特許第6238694号(P6238694)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238694
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20171120BHJP
   G03G 21/20 20060101ALI20171120BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   G03G21/00 530
   G03G21/20
   G03G15/20 510
【請求項の数】11
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-239204(P2013-239204)
(22)【出願日】2013年11月19日
(65)【公開番号】特開2015-99268(P2015-99268A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2016年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 俊和
(74)【代理人】
【識別番号】100066061
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100177437
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 英子
(72)【発明者】
【氏名】山中 真一
【審査官】 佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−182543(JP,A)
【文献】 特開平02−311861(JP,A)
【文献】 特開2005−266678(JP,A)
【文献】 特開平06−274065(JP,A)
【文献】 特開2002−281189(JP,A)
【文献】 特開平08−160790(JP,A)
【文献】 特開2006−330556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/20
G03G 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材に未定着のトナー画像を形成する画像形成手段と、
ヒータを有する加熱手段と、前記加熱手段に当接してニップ部を形成する加圧手段と、を有し、前記ニップ部において前記未定着のトナー画像を定着する定着手段と、
前記定着手段を含む機内を冷却するため機内の空気を外部へ排出するための第一のファンと、
前記定着手段を含む機内を冷却するために、前記加圧手段の長手方向における一端側に設けられた外部の空気を前記機内へ吸入するための第二のファンと、
受信した印刷ジョブの印刷情報が所定の条件を満たす場合に、印刷動作の準備のための動作が開始されても前記第一のファン及び前記第二のファンを駆動させず、前記印刷動作を開始するときに前記第一のファンを駆動し、前記印刷動作を開始してから所定枚数の印刷が終了したら前記第二のファンを駆動させるよう制御する制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
記録材に未定着のトナー画像を形成する画像形成手段と、
ヒータを有する加熱手段と、前記加熱手段に当接してニップ部を形成する加圧手段と、を有し、前記ニップ部において前記未定着のトナー画像を定着する定着手段と、
前記定着手段を含む機内を冷却するため機内の空気を外部へ排出するための第一のファンと、
前記定着手段を含む機内を冷却するために、前記加圧手段の長手方向における一端側に設けられた外部の空気を前記機内へ吸入するための第二のファンと、
受信した印刷ジョブの印刷情報が所定の条件を満たす場合に、印刷動作の準備のための動作が開始されても前記第一のファン及び前記第二のファンを駆動させず、前記印刷動作を開始するときに前記第一のファンを駆動し、前記印刷動作を開始してから所定時間が経過すると前記第二のファンを駆動させるように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
記録材に未定着のトナー画像を形成する画像形成手段と、
ヒータを有する加熱手段と、前記加熱手段に当接してニップ部を形成する加圧手段と、を有し、前記ニップ部において前記未定着のトナー画像を定着する定着手段と、
前記定着手段を含む機内を冷却するために、前記機内の空気を外部へ排出するための第一のファンと、
前記定着手段を含む機内を冷却するために、前記加圧手段の長手方向における一端側に設けられた外部の空気を前記機内へ吸入するための第二のファンと
受信した印刷ジョブの印刷情報が所定の条件を満たす場合に、印刷動作の準備のための動作が開始されると前記第一のファンと前記第二のファンのいずれか一方のファンを第1の速度で駆動し他方のファンを駆動させず前記印刷動作を開始するときに前記他方のファンを駆動し、前記印刷動作を開始してから所定枚数の印刷が終了したら前記一方のファンを前記第1の速度よりも大きい第2の速度で駆動するよう制御する制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
記録材に未定着のトナー画像を形成する画像形成手段と、
ヒータを有する加熱手段と、前記加熱手段に当接してニップ部を形成する加圧手段と、を有し、前記ニップ部において前記未定着のトナー画像を定着する定着手段と、
前記定着手段を含む機内を冷却するために、前記機内の空気を外部へ排出するための第一のファンと、
前記定着手段を含む機内を冷却するために、前記加圧手段の長手方向における一端側に設けられた外部の空気を前記機内へ吸入するための第二のファンと
受信した印刷ジョブの印刷情報が所定の条件を満たす場合に、印刷動作の準備のための動作が開始されると前記第一のファンと前記第二のファンのいずれか一方のファンを第1の速度で駆動し他方のファンを駆動させず前記印刷動作を開始するときに前記他方のファンを駆動し、前記印刷動作を開始してから所定時間が経過したら前記一方のファンを前記第1の速度よりも大きい第2の速度で駆動するよう制御する制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記印刷情報が前記所定の条件を満たさない場合には、前記準備のための動作中に前記第一のファン及び前記第二のファンを駆動することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、片面印刷である場合に、前記準備のための動作中に前記第一のファン及び前記第二のファンを駆動することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、記録材が普通紙の坪量よりも小さい坪量ではない場合に、前記準備のための動作中に前記第一のファン及び前記第二のファンを駆動することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、記録材が薄紙ではない場合に、前記準備のための動作中に前記第一のファン及び前記第二のファンを駆動することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
機内の湿度を検知する検知手段を備え、
前記制御手段は、前記検知手段により検知した湿度が所定湿度よりも低い場合に、前記準備のための動作中に前記第一のファン及び前記第二のファンを駆動することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前回の印刷動作が終了してからの経過時間が所定時間よりも短い場合には、前記準備のための動作中に前記第一のファン及び前記第二のファンを駆動することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記定着手段の温度を検知する温度検知手段を備え、
前記制御手段は、前記経過時間が前記所定時間以上であり、且つ前記温度検知手段による検知結果が所定値より高い場合には、前記準備のための動作中に前記第一のファン及び前記第二のファンを駆動することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、定着装置、電子部品、駆動部からの発熱などにより、画像形成装置内の温度が上昇する。画像形成装置内の温度上昇をそのままにしておくと、各種ユニットの機能が低下したり画像の品質が低下したりするおそれがある。そのため、画像形成装置内の温度上昇を防止する対策として、例えば、吸気及び排気ファンを使用し、印刷中に吸気及び排気ファンを駆動して、画像形成装置内の冷却を行う方法がある。例えば、特許文献1では、印刷時(動作時)は常に冷却ファンを駆動し、印刷時の各ユニットの稼動量を検出して、検出した稼動量に応じて、印刷終了後のファンの駆動時間を変更している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−163628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような画像形成装置において、印刷時に常に冷却ファンを駆動した場合に、以下のような課題が生じる。小型化された画像形成装置では、現像、転写、定着などの各種ユニットを高密度で実装する必要がある。このため、印刷時に常に冷却ファンを駆動することにより、画像形成装置内のエアフローが、定着装置の加圧ローラ表面の温度に影響を与えてしまうことがある。図8(a)に示すように、吸気用のファン221及び排気用のファン211の駆動によって、画像形成装置内には空気の流れ(エアフロー)(白抜き矢印)が発生する。即ち、画像形成装置の機内において、吸気用のファン221(上流)から排気用のファン211(下流)に向かって空気が流れる。図8(b)に示すように加圧ローラ43の蓄熱量が小さい状態でファン211、221を駆動すると、エアフロー上流側と下流側における加圧ローラ43のそれぞれの領域の表面の温度推移は図8(c)のようになる。図8(c)に点線で示す加圧ローラ43の上流側領域の温度上昇は、印刷開始後は緩やかになっている。一方、図8(c)に実線で示す加圧ローラ43の下流側領域の温度は、印刷開始直後から上流側領域に比べて早く目標温度に到達し、加圧ローラ43の蓄熱量が小さい状態でも安定した温度推移になっている。このように、加圧ローラ43の蓄熱量が小さい状態でファン211、221を駆動すると、加圧ローラ43の上流側領域と下流側領域とで温度差が生じる。即ち、加圧ローラ43の温度分布に、ムラ(温度ムラ)が生じる。なお、図8の詳細な説明は後述する。
【0005】
更に、印刷開始直後の加圧ローラ43の蓄熱量が小さい状態では、定着ニップ部で用紙に熱を奪われることによる影響の度合いが、加圧ローラ43の蓄熱量が大きい状態に比べて大きい。定着ローラ45aは、発熱体であるヒータによって温度制御されているため、安定した温度分布となる。一方、加圧ローラ43の蓄熱量が小さい状態では、用紙に熱を奪われることとエアフローが影響することにより、加圧ローラ43の上流側領域の温度上昇が下流側領域に比べて緩やかになり、定着ローラ45aと加圧ローラ43の間の温度差にもムラが生じる。
【0006】
このように、加圧ローラ43のエアフロー上流側領域とエアフロー下流側領域との温度差、定着ローラ45aと加圧ローラ43との温度差の影響により、定着後の用紙にカールが発生しやすくなる。特に、高温、高湿度の環境下において、薄紙に印刷を行う場合に、カールが発生し易くなる。そして、用紙にカールが発生すると、例えば両面印刷のように、カールした用紙を画像形成装置内で搬送させ、再び、現像、転写、定着を行う際に、搬送路上で紙詰まり(以下、ジャムともいう)を発生させるおそれがある。
【0007】
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、冷却ファンによる加圧ローラの温度ムラを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した課題を解決するために、本発明は、以下の構成を備える。
【0009】
(1)記録材に未定着のトナー画像を形成する画像形成手段と、ヒータを有する加熱手段と、前記加熱手段に当接してニップ部を形成する加圧手段と、を有し、前記ニップ部において前記未定着のトナー画像を定着する定着手段と、前記定着手段を含む機内を冷却するため機内の空気を外部へ排出するための第一のファンと、前記定着手段を含む機内を冷却するために、前記加圧手段の長手方向における一端側に設けられた外部の空気を前記機内へ吸入するための第二のファンと、受信した印刷ジョブの印刷情報が所定の条件を満たす場合に、印刷動作の準備のための動作が開始されても前記第一のファン及び前記第二のファンを駆動させず、前記印刷動作を開始するときに前記第一のファンを駆動し、前記印刷動作を開始してから所定枚数の印刷が終了したら前記第二のファンを駆動させるよう制御する制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
(2)記録材に未定着のトナー画像を形成する画像形成手段と、ヒータを有する加熱手段と、前記加熱手段に当接してニップ部を形成する加圧手段と、を有し、前記ニップ部において前記未定着のトナー画像を定着する定着手段と、前記定着手段を含む機内を冷却するために、機内の空気を外部へ排出するための第一のファンと、前記定着手段を含む機内を冷却するために、前記加圧手段の長手方向における一端側に設けられた外部の空気を前記機内へ吸入するための第二のファンと、受信した印刷ジョブの印刷情報が所定の条件を満たす場合に、印刷動作の準備のための動作が開始されても前記第一のファン及び前記第二のファンを駆動させず、前記印刷動作を開始するときに前記第一のファンを駆動し、前記印刷動作を開始してから所定時間が経過すると前記第二のファンを駆動させるように制御する制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
(3)記録材に未定着のトナー画像を形成する画像形成手段と、ヒータを有する加熱手段と、前記加熱手段に当接してニップ部を形成する加圧手段と、を有し、前記ニップ部において前記未定着のトナー画像を定着する定着手段と、前記定着手段を含む機内を冷却するために、前記機内の空気を外部へ排出するための第一のファンと、前記定着手段を含む機内を冷却するために、前記加圧手段の長手方向における一端側に設けられた外部の空気を前記機内へ吸入するための第二のファンと、受信した印刷ジョブの印刷情報が所定の条件を満たす場合に、印刷動作の準備のための動作が開始されると前記第一のファンと前記第二のファンのいずれか一方のファンを第1の速度で駆動し他方のファンを駆動させず、前記印刷動作を開始するときに前記他方のファンを駆動し、前記印刷動作を開始してから所定枚数の印刷が終了したら前記一方のファンを前記第1の速度よりも大きい第2の速度で駆動するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
(4)記録材に未定着のトナー画像を形成する画像形成手段と、ヒータを有する加熱手段と、前記加熱手段に当接してニップ部を形成する加圧手段と、を有し、前記ニップ部において前記未定着のトナー画像を定着する定着手段と、前記定着手段を含む機内を冷却するために、前記機内の空気を外部へ排出するための第一のファンと、前記定着手段を含む機内を冷却するために、前記加圧手段の長手方向における一端側に設けられた外部の空気を前記機内へ吸入するための第二のファンと、受信した印刷ジョブの印刷情報が所定の条件を満たす場合に、印刷動作の準備のための動作が開始されると前記第一のファンと前記第二のファンのいずれか一方のファンを第1の速度で駆動し他方のファンを駆動させず、前記印刷動作を開始するときに前記他方のファンを駆動し、前記印刷動作を開始してから所定時間が経過したら前記一方のファンを前記第1の速度よりも大きい第2の速度で駆動するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、冷却ファンによる加圧ローラの温度ムラを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第一〜第三の実施の形態の画像形成装置の断面図、定着装置の断面図
図2】第一〜第三の制御系を示すブロック図
図3】第一の実施の形態のファン制御を説明するフローチャート
図4】第一の実施の形態のファン制御のタイミング図、加圧ローラの温度分布を示すグラフ
図5】第二の実施の形態のファン制御を説明するフローチャート
図6】第二、第三の実施の形態のファン制御のタイミング図
図7】第三の実施の形態のファン制御を説明するフローチャート
図8】従来例の加圧ローラの温度ムラを示す図、ファン制御のタイミング図、加圧ローラの温度分布を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0015】
[従来例の加圧ローラの温度ムラ]
以下に説明する実施の形態との比較のために、従来例について説明する。加圧ローラが冷えた状態(蓄熱量が小さい状態)で冷却ファンの駆動を開始し、印刷を開始すると、画像形成装置内のエアフローが影響して、加圧ローラが温まるまでの間、加圧ローラ表面の温度分布にムラが生じるおそれがある。図8(a)は、加圧ローラ43及び定着ローラ45aと、吸気用のファン221及び排気用のファン211を示す模式図であり、加圧ローラ43表面の温度分布にムラが生じる様子を模式的に表わした図である。なお、図8(a)は、ユーザから見て画像形成装置の正面が手前になるように見た場合の図であり、用紙は図8の手前側から奥側に向かって搬送される。加圧ローラ43の吸気用のファン221側はエアフローの上流側であり、以降、加圧ローラ43の吸気ファン221側の端部を加圧ローラ43の上流側と称する。また、加圧ローラ43の排気用のファン211側はエアフローの下流側であり、以降、加圧ローラ43の排気ファン211側の端部を加圧ローラ43の下流側と称す。前回転動作が開始され、加圧ローラ43が冷えた状態でファン221及びファン211の駆動を開始すると、エアフローの影響で、吸気用のファン221に近い側(上流側)の加圧ローラ43が温まりづらくなる。図8(a)で加圧ローラ43の左側をグレーに配色した部分は、加圧ローラ43の表面の温度が低くなっていることを表している。一方、吸気用のファン221から遠い側(下流側)は、エアフローの影響が少ないため、加圧ローラ43が温まり易くなる。その結果、加圧ローラ43の上流側と下流側とで温度分布にムラが生じる(以降、温度ムラという)。
【0016】
図8(b)は、ファン制御のタイミング図である。詳細には、図8(b)(i)は、印刷ジョブを受信したタイミング(単に、開始と記す)、プリンタの動作状態(前回転動作、印刷動作)、印刷開始のタイミングを示す。図8(b)(ii)はファン211の停止(ローレベル)と駆動(ハイレベル)を示し、図8(b)(iii)はファン221の停止(ローレベル)と駆動(ハイレベル)を示す。更に、図8(b)(iv)は、加圧ローラ43の状態を示し、加圧ローラ43の蓄熱量が相対的に小さい状態と蓄熱量が相対的に大きい状態を示す。横軸は時間tである。印刷ジョブが受信され前回転動作が開始されると、ファン211、221の駆動も開始される。前回転動作が終了すると印刷動作が開始される。図8(c)は、図8(a)の加圧ローラ43の下流側と上流側の表面の温度推移を示した図である。横軸は時間[t]、縦軸は加圧ローラ表面の温度[℃]を表わしている。図8(b)に示すように、加圧ローラ43の蓄熱量が小さい状態でファン211、221の駆動を開始すると、ファン211、221によるエアフローが影響して、点線で示す加圧ローラ43の上流側の温度上昇は下流側に比べて緩やかになる。加圧ローラ43の上流側の温度は、印刷が開始され印刷を継続することで、一点鎖線で示す所定温度である目標温度に到達し、加圧ローラ43の蓄熱量が大きくなると、安定した温度推移になる。一方、実線で示す加圧ローラ43の下流側の温度は、エアフローの影響が少ないため、印刷開始直後から上流側に比べて早く目標温度に到達し、加圧ローラ43の蓄熱量が小さい状態でも安定した温度推移になっている。このように、加圧ローラ43の蓄熱量が小さい状態でファン211、221を駆動すると、加圧ローラ43の上流側と下流側で温度差が生じる。即ち、加圧ローラ43の温度分布にムラ(温度ムラ)が生じる。
【0017】
更に、定着ローラ45aと加圧ローラ43とが当接して形成される定着ニップ部では、用紙が定着ニップ部を通過する際に、用紙に熱を奪われる現象が生じている。印刷開始直後の加圧ローラ43の蓄熱量が小さい状態では、定着ニップ部で用紙に熱を奪われることによる影響の度合いが、加圧ローラ43の蓄熱量が大きい状態に比べて大きい。定着ローラ45aは、発熱体であるヒータによって温度制御されているため、安定した温度分布となる。一方、加圧ローラ43の蓄熱量が小さい状態では、用紙に熱を奪われることとエアフローが影響することにより、加圧ローラ43の上流側の温度上昇が緩やかになり、加圧ローラ43の長手方向において温度分布にムラが生じる。その結果、定着ローラ45aと加圧ローラ43の間の温度差が、加圧ローラ43の長手方向において一様でなくなる。
【0018】
このように、加圧ローラ43の蓄熱量が小さい状態でファン211、221を駆動すると、加圧ローラ43の上流側と下流側との温度差、定着ローラ45aと加圧ローラ43との温度差のムラが生じることで、定着後の用紙にカールが発生しやすくなる。特に、高温、高湿度の環境下において、薄紙に印刷を行う場合に、カールが発生し易くなる。そして、用紙にカールが発生すると、例えば両面印刷のように、カールした用紙を画像形成装置内で搬送させ、再び、現像、転写、定着を行う際に、搬送路上で紙詰まり(以下、ジャムともいう)を発生させるおそれがある。
【0019】
[第一の実施の形態]
(画像形成装置)
図1(a)は、第一の実施の形態の画像形成装置であるレーザプリンタ(以降、プリンタという)の全体構成を示す図である。なお、図1(a)の画像形成装置では、図の右側が設置した際のプリンタの正面、左側がプリンタの背面となる。プリンタは、画像形成部3と、現像器32で現像されたトナー画像を用紙Pに転写するための転写ローラ33と、用紙Pに転写された未定着のトナーを熱で定着する定着装置4と、を備える。また、プリンタは、定着装置4に対して用紙Pの搬送方向における下流側に設けられた排紙部5を備えている。画像形成部3は、一定速度で時計回り方向(図中矢印方向)に回転する像担持体である感光ドラム31と、現像器32と、を有している。用紙Pには、転写部Aにおいて感光ドラム31に形成されたトナー画像が転写ローラ33により転写される。
【0020】
カセット100に収納されている記録材である用紙Pは、カセット給紙ローラ101と不図示の分離手段である分離部材とにより、一枚ずつ分離されて搬送路に給送される。カセット100から給送された用紙Pは、カセット搬送ローラ102、搬送ローラ10により搬送路上を搬送され、レジストローラユニット20に送られる。カセット100から分離給送された用紙Pは、レジストローラユニット20により、感光ドラム31に形成されるトナー画像に同期するタイミングで、転写部Aに搬送される。転写部Aにおいてトナー画像が転写された用紙Pは、定着手段である定着装置4へ搬送され、定着装置4により用紙P上に画像が定着される。画像形成が完了した用紙Pは、分岐フラッパ51を排紙部5の方向に切り換えることで、定着搬送ローラ41によって排紙ローラ52に搬送され、排紙ローラ52により排紙部5にページ順に排紙積載される。
【0021】
用紙Pの両面に画像形成を行う両面印刷の場合、1面目の画像形成が完了した用紙Pは、分岐フラッパ51を両面ユニット6の方向に切り換えることで、定着搬送ローラ41によって両面搬送ローラ61に受け渡される。そして、用紙Pは、両面搬送ローラ61により反転ローラ62に搬送される。用紙Pは、両面搬送ローラ61によって搬送されてきた搬送方向に、反転ローラ62によってそのまま搬送される。そして、用紙Pの後端が両面搬送ローラ61を通過して所定距離を搬送された位置である用紙反転位置Rに達した時点で、反転ローラ62の駆動が停止される。反転ローラ62の駆動が停止されたことにより、用紙Pの搬送が一時停止される。その後、反転ローラ62の回転方向を逆転させて駆動することにより、用紙Pの搬送方向が反転され、用紙Pは再給紙ローラ64に搬送される。用紙Pは、再給紙ローラ64により搬送され、用紙Pの先端が再給紙待機位置Sに達した時点で、再給紙ローラ64の駆動が停止される。
【0022】
用紙Pの2面目の印刷が可能になったタイミングで、再給紙ローラ64の駆動が再開され、用紙Pは再給紙待機位置Sからレジストローラユニット20に搬送され、用紙Pの1面目と同様に画像形成が実行される。そして、両面の画像形成が完了した用紙Pは、分岐フラッパ51を排紙部5の方向に切り換えることで、定着搬送ローラ41によって排紙ローラ52に搬送され、排紙ローラ52により排紙部5に排出される。
【0023】
(排気用のファンと吸気用のファン)
プリンタは、プリンタの動作を制御する制御部200と、プリンタの機内を冷却するための第一のファンである排気用のファン211と、第二のファンである吸気用のファン221と、を備えている。また、プリンタは、プリンタの設置されている環境の温度、湿度を検出するための検知手段である環境センサ230を備えている。ここで、環境センサ230は、外気の温度を適切に検知できる位置に配置されている。また、プリンタは、プリンタの各種設定を行う操作部250と、パーソナルコンピュータ(以下、PCという)などの外部機器とデータ通信を行うためのインタフェース部(以下、I/Fという)260と、を備えている。排気用のファン211は、プリンタの側面の定着装置4の上方に配置され、プリンタの機内の熱を放出(排熱)するために排気動作を行っている。一方、吸気用のファン221は、排気動作を行っているファン211が配置された側面と対向するプリンタの側面で定着装置4の下方に配置され、プリンタの機内を冷却するために外気の吸入動作を行っている。
【0024】
排気用のファン211と吸気用のファン221が駆動されることにより、プリンタの機内に生じる空気の流れ(エアフロー)は、上述した図8(a)に示す流れと同じ流れになる。本実施の形態のプリンタの機内のエアフローは、図8(a)と同様に、加圧ローラ43の上流側(グレーで配色した部分)の温度上昇が緩やかになるようになっている。
【0025】
(定着装置)
図1(b)は、定着装置4の断面図であり、用紙Pは図面左から右に向かって搬送される。定着装置4は、ヒータ241、ヒータホルダ46、温度検知手段であるメインサーミスタ242、サブサーミスタ243、加熱手段である定着フィルム45及び加圧手段である加圧ローラ43を有している。ヒータホルダ46は、ヒータ241を保持し、定着フィルム45をガイドする。メインサーミスタ242は、ヒータ241の長手方向(用紙Pの搬送方向に直交する方向)中央に配置され、定着装置4の中央付近の温度を検知する。メインサーミスタ242による検知結果は、後述するCPU1000(図2)がヒータ241の温度制御を行うために用いられる。メインサーミスタ242は、図2に示すように、A/D変換器1003を介して、CPU1000に接続されている。CPU1000は、メインサーミスタ242の検知結果である検知温度が設定温度(目標温度(後述する図4(b)の一点鎖線))に維持されるように、後述するヒータ駆動部240(図2)を制御し、ヒータ241への電力供給を制御する。
【0026】
サブサーミスタ243は、ヒータ241の長手方向端部に配置され、定着装置4の端部の温度を検知する。ここで、ヒータ241の長手方向端部とは、プリンタで画像形成可能な用紙のサイズのうち、小サイズの用紙が通過しない領域をいう。サブサーミスタ243は、図2に示すように、A/D変換器1003を介して、CPU1000に接続されている。サブサーミスタ243は、ヒータ241の裏面に配置されている。CPU1000は、サブサーミスタ243の検知結果に基づきヒータ241の端部が過昇温していると判断した場合、ヒータ241の設定温度を下げる制御を行うことにより、定着装置4の過昇温を防止している。
【0027】
加圧ローラ43は、フレーム42に組み付けられ、その上に、ヒータホルダ46に装着されたヒータ241、メインサーミスタ242、サブサーミスタ243を内蔵した定着フィルムユニット44が配置されている。定着フィルムユニット44は、ヒータホルダ46に沿って配置されるTステー47を介して、定着装置4の長手方向両端に設けられた圧力調整機構で定着ニップ部を加圧している。本実施の形態の定着装置4では、加圧ローラ43が回転することによって、定着フィルム45が従動回転する。その際、定着フィルム45内面とヒータホルダ46は摺動する構成となっている。定着フィルム45内面にはグリスが塗布され、ヒータホルダ46と定着フィルム45内面との摺動性を確保している。加圧ローラ43は、CPU1000が後述するプリンタ部1010(図2)を制御することによって駆動される。画像形成を行う際には、定着装置4の加圧ローラ43の回転開始とともに、定着フィルム45の従動回転が開始し、ヒータ241の温度の上昇とともに、定着フィルム45内面温度も上昇していく。なお、本実施形態の加圧ローラ43にはヒータは設けられていない。
【0028】
(制御ブロック)
図2は、本実施の形態のプリンタの制御ブロックを示す図である。制御手段であるCPU1000は、例えばUSBやLAN等で構成されているインタフェース部(以降、I/Fとする)260を介して、PCなどの外部機器1100と通信を行う。これにより、CPU1000は、外部機器1100から送信される画像データをプリンタの印刷に必要なビットデータに展開すると共に、外部機器1100から印刷情報を取得して、プリンタを制御する。外部機器1100から入力される印刷情報としては、例えば給紙口/排紙先、印刷モード(例えば、用紙Pの情報(普通紙、薄紙、厚紙等))等の情報がある。CPU1000によってプリンタを制御するためのプログラムは、ROM1001に格納されている。また、RAM1002は、CPU1000がプリンタを制御する際、処理データの読み書きをするために使用されている。なお、上述した制御部200は、CPU1000、ROM1001、RAM1002を含む。プリンタ部1010は、CPU1000の指示に従い、用紙Pの搬送制御、帯電・現像・転写等の一連の高圧電圧の制御、スキャナモータ・レーザビーム等の光学系制御、及び定着制御を行う。ヒータ駆動部240は、CPU1000の指示に従い、ヒータ241への電力供給を制御する。
【0029】
ファン211とファン221は、プリンタ機内を冷却するために設けられたファンである。ファン211は、プリンタ機内の熱気をプリンタ外部に排気する排気ファン、ファン221は、プリンタ外部から外気を吸気する吸気ファンである。ファン駆動部210は、CPU1000の指示に従い、排気ファンであるファン211を制御する。ファン駆動部220は、CPU1000の指示に従い、吸気ファンであるファン221を制御する。
【0030】
環境センサ230、メインサーミスタ242、サブサーミスタ243は、アナログデータをディジタルデータに変換するA/D変換器1003を介して、CPU1000に接続されている。環境センサ230は、プリンタの周囲環境の温度、相対湿度を検知している。CPU1000は、環境センサ230による検知結果を、プリンタ部1010、ヒータ駆動部240、ファン駆動部210、ファン駆動部220の制御に用いる。操作部250は、印刷情報、印刷の進捗状態などの表示、また、ユーザによるプリンタの各種設定を行うために使用される。
【0031】
(ファンの制御)
図3は、本実施の形態のCPU1000が実行するファンの制御処理を説明するフローチャートである。図3の処理は、CPU1000が外部機器1100からの印刷情報をI/F260を介して受信すると開始される。ここで、外部機器1100からの印刷情報には、給紙口(例えば、カセット100)の指定、両面/片面印刷の指定、印刷モード(普通紙、薄紙、厚紙)の指定などが含まれる。CPU1000は、外部機器1100から受信したこれらの印刷情報に基づき、プリンタの制御を行っている。
【0032】
ステップ(以下、Sという)102でCPU1000は、プリンタ部1010によりプリンタの印刷動作の準備のための前回転動作を開始する。CPU1000は、前回転動作では、帯電・現像・転写等の一連の高圧制御、スキャナモータ・レーザビーム等の光学系制御、及び定着制御を開始し、印刷を開始するための準備を行う。S103でCPU1000は、印刷枚数をカウントするための枚数カウンタを0に初期化する(クリアする)。枚数カウンタの値は、RAM1002に保持され、CPU1000は、後述するS116で印刷を1枚実行する毎に枚数カウンタをカウントアップして、印刷枚数を計測する。
【0033】
S104〜S107でCPU1000は、本実施の形態のファン制御処理を実行するか否かについて、4つの判断を行っている。1つ目の判断であるS104でCPU1000は、外部機器1100から受信した印刷ジョブに基づいて、これから実行する印刷動作が両面印刷か否かを判断する。具体的には、CPU1000は、印刷ジョブが両面印刷か、片面印刷かを判断する。S104でCPU1000は、外部機器1100から受信した印刷ジョブが両面印刷であると判断した場合、S105の処理に進む。
【0034】
2つ目の判断であるS105でCPU1000は、外部機器1100から受信した印刷ジョブに基づいて、給紙される用紙Pについての印刷モードが薄紙モードであるか否かを判断する。S105でCPU1000は、印刷モードが薄紙モードであると判断した場合、S106の処理に進む。ここで、印刷モードには、普通紙モード、薄紙モード、厚紙モードなどがあり、CPU1000は、用紙の坪量(g/m)に応じて、現像、転写、定着温度制御等の画像形成条件を設定し、プリント制御を行う。薄紙モードは、例えば坪量60〜74g/mの用紙に印刷する場合に適用される。具体的には、薄紙モードでは、用紙が薄く、用紙に奪われる熱量が少ないため、坪量75〜84g/mの用紙に印刷する場合に適用される普通紙モードの定着温度よりも低い定着温度で制御されている。
【0035】
3つ目の判断であるS106でCPU1000は、プリンタが設置されている周囲環境の水分量が所定値以上であるか否かを判断する。CPU1000は、環境センサ230により検知された温度と相対湿度を取得し、ROM1001に格納されているテーブルを参照し、水分量を算出する。ここで、ROM1001に格納されているテーブルは、温度と相対湿度から水分量を算出するためのテーブルであり、温度及び相対湿度と水分量とが関連付けられているものである。例えば、本実施の形態では、CPU1000は、水分量が11.0[g/g(760mmHg)]以上であるか否かを判断する。S106でCPU1000は、水分量が11g以上であると判断した場合は、プリンタが設置されている環境が、高温・高湿であると判断し、S110の処理に進み、後述する本実施の形態のファン制御を実行する。
【0036】
S106でCPU1000は、水分量が11g未満であると判断した場合、S107で低温・高湿環境であるか否かの判断を行う。4つ目の判断であるS107でCPU1000は、プリンタが設置されている周囲環境の温度と相対湿度の確認を行う。S107でCPU1000は、環境センサ230により検知された温度と相対湿度を取得し、検知した温度が例えば17℃以下の低温で、かつ相対湿度が所定湿度、例えば65%以上の高湿度であるか否かを判断する。S107でCPU1000は、温度17℃以下かつ相対湿度65%以上であると判断した場合は、S110の処理に進み、後述する本実施の形態のファン制御を実行する。
【0037】
CPU1000は、印刷ジョブが両面印刷であり(S104 Y)、薄紙モードが指定され(S105 Y)、かつプリンタの設定されている周囲環境が高湿度環境の場合は(S106 Y 又はS106 NかつS107 Y)、次のように制御する。即ち、この場合、CPU1000は、前回転動作中には機内を冷却するためのファン211、221を駆動しない。このため、この時点では、ファン211とファン221は動作していない。
【0038】
S110でCPU1000は、印刷可能になったか否かを判断し、印刷可能になっていないと判断した場合はS110の処理を繰り返す。S110でCPU1000は、印刷可能になった、即ち印刷を開始するための準備が整ったと判断した場合、S111で前回転動作を終了し、S112で印刷動作を開始する。S112でCPU1000は、印刷動作を開始すると、カセット100にセットされた用紙Pをカセット給紙ローラ101によりピックアップして、カセット搬送ローラ102を駆動して、用紙Pをプリンタ内へ搬送し、印刷を実行する。
【0039】
S113でCPU1000は、次に印刷するべき印刷データ(次のページ)があるか否かを判断する。S113でCPU1000は、次の印刷データがあると判断した場合、S114でプリンタ機内を冷却するために、ファン駆動部210により排気用のファン211を駆動する。即ち、CPU1000は、ファン221を駆動するよりも早いタイミングでファン211を駆動する。ここで、ファン211のみを駆動しファン221を駆動していないのは、ファン221は外気を吸入する吸気ファンであるからである。このように、本実施の形態では、加圧ローラ43が温まる(蓄熱される)までは、加圧ローラ43の温度ムラを防止するために、ファン221を停止したままにしている。なお、ファン211を駆動しても、ファン221を停止しており、この段階では積極的に外気を吸入して機内を冷却するようにしていないため、加圧ローラ43のファン221側の過度の冷却が回避されている。
【0040】
S115でCPU1000は、1ページの印刷が終了したか否かを判断し、1ページの印刷が終了していないと判断した場合、S115の処理を繰り返す。S115でCPU1000は、1ページの印刷が終了したと判断した場合、S116で枚数カウンタに1を加算(即ち、インクリメント)する。S117でCPU1000は、枚数カウンタの値が所定枚数である10以上であるか否かを判断する。S117でCPU1000は、枚数カウンタの値が10未満であると判断した場合は、S113の処理に戻る。ここで、CPU1000が枚数カウンタの値が10未満であると判断した場合、まだ加圧ローラ43の蓄熱量が小さいと判断して、ファン221は停止したまま、印刷を実行することとなる。
【0041】
S117でCPU1000は、枚数カウンタの値が10以上であると判断した場合、加圧ローラ43の蓄熱量が大きくなり、吸気用のファン221を駆動しても加圧ローラ43表面の温度ムラが抑制されると判断する。このため、S118でCPU1000は、ファン駆動部220によりファン221を駆動し、S113の処理に戻る。即ち、CPU1000は、枚数カウンタの値が10以上になっていなくてもファン211を駆動するが、枚数カウンタの値が10以上になるまではファン221を駆動しない。なお、S117でCPU1000が行う加圧ローラ43の蓄熱量が大きいか否かの判断は、言い換えれば、ファン221を駆動すると加圧ローラ43に温度ムラが生じるか否かという判断である。S117の判断に用いる枚数カウンタの値の閾値は、ファンの駆動によりプリンタ内に生じるエアフローが加圧ローラに与える影響に基づいて、使用されるプリンタごとに決定される値である。このため、S117で用いられている10という値に限定されるものではない。S104からS118までの破線で囲った部分が本実施の形態に特徴的な処理を示す部分である。
【0042】
S113でCPU1000は、次の印刷データがないと判断した場合は、S130でファン211が駆動しているか否かを判断し、ファン211が駆動していないと判断した場合はS132の処理に進む。S130でCPU1000は、ファン211が駆動していると判断した場合は、S131でファン駆動部210によりファン211を停止し、S132でファン221が駆動しているか否かを判断する。S132でCPU1000は、ファン221が駆動していないと判断した場合はS134の処理に進み、ファン221が駆動していると判断した場合は、S133でファン221を停止する。S113でCPU1000は、次の印刷データがないと判断しているため、S130〜S133の処理で、印刷中にプリンタの機内を冷却するために駆動していたファン211、221を停止する。S134でCPU1000は印刷を終了し、ファンの制御処理を終了する。
【0043】
本実施の形態では、印刷が開始されてから所定枚数の印刷が終了するまでは排気用のファン211のみを駆動し、所定枚数の印刷が終了した後に吸気用のファン221の駆動を開始している。このように、ファン211とファン221を制御することで、加圧ローラ43の温度ムラが抑制され、用紙のカールが低減される。これにより、用紙の搬送処理にカールが影響を及ぼすことがなく、紙詰まり(以降、ジャムという)の発生を抑制した印刷を行うことが可能となる。
【0044】
S104でCPU1000が両面印刷ではないと判断した場合、S105で薄紙モードではないと判断した場合、及びS107で温度が17℃以下かつ湿度65%以上ではないと判断した場合は、いずれもS120の処理に進む。これらの場合、CPU1000は、加圧ローラ43の温度ムラによる用紙のカール量が小さく、用紙の搬送に及ぼす影響が小さいと判断する。このため、S120でCPU1000は、プリンタ機内を冷却するために、ファン211とファン221の両方を駆動する。この場合、CPU1000は、前回転動作が開始されるとともにファン211、221の駆動を開始する。即ち、CPU100は、前回転動作中ファン211,221が駆動されているように制御する。
【0045】
S121でCPU1000は、印刷可能であるか否か、即ち印刷を開始するための準備が整ったか否かを判断し、印刷可能ではないと判断した場合、S121の処理を繰り返す。S121でCPU1000は、印刷可能であると判断した場合、S122で前回転動作を終了する。S123でCPU1000は、印刷を開始し、S124で次の印刷データがないか否かを判断する。S124でCPU1000は、次の印刷データがあると判断した場合はS124の処理を繰り返し、次の印刷データがないと判断した場合は、S130の処理に進む。
【0046】
(従来例との比較)
次に、本実施の形態のファン制御と従来例のファン制御とを比較する。図4(a)(i)〜図4(iv)は、図8(b)(i)〜図8(iv)に対応する図であり、図8(b)(i)〜図8(iv)と同様の内容は説明を省略する。また、図4(b)は、図8(c)に対応するグラフであり、図8(c)と同様の内容は説明を省略する。なお、図8(c)中の破線で示す温度は、本実施の形態の加圧ローラ43の上流側の温度である。また、図4(b)中、加圧ローラの上流側、下流側と表現している部分は、図8(a)に記載した上流側、下流側と同じ部分である。
【0047】
上述したように、用紙Pのカールは、高湿環境で薄紙を印刷した場合に起こりやすい。特に、カールした用紙Pをプリンタ内で循環させる両面印刷の場合には、ジャムを引き起こす要因となる。従来例では、用紙Pのカール量が大きくなりジャムになり易い高湿環境下で、薄紙の両面印刷という条件下であっても、プリンタが印刷ジョブを受信して前回転動作を開始したタイミングでファン211及びファン221を駆動している(図8(b))。図4(b)に点線で示すように、加圧ローラ43が冷えた状態(蓄熱量が小さい状態)で、ファン211及びファン221が駆動されると、エアフローの影響により、加圧ローラ43の上流側の温度上昇は緩やかになる。そして、印刷を継続することで、加圧ローラ43が十分蓄熱されると(蓄熱量が大きい状態になると)、安定した温度推移になる。一方、図4(b)に実線で示すように加圧ローラ43の下流側は、ファン211及びファン221の駆動によるエアフローの影響が少ないため、印刷開始直後から、安定した温度推移になっている。このように、加圧ローラ43の蓄熱量が小さい状態で、ファン211とファン221を駆動すると、加圧ローラ43の上流側と下流側で温度分布にムラが生じる。そして、加圧ローラ43に生じた温度ムラにより、用紙Pのカールが発生する。
【0048】
また、用紙Pのカールは、上述したように、次のような要因でも発生する。加圧ローラ43が冷えた状態(蓄熱量が小さい状態)で、ファン211とファン221を駆動すると、用紙Pが定着ニップ部を通過した際に、用紙Pに熱を奪われることが影響して、用紙Pのカールが発生する。定着フィルム45側は、用紙Pに熱を奪われた分、ヒータ241への電力供給が増やされ、目標温度に制御される。このため、定着フィルム45は、安定した温度分布となる。一方、加圧ローラ43は、加圧ローラ43の蓄熱量が小さい場合は、エアフローによる影響と用紙Pに熱を奪われる影響とにより、加圧ローラ43の上流側の温度上昇が緩やかになる。このため、定着フィルム45と加圧ローラ43との間の温度差が、加圧ローラ43の長手方向で一様ではなくなってしまう。その結果、用紙Pのカールが発生する。このように、用紙Pにカールが発生することで、用紙Pのカールに起因したジャムが発生する。
【0049】
一方、本実施の形態では、用紙Pのカール量が大きくなりジャムが発生し易い条件である、高湿環境下で、薄紙を両面印刷するという条件の場合には、次のように制御する。即ち、このような条件では、プリンタが印刷ジョブを受信し前回転動作を開始する際には、ファン211とファン221の駆動を停止しておく(図3のS102〜S111)。これにより、加圧ローラ43の蓄熱量が小さい状態で、エアフローが発生することがなく、加圧ローラ43の長手方向の温度分布に温度ムラが発生しない。また、印刷動作が開始されるとファン211は駆動するが、ファン221は停止しているため、この段階でもプリンタの機内にエアフローが発生しない。このため、加圧ローラ43の長手方向の温度分布に温度ムラが発生せず、用紙Pが搬送されて用紙Pに熱が奪われた後の加圧ローラ43の長手方向の温度分布は一様である。これらの結果、用紙Pにカールが発生することはない。
【0050】
また、本実施の形態では、印刷が開始され、ファン211が駆動され(図3のS112〜S114)、印刷枚数をカウントし(図3のS116)、10枚印刷後にファン221を駆動する(図3のS117、S118)。このように、加圧ローラ43の蓄熱量が十分大きくなってからファン221を駆動する。これにより、加圧ローラ43の上流側と下流側の温度ムラが抑制され、用紙のカール量が小さくなる。なお、用紙が定着ニップ部を通過した際に、用紙に熱を奪われても、加圧ローラ43の蓄熱量が大きい状態では、用紙に熱を奪われる影響の度合いが加圧ローラ43の蓄熱量が小さい場合に比べて小さいため、用紙に発生するカール量は小さくなる。
【0051】
表1は、本実施の形態と従来例のテスト結果を比較したものであり、カール量(mm)とジャム率(回/ページ)を比較したものである。
【表1】
ここでは、カール量が大きくなり易い坪量64g/mの用紙を使用し、30℃80%の高温高湿環境で、プリンタを電源オン状態で放置し、加圧ローラ43の蓄熱量が小さい状態から、薄紙モードで2500枚(5000ページ)の両面印刷を行った。
【0052】
従来例では、カール量が15mm程度で、5000ページの印刷でジャムが1回発生した。一方、本実施の形態では、カール量が7mm程度と半減し、5000ページの印刷でジャムは発生しなかった。このように、本実施の形態のファン制御を実施することで、用紙のカール量が大きくなり易い、高湿環境で、薄紙を両面印刷する場合であっても、ジャムを発生させることなく用紙を正常に搬送することが可能となる。
【0053】
なお、本実施の形態では、両面印刷の場合に印刷ジョブを受信し前回転動作中及び所定枚数の印刷を終了するまでファンを動作させないようにしたが、片面印刷と両面印刷が混在した印刷ジョブに対しては以下のように制御することも可能である。即ち、当該印刷ジョブにおいて、最初の両面印刷が所定枚数の印刷を行う前までに存在することが判っていれば、前回転動作中及び所定枚数目までの最後の両面印刷を終了するまでファンを動作させないようにする。
【0054】
また、片面印刷のみの場合でも前回転動作中及び所定枚数の印刷が終了するまでファンを動作させないようにすることも可能である。即ち、高湿環境で、薄紙を片面印刷する場合も、前回転動作中及び所定枚数の印刷が終了するまで、ファン211とファン221を動作させないことで、定着処理後の用紙のカール量を小さく抑えられる。これにより、高湿環境で、薄紙を片面印刷する場合の排紙部5における積載性が良くなる。なお、片面印刷の場合は、前回転動作中はファンを動作させず、印刷が開始されてからファンを動作させる制御でもよい。
【0055】
更に、本実施の形態では、印刷が開始されてから所定枚数の印刷が終了するまでファンを動作させない構成とした。しかし、例えば、ヒータの加熱が開始されてからの経過時間や、印刷が開始されてからの経過時間を用いて、ファンの駆動タイミングを決定する方法としてもよい。即ち、ヒータの加熱が開始されてから所定時間経過するまではファンを駆動させず、所定時間経過した後ファンを駆動させる構成とする。或いは、印刷が開始されてから所定時間経過するまではファンを駆動させず、所定時間経過した後ファンを駆動させる構成とする。
【0056】
以上、本実施の形態によれば、冷却ファンによる加圧ローラの温度ムラを抑制することができる。
【0057】
[第二の実施の形態]
(ファンの制御)
図5のフローチャートを用いて、第二の実施の形態のファン制御処理を説明する。なお、画像形成装置や定着装置4の構成は、第一の実施の形態と同じであるため説明を省略する。また、第一の実施の形態で説明した図3のS102〜S134の処理と同じ処理には同じステップ番号を付し、説明を省略する。
【0058】
CPU1000は、S104で両面印刷であると判断し、S105で薄紙モードであると判断した場合、S106の処理に進む。CPU1000は、S106で水分量が11g以上であると判断した場合、又は、S106で水分量が11g以上ではないと判断し、S107で温度17℃以下かつ湿度65%以上であると判断した場合、S209の処理に進む。このように、薄紙モードで両面印刷を指定され、更に高湿環境と判断された場合、S209でCPU1000は、吸気ファンであるファン221を第1の速度で駆動する。このとき、ファン221を第1の速度で駆動しても、ファン211は停止しているため、プリンタの機内にエアフローは発生していない。前回転動作が終了し、印刷が開始されると、S114でCPU1000はファン211の駆動を開始する。ここで、ファン221は第1の速度で駆動しているため、プリンタの機内には弱いエアフローが発生する。しかし、このときに発生するエアフローは、加圧ローラ43の上流側を冷やして温度ムラを発生させてしまうほどのエアフローではない。印刷開始後、S117でCPU1000が枚数カウンタの値が10以上であると判断した場合は、S218の処理に進む。S218でCPU1000は、ファン221を第2の速度で駆動する。ここで、第2の速度は、第1の速度より速い速度である。即ち、CPU1000は、枚数カウンタの値が10以上になっていなくてもファン211を駆動するが、枚数カウンタの値が10以上になるまではファン221を駆動させない。
【0059】
図6(a)は、図5のフローチャートで説明した本実施の形態のファン制御のタイミングを示した図であり、図4(a)に相当する図であり、図4(a)と同様の内容は説明を省略する。本実施の形態では、加圧ローラ43の蓄熱量が少ない状態でも、前回転動作中、ファン221を停止しておくことなく、遅い速度(第1の速度)で駆動する。そして、加圧ローラ43の蓄熱量が大きくなってから、ファン221をより速い速度(第2の速度)で駆動する。なお、排気用のファン211は、第一の実施の形態と同様に、印刷開始後に駆動を開始する。このようにすることで、加圧ローラ43が冷えた状態(蓄熱量が小さい状態)から印刷する場合でも、プリンタの機内を冷却しながら、加圧ローラ43表面の温度ムラを抑えた印刷が可能となる。
【0060】
なお、本実施の形態では、前回転動作中にファン221を第1の速度で駆動しファン211を停止させておき、印刷動作の開始時にファン211も駆動し、印刷開始から所定枚数を印刷後にファン221を第2の速度で駆動した。しかし、ファン211とファン221を入れ替えて制御しても良い。即ち、前回転動作中ファン211とファン221のいずれか一方を第1の速度で駆動し、他方を停止しておき、印刷動作を開始時にファン211とファン221の他方のファンも駆動する。そして、印刷開始から所定枚数を印刷後に一方のファンを第1の速度よりも大きい第2の速度で駆動するようにしてもよい。その他、印刷開始時にファン211及びファン221が駆動して、プリンタの機内にエアフローが発生しても、発生するエアフローが弱く、加圧ローラ43の上流側を冷やさず温度ムラが生じない程度のエアフローとなるようなファン制御であればよい。
【0061】
以上、本実施の形態によれば、冷却ファンによる加圧ローラの温度ムラを抑制することができる。
【0062】
[第三の実施の形態]
図7のフローチャートを用いて、第三の実施の形態のファン制御処理を説明する。なお、画像形成装置や定着装置4の構成は、第一の実施の形態と同じであるため説明を省略する。また、第一の実施の形態で説明した図3のS102〜S134の処理と同じ処理には同じステップ番号を付し、説明を省略する。
【0063】
CPU1000は、外部機器1100から印刷情報を受信すると、S102以降の処理を開始する。S301でCPU1000は、前の印刷動作を行った前回の印刷ジョブ(S301には前ジョブと記載)からの経過時間が所定時間以上であるか否か、例えば、T秒以上であるか否かを判断する。ここで、CPU1000は、後述するS304で計測を開始した不図示のタイマを参照することにより、経過時間の情報を取得する。また、所定時間Tは、前回印刷動作を行った際の印刷ジョブの枚数に対して予め決められた時間である。また、前回印刷動作を行った際の印刷ジョブの枚数に対する所定時間Tは、例えばテーブルとして準備されている。そして、そのテーブルは、ROM1001に格納されているものとし、CPU1000はテーブルから印刷ジョブの枚数に対応する所定時間Tを読み出し、S301の判断に使用している。なお、CPU1000は、S116でカウントしている枚数カウンタを参照することにより、枚数カウンタの値を前回の印刷ジョブの枚数としている。加圧ローラ43の蓄熱量は、印刷ジョブが終了した後、時間の経過と共に小さくなっていくため、印刷ジョブ終了後の経過時間に依存する。また、用紙に発生するカールは、加圧ローラ43の蓄熱量に依存する。このため、所定時間Tは、用紙に発生するカールが用紙の搬送に与える影響に応じて決定される時間である。
【0064】
S301でCPU1000は、経過時間がT秒以上ではないと判断した場合、加圧ローラ43の温度が高く加圧ローラ43の蓄熱量が大きいため、用紙に発生するカールが小さく、用紙の搬送に影響を与えない状態であると判断する。このため、CPU1000は、S120の処理に進み、ファン211及びファン221を駆動する。CPU1000は印刷動作が終了し(S121〜S124)、ファン211及びファン221を停止したら(S130〜S133)、S134で印刷動作を終了する。S302でCPU1000は、不図示のタイマをクリアし0にする。S304でCPU1000は、次回の印刷ジョブを受信した後のS301の処理で参照するために、タイマによる計測を開始する。
【0065】
S301でCPU1000は、前回の印刷ジョブから所定時間T秒以上経過したと判断した場合は、S103の処理を実行し、S303で定着装置4のメインサーミスタ242により検知された温度が所定温度以下、例えば100℃以下であるか否かを判断する。S303でCPU1000は、メインサーミスタ242により検知した温度が100℃以下であると判断した場合、加圧ローラ43の蓄熱量が小さい状態と判断して、S104の処理に進み、第一の実施の形態と同様のファン制御を実行する。一方、S303でCPU1000は、メインサーミスタ242により検知した温度が100℃を超えていると判断した場合は、加圧ローラ43の蓄熱量が大きく、用紙にカールが発生するおそれが小さい状態と判断する。そして、CPU1000は、S120でファン211及びファン221を駆動する。
【0066】
なお、本実施の形態では、加圧ローラ43の蓄熱量の大小を、前回の印刷ジョブからの経過時間とメインサーミスタ242の検知温度に基づいて判断している。しかし、例えば、メインサーミスタ242とサブサーミスタ243の組み合わせ、または加圧ローラ43の温度を直接検知する方法などを使用してもよい。また、本実施の形態では、図7の破線で囲った部分の処理(S104〜S118)を、第二の実施の形態の図5の破線で囲った部分の処理(S104〜S117、S209、S218)に置き換えてもよい。
【0067】
図6(b)は、加圧ローラ43が温まっている場合、即ち、加圧ローラ43の蓄熱量が大きい場合の、図7のフローチャートで説明した本実施の形態のファン制御のタイミングを示した図である。図6(b)に示すように、加圧ローラ43の蓄熱量が大きい場合、前回転動作が開始されると、ファン211及びファン221が駆動される。なお、加圧ローラ43が冷えている場合、即ち加圧ローラ43の蓄熱量が小さい場合は、第一の実施の形態で説明した図4(a)と同じであり、印刷動作が開始されてからファン211を、印刷枚数が10枚以上となったらファン221を駆動する。このように本実施の形態は、前回の印刷ジョブからの経過時間に基づいて加圧ローラ43の蓄熱量を推測して、用紙のカール発生に影響しない程度に加圧ローラ43が蓄熱されていると予測される場合は、通常のファン制御を実行している。加圧ローラ43が蓄熱されている場合は、従来例と同様の通常のファン制御を行うことで、例えば、大量の連続印刷後に、再び印刷された際のプリンタ機内の冷却を十分に行うことが可能となる。そして、高湿環境で、薄紙を両面印刷する場合の用紙のカールを低減することとプリンタ機内を冷却することの両立を図ることが可能となる。
【0068】
以上、本実施の形態によれば、冷却ファンによる加圧ローラの温度ムラを抑制することができる。
【符号の説明】
【0069】
4 定着装置
43 加圧ローラ
45 定着フィルム
211 ファン
221 ファン
1000 CPU
図1
図2
図3
図4
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図6
図7
図8