特許第6238644号(P6238644)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238644
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】水田作業機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20171120BHJP
   B60R 3/00 20060101ALI20171120BHJP
   B60K 15/03 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   A01C11/02 311G
   A01C11/02 311T
   B60R3/00
   B60K15/03 B
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-178298(P2013-178298)
(22)【出願日】2013年8月29日
(65)【公開番号】特開2015-43754(P2015-43754A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2015年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180507
【弁理士】
【氏名又は名称】畑山 吉孝
(74)【代理人】
【識別番号】100137590
【弁理士】
【氏名又は名称】音野 太陽
(72)【発明者】
【氏名】谷口 大輔
【審査官】 大熊 靖夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−201502(JP,A)
【文献】 特開2005−021029(JP,A)
【文献】 特開2002−059750(JP,A)
【文献】 特開2007−215520(JP,A)
【文献】 特開2011−079485(JP,A)
【文献】 特開2006−087361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 11/02
B60K 15/00−15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転座席の横側方に配備されたサイドステップと、前記サイドステップの車体後方側に前記サイドステップ及び後車輪よりも高い高さで配備された作業用ステップとが走行車体に備えられ、
エンジン用の燃料タンクを、前記作業用ステップの下方箇所であって、車体前後向きの車体メインフレームよりも車体横外側に位置する箇所に配備し、
前記燃料タンクのタンク本体の上端及び注油部の上端が前記サイドステップよりも高い箇所に位置するように、前記タンク本体及び前記注油部を形成してあり、
前記燃料タンクを、前壁面が前記後車輪よりも車体前方側に位置するように配備してある水田作業機。
【請求項2】
運転座席の横側方に配備されたサイドステップと、前記サイドステップの車体後方側に前記サイドステップ及び後車輪よりも高い高さで配備された作業用ステップとが走行車体に備えられ、
エンジン用の燃料タンクを、前記作業用ステップの下方箇所であって、車体前後向きの車体メインフレームよりも車体横外側に位置する箇所に配備し、
前記燃料タンクのタンク本体及び注油部の上端が前記サイドステップよりも高い箇所に位置するように、前記タンク本体及び前記注油部を形成してあり、
前記走行車体に、前記燃料タンクの外周囲を通って前記作業用ステップを支持する支持フレームを備え、
前記燃料タンクの外周面に指標を設けると共に、前記指標と前記支持フレームとの位置合わせにより、前記走行車体に対する前記燃料タンクの位置決めを行なうように構成してある水田作業機。
【請求項3】
前記指標として、前記支持フレームが入り込む凹入部を前記燃料タンクの外周面に設けてある請求項に記載の水田作業機。
【請求項4】
前記作業用ステップのうちの平面視において前記注油部の上端と重なる部位に、注油開口を設けてある請求項1から3のいずれか1項に記載の水田作業機。
【請求項5】
前記注油部の上端が前記作業用ステップの車体横外側に位置している請求項1から3のいずれか1項に記載の水田作業機。
【請求項6】
前記注油部の上端が前記作業用ステップの前寄り部位に対応する箇所に位置している請求項4又は5に記載の水田作業機。
【請求項7】
運転座席の横側方に配備されたサイドステップと、前記サイドステップの車体後方側に前記サイドステップ及び後車輪よりも高い高さで配備された作業用ステップとが走行車体に備えられ、
エンジン用の燃料タンクを、前記作業用ステップの下方箇所であって、車体前後向きの車体メインフレームよりも車体横外側に位置する箇所に配備し、
前記燃料タンクのタンク本体及び注油部の上端が前記サイドステップよりも高い箇所に位置するように、前記タンク本体及び前記注油部を形成してあり、
前記サイドステップの後端部と前記作業用ステップの前端部との間を閉じる壁部材を備え、
前記壁部材の車体横外側端を前記作業用ステップの車体横外側端よりも車体横内側に位置させると共に、前記作業用ステップのうちの前記壁部材よりも車体横外側に突出する部位の車体前方箇所であって、前記壁部材の車体横外側に位置する箇所に、前記注油部を配備してある水田作業機。
【請求項8】
前記燃料タンクの後壁面に、下端側ほど車体前方側に位置するよう傾斜した傾斜部位を備え、
前記燃料タンクを、下端が前記後車輪よりも車体前方側に位置し、後端が前記下端よりも車体後方側に位置するように配備してある請求項1から7のいずれか1項に記載の水田作業機。
【請求項9】
前記サイドステップと前記作業用ステップとの間に位置する箇所に前記注油部を配備してある請求項1から8のいずれか1項に記載の水田作業機。
【請求項10】
前記注油部の上端が前記作業用ステップよりも低い箇所に位置している請求項1から9のいずれか一項に記載の水田作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転座席の横側方に配備されたサイドステップと、前記サイドステップの車体後方側に前記サイドステップ及び後車輪よりも高い高さで配備された作業用ステップとが走行車体に備えられた水田作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示される乗用型田植機があった。この田植機では、サイドステップとしての拡張運転部床が備えられ、拡張運転部床の下方にエンジン用燃料タンクが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−76530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術を採用した場合、運転座席の横側方に位置するサイドステップの下方空間を燃料タンクの配置空間に利用して燃料タンクの容量を大にし易い。ところが、泥土層が深い作業箇所や圃場では、車輪が泥土層に深く沈み込むことにより、燃料タンクの泥土との接触や、泥土への入り込みが発生し易い。
【0005】
本発明の目的は、燃料タンクの容量減少を回避や抑制しながら、燃料タンクの泥土への接触や入り込みを回避し易い水田作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明による水田作業機は、
運転座席の横側方に配備されたサイドステップと、前記サイドステップの車体後方側に前記サイドステップ及び後車輪よりも高い高さで配備された作業用ステップとが走行車体に備えられ、
エンジン用の燃料タンクを、前記作業用ステップの下方箇所であって、車体前後向きの車体メインフレームよりも車体横外側に位置する箇所に配備し、
前記燃料タンクのタンク本体の上端及び注油部の上端が前記サイドステップよりも高い箇所に位置するように、前記タンク本体及び前記注油部を形成してあり、
前記燃料タンクを、前壁面が前記後車輪よりも車体前方側に位置するように配備してあることを特徴とする。
【0007】
本第1発明の構成によると、サイドステップの下方空間よりも車体上下方向での大きさが大である作業用ステップの下方空間を燃料タンクの配置用に利用して燃料タンクを配備する。そして、タンク本体及び注油部の上端をサイドステップよりも高い箇所に位置させるから、サイドステップの下方に燃料タンクを配備するに比べ、高さが同じであるとかあまり変わらない燃料タンクを最低地上高さが高い状態で装備できる。
【0008】
従って、本第1発明によると、従来の燃料タンクと高さが変わらないとかあまり変わらない燃料タンクを採用して、極力多量の燃料を貯留できるようにしながら、泥土層が深い箇所や圃場でも、燃料タンクの最低地上高さが高いことにより、燃料タンクの泥土への接触や入り込みを回避し易い。又、本第1発明によると、燃料タンクの前壁側をサイドステップ寄りに位置させることができ、燃料タンクに燃料供給するための供給容器をサイドステップに載置して支持させながら楽に燃料供給するという供給方法を採用し易い。
【0009】
本第2発明では、運転座席の横側方に配備されたサイドステップと、前記サイドステップの車体後方側に前記サイドステップ及び後車輪よりも高い高さで配備された作業用ステップとが走行車体に備えられ、
エンジン用の燃料タンクを、前記作業用ステップの下方箇所であって、車体前後向きの車体メインフレームよりも車体横外側に位置する箇所に配備し、
前記燃料タンクのタンク本体及び注油部の上端が前記サイドステップよりも高い箇所に位置するように、前記タンク本体及び前記注油部を形成してあり、
前記走行車体に、前記燃料タンクの外周囲を通って前記作業用ステップを支持する支持フレームを備え、 前記燃料タンクの外周面に指標を設けると共に、前記指標と前記支持フレームとの位置合わせにより、前記走行車体に対する前記燃料タンクの位置決めを行なうように構成してある。
【0010】
本第2発明によると、サイドステップの下方空間よりも車体上下方向での大きさが大である作業用ステップの下方空間を燃料タンクの配置用に利用して燃料タンクを配備する。そして、タンク本体及び注油部の上端をサイドステップよりも高い箇所に位置させるから、サイドステップの下方に燃料タンクを配備するに比べ、高さが同じであるとかあまり変わらない燃料タンクを最低地上高さが高い状態で装備できる。
従って、本第2発明によると、従来の燃料タンクと高さが変わらないとかあまり変わらない燃料タンクを採用して、極力多量の燃料を貯留できるようにしながら、泥土層が深い箇所や圃場でも、燃料タンクの最低地上高さが高いことにより、燃料タンクの泥土への接触や入り込みを回避し易い。
さらに、本第2発明によると、支持フレームに指標を指し示す指針機能を備えさせることができ、支持フレームを指針手段に利用した簡単な構造で、燃料タンクを所定の取付位置にできる。
【0011】
本第3発明では、前記指標として、前記支持フレームが入り込む凹入部を前記燃料タンクの外周面に設けてある。
【0012】
本第3発明によると、支持フレームの凹入部への入り込みを知ることによって、支持フレームで成る指針と、凹入部で成る指標とが位置合わせ状態になったことを認識できる。従って、指針と指標とを精度よい位置合わせ状態にして燃料タンクを所定どおりの取付位置にする取付作業を容易にできる。
【0013】
本第4発明では、前記作業用ステップのうちの平面視において前記注油部の上端と重なる部位に、注油開口を設けてある。
【0014】
本第4発明によると、注油部の周辺を覆うガード機能を作業用ステップに備えさせることができ、作業用ステップをガード手段に利用した簡単な構造で注油部を保護できる。
【0015】
本第5発明では、前記注油部の上端が前記作業用ステップの車体横外側に位置している。
【0016】
本第5発明によると、作業用ステップの下方空間に燃料タンクを配備しながら、注油口を作業用ステップの車体横外側に位置させることができ、燃料タンクに対する燃料供給を車体横外側から行い易い。
【0017】
本第6発明では、前記注油部の上端が前記作業用ステップの前寄り部位に対応する箇所に位置している
【0018】
本第6発明によると、注油口をサイドステップ寄りに位置させることができ、燃料タンクに燃料供給するための供給容器をサイドステップに載置して支持させながら楽に燃料供給するという供給方法を採用し易い。
【0019】
本第7発明では、運転座席の横側方に配備されたサイドステップと、前記サイドステップの車体後方側に前記サイドステップ及び後車輪よりも高い高さで配備された作業用ステップとが走行車体に備えられ、
エンジン用の燃料タンクを、前記作業用ステップの下方箇所であって、車体前後向きの車体メインフレームよりも車体横外側に位置する箇所に配備し、
前記燃料タンクのタンク本体及び注油部の上端が前記サイドステップよりも高い箇所に位置するように、前記タンク本体及び前記注油部を形成してあり、 前記サイドステップの後端部と前記作業用ステップの前端部との間を閉じる壁部材を備え、
前記壁部材の車体横外側端を前記作業用ステップの車体横外側端よりも車体横内側に位置させると共に、前記作業用ステップのうちの前記壁部材よりも車体横外側に突出する部位の車体前方箇所であって、前記壁部材の車体横外側に位置する箇所に、前記注油部を配備してある。
【0020】
本第7発明によると、サイドステップの下方空間よりも車体上下方向での大きさが大である作業用ステップの下方空間を燃料タンクの配置用に利用して燃料タンクを配備する。そして、タンク本体及び注油部の上端をサイドステップよりも高い箇所に位置させるから、サイドステップの下方に燃料タンクを配備するに比べ、高さが同じであるとかあまり変わらない燃料タンクを最低地上高さが高い状態で装備できる。従って、本第7発明によると、従来の燃料タンクと高さが変わらないとかあまり変わらない燃料タンクを採用して、極力多量の燃料を貯留できるようにしながら、泥土層が深い箇所や圃場でも、燃料タンクの最低地上高さが高いことにより、燃料タンクの泥土への接触や入り込みを回避し易い。
さらに、本第7発明によると、燃料タンクの注油部をサイドステップの後端部付近に位置させることができ、作業用ステップの下方空間に燃料タンクを配備するものでありながら、燃料タンクに燃料供給するための供給容器をサイドステップに載置して支持させながら楽に燃料供給するという供給方法を採用し易い。
【0021】
本第8発明では、前記燃料タンクの後壁面に、下端側ほど車体前方側に位置するよう傾斜した傾斜部位を備え、
前記燃料タンクを、下端が前記後車輪よりも車体前方側に位置し、後端が前記下端よりも車体後方側に位置するように配備してある
【0022】
本第8発明によると、燃料タンクのうちの後側部分を後車輪の上方空間に位置させることができ、後車輪の上方空間を燃料タンクの配置用に利用して、燃料タンクの容量を大にできる。
【0023】
本第9発明では、前記サイドステップと前記作業用ステップとの間に位置する箇所に前記注油部を配備してある。
【0024】
【0025】
本第10発明では、前記注油部の上端が前記作業用ステップよりも低い箇所に位置している。
【0026】
本第10発明によると、注油部が作業用ステップよりも上方に突出せず、作業用ステップ上の移動をし易い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】水田作業機の全体を示す側面図である。
図2】水田作業機の全体を示す平面図である。
図3】ステップ支持構造を示す斜視図である。
図4】燃料タンクを配備した部位の斜視図である。
図5】燃料タンクを配備した部位の背面図である。
図6】燃料タンクの支持構造を示す斜視図である。
図7】燃料タンクを配備した部位の側面図である。
図8】第1の別実施構造を備えた水田作業機における料タンクを示す斜視図である。
図9】第2の別実施構造を備えた水田作業機における料タンクを示す斜視図である。である。
図10】第3の別実施構造を備えた水田作業機における料タンクを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係る水田作業機の全体を示す側面図である。図2は、本発明の実施例に係る水田作業機の全体を示す平面図である。図1,2に示すように、本発明の実施例に係る水田作業機は、車体フレーム1の下部に装備された左右一対の前車輪2,2及び左右一対の後車輪3,3を有し、左右一対の前車輪2,2及び左右一対の後車輪3,3によって自走する走行車体を備えている。走行車体の前部に、前車輪2及び後車輪3に駆動力を出力するエンジン4が装備された原動部Aを設けてある。車体フレーム1の後部にリンク機構5を介して苗植付装置Bを連結してある。
【0029】
この水田作業機は、苗植付装置Bを下降作業状態にして走行車体を走行させることにより、苗植付装置Bによって8条植えが可能な苗植え作業を行なうものであり、次の如く構成してある。
【0030】
苗植付装置Bについて説明する。
苗植付装置Bは、リンク機構5が昇降シリンダ6によって車体フレーム1に対して上下に揺動操作されることにより、接地フロート10が圃場の泥土面に接地した下降作業状態と、接地フロート10が圃場の泥土面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降される。
【0031】
苗植付装置Bは、エンジン4からの駆動力が回転軸7を介して入力されるフィードケース11、及び車体横方向に所定間隔を隔てて並ぶ4つの植付駆動ケース12を有した植付フレームFを備えている。4つの植付駆動ケース12それぞれの後端部の両横側部に苗植付機構13を駆動自在に設けてある。各苗植付機構13は、フィードケース11から植付駆動ケース12に伝達される駆動力によって、2つの植付爪13aそれぞれの先端が上下方向に長い回動軌跡を描くように駆動され、2つの植付爪13aによって交互に、苗載台14の下端部から植付苗を取出し、取出した植付苗を圃場に下降搬送して、接地フロート10による整地が行われた泥土層に植え付ける苗植運動を行う。苗載台14は、苗植付機構13の前方において、下端側ほど後方に位置する傾斜姿勢で車体横方向に移動自在に支持されている。苗載台14は、苗植付機構13の苗植運動に連動させて横方向に往復移送され、各苗植付機構13が苗載台14に載置されたマット状苗の下端部の横一端側から他端側に向けて植付苗を取出していくように、各苗植付機構13に供給すべきマット状苗を苗植付機構13に対して車体横方向に往復移送する。植付フレームFの下部に、4つの接地フロート10を車体横方向に並べて装備してある。
【0032】
走行車体について説明する。
走行車体は、左右一対の車体前後向きの車体メインフレーム20,20を有した車体フレーム1を備えている。車体フレーム1の前部に前輪駆動ケース2aが装備され、この前輪駆動ケース2aの左右端部に前車輪2が操向操作自在かつ駆動自在に支持されている。車体フレーム1の後部に後輪駆動ケース3aが装備され、この後輪駆動ケース3aの左右端部に後車輪3が駆動自在に支持されている。
【0033】
走行車体には、車体後部に配備した運転座席30を有した搭乗型の運転部Cを設けてある。運転部Cには、運転座席30の他、運転座席30の前方下方に配備した運転部ステップ31、及び運転座席30の前方に配備したステアリングホィール32を備えてある。運転部ステップ31は、樹脂材の成型によって作製してある。
【0034】
運転座席30の左横側方及び右横側方の下方に、運転部Cに車体横側方から乗るのに使用し、かつ運転部Cから車体横側方に降りるのに使用するサイドステップ35及び乗降ステップ36を設けてある。左右のサイドステップ35は、運転部ステップ31と同じ又はほぼ同じ取付高さで車体に支持してある。左右のサイドステップ35は、運転部ステップ31とは別部材のステップに製作してある。左右の乗降ステップ36は、サイドステップ35の下方に配備してある。
【0035】
原動部Aの左横側及び右横側に、運転部Cに車体前方から乗るのに使用し、かつ運転部Cから車体前方に降りるのに使用するフロントステップ37を設けてある。左右のフロントステップ37は、予備苗載せ装置8よりも車体横内側に配備してある。左右のフロントステップ37は、サイドステップ35と同じ又はほぼ同じ取付高さで車体に支持してある。左及び右のフロントステップ37のうちの車体横内側部は、運転部ステップ31の横端部に一体成形してある。左及び右のフロントステップ37のうちの車体横外側部は、サイドステップ35に一体成形してある。
【0036】
左右のサイドステップ35及び左右のフロントステップ37は、サイドステップ35及びフロントステップ37の車体横外側縁に沿った縁部材に兼用の前後向きステップフレーム38を備えたステップ支持構造体Dに支持してある。左右の乗降ステップ36は、前後両端部から車体上方向きに延出した取付杆36aを備え、前後の取付杆36aによってステップ支持構造体Dに支持してある。
【0037】
運転座席30の左右の横側方と後方とにわたり、苗載台14に対する苗供給作業を行なうのに使用する作業用ステップ部40を設けてある。
【0038】
作業用ステップ部40は、左のサイドステップ35の車体後方箇所と右のサイドステップ35の車体後方箇所とに振り分けて配備した左右一対のサイド用の作業用ステップ41と、運転座席30の後方に配備したセンタ用の作業用ステップ42とを備えている。左及び右のサイドステップ35を通って作業用ステップ部40と運転部Cとの間を移動するように構成してある。
【0039】
左サイド用及び右サイド用の作業用ステップ41は、サイドステップ35及び後車輪3よりも高い取付高さで車体に支持してある。センタ用の作業用ステップ42は、左サイド用及び右サイド用の作業用ステップ41と同じ又はほぼ同じ取付高さで車体に支持してある。
【0040】
左サイド用の作業用ステップ41と、右サイド用の作業用ステップ41と、センタ用の作業用ステップ42とは、一体成形してある。左サイド用及び右サイド用の作業用ステップ41及びセンタ用の作業用ステップ42は、樹脂材の成型によって作製してある。
【0041】
左サイド用及び右サイド用の作業用ステップ41、及びセンタ用の作業用ステップ42は、運転座席30の後方に車体横向きに配置した後支持フレーム45を備えた作業ステップ支持構造体Eに支持してある。後支持フレーム45は、作業用ステップ部40の後端側を裏面側から受止め支持するように構成してある。
【0042】
図3に示すように、作業ステップ支持構造体Eには、後支持フレーム45の両端部に後端側が連結された左右一対の車体前後向きの支持フレーム46を備えてある。左右一対の支持フレーム46,46の前端側は、運転部Cの下部に車体横向きに配置された横向きステップフレーム39に支持されている。左右一対の支持フレーム46,46の前端部は、車体メインフレーム20に支持されている。左右一対の支持フレーム46,46は、後支持フレーム45を介して左サイド用及び右サイド用の作業用ステップ41、センタ用の作業用ステップ42を支持している。
【0043】
図2,4に示すように、左サイド用の作業用ステップ41の前端部と、左のサイドステップ35の後端部との間を左の壁部材43によって閉じてある。右サイド用の作業用ステップ41の前端部と、右のサイドステップ35の後端部との間を右の壁部材44によって閉じてある。
【0044】
左の壁部材43の車体横外側端は、車体横方向で左サイド用の作業用ステップ41の車体横外側端と同じ又はほぼ同じ箇所に位置している。左の壁部材43は、左サイド用の作業用ステップ41に一体成形してあり、左サイド用の作業用ステップ41に支持されている。左の壁部材43の下端側は、左のサイドステップ35の後端部の上面側に載せ付けてある。
【0045】
図2,3に示すように、右の壁部材44の車体横外側端44aは、車体横方向で右サイド用の作業用ステップ41の車体横外側端41aよりも車体横内側に位置している。右サイド用の作業用ステップ41のうちの車体横外側部分は、右の壁部材44よりも車体横外側に突出している。右の壁部材44は、右サイド用の作業用ステップ41に一体成形してあり、右サイド用の作業用ステップ41に支持されている。右の壁部材44の下端側は、右のサイドステップ35の後端部の上面側に載せ付けてある。
【0046】
図5は、燃料タンク50を配備した部位の背面図である。図7は、エンジン4のための燃料タンク50を配備した部位の側面図である。図5,7に示すように、燃料タンク50は、右サイド用の作業用ステップ41の下方箇所であって、車体フレーム1を構成する左右一対の車体メインフレーム20,20のうちの右の車体メインフレーム20よりも車体横外側に位置する箇所に配備してある。
【0047】
詳述すると、図2,5,7に示すように、燃料タンク50は、車体横方向に長い形状に形成されたタンク本体51と、タンク本体51の車体横外側端部における前端側部位でタンク本体51の上壁面51aから上方向きに突設された注油部52と、を備えている。タンク本体51の平面視での形状を、注油部52を備える部位が車体前方側に膨出した形状に形成してある。タンク本体51の後壁面51bの下端側に、下端側ほど車体前方側に位置するよう傾斜した形状の傾斜部位51cを備えてある。タンク本体51の後壁面51bのうちの傾斜部位51cよりも上方に位置する部位51rがタンク本体51の後端になっている。
【0048】
燃料タンク50は、燃料タンク50の上端としてのタンク本体51における上壁面51a、及び注油部52の上端としての注油口キャップの上端52aがサイドステップ35よりも高い箇所に位置し、かつ注油部52の上端52aが作業用ステップ41よりも低い箇所に位置するように配備してある。
【0049】
燃料タンク50は、タンク本体51の前壁面51dが後車輪3よりも車体前方側に位置するように、かつタンク本体51の下端としての底壁面51eが後車輪3よりも車体前方側に位置するように、さらにタンク本体51の後端51rが下端としての底壁面51eよりも車体後方側に位置するように配備してある。つまり、燃料タンク50は、傾斜部位51cが後車輪3の前方上方に位置するように配備してある。
【0050】
注油部52を、作業用ステップ41のうちの壁部材44よりも車体横外側に突出する部位の車体前方箇所であって、壁部材44の車体横外側に位置する箇所に配置してある。従って、注油部52がサイドステップ35の近くに位置し、燃料タンク50に燃料供給する際、燃料供給の容器をサイドステップ35に載置して支持させることが可能である。
【0051】
図5に示すように、タンク本体51の外周面のうちの後壁面51bに、タンク本体横方向に所定間隔を隔てて並んだ一対の凹入部53a,53bを設け、燃料タンク50の取付けを行なう際、凹入部53a,53bを指標として、かつ左右一対の支持フレーム46,46のうちの右の支持フレーム46を指針として、走行車体に対する燃料タンク50の車体横方向での位置決めを行なうように構成してある。
【0052】
すなわち、タンク本体51の後端部に、タンク本体横幅方向に長い連結フランジ54を設け、連結フランジ54に設けた複数のボルト孔54aから選択したボルト孔54aと、車体に装備された車体横向きの支持杆21に設けてあるボルト孔21aとに連結ボルト22を装着することにより、車体に対する燃料タンク50の取付けを行なうように構成してある。左右一対の支持フレーム46,46のうちの右の支持フレーム46は、燃料タンク50の外周囲を通るように配備してある。
【0053】
実施例では、8条植え田植機の場合、一対の凹入部53a,53bのうちの車体横内側の凹入部53aに支持フレーム46の一部が入り込むように凹入部53aと支持フレーム46とを位置合わせし、これによって合致した支持杆21のボルト孔21aと連結フランジ54のボルト孔54aとに連結ボルト22を装着することにより、車体に対する燃料タンク50の取付位置が8条植え田植機における所定の取付位置になる。
【0054】
6条植え田植機の場合、一対の凹入部53a,53bのうちの車体横外側の凹入部53bに支持フレーム46の一部が入り込むように凹入部53bと支持フレーム46とを位置合わせし、これによって合致した支持杆21のボルト孔21aと連結フランジ54のボルト孔54aとに連結ボルト22を装着することにより、車体に対する燃料タンク50の取付位置が6条植え田植機における所定の取付位置になる。
【0055】
図3,5に示すように、燃料タンク50からエンジン4に燃料供給する燃料供給系に備える燃料ポンプ57、燃料フィルター58及び油水分離器59を、運転座席30の下方に配備してある。これにより、燃料ポンプ57、燃料フィルター58及び油水分離器59は、泥土層が深くても、泥土に触れない取付高さで支持される。
【0056】
作業用ステップ部40の上方に手摺り60を配備してある。手摺り60は、左サイド用の作業用ステップ41の上方に車体前後向きに位置する左サイド手摺り部60aと、右サイド用の作業用ステップ41の上方に車体前後向きに位置する右サイド手摺り部60bと、センタ用の作業用ステップ42の上方に車体横向きに位置するセンタ手摺り部60cとを備えている。
【0057】
センタ手摺り部60cは、左サイド手摺り部60aを支持する前後一対の支柱61,62のうちの後の支柱62と、右サイド手摺り部60bを支持する前後一対の支柱61,62のうちの後の支柱62とに取り付けてある。左サイド手摺り部60a及び右サイド手摺り部60bの前の支柱61は、ステップ支持構造体Dを構成する横向きステップフレーム39の端部に立設してある。左サイド手摺り部60a及び右サイド手摺り部60bの後の支柱62は、作業ステップ支持構造体Eを構成する後支持フレーム45の端部に立設してある。
【0058】
右サイド手摺り部60bを支持する前の支柱61は、燃料タンク50の横外側方を通るように配備してある。従って、支柱61は、燃料タンク50に対するガード機能を備えている。
【0059】
〔別実施形態〕
図8は、第1の別実施構造を備えた水田作業機における燃料タンク50を示す斜視図である。図8に示すように、第1の別実施構造を備えた水田作業機では、作業用ステップ41の前端部をサイドステップ35の後端部との間を閉じる壁部材44に、車体横外側に向かって開口する切欠き部44bを設けてある。注油部52が作業用ステップ41よりも車体前方側の箇所であって、壁部材44の切欠き部内での車体横外側端よりも車体横外側の箇所に位置するように、燃料タンク50を配備してある。
【0060】
図9は、第2の別実施構造を備えた水田作業機における燃料タンク50を示す斜視図である。図9に示すように、第2の別実施構造を備えた水田作業機では、作業用ステップ41のうちの平面視において注油部52の上端52aと重なる部位に、注油開口47を設けてある。注油部52の上端52aは、作業用ステップ41の前寄り部位に対応する箇所に配置してある。さらに、注油部52の上端52aは、作業用ステップ41を移動する際の障害にならないように、作業用ステップ41よりも低い箇所に配置してある。
【0061】
図10は、第3の別実施構造を備えた水田作業機における燃料タンク50を示す斜視図である。図10に示すように、第3の別実施構造を備えた水田作業機では、注油部52の上端52aは、作業用ステップ41の車体横外側に配置してある。さらに、注油部52の上端52aは、作業用ステップ41の前寄り部位に対応する箇所に配置してある。さらに、注油部52の上端52aは、作業用ステップ41を移動する際の障害にならないように、作業用ステップ41よりも低い箇所に配置してある。
【0062】
〔別実施例〕
(1)上記した実施例では、燃料タンク50を右の作業用ステップ41の下方に配備した例を示したが、左の作業用ステップ41の下方に配備して実施してもよい。
【0063】
(2)上記した実施例では、燃料タンク50の傾斜部位51cを後壁面51bの下端側に備えた例を示したが、後壁面51bの上端から下端にわたって、あるいは後壁面51bの上下方向での中間部に備えて実施してもよい。
【0064】
(3)上記した実施例では、サイドステップ35及び作業用ステップ41として、別部材に構成したものを採用した例を示したが、一体成形したものを採用して実施してもよい。
【0065】
(4)上記した実施例では、壁部材44を作業用ステップ41に一体形成した例を示したが、サイドステップ35に一体形成してもよい。また、サイドステップ35及び作業用ステップ41のいずれとも別体に形成してもよい。
【0066】
(5)上記した実施例では、支持フレーム46と凹入部53a,53bとの位置合わせによって燃料タンク50の走行車体に対する車体横方向での位置決めを行なうように構成し例を示したが、車体上下方向での位置決めを行なうように構成して実施してもよい。
【0067】
(6)上記した実施例では、指標として凹入部53a,53bを採用した例を示したが、線や点などの各種の目印を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、田植機の他、直播機や除草機など、水田を作業箇所とする各種の作業機に利用可能である。
【符号の説明】
【0069】
3 後車輪
3b 前端
20 車体メインフレーム
30 運転座席
35 サイドステップ
41 作業用ステップ
41a 車体横外側端
44 壁部材
44a 車体横外側端
46 支持フレーム
47 注油開口
50 燃料タンク
51 タンク本体
51a 上端
51b 後壁面
51c 傾斜部位
51r 後端
51d 前壁面
51e 下端
52 注油部
52a 上端
53a,53b 指標
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10