【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、その第1の局面は次のように規定される。即ち、
第1のエリア内における所定条件を満たす対象リンクを含むリンクに関する情報を含む地図データを格納する第1の地図データベースと、
車両が走行した走行履歴を、該走行した際に取得された走行画像と関連付けて蓄積する走行履歴データベースと、
前記取得された走行画像を前記対象リンク毎に画像処理する画像処理部と、
前記画像処理の結果に基づいて、前記画像処理された対象リンクのうち、再走行を要する要再走リンクを特定する要再走リンク特定部と、
前記第1の地図データベースを参照して、目的地までの経路であって、前記特定された要再走リンクを含む経路を探索する経路探索部と、
を備える、経路探索装置。
【0006】
このように規定される第1の局面の経路探索装置によれば、対象リンクに対応する走行履歴に関連付けて蓄積された走行画像を処理して、該処理結果に基づき該対象リンクを要再走リンクと特定する。そして、特定された要再走リンクを含む経路となるよう経路探索する。このように走行画像を画像処理して、再度走行を要するリンクであるか否か自動的に判定する。すなわち、上記画像処理結果の結果、当該走行画像が地図データ作成に利用でないと判定されるとき、該走行画像が関連付けられた走行履歴に対応する対象リンクを要再走リンクと特定する。このように走行画像を処理することにより、自動的に該走行画像の利用可否、そして再度走行すべき道路が特定できるため、走行現調の効率性を向上させることができる。
【0007】
ここでリンクとは、道路ネットワークデータの構成要素であって、一般に道路の交差点等に対応するノード−ノード間を結ぶ道路に対応して生成されたデータをいう。対象リンクとは、通常の地図データベースに含まれるリンクのうち、経路の対象となるリンクであり、例えばリンク属性等を基準として選択される。このようなリンク属性としては、例えば、リンク幅、リンク種別、車線数、路線番号等が挙げられる。詳細には、リンク幅が所定閾値以上であるリンク、リンク種別が幹線道路、高速道路であるリンク、車線数が所定閾値以上であるリンク等が対象リンクとして選択される。当該対象リンクは、上記リンク属性を基準として選択される他、オペレータの手動により選択することとしても良い。
【0008】
この発明の第2の局面は次のように規定される。即ち、
第1の局面に規定の経路探索装置において、前記走行履歴に基づいて、前記第1の地図データベース内の前記対象リンクのうち走行済みリンクを特定する走行済みリンク特定部と、
前記特定された走行済みリンクのうち前記特定された要再走リンクを除く走行済みリンクを、前記第1の地図データベース内の前記対象リンクから消し込む対象となる消込みリンクとして特定する消込みリンク特定部と、
前記第1の地図データベース内の前記対象リンクから前記特定された消込みリンクを消し込むことにより、前記第1の地図データベースを更新する地図データベース更新部と、を備え、
前記経路探索部は、前記更新された第1の地図データベースを参照して、前記第1のエリア内の前記対象リンクを巡回する経路を探索する。
【0009】
このように規定される第2の局面の経路探索装置によれば、地図データベース内に格納される所定エリア内の巡回対象リンクから、車両の走行履歴に基づいて走行済みリンクを特定し、さらに該走行済みリンクのうち上記要再走リンクを特定する。そして、上記地図データベース内の巡回対象リンクから、要再走リンク以外の走行済みリンクを消し込むことにより、上記地図データベースを更新し、該更新された地図データベースを参照して、未走行リンク及び要再走リンクを巡回可能な巡回経路を探索する。このように走行履歴に基づき再度走行する必要のない走行済みリンクを特定することにより、再度の走行を必要としない走行済みリンクと、走行を要するリンク(要再走リンク及び未走行リンク)とが峻別された地図データベースを提供することができる。また、更新された地図データベースに基づき、要再走リンク及び未走行リンクを巡回可能な経路を提供することができる。当該地図データベースの更新及び走行を要するリンクを巡回するための再経路探索は、自動的に行われるため、運転者は運転に注力でき安全性も確保できる。
【0010】
走行済みリンクとは、車両により走行されたリンクである。好ましくは、前記対象リンクの一方の端点から他方の端点までを完走した対象リンクを前記走行済みリンクとして特定することとできる(第4の局面)。このような装置によれば、当該対象リンク全域にわたる情報を取得することができ、より綿密な地図データベースを作成することができる。走行済みリンクの他の例としては、一の対象リンクにおいて所定割合以上(例えば、50%以上)走行されているリンクを走行済みリンクとしても良い。また、別の例として、一の対象リンクの一部を走行した場合において、その走行した部分について走行済みである旨の情報を、対象リンクに付与することで走行済みリンクとすることとしても良い。例えば、走行履歴が対象リンクから逸脱した座標に基づき、当該逸脱点までを走行済みとしたり、対象リンクのリンク形状に反してハンドル操作を行った場合に当該操作を行った座標に基づき、当該操作地点までを走行済みとすることとできる。この場合、上記消込みリンク特定部は、該走行済みリンク中の走行済み部分に基づいて消込みリンクと特定することとできる。
巡回経路とは、上記第1のエリア内に存在する対象リンクをより効率良く巡回するための経路であり、このような巡回経路として、例えば、該エリア内の対象リンクを一筆書きの要領で走行する経路や、該エリア内においてより多くの対象リンクを走行しつつ同一の対象リンクを走行する回数を極力抑えた経路等が挙げられる。
【0011】
所定エリア内において未走行リンクが少なくなったとき、すなわち、走行済みリンクの割合が大きくなったときには、該未走行リンクのみを巡回するよう経路を探索することは効率性に欠けることとなる。
そこで、この発明の第3の局面は次のように規定される。即ち、
第2の局面に規定の経路探索装置において、第2のエリア内における所定条件を満たす対象リンクに関する情報を含む地図データを格納する第2の地図データベースと、
前記第1のエリア内の前記対象リンクに対する前記消込みリンクの割合を算出する割合算出部と、を備え、
前記経路探索部は、前記算出された割合が所定閾値以上であるとき、前記更新された第1の地図データベース及び前記第2の地図データベースを参照して、前記経路を探索する。
このように規定される第3の局面の経路探索装置によれば、所定エリア内の消込みリンクの割合を算出し、該割合が所定閾値以上であるとき、該エリアに隣接するエリアを含めて巡回経路を探索するため、走行現調の効率性が向上する。
【0012】
上述のとおり、夕暮れや悪天候時、車両前方にトラックが走行している時などには、画像全体が暗くて不鮮明だったり、トラックの荷台が映り続けていたりと、走行現調において好ましくない。
そこで、この発明の第5の局面は次のように規定される。即ち、
第1〜第4のいずれかの局面に規定の経路探索装置において、前記画像処理部は、
前記走行履歴データベースから、一の前記対象リンクに関連付けられた前記走行画像のうち、第1のフレーム画像及び該第1のフレーム画像と時間的に連続する第2のフレーム画像とを抽出するフレーム画像抽出部と、
前記第1のフレーム画像における第1の比較領域と、前記第2のフレーム画像における前記第1の比較領域に対応する第2の比較領域とを選択する比較領域選択部と、
前記選択された第1の比較領域及び第2の比較領域の変化量を検出する変化量検出部と、を備え、
前記要再走リンク特定部は、前記検出された変化量が所定閾値以下であるとき、前記対象リンクを要再走リンクとして特定する。
【0013】
このように規定される第5の局面に規定の経路探索装置によれば、走行画像から複数のフレーム画像を抽出し、両フレーム画像の対応する比較領域間における変化量を検出し、該検出された変化量が所定閾値以下であることをもって対象リンクを要再走リンクとして特定する。
ここで、比較領域とは、フレーム画像間の変化を検出するためにフレーム画像内から選択される領域をいう。
【0014】
また、この発明の第6の局面は次のように規定される。即ち、
第1のエリア内における所定条件を満たす対象リンクを含むリンクに関する情報を含む地図データを第1の地図データベースに格納する第1の格納ステップと、
車両が走行した走行履歴を、該走行した際に取得された走行画像と関連付けて走行履歴データベースに蓄積する蓄積ステップと、
画像処理部が、前記取得された走行画像を前記対象リンク毎に画像処理する画像処理ステップと、
要再走リンク特定部が、前記画像処理の結果に基づいて、前記画像処理された対象リンクのうち、再走行を要する要再走リンクを特定する要再走リンク特定ステップと、
経路探索部が、前記第1の地図データベースを参照して、目的地までの経路であって、前記特定された要再走リンクを含む経路を探索する経路探索ステップと、
を備える、経路探索方法。
このように規定される第6の局面の発明によれば、第1の局面と同等の効果を奏する。
【0015】
この発明の第7の局面は次のように規定される。即ち、
第6の局面に規定の方法において、走行済みリンク特定部が、前記走行履歴に基づいて、前記第1の地図データベース内の前記対象リンクのうち走行済みリンクを特定する走行済みリンク特定ステップと、
消込みリンク特定部が、前記特定された走行済みリンクのうち前記特定された要再走リンクを除く走行済みリンクを、前記第1の地図データベース内の前記対象リンクから消し込む対象となる消込みリンクとして特定する消込みリンク特定ステップと、
地図データベース更新部が、前記第1の地図データベース内の前記対象リンクから前記特定された消込みリンクを消し込むことにより、前記第1の地図データベースを更新する地図データベース更新ステップと、を備え、
前記経路探索ステップでは、前記更新された第1の地図データベースを参照して、前記第1のエリア内の前記対象リンクを巡回する経路を探索する。
このように規定される第7の局面の発明によれば、第2の局面と同等の効果を奏する。
【0016】
この発明の第8の局面は次のように規定される。即ち、
第7の局面に規定の方法において、第2のエリア内における所定条件を満たす対象リンクに関する情報を含む地図データを第2の地図データベースに格納する第2の格納ステップと、
割合算出部が、前記第1のエリア内の前記対象リンクに対する前記消込みリンクの割合を算出する割合算出ステップと、を備え、
前記経路探索ステップでは、前記算出された割合が所定閾値以上であるとき、前記更新された第1の地図データベース及び前記第2の地図データベースを参照して、前記経路を探索する。
このように規定される第8の局面の発明によれば、第3の局面と同等の効果を奏する。
【0017】
この発明の第9の局面は次のように規定される。即ち、
第7又は第8の局面に規定の方法において、前記走行済みリンク特定ステップでは、前記対象リンクの一方の端点から他方の端点までを完走した対象リンクを前記走行済みリンクとして特定する。
このように規定される第9の局面の発明によれば、第4の局面と同等の効果を奏する。
【0018】
この発明の第10の局面は次のように規定される。即ち、
第6〜第9のいずれかの局面に規定の方法において、前記画像処理ステップは、
フレーム画像抽出部が、前記走行履歴データベースから、一の前記対象リンクに関連付けられた前記走行画像のうち、第1のフレーム画像及び該第1のフレーム画像と時間的に連続する第2のフレーム画像とを抽出するフレーム画像抽出ステップと、
比較領域選択部が、前記第1のフレーム画像における第1の比較領域と、前記第2のフレーム画像における前記第1の比較領域に対応する第2の比較領域とを選択する比較領域選択ステップと、
変化量検出部が、前記選択された第1の比較領域及び第2の比較領域の変化量を検出する変化量検出ステップと、を備え、
前記要再走リンク特定ステップでは、前記検出された変化量が所定閾値以下であるとき、前記対象リンクを要再走リンクとして特定する、
請求項6〜9のいずれか一項に記載の経路探索方法。
このように規定される第10の局面の発明によれば、第5の局面と同等の効果を奏する。
【0019】
更に、この発明の第11の局面は次のように規定される。即ち、
経路を探索するためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、
第1のエリア内における所定条件を満たす対象リンクを含むリンクに関する情報を含む地図データを第1の地図データベースに格納する第1の格納手段と、
車両が走行した走行履歴を、該走行した際に取得された走行画像と関連付けて走行履歴データベースに蓄積する蓄積手段と、
前記取得された走行画像を前記対象リンク毎に画像処理する画像処理手段と、
前記画像処理の結果に基づいて、前記画像処理された対象リンクのうち、再走行を要する要再走リンクを特定する要再走リンク特定手段と、
前記第1の地図データベースを参照して、目的地までの経路であって、前記特定された要再走リンクを含む経路を探索する経路探索手段、
として機能させる、コンピュータプログラム。
このように規定される第11の局面の発明によれば、第1の局面と同等の効果を奏する。
【0020】
この発明の第12の局面は次のように規定される。即ち、
第11の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記コンピュータを、更に、
前記走行履歴に基づいて、前記第1の地図データベース内の前記対象リンクのうち走行済みリンクを特定する走行済みリンク特定手段と、
前記特定された走行済みリンクのうち前記特定された要再走リンクを除く走行済みリンクを、前記第1の地図データベース内の前記対象リンクから消し込む対象となる消込みリンクとして特定する消込みリンク特定手段と、
前記第1の地図データベース内の前記対象リンクから前記特定された消込みリンクを消し込むことにより、前記第1の地図データベースを更新する地図データベース更新手段、として機能させ、
前記経路探索手段は、前記更新された第1の地図データベースを参照して、前記第1のエリア内の前記対象リンクを巡回する経路を探索する。
このように規定される第12の局面の発明によれば、第2の局面と同等の効果を奏する。
【0021】
この発明の第13の局面は次のように規定される。即ち、
第12の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記コンピュータを、更に、
第2のエリア内における所定条件を満たす対象リンクに関する情報を含む地図データを第2の地図データベースに格納する第2の格納手段と、
前記第1のエリア内の前記対象リンクに対する前記消込みリンクの割合を算出する割合算出手段、として機能させ、
前記経路探索手段は、前記算出された割合が所定閾値以上であるとき、前記更新された第1の地図データベース及び前記第2の地図データベースを参照して、前記経路を探索する。
このように規定される第13の局面の発明によれば、第3の局面と同等の効果を奏する。
【0022】
この発明の第14の局面は次のように規定される。即ち、
第12又は第13の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記走行済みリンク特定手段は、前記対象リンクの一方の端点から他方の端点までを完走した対象リンクを前記走行済みリンクとして特定する。
このように規定される第14の局面の発明によれば、第4の局面と同等の効果を奏する。
【0023】
この発明の第15の局面は次のように規定される。即ち、
第11〜第14の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記画像処理手段は、
前記走行履歴データベースから、一の前記対象リンクに関連付けられた前記走行画像のうち、第1のフレーム画像及び該第1のフレーム画像と時間的に連続する第2のフレーム画像とを抽出するフレーム画像抽出手段と、
前記第1のフレーム画像における第1の比較領域と、前記第2のフレーム画像における前記第1の比較領域に対応する第2の比較領域とを選択する比較領域選択手段と、
前記選択された第1の比較領域及び第2の比較領域の変化量を検出する変化量検出手段と、を備え、
前記要再走リンク特定手段は、前記検出された変化量が所定閾値以下であるとき、前記対象リンクを要再走リンクとして特定する。
このように規定される第15の局面の発明によれば、第5の局面と同等の効果を奏する。
【0024】
第11〜第15のいずれかの局面に規定されるコンピュータプログラムを記録する記録媒体が第16の局面として規定される。