(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
≪POS端末装置の構成≫
図1は、この発明のPOS端末装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、POS端末装置11は、CPU21、RAM23、不揮発性記憶部25、ドロア27、表示部29、入力部31としてのキーボード31aおよびバーコードスキャナ31b、印刷部33並びに通信部35を備える。
【0013】
CPU21は、不揮発性記憶部25に予め格納された処理プログラムをRAM23にダウンロードして実行することにより売上処理や
図1の各部の制御を行う。即ち、CPU21が処理プログラムを実行することによってこの発明に係る処理部の機能が実現される。
【0014】
RAM23は、前記処理プログラムを格納するほか、後述するように売上処理に係る各種テーブルやデータを格納する。さらに、外部のサーバーから提供される商品情報をPLU(Price Look Up)テーブルとして格納する。具体的なハードウェアとしてはDDR−3メモリ等のDRAMやスタティックRAMなどが適用可能である。
【0015】
不揮発性記憶部25は、RAM23に転送される処理プログラムを予め格納するほか、POS端末装置11の設定データ等を格納する。さらに、外部のサーバーから受信した商品情報を格納してもよい。売上処理の都度外部のサーバーと商品情報を遣り取りするのは通信負荷が大きく処理時間がかかるためである。その場合、不揮発性記憶部25に格納された商品情報は前記サーバーとの通信により随時更新される。更新された商品情報は、RAM23に転送されRAM23上のPLUテーブルとして格納される。不揮発性記憶部25の具体的なハードウェアとしてはフラッシュメモリ等の不揮発性メモリやハードディスク装置などが適用可能である。
ドロア27は、現金を収納する鍵の付いた引き出しである。
【0016】
表示部29は、オペレータおよび購入者に対して各商品の売上データ、合計額および税額を表示したり、購入者に広告を表示したりする。具体的なハードウェアとしては液晶表示装置などが適用可能である。
キーボード31aはオペレータの操作を受付ける。バーコードスキャナ31bは商品等に付されたバーコードを読み取る。
印刷部33は、レシートを印字するプリンタで、例えばサーマルドットプリンタが適用される。
通信部35は、外部のサーバーと商品情報等を遣り取りするためのインターフェイスである。通信方式は問わない。
【0017】
図2は、この実施形態においてキーボード31aの一例を示す説明図である。
図2に示すように、キーボード31aは、置数キー201、PLUキー202、金額キー203、現計キー204を有する。置数キー201は、金額等の数値を入力するキーである。PLUキーは、入力数値がPLUコード、即ちJAN(Japanese Article Number)コードなどの商品コードであることを示すキーである。これに対して金額キー203は、入力数値が金額であることを示すキーである。現計キー204は、売上処理の対象となる各商品の登録の締めを行うキーである。
【0018】
(実施の形態1)
≪データの構成≫
図3は、この実施形態においてRAM23に格納される種々のデータのうち、売上処理に関連の深いデータを示す説明図である。それらは、税率設定テーブル23a、PLU設定テーブル23bを含む。これらは、通信部35を介して外部のサーバーから提供されるか、不揮発性記憶部25に予め格納される。また、税種別売上累計メモリ23fは、税種別の売上金額を格納する。税種別税金累計メモリ23dは、税種別の税額を格納する。総売上累計メモリ23eは総売上金額を格納し、総税金累計メモリ23cは、総税金累計を格納する。販売ワークメモリ23gは、売上処理において商品が入力されたときにその売上処理に係るデータを格納する。
図4は、この実施形態において、税率設定テーブル23aの一例を示す説明図である。
図4に示すように、商品により税率が異なる場合に各税率を税種A〜Dに分類して格納する。
【0019】
図5は、この実施形態において、PLUテーブル23bの一例を示す説明図である。
図5に示すように、PLU設定テーブル23bは、各商品につき商品コード、単価、商品名および税種を格納する。
【0020】
図6は、この実施形態において、売上処理を行っているときの販売ワークメモリ23g等の一例を示す説明図である。
図6に示すように、販売ワークメモリ23gは、税種別に売上対象の各商品の商品コード、単価、商品名、点数および売上金額を格納する。また、税種別売上累計メモリ23fは、税種別の売上金額を格納する。税種別税金累計メモリ23dは、税種別の税額を格納する。総売上累計メモリ23eは総売上金額を格納し、総税金累計メモリ23cは、総税金累計を格納する。
CPU21は、これらのデータの書込みおよび読出しを行う。
【0021】
≪売上処理の流れ≫
図7は、この実施形態において、処理部としてのCPU21が実行する売上処理の手順を示すフローチャートである。売上処理において、POS端末11のオペレータは、キーボード31aもしくはバーコードスキャナ31bを用いて購入者が購入する商品の商品コードを入力する。CPU21は、キーボード31aもしくはバーコードスキャナ31bが読み取った商品コードを用いてPLUテーブル23bを参照し、商品毎の売上金額を計算し、表示部29に確認用の表示を行うと共に、売上金額と税額との累計をそれぞれ計算する。
図9は、この実施形態において、表示部29に表示される確認用の表示画面の一例を示す説明図である。確認画面29aは、キーボード31aやスキャナ等31bによって入力された商品の順に表示される。
図9の例では、「ニンジン」、「キュウリ」、「ロイヤルカナン」、「牛乳」の順に入力が行われ、その順に確認画面に表示されたことを示している。
【0022】
以下、
図7のフローチャートに沿って売上処理を説明する。売上処理が開始されると、CPU21は、キーボード31aもしくはバーコードスキャナ31bが読み取った商品コードに基づいてPLUテーブル23bを検索し(ステップS11)、該当する商品コードが存在するか調べる(ステップS13)。もし、該当する商品コードが存在しなければ、エラーとして処理する(ステップS13のNo)。その場合、オペレータはバーコードスキャナ31bで商品に付されたバーコードを再度スキャンするか、キーボード31aを用いて商品コードの数値を入力する。あるいは、商品コードの登録漏れがないか確認し、登録漏れの場合はPOSシステムの管理者に商品コードの追加登録を依頼する。
【0023】
商品コードが存在する場合は(ステップS13のYes)、CPU21は、PLUテーブル23bに登録された該当商品の商品名、単価を確認のために表示部29に表示させる(ステップS15)。例えば、入力された商品コードが075の場合、CPU21は商品名「牛乳」と単価「178円」を表示部29に表示させる。
【0024】
さらに、CPU21は、PLUテーブル23bを参照し、該当商品の税種に応じた販売ワークメモリ23gに該当商品のデータを追加する(ステップS17)。例えば、前述の商品コード075の税種がB(税率が5%)であるとする。その場合CPU21は、税種Bの販売ワークメモリ23gの末尾に商品コード「075」の欄を追加し、単価「178円」、商品名「牛乳」、点数「2」を追加し、単価×点数を計算して得られる「356円」を売上金額として追加する(
図6参照)。
【0025】
そして、CPU21は、同一税種の商品の売上金額の合計を格納する税種別売上累計メモリ23fと税種別税金累計メモリ23dの値を更新する(ステップS19)。
図6の場合、税種B(税率が5%)のそれまでの売上金額の合計として商品コード078と069の売上金額の合計として198円+98円=296円が税種別売上累計メモリ23fに格納されている。商品コード075の売上金額356円を加えた652円に税種別売上累計メモリ23fを更新する。また、税種B(税率が5%)のそれまでの税額の合計として商品コード078と069との売上金額の合計の5%に相当する15円が税種別税金累計メモリ23dに格納されている。CPU21は、商品コード075を加えた売上金額の合計の5%に相当する32円に税種別売上累計メモリ23fを更新する。
【0026】
さらに、CPU21は、総売上の合計金額を格納する総売上累計メモリ23eと総税金累計メモリ23cの値を更新する(ステップS21)。
図6の場合、それまでの売上金額の総計として税種Bの他に税種C(税率が10%)の税種別売上累計メモリ23fに商品コード128の売上金額3000円が格納されている。即ち、税種Bの商品コード078と069の合計売上金額の296円と税種C(商品コード128のみ)の合計売上金額3000円の合計である3296円がそれまでの総売上累計メモリ23eに格納されている。CPU21は、商品コード075の売上金額356円を加えた3652円に総売上累計メモリ23eを更新する。そして、総税金累計メモリ23cの値を税種BとCの税種別税金累計メモリ23dを合計した332円に更新する。
【0027】
その後、CPU21は、次の商品の入力または締めの指示を待つ。即ち、新たな商品が入力されたか否かを調べ(ステップS23)、入力があった場合(ステップS23のYes)は、前述のステップS11に戻り、新たに入力された商品について処理を実行する。
【0028】
一方、新たな入力がなければ、現計キー204が押され締めの指示が入力されたか否かを調べる(ステップS25)。締めの指示があったら(ステップS25のYes)、売上処理を終了し、後述する現計処理に移行する。締めの指示がなければ(ステップS25のNo)、ルーチンはステップS23に戻ってループし、次の商品が入力されるかまたは現計キー204が押されて締めの指示がなされるのを待つ。
以上が売上処理の流れである。
【0029】
≪締め後の現計処理の流れ≫
続いて、締めの後の処理を説明する。
図8は、この実施形態において、現計キー204が押された締めの指示に応答して開始される現計処理の流れを示すフローチャートである。
現計キー204が押されると、CPU21は、販売ワークメモリ23gに格納された税種のうちで最も税率の低い税種を選択する(ステップS31)。以下、税率の低い順に商品をまとめてレシート印字の処理を行う。
【0030】
CPU21は、選択した税種の販売ワークメモリ23gに格納された各商品について、販売ワークメモリ23gに格納された順に「商品名」、「単価」、「点数」、「売上金額」をレシートに印字する(ステップS33)。この実施形態によれば、同一税率の商品については入力された順に印字を行う。
【0031】
同一税種の各商品の印字を行った後、その税種の「税率」、その税種の商品の「合計点数」、その税種の「合計売上金額」、その税種の「合計税額」を印字する(ステップS35)。それらの値は、税率は税率設定テーブル23a、販売ワークメモリ23g、税種別売上累計メモリ23f、税種別税金累計メモリ23dにそれぞれ基づいて得ることができる。
【0032】
続いてCPU21は、次の税種があるか否かを確認する(ステップS37)。次の税種があれば(ステップS39のYes)、ルーチンは前述のステップS33に戻り、次の税種についてステップS33〜S35の印字を行う。
【0033】
印字すべきすべての税種について処理を繰り返したら(ステップS39のNo)、ルーチンはステップS41へ進み、点数の総計、売上金額の総計および税額の総計を印字する(ステップS41)。それらの値は、総売上累計メモリ23eおよび総税金累計メモリ23cに基づいてそれぞれ得ることができる。最後に、売上金額の総計と税額の総計を加算した合計金額を印字して(ステップS43)処理を終了する。
【0034】
図10は、この実施形態により印字されるレシートの一例を示す説明図である。一点鎖線で囲んだ領域は、税種Bの商品がまとめて印字された領域と税種Cの商品がまとめて印字された領域である。税種B印字領域41aには、「ニンジン」、「キュウリ」および「牛乳」がまとめて印字され、税種C印字領域41bには、唯一の商品「ロイヤルカナン」が印字されている。
図10の例では、税種Aおよび税種Dの商品は売上対象に含まれていない。つまり、税種別に「商品名」、「単価」、「点数」、「売上金額」が印字されている(前述のステップS33に対応)。
【0035】
また、各税種について、「税率」、「合計点数」、「合計売上金額」、「合計税額」が印字されている。具体的には、税種Bについて「5%」、「3点」、「652円」、「32円」が印字されている。税種Cについても同様である(前述のステップS35に対応)。
【0036】
その下に、全ての税率を合計した「総計点数」、「総計売上金額」、「総計税額」が印字されている。具体的にはそれぞれ「4点」、「3652円」、「332円」である(前述のステップS41に対応)。
そして、末尾に総計売上金額と総計税額の合計が印字されている(前述のステップS43に対応)。
【0037】
図6、
図9および
図10を対照させるとわかるように、この実施形態において、レシート41の印字順は販売ワークメモリ23gの順に対応し、同一税種については入力順である。異なる税種については税率の低い順である。
【0038】
この発明によれば、各商品を税種別にまとめて印字しかつ税率毎の税額小計が印字されるので、異なる税率の商品を購入した際に購入者が税額を確認し易く、しかも各商品について税額を印字しなくてもよいのでコンパクトなレイアウトのレシートを印字でき省資源にも寄与する。購入者は、購入金額に含まれる税額を税率毎に確認できる。また、税率毎に商品が纏められているため視認性がよく、購入者の利便性が向上する。
【0039】
(他の実施形態)
実施の形態1では税率の低い順に印字を行っているが、変形例として、税率の高い順に印字を行ってもよい(実施の形態2)。
【0040】
実施の形態1ではレシートの印字順を税率順にまとめたが、同一税率の商品については入力順に印字している。変形例として、同一税率の商品について、異なる割引率が適用されるときは、さらに割引率の順にまとめてもよい(実施の形態3)。
【0041】
図11は、実施の形態3により印字されるレシートの一例を示す説明図である。「キュウリ」と「牛乳」が通常価格(割引率0%)であるのに対して「ニンジン」は通常の10%割引の特価品である場合に、割引率の順に印字を行っている。この場合、PLU設定テーブル23bは、各商品の割引率の項目を有する(
図5に図示せず)。それに対応して販売ワークメモリ23gは各商品の割引率の項目を有する(
図6に図示せず)。
【0042】
図8のステップS33〜S39のループの中に、割引率の順に商品を選択するサブループが追加される。即ち、同一税種につき、販売ワークメモリ23gから割引率の最も高いものから順に商品を選択して印字するサブループの処理を追加することで、
図11に示すレシートの印字が実現できる。
他の変形例として、実施の形態3における商品の割引率に代えてポイント付与率の順にまとめるようにしてもよい(実施の形態4)。
以上に述べたように、
【0043】
この発明によるPOS端末装置は、商品別の単価および商品別の税率を含む商品情報を格納する記憶部と、各商品の売上処理の指示および前記売上処理の締めの指示を受付ける入力部と、指示を受付けた各商品の売上処理をその商品に係る商品情報を用いて行い、商品毎の売上個数、売上金額、税率および税額を含む売上データを生成する処理部と、前記売上データに基づいてレシートを印刷する印刷部とを備え、前記処理部は、前記締めの指示に応答し、売上処理された各商品を税率別に並べて記しかつ税率毎の税額小計を記したレシートを前記印刷部に印刷させることを特徴とする。
【0044】
この発明において、記憶部は、少なくとも商品情報を格納するメモリである。具体的な態様としては、例えば、商品情報がネットワークを介して接続された外部のサーバーから送られてくる。前記記憶部は、受信した商品情報を格納するRAMである。前述の実施例におけるRAMは、この発明に係る記憶部に相当する。入力部は、オペレータからの指示を受付けるものである。例えば前述の実施形態において、この発明に係る入力部はキーボードおよびバーコードスキャナに相当する。
【0045】
また、処理部は、各商品の売上処理を行って売上データを生成するものである。その具体的な態様は、例えば、コンピュータが処理プログラムに従ってメモリ等のハードウェア資源を用いて処理を行うものである。例えば前述の実施形態において、不揮発性記憶部に予め格納された処理プログラムをCPUがRAMにダウンロードして実行することによってこの発明に係る処理部の機能が実現される。
【0046】
さらに、この発明の好ましい態様について説明する。
(実施の形態5)
前記処理部は、同じ税率の商品については、売上処理を行った順に各商品を並べて記したレシートを前記印刷部に印刷させてもよい。
このようにすれば、順次売上処理される各商品を税率別に分けて並べる簡単な処理をレシートの印刷に適用できる。
【0047】
(実施の形態6)
前記商品情報は、各商品の割引率を含み、前記処理部は、同じ税率の商品について、割引率の順に各商品を並べて記したレシートを前記印刷部に印刷させてもよい。
このようにすれば、異なる税率だけでなく異なる割引率の商品を含むレシートを購入者が分かり易くかつ確認し易いように印字できる。
【0048】
(実施の形態7)
前記商品情報は、各商品に対するポイント付与率を含み、前記処理部は、同じ税率の商品については、ポイント付与率の順に各商品を並べて記したレシートを前記印刷部に印刷させてもよい。
このようにすれば、異なる税率だけでなく異なるポイント付与率の商品を含むレシートを購入者が分かり易くかつ確認し易いように印字できる。
【0049】
(実施の形態8)
各商品の売上データに基づく表示を行う表示部をさらに備え、前記処理部は、売上処理の際、各商品の売上処理を行った順に各商品に係る表示を前記表示部に行わせてもよい。
このようにすれば、売上処理の際は購入者および/またはオペレータが確認し易いように売上処理の順に各商品を表示することが可能である。
この発明の好ましい態様には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれる。
【0050】
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。