。
図11】(a)排出ローラ対によりバッファシートが後端ストッパに向けて搬送されている図、(b)開閉ガイドが開いてバッファシートが排出ローラ対から離された状態を示す図、(c)バッファシートが整合された状態を示す図。
図12】上記フィニッシャの分岐路を通過する際のシートの動作を説明する図。
図13】上記分岐路を通過する際に生じるずれ量の変化を説明する図。
図14】上記フィニッシャのずれ量制御を説明する図。
図15】第2の実施の形態に係るフィニッシャのシート重ね合わせ処理動作を説明するフローチャート。
図16】上記フィニッシャの他の構成を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施の形態>
<画像形成装置の全体構成>
以下、本発明に係る第1の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。図1は、第1の実施の形態に係るシート処理装置を備えたカラー複写機の構成を示す図である。図1に示すように、画像形成装置の一例としてのカラー複写機900は、カラー複写機本体(以下、複写機本体という)902、その上部に設けられた原稿読み取り部(イメージリーダ)940、複数の原稿を連続して読み取るための原稿搬送装置950を備えている。
【0014】
複写機本体902は、画像形成するための通常のシートPを積載する給紙カセット909a,909b、電子写真プロセスを用いてシート上にトナー画像を形成する画像形成部903、シートに形成されたトナー画像を定着させる定着部904等を備えている。また、カラー複写機900は、複写機本体902の上面に設けられ、ユーザが複写機本体902に対して各種入力/設定を行うための操作部901及び、複写機本体902の側方に接続されるシート処理装置としてのフィニッシャ100を備えている。更に、カラー複写機900は、複写機本体902内に、複写機本体902及びフィニッシャ100の制御を司るCPU回路部630を備えている。
【0015】
そして、このようなカラー複写機900において、原稿の画像をシートに形成する際には、まず原稿搬送装置950により搬送された原稿の画像を、原稿読み取り部940に設けられたイメージセンサ940aにより読み取る。この後、読み取られたデジタルデータは露光部908に入力され、露光部908は、このデジタルデータに応じた光を画像形成部903に設けられた感光体ドラム914(914a〜914d)に照射する。このように光が照射されると、感光体ドラム表面に静電潜像が形成され、この静電潜像を現像することにより、感光体ドラム表面にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色トナー画像が形成される。
【0016】
次に、これら4色のトナー画像を、給紙カセット909a,909bから給送されたシート上に転写し、この後、シート上に転写されたトナー像を、定着部904により定着する。そして、印刷モードがシートの片面に画像を形成するモードであれば、このようにトナー画像が定着された後、そのまま、シートは排出ローラ対907から、複写機本体902の側部に接続されたフィニッシャ100に排出される。
【0017】
また、印刷モードがシートの両面に画像を形成するモードであれば、シートを定着部904から反転ローラ905に受け渡しし、この後、所定のタイミングで反転ローラ905を反転させ、シートを両面搬送ローラ906a〜906fの方向へ搬送する。そして、この後、再度、シートを画像形成部903に搬送し、裏面にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像を転写する。なお、このように裏面に4色のトナー像が転写されたシートは、再度、定着部904に搬送されてトナー画像が定着され、この後、排出ローラ対907から排出され、フィニッシャ100に搬送される。
【0018】
<フィニッシャの全体構成>
フィニッシャ100は、複写機本体902から排出されたシートを順に取り込み、取り込んだ複数のシートを整合して1つの束に束ねる処理、シート束の後端側をステイプルするステイプル処理(綴じ処理)、製本処理等の処理を行うようになっている。そして、フィニッシャ100は、シート束を綴じる綴じ部としてのステイプル部190及びシート束を二つ折りにして製本するサドルユニット135を備えている。
【0019】
フィニッシャ100は、図2に示すように、シートを装置内部に取り込むための入口ローラ対108を備えており、複写機本体902から排出されたシートは、入口ローラ対108に受け渡される。なお、この時、不図示の入口センサによりシートの受渡しタイミングも同時に検知される。
【0020】
入口ローラ対108により搬送パス103に搬送されたシートは、シートの幅方向の端部位置を横レジ検知センサ109により検知され、フィニッシャ100のシート搬送路のセンター(中央)位置に対してどの程度、幅方向のずれが生じているかが検知される。また、このように幅方向のずれ(以下、横レジ誤差という)が検知されると、シフトユニット110が手前方向、或は奥方向に所定量移動するシフト動作が実施されて、シートの横レジ誤差が補正される。なお、ここで、「手前(前)」は、ユーザが図1に示す操作部901に臨んで立つ際の装置の前面側を言い、「奥」とは装置の背面側を指す。
【0021】
次に、シートは搬送ローラ対201により搬送され、中間処理トレイ138と搬送ローラ対201の間のシート搬送路である搬送路202を通り、第1バッファローラ対203に達する。この後、上トレイ214に排出される場合は、上パス切換部材212が不図示のソレノイド等の駆動部により、矢印方向に回動する。これにより、第1バッファローラ対203により搬送されたシートは上排出ローラ対213により上トレイ214に排出される。
【0022】
また、シートを下方の積載トレイ137に排出する場合、第1バッファローラ対203により搬送されたシートは、上パス切換部材212により中間処理トレイ138側へと導かれる。そして、搬送ローラ対215,217及び下排出ローラ対128により中間処理トレイ138に順次搬送される。そして、搬送されたシートは、後述する戻し部により、中間処理トレイ上でシート束となるように整合処理される。
【0023】
次に、このように中間処理トレイ上で整合処理されたシート束は、必要に応じて綴じ部を構成するステイプラ132により綴じ処理が施され、この後、束排出ローラ対130により下方の積載トレイ137に排出される。なお、フィニッシャ100は、不図示のインサータが装着された際には、シート搬送路250を介して、インサータからのシートが供給される。また、綴じ部であるステイプラ132は、シート搬送方向と直交する幅方向(以下、奥行き方向という)に移動自在であり、シート束のシート搬送方向の上流端部(シート搬送方向の一端部)である後端部の複数箇所を綴じ処理することができる。一方、シートをサドル(中綴じ)処理する場合には、不図示のソレノイド等の駆動部によりサドルパス切換部材125を切り換えてサドルユニット135(図1参照)に向かわせる。また、これらステイプラ132、サドルユニット135を備えて、シートに対して処理を施すフィニッシャ100の処理部が構成されている。
【0024】
<ステイプル部周りの構成>
次に、中間処理トレイ138を備えたステイプル部190周りの構成について説明する。中間処理トレイ138は、図3に示すようにシート束のシート搬送方向に対して下流側(図3の左側)を上方に、上流側(図3の右側)を下方に傾斜して配設されており、中間処理トレイ138の上流側である下方端部には後端ストッパ150が配置されている。なお、中間処理トレイ138は、水平であってもよい。
【0025】
中間処理トレイ138の中間部には図4に示すような前及び奥整合部340A,341Aを備える。そして、前及び奥整合部340A,341Aは、中間処理トレイ138に搬送されたシートの幅方向の両側端位置を規制(整合)する幅方向整合部(側端規制部)となっている。ここで、前及び奥整合部340A,341Aは、整合面を構成する整合部340a,341aを有する前及び奥整合板(整合部材)340,341と、前及び奥整合板340,341を夫々独立して駆動する前及び奥整合板モータM340,M341とを備えている。
【0026】
そして、シートの両側端位置を規制する際は、前及び奥整合板モータM340,M341の駆動を、前及び奥整合板モータM340,M341と共に駆動部を構成するタイミングベルトB340,B341を介して前及び奥整合板340,341に伝達する。これにより、シートに接離可能に当接する前及び奥整合板340,341は、中間処理トレイ138に対して幅方向に沿って独立して移動し、中間処理トレイ138上に積載されたシートの両側端に当接してシートを整合する。
【0027】
すなわち、前整合板340及び奥整合板341は中間処理トレイ138上に、各整合部(整合面)340a,341aを対向させて配置され、かつ整合方向に移動可能なように組み付けられている。この結果、シート(あるいはシート束)が幅方向にシフトして搬送されてきた場合でも、この前及び奥整合板340,341により、中間処理トレイ138上のシートの位置を整合することができる。
【0028】
また、一方の整合板、例えば前整合板340の整合面を構成する整合部340aは、前整合板340の本体340bとの間に引っ張りバネ345が設けられている。そして、この引っ張りバネ345と移動リンク346,347により、整合部340aは所定量Lだけシート側に突出するようになっている。そして、シートの側端位置を規制する際、整合部340aがシートに圧接すると、圧接部である整合部340aは引っ張りバネ345に抗しながら本体側に移動するようになっている。なお、前及び奥整合板340,341には、それぞれのホームポジションを検知するセンサS340,S341が配置されており、それぞれのモータとセンサで前及び奥整合板340、341の位置を制御している。
【0029】
また、図3に示すように中間処理トレイ138のシート搬送方向下流(引き込み方向上流)側の上方には引き込みパドル131と開閉ガイド149が配置されている。ここで、引き込みパドル131は、中間処理トレイ138の上方に配設され、不図示のパドル駆動モータによって回転する駆動軸157上に沿って複数固定されている。そして、パドル駆動モータにより、適切なタイミングで図3において反時計方向に回転するようになっている。
【0030】
また、図3において、100Cはシートの搬送方向の位置を整合する搬送方向整合部であるシート後端整合部、100Dは排出口である。このシート後端整合部100Cは、上記引き込みパドル131と、ベルトローラ158と、後端レバー159と、搬送方向上流端と当接する(受け止める)後端ストッパ150を備えている。そして、中間処理トレイ上へ搬送されたシートは、既述した引き込みパドル131及びこのベルトローラ158の反時計方向の回転によって、後端レバー159にガイドされながら、後端ストッパ150に搬送方向上流端が突き当てられる。これにより、シートの搬送方向の位置が整合される。
【0031】
ここで、無端状のベルトであるベルトローラ158は、中間処理トレイ138の上方に昇降可能(移動可能)に設けられると共に、下排出ローラ対128を構成する第1排出ローラ128aの外周に巻き掛けられている。また、ベルト移動部材161の先端に設けられた挟持コロA162、挟持コロB163によって挟持されている。
【0032】
そして、このように挟持コロA162及び挟持コロB163によって挟持された形で、ベルトローラ158は、その下方部が中間処理トレイ138上に積載された最上シートと接するような位置関係で第1排出ローラ128aの回転に従動して反時計方向に回転する。これにより、中間処理トレイ138上に搬送されたシートは搬送方向と逆方向に搬送され、シートのシート搬送方向の一端であるシート搬送方向上流側端が後端ストッパ150に当接する。また、ベルトローラ158は、ベルト移動部材161を矢印方向に移動することで形状を弾性変化させることができ、最上シートと接する位置を上下移動することができる。
【0033】
また、図3に示すように開閉ガイド149は、支持軸154を中心に回動可能に支持されると共に、中間処理トレイ138に対向した上側の搬送ガイドとして配置されている。この開閉ガイド149は、中間処理トレイ138の下流側端部に設けられた下部束排出ローラ130aと共に束排出ローラ対130を構成する上部束排出ローラ130bを回転自在に保持している。
【0034】
そして、このような上部束排出ローラ130bを、下部束排出ローラ130aに対して接離自在に保持する開閉ガイド149の揺動に伴って上部束排出ローラ130bは、下部束排出ローラ130aに対して接離するようになっている。なお、通常、シートが中間処理トレイ138上に搬送されるとき、開閉ガイド149は上方へ揺動し、これに伴い上部束排出ローラ130bが、束排出ローラ対130の他方のローラである下部束排出ローラ130aから離れた開口状態となる。これにより、下排出ローラ対128から搬送されたシートは、中間処理トレイ138の傾斜及び引き込みパドル131の作用によって、中間処理トレイ138の積載面上、又は中間処理トレイ138に積載されたシート上を滑降する。
【0035】
また、中間処理トレイ138上でのシートの処理が終了したとき、開閉モータM149の回転により開閉ガイド149は下方に揺動し、上部束排出ローラ130bと下部束排出ローラ130aとでシート束を挟むようになっている。なお、束排出ローラ対130(例えば、下部束排出ローラ130a)は、不図示の束排出駆動モータによって正逆回転可能となっている。
【0036】
そして、この後、このように上部束排出ローラ130bと下部束排出ローラ130aとによってシート束を挟持した状態で束排出ローラ対130が回転することにより、シート束は、排出口100Dから下方の積載トレイ137に排出される。ここで、積載トレイ137は排出方向下流側が高くなるように傾斜している。このため、積載トレイ137に排出されると、シート束の排出方向上流端が積載トレイ137の傾斜により排出口100Dの下方に設けられた規制部材である積載壁170に当接し、これによりシート束の排出方向上流端位置が規制される。
【0037】
<制御部の構成>
図5は、カラー複写機900の制御ブロック図である。CPU回路部630は、CPU629、制御プログラム等を格納したROM631、制御データを一時的に保持するための領域や、制御に伴う演算の作業領域として用いられるRAM660を有している。また、図5において、637はカラー複写機900と外部PC(コンピュータ)620とを接続する外部インターフェイスである。この外部インターフェイス637は外部PC620からのプリントデータを受信すると、このデータをビットマップ画像に展開し、画像データとして画像信号制御部634へ出力する。
【0038】
そして、この画像信号制御部634は、このデータをプリンタ制御部635へ出力し、プリンタ制御部635は、画像信号制御部634からのデータを不図示の露光制御部へ出力する。なお、イメージリーダ制御部633から画像信号制御部634へは、イメージセンサ940a(図1参照)で読み取った原稿の画像データが出力され、画像信号制御部634は、この画像出力をプリンタ制御部635へ出力する。
【0039】
また、操作部901は、画像形成に関する各種機能を設定するための複数のキー及び設定状態を表示するための表示部等を有している。そして、ユーザによる各キーの操作に対応するキー信号をCPU回路部630に出力すると共に、CPU回路部630からの信号に基づき対応する情報を表示部に表示する。
【0040】
CPU回路部630は、ROM631に格納された制御プログラム及び操作部901の設定に従い、画像信号制御部634を制御すると共に、原稿搬送装置制御部632を介して原稿搬送装置950(図1参照)を制御する。また、イメージリーダ制御部633を介して原稿読み取り部940(図1参照)を、プリンタ制御部635を介して画像形成部903(図1参照)を、フィニッシャ制御部636を介してフィニッシャ100をそれぞれ制御する。
【0041】
なお、本実施の形態において、フィニッシャ制御部636はフィニッシャ100に搭載され、CPU回路部630と情報のやり取りを行うことによってフィニッシャ100の駆動制御を行う。そして、これらCPU回路部630や、フィニッシャ制御部636などを備えてフィニッシャを制御する制御部を構成している。なお、フィニッシャ制御部636をCPU回路部630と一体的に複写機本体側に配設し、複写機本体側から直接、フィニッシャ100を制御するようにしてもよい。
【0042】
図6は本実施の形態に係るフィニッシャ100の制御ブロック図である。フィニッシャ制御部636は、CPU(マイコン)701、RAM702、ROM703、入出力部(I/O)705、通信インターフェイス706、ネットワークインターフェイス704等で構成されている。また、フィニッシャ制御部636は、入出力部(I/O)705に接続された搬送制御部707、中間処理トレイ制御部708及び綴じ制御部709を備えている。
【0043】
ここで、搬送制御部707は、シートの横レジ検知処理、シートバッファリング処理、搬送処理の制御を行うものである。この搬送制御部707には、後述する第2バッファローラ対206を正逆転駆動する駆動部であるバッファモータM1、搬送ローラ対201を駆動する駆動部である搬送モータM2等が接続されている。そして、搬送制御部707は、例えば、搬送センサ235からの検知信号を基準にしてバッファモータM1の逆転のタイミングを制御し、第2バッファローラ対206によるシートの搬送開始タイミングを制御する。中間処理トレイ制御部708は、既述した前、後整合板の動作制御、引き込みパドルの動作制御、ベルトローラの移動操作制御、開閉ガイドの開閉制御を行うものである。綴じ制御部709は、ステイプラ132による綴じ処理を制御するものである。
【0044】
<バッファリング処理>
ついで、複数枚のシートを重ねあわせて、中間処理トレイ138に排出するバッファリング処理について、図7乃至図14を用いて説明をする。
【0045】
バッファリング処理は、シート重ね合わせ処理と、排出処理とによって構成されている。シート重ね合わせ処理は、中間処理トレイ上(シート積載部上)の先行シート束が例えば綴じ処理などの処理が施されている間、次に処理される後続シート束の最初の複数枚を重ね合わせて待機させる処理である。また、排出処理は、シート重ね合わせ処理により重ね合わされた複数枚のシートを、先行シート束が排出された後に中間処理トレイ138に排出して整合する処理である。
【0046】
シート重ね合わせ処理は、図2及び図8(a)に示すように、バッファリング処理部200によって実施され、このバッファリング処理部200は、搬送ローラ対201、第1及び第2バッファローラ対203,206を備えている。また、バッファリング処理部200は、シートを搬送する搬送路202から分岐して形成された分岐路204、切替部材205、搬送センサ235、バッファパスセンサ234なども備えている。
【0047】
より具体的には、上記バッファリング処理部200は、分岐点209において搬送路202から下向きに分岐する湾曲パスである分岐路204にシートを待機させるように構成されている。更に、この分岐路204によって、処理を行うシートを積載する中間処理トレイ(シート積載部)138上のシート束が処理されている間、次に処理されるシートを待機させる待機部が構成されている。
【0048】
また、搬送ローラ対201がフィニッシャ100に搬送されてきたシートを中間処理トレイ138に向かって搬送する第1シート搬送部を構成している。そして、この搬送ローラ対201と中間処理トレイ138との間のシート搬送路202に設けられた第1バッファローラ対203によって、逆転によりシートを上記待機部としての分岐路204に搬送する第2シート搬送部を構成している。更に、第2バッファローラ対206は、上記分岐路(待機部)204に正逆転可能に設けられている。そして、第2バッファローラ対206は、第1バッファローラ対203により分岐路204に搬送されたシートを逆転により分岐路204に引き込んで待機させ、正転により分岐路204から第1バッファローラ対203に搬送する第3シート搬送部となっている。なお、本実施の形態においては、シート搬送方向においてシートを中間処理トレイ138側へと搬送する回転方向を正転、この正転とは反対の回転方向を逆転というものとする。
【0049】
ついで、バッファリング処理部200によるシート重ねあわせ処理について、図7のフローチャートを参照しつつ説明をする。フィニッシャ制御部636は、シートを重ね合わせるシート重ね合わせ処理が開始されると、まず、入力されたジョブ内容に応じてシートを重ね合わせる枚数(最終重ね合わせ枚数)Nを確定する(図7のSTEP1)。次に、フィニッシャ制御部636は、図8(a)に示すように、切替部材205を、シートを第1バッファローラ対203に導く正転搬送位置に移動させる(STEP2)。そして、第1バッファローラ対203を正転駆動させることによって(STEP3)、搬送ローラ対201から搬送されたシートP1を第1バッファローラ対203へと受け渡す。
【0050】
上記第1バッファローラ対203へのシートP1の受け渡しは、第1バッファローラ対203の下流側近傍に設けられたバッファパスセンサ234により検知される。そして、このバッファパスセンサ234がONになると(STEP4のY)、第1及び第2バッファローラ対203,206を制御する制御部であるフィニッシャ制御部636は、第1バッファローラ対203を所定時間後に停止させる(STEP5)。また、第1バッファローラ対203の停止と同時に、フィニッシャ制御部636は、図8(b)に示すように、切替部材205を、シートを分岐点209に案内する分岐路搬送位置に切り替える(STEP6)。この時、シートP1は、後端が分岐点209を抜けるまで搬送され、このシートP1の後端が分岐点209を抜けるまでの搬送量(上記所定時間)は、バッファパスセンサ234によるシートの先端検知と予め入力されているシートサイズに基づいて設定されている。
【0051】
次に、フィニッシャ制御部636は第1バッファローラ対203を逆転駆動させ(STEP7)、バッファパスセンサ234がオフになると(STEP8のY)、第2バッファローラ対206を所定時間後に停止させる(STEP9)。これにより、図8(c)に示すように、シートP1が分岐路204に引き込まれると共に、第2バッファローラ対206に受け渡されて一定量搬送される。なお、このように第1バッファローラ対203の逆回転により搬送されるシートの搬送量はバッファパスセンサ234によって検知される。また、第2バッファローラ対206による搬送量は、シート端部がバッファパスセンサ234を抜けてからの量で制御している。更に、このシートP1は、第1枚目の待機シートであるため、シート重ね合わせ処理中において分岐路204に引き込まれる回数が最も多くなるシートとなる。
【0052】
第2バッファローラ対206が停止すると、フィニッシャ制御部636は、図9(a)に示すように、切替部材205を再び正転搬送位置に切り替える(STEP10)。詳しくは後述する搬送センサ235がONした後、第2バッファローラ対206の正転駆動を開始させるまでの時間T(N,n)を決定する(STEP11)。なお、この搬送センサ(検知部)235は、搬送ローラ対201の上流側近傍に配置され、後続シートP2の先端が通過するタイミングを検知している。
【0053】
この時間T(N,n)を決定すると、フィニッシャ制御部636は、搬送センサ235を監視する(STEP12)。そして、この搬送センサ235がONされると(STEP13のY)、図9(b)に示すように、時間T(N,n)後にバッファモータM1を駆動して第2バッファローラ対206を正転駆動させる(STEP14)。
【0054】
すると、シートP1と後続シートP2とが合流して重ね合わされる。即ち、搬送ローラ対201により搬送されたシートは、湾曲パスである分岐路204に搬送されたシートの上に、シート搬送方向下流にずらして重ねられる。この後、シートP1と後続シートP2は図9(c)に示す、ずらして重ねられた状態で第1バッファローラ対203へと受け渡される。なお、この時、第1バッファローラ対203も正転駆動させられている。
【0055】
次に、フィニッシャ制御部636は、重ね合わせたシートが重ね合わされる最終シート(最後のシート)かを判断し(STEP15)、最終シートでない場合は(STEP15のN)、STEP4に戻り、既述したSTEP4〜STEP14の処理を行う。また、重ね合わせたシートが重ね合わされる最終シートである場合は(STEP15のY)、シート重ね合わせ処理は終了し、第1バッファローラ対203により下流へ向けてシートが束搬送される。
【0056】
上記第1バッファローラ対203によって搬送された、重ね合わされた状態の複数枚(n枚)のバッファシートPAは、図10(a)に示すように、下排出ローラ対128から案内ガイド151に沿って束排出ローラ対130のニップ部へと案内される。このとき、開閉ガイド149は閉じており、束排出ローラ対130は接している状態にある。また、束排出ローラ対130は、バッファシートPAを積載トレイ137に排出する方向に回転している。
【0057】
これにより、束排出ローラ対130に受け渡されたバッファシートPAは、図10(b)に示すように、後端が下排出ローラ対128を抜けるまで、そのまま積載トレイ137に排出する方向に搬送される。この後、図10(c)に示すように、バッファシートPAの後端が下排出ローラ対128を抜けて中間処理トレイ138上に積載されると、図11(a)に示すように、束排出ローラ対130が逆方向に回転する。これにより、バッファシートPAは、中間処理トレイ138のシート搬送方向上流(放出方向下流)に設けられた後端ストッパ150に突き当たる方向に搬送される。
【0058】
次に、バッファシートPAが後端ストッパ150に突き当たる前に、図11(b)に示すように、開閉ガイド149が開くことにより束排出ローラ対130a,130bが離間し、バッファシートPAは後端ストッパ150に向けて放出される。この時、バッファシートPAは、上述した重ね合わせ処理においてシート同士を重ね合わせる際に、互いに接触するシート同士の内、後続シートが先行シートに対してシート搬送方向下流に所定のずれ量だけずれた状態で重ねられている。そのため、開閉ガイド149が開くと、基本的にこのバッファシートPAは、シート同士がずれた状態で後端ストッパ150と当接する。
【0059】
また、上記開閉ガイド149が開くのと合せて、引込みパドル131とベルトローラ158がそれぞれバッファシートPAを後端ストッパ150へ突き当てる方向に回転する。このため、バッファシートPAは、引込みパドル131とベルトローラ158がそれぞれ上面に位置する上面バッファシートPA1と当接して後端ストッパ150に向けて移動させられる。
【0060】
すると、この重ねられたバッファシートPAは、上面のバッファシートPA1が移動することによって、シート間の摩擦力によって各シートがシート間のずれを無くす方向へと移動する。さらに、各バッファシートの放出方向下流のシート端が図11(c)のように後端ストッパ150と当接して整合される。そして、これにより、バッファリング処理が終了する。
【0061】
なお、バッファシートPAが整合されると、このバッファシートPAの上に残りの後続シートが積載されてシート束が形成される。この時、排出ローラ対130は、離間した状態のままにされ、下排出ローラ対128から中間処理トレイ138に排出された後続のシートは、引き込みパドル131により、ベルトローラ158に案内された後、ベルトローラ158によって後端ストッパ150に突き当てられ、シート搬送方向において整合されるようになっている。そして、シートの搬送方向の整合が終わったら、次に側端規制部によるシートの幅方向の整合が行われ、その後、ステイプラ132によりシート束に綴じ処理が施される。
【0062】
<シートの重ね量について>
ついで、上記シートの重ね合わせ動作におけるシートの重ね量について、図7を参照しつつ、図12乃至図14に基づいて、詳しく説明をする。上述したように、バッファシートPAは、シートの重ね合わせ動作において、シート同士を中間処理トレイ138上で整合出来るように、この中間処理トレイ138の傾斜方向にずらされて重ね合わされている。
【0063】
ところで、これらバッファシート間のずれは、シートの重ね合わせ動作において、バッファシートが分岐路204を出入りさせられる内に、このずれ量が大きくなって行く。即ち、図12に示すように、重ね合わされたバッファシート(図中では3枚)を、次に搬送されて来るシートと重ね合わせるために、分岐路204へと引き戻される。すると、バッファシートP1,P2,P3は、搬送路202と分岐路204の分岐点209において、この分岐路側に設けられたガイド204aに当接してたわみ、シートP1,P2及びシートP2,P3との間に隙間400が生じる。そして、このようにシート間に隙間400が生じると、重ねてある上のシートP2,P3のガイド204aへの当接角が大きくなる。
【0064】
この結果、搬送の際の上下シート間に抵抗差が生まれ、シート間のずれが当初量よりも拡がってしまう。ここで、例えば、図13において、シートを2枚重ねた時の1枚目のシートP1と2枚目のシートP2の間のずれ量をXAとする。この状態からもう1枚、合計3枚重ねた時の1枚目のシートP1と2枚目のシートP2の間のずれ量をXB、さらにもう1枚、合計4枚重ねた時の1枚目のシートP1と2枚目のシートP2の間のずれ量をXCとする。すると、各シートを重ねる際のずらし量を同一に設定したとしても、4枚のバッファシートを重ねあわせた時点のずれ量の関係は、上記上下シート間に抵抗差によって、XA<XB<XCの関係になってしまう。
【0065】
つまり、互いに接触する1枚目と2枚目のシート同士をずれ量Xだけずらした状態で重ねた場合でも、実際のシート間のずれ量は、重ねたシート束を分岐路204に引き込む回数が多いほど、すなわちシートを重ね合わせる枚数が増えるほど大きくなる。
【0066】
このバッファシート間のずれ量は、ずれ量が小さすぎると、重ね合わせ時のタイミングのずれやシート搬送時の搬送抵抗によりシート間のずれの方向が逆転する。この状態で、引き込みパドル131で引き込むことにより、上に重ねてあるシートは後端ストッパ150に到達するが、下に重ねられたシートは到達しない場合がある。一方、ずれ量が大きすぎる場合は、下に重ねられたシートが最初に一枚だけ後端ストッパ150に突き当てられて座屈したり、上に重ねてあるシートが後端ストッパ150に到達しなかったりして整合不良が生じる。したがって、整合不良の発生を防ぐためには、待機させているシート(バッファシート)を中間処理トレイ138に搬送する際は、シート搬送方向に適切な所定量ずれた状態で搬送する必要がある。
【0067】
そこで、本実施の形態においては、最終的に重ね合わせるシートの枚数に応じて、互いに接触させてシートを重ね合わせる際のずらし量を変更するようにしている。即ち、シート搬送ローラ対201により順次搬送されるシートを直前のバッファシート(待機シート)に対して搬送ローラ対201のシート搬送方向に順次ずらして重ねると共に、重なった状態のシートを分岐路204に待機させる。そして、分岐路204に引き込まれる回数が多いシートほど、次に搬送されるシートと重ね合わせる際のずらし量を減少させる。これにより、待機シートを最後に搬送されたシートに重ね合わせて中間処理トレイ138に搬送する際、シート間のずれ量が所定のずれ量となるようにしている。
【0068】
より具体的には、最終的に重ね合わせるシート枚数をN、分岐路204に待機しているシートの枚数をn、一回の重ね合わせ動作でずれる量をx、最終的にシートを重ね合わせたときの狙いのずれ量、すなわち所定のずれ量をXとする。このときの重ね合わせる際の狙いのずらし量をX−(N−n−1)×xと定義している。そして、それに合うように、搬送センサ235が後続シートを検知してから第2バッファローラ対206を駆動させるタイミングを変更している。
【0069】
即ち、図7のSTEP11において、フィニッシャ制御部636は、搬送センサ235がONした後、第2バッファローラ対206の正転駆動を開始させるまでの時間T(N,n)を決定する際に、重ね合わせる際のずれ量が(X−(N−n−1)×x)となるよう設定している。
【0070】
このように時間Tを設定することにより、最初に分岐路204に搬送されるシートP1の、次のシートP2と重ね合わせる際のずれ量を、所定のずれ量よりも待機させるシートの枚数に応じて順次減少させることができる。つまり、分岐路204中に複数枚のシートを待機させる際、複数枚のシートのうちの最初に分岐路204に搬送されるシートP1の、次のシートP2と重ね合わせる際のずれ量を、所定のずれ量Xよりも待機させるシートの枚数nが多くなるほど順次減少させる。言い換えれば、待機シートを搬送シートに重ね合わせる際のずれ量を、分岐路204に引き込まれる回数が多いシートほど、所定のずれ量よりも順次減少させる。
【0071】
例えば、バッファシートを5枚重ねて搬送する場合、図14(a)に示すように、2枚目のシートP2は一枚目のシートP1に対してその先端のずれ量がX−3xとなるように、時間T(N,n)を設定される。また、図14(b)に示すように、3枚目のシートP3は、2枚目のシートP2に対して、先端のずれ量がX−2xとされる。なお、この時、1枚目のシートP1と2枚目のシートP2とのずれ量は、これら1枚目及び2枚目のシートP1,P2が分岐路204に1回、引きこまれたことにより、X−2xに拡大している。
【0072】
4枚目のシートP4の場合も同様に、図14(c)に示すように、3枚目のシートP3に対するずれ量が、3枚目のシートの場合よりも少し大きく設定されてX−xとされ、この時、1枚目と2枚目、2枚目と3枚目のシート間のずれもX−xとなっている。そして、図14(d)に示すように、最終シートである5枚目のシートP5と4枚目のシートP4との間のずれ量は、所定のずれ量であるXに設定され、この時、他のシート間のずれ量も全てXとなる。
【0073】
以上説明したように、本実施の形態においては、シートP1を最初に搬送シートであるシートP2に重ね合わせる際、第2バッファローラ対206の正転を開始するタイミングを早くするようバッファモータM1の駆動を制御している。これにより、待機シートであるシートP1をシートP2に重ね合わせる際のずれ量を、図14に示すように所定のずれ量Xよりも減少させることができる。そして、同一シート重ね合わせ処理内で、シートの重ね合わせの回数を重ねる毎に、上記正転を開始するタイミングを順次遅くし、最後の搬送シートに待機シートを重ね合わせて搬送する際のシート間のずれ量を所定のずれ量Xとしている。
【0074】
即ち、フィニッシャ制御部636は、搬送センサ235のシート検知タイミングに基づき、分岐路204に引き込まれる回数が多いシートほど次に搬送されるシートと重ね合わせる際の第2バッファローラ対206の正転を開始するタイミングを早くするようバッファモータM1を制御している。
【0075】
これにより、多数枚のシートを重ね合わせた場合も、少数枚重ね合わせた時と同様にシート間のずれ量を適切にすることが可能となり、整合不良を発生させることなくシートの待機処理を行うことができる。即ち、最終的に重ね合わせるシート枚数に依らず、シート間のずれ量を一定にすることができ、中間処理部における重ね合わせたシートの整合が可能になる。また、これに伴い、シート端部を整合性良く揃えることが可能となり、高速の画像形成装置においても、画像形成速度を落とすことなく、品位良くシートに処理を施すことが可能になる。
【0076】
なお、本実施の形態において、後端ストッパ150がシートのシート搬送方向上流端を受け止めるため、後続シートを先行シートに対してシート搬送方向下流にずらしたが、シートのシート搬送方向下流端を受け止める場合は、シート搬送方向上流にずらせばよい。
【0077】
また、上述の実施の形態では、待機部である分岐路204に第2バッファローラ対206を設けた構成について説明した。しかしながら、本発明に係る実施の形態はこれに限らず、第1バッファローラ対203の位置や、使用するシートのサイズを調整して、第1バッファローラ対203のみで、シートを分岐路に引き込んでシートの重ね合わせ動作を可能に構成しても良い。更に、画像形成装置は、白黒の複写機を用いてもよく、他にシートに画像を形成する印刷機など、どのような画像形成装置を用いても良い。
【0078】
<第2の実施の形態>
ついで、第2の実施の形態について説明をする。なお、第1の実施の形態においては、ずれ量が(X−(N−n−1)×x)となるよう第2バッファローラ対206を正転駆動開始させる時間を設定した。これに対し、この第2の実施の形態は、ずれ量が(X−(N−n−1)×x)となるよう第2バッファローラ対206の駆動速度(シート搬送速度)を設定する点において、第1の実施の形態と異なっている。従って、以下の説明においては、第1の実施の形態と異なる部分について説明をし、共通している部分については、その説明を省略する。
【0079】
図15は、本実施の形態にかかるシート重ね合わせ処理動作を説明するフローチャート図であり、この図15を用いて本実施の形態のシート重ね合わせ処理動作を説明する。フィニッシャ制御部636は、まずシートを重ね合わせるシート重ね合わせ処理が開始されると、図15のSTEP51〜STEP60までは、第1の実施の形態の場合と同様の制御を行う。
【0080】
そして、次に、フィニッシャ制御部636は現在、分岐路204中にある待機シート枚数nと最終的に重ね合わせる枚数Nによって変化する速度V(N,n)を決定する(STEP61)。なお、この速度V(N,n)は、搬送センサ235がON後の、第2バッファローラ対206のシート搬送速度であり、重ね合わせる際のずれ量が(X−(N−n−1)×x)となるよう設定されている。
【0081】
そして、速度V(N,n)を決定すると、この後、搬送センサ235を監視する(STEP62)。搬送センサ235がONすると(STEP63のY)、フィニッシャ制御部636は所定時間後にバッファモータM1の駆動を制御し、速度V(N,n)で第2バッファローラ対206を正転駆動させる(STEP64)。また、第1バッファローラ対203を正転駆動させる。これにより、既述した図9Bに示すようにシートP1と後続シートP2とは重ね合わされ、この後、シートP1と後続シートP2は既述した図10Cに示すように重ねられた状態で第1バッファローラ対203へと受け渡される。
【0082】
次に、重ね合わせたシートが重ね合わせる最終シートかを判断し(STEP65)、最終シートでない場合は(STEP65のN)、STEP55に戻り、既述したSTEP54〜STEP64の処理を行う。また、重ね合わせたシートが重ね合わせる最終シートである場合は(STEP65のY)、シート重ね合わせ処理は終了し、第1バッファローラ対203により下流へ向けてシートが束搬送される。
【0083】
以上説明したように、本実施の形態においては、シートP1をシートP2に重ね合わせる際、第2バッファローラ対206の正転速度を早くするようバッファモータM1の駆動を制御している。これにより、待機シートであるシートP1をシートP2に重ね合わせる際のずれ量を、所定のずれ量Xよりも減少させることができる。そして、同一シート重ね合わせ処理内で、シートの重ね合わせの回数を重ねる毎に、第2バッファローラ対206の正転速度を順次遅くするようバッファモータM1の駆動を制御している。
【0084】
即ち、フィニッシャ制御部636は、搬送センサ235のシート検知タイミングに基づき、分岐路204に引き込まれる回数が多いシートほど次に搬送されるシートと重ね合わせる際の第2バッファローラ対206の正転速度を速くするようバッファモータM1を制御している。
【0085】
この結果、最後の搬送シートに待機シートを重ね合わせて搬送する際、シート間のずれ量を所定のずれ量Xとすることができる。これにより、多数枚のシートを重ね合わせた場合も、少数枚重ね合わせた時と同様にシート間のずれ量を適切にすることが可能となり、整合不良を発生させることなくシートの待機処理を行うことができる。
【0086】
なお、本実施の形態においては、第2バッファローラ対206のシート搬送速度を変化させているが、第2バッファローラ対206の速度ではなく、搬送ローラ対201のシート搬送速度を変えて、後続シートのシート搬送速度を変化させても良い。即ち、フィニッシャ制御部636は、搬送センサ235のシート検知タイミングに基づき、分岐路204に引き込まれる回数が多いシートほど次に搬送されるシートと重ね合わせる際の搬送ローラ対(第1シート搬送部)201のシート搬送速度を遅くするよう搬送モータM2を制御するようにしても良い。
【0087】
つまり、最初のシート同士の重ね合わせから、シートの重ね合わせの回数を重ねる毎に、搬送ローラ対201のシート搬送速度を順次速くするよう搬送モータM2を制御するようにしても良い。
【0088】
ところで、既述した第1及び第2の実施の形態では、シートを搬送途中で逆搬送し、分岐路204に一時待機させるスイッチバック方式を用いたフィニッシャ100について説明したが、本発明は、これに限らない。例えば、図16に示す巻き付き方式や、不図示の複数バッファパス方式を用いたフィニッシャでも適用することができる。
【0089】
ここで、巻き付き方式を用いたフィニッシャでは、シートをバッファリング処理する際は、図16に示すように、まず第1シート搬送部401により搬送された先行シートP1をバッファローラ410の周面に形成された円形パス402内に一時待機させる。そして、後続シートP2の搬送に合わせて、第2シート搬送部であるバッファローラ410を反時計回りに回転させ、待機部を構成する循環パスとしての円形パス402に一時待機していたシートP1を合流地点406で重ね合わせ搬送を行う。これを必要枚数繰り返し、必要枚数重ね合わせると、搬送経路切り替え部材409を切り替え、重ね合わせたシート束を、束搬送パス413に設けられた搬送ローラ411によりシート積載部420に搬送する。
【0090】
なお、このような巻き付き方式のフィニッシャにおいては、シート待機部は、第2シート搬送部であるバッファローラ410と、バッファローラ410の周面に形成された円形パス402と、搬送ローラ411とにより構成される。既述した第1及び第2の実施の形態では、シートをシート搬送方向と反対方向に搬送したが、巻き付き方式においてはシートをシート搬送方向に搬送しながら重ね合わせ搬送を行う。そのため、そして、例えばバッファローラ410の回転を開始するタイミングや、バッファローラ410の回転速度を変えることにより、複数枚のシートを、ずれ量を順次増大させながら重ね合わせた状態で搬送することができる。
【符号の説明】
【0091】
100…シート処理装置(フィニッシャ)、190…ステイプル部、138…シート積載部(中間処理トレイ)、201,401…第1シート搬送部(搬送ローラ対)、202…搬送路、203…第2シート搬送部(第1バッファローラ対)、204,402…待機部(分岐路、円形パス)、206,410…第3シート搬送部(第2バッファローラ対、バッファローラ)、630,636…制御部(CPU回路部、フィニッシャ制御部)、900…画像形成装置(カラー複写機)
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