特許第6238637号(P6238637)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6238637グリッド型システム天井の空調用チャンバー装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238637
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】グリッド型システム天井の空調用チャンバー装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/02 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   F24F13/02 A
   F24F13/02 D
   F24F13/02 F
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-167727(P2013-167727)
(22)【出願日】2013年8月12日
(65)【公開番号】特開2015-36592(P2015-36592A)
(43)【公開日】2015年2月23日
【審査請求日】2016年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000222956
【氏名又は名称】東洋熱工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】弘本 真一
(72)【発明者】
【氏名】田渕 誠一
(72)【発明者】
【氏名】山本 健
(72)【発明者】
【氏名】加藤 正宏
(72)【発明者】
【氏名】青柳 洋一
(72)【発明者】
【氏名】金子 俊介
(72)【発明者】
【氏名】村上 浩
(72)【発明者】
【氏名】上谷 勝洋
(72)【発明者】
【氏名】山田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 敏弘
【審査官】 田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−145959(JP,A)
【文献】 特開平09−184637(JP,A)
【文献】 特開2003−194390(JP,A)
【文献】 実開昭62−040444(JP,U)
【文献】 実開昭60−097918(JP,U)
【文献】 実開平05−090240(JP,U)
【文献】 実開平06−018841(JP,U)
【文献】 特開平08−247488(JP,A)
【文献】 米国特許第03835606(US,A)
【文献】 米国特許第05281187(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/02
F24F 1/00
F24F 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリッド型システム天井において使用する空調用チャンバー装置において、
前記グリッドの開口と底面が略同形同大に開口し、下部は平面視方形形状で一定長の高さを有する枠体の上に、前後が開口した屋根を設けた略筒状のボックスを形成し、
前記ボックスの枠体の、前記屋根の開口部の下に位置する両端の外側端面下部の一側から他側にわたって凹部を設け、
複数の連続した前記グリッド毎に多数の通孔を有する天井面を形成する板体を嵌め、その上から前記ボックスを被せて複数連続設置し、これらの隣接する各ボックスは、枠体の一対の両端の外側端面下部の前記凹部が相対向するように並べ、当該相対向する凹部内に、グリッドの一辺を成すTバーを収納させて隣接する各ボックスの枠体の外側端面及び屋根の端部を突き合わせて密着接続し、
前記ボックスのうち前端に設置されるボックスの前端面を塞ぎ、後端に設置されるボックスの後面の開口面に空調機と接続されたダクトの供給口を接続して前記各ボックスを通じて各グリッド内に空調空気を送り、当該空調空気のうち下層を移送するものは前記ボックスの枠体に衝突して下降し、前記板体と接触し、また、当該空気の一部は前記板体の通孔を通過して当該板体を冷却又は加熱させる構成であることを特徴とした、グリッド型システム天井の空調用チャンバー装置。
【請求項2】
前記各ボックスの屋根形状は、上部の断面が上へ行くほど幅が狭くなる台形状としたことを特徴とする、前記請求項1に記載のシステム天井空調用チャンバー装置。
【請求項3】
前記ボックス同士の接続面及び各板体と各ボックスの枠体の接触面には夫々パッキンを設け、各ボックス同士は固定具で固定したことを特徴とする、前記請求項1又は2の何れかに記載のシステム天井空調用チャンバー装置。
【請求項4】
前記ボックスの両側面の枠体に、略クランク型の転倒防止具の一片を取り付けて垂下させ、当該転倒防止具の他片の鍵片を前記システム天井から立設しているTバーの頭部に下方から引っ掛けて取り付けたことを特徴とする、前記請求項1、2又は3の何れかに記載のシステム天井空調用チャンバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、オフィスビルなどのフロアーの天井として採用されているグリッド型システム天井に設けて、当該天井面から空調用の空気を供給する際に使用する空調用チャンバー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、オフィスビルなどにおいては、パーテーションの設置や照明器具及び空調機器等を自由に変更して設定できるグリッド型システム天井が採用されている。この様なグリッド型システム天井はTバーと呼ばれる金属製の線材を交差させて吊るしてグリッド(grid、格子)を形成し、当該グリッドの開口面に天井面となる板体を取り付けており、これらの天井面の裏側に前記空調機器等を設置している。
【0003】
そんな中、従来の空気そのものを冷やしたり、温めたりして循環させる対流空調に代わって、省エネルギーと快適性の観点から、特許文献1に記載されている放射空調が採用されている。この放射空調は、天井や壁など部屋を構成する部位の表面を冷却(又は加熱)し、人体の表面との熱移動を利用して冷涼感(暖熱感)を得ようとするもので、前記部屋を構成する部位の表面を冷やす(又は温める)ための熱の媒体は冷温水(又は冷房空気や暖房空気)が用いられている。
【0004】
また、この特許文献1においては、放射空調が持つ課題を解決するために、放射と対流をバランス良く取り入れたものとして、被空調室のシステム天井の天井面に配設された放射パネルであって、冷水及び温水の少なくとも一方を熱媒体として流す熱媒体流路と、該熱媒体流路を流れる熱媒体から受熱して放射する複数の通気孔が形成された放射板とを有する放射パネルと、前記放射パネルに形成された通気孔を空気が通過するように該空気を流動させる送風機とを備えた空調システムが紹介されている。
【特許文献1】特開2006−214696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この様なシステム天井において、その天井面を冷却面(又は加熱面)として行う前記放射空調の施工を行う場合、システム天井面を均一に冷却(又は加熱)出来る空調送風用のチャンバーの構築が必要となる。そこで、天井内の空間に直接空調空気を送り込み天井裏から天井表面を冷やす(又は温める)方法も考えられるが、均一に天井面を目標温度に到達させることは非常に困難である。また、天井裏全域に空調空気を送るため、その容量が大きくなり、不経済である。
【0006】
また、前記システム天井の構造上、600スクエア乃至640スクエアのグリッド状の制気口ボックスをグリッド毎に構築し、当該各制気口ボックスまで、個別にダクトで空調空気を供給する方法が考えられるが、膨大なダクト施工量が発生する問題が有る。
【0007】
さらに、空調チャンバーとしての所定の性能を確保するためには、空気漏洩の無い専門のダクト施工要領、空調空気の熱ロスを抑制する断熱施工が必要となるが、汎用のシステム天井は工業化されており、現地組み立てが非常に容易であることから、空調チャンバーのシステム天井への適応性を考えた場合、天井本体同様に簡易な施工方法が求められる。
【0008】
この発明は、これらの点に鑑みて為されたもので、グリッド型システム天井によって放射空調の施工を行う場合において、ダクト施工を極力不要とし、また、容易に施工出来、さらに、天井面を均一な目標温度に容易に出来る、空調用チャンバー装置を提供して上記課題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、グリッド型システム天井において使用する空調用チャンバー装置において、前記グリッドの開口と底面が略同形同大に開口し、下部は平面視方形形状で一定長の高さを有する枠体の上に、前後が開口した屋根を設けた略筒状のボックスを形成し、前記ボックスの枠体の、前記屋根の開口部の下に位置する両端の外側端面下部の一側から他側にわたって凹部を設け、複数の連続した前記グリッド毎に多数の通孔を有する天井面を形成する板体を嵌め、その上から前記ボックスを被せて複数連続設置し、これらの隣接する各ボックスは、枠体の一対の両端の外側端面下部の前記凹部が相対向するように並べ、当該相対向する凹部内に、グリッドの一辺を成すTバーを収納させて隣接する各ボックスの枠体の外側端面及び屋根の端部を突き合わせて密着接続し、前記ボックスのうち前端に設置されるボックスの前端面を塞ぎ、後端に設置されるボックスの後面の開口面に空調機と接続されたダクトの供給口を接続して前記各ボックスを通じて各グリッド内に空調空気を送り、当該空調空気のうち下層を移送するものは前記ボックスの枠体に衝突して下降し、前記板体と接触し、また、当該空気の一部は前記板体の通孔を通過して当該板体を冷却又は加熱させる構成であるグリッド型システム天井の空調用チャンバー装置とした。
【0010】
請求項2の発明は、前記各ボックスの屋根形状は、上部の断面が上へ行くほど幅が狭くなる台形状とした前記請求項1に記載のシステム天井空調用チャンバー装置とした。
【0011】
請求項3の発明は、前記ボックス同士の接続面及び各板体と各ボックスの枠体の接触面には夫々パッキンを設け、各ボックス同士は固定具で固定した前記請求項1又は2の何れかに記載のシステム天井空調用チャンバー装置とした。
【0012】
請求項4の発明は、前記ボックスの両側面の枠体に、略クランク型の転倒防止具の一片を取り付けて垂下させ、当該転倒防止具の他片の鍵片を前記システム天井から立設しているTバーの頭部に下方から引っ掛けて取り付けた前記請求項1、2又は3の何れかに記載のシステム天井空調用チャンバー装置とした。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、グリッド型システム天井によって放射空調の施工を行う場合において、膨大なダクトも必要とせず、ダクト施工の専門的な技術が無くても容易に施工出来、また、天井面の温度調整が容易に出来る空調用チャンバー装置を提供出来る。
【0014】
この様なことから、各種建築物において放射空調の施工を極めてスピーディーに出来るものであり、また、ダクト施工を極力不要としたのでコストダウンにもなり、放射空調の推進にも貢献するものである。
【0015】
また、チャンバー装置を施工した後、一部のボックスに不具合が生じた場合、当該ボックスの前後の各ボックスとの接続を解けば、当該不具合が生じたボックスのみを取り替えることが出来、作業性が良く、費用面でもコストダウン出来る。
【0016】
また、請求項2の発明によれば、前記ボックスの形状として、上部の断面は上へ行くほど幅が狭くなる台形状としたので、天井面を支持する骨組みが形成された状態での室内側から天井内部への搬入性や施工時の可搬性、設置性に優れたものとなっている。また、各ボックス間を接続する際の接合部の長さを短縮することが出来、チャンバーの気密性の向上させるものである。
【0017】
請求項3の発明によれば、ボックス同士の接続面及び各ボックスを載せた板体との接続面には夫々パッキンを設け、各ボックス同士は固定具で固定したので、気密性が高く、空調機からの空気を無駄なくより確実にグリッド内に移送することが出来、より効率の良いものである。
【0018】
また、請求項4の発明によれば、ボックスの両側面に、略クランク型の転倒防止具の一片を取り付けて垂下させ、当該転倒防止具の他片の鍵片を前記システム天井から立設しているTバーの頭部に下方から引っ掛けて取り付けたので、ボックスがしっかりと両側面から天井を構成する板体に押し付けられて固定されて当該ボックス内の気密性保持に寄与し、さらに、多少の衝撃では、このチャンバー装置が転倒することが無く、装置として信頼性の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明の実施の形態例1において、グリッド型システム天井に、空調用チャンバー装置のボックスを設置するイメージを示す斜視図である。
図2】この発明の実施の形態例1のグリッド型システム天井の空調用チャンバー装置の概略を示す構成図である。
図3】この発明の実施の形態例1の隣接するボックスの枠体の接続下部を示す一部断面図である。
図4】この発明の実施の形態例1の空調用チャンバー装置の先端側の側面図である。
図5】この発明の実施の形態例1の後端ボックスの前端面図である。
図6】この発明の実施の形態例1の後端ボックスの後面図である。
図7】この発明の実施の形態例1の空調用チャンバー装置の後端側の側面図である。
図8】この発明の実施の形態例1の転倒防止具の取付具合を示す一部断面図である。
図9】この発明の実施の形態例1の空調用チャンバー装置内に空調空気を流した際、上層を流れる気流は先まで移送され、下層を流れる気流は枠体に当たり、下降して天井面に接触し、その一部は通孔から室内へ流れている様子を示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態例1)
以下、この発明の実施の形態例1のグリッド型システム天井(以下、単に『システム天井』と言う)Bの空調用チャンバー装置Aを図に基づいて説明する。このシステム天井Bの空調用チャンバー装置Aは、図1及び図2に示す様に、システム天井Bの天井裏に空調用のチャンバー装置Aを設置し、このチャンバー装置A内に機械室の空調機Cから送られてきた空調空気を送り込んで、放射板となる天井面を形成する板体22を冷却又は加熱するものであって、概略、チャンバー装置Aを形成する複数の、グラスウールボードから成るボックス1(2、3)と天井面と成る板体22から形成される。
【0021】
前記ボックス1の基本的な形状は、図1に示す様に、前記グリッド21の開口と底面が略同形同大に開口し、下部は平面視正方形状で一定長の高さを有する枠体1aであり、当該枠体1aに、上部は上へ行くほど幅が狭くなった台形状の屋根1bが設けられ、前記枠体1aから上の上部の屋根1bの前後の面は開口面1cとなった略筒状のものである。
【0022】
また、ボックス1の枠体1aの前後の外側端面下部は、図3に示す様に、システム天井B裏で立設するTバー24の高さ分及び幅の分、一側から他側にわたって凹部が設けられており、後述する2つのボックス1(2、3)を接続した場合、これら2つのボックス1(2、3)の凹部がトンネル状となり、当該トンネル状部に前記Tバー24が通るため、前記Tバー24が立設していても邪魔とならないようになっている(図4及び図7参照)。
【0023】
さらに、このボックスのうち先端に配置されるもの(以下、「先端ボックス2」と言う)は、図1及び図4に示す様に、ボックス1と略同構造であるが、枠体2a、屋根2b及び後面の開口面2cを備え、前面は閉じられている。また、後端に配置されるもの(以下、「後端ボックス3」と言う)は、図5に示す様に、ボックス1と略同構造であるが、枠体3a、屋根3b及び前面の上部を開口面3cとし、後面の上部は閉じられて、図6及び図7に示す様に、ダクト端部を取り付ける開口部3dを設けている。
【0024】
また、別途、図1に示す様に、システム天井Bの天井面に取付けて、放射空調の放射板となるスチール製の板体22を設けており、この板体22には多数の通孔23が設けられており、この板体22の四方の端縁には、図8に示す様に、段部22aが形成されている。
【0025】
次に、前記ボックス1、先端ボックス2及び後端ボックス3を使用してシステム天井Bに空調用チャンバー装置Aを設ける様子を説明する。ここで使用するシステム天井Bとしては、従来から有る一般的なもので、600スクエア乃至640スクエアのものであり、複数のTバー24を交差して吊るし、多数のグリッド21を形成している。
【0026】
これらの多数のグリッド21の開口には、図3及び図8に示す様に、前記板体22の段部22aを前記Tバー24の下部の段部24aに架けて、この板体22を嵌め込んでいる。また、この板体22上の段部22aの内側には、正方形状の枠体から成る漏気防止のためのパッキン25を設けている。
【0027】
前記システム天井Bにおいて、図8に示す様に、前記先端ボックス2の枠体2aの下面をグリッド21を形成する前後左右のTバー24の内側であって、前記パッキン25上に載置する。
【0028】
その後、この先端ボックス2の後側に隣接するグリッド21上に前記ボックス1を、前記先端ボックス2と同様にシステム天井Bの板体22の上に被せて載置し、前記先端ボックス2の後面と前記ボックス1の前面を合わせて密着接続する。ここでは、このボックス1の後面にさらに他のボックス1の前面を密着接続している(図2では、ボックス1を3個接続している。)。そして、これらのボックス1のうち最後のボックス1の後側に隣接するグリッド21上に後端ボックス3を、前記先端ボックス2及びボックス1と同様にシステム天井Bの板体22上に被せ、前記ボックス1の後面と前記後端ボックス3の前面を合わせて密着接続する。この様にして複数のボックス2、1、3を連続設置する。
【0029】
また、前記先端ボックス2、ボックス1及び後端ボックス3の各面の接続の際には、予め接続面にパッキン4を介在させ、先端ボックス2、ボックス1及び後端ボックス3の内部を密封している。また、図4及び図7に示す様に、先端ボックス2、ボックス1及び後端ボックス3同士の固定には、接続するボックスの屋根の天板同士及び左右の側板同士を留め金5で固定する。ここで使用する留め金5としては、市販されているものを使用する。
【0030】
また、図8に示す様に、前記先端ボックス2、ボックス1及び後端ボックス3の両側面に位置する枠体2a、1a、3aに通孔1d(図8ではボックス1において示す)を夫々設け、これらの通孔1dの位置と略クランク型の転倒防止具6の一片6aに設けた通孔の位置を合わせて、ボルト7の脚部を外側から通して当該ボルト7の脚部にナットを螺着して前記転倒防止具6を取り付け、この転倒防止具6の下端に鍵型部を有する他片6bを垂下させる。
【0031】
この転倒防止具6の他片6bの鍵型部を前記システム天井Bにおいて立設しているTバー24の頭部に下方から引っ掛けて固定する。そして、この転倒防止具6を先端ボックス2、ボックス1及び後端ボックス3の左右の側面に夫々設ける。これにより、各先端ボックス2、ボックス1及び後端ボックス3がしっかりと両側面から天井を構成する板体に押し付けられて固定されて徒に動かず、各ボックス1、2、3同士及び各ボックス1、2、3と各板体22との密着性も高まり、当該ボックス内の気密性保持の向上に寄与する。さらに、多少の衝撃を受けても先端ボックス2、ボックス1及び後端ボックス3がシステム天井Bから外れて転倒すると言うことはない。また、この様にして、空調機Cから移送されて来る空調空気の各グリッド21への供給ルートを形成する。
【0032】
その後、前記後端ボックス3の後面の開口部3dに、図2に示す様に、機械室に設置してある空調機Cから伸ばされたダクト25の供給口を接続する。これにより、前記空調機Cから空調空気が移送される。
【0033】
この様に空調機Cから当該チャンバー装置Aに空調空気を流すと、図9に示す様に、この空調空気のうち、前記先端ボックス2、ボックス1及び後端ボックス3内の上層を流れるもの(図9において矢印で示す。)は、先端ボックス2、ボックス1及び後端ボックス3の開口面3c、1c、2cを通って隣接するボックスへと移送されるが(図9では開口面1c、3cのみを示す。)、下層を流れるもの(図9において矢印で示す。)は前記枠体2a、1a、3aに衝突してはね返って下降し、前記板体22と接触してこの板体22を冷却又は加熱し、この空気の一部は前記板体22の通孔23を通過することにより、さらに、板体22を冷却又は加熱することが出来る。
【0034】
通常のチャンバーを連ねたものでは、空調空気がただ隣接するチャンバーに移送されて、効果的に板体22に接触することが出来ず、グリッドの板体を目標温度に均一に冷却又は加熱することは困難であるが、この実施の形態例によれば、システム天井Bと一体化された空調空気の供給ルートである先端ボックス2、ボックス1及び後端ボックス3に夫々枠体2a、1a、3aから成る隔壁を設けたので、移送される空調空気の一部を前記枠体2a、1a、3aに衝突させてはね返らせて下降させ、確実に空調空気を各板体22に接触させ、ダクトに近い板体22からダクトに遠い板体22まで均一に冷却又は加熱することが確実に出来る。これにより、システム天井において、放射冷房及び放射暖房の施工を容易かつスピーディーとした。
【0035】
また、この空調用チャンバー装置Aでは、施工した後、一部のボックスに不具合が生じた場合、このボックスの前後の各ボックスとの接続を解除すれば、天井下から当該天井の板体22をボックスごと持ち上げる等して、当該不具合が生じたボックスのみを取り替えることが出来、作業性が良く、費用面でもコストダウンを図ることが出来る。また、当該チャンバー装置を設置しないグリッドには、天井面となる板体や照明具等が設けられた板体が被せられる。
【0036】
なお、上記実施の形態例1では、システム天井Bとして、600スクエア乃至640スクエアのものを使用したが、この空調用チャンバー装置Aが使用出来るものであるなら、これらのサイズに限るものではない。また、ボックス1、先端ボックス2及び後端ボックス3を、グラスウールボードから成るものとしているが、材料としてはこれに限定するものではない。
【0037】
また、ボックス1、先端ボックス2及び後端ボックス3の上部の断面形状として、上へ行くほど幅が狭くなる台形状としたがこれに限るものではなく、各ボックス同士は固定具として、市販の留め具5を使用したがボックス同士を確実に固定できるものなら何でも良い。さらに、各ボックスの転倒防止具6としてTバー24の頭部に係止固定するものを使用したが、転倒防止具6としてはこれに限らず、他のものでも良い。
【符号の説明】
【0038】
A 空調用チャンバー装置 B システム天井
C 空調機
1 ボックス 1a 枠体 1b 屋根
1c 開口面 1d 通孔 2 先端ボックス
2a 枠体 2b 屋根 2c 開口面
3 後端ボックス 3a 枠体 3b 屋根
3c 開口面 3d 開口部 4 パッキン
5 留め金 6 転倒防止具 6a 一片
6b 他片 7 ボルト
21 グリッド 22 板体 22a 段部
23 通孔 24 Tバー 24a 段部
25 ダクト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9