特許第6238657号(P6238657)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6238657-画像処理装置及びその制御方法 図000008
  • 特許6238657-画像処理装置及びその制御方法 図000009
  • 特許6238657-画像処理装置及びその制御方法 図000010
  • 特許6238657-画像処理装置及びその制御方法 図000011
  • 特許6238657-画像処理装置及びその制御方法 図000012
  • 特許6238657-画像処理装置及びその制御方法 図000013
  • 特許6238657-画像処理装置及びその制御方法 図000014
  • 特許6238657-画像処理装置及びその制御方法 図000015
  • 特許6238657-画像処理装置及びその制御方法 図000016
  • 特許6238657-画像処理装置及びその制御方法 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238657
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】画像処理装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/367 20110101AFI20171120BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   H04N5/367
   H04N5/232 290
【請求項の数】7
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-189848(P2013-189848)
(22)【出願日】2013年9月12日
(65)【公開番号】特開2015-56808(P2015-56808A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 顯
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 聡史
【審査官】 鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−115717(JP,A)
【文献】 特開2013−148873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30−5/378
H04N 5/222−5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系と、マイクロレンズアレイと、複数の光電変換素子とによって得られた被写体の光学像と、前記被写体からの光線の角度情報とを含む撮像画像を処理する画像処理装置であって、
前記撮影光学系の結像位置を前記撮像画像の再構成処理により変更するリフォーカス手段と、
前記リフォーカス手段により再構成された再構成画像から欠陥画素を検出する欠陥画素検出手段と、
異なる前記結像位置の複数の前記再構成画像における前記欠陥画素のアドレスに基づいて、前記撮像画像における欠陥光電変換素子のアドレスを抽出する欠陥素子抽出手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
撮影光学系と、マイクロレンズアレイと、複数の光電変換素子とによって得られた被写体の光学像と、前記被写体からの光線の角度情報とを含む撮像画像を処理する画像処理装置であって、
前記撮影光学系の結像位置を前記撮像画像の再構成処理により変更するリフォーカス手段と、
前記リフォーカス手段により再構成された再構成画像から欠陥画素の信号レベルを算出する算出手段と、
異なる前記結像位置の複数の前記再構成画像の前記欠陥画素の信号レベルに基づいて、前記撮像画像における欠陥光電変換素子のアドレスを抽出する欠陥素子抽出手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記算出手段は、前記再構成画像の第1の画素の信号と、前記第1の画素の近傍の複数の画素の信号とを比較することによって前記欠陥画素の信号レベルを算出することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記欠陥光電変換素子のアドレスに基づいて欠陥画素を補正する補正手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記欠陥光電変換素子のアドレスを前記撮像画像と共に記録する記録手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
撮影光学系と、マイクロレンズアレイと、複数の光電変換素子とによって得られた被写体の光学像と、前記被写体からの光線の角度情報とを含む撮像画像を処理する画像処理装置を制御する方法であって、
前記撮影光学系の結像位置を前記撮像画像の再構成処理により変更するリフォーカス工程と、
前記リフォーカス工程により再構成された再構成画像から欠陥画素を検出する欠陥画素検出工程と、
異なる前記結像位置の複数の前記再構成画像における前記欠陥画素のアドレスに基づいて、前記撮像画像における欠陥光電変換素子のアドレスを抽出する欠陥素子抽出工程と、
を有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項7】
撮影光学系と、マイクロレンズアレイと、複数の光電変換素子とによって得られた被写体の光学像と、前記被写体からの光線の角度情報とを含む撮像画像を処理する画像処理装置を制御する方法であって、
前記撮影光学系の結像位置を前記撮像画像の再構成処理により変更するリフォーカス工程と、
前記リフォーカス工程により再構成された再構成画像から欠陥画素の信号レベルを算出する算出工程と、
異なる前記結像位置の複数の前記再構成画像の前記欠陥画素の信号レベルに基づいて、前記撮像画像における欠陥光電変換素子のアドレスを抽出する欠陥素子抽出工程と、
を有することを特徴とする画像処理装置の制御方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関し、特に欠陥を検出および補正する画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のデジタル画像処理技術においては、ライトフィールドフォトグラフィと呼ばれる研究分野の進展が著しい。ライトフィールドフォトグラフィでは、まず、レンズなどの撮影光学系およびCCD,CMOSセンサなどの固体撮像素子を含む撮像装置から得られる撮像画像に、被写界の二次元的な光強度情報だけでない光線角度情報を含むように撮像する。
【0003】
光線角度情報を含む撮像画像とは、いわば位相差検出型自動焦点検出(AF)における一対の瞳分割を超えて、相当多数の瞳分割を行ったことに相当するため、直接これを観察したときは必ずしも意味ある情報の羅列、順序、とは言えないデータとなっている。これに対し、この撮像画像を得た撮像過程と密接に関連する再構成型の画像処理を施すことにより、撮影後に被写界の任意の物体にピントを合わせ直す再フォーカス(リフォーカスとも称する)が可能な撮像装置および画像処理装置が提案されている。
【0004】
このような撮像装置および画像処理装置の一例として、非特許文献1に記載のHand−held Plenoptic Camera(以下、ライトフィールドカメラとも称する)を挙げることができる。ライトフィールドカメラの構成要素を挙げると、よく知られた撮像装置における撮影光学系としての「メインレンズ」が、所定のピッチを持つ「マイクロレンズ」アレイに主として被写体像を結像させる。そして、マイクロレンズアレイの後方に、上記所定のピッチよりもさらに細かなピッチの光電変換素子を持つ「固体撮像素子」が配置されている。
【0005】
言い換えれば、非特許文献1に記載のライトフィールドカメラは、特殊な撮像過程とそれを前提とした画像処理とによって、よく知られた撮像装置にはない新たな情報を持つ画像を得るものと言える。
【0006】
他方、これまでによく知られた撮像装置で行われる画像処理は、撮像画像を構成する光電変換素子の信号同士に、ある程度の連続性があるものと仮定して実行するものが多い。一例として、撮像装置による撮影の都度、周辺の光電変換素子の信号とのレベル差などから欠陥画素を判定する、リアルタイム欠陥画素検出方法を挙げることができる。
【0007】
例えば特許文献1には、複数の画素から出力された各々の信号と、所定値を比較して、欠陥画素を検出する第1の欠陥画素検出部と、前記第1の欠陥画素検出部で検出された欠陥画素からの信号を補正する第1の補正部と、前記第1の欠陥画素検出部によって検出された欠陥画素に対する補正が施された前記複数の画素から出力された各々の信号と、所定値を比較して、欠陥画素を検出する第2の欠陥画素検出部と、前記第1の欠陥画素検出部と前記第2の欠陥画素検出部とで、それぞれの所定値が異なるように値を設定する設定制御部と、を備えたことを特徴とする欠陥画素補正装置が開示されている。
【0008】
なお、特許文献1では、第1の欠陥画素検出部において検出された欠陥画素情報を記録しておき、第2の欠陥画素検出部では第1の欠陥画素検出部の欠陥画素情報も参照することが開示されている。それにより、検出された画素が本当に欠陥画素であるのか、被写体エッジであるのかを識別し、被写体エッジであると思しき時は補正を行わないことにより、画質阻害を防止することができる点も記載されている。
【0009】
リアルタイム欠陥画素検出は、撮像装置のメモリ等に記録されていない、後発の欠陥画素や、撮影毎にその出力レベルが変動する点滅欠陥画素、に伴う画質劣化を抑えるためには、特に有効である。しかしながら、リアルタイム欠陥画素検出方法において最も重要な課題は、補正対象とすべき欠陥画素と被写体エッジとの見分けとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−286825号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Ren.Ng,et al,“Light Field Photography with a Hand−Held Plenoptic Camera”, Stanford Tech Report CTSR 2005−02
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
よく知られた撮像装置においては、撮像画像を構成する単位要素を一般に「画素」と呼ぶ。そして、固体撮像素子を構成する単位要素としての「光電変換素子の信号」と、信号処理を経た最終的な画像を構成する単位要素を「画素」と呼ぶことに明確な区別の必要性がなかった。しかしながらライトフィールドカメラではこれらは明確に区別すべき概念である。
【0013】
前述のように、リフォーカス再構成処理のような著しい特徴を得るために、ライトフィールドカメラでは前術のように特殊な撮像過程が重要な位置を占めている。この特殊な撮像過程が意味するものは、光強度情報と光線角度情報の同時取得である。光線角度情報は、マイクロレンズの一つに対応する多数の光電変換素子の強度分布に現れる。そこでは、被写体までの距離と撮影光学系のピント合わせに応じてそれら複数の光電変換素子の信号の強度分布がずれるイメージシフトが見られる。イメージシフトとは、マイクロレンズの同一象限に属する光電変換素子の信号から成る画像同士が、座標ずれを起こした現象であり、位相差検出型AFにおける一対の像ずれを、多数の像ずれに拡張したものとも言える。
【0014】
すなわち、上記の多数の光電変換素子の信号を、何らのリフォーカス再構成処理をせずに固体撮像素子からの出力順に並べた撮像画像は、直接観察するに適さないデータとなっている。それゆえに、光電変換素子の信号どうしに、ある程度の連続性があるものと仮定する、前述のリアルタイム欠陥画素検出方法を、光線角度情報を含む撮像画像に適用するだけでは、課題となる被写体エッジと欠陥素子の見分けが困難である。また、ライトフィールドカメラでは、欠陥である光電変換素子(以下、欠陥素子とも称する)の信号が影響を与え得る、再構成画像上の画素のアドレスは、リフォーカス再構成処理でピントを合わせ直す都度変化する。
【0015】
上記の理由から、ライトフィールドカメラにおいて、欠陥素子に伴う画質劣化を抑えるためには、リフォーカス再構成処理の度に、再構成画像に対してリアルタイム欠陥画素検出を施し、さらに検出された欠陥画素を補正する必要があった。しかしながら、リアルタイム欠陥画素検出には、再構成画像を走査するための処理時間を要する。これは、撮影画像の被写界の任意の物体にピントを合わせ直す操作の後、再構成画像の表示まで多くの時間をすることを意味し、ユーザに不快感を与える可能性がある。
【0016】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、欠陥素子に伴う画質劣化を抑制したリフォーカス再構成画像を効率的に得ることができる画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係わる画像処理装置は、撮影光学系と、マイクロレンズアレイと、複数の光電変換素子とによって得られた被写体の光学像と、前記被写体からの光線の角度情報とを含む撮像画像を処理する画像処理装置であって、前記撮影光学系の結像位置を前記撮像画像の再構成処理により変更するリフォーカス手段と、前記リフォーカス手段により再構成された再構成画像から欠陥画素を検出する欠陥画素検出手段と、異なる前記結像位置の複数の前記再構成画像における前記欠陥画素のアドレスに基づいて、前記撮像画像における欠陥光電変換素子のアドレスを抽出する欠陥素子抽出手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、欠陥素子に伴う画質劣化を抑制したリフォーカス再構成画像を効率的に得ることができる画像処理装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施形態に係わる撮像装置の構成を示すブロック図。
図2】固体撮像素子の受光領域を表す平面図。
図3】第1の実施形態の撮像装置の制御方法を示すフローチャート。
図4】リフォーカス再構成処理を説明するための光線図。
図5】第1の実施形態の撮像装置の欠陥素子アドレス抽出処理を説明するための光線図。
図6】第1の実施形態の撮像装置の再構成画像の表示方法を示すフローチャート。
図7】第1の実施形態の撮像装置の欠陥素子アドレス抽出処理を説明するための光線図。
図8】本発明の第2の実施形態の撮像装置の制御方法を示すフローチャート。
図9】第2の実施形態の撮像装置の欠陥素子アドレス抽出処理を説明するための光線図。
図10】本発明の第3の実施形態の撮像装置の制御方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。以下、本発明の実施形態において使用する用語を定義する。ライトフィールドカメラにおいて「(光線角度情報を含む)撮像画像」を構成する単位要素を「光電変換素子の信号」または単に「素子」と称し、何らかのリフォーカス再構成処理により得た「再構成画像」を構成する単位要素を「画素」と称する。
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる撮像装置の全体構成を示すブロック図である。図1において、1は、絞りやフォーカシングレンズを含み被写体の光学像を結像させる撮影光学系である。2は、撮影光学系1のフォーカシングレンズにより被写体を主としてその頂点に結像するマイクロレンズアレイである。マイクロレンズアレイ2は、水平および垂直に所定のピッチで二次元状に配列されている。3は、撮影光学系1によって結像された被写体像を光電変換し電気信号として取り出す固体撮像素子である。固体撮像素子3は、水平および垂直にマイクロレンズアレイ2よりも細かなピッチで二次元状に配置された画素でなされる光電変換素子としての機能と、光電変換素子からの電気信号を撮像画像として転送する信号転送機能とを備える。
【0022】
4はサンプリングされたアナログ信号をデジタル信号に変換するためのA/D変換器である。デジタル化された撮像画像は画像メモリ10に記録される。そして、リフォーカス再構成処理部7によって、ライトフィールドカメラの特徴であるリフォーカス再構成処理が必要に応じて行われる。次に、必要なリフォーカス再構成処理を済ませた再構成画像に対して、欠陥画素検出部8によって、リアルタイム欠陥画素検出が行われる。すなわち欠陥画素検出部8は、再構成画像を構成する画素毎に、欠陥であるか否かの判定を行い、補正対象とすべき欠陥画素を特定する。信号処理回路9により、リアルタイム欠陥画素検出の結果を受けた欠陥画素補正、ホワイトバランス補正およびガンマ補正をはじめとして、各種信号処理が施される。各種信号処理の施された最終的な画像は、記録媒体12に記録される。記録回路11は、記録媒体12とのインターフェイス回路を指す。各種信号処理の施された最終的な画像は、表示回路(インターフェイス回路)13を通して液晶ディスプレーなどの画像表示装置14に直接表示することもできる。画像表示装置14は、これから撮像しようとする画面を連続的にライブで表示するライブビュー表示や、記録した動画の再生表示も可能である。
【0023】
タイミング発生回路5は、固体撮像素子3などの撮像系を駆動する。さらに、撮像系の駆動ひいては固体撮像素子3の出力信号に同期してA/D変換部4を駆動・制御する。なお、A/D変換部4は、固体撮像素子3に実装されていても良く、その場合は直接撮像画像を画像メモリ10に記録することができる。
【0024】
フォーカシングレンズ駆動回路6は、撮影光学系1のフォーカシングレンズを駆動する。フォーカシングレンズは、ライトフィールドカメラに依らないよく知られた撮像装置においても、被写体のピント合わせのために用いるものであり、自動焦点検出(AF)機能などによって制御され、撮影光学系1の結像位置を決定する。システム制御部15は、揮発性メモリ16に一時記録されたプログラムにより撮像装置全体を制御する。
【0025】
また、結像距離設定部18は、ライトフィールドカメラに特有のリフォーカス再構成処理を実行させるためのパラメータである結像距離を設定する部分である。AFの結果を反映してフォーカシングレンズ駆動回路6を制御しても、他の被写体に再度ピントを合わせたいなど、ライトフィールドカメラが撮影後のピント合わせを可能とするにあたり、その被写体距離や被写体そのものを選択して、新たな結像距離を与える。本実施形態の特徴は、ライトフィールドカメラの特殊な撮像過程やそれと密接に関係するくリフォーカス再構成処理にも関わるものであり、以下でさらに詳細に説明する。
【0026】
不揮発性メモリ17は、撮像装置での処理実行時に転送されるべきプログラム、各種データなどを格納する。欠陥画素検出部8の検出対象とは異なる撮像画像を構成する光電変換素子の信号に対する欠陥座標は、この不揮発性メモリ17に記録されていてもよい。
【0027】
図2は、固体撮像素子3の受光領域の構成を示す平面図である。一例として、マイクロレンズアレイ2と光電変換素子の個数および配置関係を図示したが、マイクロレンズ一つにつき少なくとも複数の光電変換素子が対応していればよい。なお、光電変換素子の数は、イメージシフトの分解能、瞳分割の分解能、ひいては光線角度情報の分解能に相当するので、増やせばリフォーカス再構成処理の精度等に寄与することは知られている。一方、再構成画像の解像度は、マイクロレンズの個数に関係する。したがって、解像度を保ちながらもリフォーカス再構成処理の精度確保に十分な個数の光電変換素子を搭載することは、固体撮像素子3の課題の一つともなっている。
【0028】
図2において、記号PDは、光電変換素子を表す。21個の光電変換素子を内側に含むように単位マイクロレンズアレイ2が対応している。光電変換素子はP型半導体基板もしくはP型ウェル構造上にN型半導体層をイオン注入等により形成してなる。そして、隣接する全ての光電変換素子とP型半導体領域によって電気的に分割されているため、これらを独立に読み出せば、ライトフィールドカメラの構成を成す光線角度情報が得られる。光電変換素子の電荷信号を読み出すには、電荷転送型のCCD、画素単位で増幅機能を持たせて電圧信号を出力するAPS(アクティブピクセル方式)−CMOS型などを利用することが考えられる。図2の固体撮像素子は、一例として、APS−CMOS型を示している。増幅機能を有する読み出し回路部31が、光電変換素子間のデッドスペースを活用して形成される。
【0029】
読み出し回路部31は、図2で図示していないが、図面垂直方向に垂直出力線などと呼ばれる共通の配線に接続されている。水平走査回路33は、この共通の配線を、水平方向に順次アクセスする水平転送機能を実行する。
【0030】
一方、読み出し回路部31には、図2で図示していないが、水平方向に共通の制御線が接続されており、行一斉に光電変換素子からの信号電荷の転送、読み出し回路部31による電荷電圧変換などを実行させる。垂直走査回路32は、どの行に、このような動作をさせるかを、行方向に順次設定していく機能を有する。
【0031】
上記で説明したようなAPS−CMOS型固体撮像素子の機能を様々に活用すれば、ある光電変換素子へのランダムアクセスも一部可能となる。しかし、それには走査回路系の機能を増加しなければならずコストにも影響するため、多くのAPS−CMOS型固体撮像素子において、垂直および水平の順次信号読み出しが行われている。すなわち、何らのリフォーカス再構成処理をしない撮像画像には多様な光線角度成分として光電変換素子の信号が様々に並んでいる。これは、このような撮像画像に対して直接リアルタイム欠陥画素検出を行おうにも、補正対象とすべき欠陥素子と被写体エッジとの見分けが困難となる所以である。
【0032】
ここで、全てを例示することは困難であるが、固体撮像素子3の欠陥発生要因についても説明する。代表的なものは、光電変換素子そのものに重金属汚染等の不純物が混入するなどにより発生する、白く輝く点状の欠陥である。別の例は、読み出し回路部31に起因して発生する。読み出し回路部31に含まれる半導体層の表面付近で、半導体製造工程のダメージにより界面準位密度が高くなり、その準位に電荷がトラップされたり放出されたりすることで生じる、瞬くような欠陥である。これは、RTSノイズとも称されている。この種の欠陥は時間方向に確率的に発生するため、特に動画で同じシーンを観察しているときに、目立つようになる。また、静止画においても、ある撮影画像に出ていなかった欠陥が別の撮影画像には発生する、という現象になるので、常に補正する欠陥素子としてメモリ等に記録しておくことは撮像装置の構成上あまり効率的とは言えない。さらに、固体撮像素子3の構成にもよるが、近年では画素領域の微細化のため、複数の光電変換素子でこの読み出し回路部31を共有している例も見られる。このような場合、界面準位密度の高くなってしまった読み出し回路部31を使用する光電変換素子は全てが欠陥素子の候補なのであって、これらを一律に補正対象として記録することは、補正画質の点からも望ましい状態ではない。
【0033】
図3は、本実施形態に係る撮像装置の制御方法を示すフローチャートである。
【0034】
図1に図示しないスイッチにより撮像装置のメイン電源がオンされ、次にシステム制御部15の電源がオンされる(ステップS301)。次に、固体撮像素子3に駆動設定信号を与える(ステップS302)。これにより、ライブの画像を画像表示装置14に連続的に映し出すモードが実行可能となる。
【0035】
次に、被写体にピントが合うようにフォーカシングレンズを自動的に駆動する自動焦点調節いわゆるオートフォーカス(AF)が開始される(ステップS303)。AFの方式には、コントラスト検出を用いるものの他にも専用の距離計測センサーを用いる方式などが知られている。さらには、本実施形態に係るライトフィールドカメラの特徴を生かして、マイクロレンズの下で異なる象限にある光電変換素子の信号を適切に読み出すことができれば、これを位相差検出方式AFの信号として用いることも可能である。システム制御部15は、このAFの結果を受けて、フォーカシングレンズ駆動回路6を介して撮影光学系1のフォーカシングレンズを駆動する。
【0036】
次に、図1に図示しないレリーズボタンが押下されることによって(ステップS304)、撮影が実行される(ステップS305)。画像メモリ10まで読み出された画像は、撮像画像として記録媒体12に記録される(ステップS306)。さらに、同一マイクロレンズ下の光電変換素子の信号を合算して、マイクロレンズアレイ2分の画素数を持つ暫定の再構成画像を記録媒体12に記録する(ステップS307)。暫定の再構成画像について、詳細な説明は後述する。
【0037】
次に、ステップS308〜S314では、記録された撮像画像中の欠陥素子を抽出し、欠陥素子のアドレスを記録する処理を行う。但し、ステップS308〜S314は、ユーザが再構成画像を鑑賞する際に、欠陥素子に伴う画質劣化が抑制された再構成画像を効率よく表示させるための、いわば準備処理である。そのため、ステップ308以降の処理は必ずしも撮像画像の取得直後に行う必要はない。また、ステップS308以降の処理は、図1の撮像装置の一部を模した画像処理装置もしくはその画像処理方法を記録したメモリ等によって計算機等に実行させても良い。
【0038】
ステップS308〜S314を説明するに当たって、リフォーカス再構成処理について、図4を用いて説明する。リフォーカス再構成処理の特徴は、光線の角度情報を考慮した、光電変換素子の信号の再配置・再構成および合算にある。
【0039】
図4は、本実施形態の撮像装置により、被写体A1がマイクロレンズアレイ2のほぼ頂点上に結像された状態を示す光線図である。図4では、素子に入射する主光線のみを示している。
【0040】
図4において撮影光学系1は、その主点から被写体距離a1にある被写体A1にピントを合わせた状態で撮影され、A1を構成する1点から発した光線は、撮影光学系1の主点から結像距離r1にあるマイクロレンズアレイ2上の頂点の1つに集まる。なお、被写体距離a1と結像距離r1との間には以下の結像公式(1)が成り立つ。
【0041】
1/a1+1/r1=1/f …(1)
ここで、fは、撮影光学系1の焦点距離である。そして、上記の各光線は、マイクロレンズアレイ2の後方に配置された固体撮像素子3の光電変換素子PD25a,PD25b,PD25c,PD25dおよびPD25eに入射する。これら5つの光電変換素子の信号は、元を辿れば理解できるように被写体A1を構成する1点から撮影光学系1に向かって出た光線のうち、各々角度情報の異なるものである。従って、これら5つの信号の合算値、正確には、結像距離r1に対応した重み付け係数をかけて加算することで再構成画像41の画素55の信号を得られる。前述の暫定の再構成画像はかようにして得られた再構成画像41である。
【0042】
ここで、図4の被写体A2を目標とするようなリフォーカス再構成処理を行う例を説明する。撮影光学系1の主点から被写体距離a2にある被写体A2を構成する1点から発生した光線は、式(1)から考察しても明らかなように、r1よりも撮影光学系1に近い結像距離r2に集まる。従って、これらの光線は、各々異なるマイクロレンズの後方に存在する光電変換素子PD21a,PD22b,PD23c,PD24dおよびPD25eに入射する。例えばPD23cに入射した光線は、撮影光学系1の光軸を通過した光線角度成分であり、PD21aおよびPD25eに入射した光線は、撮影光学系1の絞り口径端を通過した光線角度成分である。PD22bおよびPD24dは、上記の中間的な光線角度成分である。PD23cは、マイクロレンズの後方に存在する光電変換素子のうち中心象限である。PD21aおよびPD25eは、最端部の象限であり、PD22bおよびPD24dは、上記の中間的な象限である。
【0043】
なお、ここまでの説明において使用した記号PDに係る符号(21a,22bなど)は、図2の固体撮像素子3の平面図に対応している。図2の固体撮像素子3の水平線上の記号PDに係る符号は、図4の光線図において示す像高方向に並ぶ1ライン上の光電変換素子行で示したものと同一に捉えることができる。
【0044】
被写体A2のようにして、撮影光学系1のピントから外れた被写体は、それを構成する1点から発生した光線が、角度情報に応じて異なるマイクロレンズの異なる象限で光電変換される。このため、PD21a,PD22b,PD23c,PD24dおよびPD25eのそれぞれ隣接する光電変換素子の信号は、被写体A2を構成する異なる1点から発生した異なる角度成分の光線である。言い換えると、ある象限の光電変換素子の信号から成る画像と、別のある象限の光電変換素子から成る画像とは、互いに異なる光線角度成分の同一被写体を構成する1点である、という特徴があり、デフォーカス量に応じた画像ずれすなわちイメージシフトが発生している。
【0045】
さらに、リフォーカス再構成処理について説明する。図4において結像距離r2にリフォーカスすることとは、被写体距離a2の被写体(つまり被写体A2)を構成する1点を1画素として合成することである。すなわち、光電変換素子PD21a,PD22b,PD23c,PD24dおよびPD25eを、結像距離r2に対応した重み付け係数をかけて加算することで、再構成画像42の画素63の信号が得られる。他方で、暫定の再構成画像41の画素55の信号を得るにあたって重み付け加算していた光電変換素子PD25a,PD25b,PD25c,PD25dおよびPD25eを、結像距離r2上の複数の異なる画素を構成するための情報として利用する。この結果、再構成画像42では被写体A1は光学的にぼけたのと同様に表示される。
【0046】
また、結像距離に対応した重み付け係数について説明する。本実施形態で用いられる重み付け係数とは、ある再構成画像の画素の信号を得るために光電変換素子の信号にかけ合わせる、結像距離rに依存する関数である。図4の右に示した、光電変換素子に対応付けられたバーの長さが、光電変換素子の信号にかかる重み付け係数の相対値を示している。重み付け係数W55は、結像距離r1の再構成画像41の画素55を得るために、各光電変換素子の信号にかかる係数である。重み付け係数W63は、結像距離r2の再構成画像42の画素63の信号を得るために、各光電変換素子にかけ合わせられる。
【0047】
この重み付け係数を用いてリフォーカス再構成処理演算の一般式を表現すると以下のようになる。簡単のため、1方向に並ぶ画素と、マイクロレンズアレイ2と、単位マイクロレンズ2毎に配置された5つの素子、に着目して説明する。
【0048】
【数1】
【0049】
…(2)
式(2)において、S(m)は再構成画像のm番目の画素の信号値であり、pda(n)からpde(n)はS(m)を構成するn番目のマイクロレンズ下にある光電変換素子の信号値である。wm,a(n)からwm,e(n)は、S(m)を構成するn番目のマイクロレンズを備えた光電変換素子の信号値pda(n)からpde(n)に対して、ある結像距離rでかけられる重み付け係数である。ここで一般にm=nである。
【0050】
また、重み付け係数は結像距離rで決まり、予め、結像距離rに応じた重み付け係数を保持しておくことが可能である。因みに、主光線以外の光線まで考慮して、それに関係する全ての素子の重み付け加算をとれば、より高い精度で再構成を行うことができる。以上が、リフォーカス再構成処理に関する説明である。
【0051】
改めて、図3のステップS308〜S314について説明する。図3のステップS307で記録された暫定の再構成画像に対し、欠陥画素検出部8はリアルタイム欠陥画素検出を施す(ステップS308)。
【0052】
本実施形態におけるリアルタイム欠陥画素検出の方式は、同色周辺画素の平均値や中央値と、大きくレベル差を持つ画素、すなわちしきい値を超えた画素を欠陥として抽出する方式としてよい。また、特許文献1の説明でも述べたように複数の段階で欠陥画素を抽出する方式へと発展させてもよい。初段階におけるしきい値では欠陥画素を決定するのではなく、欠陥画素の候補を選出して一旦記録した後、当該候補についてのみ比較対象となる周辺画素の範囲を広げるなどの方式も考えられる。水平方向に関しては、このように範囲を広げることは容易な場合もあるが、垂直方向に関しては画像メモリ10で使用するラインメモリの増加に直結することから、コストとの関係性にも注意が必要である。次に、図3のステップS308で検出された複数の欠陥画素アドレスを、揮発性メモリ16に記録する(ステップS309)。
【0053】
次に、リフォーカス再構成処理部7は、暫定の再構成画像とは、異なる結像距離でリフォーカス再構成処理された再構成画像を生成して、画像メモリ10に一時記録する(ステップS310)。但し、リフォーカス再構成処理部7は、各素子に入射する主光線が結像するように(例えば、図4の結像距離r2のように)異なる結像距離を設定する。
【0054】
次に、暫定の再構成画像とは異なる結像距離でリフォーカス再構成処理された、再構成画像に対して、リアルタイム欠陥画素検出を施し(ステップS311)、検出された複数の欠陥画素アドレスを揮発性メモリ16に記録する(ステップS312)。
【0055】
本実施形態に係る撮像装置における画像処理装置では、上記のようにステップS308,S311で、リフォーカス再構成処理を行った後、再構成画像に対して欠陥画素の検出を行う。そのため、象限ごとに異なる光線角度成分を持つ撮像画像から、被写体エッジと補正対象となるべき欠陥素子を区別するという困難な課題を回避することができる。
【0056】
次に、信号処理部9は、ステップS309、及びステップS312で揮発性メモリ16に記録された欠陥画素のアドレスを参照して、撮像画像中の欠陥素子アドレスを抽出する(ステップS313)。
【0057】
ステップS313の欠陥素子アドレス抽出については、図5を用いて詳細に説明する。図5は、欠陥素子アドレス抽出処理を説明するための光線図である。簡単のため、1方向に並ぶ画素と、マイクロレンズアレイ2と、単位マイクロレンズ2毎に配置された5つの素子、に着目して説明する。
【0058】
欠陥素子アドレスの抽出の意義は、再構成画像41と再構成画像42から検出された欠陥画素アドレスを用いて、撮像画像中にある欠陥画素を生成している光電変換素子の信号を抽出することにある。
【0059】
図5において、画素51,画素52,画素53,画素54,画素55,画素56および画素57は、1つのリフォーカス再構成画像41を構成する単位画素を示している。画素61,画素62,画素63,画素64,画素65,画素66および画素67は、1つのリフォーカス再構成画像42を構成する単位画素を示している。
【0060】
図5では、リアルタイム欠陥画素検出で、再構成画像42の画素63、および再構成画像41の画素55が、欠陥画素として検出された場合を例に説明する。欠陥画素55は、リフォーカス再構成処理によって光電変換素子PD25a,PD25b,PD25c,PD25dおよびPD25eの信号が重み付け加算されて得られた信号である。そのため、光電変換素子PD25a,PD25b,PD25c,PD25dおよびPD25eは、いわば欠陥素子(欠陥光電変換素子)の候補である。同様に、欠陥画素63に着目すると、光電変換素子PD21a,PD22b,PD23c,PD24dおよびPD25eも、欠陥素子の候補である。欠陥素子アドレス抽出処理では、これらの欠陥素子候補に共通して挙げられるPD25eが、欠陥素子として抽出される(欠陥素子抽出)。
【0061】
次に、上述した欠陥素子が、論理的に抽出できることを説明する。まず、再構成画像の各画素の信号は、リアルタイム欠陥画素検出によって、欠陥画素か、欠陥ではない画素(以下、非欠陥画素)のどちらかに分類できるとする。
【0062】
画素∈{欠陥画素,非欠陥画素} …(3)
また、撮像画像の素子は、欠陥素子であるか、欠陥ではない素子(以下、非欠陥素子と称す)のどちらかに分類できるとする。
【0063】
素子∈{欠陥素子,非欠陥素子} …(4)
ここで、「少なくとも欠陥素子を含む信号が加算された画素は、欠陥画素として検出される」と仮定する。つまり、「非欠陥素子のみの信号が加算された画素は、非欠陥画素として検出される」わけである。
【0064】
欠陥画素検出結果から、画素51は、非欠陥画素であるので、
非欠陥素子=PD21a and PD21b and PD21c and PD21d and PD21e …(5)
画素52は、非欠陥画素であるので、
非欠陥素子=PD22a and PD22b and PD22c and PD22d and PD22e …(6)
画素53は、非欠陥画素であるので、
非欠陥素子=PD23a and PD23b and PD23c and PD23d and PD23e …(7)
画素54は、非欠陥画素であるので、
非欠陥素子=PD24a and PD24b and PD24c and PD24d and PD24e …(8)

画素55は、欠陥画素であるので、
欠陥画素=PD25a or PD25b or PD25c or PD25d or PD25e
…(9)
画素63は、欠陥画素であるので、
欠陥画素=PD21a or PD22b or PD23c or PD24d or PD25e
…(10)
従って、式(5)より、PD21a,PD21b,PD21c,PD21dおよびPD21eは非欠陥素子である。同様に、式(6),(7),(8)より、PD22a,PD22b,PD22c,PD22d,PD22e,PD23a,PD23b,PD23c,PD23d,PD23e,PD24a,PD24b,PD24c,PD24d,PD24eは非欠陥素子である。そして、式(10)より、PD25eが欠陥素子であることが導かれる。
【0065】
このようにして、信号処理部9は、揮発性メモリ16に記録された欠陥画素アドレスを用いて、撮像画像中の欠陥素子アドレスを抽出する。以上が、欠陥素子アドレス抽出に関する説明である。
【0066】
最後に、図3のステップS313で抽出された各欠陥素子のアドレスデータを、元の撮像画像に添付して記録媒体12に記録する(ステップS314)。以上で、図3の一連のフローは終了する。
【0067】
但し、図3のフローチャートでは、撮像画像を取得するまでのステップ(S301〜S307)と、欠陥素子アドレスを抽出し、記録するまでのステップ(S308〜S314)を一連の流れとして示した。しかし、ステップS308以降の処理は、必ずしも撮像画像の取得直後に行う必要はないので、別のタイミングで処理する構成にしてもよい。また、ステップS308以降の処理を、図1の撮像装置の一部を模した画像処理装置もしくはその画像処理方法を記録したメモリ等によって計算機等に実行させてもよい。また、本実施形態は、異なる結像距離の再構成画像2枚から、欠陥画素検出処理を行ったが、より多くの再構成画像から欠陥画素検出処理を行うようにしてもよい。
【0068】
図6は、本実施形態に係る撮像装置の、リフォーカス再構成画像の表示方法を示すフローチャートである。本実施形態によれば、撮像画像に添付して記録された各欠陥素子のアドレスデータを用いて、欠陥素子に伴う画質劣化が抑制された再構成画像を、効率的に生成し、表示させることができる。
【0069】
初めに、図1に図示しないスイッチによりメイン電源がオンされ、次にシステム制御部15の電源がオンされる(ステップS601)。次に、不図示の操作部によってユーザが任意の撮像画像を選択する(ステップS602)。この時、システム制御部15は、記録媒体12に記録されている撮像画像の暫定の再構成画像を、表示装置14に表示させることで、ユーザが撮像画像を選択することができる。
【0070】
次に、ユーザは、表示された暫定の再構成画像を見ながらピントを合わせ仕直したい任意の被写体を選択することで、結像距離を設定する(ステップS603)。次に、ステップS603で設定された結像距離に応じて、リフォーカス再構成処理部7は、再構成画像を生成する(ステップS604)。
【0071】
次に、信号処理部9は、撮像画像に添付して記録媒体12に記録されている、欠陥素子アドレスデータを読み込む(ステップS605)。次に、信号処理部9は、ステップS605で読み込んだ欠陥素子アドレスを、結像距離に応じた、再構成画像のアドレスに変換し、さらに、該当する欠陥画素となる画素アドレスの補正処理、ホワイトバランス補正、ガンマ補正等の各種信号処理を行う(ステップS606)。
【0072】
次に、表示回路13は、ステップS606で処理した、各種信号処理後の再構成画像を、表示装置14に表示させる(ステップS607)。次に、ユーザによって再度結像距離の変更が操作されれば、ステップS604の処理に戻って、新たに再構成画像の生成と、欠陥素子アドレスに係わる画素の補正処理が行われる(ステップS608)。
【0073】
本実施形態によれば、結像距離を変更して、新たに再構成画像が生成された場合でも、撮像画像に添付された欠陥素子アドレスを参照して、補正対象画素を効率よく選択できる。そのため、欠陥素子による画質劣化が抑えられた再構成画像を速やかに表示させることができる。
【0074】
以上で、撮像画像をユーザの任意の結像距離で再構成処理し、欠陥素子に係る画素が補正された再構成画像を表示させる、図6の一連のフローは終了する。
【0075】
但し、図6の処理は撮像装置の内部で実行されるものとして説明したが、本発明の実施形態としては、これに限定されるものではない。例えば、一般の画像処理装置に、欠陥素子アドレス情報を添付された撮像画像データをコピーして、画像処理方法を記載したプログラムで計算機によって実行しても良い。その場合でも、本発明によれば、欠陥画素が補正された良好な画像を、効率的に表示することができる。
【0076】
また、本実施形態中では、リフォーカス再構成処理後の再構成画像を構成する画素の中から欠陥画素を検出し補正する構成としたため、特にRTSノイズのような欠陥に対しても効率良く、検出および補正機能を実装することができる。しかし、光電変換素子の座標に固定的に発生する白く輝く点状の欠陥は、固体撮像素子3上の座標として管理できる。そのため、ROM17等のメモリに当該欠陥素子の座標情報を記録した場合は、光電変換素子の信号の再配置・再構成および合算を前提とするリフォーカス再構成処理の行われる前の撮像画像に対して行っても良い。補間処理の方法は、撮像画像が光線角度情報を含むことに鑑み、異なるマイクロレンズ下の同一象限に存在する光電変換素子の信号を用いて補間する、などの方法が考えられる。
【0077】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、より多くの再構成画像から欠陥画素検出処理を行うことで、欠陥素子の誤抽出を低減させる。
【0078】
初めに、本実施形態の説明をする前に、第1の実施形態のように、2枚の再構成画像だけでは、欠陥素子を完全に特定できずに、欠陥素子の誤抽出が起こり得ることを説明する。
【0079】
図7は、欠陥素子アドレスの抽出処理を説明するための光線図である。説明を分かりやすくするため、1方向に並ぶ画素と、マイクロレンズアレイ2と、単位マイクロレンズ2毎に配置された5つの素子、に着目して説明する。図7において、再構成画像41の画素53と画素55、及び再構成画像42の画素63と画素65は、図3のリアルタイム欠陥画素検出ステップS308、及びステップS311を経て、欠陥画素として検出された画素である。
【0080】
この場合、第1の実施形態の欠陥画素抽出処理によれば、PD23a,PD23c,PD25c,PD25eは、欠陥素子として抽出される。しかし、図7のように、欠陥画素が検出された状況において、PD23a,PD23c,PD25c,PD25eは、必ずしも全てが欠陥素子ではない。例えば、図7で、欠陥素子がPD23cとPD25cの2つの光電変換素子のみであった場合、「少なくとも欠陥素子を含む信号が加算された画素は、欠陥画素として検出される」とする仮定においては、画素63,画素65,画素53,画素55が、欠陥画素として検出されているはずである。さらに、例えば、図7で欠陥素子がPD23aとPD25eの2つの光電変換素子のみであった時も、画素63,画素65,画素53,画素55が、欠陥画素として検出されているはずである。
【0081】
従って、第1の実施形態の欠陥画素抽出方法では、図7のように、欠陥画素が検出された状況においては、欠陥素子として抽出されたPD23a,PD23c,PD25c,PD25eは、誤って抽出されている可能性もある。
【0082】
本実施形態では、上記の課題に鑑みて、第1の実施形態より多くの再構成画像を用いて欠陥画素検出処理を行うことで、欠陥素子の誤抽出を低減させている。
【0083】
図8は、本実施形態に係る撮像装置の制御方法を示すフローチャートである。本実施形態では、ステップS815と、ステップS816が第1の実施形態と異なる。図8において、ステップS801〜S813は、第1の実施形態を示す図3のS301〜S313と同じ処理であるため、詳細な説明は省略する。
【0084】
本実施形態では、欠陥素子アドレス抽出処理(ステップS813)で抽出された欠陥素子アドレスに、誤抽出の可能性がないか判断を行う(ステップS815)。ステップS815では、例えば、欠陥素子アドレス抽出(ステップS813)で、再構成画像(x−1)枚から抽出された欠陥素子数px−1が、結像距離再設定(ステップS816)を経て、再構成画像x枚から抽出した欠陥素子数pxと同じである時(つまりpx=px−1である時)、欠陥素子アドレスを確定することができる。但し、再構成画像は、少なくともx=3枚以上必要である。
【0085】
ステップS815で、欠陥素子アドレスを確定できない(誤抽出の可能性がある)場合は、新しく結像距離を再設定して(ステップS816)、リフォーカス再構成画像を生成する。
【0086】
ここで、本実施形態の欠陥素子アドレス抽出ステップS813について、図9を用いて説明する。図9は、本実施形態の欠陥素子アドレス抽出処理を説明するための光線図である。説明を分かりやすくするため、1方向に並ぶ画素と、マイクロレンズアレイ2と、単位マイクロレンズ2毎に配置された5つの素子、に着目して説明する。
【0087】
図9において、再構成画像41の画素53と画素55、及び再構成画像42の画素63と画素65は、リアルタイム欠陥画素検出ステップS808、及びステップS811を経て、欠陥画素として検出された画素である。
【0088】
本実施形態でも、初めに、第1の実施形態と同様に、再構成画像41と再構成画像42から検出された欠陥画素アドレスを用いて、欠陥素子の抽出を行っている。この時、図7で説明したように、x=2枚の再構成画像から、PD23a,PD23c,PD25c,及びPD25e、のp2=4つの欠陥素子が抽出される。前述したように、x=2枚の再構成画像だけでは、欠陥素子を完全に絞り切れずに、欠陥素子の誤抽出の可能性がある。そのため、本実施形態では、ステップS815で、欠陥素子アドレスを確定できないと判断して、結像距離再設定(ステップS816)を経て、新たなリフォーカス再構成画像43が生成される。但し、リフォーカス再構成処理部7は、各素子に入射する主光線が結像するように、新たな結像距離を再設定する。
【0089】
図9において、画素71,画素72,画素73,画素74,画素75,画素76および画素77は、1つのリフォーカス再構成画像43を構成する単位画素を示している。再構成画像43の画素73と画素75は、リアルタイム欠陥画素検出(ステップS811)を経て、欠陥画素として検出された画素である。
【0090】
図9より明らかなように、再構成画像41,再構成画像42、及び再構成画像43を用いれば、PD23cとPD25cが欠陥素子として抽出される。この時x=3枚の再構成画像から、p3=2つの欠陥素子が検出されたが、p3≠p2であるので、欠陥素子アドレスは確定できない。従って、結像距離再設定(ステップS816)を経て、新たなリフォーカス再構成画像44が生成される。
【0091】
図9において、画素81,画素82,画素83,画素84,画素85,画素86および画素87は、1つのリフォーカス再構成画像44を構成する単位画素を示している。再構成画像44の画素83と画素85は、リアルタイム欠陥画素検出(ステップS811)を経て、欠陥画素として検出された画素である。
【0092】
図9より、再構成画像41,再構成画像42,再構成画像43,及び再構成画像44を用いても、PD23cとPD25cが欠陥素子として検出される。この時、x=4枚の再構成画像から、p4=2つの欠陥素子が検出されたが、p4=p3であるので、PD23cとPD25cのアドレスが欠陥素子アドレスとして確定する。
【0093】
図8のステップS815で、欠陥素子アドレスが確定された場合は、各欠陥素子のアドレスデータを、元の撮像画像に添付して記録媒体12に記録する(ステップS814)。以上で、図8の一連のフローは終了する。
【0094】
本実施形態においても、撮像画像をユーザの任意の結像距離で再構成処理する時は、第1の実施形態を示す図6と同様に処理することで、欠陥素子に伴う画質劣化が抑制された再構成画像を、効率的に生成し、表示させることができる。さらに、本実施形態によれば、抽出した欠陥素子のアドレスに誤抽出の可能性がある場合でも、新たに再構成画像を生成することで、誤抽出を低減させることができる。
【0095】
(第3の実施形態)
第1及び第2の実施形態では、「少なくとも欠陥素子を含む信号が加算された画素は、欠陥画素として検出される」という仮定のもとで、リアルタイム欠陥画素検出結果から欠陥素子が論理的に抽出できることを説明した。しかしながら、様々な要因により、実際には、「欠陥素子を含む信号が加算された画素は、必ずしも欠陥画素として検出されない」ことは容易に考えられる。その要因とは、光ショットノイズ、固体撮像素子の回路ノイズ、欠陥素子の出力信号強度および結像距離、リアルタイム欠陥画素検出の誤検出及び未検出などである。
【0096】
本実施形態では、複数の再構成画像に対して、リアルタイム欠陥画素検出で欠陥画素を特定させずに、適切に欠陥素子を抽出する手法について説明する。本実施形態では、欠陥素子アドレスを抽出する処理において、再構成画像の生成に用いる重み付け係数と、欠陥画素の信号レベルを得ることで、より適切に欠陥素子を抽出できる。
【0097】
図10は、本実施形態に係る撮像装置の制御方法を示すフローチャートである。図10において、ステップS1001〜ステップS1007は、第1の実施形態における図3のステップS301〜ステップS307と同じ処理であるため、詳細な説明は省略する。
【0098】
ステップS1008〜S1015では、記録された撮像画像中の欠陥素子を抽出し、欠陥素子のアドレスを記録する処理を行う。但し、ステップS1008〜S1015は、ユーザが再構成画像を鑑賞する際に、欠陥素子に伴う画質劣化が抑えられた再構成画像を効率よく表示させるための、いわば準備処理である。従って、ステップ1008以降の処理は必ずしも撮像画像の取得直後に行う必要はないことは、第1の実施形態と同様である。また、ステップS1008以降の処理は、図1の撮像装置の一部を模した画像処理装置もしくはその画像処理方法を記録したメモリ等によって計算機等に実行させても良い。
【0099】
図10のステップS1008以降の処理について説明する。以下の説明では、説明を分かりやすくするため、1方向に並ぶ画素と、マイクロレンズアレイ2と、単位マイクロレンズ2毎に配置された5つの素子、に着目して説明する。
【0100】
リフォーカス再構成処理部7は、記録媒体12に記録された撮像画像に対して、結像距離r=r0を設定し(ステップS1008)、リフォーカス再構成処理によって、再構成画像を生成して画像メモリ10に記録する(ステップS1009)。
【0101】
次に、欠陥画素検出部8は、画像メモリ10に記録された再構成画像から、画素毎に欠陥画素信号レベルSRTを算出する(ステップS1010)。ところで、第1の実施形態または第2の実施形態では、欠陥画素検出部8は、再構成画像の注目画素について、同色周辺画素の平均値や中央値と大きくレベル差を持つ画素、すなわち閾値を超えた画素を欠陥として抽出する方式で欠陥画素アドレスを検出していた。しかし、本実施形態では、欠陥画素検出部8は、再構成画像のm番目の画素の信号レベルS(m)に対する、同色の周辺画素(近傍画素)の平均信号レベルSarea(m)との差を、欠陥画素信号レベルSRT(m)として、画素毎に得ることを特徴としている。
【0102】
SRT(m)=Sarea(m)−S(m) …(11)
ここでは、結像距離がrである再構成画像の、画素毎に得られた欠陥画素信号レベルSRT(m)は、SRT,rで表記する。
【0103】
【数2】
【0104】
…(12)
次に、欠陥画素検出部8によって、算出されたSRT,rは、揮発性メモリ16に記録される(ステップS1011)。
【0105】
次に、欠陥画素信号レベルを算出及び記録処理した再構成画像の数xを確認して、x<5枚であるならば、ステップS1008に戻り、ステップS1008〜ステップS1011の処理を繰り返す。
【0106】
リフォーカス再構成処理部7は、繰り返されるたびに、異なる結像距離rを再設定する(ステップS1008)。但し、リフォーカス再構成処理部7は、各素子に入射する主光線が結像するように(例えば、図4の結像距離r1またはr2のように)、異なる結像距離を選択する。本実施形態では、結像距離rとして、r=r0,r1,r2,r3,r4が設定されたとして、リフォーカス再構成画像が生成される(ステップS1009)。
【0107】
揮発性メモリ16には、ステップS1008〜ステップS1012が5回繰り返し処理されることで、r=r0,r1,r2,r3,r4に対応した、SRT,r0、SRT,r1、SRT,r2、SRT,r3、SRT,r4、が記録される(ステップS1011)。
【0108】
次に、欠陥画素信号レベルを算出及び記録処理した再構成画像の数xが、x=5枚となったら、欠陥素子信号レベルkの算出を行う(ステップS1013)。以下、式(13)〜式(23)を用いて、素子毎の欠陥素子信号レベルkの算出方法について説明する。ここでは、結像距離rの時のリフォーカス再構成処理演算の一般式を表現した式(1)において、各行列を式(13)、式(14)、式(15)のように表記する。
【0109】
【数3】
【0110】
…(13)
【0111】
【数4】
【0112】
…(14)
【0113】
【数5】
【0114】
…(15)
第1の実施形態で説明した時と同様、S(m)は再構成画像のm番目の画素の信号値、pda(n)からpde(n)はS(m)を構成するn番目のマイクロレンズ下にある光電変換素子の信号値である。wm,a(n)からwm,e(n)は、S(m)を構成するn番目のマイクロレンズを備えた光電変換素子の信号値pda(n)からpde(n)に対して、ある結像距離rでかけられる重み付け係数である。
【0115】
素子毎の欠陥素子信号レベルkは、揮発性メモリ16に記録されたSRT,r0、SRT,r1、SRT,r2、SRT,r3、SRT,r4と、(Wr0+Wr1+Wr2+Wr3+Wr4)-1を用いて、式(16)のように算出される。
【0116】
【数6】
【0117】
…(16)
(Wr0+Wr1+Wr2+Wr3+Wr4)-1は、欠陥画素信号レベル算出に用いる結像距離r=r0,r1,r2,r3,r4を決めれば、予め、Wr0,Wr1,Wr2,Wr3,Wr4を用いて算出して、不揮発性メモリ17などに記録しておくことができる。
【0118】
ところで、式(13)〜(15)を用いると、結像距離r=r0,r1,r2,r3,r4である時、リフォーカス再構成処理演算は式(17)〜(21)で表わされる。
【0119】
Sr0=Wr0・PD …(17)
Sr1=Wr1・PD …(18)
Sr2=Wr2・PD …(19)
Sr3=Wr3・PD …(20)
Sr4=Wr4・PD …(21)
式(17)〜(21)から、分配則より、式(22)が導かれる。
【0120】
Sr0+Sr1+Sr2+Sr3+Sr4=
(Wr0+Wr1+Wr2+Wr3+Wr4)・PD …(22)
式(22)より、(Wr0+Wr1+Wr2+Wr3+Wr4)の逆行列(Wr0+Wr1+Wr2+Wr3+Wr4)-1は、式(23)を満たしている。
【0121】
PD=(Wr0+Wr1+Wr2+Wr3+Wr4)-1
(Sr0+Sr1+Sr2+Sr3+Sr4) …(23)
この式(23)が意味することは、結像距離r=r0,r1,r2,r3,r4で再構成された画像を全て加算して、(Wr0+Wr1+Wr2+Wr3+Wr4)-1と、掛け合わせれば、元の撮像画像の各光電変換素子の信号値に逆変換される、ということである。すなわち、式(16)が意味することは、結像距離r=r0,r1,r2,r3,r4で再構成された画像から得られた欠陥画素信号レベルSRT(m)を画素毎に全て加算して、(Wr0+Wr1+Wr2+Wr3+Wr4)-1と掛け合わせて逆変換された信号値を、素子毎の欠陥素子信号レベルkとして得ている。以上が、欠陥素子信号レベルkの算出に関する説明である。
【0122】
そして、本実施形態では、欠陥素子判定値kが閾値Thを超えた光電変換素子を欠陥素子として抽出する(ステップS1014)。閾値Thは実験的に求められる。最後に、信号処理部9は、ステップS1014で抽出された欠陥素子のアドレスデータを、元の撮像画像に添付して記録媒体12に記録する。
【0123】
本実施形態においても、撮像画像をユーザの任意の結像距離で再構成処理する時は、第1の実施形態の図6と同様に処理することで、欠陥素子に伴う画質劣化が抑制された再構成画像を、効率的に生成し、表示させることができる。
【0124】
本実施形態の説明において、欠陥画素信号レベルSRT,rを算出するための、再構成画像数をx=5として説明した。これは、本実施形態では、説明を分かりやすくするために、単位マイクロレンズアレイ2毎に5つの素子が配置されている、としていたことに起因する。実際には、再構成画像数xは、実際には単位マイクロレンズアレイ2毎に配置された素子の数に依存して、適切に設定される。
【0125】
例えば、単位マイクロレンズアレイ2毎に配置された素子の数がx0である時、リフォーカス再構成処理部7が、各素子に入射する主光線が結像するように(例えば、図4の結像距離r1またはr2のように)、各々異なる結像距離で再構成画像を生成すれば、少なくともx=x0で本実施形態は成立する。言い換えると、単位マイクロレンズアレイ2毎に配置された素子の数がx0である時、各素子に入射する主光線が結像するように設定された、各々異なる結像距離r=r0,r1,r2,…,rx0について、(Wr0+Wr1+Wr2+…+Wrx0)の逆行列(Wr0+Wr1+Wr2+…+Wrx0)-1が少なくとも存在する。
【0126】
本実施形態は、第1及び第2の実施形態と同様に、複数の再構成画像を用いて欠陥素子の抽出を行っている。但し、第1又は第2の実施形態で提案した再構成画像に施されるリアルタイム欠陥画素検出は、再構成画像の注目画素の信号レベルと、周辺画素の平均信号レベルとを比較して、欠陥画素であるか、非欠陥画素であるかを判定する処理であった。いわば、第1又は第2の実施形態では、本実施形態中の欠陥画素信号レベルsRT(m)によって、欠陥画素を閾値判定していた。
【0127】
これに対し、本実施形態では、複数の再構成画像の注目画素の信号レベルと、周辺画素の平均信号レベルとの差を、値としてそのまま保持し、欠陥素子の抽出に用いることに特徴がある。
【0128】
本実施形態では、複数の再構成画像に対して、リアルタイム欠陥画素検出で欠陥画素を特定させないので、光ショットノイズ、固体撮像素子の回路ノイズ、欠陥素子の出力信号強度および結像距離、リアルタイム欠陥画素検出の誤検出及び未検出、など、様々な要因によって、実際には、「欠陥素子を含む信号が加算された画素は、必ずしも欠陥画素として検出されない」場合にも、適切に欠陥素子を抽出することができる。
【0129】
以上、好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず適用可能である。また、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10