【実施例1】
【0020】
本発明
に係る情報通信体の製造方法において長尺状シートが使用された場合、例えば
図2に示すように、第一紙片21と第二紙片22が折り予定線23を介して横方向に連接された単位シートt1が、天地の切取線24を介して縦方向に連接された長尺状シートS1
が用い
られる。
前記単位シートt1は二つ折り葉書用用紙
となり、後に折り畳まれて最終的に葉書サイズに切り離される。
【0021】
上記構成の長尺状シートS1は、
図1に示すように、切取線24から蛇腹状に折り畳まれブロック状態で加工工程の最上流の左下に設置される。そして
長尺状シートS1は、上方のサポートローラ1へ引き上げられるとほぼ水平に向きを変え、右側に配置されたピントラクタ2のピンとマージナル部分孔26を
嵌合させ、更に右側に配置された一対のヒートローラ3a、3bとからなるラミネート装置へ牽引される。
【0022】
ラミネート装置では、
通過する図2(B)に示す長尺状シートS1に、上方に待機したロー
ルから繰り出される疑似接着フィルムシートG
が、
該長尺状シートS1の裏面の疑似接着予定面で整合され、疑似接着フィルムシートGに形成されている感熱接着剤層を介して
、長尺状シートS1における図3(A)に斜線で示す位置に剥離不能に被覆される。そして
疑似接着フィルムシートGが被覆された長尺状シートS1については、右側に配置されたスリット刃4aとバックアップローラ4bとからなる切除装置により、
図4(A)及び(B)に示すように一方のマージナル部分27
が切除
され、更に右側に配置されたミシン刃5aとバックアップローラ5bとからなる折り手段形成装置により、折り予定線23に折りミシン28が形成される。
【0023】
その後、従来であれば、
長尺状シートS1は、右側に配置された一対のニップローラ6a、6bによ
り、下
流工程の折り畳み装置へ送り込まれるのであるが、本発明では
図1に示すように、図中、二点鎖線で囲まれるテンション付加装置
Qを経由してから下
流工程へ送り出されるのである。
なお、前記一対のニップローラ6a、6bは、上流のピントラクタ2、ラミネート装置の一対のヒートローラ3a、3b、上方のロー
ルから繰り出される疑似接着フィルム
シートG、及び切除装置のスリット刃4aとバックアップローラ4b及び折り手段形成装置のミシン刃5aとバックアップローラ5bの従動を全て引き受けている。そのため
前記ニップローラ6a、6bのニップの圧力を強くする必要があり、その結果
、長尺状シートS1に被覆された疑似接着フィルム
シートGが
前記ニップローラ6a、6bに密着しやすく巻き付きやすい状態
にある。
【0024】
テンション付加装置
Qは
図5に示すように、変則的な形状のローラの組み合わせからなる。
上ローラ7aは
、通過する長尺状シートS1の全体ではなく一部分に接触するよう
に、例えば一本のシャフトに2個のゴムローラが分割されて形成されている。また下ローラ7bは
、通過する長尺状シートS1を全面的にバックアップできるように、一本のシャフトに十分な面長を有するゴムローラが形成されている。
なお、前記上下ゴムローラの面長関係は既述の上下の関係を入れ替えて、上ローラの面長を長くして下ローラを分割した形態でも構わない。
【0025】
基本的には
、通過する長尺状シートS1の上下ローラとの接触部分における両者の面長が等しくなく、特にフィルムシートと接触する上側のローラの面長は短い方が接着による巻き込みがなく好ましい。
【0026】
なお下ローラ7bはトルクモータにより駆動しており
、上流側の一対のニップローラ6a、6bが停止している時或いは回転している時に、排出されてくる長尺状シートS1に必要以上のテンションが掛からず常に適度な張りが保たれるようになっている。また上ローラ7aは駆動せず、下ローラ7bに対して従動する構成になっている。
【0027】
前記構成のテンション付加装置
Qにより、一対のニップローラ6a、6bから排出される長尺状シートS1は強制的に引き出されるため、仮に両者が密着していても引き剥がされる
ので、前記一対のニップローラ6a、6bに巻き付くことはない。またテンション付加装置自体
では
、上ローラ7a
と、通過する長尺状シートS1に被覆された疑似接着フィルムシートGとの接触面が少ないこと、またトルクモータにより
、ニップローラ6a、6bから排出される長尺状シートS1のみにテンションを掛けるだけで従動するものがなく、上下ローラ7a、7b間の
ニップ圧力が極めて弱く設定できるので、通過する長尺状シートS1が
これらのローラに密着することはない。
【0028】
なお、
図5において、仮に通過する長尺状シートS1の下面側に疑似接着フィルムシートGが貼り込まれていたとしても、上下のローラ7a、7b同士の接触面積が少なく、圧力が掛かる部分が限定されているので密着による巻き込みはない。
【0029】
このように構成され
たシステム全体を
仮に停止させると、後述する下流工程は即座に停止する(一体化装置内に残された単位シートt1は排出が完了してから停止するように制御されている)が、上流工程は即座に停止することはなく、
図2(B)に示す長尺状シートS1のマージナル部分27に記載されているマーク
MをセンサP1が読み取るまで
長尺状シートS1は搬送される。そして最初
のマーク
Mを読み取ってからカウントを開始して、例えば一対のヒートローラ3a、3b間に切取線24が来た時に
上流工程が停止するよう
に電気的に制御されている。
【0030】
長尺状シートS1の切取線24部分は前後する単位シートt1同士の境目に当たる。従ってこの部分に印字等が施されることはなく
、この部分は、上流工程において前記のように停止してヒートローラ3a、3bの熱や圧力を受けても影響はない。
なお切取線24部分以外でも熱の影響を受けても支障がない部分があれば、センサP1がマーク
Mを読み取った後に前記位置で
上流工程が停止するように電気的に制御しても一向に構わない。
【0031】
テンション付加装置を通過した長尺状シートS1は、下流工程の例えばサポートローラ8、9及び10や図示されないガイドバー等からなる折り畳み装置X(アングル、くせ折り機等と称されている)により、
図6に示すように二つ折りに折り畳まれ
た後に、ピントラクタ12に牽引されて後続のスリット刃13a及びバックアップローラ13bとからなる切除装置
により残ったもう一方のマージナル部分27が切除され、次にダイカットローラ14a及びバックアップローラ14bとからなる断裁装置を通過して
、天地の切取線24が断裁されて単位シートt1に仕上げられる。そして前記単位シートt1は
、一対の搬送ローラ15a、15bと一対のヒータパネル16a、16bが交互に配置されると共に最終出口に一対の加圧ローラ17a、17bを備えた一体化装置を通過
して加熱、加圧処理が施されることにより二つ折り葉書に仕上げられ、ベルトコンベア等からなるスタッカ18に順次積載されるのである。
【0032】
なお、前記実施例
1では、長尺状シートS1を使用した情報通信体の製造
方法を記載しているが、
本発明に係る情報通信体の製造方法
は、以下の実施例2に説明するように枚葉状シートを使用した場合にも適用することができる。
【実施例2】
【0033】
本発明
に係る情報通信体の製造方法において枚葉状シートが使用された場合、例えば
図8に示すように、第一紙片31と第二紙片32が折り予定線33を介して横方向に連接された単位シートt2が2丁面付けされ、それぞれの単位シートt2が縦方向の余白部分Yと横方向の余白
部分Zに囲まれた枚葉状シートS2
が用い
られる。
前記単位シートt2は二つ折り葉書用用紙
となり、縦及び横方向の各余白部分が切除さ
れ、折り畳まれて葉書サイズに切り離される。
【0034】
上記構成の枚葉状シートS2は、
図7に示すように、加工工程の最上流の左下の用紙積載台上に設置される。そして最上面の枚葉状シートS2から、例えば吸着パッド41等からなる給紙機構により順次等間隔で右側の搬送テーブルへ繰り出される。前記繰り出しに際しては、前後する枚葉状シートS2の前後端を突き合わせ
て繰り出しても或いは
一部重なり合うように繰り出しても構わない。そして右側に配置された一対のニップローラ42a、42bにより、さらに右側に配置された一対のヒートローラ43a、43bとからなるラミネート装置へ牽引される。なお、枚葉状シートS2は、疑似接着予定面のある
図8(B)側を上にして積載されている。
【0035】
ラミネート装置では、
通過する枚葉状シートS2に、上方に待機したロー
ルから繰り出される疑似接着フィルムシートGが、
図8(B)に示す枚葉状シートS2の裏面の疑似接着予定面と整合され、疑似接着フィルムシートGに形成されている感熱接着剤層を介して
、枚葉状シートS2における図9に斜線で示す位置に剥離不能に
連続的に被覆され
、それによって前記枚葉状シートS2は長尺状に連結される。そして
前記長尺状に連結された枚葉状シートS2については、右側に配置されたスリット刃44aとバックアップローラ44bとからなる切除装置により、
図10に示すように縦方向の余白部分Y
が切除
され、更に右側に配置されたミシン刃45aとバックアップローラ45bとからなる折り手段形成装置により、折り予定線33に折りミシン
34が連続的に形成される。
【0036】
その後、従来であれば、
前記長尺状に連結された枚葉状シートS2は、右側に配置された一対のニップローラ46a、46bによ
り、順次下
流工程の折り畳み装置へ送り込まれるのであるが、本発明では
図7に示すように、図中二点鎖線で囲まれるテンション付加装置
Qを経由してから下
流工程へ送り出されるのである。
【0037】
なお、前記一対のニップローラ46a、46bは、上流のラミネート装置を構成する一対のヒートローラ43a、43b、上方のロー
ルから繰り出される疑似接着フィルム
シートG、及び切除装置のスリット刃44aとバックアップローラ44b及び折り手段形成装置のミシン刃45aとバックアップローラ45bの従動を全て引き受けている。そのため
前記ニップローラ46a、46bのニップの圧力を強くする必要があり、その結果
、枚葉状シートS2に被覆された疑似接着フィルム
シートGが
前記ニップローラ46a、46bに密着しやすく
、長尺状に連結された枚葉状シートS2がそれに巻き付きやすい状態
にある。
【0038】
テンション付加装置
Qは
図11に示すように、変則的な形状のローラの組み合わせからなる。上ローラ47aは
、通過する
長尺状に連結された枚葉状シートS2の一部分に接触する構成で、図中左右方向に移動することが可能で、さらに圧力の調整も可能なホルダー形式になっている。また下ローラ47bは
、通過する
長尺状に連結された枚葉状シートS2を全面的にバックアップできるように、一本のシャフトに十分な面長を有するゴムローラが形成されている。なお下ローラ47bはトルクモータにより駆動しており
、上流側の一対のニップローラ46a、46bから排出される
長尺状に連結された枚葉状シートS2に必要以上のテンションが掛からないようになっている。また上ローラ47aは駆動せず、下ローラ47bに対して従動する構成になっている。
【0039】
前記構成のテンション付加装置
Qにより、一対のニップローラ46a、46bから連続的に排出される
長尺状に連結された枚葉状シートS2は強制的に引き出されるため、仮に両者が密着しても引き剥がされるので
、前記一対のニップローラ46a、46bに巻き付くことはない。またテンション付加装置
Q自体
では
、上ローラ47a
と、通過する
長尺状に連結された枚葉状シートS2に被覆された疑似接着フィルムシートGとの接触面が少ないこと、またトルクモータにより
、ニップローラ46a、46bから排出される長尺状に連結された枚葉状シートS2に最低限の引っ張り力
しか掛けないので上下ローラ47a、47b間の
ニップ圧力が極めて弱く設定されているため
、通過する長尺状に連結された枚葉状シートS2がこれらのローラに密着することがない。
【0040】
なお、
図11において、通過する
長尺状に連結された枚葉状シートS2の下面側に疑似接着フィルムシートGが貼り込まれていたとしても、上下のローラ
47a、47b同士との接触面積が少ないので巻き付くことはない。
【0041】
このように構成され
たシステム全体を
仮に停止させると、後述する下流工程は即座に停止する(一体化装置内に残された単位シートt2は排出が完了してから停止するように制御されている)が、上流工程は即座に停止することはなく、
図7に示す一対のヒートローラ43a、43bの上流に配置されているセンサP1が通過中の枚葉状シートS2
の後端を感知
すると共に該後端が一対のヒートローラ43a、43b間に来た時に停止するよう制御されている。
【0042】
なお枚葉状シートS2の後端部は印刷領域から外れているため
、この部分に印字等が施されることはなく、
この部分は、上流工程において前記のように停止してヒートローラ43a、43bの熱や圧力を受けても影響はない。
また給紙装置から順次繰り出される後続の枚葉状シートS2は
、一対のヒートローラ43a、43bの上流側の何れかの位置で停止した状態で待ち続け、次に動作がスタートするとその位置から搬送が開始されて通常の状態に戻る。
【0043】
テンション付加装置
Qを通過した
長尺状に連結された枚葉状シートS2は、下流工程のサポートローラ48、49及び50や図示されないガイドバー等からなる折り畳み装置Xにより、
図12に示すように二つ折りに折り畳まれ、さらに一対のニップローラ52a、52bに誘導されて右側に配置されている断裁装置へと送り込まれる。
【0044】
断裁装置は断裁刃53a及び固定刃53bとからなり、通過する枚葉状シート
S2の各単位シートt2
における横方向の余白部分Zを断裁する。断裁の具体的な手順は、例えば
図12に示す
ように、通過する
長尺状に連結された枚葉状シートS2の各単位シートt2の頭に記載されているマークM1を、断裁装置の上流側に配置されているセンサP3により読み取る。すると最初の単位シートt2の
辺L1までをカウントして断裁し、さらに
辺L2までをカウントして断裁する動作を電気的な制御により実行する。そして続く単位シートt2の頭に記載されているマークM2を読み取ると
辺L3及び
辺L4を断裁して、1枚の枚葉状シートS2から2枚の単位シート
t2を切り出す。そしてこの一連の動作は各枚葉状シートS2毎に繰り返される。
【0045】
切り出された単位シートt2は、長尺状シートS1の場合と同様に、一対の搬送ローラ54a、54bと一対のヒータパネル55a、5
5bが交互に配置されると共に最終出口に一対の加圧ローラ56a、56bを備えた一体化装置を通過することにより二つ折り葉書に仕上げられ、順次スタッカ57に積載されるのである。
【0046】
通常は前記動作が繰り返されるのであるが、仮に最上流の吸着ミス等により、後続の枚葉状シートS2が首尾よく繰り出されない場合がある。その場合ラミネート装置の下流に配置されているセンサP2が
、通過する枚葉状シートS2の後端を読み取り、一定の時間内に後続の枚葉状シートS2の先端を読み取ることが出来ないと
、上流及び下流の工程が即座に停止するように設定されている。ところが前記一定の時間内は
図13に示すように、疑似接着シートフィルム
シートGのみが繰り出されて通過することになり、前記疑似接着フィルムシートGは一般的にニップローラの材料となるシリコンゴムに密着しやすいため、通常であれば一対のニップローラ46a、46bに巻き付いてしまう。
本発明
では
、このような場合にもテンション付加装置
Qにより
、ニップローラへの巻き付きが強力に抑制され極めて大きな効果を発揮するものである。
【0047】
なお、本発明は上記実施例に限られるものではない。
例えば、連接された3紙片を断面Z字状に折り畳み、2箇所の対向面間を疑似接着フィルムシートを介して剥離可能に一体化する場合、長尺状
シート或いは枚葉状シートの両面に疑似接着予定面が発生する。その場合は
図1及び
図7中に破線で示すように、下側にもロールを配置しておいて、上側のロールと共にラミネート装置を形成する一対のヒートローラで各種シートの各疑似接着予定面と整合するようにすればよい。