特許第6238713号(P6238713)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238713
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/47 20060101AFI20171120BHJP
   G02B 26/12 20060101ALI20171120BHJP
   H04N 1/113 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   B41J2/47 101M
   G02B26/12
   H04N1/04 104A
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-251891(P2013-251891)
(22)【出願日】2013年12月5日
(65)【公開番号】特開2014-133409(P2014-133409A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2016年12月5日
(31)【優先権主張番号】特願2012-272832(P2012-272832)
(32)【優先日】2012年12月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085006
【弁理士】
【氏名又は名称】世良 和信
(74)【代理人】
【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之
(74)【代理人】
【識別番号】100106622
【弁理士】
【氏名又は名称】和久田 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100131532
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 浩一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125357
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100131392
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 武司
(72)【発明者】
【氏名】仁平 広宣
(72)【発明者】
【氏名】水田 貴之
【審査官】 牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−326541(JP,A)
【文献】 特開2005−225158(JP,A)
【文献】 特開2003−200609(JP,A)
【文献】 特開平06−003920(JP,A)
【文献】 特開2002−137450(JP,A)
【文献】 特開平04−313776(JP,A)
【文献】 特開2004−102276(JP,A)
【文献】 米国特許第07719558(US,B1)
【文献】 米国特許第08976215(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/47
G02B 26/12
H04N 1/113
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1感光体と、第2感光体と、
光を発する第1光源と、光を発する第2光源と、
複数の反射面を有し、前記第1光源と第2光源から発せられた光をそれぞれ偏向する回転多面鏡と、
前記第1光源から発せられ前記回転多面鏡で偏向された光を所定の位置で検出することにより第1信号を出力する第1信号出力手段と、
前記第1信号に基づいて前記第1信号とは別の第2信号を出力する第2信号出力手段と、
を有し、
プリントコマンドに基づき、前記第1光源は前記第1信号に基づくタイミングで光を発し前記第1光源から発せられた光は前記回転多面鏡に偏向されて前記第1感光体に照射され、前記第2光源は前記第2信号に基づくタイミングで光を発し前記第2光源から発せられた光は前記回転多面鏡に偏向されて前記第2感光体に照射され、それぞれ前記第1感光体と前記第2感光体に潜像を形成し、前記潜像を現像剤で現像して前記第1感光体と前記第2感光体に現像剤像を形成する画像形成装置において、
前記第2信号出力手段は、前記第1信号と前記回転多面鏡の各面ごとに設定された補正値に基づくタイミングで前記第2信号を出力し、
前記プリントコマンドを受信した後であって、前記第2信号出力手段から前記第2信号の出力が開始される前に、前記第1光源が前記第1信号に基づいて発光して前記第1感光体への潜像の形成を開始することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
同じタイミングで前記第1光源から発せられた光と前記第2光源から発せられた光は、前記回転多面鏡の異なる面に入射し、それぞれ前記第1感光体と前記第2感光体を照射することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1感光体及び前記第2感光体と当接するベルトを有し、
前記ベルトの表面の移動方向に関して、前記第1感光体と前記ベルトとの当接部の方が前記第2感光体と前記ベルトとの当接部よりも上流側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1感光体と前記第2感光体の夫々に形成された第1現像剤像と第2現像剤像を前記ベルト上に重ねて転写することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1感光体と前記第2感光体の夫々に形成された第1現像剤像と第2現像剤像を、前記ベルト上を搬送される記録材に重ねて転写することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記補正値は前記第1信号を補正するための補正値であって、
前記第2信号出力手段は、前記補正値を前記回転多面鏡の各面ごとに導出し、前記補正値と前記第1信号に基づいて前記回転多面鏡の各面ごとに前記第2信号を生成して出力し、
前記第2信号出力手段が前記補正値を導出する工程を実行している期間に、前記第1光源が前記第1信号に基づいて発光して前記第1感光体への潜像の形成を開始することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2信号出力手段が、前記補正値を導出する工程は、前記第1信号の間隔に基づいて前記補正値を導出する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1感光体に形成された潜像はイエローの現像剤で現像されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1感光体に形成された潜像はマゼンタの現像剤で現像されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート等の記録材上に画像を形成する機能を備えた、例えば、複写機、プリンタなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を用いた画像形成装置においては、画像信号によって変調されたレーザビームが、スキャナに設けられた回転多面鏡(以下、ポリゴンミラー)によって反射され、感光体上を走査することによって画像形成が行われる。感光体はドラム状のものが多用され、感光ドラムと呼ばれている。この方式をカラーレーザプリンタに応用する場合は、色の異なる例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の4色の画像を重ね合わせてカラー画像をシート材上に形成している。
ここで特許文献1には、1つのポリゴンミラーを用いてレーザビームを複数の感光体に同時に走査する画像形成装置において、水平同期信号としてのBD信号を出力するBD(Beam Detect)センサの数を減らした場合の、画像の書き出しタイミングを合わせるための構成が開示されている。この構成では、対応するBDセンサが設けられていないレーザビームに対して、次のような擬似的なBD信号(以下、擬似BD信号)を用いることで、画像の書き出しタイミングを合わせている。すなわち、ポリゴンミラーの各鏡面の面分割誤差を見込んで、ポリゴンミラーの各面に対応する水平同期信号の相対的な遅延量を算出する。そして、BDセンサから出力されたBD信号と該遅延量とからBDセンサが設けられていないレーザビーム用の擬似BD信号を生成し、この擬似BD信号を用いてBDセンサが設けられていないレーザビームを用いた画像の書き出しタイミングを決める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−200609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された画像形成装置においては、以下のような課題がある。
特許文献1においては、BD信号からポリゴンミラーの面分割誤差を見込んだポリゴンミラーの各面に対する水平同期信号の相対的な遅延量を算出することで、擬似BD信号を生成していた。このとき、この遅延量の算出が完了してから画像形成が開始されていた。
このため、ファーストプリントアウトタイムが長くなることが懸念される。
【0005】
本発明は上記したような事情に鑑みてなされたものであり、BD信号に基づいて生成された擬似BD信号に基づくタイミングで光源を発光させて潜像を形成する構成において、ファーストプリントアウトタイムを短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
第1感光体と、第2感光体と、
光を発する第1光源と、光を発する第2光源と、
複数の反射面を有し、前記第1光源と第2光源から発せられた光をそれぞれ偏向する回転多面鏡と、
前記第1光源から発せられ前記回転多面鏡で偏向された光を所定の位置で検出することにより第1信号を出力する第1信号出力手段と、
前記第1信号に基づいて前記第1信号とは別の第2信号を出力する第2信号出力手段と、
を有し、
プリントコマンドに基づき、前記第1光源は前記第1信号に基づくタイミングで光を発し前記第1光源から発せられた光は前記回転多面鏡に偏向されて前記第1感光体に照射され、前記第2光源は前記第2信号に基づくタイミングで光を発し前記第2光源から発せられた光は前記回転多面鏡に偏向されて前記第2感光体に照射され、それぞれ前記第1感光体と前記第2感光体に潜像を形成し、前記潜像を現像剤で現像して前記第1感光体と前記第2感光体に現像剤像を形成する画像形成装置において、
前記第2信号出力手段は、前記第1信号と前記回転多面鏡の各面ごとに設定された補正値に基づくタイミングで前記第2信号を出力し、
前記プリントコマンドを受信した後であって、前記第2信号出力手段から前記第2信号の出力が開始される前に、前記第1光源が前記第1信号に基づいて発光して前記第1感光体への潜像の形成を開始することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、BD信号に基づいて生成された擬似BD信号に基づくタイミングで光源を発光させて潜像を形成する構成において、ファーストプリントアウトタイムを短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の画像形成装置の概略構成を示す断面図
図2】実施例1のスキャナユニットを説明するための概略斜視図
図3】実施例1の擬似BD信号の生成方法について説明するためのブロック図
図4】実施例1の擬似BD信号の生成方法を説明するためのタイミングチャート
図5】実施例1のポリゴンとレーザダイオードとBDセンサの関係図
図6】実施例1の特徴を説明するためのタイミングチャート
図7】実施例1のエンジンコントローラが実施するフローチャート
図8】実施例2のスキャナユニットを説明するための概略斜視図
図9】実施例2のエンジンコントローラが実施するフローチャート
図10】実施例3の画像形成装置の概略構成を示す断面図
図11】実施例3の擬似BD信号の生成方法について説明するためのブロック図
図12】実施例3のエンジンコントローラが実施するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
本発明は、電子写真プロセスを用いた画像形成装置に関し、特に複数のレーザビームを用いて異なる色画像を形成するカラー画像形成装置に関する。
【0010】
[実施例1]
以下に、実施例1について説明する。
図1は、本実施例の画像形成装置であるカラーレーザプリンタ(以下、プリンタ)201の概略構成を示す断面図である。
プリンタ201は、ホストコンピュータ202に接続されている。プリンタ201は4色(イエロー:Y、マゼンタ:M、シアン:C、ブラック:BK)の画像を重ね合わせたカラー画像を形成するために4色の画像形成部を備えている。
画像形成部は、像担持体としての感光ドラム(感光体)301〜304を有するトナーカートリッジ207〜210と、画像露光用光源(光源)として光(レーザビーム)を発生させるレーザダイオードを有するスキャナユニット205を有する。このスキャナユニ
ット205に関しては後で詳しく説明する。
【0011】
ホストコンピュータ202からの画像データを受け取ると、プリンタ201内のビデオコントローラ203で画像データを所望のビデオ信号形成データ(例えばビットマップデータ)に展開し、画像形成用のビデオ信号を生成する。ビデオコントローラ203とエンジンコントローラ204はシリアル通信を行い、情報の送受信を行っている。ビデオ信号はエンジンコントローラ204に送信され、エンジンコントローラ204はビデオ信号に応じてスキャナユニット205内のレーザダイオード(不図示)を駆動する。これにより、トナーカートリッジ207〜210内の感光ドラム301〜304上にそれぞれ静電潜像(潜像)が形成される。
【0012】
感光ドラム301〜304はそれぞれブラック(301)、シアン(302)、マゼンタ(303)、イエロー(304)の静電潜像の形成に利用される。
それぞれのトナーカートリッジ207〜210において、トナー(現像剤)を用いて感光ドラム301〜304上に形成された静電潜像の可視化(現像)が行われることで、感光ドラム301〜304上にトナー画像が形成される。感光ドラム上に形成された各色のトナー画像は、最初に(第1番目に)イエロー(第1色目)の画像が中間転写ベルト(ベルト)211に転写され、ベルト上に重ね合うようにマゼンタ、シアン、ブラックの順に順次転写される(1次転写)。これにより、中間転写ベルト211上にカラー画像が形成される。ここで、それぞれのトナーカートリッジ207〜210においては、現像装置309〜312、クリーニング装置305〜308が配設されている。ここで、感光ドラム304,302はそれぞれ第1,第2感光体に相当する。また、中間転写ベルト211の表面の移動方向に関して、感光ドラム304と中間転写ベルト211との当接部の方が、感光ドラム302と中間転写ベルト211との当接部よりも上流側に配置されている。
【0013】
また、カセット314内の記録材は給送ローラ316によって、レジストローラ319まで給送され、レジストローラ319の駆動タイミングによって、中間転写ベルト211上の画像に同期して記録材が搬送される。そして、カラー画像は転写ローラ318によって中間転写ベルト211から記録材に転写される(2次転写)。画像が転写された記録材は定着器313に搬送され、定着器313で熱と圧力によって画像が記録材上に定着される。その後、画像が定着された記録材は、プリンタの上部の排出トレイ317に排出される。
【0014】
また、プリンタ201には、中間転写ベルト211上の画像のレジスト位置をモニタするレジスト検知センサ212が設けられている。このセンサは、画像形成時以外の所望のタイミングで中間転写ベルト211上に形成された各色の画像の位置を読み取り、ビデオコントローラ203あるいはエンジンコントローラ204にそのデータをフィードバックするものである。このことにより、各色の画像レジスト位置を調整し、色ずれを防止することができる。
【0015】
図2は、図1におけるスキャナユニット205を詳細に説明するための概略斜視図である。図2において、101,102,103,104はレーザダイオードであり、ビデオコントローラ203で生成されたビデオ信号に基づき、感光ドラム301,302,303,304上をそれぞれ走査する。以下の説明では便宜上、101をレーザダイオードLD1、102をレーザダイオードLD2、103をレーザダイオードLD3,104をレーザダイオードLD4とする。ここで、レーザダイオードLD4,LD2はそれぞれ第1,第2光源に相当する。
105は回転多面鏡としてのポリゴンミラー(以下、ポリゴンという場合もある)であり、図示しないモータで図中の矢印Rの方向に回転し、レーザダイオードLD1,LD2,LD3,LD4からの光を偏向走査する。ポリゴンミラー105を駆動するモータは、
エンジンコントローラ204から不図示の速度制御信号の加速信号と減速信号で一定速度になるように制御され回転する。
【0016】
BDセンサ110は、ポリゴンミラー105によって所定の方向に反射されたレーザダイオードLD4からの光が入射する所定位置に配置された光センサである。BDセンサ110は、レーザダイオードLD4(第1光源)からの光を受光(検出)してそれに基づき水平同期信号(BD(Beam Detect)信号)を出力する。BDセンサ110が出力する水平同期信号(第1水平同期信号)は、感光ドラム304(第1感光体)に静電潜像の形成する為にレーザダイオードLD4が発光するタイミングの基準となる信号である。具体的には、回転するポリゴンミラー105の反射面でレーザダイオードからの光ビームを反射し、感光ドラム上でビームスポットを主走査方向に移動させて走査線を形成する際の、各反射面に対応する走査線の書き出し位置(反射面毎のレーザダイオードの発光開始位置)を、水平同期信号を基準に決める。BDセンサ110は、第1水平同期信号を出力する第1信号出力手段に相当する。
レーザダイオードLD4から発せられた光は、ポリゴンミラー105により反射されながらポリゴンミラー105の回転により走査され、折り返しミラー109でさらに反射され、感光ドラム304に照射される。これにより、感光ドラム304上に静電潜像が形成される。
なお、実際には光は感光ドラム上に焦点を合わせる為、あるいは光を拡散光から平行光に変換する為、不図示の各種レンズ群を経由する。
【0017】
BDセンサ110が信号を出力するタイミングは、レーザダイオードLD4から発せられた光がポリゴンミラー105のどの反射面に入射しているかによらず、その入射している反射面の角度が所定の角度となっているタイミングである。従って、通常、ビデオコントローラ203はBDセンサ110の出力信号を検知してから所定時間間隔カウントした後に、ビデオ信号をエンジンコントローラ204に対して送信する。このことにより、レーザダイオードLD4から発せられた光がポリゴンミラー105のどの反射面に入射しているかによらず、感光ドラム上の光による画像の主走査の書き出し位置を任意の位置に決めることでき、各走査線の書き出し位置を常に一致させることができる。
【0018】
一方、レーザダイオードLD1,LD2,LD3についても、レーザダイオードLD4と同様にそれぞれ感光ドラム301,302,303上に静電潜像を形成する。
ここで、BDセンサ110は、レーザダイオードLD4の光が入射する位置にのみ設けられており、レーザダイオードLD1,LD2,LD3の走査路上にBDセンサは存在しない。レーザダイオードLD3とレーザダイオードLD4からの光は、同じタイミングでポリゴンミラー105の同じ面に入射する。このため、感光ドラム303に静電潜像を形成する為のレーザダイオードLD3の発光タイミングの基準となる水平同期信号は、上述したレーザダイオードLD4からの光によって発生する第1水平同期信号(第1信号)、すなわち、BDセンサ110から出力されるBD信号を用いることができる。
これに対して、レーザダイオードLD1,LD2からの光は、同じタイミングでレーザダイオードLD4からの光が入射するポリゴンミラー105の面とは異なる面に入射して対応する感光ドラムを照射する。つまり、レーザダイオードLD1,LD2の光を対応する感光ドラム301,302に照射していて、且つ、レーザダイオードLD3,LD4の光を対応する感光ドラム303,304に照射しているタイミングで、レーザダイオードLD1,LD2の光が入射しているポリゴンミラー105の面とレーザダイオードLD3,LD4の光が入射しているポリゴンミラー105の面とが異なる。
ここで、ポリゴンミラー105には反射面の成形精度の誤差(面分割誤差)がある。このため、BDセンサ110が信号を出力するタイミングでレーザダイオードLD1、LD2からの光が入射するポリゴンミラー105の反射面の角度は反射面毎にバラつきがある。このため、レーザダイオードLD1、LD2からの光が入射するポリゴンミラー105
の反射面がどの反射面であっても、その反射面が所定の角度になったタイミングに出力される、別の水平同期信号が必要になる。
【0019】
このため、本実施例では、レーザダイオードLD1,LD2(第2光源)用のBD信号(第2水平同期信号(第2信号))はASIC402が生成する。このASIC402が生成する水平同期信号(第2水平同期信号)は、感光ドラム301,302(第2感光体)にそれぞれ静電潜像を形成するためにレーザダイオードLD1,LD2が発光するタイミングの基準となる擬似的な水平同期信号(以下、擬似BD信号)である。擬似BD信号は第1水平同期信号を補正して生成する。
本実施例では、レーザダイオードLD1,LD2からの光は、同じタイミングでポリゴンミラー105の同じ面に入射するので、レーザダイオードLD1,LD2用の擬似BD信号は共通のものを使用することができる。以下の説明では、ASIC402がレーザダイオードLD2用の擬似BD信号を生成するものとして説明する。ここで、レーザダイオードLD2は、レーザダイオードLD4(第1光源)とは静電潜像の形成を開始するタイミングが異なる第2光源に相当する。
【0020】
このようにして、BDセンサ110を有しているレーザダイオードLD4によるイエロー(Y)の色画像が感光ドラム304上に形成される。また、BDセンサ110を有していないレーザダイオードLD1,LD2,LD3によるブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)の色画像がそれぞれ感光ドラム301,302,303上に形成される。これにより、画像形成が行われる。
以上が、画像形成の一連のプロセスである。
【0021】
次に、擬似BD信号の生成方法について、図3のブロック図を用いて説明する。
エンジンコントローラ204内部には、ASIC402とCPU403が備えられていて、ASIC402とCPU403はアドレスデータバスで接続されている。このASIC402は、擬似BD信号を生成する回路を備えている。
まず、BDセンサ110からの水平同期信号であるBD信号401は、エンジンコントローラ204に備えられているASIC402とビデオコントローラ203に入力される。ASIC402はBD信号401を受け取り、後述するBD周期を算出し、算出されたBD周期の値をCPU403に送信する。CPU403はそのBD周期の値から、BD信号401を補正して擬似BD信号を生成するための補正値を算出(導出)し、アドレスデータバスを通して、ASIC402にその補正値を入力する。そして、ASIC402は、その補正値と、BDセンサ110からのBD信号401とに基づいて、擬似BD信号404を生成(出力)する。出力された擬似BD信号404はビデオコントローラ203に入力される。
このように、ASIC402とCPU403は、レーザダイオードLD1,LD2用のBD信号(第2水平同期信号)を、BD信号401に基づいて生成して出力する第2信号出力手段である。この第2信号出力手段は、BD周期に基づいて補正値を算出することにより補正値を導出する工程を実行し、補正値の導出が完了すると擬似BD信号404を出力する。ここで、この補正値は、レーザダイオードLD2について、レーザダイオードLD4用のBD信号に基づく静電潜像の形成を開始するタイミングとの差を補正するための補正値である。また、以下の説明において、この補正値を、説明の便宜上、擬似BD信号の補正値という場合もある。
【0022】
ビデオコントローラ203は、BDセンサ110から出力されたBD信号401と、ASIC402から出力された擬似BD信号404を受け取る。BD信号401が入力されてから所定タイミングでビデオコントローラ203から画像データVDOM,VDOYが、スキャナユニット205のレーザダイオードLD3,LD4へ出力される。レーザダイオードLD3,LD4が画像データVDOM,VDOYによって発光し、画像データVD
OY,VDOMに基づいた静電潜像が感光ドラム303,304に形成される。
同様に擬似BD信号404が入力されてから所定タイミングでビデオコントローラ203から画像データVDOK,VDOCが、スキャナユニット205のレーザダイオードLD1,LD2へ出力される。レーザダイオードLD1,LD2が画像データVDOK,VDOCによって発光し、画像データVDOK,VDOCに基づいた静電潜像が感光ドラム301,302に形成される。
【0023】
次に、4面毎の補正値の算出方法と擬似BD信号の生成方法を図4に示すタイミングチャートと、図5に示すポリゴンミラー105とレーザダイオードLD2,LD4とBDセンサ110の関係図を用いて説明する。
ポリゴンミラー105においては、成形精度の誤差(面分割誤差)により、面毎にBD周期が異なっている。
本実施例において、ASIC402が測定したポリゴンミラー105の面毎のBD信号401のA面からB面の周期(BD周期)はxa、B面からC面の周期はxb、C面からD面の周期はxc、D面からA面の周期はxdとする。ここで、例えばBD周期xaは、A面で反射されたLD4からの光がBDセンサ110で検知されてから、B面で反射されたLD4からの光がBDセンサ110で検知されるまでの時間(BDセンサ110で検知される間隔)ということができる。
その面ごとのBD周期から、この4つのBD周期の中で一番小さいBD周期を減算し、その値を補正値とする。
【0024】
その理由は、次の通りである。BD信号側がA面を使用している時は、擬似BD信号側はB面を使用し、BD信号側がB面を使用している時は、擬似BD信号側はC面を使用している。また、BD信号側がC面を使用している時は、擬似BD信号側はD面を使用し、BD信号側がD面を使用している時は、擬似BD信号側はA面を使用している。そして、このBD信号側と擬似BD信号側の対応から、補正値が決定されるからである。
また、補正値はポリゴンミラー105に依存し経時変化はほとんど無いので、BD信号401からの書き出しは一定である。また、BD周期が最小のポリゴン面を補正値0と決めることで、基準面が決定される。
【0025】
よって、一番短いBD周期をxbとした場合には、補正値はそれぞれ次のようになる。BD信号側のA面に対応する擬似BD信号のB面の補正値は、
(BD信号のA面からB面の周期)−(一番短いBD周期)
=xa−xb
したがって、補正値は、xa−xbとなる。
また、BD信号側のB面に対応する擬似BD信号のC面の補正値は、
(BD信号のB面からC面の周期)−(一番短いBD周期)
=xb−xb
したがって、補正値は、0となる。
【0026】
また、BD信号側のC面に対応する擬似BD信号のD面の補正値は、
(BD信号のC面からD面の周期)−(一番短いBD周期)
=xc−xb
したがって、補正値は、xc−xbとなる。
また、BD信号側のD面に対応する擬似BD信号のA面の補正値は、
(BD信号のD面からA面の周期)−(一番短いBD周期)
=xd−xb
したがって、補正値は、xd−xbとなる。
【0027】
A面のBD信号の擬似BD信号(B面の擬似BD信号)は、補正値がxa−xbなので
、BD信号から(xa−xb)遅らせた擬似BD信号を生成し、出力する。
B面のBD信号の擬似BD信号(C面の擬似BD信号)は、補正値が0なので、BD信号そのものを擬似BD信号として出力する。
C面のBD信号の擬似BD信号(D面の擬似BD信号)は、補正値がxc−xbなので、BD信号から(xc−xb)遅らせた擬似BD信号を生成し、出力する。
D面のBD信号の擬似BD信号(A面の擬似BD信号)は、補正値がxd−xbなので、BD信号から(xd−xb)遅らせた擬似BD信号を生成し、出力する。
【0028】
擬似BD信号の生成においては、BD信号401の出力の際にレーザダイオードLD4から発せられた光が偏向されるポリゴンミラー105の面が決まることで、その面に対応して算出されたBD周期から補正値が決まる。このとき、面毎にBD周期が異なるので、BD周期を算出することで、レーザダイオードLD4からの光がポリゴンミラーのどの面で偏向されているかを特定することができる。
BD信号401の場合は、図4のような擬似BD信号404になる。このようにして、BD信号とは異なるタイミングで信号を出力するBD信号とは別の信号(擬似BD信号)を生成する。なお、「BD信号とは別の信号」とは、ポリゴンミラー105が一回転する間に発せられるBD信号(本実施形態では4面のため4回出力されるBD信号)のうち少なくとも1つが補正前のBD信号と異なるタイミングで出力されるものを指す。つまり、上述したような擬似BD信号のように、A面、C面、D面のBD信号に基づいて出力する時のように、補正値が0でない場合を少なくとも1つの面に含んでいれば、B面のBD信号に基づいて出力する場合のように、補正値が0の場合を含んでいても「BD信号とは別の信号」となる。
以上が、擬似BD信号生成の一連のプロセスである。
【0029】
ここで、本実施例では、BD周期が最小のポリゴン面を補正値0と決めることで、基準面を決定したが、これに限るものではない。しかしながら、本実施例では、擬似BD信号のタイミングの精度をより高めるために、BD周期が最小のポリゴン面を補正値0と決めている。BD周期が最小のポリゴン面を補正値0と決めることで、上述の補正値xa−xb,xc−xb,xd−xbの値を正の値とすることができる。例えば、補正値xc−xbが負の値になってしまう場合、D面の擬似BD信号を生成するのにC面のBD信号が発せられた後では間に合わないので、B面のBD信号のタイミングに正の補正値を足してD面の擬似BD信号を生成することが必要となってくる。しかしながら、D面の擬似BD信号を生成する上で、B面のBD信号を基準とすると、C面のBD信号を基準とした場合と比べ、一面前のBD信号が基準になるため、補正値が大きくなってしまい、精度が低くなってしまうことが懸念される。
【0030】
次に、本実施例の特徴について説明する。
本実施例では、イエローがBD信号に、以降のマゼンタ、シアン、ブラックが擬似BD信号に基づく主走査方向の画像合わせを行う構成としている。このような構成において、擬似BD信号の補正値算出完了前(擬似BD信号の出力開始前、すなわち第2信号出力手段が補正値を導出する工程を実行している期間)にイエローの画像形成を開始することを特徴とするものである。ここで、各色における画像形成の開始とは、感光ドラムへの静電潜像の形成の開始を意味する。
このような構成により、フルカラーモードにおけるファーストプリントアウトタイムを短縮することが可能となる。ここで、イエローの画像形成は、第1番目の感光体への画像形成に相当する。また、擬似BD信号の補正値算出完了前とは、上述したASIC402により算出されたBD周期の値を用いて行われる、CPU403による補正値の算出が完了するよりも前をいう。
【0031】
図6は、本実施例の特徴を説明するためのタイミングチャートである。図6(A)は従
来技術である擬似BD信号の補正値算出完了後にイエローの画像形成を開始する場合、図6(B)は本実施例の擬似BD信号の補正値算出完了前にイエローの画像形成を開始する場合のタイミングを示した図である。
【0032】
擬似BD信号の補正値算出に要する時間は、第1色目と第2色目の画像形成タイミングの間の時間に比べて十分短いので、マゼンタの画像形成を開始するタイミングでは擬似BD信号の補正値の算出は完了している。その補正された擬似BD信号を用いてマゼンタの画像形成が行われることになる。図6において、横軸はプリント開始からの時間経過を、縦軸はプリンタが順次実行する処理を示している。また、図中の各要素の数及び要する時間は同じとしてある。
【0033】
まず、図6(A)から説明する。
まず、スキャナモータ立ち上げ、定着立ち上げ(T100)、高圧電源の立ち上げを行う(T101)。この高圧電源の立ち上げとは、電子写真プロセスに必要な帯電、現像、転写の各高圧電源の電圧や電流を目標値となるように制御することである。
これらの立ち上げが終了すると、擬似BD信号の補正値の算出を開始する(T102)。擬似BD信号の補正値の算出完了後(T103)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の画像形成及び1次転写を開始する。このとき、算出された補正値と、BDセンサ110からのBD信号401とから生成された擬似BD信号404を用いて画像形成が行われる。ここで、イエローの画像形成が終わった後も、マゼンタ、シアン、ブラック用の擬似BD信号を生成する為に、BD信号401を出力可能なタイミングでのみレーザダイオードLD4を発光させる制御が行われる(アンブランキング制御)。すなわち、BDセンサ110に光が入射するタイミングを予測してレーザダイオードLD4を発光させている。
【0034】
この処理が終了すると、中間転写ベルト211上に形成されたトナー像(現像剤像)を記録材に転写する2次転写を行う(T104)。その後、トナー像が転写された記録材は、目標温度に制御された定着器313によってトナー像が永久画像として定着される(T105)。定着が終了すると、記録材は排出トレイに排出され(T106)、画像形成の終了となる(T107)。
【0035】
図6(B)では、図6(A)に対して、イエローの画像形成開始タイミングが異なる。イエローの画像形成開始タイミングは、図6(A)では擬似BD信号の補正値の算出完了時(T103)であるのに対し、図6(B)では擬似BD信号の補正値の算出開始と同一の実施タイミング(T202)としている。このタイミング(T202)は、擬似BD信号の補正値の算出完了タイミング(T203)ではない。以降の、図6(B)における画像形成、1次転写、2次転写、定着、排出の制御(T204〜T207)は、図6(A)の制御(T104〜T107)と同様であるため、説明を省略する。
【0036】
ファーストプリントアウトタイムは、プリント開始から記録材がプリンタの外に排出されるまでの時間(プリント要求を受けてから1枚目の記録材が機外に排出されるまでの時間)である。
擬似BD信号の補正値の算出完了後にイエローの画像形成を開始する場合のファーストプリントアウトタイムは、T100からT107となる(図6(A))。これに対して、擬似BD信号の補正値の算出完了前にイエローの画像形成を開始する場合のファーストプリントアウトタイムは、T200からT207までの時間となる(図6(B))。
図6(B)のファーストプリントアウトタイム(T200からT207までの時間)は、図6(A)と比較すると、擬似BD信号の補正値の算出に要する時間(図中のTs)分、短縮されていることが分かる。
【0037】
図7は、ビデオコントローラ203からプリント指示を受け取った際に、本実施例のエンジンコントローラ204が実施するフローチャートである。
エンジンコントローラ204は、まずスキャナモータを立ち上げる(S101)。その後、スキャナモータが所定の回転数に達したか否かの判断を行う(S102)。以下の説明では、スキャナモータが所定の回転数に達したことを、スキャナレディという。スキャナレディとなったところで、擬似BD信号の補正値の算出を開始するとともに、イエローの画像形成を開始する(S103、S104)。
【0038】
マゼンタの画像形成開始タイミングまでに、BD周期の算出、擬似BD信号の補正値の算出が完了している場合は、マゼンタの画像形成を開始する(S105、S106)。擬似BD信号は、補正値の算出完了後、直ちに出力が開始される。以降、所定の画像形成開始タイミングで、シアン、ブラックの画像形成を行い、カラー画像を形成する(S108〜S111)。ここで、BD周期の算出、擬似BD信号の補正値の算出が完了したことを擬似BDレディという。
【0039】
また、本実施例のエンジンコントローラ204が実施するフローの中には、ASIC402の動作不良等により、万が一擬似BD信号の出力を開始できない異常事態が発生した場合に備えたフローを有している。この場合について説明する。
マゼンタの画像形成開始タイミングまでに擬似BDレディでない場合は、擬似BDエラー処理を行う(S112)。擬似BDエラー処理としては、前回擬似BD信号の補正値の算出を行った際の結果(補正値)を記憶手段に記憶しておき、その値を補正値として用いる、あるいは、規定の値、例えばゼロを擬似BD信号の補正値としてもよい。
これは、擬似BD信号の補正値の算出が正しくできないことで、主走査方向の画像合わせ精度は擬似BDレディ時に比べて落ちるものの、ファーストプリントアウトタイムの短縮化を優先して画像形成を継続するという判断である。その際、表示パネルやホストコンピュータへ警告を報知し、ユーザに注意を促すことを行なっても良い。
なお、擬似BDレディかどうかの判定(S106)は、擬似BD信号に基づいて潜像形成を行うシアンの画像形成開始前にさえ行っていれば良い。つまり、図7のフローチャートにおいて、擬似BDレディかどうかの判定(S106)を、マゼンタ画像形成開始(S107)からシアンの画像形成開始(S109)の間に配置するよう変形してもよい。本実施例で、擬似BDレディかどうかの判定(S106)をイエロー画像形成開始(S104)からマゼンタの画像形成開始(S107)の間に配置したのは、本実施例のASIC402が、通常であればマゼンタの画像形成開始前に擬似BD信号の補正値を算出完了できる性能を有しているからである。
【0040】
以上説明したように、本実施例では、イエローがBD信号に、以降のマゼンタ、シアン、ブラックが擬似BD信号に基づく主走査方向の画像合わせを行う構成において、擬似BD信号の補正値の算出完了前であって擬似BD信号の出力開始前にイエローの画像形成を開始している。これにより、フルカラーモードにおけるファーストプリントアウトタイムを短縮することが可能となる。
ここで、本実施例では、記録材への画像形成におけるファーストプリントアウトタイムの短縮について説明した。しかしながら、色ずれ補正用に中間転写ベルト211への画像形成における場合にも有効であり、記録材への画像形成に限定されるものではない。また、ポリゴンミラーは4面の例を示した。しかしながら、3面、5面、さらに多くの面数を有するポリゴンミラーでも有効であり、4面に限定されるものではない。
【0041】
[実施例2]
以下に、実施例2について説明する。本実施例においては、実施例1に対して異なる構成部分について述べることとし、実施例1と同様の構成部分については、その説明を省略する。
図8は、本実施例のスキャナユニットを説明するための概略斜視図である。
実施例1では、レーザダイオードLD4を発光させる第1色目(第1番目)の画像形成に対応するようにBDセンサが配置されていたが、本実施例ではレーザダイオードLD3を発光させる第2色目(第2番目)の画像形成に対応するようにBDセンサ110が配設されていることを特徴とする。画像形成時の色順は実施例1と同じであり、第1色目はこのイエロー、第2色目はマゼンタとなる。
【0042】
以下に、本実施例の画像形成開始とスキャナモータ立ち上げとの関係について説明する。
通常、スキャナモータ立ち上げ時のレーザ発光によって感光ドラムが露光走査されると、露光された部分が帯電工程で充分に帯電されず、感光ドラムの帯電状況が一様にならないため、その感光ドラムで画像形成を行うには所定時間待つ必要がある。
そこで、本実施例では、スキャナモータ立ち上げ時のレーザ発光が、レーザダイオードLD4を発光させた第1色目ではなく、レーザダイオードLD3を発光させて第2色目の感光ドラムを露光走査するような構成としている。これにより、スキャナモータ立ち上げ時のレーザ発光によって、第1色目の感光ドラムが露光されることがなくなるので、第1色目の画像形成を、感光ドラムが一様に帯電された状態で開始できる。また、立ち上げ時のレーザ発光を受けた第2色目の感光ドラムにおいても、その画像形成開始タイミングでは、感光ドラムが一様に帯電される十分な時間が経過しているため、良好な画像形成を行うことができる。
【0043】
レーザダイオードLD4,LD3は、BD110がレーザダイオードLD3からの光を受けて出力する第1水平同期信号を基準に発光し静電潜像を形成する。レーザダイオードLD2,LD1は、第1水平同期信号と補正値に基づいて生成された第2水平同期信号を基準に発光し静電潜像を形成する。
【0044】
以下に、その動作についての詳細を説明する。
図9は、ビデオコントローラ203からプリント指示を受け取った際に、本実施例のエンジンコントローラ204が実施するフローチャートである。
エンジンコントローラ204は、プリントを開始すると、スキャナモータを立ち上げる(S201)。その後、スキャナモータが所定の回転数に達したか否かの判断を行う(S202)。スキャナモータがレディであることを確認後、擬似BD信号の補正値の算出とイエローの画像形成を開始する(S203、S204)。
マゼンタについては、BD信号を用いての画像形成であるため、マゼンタの画像形成タイミングになった時点で画像形成を開始する(S205、S206)。
【0045】
次のシアンの画像形成開始タイミングまでに擬似BD信号の補正値の算出が完了している場合は、S207〜S211の制御が行われる。すなわち、擬似BD信号の補正値を記憶するとともに、シアンの画像形成を開始し(S207〜S209)、以降ブラックの画像形成開始タイミングで、ブラックの画像形成を行い、カラー画像を形成する(S210、S211)。
擬似BD信号の補正値の算出が完了していない場合(S212)の処理は実施例1と同じであるため、説明を省略する。
【0046】
以上説明したように、本実施例では、マゼンタがBD信号に、イエロー、シアン、ブラックが擬似BD信号に基づく主走査方向の画像合わせを行う構成において、擬似BD信号の補正値の算出完了前にイエローの画像形成を開始している。これにより、スキャナモータ立上げ時の発光による感光ドラムの帯電状況回復待ちを回避して第1色目(イエロー)の画像形成を開始でき、ファーストプリントアウトタイムを短縮することができる。
【0047】
[実施例3]
以下に、実施例3について説明する。本実施例においては、実施例1に対して異なる構成部分について述べることとし、実施例1と同様の構成部分については、その説明を省略する。
図10は、本実施例の画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
実施例1ではスキャナユニットが1つの場合について説明したのに対し、本実施例では2つのスキャナユニットを搭載する構成について説明する。
【0048】
本実施例においては、図10に示すように、第1色目と第2色目はスキャナユニット216を用いて画像形成し、第3色目と第4色目はスキャナユニット215を用いて画像形成するように構成されている。スキャナユニット216には、レーザダイオードLD3,LD4の光源群とポリゴンミラー116が配設されており、スキャナユニット215には、レーザダイオードLD1,LD2の光源群とポリゴンミラー115が配設されている。そして、第1色目と第3色目の画像形成に対応するようにBDセンサが配置されており、第2色目は第1色目のBDセンサ出力を基に擬似BD信号を生成し、第4色目は第3色目のBDセンサ出力を基に擬似BD信号を生成する。
【0049】
図11は、擬似BD信号の生成方法について説明するためのブロック図である。
ここでは、スキャナユニット216における擬似BD信号の生成に関して説明する。スキャナユニット215における擬似BD信号の生成に関してはスキャナユニット216と同様である。
【0050】
BDセンサ112からの水平同期信号であるBD信号412は、エンジンコントローラ204に接続されている。ASIC402はBD信号412を受け取り、BD周期を算出し、算出されたBD周期の値をCPU403に送信する。CPU403はそのBD周期の値から擬似BD信号生成のための補正値を算出し、アドレスデータバスを通して、ASIC402にその補正値を入力する。そして、ASIC402は、その補正値と、BDセンサ112からのBD信号412とから、擬似BD信号416を生成する。
ビデオコントローラ203は、BDセンサ112からの出力のBD信号412と、ASIC402で生成された擬似BD信号416を受け取る。また、BDセンサ112が検知してからある所定タイミングでビデオコントローラ203から画像データVDOM、VDOYがスキャナユニット216のレーザダイオードLD3,LD4に出力される。
【0051】
このような構成により、複数のスキャナユニットを持つ構成であっても、実施例1と同様、擬似BD信号の補正値の算出完了前に画像形成を開始することで、主走査方向の画像合わせの精度を確保しつつファーストプリントアウトタイムの短縮を行うことができる。
【0052】
上記の動作についての詳細を以下に説明する。
図12は、本実施例のエンジンコントローラ204が実施するフローチャートである。スキャナユニット215とスキャナユニット216は独立して動作するものであるため、それぞれのユニットにおいて、スキャナレディ及び擬似BDレディの確認後、画像形成を行う点が実施例1と異なる。その流れを以下で説明する。
【0053】
エンジンコントローラ204は、プリントを開始すると、スキャナユニット215及びスキャナユニット216に搭載の不図示のスキャナモータを立ち上げる(S301)。まず、スキャナユニット216のスキャナモータが所定の回転数に達したか否かの判断を行う(S302)。スキャナユニット216のスキャナモータがスキャナレディとなったところで、擬似BD信号416の補正値の算出を開始するとともに、イエローの画像形成を開始する(S303、S304)。マゼンタの画像形成開始タイミングまでに擬似BD信号416の補正値の算出が完了している場合は、マゼンタの画像形成を開始する(S30
5、S306、S307)。一方、スキャナユニット216が擬似BDレディでないと判断した場合は、擬似BDエラー処理を行う(S315)。擬似BDエラー処理は、実施例1と同様であるため説明を省略する。
【0054】
次に、スキャナユニット215がスキャナレディとなったところで、擬似BD信号415の補正値の算出を開始するとともに、シアンの画像形成を開始する(S308〜S311)。スキャナユニット215がスキャナレディではない場合、スキャナモータ立ち上げ異常処理を行う(S308、S316)。スキャナモータ立ち上げ異常処理は、直ちに画像形成動作を停止し、故障である旨をプリンタに具備された表示パネルに表示する、あるいはプリンタに接続されたホストコンピュータへ報知する。
【0055】
次に、ブラックの画像形成開始タイミングまでに擬似BD信号415の補正値の算出が完了している場合は、ブラックの画像形成を開始する(S312〜S314)。
以上の処理により、カラー画像が形成される。
【0056】
以上説明したように、本実施例では、スキャナユニットを2つ有し、ユニット毎に、BD信号と擬似BD信号によって主走査方向の画像合わせを行う構成において、擬似BD信号の補正値の算出完了前に画像形成を開始する構成をユニット毎に採用している。これにより、ファーストプリントアウトタイムを短縮することができる。
【符号の説明】
【0057】
LD1,LD2,LD3,LD4(101,102,103,104)…レーザダイオード、105…ポリゴンミラー、110…BDセンサ、201…プリンタ、301〜304…感光ドラム、402…ASIC、403…CPU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12