(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コヒーレンス性を有する光を用いて被観察部を観察する際に、前記光によって前記被観察部に生じたスペックルを基に前記被観察部を観察するスペックル観察モードを含む複数の観察モードのいずれかを用いる内視鏡システムであって、
前記スペックル観察モードにおいて前記スペックルを低減せず、前記スペックル観察モード以外の前記観察モードにおいて前記スペックルを低減するように、前記観察モードに応じて停止または駆動するスペックル低減部を具備することを特徴とする内視鏡システム。
前記スペックル低減部は、前記光の一部を変換して、元の位相とは異なる位相を有する光を発生させることで、位相を多重化させる位相多重化部を有することを特徴とする請求項3に記載の内視鏡システム。
前記位相多重化部は、互いに異なる位相を有する複数の前記光が時間的に異なった位相で発生するように、前記光の位相を時間的に変動させる位相変動部を有することを特徴とする請求項4に記載の内視鏡システム。
前記位相変動部は、前記光の位相が時間的に変動するように、前記光の位相が変化する範囲において前記光源に対する駆動電流を周期的に変化させる駆動電流重畳部を有していることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の内視鏡システム。
前記スペックル観察モードに用いられる前記光が前記スペックル観察モード以外の少なくとも1つの前記観察モードに用いられるように、前記光源は各観察モードにおいて共有されていることを特徴とする請求項10に記載の内視鏡システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、一部の図面では図示の明瞭化のために部材の一部の図示を省略している。
[第1の実施形態]
[構成]
図1Aと
図1Bとを参照して第1の実施形態について説明する。
【0010】
[内視鏡システム5の構成1]
図1Aに示すように内視鏡システム5は、例えば、被観察部に照明光を照明し、被観察部を撮像する内視鏡10と、内視鏡10と着脱自在に接続する制御装置14とを有している。この被観察部とは、例えば体腔内における患部や病変部等である。
また内視鏡システム5は、制御装置14と接続し、内視鏡10によって撮像された被観察部を表示する例えばモニタである画像表示部16と、内視鏡10と着脱自在に接続し、制御装置14と着脱自在に接続し、光を出射する光源装置18とをさらに有している。
【0011】
[内視鏡10]
図1Aに示すように内視鏡10は、例えば体腔に挿入される中空の細長い挿入部20と、挿入部20の基端部と連結し、内視鏡10を操作する操作部30とを有している。
【0012】
[挿入部20]
図1Aに示すように挿入部20は、挿入部20の先端部側から挿入部20の基端部側に向かって、先端硬質部21と、湾曲部23と、可撓管部25とを有している。先端硬質部21の基端部は湾曲部23の先端部と連結し、湾曲部23の基端部は可撓管部25の先端部と連結している。
【0013】
[操作部30]
図1Aに示すように操作部30は、可撓管部25が延出している本体部31と、本体部31の基端部と連結し、内視鏡10を操作する操作者によって把持される把持部33と、把持部33と接続しているユニバーサルコード41とを有している。
【0014】
[本体部31]
図1Aに示すように本体部31は、処置具挿入口部35aを有している。処置具挿入口部35aは、図示しない処置具挿通チャンネルの基端部と連結している。処置具挿通チャンネルは、挿入部20の内部に配設され、本体部31から先端硬質部21に渡って配設されている。処置具挿通チャンネルの先端部は、先端硬質部21に配設されている図示しない先端開口部と連通している。処置具挿入口部35aは、図示しない内視鏡用処置具を処置具挿通チャンネルに挿入するための挿入口である。図示しない内視鏡用処置具は、処置具挿入口部35aから処置具挿通チャンネルに挿入され、先端硬質部21側まで押し込まれる。そして内視鏡用処置具は、先端開口部から突出される。
【0015】
[把持部33]
図1Aに示すように把持部33は、湾曲部23を湾曲操作する湾曲操作部37と、送気・送水と吸引と内視鏡撮影のためのスイッチ部39とを有している。
【0016】
[ユニバーサルコード41]
図1Aに示すようにユニバーサルコード41は、把持部33の側面から延出されている。ユニバーサルコード41の端部は分岐しており、各端部に接続コネクタ41aが配設されている。接続コネクタ41aの一方は制御装置14に着脱可能となっており、接続コネクタ41aの他方は光源装置18に着脱可能となっている。
【0017】
[制御装置14と画像表示部16と光源装置18]
詳細については後述するが、制御装置14は、内視鏡10や画像表示部16や光源装置18を制御する。画像表示部16と光源装置18とについては、後述する。
【0018】
[挿入部20と非挿入部20a]
図1Aと
図1Bとに示すように内視鏡システム5は、体腔のような所望する部位に挿入される挿入部20と、体腔に非挿入されるように所望する部位の外部に配設される非挿入部20aとを有する。非挿入部20aは、内視鏡10の一部である操作部30と、制御装置14と画像表示部16と光源装置18とを有する。
【0019】
[内視鏡システム5の構成2]
本実施形態の内視鏡システム5は、コヒーレンス性を有する光を用いて被観察部を観察する際に、光によって被観察部に生じたスペックルを基に被観察部を観察するスペックル観察モードを含む複数の観察モードのいずれかを用いる。観察モードは、例えば、白色光を用いて被観察部を観察する白色光観察モードと、スペックルを基に被観察部を観察するスペックル観察モードと、特殊光を用いて被観察部を観察する特殊光観察モードとを有している。
【0020】
このため、
図1Bに示すように内視鏡システム5は、操作者が観察モードを入力する入力部14aと、入力部14aによって入力された観察モードに応じた制御を実施する前記した制御装置14と、制御装置14の制御に応じた照明光を照明する照明装置60とをさらに有している。
また
図1Bに示すように内視鏡システム5は、例えば非挿入部20aに配設され、スペックル観察モードにおいてスペックルを低減せず、スペックル観察モード以外の観察モードである例えば白色光観察モードと特殊光観察モードとにおいてスペックルを低減するように、観察モードに応じて停止または駆動するスペックル低減部80と、例えば被観察部の画像を観察モードに応じて取得する画像取得部200とをさらに有している。
また
図1Bに示すように内視鏡システム5は、画像取得部200によって取得された画像を表示する前記した画像表示部16をさらに有している。
【0021】
[入力部14a]
操作者が複数の観察モードからどの観察モードで観察を実施するかを入力部14aにて入力することで、入力部14aは、操作者によって入力された観察モードで観察を実施する旨の指示を制御装置14に入力する。入力部14aは、非挿入部20a、例えば制御装置14に配設されている。入力部14aは、観察モードを切り替え式に選択する例えばスイッチ部を有している。
【0022】
[制御装置14]
図1Bに示すように制御装置14は、制御テーブルを予め記録している記憶部14bを有している。制御テーブルは、例えば、各観察モードにおける照明装置60の動作とスペックル低減部80の動作と画像取得部200の動作とを記録している。
【0023】
そして制御装置14は、制御装置14が入力部14aから観察モードを入力された際、制御テーブルを基に、入力部14aから制御装置14に入力された観察モードに応じた照明装置60の動作とスペックル低減部80の動作と画像取得部200の動作とを連動して制御する。
制御テーブルに記録されている各観察モードに対する照明装置60の動作とスペックル低減部80の動作と画像取得部200の動作とは、下記に示す通りである。
【0024】
[白色光観察モード]
照明装置60の動作 ・・・ 照明装置60の後述する光源63Rと光源63Gと光源63Bとのみが、点灯するように駆動する。
スペックル低減部80の動作 ・・・ スペックル低減部80は、駆動する。詳細には、スペックル低減部80の後述する搖動部81は、照明装置60の後述する導光部材69を搖動する。
画像取得部200の動作 ・・・ 画像取得部200は、白色光に適した画像処理を実施する。
【0025】
[スペックル観察モード]
照明装置60の動作 ・・・ 照明装置60の後述する光源63Vのみが、点灯するように駆動する。
スペックル低減部80の動作 ・・・ スペックル低減部80は、停止する。
画像取得部200の動作 ・・・ 画像取得部200は、スペックルに適した画像処理を実施する。
【0026】
[特殊光観察モード]
照明装置60の動作 ・・・ 照明装置60の光源63Vと光源63Gとのみが、点灯するように駆動する。
スペックル低減部80の動作 ・・・ スペックル低減部80は、駆動する。詳細には、スペックル低減部80の搖動部81は、照明装置60の導光部材69を搖動する。
画像取得部200の動作 ・・・ 画像取得部200は、特殊光に適した画像処理を実施する。
【0027】
[照明装置60]
図1Bに示すように照明装置60は、光源制御部61と光源63Vと光源63Rと光源63Gと光源63Bと導光部材65Vと導光部材65Rと導光部材65Gと導光部材65Bと光合波部67と導光部材69と照明光学系71とを有している。
光源制御部61と光源63Vと光源63Rと光源63Gと光源63Bと導光部材65Vと導光部材65Rと導光部材65Gと導光部材65Bと光合波部67とは、例えば、非挿入部20aに含まれる光源装置18に内蔵される。
導光部材69は、例えば、非挿入部20aに含まれるユニバーサルコード41と操作部30と把持部33と本体部31と、挿入部20とに内蔵されている。
照明光学系71は、挿入部20の先端部に内蔵されている。
【0028】
[光源制御部61]
光源制御部61は、制御装置14の制御に応じて、言い換えると、入力された観察モードに応じて、光源63Vと光源63Rと光源63Gと光源63Bとがそれぞれ駆動または停止するように、光源63Vと光源63Rと光源63Gと光源63Bとを制御する。また光源制御部61は、光源63Vと光源63Rと光源63Gと光源63Bとに対して、駆動電流、駆動方式を制御する。駆動方式は、連続駆動とパルス駆動と高周波重畳とを制御する。
【0029】
[光源63V,63R,63G,63B]
光源63V,63R,63G,63Bは、前記したように、観察モードに応じて光を出射する。光源63V,63R,63G,63Bは、例えばレーザ光のような高いコヒーレンス性を有する光を出射する。
【0030】
光源63Vは、例えば、紫色のレーザ光を出射するレーザーダイオードを有している。レーザ光の波長は、例えば、405nmとなっている。
光源63Bは、例えば、青色のレーザ光を出射するレーザーダイオードを有している。レーザ光の波長は、例えば、445nmとなっている。
光源63Gは、例えば、緑色のレーザ光を出射するレーザーダイオードを有している。レーザ光の波長は、例えば、515nmとなっている。
光源63Rは、例えば、赤色のレーザ光を出射するレーザーダイオードを有している。レーザ光の波長は、例えば、635nmとなっている。
このような光源63V,63R,63G,63Bは、前記したように、観察モードに応じて光学的に異なる光を出射する。また例えば、前記したようにスペックル観察モードに用いられる紫色のレーザ光がスペックル観察モード以外の少なくとも1つの観察モードである特殊光観察モードに用いられるように、光源63Vは各観察モードにおいて共有されている。
【0031】
[導光部材65V,65B,65G,65G]
導光部材65Vは、光源63Vと光合波部67とに光学的に接続しており、光源63Vから出射されたレーザ光を光合波部67に導光する。
導光部材65Bは、光源63Bと光合波部67とに光学的に接続しており、光源63Bから出射されたレーザ光を光合波部67に導光する。
導光部材65Gは、光源63Gと光合波部67とに光学的に接続しており、光源63Gから出射されたレーザ光を光合波部67に導光する。
導光部材65Rは、光源63Rと光合波部67とに光学的に接続しており、光源63Rから出射されたレーザ光を光合波部67に導光する。
【0032】
導光部材65Vは、例えば、マルチモードの単線の光ファイバを有している。この点は、導光部材65Rと、導光部材65Gと、導光部材65Bとについても同様である。
【0033】
なお光源63Vと導光部材65Vとの間には、図示しない集光レンズが配設されている。光源63Vから出射された光は、集光レンズによって導光部材65Vに集光される。この点は、光源63Rと導光部材65R、光源63Gと導光部材65Gと、光源63Bと導光部材65Bとについても同様である。
【0034】
[光合波部67]
光合波部67は、導光部材65Vと導光部材65Rと導光部材65Gと導光部材65Bとによって導光されたレーザ光を合波する。
例えば、白色光観察モードにおいて光源63R,63G,63Bが駆動するため、光合波部67は、白色光観察モードにおいて、青色のレーザ光と緑色のレーザ光と赤色のレーザ光とを合波し、白色光を生成する。
また例えば、特殊光観察モードにおいて光源63V,63Gが駆動するため、光合波部67は、特殊光観察モードにおいて、紫色のレーザ光と緑色のレーザ光とを合波し、特殊光を生成する。
なお例えば、スペックル観察モードにおいて光源63Vのみが駆動するため、光合波部67は、スペックル観察モードにおいて、紫色のレーザ光を通過させる。
そして前記において、合波部67は、各レーザ光が単一の光として照明光学系から出射されるように、各レーザ光を単一の照明光に合波する。光合波部67は、例えば光ファイバコンバイナを有している。
【0035】
[導光部材69]
導光部材69は、光合波部67と照明光学系71とに光学的に接続しており、光合波部67によって合波されたレーザ光を照明光学系71に導光する。導光部材69は、例えば、マルチモードの単線の光ファイバを有している。
【0036】
[照明光学系71]
照明光学系71は、導光部材69によって導光されたレーザ光を、所望の配光で、被観察部に出射する。照明光学系71は、各観察モードに対して同一であり、各観察モードに共有されている。照明光学系71は、複数のレンズを有している。
【0037】
[スペックル低減部80]
一般的に、例えばレーザ光のような高いコヒーレンス性を有する光が被観察部を照射すると、被観察部の表面付近において光は反射及び散乱する。これにより光の位相が重なり、表面付近の状態を反映した干渉パターンが発生する。この干渉パターンのことを、スペックルとよぶ。
本実施形態のスペックル低減部80は、観察モードに応じて、詳細には、スペックル観察モード以外の観察モードである例えば白色光観察モードと特殊光観察モードとにおいて、画像表示部16が表示する被観察部画像からこのスペックルを低減させる。
【0038】
このためスペックル低減部80は、レーザ光の一部を変換して、元の位相とは異なる位相を有するレーザ光を発生させることで、位相を多重化させる位相多重化部80aを有している。位相多重化部80aは、位相を多重化させることによって、被観察部画像においてスペックルを平均化させ、結果としてスペックルを低減させている。
この位相多重化部80aは、互いに異なる位相を有する複数のレーザ光が時間的に異なった位相で発生するように、レーザ光の位相を時間的に変動させる位相変動部80bを有している。つまり位相変動部80bは、被観察部の表面付近において時間的に異なるスペックルを生じさせる。レーザ光の位相を時間的に変動させることを、位相変動と称する。位相変動部80bが光の位相を時間的に変動させる1周期の速さは、画像取得部200のフレームレート(例えば、30fps)よりも速い。
【0039】
このため位相変動部80bは、レーザ光の位相が時間的に変動するように、例えばレーザ光を導光する導光部材69を搖動する搖動部81を有している。レーザ光の位相の時間的な変動は、レーザ光の位相を時間的に変動させる1周期の早さを示し、搖動部81が導光部材69を搖動させる変動周波数に対応する時間間隔となる。この変動周波数は、画像取得部200のフレームレート(例えば、30fps)よりも早く、フレームレートの数倍以上であることが好適である。搖動部81は、例えば、電動モータや圧電体などのアクチュエータを有している。搖動部81は、搖動部81の駆動と停止とを、観察モードに応じて、詳細には制御装置14によって制御される。
【0040】
このようなスペックル低減部80は、搖動部81が導光部材69に当接するように、例えば非挿入部20aに配設されている。
【0041】
[画像取得部200]
図1Bに示すように画像取得部200は、照明光学系71から出射された後、被観察部から反射した光を画像として撮像する撮像部201と、撮像部201によって撮像された画像を伝達する撮像ケーブル203と、撮像ケーブル203によって伝達された画像を処理する画像処理部205とを有している。
【0042】
撮像部201は、挿入部20の先端部に内蔵されている。撮像部201は、例えば、CCDや、COMSなどを有している。
撮像ケーブル203は、例えば、非挿入部20aに含まれるユニバーサルコード41と操作部30と把持部33と本体部31と、挿入部20とに内蔵されている。
画像処理部205は、非挿入部20aに配設されている。画像処理部205は、制御装置14の制御に応じて、言い換えると、入力された観察モードに応じて、画像を処理する。
画像処理部205が取得した画像をフレームとも呼び、画像処理部205はフレームを繰り返し取得することで映像化する。フレームを取得する速さをフレームレートと呼び、フレームレートは例えば30fpsとなっている。
【0043】
[作用]
以下に、白色光観察モードと、スペックル観察モードと、特殊光観察モードとにおける作用について説明する。
【0044】
[白色光観察モード]
入力部14aが操作者によって操作されて、白色光観察モードが入力部14aに入力される。入力部14aは、観察モードが白色光観察モードである旨の指示を制御装置14に入力する。
制御装置14は、この指示を基に記憶部14bに記録されている制御テーブルを参照し、照明装置60の動作とスペックル低減部80の動作と画像取得部200の動作とを連動して制御する。
【0045】
白色光観察モードにおいて、制御装置14は、光源63Rと光源63Gと光源63Bとが点灯のために駆動し、光源63Vが停止するように、光源制御部61を制御する。光源制御部61は、制御装置14の制御を基に、光源63Rと光源63Gと光源63Bとが点灯のために駆動し、光源63Vが停止するように、光源63R,63G,63B,63Vを制御する。これにより、光源63Rは赤色のレーザ光を出射し、光源63Gは緑色のレーザ光を出射し、光源63Bは青色のレーザ光を出射する。赤色のレーザ光は導光部材65Rによって光合波部67に導光され、緑色のレーザ光は導光部材65Gによって光合波部67に導光され、青色のレーザ光は導光部材65Bによって光合波部67に導光される。光合波部67は、これらレーザ光を合波し、白色光を生成する。白色光は、導光部材69によって照明光学系71に導光される。
【0046】
なお白色光観察モードにおいて、制御装置14は、スペックル低減部80が駆動するように、スペックル低減部80を制御する。
よって、白色光が導光部材69によって照明光学系71に導光される際、スペックル低減部80の搖動部81は、導光部材69を搖動する。このため白色光の位相が時間的に変動する。すなわち、白色光において、互いに異なる位相を有する複数のレーザ光が時間的に異なった状態で導光される。
【0047】
位相変動された白色光は、照明光学系71によって所望の配光へ変換される。そして白色光は、照明光学系71から出射され、被観察部を照射する。ここで、白色光において、互いに異なる位相を有する複数のレーザ光が時間的に異なる状態で被観察部を照射している。よって、被観察部において発生するスペックルも時間的に(搖動部81が導光部材69を搖動させる変動周波数に対応する時間間隔で)異なる。これによりスペックルが平均化し、結果としてスペックルが低減する。
【0048】
撮像部201は、被観察部から反射した光を画像として撮像する。この画像は、撮像ケーブル203を介して画像処理部205に伝達される。画像処理部205は、RGBの3色のみによって生成された白色光による画像が自然な色合いとなるように、画像処理を行い、被観察部画像を生成する。画像表示部16は、この画像を表示する。
【0049】
なお、画像処理部205が画像取得する間隔であるフレームレートは、搖動部81が導光部材69を搖動させる変動周波数に比べて数分の一以上遅い。よって生成された被観察部画像において、フレームレート内に生じた異なるスペックルは平均化され、スペックルが低減されることとなる。
【0050】
[スペックル観察モード]
入力部14aが操作者によって操作されて、スペックル観察モードが入力部14aに入力される。入力部14aは、観察モードがスペックル観察モードである旨の指示を制御装置14に入力する。
制御装置14は、この指示を基に記憶部14bに記録されている制御テーブルを参照し、照明装置60の動作とスペックル低減部80の動作と画像取得部200の動作とを連動して制御する。
【0051】
スペックル観察モードにおいて、制御装置14は、光源63Vが点灯のために駆動し、光源63Rと光源63Gと光源63Bとが停止するように、光源制御部61を制御する。光源制御部61は、制御装置14の制御を基に、光源63Vが点灯のために駆動し、光源63Rと光源63Gと光源63Bとが停止するように、光源63R,63G,63B,63Vを制御する。これにより、光源63Vは、紫色のレーザ光を出射する。紫色のレーザ光は、導光部材65Vによって光合波部67に導光され、光合波部67を通過して、導光部材69によって照明光学系71に導光される。
【0052】
なおスペックル観察モードにおいて、制御装置14は、スペックル低減部80が停止するように、スペックル低減部80を制御する。
よって紫色のレーザ光は、照明光学系71によって所望の配光へ変換される。そして、紫色のレーザ光は、照明光学系71から出射され、被観察部を照射する。紫色のレーザ光にはスペックル低減部80の搖動部81が作用していないために、紫色のレーザ光が照射された被観察部ではスペックルが発生する。
【0053】
撮像部201は、被観察部から反射した光を画像として撮像する。この画像は、撮像ケーブル203を介して画像処理部205に伝達される。画像処理部205は、スペックルにより被観察部の状態が分析されるように、画像処理を行い、被観察部画像を生成する。画像表示部16は、この画像を表示する。
【0054】
[特殊光観察モード]
入力部14aが操作者によって操作されて、特殊光観察モードが入力部14aに入力される。入力部14aは、観察モードが特殊光観察モードである旨の指示を制御装置14に入力する。
制御装置14は、この指示を基に記憶部14bに記録されている制御テーブルを参照し、照明装置60の動作とスペックル低減部80の動作と画像取得部200の動作とを連動して制御する。
【0055】
特殊光観察モードにおいて、制御装置14は、光源63Vと光源63Gが点灯のために駆動し、光源63Rと光源63Bとが停止するように、光源制御部61を制御する。光源制御部61は、制御装置14の制御を基に、光源63Vと光源63Gとが点灯のために駆動し、光源63Rと光源63Bとが停止するように、光源63R,63G,63B,63Vを制御する。これにより、光源63Vは紫色のレーザ光を出射し、光源63Gは紫色のレーザ光を出射する。紫色のレーザ光は導光部材65Vによって光合波部67に導光され、緑色のレーザ光は導光部材65Gによって光合波部67に導光される。光合波部67は、これらレーザ光を合波し、特殊光を生成する。特殊光は、導光部材69によって照明光学系71に導光される。
【0056】
なお特殊光観察モードにおいて、制御装置14は、スペックル低減部80が駆動するように、スペックル低減部80を制御する。
よって、特殊光が導光部材69によって照明光学系71に導光される際、スペックル低減部80の搖動部81は、導光部材69を搖動する。このため特殊光の位相が時間的に変動する。すなわち、特殊光において、互いに異なる位相を有する複数のレーザ光が時間的に異なった状態で導光される。
【0057】
位相変動された特殊光は、照明光学系71によって所望の配光へ変換される。そして特殊光は、照明光学系71から出射され、被観察部を照射する。ここで、特殊光において、互いに異なる位相を有する複数のレーザ光が時間的に異なる状態で被観察部を照射している。よって、被観察部において発生するスペックルも時間的に(搖動部81が導光部材69を搖動させる変動周波数に対応する時間間隔で)異なる。これによりスペックルが平均化し、結果としてスペックルが低減する。
【0058】
撮像部201は、被観察部から反射した光を画像として撮像する。この画像は、撮像ケーブル203を介して画像処理部205に伝達される。一般的に、紫色のレーザ光は生体組織の表面付近の毛細血管内のヘモグロビンに強く吸収される性質を有し、緑色のレーザ光は生体組織の深部の太い血管内のヘモグロビンに強く吸収される性質を有している。画像処理部205は、この性質を利用して、毛細血管と太い血管とにおいてコントラストが強調されるように、画像処理を行い、被観察部画像を生成する。画像表示部16は、この画像を表示する。
【0059】
なお、画像処理部205が画像取得する間隔であるフレームレートは、搖動部81が導光部材69を搖動させる変動周波数に比べて数分の一以上遅い。よって生成された被観察部画像において、フレームレート内に生じた異なるスペックルが平均化された結果、スペックルが低減される。
【0060】
[効果]
本実施形態では、スペックル観察モードにおいてスペックル低減部80はスペックルを低減せず、スペックル観察モード以外の観察モードである例えば白色光観察モードと特殊光観察モードとにおいて、スペックル低減部80はスペックルを低減するように、観察モードに応じてスペックル低減部80が停止または駆動する。
また本実施形態では、各観察モードにおいて、照明光は、同一の照明光学系71から出射される。
また本実施形態では、光プローブは用いられず、処置具挿入口部35aや処置具挿通チャンネルが使用されず、処置具が利用できる。
また本実施形態では、光プローブを挿入部20に予め内蔵する必要がないため、挿入部20の径が太くならず、患者に負担がかからない。
よって本実施形態では、処置具挿入口部35aや処置具挿通チャンネルを用いることなく、また挿入部20の径を太くすることなく、スペックル観察と、例えば白色光観察と特殊光観察とを含む通常観察とを切り替えて実施できる。
【0061】
また本実施形態では、スペックル観察モードでは、スペックル低減部80が停止するため、確実に被観察部にスペックルを生じさせることができ、十分に被観察部画像においてスペックルを観察できる。
【0062】
また本実施形態では、スペックル観察モード以外の観察モードである例えば白色光観察モードと特殊光観察モードとにおいて、スペックル低減部80が駆動するため、確実にスペックルを低減できる。よって本実施形態では、スペックル観察モード以外の観察モードである例えば白色光観察モードと特殊光観察モードとにおいて、スペックルによって被観察部画像が劣化することを防止できる。
【0063】
また本実施形態では、スペックル観察モードと白色光観察モードと特殊光観察モードとにおいて、各観察モードにおいて使用するレーザ光が異なっても、光合波部67によって同一の照明光学系71から照明光を外部に出射できる。また前記によって、本実施形態では、構成を簡素にできる。
【0064】
また本実施形態では、光源63V,63R,63G,63Bは、高いコヒーレンス性を有する光を出射する。よって本実施形態では、光を効率よく導光部材65V,65R,65G,65Bに入射でき、光源63V,63R,63G,63Bを導光部材65V,65R,65G,65Bに効率よく光学的に結合できる。そして本実施形態では、挿入部20を細経化でき、照明光を明るくできる。さらに本実施形態では、前記したように、スペックル観察モードとスペックル観察モード以外の観察モードである例えば白色光観察モードと特殊光観察モードとを実施できるため、複数の観察モードに対する照明性能の高い内視鏡10を提供できる。
【0065】
また本実施形態では、白色光観察モードにおいて、R,G,Bの3色のレーザ光によって生成される白色光を用いることによって、前記したレーザ光の効果を有する白色光観察を実施できる。
【0066】
また本実施形態では、制御装置14が入力部14aから観察モードを入力された際、制御装置14は、制御テーブルを基に、制御装置14に入力された観察モードに応じて、照明装置60の動作とスペックル低減部80の動作と画像取得部200の動作とを連動して制御する。よって本実施形態では、照明装置60の動作とスペックル低減部80の動作と画像取得部200とを連動させて制御でき、観察モードを効率的に切り替えることができる。
【0067】
また本実施形態では、位相多重化部80aによって、位相を多重化させている。これにより本実施形態では、スペックルを平均化でき、被観察部画像におけるスペックルを低減でき、スペックルによって被観察部画像が劣化することを防止できる。
【0068】
また本実施形態では、搖動部81が導光部材69を搖動させる変動周波数は、画像取得部200のフレームレートよりも早い。よって、本実施形態では、被観察部画像におけるスペックルを時間的に平均化でき、結果的にスペックルを低減でき、スペックルによって被観察部画像が劣化することを防止できる。
【0069】
また本実施形態では、搖動部81は導光部材69を搖動する。これにより、本実施形態では、位相を多重化できると共に、位相を変動させることができる。また本実施形態では、搖動部81が配設されるのみで、導光部材69において光の透過率が大きく低下することを防止でき、部材の追加を最小限に抑えることができ、内視鏡10自体が大型化することを防止できる。
【0070】
また本実施形態では、搖動部81は、光合波部67よりも先端に配設されている導光部材69を搖動する。これにより、本実施形態では、1つの搖動部81によって、複数の種類のレーザ光をまとめて搖動でき、省スペース及び低コストを実施できる。
【0071】
また一般的に、導光部材69のコアの直径は、導光部材65V,65R,65G,65Bのコアの直径よりも大きい。また一般的にコアの直径が大きいほど、導光可能な位相の数は多い。よって、搖動部81が導光部材65V,65R,65G,65Bよりも導光部材69に配設されることで、位相多重化の効果を大きくでき、効果的にスペックルを低減でき、スペックルによって被観察部画像が劣化することを防止できる。
【0072】
また本実施形態では、特殊光観察モードによって、生体組織表面の毛細血管と、深部の太い血管とにおいてコントラストを強調して観察することができる。
【0073】
また本実施形態では、スペックル観察モードとスペックル観察モード以外の観察モードである例えば白色光観察モードと特殊光観察モードとにおいて、各観察モードにおけるレーザ光は共通する照明光学系71から出射される。これにより本実施形態では、スペックル観察において使用するレーザ光の特性と、スペックル観察モード以外の観察モードである例えば白色光観察モードと特殊光観察モードとにおいて使用するレーザ光の特性とが同じ場合、同一の光源を利用することが可能となり、省スペース、低コストが可能となる。
【0074】
[その他]
光源63R,63G,63B,63Vは、レーザ光を出射することに限定する必要はない。光源63R,63G,63B,63Vは、被観察部においてスペックルが発生するようなコヒーレンス性を有する光を出射すればよい。
光合波部67は、光を合波する空間光学系を有していてもよい。
照明光学系71は、レーザ光を拡散させて配光を広げる拡散部材などを有していてもよい。
搖動部81は、レーザ光の光路上に配設されたレンズと拡散板と偏光板と少なくも1つを有する光学部材に対し所望する方向に振動または回転などの運動を与えて、光学部材を搖動させてもよい。
また観察モードは、色合いの異なる白色光を照射するモード、被観察部を強調表示するその他の公知の特殊光観察を行うモードや、被観察部や薬剤に励起光を照射した際に発生する蛍光を観察する蛍光観察モードなどを有していてもよい。
【0075】
[第2の実施形態]
[構成]
以下に、
図2を参照して、第1の実施形態とは異なる点のみ記載する。
【0076】
[スペックル低減部80]
本実施形態では、スペックル低減部80の位相変動部80bは、搖動部81の代わりに、光源制御部61に配設され、レーザ光の位相が変化する範囲において光源63V,63R,63G,63Bに対する駆動電流を周期的に変化させる駆動電流重畳部83を有している。
【0077】
駆動電流重畳部83によって駆動電流が周期的に変化することによって、光源63V,63R,63G,63Bにおいて、レーザ光の出力は周期的に変化する。そして、レーザ光の位相は、レーザ光の低出力側とレーザ光の高出力側とで異なることになる。これによりレーザ光の位相は駆動電流の周期的な変化によって時間的に変動することとなり、時間的に異なるスペックルが生じ、スペックルが平均化され、結果としてスペックルが低減する。
【0078】
駆動電流の1周期の変化、言い換えると駆動電流の重畳周波数は、画像取得部200のフレームレート(例えば、30fps)よりも早い。またこの駆動電流の重畳周波数は、被観察部画像において、駆動電流の周期的な変化、言い換えるとレーザ光の出力の周期的な変化による明暗が視認できないほど早い。なお数MHz〜数GHzの高周波数が重畳すると、レーザ光のスペクトルが広がるため、好適である。
【0079】
駆動電流重畳部83は、制御装置14の制御、言い換えると観察モードに応じて、駆動または停止する。駆動電流重畳部83は、回路を有する。
【0080】
[制御装置14]
制御テーブルに記録されている各観察モードに対する照明装置60の動作とスペックル低減部80の動作と画像取得部200の動作とは、下記に示す通りである。
【0081】
[白色光観察モード]
照明装置60の動作 ・・・ 光源63Rと光源63Gと光源63Bとのみが、点灯するように駆動する。
スペックル低減部80の動作 ・・・ スペックル低減部80は、駆動する。詳細には、スペックル低減部80の駆動電流重畳部83は、光源63R,63G,63Bに対してのみ駆動電流を重畳する。
画像取得部200の動作 ・・・ 画像取得部200は、白色光に適した画像処理を実施する。
【0082】
[スペックル観察モード]
照明装置60の動作 ・・・ 光源63Vのみが、点灯するように駆動する。
スペックル低減部80の動作 ・・・ スペックル低減部80は、停止する。
画像取得部200の動作 ・・・ 画像取得部200は、スペックルに適した画像処理を実施する。
【0083】
[特殊光観察モード]
照明装置60の動作 ・・・ 光源63Vと光源63Gとのみが、点灯するように駆動する。
スペックル低減部80の動作 ・・・ スペックル低減部80は、駆動する。詳細には、スペックル低減部80の駆動電流重畳部83は、光源63V,63Gに対してのみ駆動電流を重畳する。
画像取得部200の動作 ・・・ 画像取得部200は、特殊光に適した画像処理を実施する。
【0084】
[作用]
以下に、白色光観察モードと、スペックル観察モードと、特殊光観察モードとにおける作用について説明する。なお、以下では、第1の実施形態とは異なる点のみ記載する。
【0085】
[白色光観察モード]
白色光観察モードにおいて、制御装置14は、光源63Rと光源63Gと光源63Bとが点灯のために駆動し、光源63Vが停止するように、光源制御部61を制御する。光源制御部61は、制御装置14の制御を基に、光源63Rと光源63Gと光源63Bとが点灯のために駆動し、光源63Vが停止するように、光源63R,63G,63B,63Vを制御する。これにより、光源63Rは赤色のレーザ光を出射し、光源63Gは緑色のレーザ光を出射し、光源63Bは青色のレーザ光を出射する。赤色のレーザ光は導光部材65Rによって光合波部67に導光され、緑色のレーザ光は導光部材65Gによって光合波部67に導光され、青色のレーザ光は導光部材65Bによって光合波部67に導光される。光合波部67は、これらレーザ光を合波し、白色光を生成する。白色光は、導光部材69によって照明光学系71に導光される。
【0086】
なお白色光観察モードにおいて、制御装置14は、スペックル低減部80が駆動するように、スペックル低減部80を制御する。
よって、光源制御部61が光源63R,63G,63Bを制御する際、スペックル低減部80の駆動電流重畳部83は、光源63R,63G,63Bに対して駆動電流を周期的に変化させる。これにより光源63R,63G,63Bから出力される各レーザ光の位相は、時間的に変動する。これによりスペックルが平均化し、結果としてスペックルが低減する。
なお高周波が重畳した場合、レーザ光のスペクトルが広がり、レーザ光のコヒーレンス性が低下するため、スペックルがより低減する。
【0087】
また画像処理部205が画像取得する間隔であるフレームレートは、駆動電流の重畳周波数に比べて数分の一以上遅い。よって生成された被観察部画像において、フレームレート内に生じた異なるスペックルは平均化され、スペックルが低減されることとなる。また、被観察部画像において、駆動電流の周期的な変化よる明暗は視認されない。
【0088】
[スペックル観察モード]
第1の実施形態と略同様である。
【0089】
[特殊光観察モード]
特殊光観察モードにおいて、制御装置14は、光源63Vと光源63Gが点灯のために駆動し、光源63Rと光源63Bとが停止するように、光源制御部61を制御する。光源制御部61は、制御装置14の制御を基に、光源63Vと光源63Gとが点灯のために駆動し、光源63Rと光源63Bとが停止するように、光源63R,63G,63B,63Vを制御する。これにより、光源63Vは紫色のレーザ光を出射し、光源63Gは紫色のレーザ光を出射する。紫色のレーザ光は導光部材65Vによって光合波部67に導光され、緑色のレーザ光は導光部材65Gによって光合波部67に導光される。光合波部67は、これらレーザ光を合波し、特殊光を生成する。特殊光は、導光部材69によって照明光学系71に導光される。
【0090】
なお特殊光観察モードにおいて、制御装置14は、スペックル低減部80が駆動するように、スペックル低減部80を制御する。
よって、光源制御部61が光源63V,63Gを制御する際、スペックル低減部80の駆動電流重畳部83は、光源63V,63Gに対して駆動電流を周期的に変化させる。これにより光源63V,63Gから出力される各レーザ光の位相は、時間的に変動する。これによりスペックルが平均化し、結果としてスペックルが低減する。
なお高周波が重畳した場合、レーザ光のスペクトルが広がり、レーザ光のコヒーレンス性が低下するため、スペックルがより低減する。
【0091】
また画像処理部205が画像取得する間隔であるフレームレートは、駆動電流の重畳周波数に比べて数分の一以上遅い。よって生成された被観察部画像において、フレームレート内に生じた異なるスペックルは平均化され、スペックルが低減されることとなる。また、被観察部画像において、駆動電流の周期的な変化よる明暗は視認されない。
【0092】
[効果]
本実施形態では、駆動電流重畳部83によって、第1の実施形態と同様に、スペックルを低減できる。また本実施形態では、駆動電流重畳部83が光源制御部61に配設されるのみでよく、部材の追加を最小限に抑えることができ、内視鏡10自体が大型化することを防止できる。
【0093】
また本実施形態では、駆動電流の重畳周波数は、画像取得部200のフレームレートよりも早い。よって本実施形態では、被観察部画像において駆動電流重畳による明暗が視認できなくなることができる。
【0094】
また本実施形態では、高周波が重畳することで、レーザ光のスペクトルを広げることができ、レーザ光のコヒーレンス性を低下でき、スペックルをより低減できる。よって本実施形態では、スペックルによって被観察部画像が劣化することを防止できる。
【0095】
[第3の実施形態]
[構成]
以下に、
図3Aと
図3Bと
図3Cとを参照して、第1の実施形態とは異なる点のみ記載する。
【0096】
[スペックル低減部80]
スペックル低減部80は、スペックル観察モード以外の観察モードである例えば白色光観察モードと特殊光観察モードとにおいてスペックルを低減させるために、レーザ光に対して光路長差を付与する光路長差付与機構90を有している。光路長差付与機構90は、非挿入部20aに配設されている。
【0097】
光路長差付与機構90は、導光部材69から出射されたレーザ光を平行光に変換するレンズを有する平行部材91aと、平行部材91aによって変換された平行光を反射する反射部材93aと、反射部材93aによって反射されたレーザ光を集光する集光部材95aとを有している。反射部材93aは、例えば可動ミラーを有している。
【0098】
また光路長差付与機構90は、スペックル観察モード以外の観察モードである例えば白色光観察モードと特殊光観察モードとにおいて、集光部材95aによって集光されたレーザ光が入射する光路長差付与部97をさらに有している。光路長差付与部97は、このレーザ光を複数の光束に分波し、複数の光束に対して互いに異なる光路長を持たせる。このため、光束には、光路長差が発生することとなる。また光路長差付与部97は、互いに異なる光路長を有する光束を合波する。
【0099】
このような光路長差付与部97は、例えば互いに長さの異なる複数のファイバを有するバンドルファイバを有している。バンドルファイバにおいて、ファイバの数は、例えば数百本〜数千本となっている。本実施形態では、スペックル観察モード以外の観察モードである例えば白色光観察モードと特殊光観察モードとにおいて、白色光同士が互いに干渉せず、被観察部においてスペックルが干渉によって発生することが防止されるように、ファイバの長さの差は、白色光観察モードと特殊光観察モードとにおいて用いられるレーザ光のコヒーレンス長よりも長くなっている。このため光路長差付与部97において、白色光観察モードと特殊光観察モードとにおいて、バンドルファイバに入射したレーザ光は、コヒーレンス長よりも長い光路長差を有することとなる。言い換えると、白色光観察モードと特殊光観察モードとにおいて、レーザ光は、光路長差付与部97によって、コヒーレンス長よりも長い光路長差を付与されることとなる。
【0100】
また光路長差付与機構90は、光路長差付与部97から出射されたレーザ光を平行光に変換するレンズを有する平行部材91bと、平行部材91bによって変換された平行光を反射する反射部材93bと、反射部材93bによって反射されたレーザ光を、照明光学系71まで導光する導光部材69aに集光する集光部材95bとをさらに有している。
【0101】
また光路長差付与機構90は、制御装置14の制御、言い換えると観察モードに応じて、光路長差付与機構90の例えば反射部材93a,93bを制御する光路長差制御部99をさらに有している。光路長差制御部99は、観察モードに応じて、反射部材93a,93bがスペックル低減部80の光路上または光路の外側に配設されるように、反射部材93a,93bを移動させる。
図3Aと
図3Bとに示すように、反射部材93a,93bがスペックル低減部80の光路上に配設された場合、平行部材91aによって変換された平行光は、反射部材93aによって集光部材95aに向けて反射される。また平行部材91bによって変換された平行光は、反射部材93bによって集光部材95bに向けて反射される。
図3Cに示すように、反射部材93a,93bがスペックル低減部80の光路の外側に配設された場合、平行部材91aによって変換された平行光は、集光部材95bに直接進行する。
【0102】
[制御装置14]
制御テーブルに記録されている照明装置60の動作とスペックル低減部80の動作と画像取得部200の動作とは、下記に示す通りである。
【0103】
[白色光観察モード]
照明装置60の動作 ・・・ 光源63Rと光源63Gと光源63Bとのみが、点灯するように駆動する。
スペックル低減部80の動作 ・・・ スペックル低減部80は、駆動する。詳細には、
図3Aと
図3Bとに示すように、スペックル低減部80の光路長差制御部99は、反射部材93a,93bをスペックル低減部80の光路上に移動させる。
画像取得部200の動作 ・・・ 画像取得部200は、白色光に適した画像処理を実施する。
【0104】
[スペックル観察モード]
照明装置60の動作 ・・・ 光源63Vのみが、点灯するように駆動する。
スペックル低減部80の動作 ・・・ スペックル低減部80は、駆動する。詳細には、
図3Cに示すように、スペックル低減部80の光路長差制御部99は、反射部材93a,93bをスペックル低減部80の光路の外側に移動させる。
画像取得部200の動作 ・・・ 画像取得部200は、スペックルに適した画像処理を実施する。
【0105】
[特殊光観察モード]
照明装置60の動作 ・・・ 光源63Vと光源63Gとのみが、点灯するように駆動する。
スペックル低減部80の動作 ・・・ スペックル低減部80は、駆動する。詳細には、
図3Aと
図3Bとに示すように、スペックル低減部80の光路長差制御部99は、反射部材93a,93bをスペックル低減部80の光路上に移動させる。
画像取得部200の動作 ・・・ 画像取得部200は、特殊光に適した画像処理を実施する。
【0106】
[作用]
以下に、白色光観察モードと、スペックル観察モードと、特殊光観察モードとにおける作用について説明する。なお、以下では、第1の実施形態とは異なる点のみ記載する。
【0107】
[白色光観察モード]
白色光観察モードにおいて、制御装置14は、スペックル低減部80が駆動するように、スペックル低減部80を制御する。
このため
図3Aと
図3Bとに示すように、スペックル低減部80の光路長差制御部99は、反射部材93a,93bをスペックル低減部80の光路上に移動させる。
これにより、導光部材69から出射された白色光は、平行部材91aと反射部材93aと集光部材95aとを介して光路長差付与部97に入射する。そして白色光は、光路長差付与部97によって、光路長差を付与される。
【0108】
光路長差を付与された白色光は、平行部材91bと反射部材93bと集光部材95bと導光部材69aとを介して照明光学系71に進行する。そして、白色光は、照明光学系71によって所望の配光へ変換される。白色光は、照明光学系71から出射され、被観察部を照射する。
【0109】
白色光は、光路長差付与部97によって、コヒーレンス長よりも長い光路長差を付与されている。よって、白色光同士は互いに干渉せず、被観察部においてスペックルが発生することは防止される。
【0110】
[スペックル観察モード]
スペックル観察モードにおいて、制御装置14は、スペックル低減部80が駆動するように、スペックル低減部80を制御する。
このため
図3Cに示すように、スペックル低減部80の光路長差制御部99は、反射部材93a,93bをスペックル低減部80の光路の外側に移動させる。
これにより、導光部材69から出射された紫色のレーザ光は、平行部材91aと集光部材95bとを介して導光部材69aに入射する。紫色のレーザ光は、光路長差付与部97に入射しない。
【0111】
紫色のレーザ光は、照明光学系71によって所望の配光へ変換される。そして紫色のレーザ光は、照明光学系71から出射され、被観察部を照射する。ここで紫色のレーザ光には光路長差が付与されていないため、被観察部においてスペックルは発生する。
【0112】
[特殊光観察モード]
特殊光観察モードにおいて、制御装置14は、スペックル低減部80が駆動するように、スペックル低減部80を制御する。
このため
図3Aと
図3Bとに示すように、スペックル低減部80の光路長差制御部99は、反射部材93a,93bをスペックル低減部80の光路上に移動させる。
これにより、導光部材69から出射された特殊光は、平行部材91aと反射部材93aと集光部材95aとを介して光路長差付与部97に入射する。そして特殊光は、光路長差付与部97によって、光路長差を付与される。
【0113】
光路長差を付与された特殊光は、平行部材91bと反射部材93bと集光部材95bと導光部材69aとを介して照明光学系71に進行する。そして、特殊光は、照明光学系71によって所望の配光へ変換される。特殊光は、照明光学系71から出射され、被観察部を照射する。
【0114】
特殊光は、光路長差付与部97によって、コヒーレンス長よりも長い光路長差を付与されている。よって、特殊光同士は互いに干渉せず、被観察部においてスペックルが発生することは防止される。
【0115】
[効果]
本実施形態では、スペックル観察モード以外の観察モードである例えば白色光観察モードと特殊光観察モードとにおいて、光路長差付与部97によって、レーザ光にコヒーレンス長よりも長い光路長差を付与できる。よって本実施形態では、白色光観察モードと特殊光観察モードとにおいて、レーザ光が互いに干渉することを防止でき、スペックルが発生することを防止できる。よって本実施形態では、スペックルによって被観察部画像が劣化することを確実に防止できる。
【0116】
なお
図3Dに示すように、本実施形態の構成は、第1の実施形態の構成と組み合わせてもよい。つまり、スペックル低減部80は、搖動部81と光路長差付与機構90とを有していてもよい。
また
図3Eに示すように、本実施形態の構成は、第2の実施形態の構成と組み合わせてもよい。つまり、スペックル低減部80は、駆動電流重畳部83と光路長差付与機構90とを有していてもよい。
また図示はしないが、本実施形態の構成は、第1の実施形態の構成と第2の実施形態の構成と組み合わせてもよい。つまり、スペックル低減部80は、搖動部81と駆動電流重畳部83と光路長差付与機構90とを有していてもよい。
このように、スペックル低減部80は、同一または異なる手段を複数有していてもよい。
この場合、駆動電流重畳部83と光路長差付与機構90といった互いに原理が異なるスペックル低減部80が配設されることで、より効果的にスペックルを低減できる。
【0117】
[その他]
また、本実施形態の光路長付与機構90と同様の機構に対して、光路長付与部97の位置に、単体では駆動・停止の切替が困難な位相多重化部80aが配置されてもよい。駆動・停止の切替が困難な位相多重化部80aとしては、例えば導光部材に対して曲げ部が追加される等した各種モードスクランブラーなどである。モードスクランブラーによって位相が多重化することで、被観察部画像においてスペックルを平均化でき、結果としてスペックルを低減させることができる。
また反射部材93a,93bは、制御装置14の制御、言い換えると観察モードに応じてレーザ光の進行方向を可変できる例えば光スイッチなどの光学部材を有してればよい。
光路長差制御部99は、制御装置14の制御、言い換えると観察モードに応じて、反射部材93a,93bがレーザ光を反射または透過させるように、反射部材93a,93bの光学的な特性を変化させてもよい。
光路長差付与部97は、ミラーなどの光学部材を用いて、レーザ光を複数の光束へ分波し、複数の光束に対して互いに異なる光路長を持たせ、分波している光束を再び1つの光束に合波してもよい。
【0118】
[第4の実施形態]
[構成]
以下に、
図4を参照して、第1の実施形態とは異なる点のみ記載する。
本実施形態では、観察モードは、例えば白色光観察モードとスペックル観察モードとを有する。
【0119】
[照明装置60]
照明装置60は、光源制御部61と、光源63Bと、導光部材65Bと、照明光学系71とを有している。
導光部材65Bは、光源63Bと照明光学系71とに光学的に接続しており、光源63Bから出射された光を照明光学系71に導光する。
照明光学系71は、例えば、蛍光体を有している。蛍光体は、青色のレーザ光によって励起し、黄色の蛍光を出射する特性を有している。このため、照明光学系71は、蛍光体から出射される黄色の蛍光と、蛍光体を透過する青色のレーザ光とが重ね合うことで生成される白色光を出射する。
【0120】
[作用]
以下に、白色光観察モードと、スペックル観察モードとにおける作用について説明する。なお、以下では、第1の実施形態とは異なる点のみ記載する。
【0121】
[白色光観察モード]
白色光観察モードにおいて、制御装置14は、光源63Bが点灯のために駆動するように、光源制御部61を制御する。光源制御部61は、制御装置14の制御を基に、光源63Bが点灯のために駆動するように、光源63Bを制御する。これにより、光源63Bは青色のレーザ光を出射し、青色のレーザ光は導光部材65Bによって照明光学系71に導光される。
【0122】
なお白色光観察モードにおいて、制御装置14は、スペックル低減部80が駆動するように、スペックル低減部80を制御する。
よって、青色のレーザ光が導光部材65Bによって照明光学系71に導光される際、スペックル低減部80の搖動部81は、導光部材65Bを搖動する。このため青色のレーザ光の位相が時間的に変動する。すなわち、青色のレーザ光において、互いに異なる位相を有する複数の青色のレーザ光が時間的に異なった状態で導光される。
【0123】
位相変動された青色のレーザ光において、青色のレーザ光の一部は蛍光体によって黄色の蛍光に変換され、青色のレーザ光の他部は蛍光体を透過する。黄色の蛍光と青色のレーザ光とは、重ね合わさり、白色光として照明光学系71から出射され、被観察部を照射する。ここで、白色光において、互いに異なる位相を有する複数のレーザ光が時間的に異なる状態で被観察部を照射している。よって、被観察部において発生するスペックルも時間的に(搖動部81が導光部材65Bを搖動させる変動周波数に対応する時間間隔で)異なる。これによりスペックルが平均化し、結果としてスペックルが低減する。
【0124】
撮像部201は、被観察部から反射した光を画像として撮像する。この画像は、撮像ケーブル203を介して画像処理部205に伝達される。画像処理部205は、白色光による画像が自然な色合いとなるように、画像処理を行い、被観察部画像を生成する。画像表示部16は、この画像を表示する。
【0125】
なお、画像処理部205が画像取得する間隔であるフレームレートは、搖動部81が導光部材65Bを搖動させる変動周波数に比べて数分の一以上遅い。よって生成された被観察部画像において、フレームレート内に生じた異なるスペックルが平均化された結果、スペックルが低減される。
【0126】
[スペックル観察モード]
スペックル観察モードにおいて、制御装置14は、光源63Bが点灯のために駆動するように、光源制御部61を制御する。光源制御部61は、制御装置14の制御を基に、光源63Bが点灯のために駆動するように、光源63Bを制御する。これにより、光源63Bは青色のレーザ光を出射し、青色のレーザ光は導光部材65Bによって照明光学系71に導光される。
【0127】
なおスペックル観察モードにおいて、制御装置14は、スペックル低減部80が停止するように、スペックル低減部80を制御する。
よって青色のレーザ光において、青色のレーザ光の一部は蛍光体によって黄色の蛍光に変換され、青色のレーザ光の他部は蛍光体を透過する。黄色の蛍光と青色のレーザ光とは、重ね合わさり、白色光として照明光学系71から出射され、被観察部を照射する。青色のレーザ光にはスペックル低減部80の搖動部81が作用していないために、青色のレーザ光が照射された被観察部ではスペックルが発生する。
【0128】
撮像部201は、被観察部から反射した光を画像として撮像する。この画像は、撮像ケーブル203を介して画像処理部205に伝達される。画像処理部205は、スペックルにより被観察部の状態が分析されるように、画像処理を行い、被観察部画像を生成する。画像表示部16は、この画像を表示する。
【0129】
[効果]
本実施形態では、構成を簡素にできる。
【0130】
[変形例]
スペックル観察のために、スペックル観察のための光を出射する光源が配設されていてもよい。この場合、この光源から出射される光と、光源63Bから出射される青色のレーザ光とを合波する光合波部67が配設される。この光源から出射される光は、蛍光体によって波長変換されず、蛍光体を透過する特性を有している。
【0131】
また本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。