(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、レジスト用樹脂等に応用した場合に耐薬品性等の安定性を保持しつつ、有機溶剤に対する溶解性に優れるとともに、水に対する親和性が高く、それ故加水分解後の水に対する溶解性に優れる高機能性高分子等のモノマー成分等として有用な新規なラクトン骨格を含む単量体とその製造方法、前記単量体を重合して得られる樹脂、及びフォトレジスト用組成物ならびに半導体の製造方法を提供することにある。本発明の更なる目的は、フォトレジスト用樹脂として使用した場合に、エッチング耐性、アルカリ現像液に対する親和性、溶剤溶解性などの性能のバランスに優れるフォトレジスト樹脂及びその組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、フォトレジスト樹脂に使用されるラクトン骨格を有する単量体を種々検討した結果、樹脂にした場合に溶剤溶解性が良好で、水に対する親和性が高く、アルカリ加水分解後における水に対する溶解性に優れ、高いレジスト性能を示す単量体を見出すに至り、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、下記式(1)
【化1】
[式中、R
aは水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、R
1は環に結合している置換基であって、ハロゲン原子、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基部分が保護基で保護されていてもよく且つハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、塩を形成していてもよいカルボキシル基、又は置換オキシカルボニル基を示す。Aは炭素数1〜6のアルキレン基、酸素原子、硫黄原子又は非結合を示す。mはR
1の個数であって0〜8の整数を示す。Xは下記式(2)
【化2】
(式中、R
b、R
cはそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を示す。R
b、R
cは互いに結合して、式中に示される窒素原子とともに環を形成していてもよい)
で表されるカルバモイル基を示す。nは環に結合しているXの個数であって1〜9の整数を示す。Yは炭素数1〜6の2価の有機基を示す。kは0又は1を示す。CH
2=C(R
a)CO−(O−Y−CO)
k−O−基の立体的な位置はエンド、エキソの何れであってもよい]
で表されるカルバモイル基及びラクトン骨格を含む単量体を提供する。
【0008】
前記単量体には、下記式(1a)
【化3】
[式中、R
aは水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、R
1は環に結合している置換基であって、ハロゲン原子、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基部分が保護基で保護されていてもよく且つハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、塩を形成していてもよいカルボキシル基、又は置換オキシカルボニル基を示す。Aは炭素数1〜6のアルキレン基、酸素原子、硫黄原子又は非結合を示す。mはR
1の個数であって0〜8の整数を示す。Xは下記式(2)
【化4】
(式中、R
b、R
cはそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を示す。R
b、R
cは互いに結合して、式中に示される窒素原子とともに環を形成していてもよい)
で表されるカルバモイル基を示す。Yは炭素数1〜6の2価の有機基を示す。kは0又は1を示す。CH
2=C(R
a)CO−(O−Y−CO)
k−O−基の立体的な位置はエンド、エキソの何れであってもよい]
で表される化合物が含まれる。
【0009】
本発明は、また、下記式(I)
【化5】
[式中、R
aは水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、R
1は環に結合している置換基であって、ハロゲン原子、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基部分が保護基で保護されていてもよく且つハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、塩を形成していてもよいカルボキシル基、又は置換オキシカルボニル基を示す。Aは炭素数1〜6のアルキレン基、酸素原子、硫黄原子又は非結合を示す。mはR
1の個数であって0〜8の整数を示す。Xは下記式(2)
【化6】
(式中、R
b、R
cはそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を示す。R
b、R
cは互いに結合して、式中に示される窒素原子とともに環を形成していてもよい)
で表されるカルバモイル基を示す。nは環に結合しているXの個数であって1〜9の整数を示す。Yは炭素数1〜6の2価の有機基を示す。kは0又は1を示す。CH
2=C(R
a)CO−(O−Y−CO)
k−O−基の立体的な位置はエンド、エキソの何れであってもよい]
で表されるモノマー単位を少なくとも有する高分子化合物を提供する。
【0010】
前記式(I)で表されるモノマー単位には、下記式(Ia)
【化7】
[式中、R
aは水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、R
1は環に結合している置換基であって、ハロゲン原子、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基部分が保護基で保護されていてもよく且つハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、塩を形成していてもよいカルボキシル基、又は置換オキシカルボニル基を示す。Aは炭素数1〜6のアルキレン基、酸素原子、硫黄原子又は非結合を示す。mはR
1の個数であって0〜8の整数を示す。Xは下記式(2)
【化8】
(式中、R
b、R
cはそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を示す。R
b、R
cは互いに結合して、式中に示される窒素原子とともに環を形成していてもよい)
で表されるカルバモイル基を示す。Yは炭素数1〜6の2価の有機基を示す。kは0又は1を示す。CH
2=C(R
a)CO−(O−Y−CO)
k−O−基の立体的な位置はエンド、エキソの何れであってもよい]
で表されるモノマー単位が含まれる。
【0011】
前記高分子化合物は、式(I)で表されるモノマー単位に加えて、さらに、酸の作用により脱離してアルカリ可溶となるモノマー単位を少なくとも有していてもよい。
【0012】
前記酸の作用により脱離してアルカリ可溶となるモノマー単位は、下記式(Va)〜(Vd)
【化9】
(式中、環Z
1は置換基を有していてもよい炭素数3〜20の脂環式炭化水素環を示す。R
aは水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す。R
2〜R
4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す。R
5は環Z
1に結合している置換基であって、同一又は異なって、オキソ基、アルキル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、又は保護基で保護されていてもよいカルボキシル基を示す。但し、p個のR
5のうち少なくとも1つは、−COOR
d基を示す。前記R
dは置換基を有していてもよい第3級炭化水素基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、又はオキセパニル基を示す。pは1〜3の整数を示す。R
6、R
7は、同一又は異なって、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す。R
8は水素原子又は有機基を示す。R
6、R
7、R
8のうち少なくとも2つが互いに結合して隣接する原子とともに環を形成していてもよい)
から選ばれるモノマー単位であってもよい。
【0013】
前記高分子化合物は、式(I)で表されるモノマー単位に加えて、さらに、少なくとも1つの置換基を有する脂環式骨格を含有するモノマー単位を少なくとも有していてもよい。
【0014】
前記少なくとも1つの置換基を有する脂環式骨格を含有するモノマー単位には、下記式(VI)
【化10】
(式中、環Z
2は炭素数6〜20の脂環式炭化水素環を示す。R
aは水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す。R
9は環Z
2に結合している置換基であって、同一又は異なって、オキソ基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロゲン原子、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいメルカプト基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、又は保護基で保護されていてもよいスルホン酸基を示す。qはR
9の個数であって1〜5の整数を示す)
から選ばれるモノマー単位が含まれる。
【0015】
前記高分子化合物は、式(I)で表されるモノマー単位と、酸の作用により脱離してアルカリ可溶となるモノマー単位と、ヒドロキシル基及びヒドロキシメチル基から選択された置換基を少なくとも1つ有する脂環式骨格を含有するモノマー単位とを少なくとも有していてもよい。
【0016】
前記高分子化合物は、式(I)で表されるモノマー単位に加えて、さらに、前記式(I)で表されるモノマー単位以外のラクトン骨格を有するモノマー単位を少なくとも有していてもよい。
【0017】
本発明は、さらに、前記高分子化合物と光酸発生剤とを少なくとも含むフォトレジスト組成物を提供する。
【0018】
本発明は、さらにまた、前記フォトレジスト組成物を使用してパターンを形成することを特徴とする半導体の製造方法を提供する。
【0019】
本発明は、また、下記式(1)
【化11】
[式中、R
aは水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、R
1は環に結合している置換基であって、ハロゲン原子、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基部分が保護基で保護されていてもよく且つハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、塩を形成していてもよいカルボキシル基、又は置換オキシカルボニル基を示す。Aは炭素数1〜6のアルキレン基、酸素原子、硫黄原子又は非結合を示す。mはR
1の個数であって0〜8の整数を示す。Xは下記式(2)
【化12】
(式中、R
b、R
cはそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を示す。R
b、R
cは互いに結合して、式中に示される窒素原子とともに環を形成していてもよい)
で表されるカルバモイル基を示す。nは環に結合しているXの個数であって1〜9の整数を示す。Yは炭素数1〜6の2価の有機基を示す。kは0又は1を示す。CH
2=C(R
a)CO−(O−Y−CO)
k−O−基の立体的な位置はエンド、エキソの何れであってもよい]
で表されるカルバモイル基及びラクトン骨格を含む単量体の製造方法であって、下記式(3)
【化13】
[式中、R
1は環に結合している置換基であって、ハロゲン原子、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基部分が保護基で保護されていてもよく且つハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、塩を形成していてもよいカルボキシル基、又は置換オキシカルボニル基を示す。Aは炭素数1〜6のアルキレン基、酸素原子、硫黄原子又は非結合を示す。mはR
1の個数であって0〜8の整数を示す。nは環に結合しているシアノ基の個数であって1〜9の整数を示す。R
eは水素原子又は有機基を示す。R
eO−基の立体的な位置はエンド、エキソの何れであってもよい]
で表されるシアノ基含有ラクトン化合物を、下記式(4)
【化14】
[式中、R
1は環に結合している置換基であって、ハロゲン原子、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基部分が保護基で保護されていてもよく且つハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、塩を形成していてもよいカルボキシル基、又は置換オキシカルボニル基を示す。Aは炭素数1〜6のアルキレン基、酸素原子、硫黄原子又は非結合を示す。mはR
1の個数であって0〜8の整数を示す。Xは下記式(2)
【化15】
(式中、R
b、R
cはそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を示す。R
b、R
cは互いに結合して、式中に示される窒素原子とともに環を形成していてもよい)
で表されるカルバモイル基を示す。nは環に結合しているXの個数であって1〜9の整数を示す。R
eは水素原子又は有機基を示す。R
eO−基の立体的な位置はエンド、エキソの何れであってもよい]
で表されるカルバモイル基含有ラクトン化合物に転化する工程を少なくとも含むことを特徴とするカルバモイル基及びラクトン骨格を含む単量体の製造方法を提供する。
【0020】
なお、6−オキサビシクロ[3.2.1
1,5]オクタン環における位置番号、及び3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン環における位置番号を下記に示す(前者が左、後者が右)。
【化16】
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、高分子化合物に誘導した場合に耐薬品性等の安定性を保持しつつ、有機溶剤に対する溶解性に優れるとともに、水に対する親和性に優れる、高機能性高分子化合物のモノマー成分として有用な新規なラクトン骨格を含む多環式エステル基を有する単量体とその製造方法、前記単量体を重合して得られる高分子化合物、及びフォトレジスト用組成物ならびに半導体の製造方法が提供される。特に、本発明のラクトン骨格を含む単量体はラクトン骨格を含む多環式骨格にカルバモイル基を導入したことにより、アルカリ現像液への溶解性が大きく改善され、該単量体由来のモノマー単位を含むポリマーをフォトレジスト用樹脂として使用した場合に、エッチング耐性、アルカリ現像液に対する親和性、溶剤溶解性などの性能がバランスよく具わり、半導体の製造においてより鮮明なパターンを画くことを可能とした。これは、カルバモイル基(アミド基)を有する化合物のSP値が非常に高いことによるが、カルバモイル基はCN基より高極性でしかも水素結合能力があるため、レジスト膜中で高極性部分が集まって現像液が浸透するルートができる現象が起きやすくなる。このため、例え分子全体の平均極性であるSP値がCN基を有する化合物と同等か又は多少低い場合であっても、カルバモイル基を有する化合物を単量体成分として用いた樹脂によればより鮮明なパターンが形成される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[カルバモイル基及びラクトン骨格を含む単量体]
本発明のカルバモイル基及びラクトン骨格を含む単量体(6−オキサビシクロ[3.2.1
1,5]オクタン−7−オン誘導体及び3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オン誘導体等)は前記式(1)で表される。式(1)中、R
aは水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、R
1は環[6−オキサビシクロ[3.2.1
1,5]オクタン環(Aが非結合の場合)、3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン環(Aがメチレン基の場合)等]に結合している置換基であって、ハロゲン原子、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基部分が保護基で保護されていてもよく且つハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、塩を形成していてもよいカルボキシル基、又は置換オキシカルボニル基を示す。Aは炭素数1〜6のアルキレン基、酸素原子、硫黄原子又は非結合を示す。mはR
1の個数であって0〜8の整数を示す。Xは前記式(2)で表される置換若しくは無置換のカルバモイル基を示す。nは環[6−オキサビシクロ[3.2.1
1,5]オクタン環(Aが非結合の場合)、3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン環(Aがメチレン基の場合)等]に結合しているXの個数であって1〜9の整数を示す。Yは炭素数1〜6の2価の有機基を示す。kは0又は1を示す。CH
2=C(R
a)CO−(O−Y−CO)
k−O−基の立体的な位置はエンド、エキソの何れであってもよい。
【0023】
式中、Xは前記式(2)で表される置換若しくは無置換のカルバモイル基を示す。式(2)中、R
b、R
cはそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を示す。なお、R
b、R
cは互いに結合して、式中に示される窒素原子とともに環を形成していてもよい。R
b、R
cにおける「置換基を有していてもよいアルキル基」の「アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2-エチルヘキシル、ノニル、デシル基などの炭素数1〜20(好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜6)のアルキル基などが挙げられる。前記「置換基を有していてもよいアルキル基」の「置換基」としては、例えば、フッ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、メトキシ基等のアルコキシ基(C
1-6アルコキシ基等)、カルボキシル基、メトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基(C
1-6アルコキシ−カルボニル基等)、アセチル基等のアシル基(C
1-6アシル基等)、シアノ基、フェニル基等のアリール基(C
6-14アリール基等)、ビニル基等のアルケニル基(C
2-6アルケニル基等)、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基(C
3-12シクロアルキル基等)、ニトロ基などが挙げられる。
【0024】
R
b、R
cが互いに結合して、式中に示される窒素原子とともに形成してもよい環としては、例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピペラジン環などの3〜12員(好ましくは5〜6員)の非芳香族性含窒素複素環が挙げられる。該環を構成する原子には置換基が結合していてもよい。このような置換基としては、前記R
b、R
cにおける「置換基を有していてもよいアルキル基」の「置換基」と同様の基のほか、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2-エチルヘキシル、ノニル、デシル基などの炭素数1〜20(好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜6)のアルキル基などが挙げられる。これらの置換基の中でも、メチル基等の炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。
【0025】
R
b、R
cとしては、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6(特に1〜4)のアルキル基が好ましい。また、R
b、R
cが互いに結合して、式中に示される窒素原子とともに5〜6員の非芳香族性含窒素複素環を形成するのも好ましい。さらに、R
b、R
cとしては、特に、共に水素原子である組み合わせ、一方が水素原子で、他方が炭素数1〜6(特に1〜4)のアルキル基である組み合わせが好ましい。
【0026】
式(1)に記載されたR
a、R
1としてのハロゲン原子には、例えば、フッ素、塩素、臭素原子などが含まれる。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル基などが挙げられる。これらの中でも、C
1-4アルキル基、特にメチル基が好ましい。ハロゲン原子を有する炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、クロロメチル基などのクロロアルキル基;トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル基などのフルオロアルキル基(好ましくは、C
1-3フルオロアルキル基)などが挙げられる。R
aにおける置換基を有する炭素数1〜6のアルキル基としては、前記ハロゲン原子を有する炭素数1〜6のアルキル基などが挙げられる。
【0027】
R
1における炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、6−ヒドロキシヘキシル基などが挙げられる。ハロゲン原子を有する炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基としては、例えば、ジフルオロヒドロキシメチル、1,1−ジフルオロ−2−ヒドロキシエチル、2,2−ジフルオロ−2−ヒドロキシエチル、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−ヒドロキシエチル基などが挙げられる。ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基の中でも、炭素数1又は2(特に炭素数1)のヒドロキシアルキル基若しくはヒドロキシハロアルキル基が好ましい。ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基のヒドロキシル基の保護基としては、有機合成の分野でヒドロキシル基の保護基として通常用いられる保護基、例えば、メチル基、メトキシメチル基等のヒドロキシル基を構成する酸素原子とともにエーテル又はアセタール結合を形成する基;アセチル基、ベンゾイル基等のヒドロキシル基を構成する酸素原子とともにエステル結合を形成する基などが挙げられる。カルボキシル基の塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩などが挙げられる。
【0028】
前記置換オキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、プロポキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基(C
1-4アルコキシ−カルボニル基等);ビニルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル基などのアルケニルオキシカルボニル基(C
2-4アルコキシ−カルボニル基等);シクロヘキシルオキシカルボニル基などのシクロアルキルオキシカルボニル基;フェニルオキシカルボニル基などのアリールオキシカルボニル基などが挙げられる。
【0029】
R
aとしては、水素原子、メチル基等のC
1-3アルキル基、トリフルオロメチル基等のC
1-3ハロアルキル基が好ましく、特に、水素原子又はメチル基が好ましい。また、R
1としては、メチル基やトリフルオロメチル基等の炭素数1〜3のアルキル基若しくはハロアルキル基、ヒドロキシ部分が保護基で保護されていてもよい炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基若しくはヒドロキシハロアルキル基(特に、ヒドロキシメチル基、アセトキシメチル基等の保護基で保護されていてもよいヒドロキシメチル基)、置換オキシカルボニル基などが好ましい。
【0030】
mは0〜8、好ましくは0〜6、さらに好ましくは0〜3である。R
1が複数個の場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。nは1〜9、好ましくは1〜5、さらに好ましくは1又は2である。Xが複数個の場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。Aが非結合の場合、置換基Xは、6−オキサビシクロ[3.2.1
1,5]オクタン環の1位、2位、3位、4位、5位、8位のどの位置に結合していてもよいが、1位(ラクトンのα位)又は2位が好ましく、中でも1位(ラクトンのα位)が特に好ましい。また、Aが炭素数1〜6のアルキレン基、酸素原子、又は硫黄原子の場合、置換基Xは、3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン環等の1位、4位、5位、6位、7位、8位、9位等のどの位置に結合していてもよいが、3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン環の1位若しくは9位(又はこれらに相当する位置)が好ましく、中でも1位(又はこれに相当する位置;ラクトンのα位)が特に好ましい。
【0031】
Aは炭素数1〜6のアルキレン基、酸素原子、硫黄原子又は非結合を示すが、炭素数1〜6のアルキレン基としては、例えば、アルキル基で置換されていてもよいメチレン基、アルキル基で置換されていてもよいエチレン基、アルキル基で置換されていてもよいプロピレン基が挙げられる。中でも、Aとして、炭素数1〜6のアルキレン基又は非結合が好ましい。
【0032】
Yは炭素数1〜6の2価の有機基を示す。2価の有機基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのアルキレン基(特に、C
1-6アルキレン基);ビニレンなどのアルケニレン基(特に、C
2-6アルケニレン基);シクロペンチレン、シクロヘキシレン基等のシクロアルケニレン基;これらの2以上が、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−;−OCO−)などの連結基を介して結合した2価の有機基などが挙げられる。特に、メチレン、エチレン、プロピレンなどが好ましい。これらの例示された基にはハロゲン原子、特にフッ素原子で置換されたものも有用である。
【0033】
式(1)で表されるカルバモイル基及びラクトン骨格を有する単量体の代表的な例として、下記式で表される1−置換(X)−6−オキサビシクロ[3.2.1
1,5]オクタン−7−オン化合物(各立体異性体を含む)、2−置換(X)−6−オキサビシクロ[3.2.1
1,5]オクタン−7−オン化合物(各立体異性体を含む)、1−置換(X)−5−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オン化合物(各立体異性体を含む)、9−置換(X)−5−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オン化合物(各立体異性体を含む)、及びこれらに対応する式(1)におけるAがメチレン基以外のアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子である化合物が挙げられる。式中、RはCH
2=C(R
a)CO−(O−Y−CO)
k−基を示し、Acはアセチル基を示す。置換基であるXは前記式(2)で表される置換若しくは無置換のカルバモイル基を示す。
【0036】
また、式(1)で表されるカルバモイル基及びラクトン骨格を有する単量体の好ましい例として、前記式(1a)で表される化合物が挙げられる。式(1a)で表される化合物は、式(1)で表されるカルバモイル基及びラクトン骨格を有する単量体において、カルバモイル基Xが、ラクトンのα位に結合している化合物である。
【0037】
前記式(1)で示されるカルバモイル基及びラクトン骨格を有する単量体は、前記式(3)で表されるシアノ基含有ラクトン化合物を、前記式(4)で表されるカルバモイル基含有ラクトン化合物に転化する工程を少なくとも経ることにより製造できる。
【0038】
式(3)中、R
1、A、mは前記に同じ。nは環に結合しているシアノ基の個数であって1〜9の整数を示す。R
eは水素原子又は有機基を示す。R
eO−基の立体的な位置はエンド、エキソの何れであってもよい。また、式(4)中、R
1、A、m、Xは前記に同じ。nは環に結合しているXの個数であって1〜9の整数を示す。R
eは水素原子又は有機基を示す。R
eO−基の立体的な位置はエンド、エキソの何れであってもよい。
【0039】
R
eにおける有機基としては、CH
2=C(R
a)CO−(O−Y−CO)
k−基、又は反応によりCH
2=C(R
a)CO−(O−Y−CO)
k−基に誘導できる基である(R
a、Y、kは前記に同じ)。反応によりCH
2=C(R
a)CO−(O−Y−CO)
k−基に誘導できる基として、例えば、Z
a−Y−CO−基(Z
aはハロゲン原子を示す)等が挙げられる。
【0040】
式(3)で表される代表的な化合物として、下記式(3a)〜(3c)で表される化合物が挙げられる。
【0042】
上記式中、R
a、R
1、A、m、n、Y、kは前記式(3)と同じ。Z
aはハロゲン原子を示す。該ハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素原子などが挙げられる。
【0043】
前記式(3a)〜(3c)で表される化合物は公知の製造法により合成できる(例えば、WO2009/107327参照)。
【0044】
式(3)で表されるシアノ基含有ラクトン化合物を式(4)で表されるカルバモイル基含有ラクトン化合物に転化(変換)する方法としては、ニトリルから酸アミドを合成する公知の方法を利用できる。例えば、(i)式(3)で表されるシアノ基含有ラクトン化合物を酸の存在下で加水分解する方法、(ii)式(3)で表されるシアノ基含有ラクトン化合物を二酸化マンガンの存在下で加水分解する方法[式(4)において、Xが−CONH
2である化合物が得られる](特開平9−24275号公報、特表2009−511241号公報、特表2010−510276号公報等参照)、(iii)式(3)で表されるシアノ基含有ラクトン化合物を硫酸の存在下でアルコール(R
bOH)と反応させる方法[式(4)において、Xが−CONHR
bである化合物が得られる]特開平8−109159号公報等参照)、(iv)式(3)で表されるシアノ基含有ラクトン化合物をアルカリ存在下で加水分解する方法[式(4)において、Xが−CONH
2である化合物が得られる]、(v)式(3)で表されるシアノ基含有ラクトン化合物をアルカリ性過酸化水素を作用させる方法[式(4)において、Xが−CONH
2である化合物が得られる]、(vi)式(3)で表されるシアノ基含有ラクトン化合物とアミン(HNR
bR
c)とを水の存在下で反応させる方法[式(4)において、Xが−CONR
bR
cである化合物が得られる]などが挙げられる。
【0045】
前記(i)の方法において、酸としては、塩酸、硫酸、ポリリン酸等の無機酸;p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等のスルホン酸類などが挙げられる。前記(iv)の方法において、アルカリとしては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物などが挙げられる。前記(v)の方法において、アルカリ性過酸化水素としては、炭酸カリウムと過酸化水素の組み合わせ等が挙げられる。前記(vi)の方法は、例えば、ルテニウム触媒[RuH
2(PPh
3)
4等]の存在下で行われる。
【0046】
式(3)で表される化合物として式(3a)で表される化合物を用いた場合には、式(3a)中のシアノ基を式(2)で表されるカルバモイル基に変換して、対応する式(4)で表される化合物とした後、好ましくは塩基(トリエチルアミン等の第三級アミンなど)の存在下、CH
2=C(R
a)CO−Z
bで表される酸ハライド(Z
bはハロゲン原子を示す)と反応させることにより、前記式(1)において、k=0である化合物を製造できる。Z
bにおけるハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素原子などが挙げられる。
【0047】
式(3)で表される化合物として式(3b)で表される化合物を用いた場合には、式(3b)中のシアノ基を式(2)で表されるカルバモイル基に変換して、対応する式(4)で表される化合物とした後、好ましくは塩基(トリエチルアミン等の第三級アミンなど)の存在下、CH
2=C(R
a)COOHで表されるカルボン酸と反応させることにより、前記式(1)において、k=1である化合物を製造できる。
【0048】
また、式(3)で表される化合物として式(3c)で表される化合物を用いた場合には、式(3c)中のシアノ基を式(2)で表されるカルバモイル基に変換することにより、対応する式(4)で表される化合物、すなわち前記式(1)で表される化合物を製造できる。
【0049】
反応で生成した式(4)で表される化合物、式(1)で表される化合物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段により、又はこれらを組み合わせることにより分離精製できる。
【0050】
[高分子化合物]
本発明の高分子化合物は上記式(1)で表されるカルバモイル基及びラクトン骨格を含む単量体に対応するモノマー単位(繰り返し単位)、すなわち前記式(I)で表されるモノマー単位を含んでいる。該モノマー単位は1種又は2種以上含んでいてもよい。このような高分子化合物は、上記式(1)で表されるカルバモイル基及びラクトン骨格を含む単量体を重合に付すことにより得ることができる。
【0051】
式(I)で表されるモノマー単位は、式(2)で表されるカルバモイル基が結合した6−オキサビシクロ[3.2.1
1,5]オクタン−7−オン骨格、又は式(2)で表されるカルバモイル基が結合した3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オン骨格等を有しており、例えば、シアノ基を有する6−オキサビシクロ[3.2.1
1,5]オクタン−7−オン骨格や、シアノ基を有する3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オン骨格を有する単位と比較して、水に対する親和性が高い。そのため、本発明の高分子化合物は、水に対する親和性が必要とされる分野で用いられる高機能性ポリマー、特にフォトレジスト用樹脂として有用である。
【0052】
本発明の高分子化合物は、用途や要求される機能に応じて、式(I)で表されるモノマー単位に加えて、他のモノマー単位を有していてもよい。このような他のモノマー単位は、該他のモノマー単位に対応する重合性不飽和単量体を前記式(1)で表されるカルバモイル基及びラクトン骨格を含む単量体と共重合することにより形成できる。
【0053】
上記他のモノマー単位として、酸の作用により脱離してアルカリ可溶となるモノマー単位、例えば、前記式(Va)、(Vb)、(Vc)、(Vd)で表されるモノマー単位が挙げられる。式(Va)、(Vb)、(Vc)、(Vd)で表されるモノマー単位に対応する重合性不飽和単量体は、それぞれ、下記式(5a)、(5b)、(5c)、(5d)で表される。
【0055】
上記式中、環Z
1は置換基を有していてもよい炭素数3〜20の脂環式炭化水素環を示す。R
aは前記に同じ。R
2〜R
4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す。R
5は環Z
1に結合している置換基であって、同一又は異なって、オキソ基、アルキル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、又は保護基で保護されていてもよいカルボキシル基を示す。但し、p個のR
5のうち少なくとも1つは、−COOR
d基を示す。前記R
dは置換基を有していてもよい第3級炭化水素基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、又はオキセパニル基を示す。pは1〜3の整数を示す。R
6、R
7は、同一又は異なって、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す。R
8は水素原子又は有機基を示す。R
6、R
7、R
8のうち少なくとも2つが互いに結合して隣接する原子とともに環を形成していてもよい。
【0056】
式(5a)〜(5c)中、環Z
1における炭素数3〜20の脂環式炭化水素環は単環であっても、縮合環や橋かけ環等の多環であってもよい。代表的な脂環式炭化水素環として、例えば、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環、シクロデカン環、アダマンタン環、ノルボルナン環、ノルボルネン環、ボルナン環、イソボルナン環、パーヒドロインデン環、デカリン環、パーヒドロフルオレン環(トリシクロ[7.4.0.0
3,8]トリデカン環)、パーヒドロアントラセン環、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン環、トリシクロ[4.2.2.1
2,5]ウンデカン環、テトラシクロ[4.4.0.1
2,5.1
7,10]ドデカン環などが挙げられる。脂環式炭化水素環には、メチル基等のアルキル基(例えば、C
1-4アルキル基など)、塩素原子等のハロゲン原子、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、オキソ基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基などの置換基を有していてもよい。環Z
1は例えばアダマンタン環等の多環の脂環式炭化水素環(橋かけ環式炭化水素環)であるのが好ましい。
【0057】
式(5a)、(5b)、(5d)中のR
2〜R
4、R
6、R
7における置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル基などの直鎖状又は分岐鎖状の炭素1〜6のアルキル基;トリフルオロメチル基等の炭素1〜6のハロアルキル基などが挙げられる。式(5c)中、R
5におけるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル基などの直鎖状又は分岐鎖状の炭素1〜20程度のアルキル基が挙げられる。R
5における保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基としては、例えば、ヒドロキシル基、置換オキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ基等のC
1-4アルコキシ基など)などが挙げられる。保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基としては、前記保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基が炭素数1〜6のアルキレン基を介して結合している基などが挙げられる。保護基で保護されていてもよいカルボキシル基としては、−COOR
f基などが挙げられる。前記R
fは水素原子又はアルキル基を示し、アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル基などの直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6のアルキル基などが挙げられる。R
5において、−COOR
d基のR
dにおける第3級炭化水素基としては、例えば、t−ブチル、t−アミル、2−メチル−2−アダマンチル、(1−メチル−1−アダマンチル)エチル基などが挙げられる。テトラヒドロフラニル基には2−テトラヒドロフラニル基が、テトラヒドロピラニル基には2−テトラヒドロピラニル基が、オキセパニル基には2−オキセパニル基が含まれる。
【0058】
R
8における有機基としては、炭化水素基及び/又は複素環式基を含有する基が挙げられる。炭化水素基には脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基及びこれらが2以上結合した基が含まれる。脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル基等の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基(C
1-8アルキル基等);アリル基等の直鎖状または分岐鎖状のアルケニル基(C
2-8アルケニル基等);プロピニル基等の直鎖状または分岐鎖状のアルキニル基(C
2-8アルキニル基等)などが挙げられる。脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基(3〜8員シクロアルキル基等);シクロペンテニル、シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基(3〜8員シクロアルケニル基等);アダマンチル、ノルボルニル基等の橋架け炭素環式基(C
4-20橋架け炭素環式基等)などが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル、ナフチル基等のC
6-14芳香族炭化水素基などが挙げられる。脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とが結合した基としては、ベンジル、2−フェニルエチル基などが挙げられる。これらの炭化水素基は、アルキル基(C
1-4アルキル基等)、ハロアルキル基(C
1-4ハロアルキル基等)、ハロゲン原子、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシメチル基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、オキソ基などの置換基を有していてもよい。保護基としては有機合成の分野で慣用の保護基を使用できる。
【0059】
前記複素環式基としては、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択された少なくとも1種のヘテロ原子を含む複素環式基が挙げられる。
【0060】
好ましい有機基として、C
1-8アルキル基、環式骨格を含む有機基等が挙げられる。前記環式骨格を構成する「環」には、単環又は多環の非芳香族性又は芳香族性の炭素環又は複素環が含まれる。なかでも、単環又は多環の非芳香族性炭素環、ラクトン環(非芳香族性炭素環が縮合していてもよい)が特に好ましい。単環の非芳香族性炭素環として、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環などの3〜15員程度のシクロアルカン環などが挙げられる。
【0061】
多環の非芳香族性炭素環(橋架け炭素環)として、例えば、アダマンタン環;ノルボルナン環、ノルボルネン環、ボルナン環、イソボルナン環、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン環、テトラシクロ[4.4.0.1
2,5.1
7,10]ドデカン環等のノルボルナン環又はノルボルネン環を含む環;パーヒドロインデン環、デカリン環(パーヒドロナフタレン環)、パーヒドロフルオレン環(トリシクロ[7.4.0.0
3,8]トリデカン環)、パーヒドロアントラセン環などの多環の芳香族縮合環が水素添加された環(好ましくは完全水素添加された環);トリシクロ[4.2.2.1
2,5]ウンデカン環などの2環系、3環系、4環系などの橋架け炭素環(例えば、炭素数6〜20程度の橋架け炭素環)などが挙げられる。前記ラクトン環として、例えば、γ−ブチロラクトン環、4−オキサトリシクロ[4.3.1.1
3,8]ウンデカン−5−オン環、4−オキサトリシクロ[4.2.1.0
3,7]ノナン−5−オン環、4−オキサトリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−5−オン環などが挙げられる。
【0062】
前記環式骨格を構成する環は、メチル基等のアルキル基(例えば、C
1-4アルキル基など)、トリフルオロメチル基などのハロアルキル基(例えば、C
1-4ハロアルキル基など)、塩素原子やフッ素原子等のハロゲン原子、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいメルカプト基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、保護基で保護されていてもよいスルホン酸基などの置換基を有していてもよい。保護基としては有機合成の分野で慣用の保護基を使用できる。
【0063】
前記環式骨格を構成する環は、式(5d)中に示される酸素原子(R
8の隣接位の酸素原子)と直接結合していてもよく、連結基を介して結合していてもよい。連結基としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン基などの直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基;カルボニル基;酸素原子(エーテル結合;−O−);オキシカルボニル基(エステル結合;−COO−);アミノカルボニル基(アミド結合;−CONH−);及びこれらが複数個結合した基などが挙げられる。
【0064】
R
6、R
7、R
8のうち少なくとも2つは、互いに結合して隣接する原子とともに環を形成していてもよい。該環としては、例えば、シクロプロパン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環などのシクロアルカン環;テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、オキセパン環などの含酸素環;橋架け環などが挙げられる。
【0065】
式(5a)〜(5d)で表される化合物には、それぞれ立体異性体が存在しうるが、それらは単独で又は2種以上の混合物として使用できる。
【0066】
式(5a)で表される化合物の代表的な例として下記化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン、1−ヒドロキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン、5−ヒドロキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチルアダマンタン。
【0067】
式(5b)で表される化合物の代表的な例として下記化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。1−(1−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチルエチル)アダマンタン、1−ヒドロキシ−3−(1−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチルエチル)アダマンタン、1−(1−エチル−1−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アダマンタン、1−(1−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチルプロピル)アダマンタン。
【0068】
式(5c)で表される化合物の代表的な例として下記化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。1−t−ブトキシカルボニル−3−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−(2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニル)−3−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン。
【0069】
式(5d)で表される化合物の代表的な例として下記化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。1−アダマンチルオキシ−1−エチル(メタ)アクリレート、1−アダマンチルメチルオキシ−1−エチル(メタ)アクリレート、2−(1−アダマンチルエチル)オキシ−1−エチル(メタ)アクリレート、1−ボルニルオキシ−1−エチル(メタ)アクリレート、2−ノルボルニルオキシ−1−エチル(メタ)アクリレート、2−テトラヒドロピラニル(メタ)アクリレート、2−テトラヒドロフラニル(メタ)アクリレート。
【0070】
上記式(5d)で表される化合物は、例えば、対応するビニルエーテル化合物と(メタ)アクリル酸とを酸触媒を用いた慣用の方法で反応させることにより得ることができる。例えば、1−アダマンチルオキシ−1−エチル(メタ)アクリレートは、1−アダマンチル−ビニル−エーテルと(メタ)アクリル酸とを酸触媒の存在下で反応させることにより製造できる。
【0071】
前記他のモノマー単位として、上記のほか、親水性や水溶性、或いはその他の特性を付与又は向上しうるモノマー単位が挙げられる。このようなモノマー単位に対応する単量体としては、例えば、ヒドロキシル基含有単量体(ヒドロキシル基が保護されている化合物を含む)、メルカプト基含有単量体(メルカプト基が保護されている化合物を含む)、カルボキシル基含有単量体(カルボキシル基が保護されている化合物を含む)、アミノ基含有単量体(アミノ基が保護されている化合物を含む)、スルホン酸基含有単量体(スルホン酸基が保護されている化合物を含む)、ラクトン骨格含有単量体、環状ケトン骨格含有単量体、酸無水物基含有単量体、イミド基含有単量体などの単量体などの極性基含有単量体等が挙げられる。
【0072】
このような他のモノマー単位の例として、少なくとも1つの置換基を有する脂環式骨格を含有するモノマー単位、例えば、前記式(VI)で表されるモノマー単位が挙げられる。式(VI)で表されるモノマー単位に対応する重合性不飽和単量体は下記式(6)で表される。
【0074】
上記式中、環Z
2は炭素数6〜20の脂環式炭化水素環を示す。R
aは前記に同じ。R
9は環Z
2に結合している置換基であって、同一又は異なって、オキソ基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロゲン原子、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいメルカプト基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、又は保護基で保護されていてもよいスルホン酸基を示す。qはR
9の個数であって1〜5の整数を示す。
【0075】
式(6)で表される単量体のうち、q個のR
9のうち少なくとも1つが、オキソ基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいメルカプト基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、又は保護基で保護されていてもよいスルホン酸基である単量体は、ポリマーに親水性や水溶性を付与又は向上しうる極性基含有単量体に該当する。
【0076】
環Z
2における炭素数6〜20の脂環式炭化水素環は単環であっても、橋かけ環等の多環であってもよい。代表的な脂環式炭化水素環として、例えば、シクロヘキサン環、シクロオクタン環、シクロデカン環、アダマンタン環、ノルボルナン環、ノルボルネン環、ボルナン環、イソボルナン環、パーヒドロインデン環、デカリン環、パーヒドロフルオレン環(トリシクロ[7.4.0.0
3,8]トリデカン環)、パーヒドロアントラセン環、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン環、トリシクロ[4.2.2.1
2,5]ウンデカン環、テトラシクロ[4.4.0.1
2,5.1
7,10]ドデカン環などが挙げられる。脂環式炭化水素環のなかでも、アダマンタン環等の有橋脂環式炭化水素環が特に好ましい。
【0077】
式(6)中、R
9におけるアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル基などの直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜20程度のアルキル基(特に、C
1-4アルキル基)が挙げられる。ハロアルキル基としては、トリフルオロメチル基等の炭素数1〜20程度のハロアルキル基(特に、C
1-4ハロアルキル基)が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子等が挙げられる。保護基で保護されていてもよいアミノ基としては、アミノ基、置換アミノ基(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ基等のC
1-4アルキルアミノ基など)などが挙げられる。保護基で保護されていてもよいスルホン酸基としては、−SO
3R
g基などが挙げられる。前記R
gは水素原子又はアルキル基を示し、アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル基などの直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6のアルキル基などが挙げられる。R
9における保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいメルカプト基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基は前記と同様である。
【0078】
式(6)で表される化合物の代表的な例として下記化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。1−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1,3−ジヒドロキシ−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−カルボキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1,3−ジカルボキシ−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−カルボキシ−3−ヒドロキシ−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−t−ブトキシカルボニル−3−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1,3−ビス(t−ブトキシカルボニル)−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−t−ブトキシカルボニル−3−ヒドロキシ−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−(2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニル)−3−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1,3−ビス(2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニル)−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−ヒドロキシ−3−(2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニル)−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキソアダマンタン。
【0079】
少なくとも1つの置換基を有する脂環式骨格を含有するモノマー単位に相当する単量体としては、ヒドロキシル基及びヒドロキシメチル基から選択された置換基を少なくとも1つ有する脂環式骨格(例えば、アダマンタン骨格等)を含有する単量体が好ましい。
【0080】
上記他のモノマー単位の別の例として、ラクトン骨格を有するモノマー単位[式(I)で表されるモノマー単位を除く]が挙げられる。ラクトン骨格を有するモノマー単位[式(I)で表されるモノマー単位を除く]に対応する重合性不飽和単量体[ラクトン環含有単量体(式(1)で表される化合物を除く)]の具体例として、例えば、下記化合物が挙げられる。
【0081】
1−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[4.3.1.1
3,8]ウンデカン−5−オン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−4,7−ジオキサトリシクロ[4.4.1.1
3,9]ドデカン−5,8−ジオン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−4,8−ジオキサトリシクロ[4.4.1.1
3,9]ドデカン−5,7−ジオン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−5,7−ジオキサトリシクロ[4.4.1.1
3,9]ドデカン−4,8−ジオン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.0
3,7]ノナン−5−オン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチル−4−オキサトリシクロ[4.2.1.0
3,7]ノナン−5−オン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−6−メチル−4−オキサトリシクロ[4.2.1.0
3,7]ノナン−5−オン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−9−メチル−4−オキサトリシクロ[4.2.1.0
3,7]ノナン−5−オン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−9−カルボキシ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.0
3,7]ノナン−5−オン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−9−メトキシカルボニル−4−オキサトリシクロ[4.2.1.0
3,7]ノナン−5−オン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−9−エトキシカルボニル−4−オキサトリシクロ[4.2.1.0
3,7]ノナン−5−オン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−9−t−ブトキシカルボニル−4−オキサトリシクロ[4.2.1.0
3,7]ノナン−5−オン、8−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−5−オン、9−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−5−オン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−6−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−7−オン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−4−メチル−6−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−7−オン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−5−メチル−6−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−7−オン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−4,5−ジメチル−6−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−7−オン、6−(メタ)アクリロイルオキシ−2−オキサビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン、6−(メタ)アクリロイルオキシ−6−メチル−2−オキサビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン、6−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチル−2−オキサビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン、6−(メタ)アクリロイルオキシ−1,6−ジメチル−2−オキサビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−α,α−ジメチル−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−γ,γ−ジメチル−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−α,α,β−トリメチル−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−β,γ,γ−トリメチル−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−α,α,β,γ,γ−ペンタメチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−α,β,β−トリメチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−γ,γ−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−α,γ,γ−トリメチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−β,β,γ,γ−テトラメチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−α,β,β,γ,γ−ペンタメチル−γ−ブチロラクトン、γ−(メタ)アクリロイルオキシ−γ,γ−ジメチル−γ−ブチロラクトン。
【0082】
本発明の高分子化合物において、式(I)で表されるモノマー単位の割合は特に限定されないが、ポリマーを構成する全モノマー単位に対して、一般には1〜90モル%、好ましくは5〜80モル%、さらに好ましくは10〜60モル%程度である。また、酸の作用により脱離してアルカリ可溶となるモノマー単位の割合は、例えば10〜95モル%、好ましくは15〜90モル%、さらに好ましくは20〜60モル%程度である。ヒドロキシル基含有単量体、メルカプト基含有単量体及びカルボキシル基含有単量体から選択された少なくとも1種の単量体に対応するモノマー単位[例えば、式(VI)で表されるモノマー単位において、q個のR
9のうち少なくとも1つが、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいメルカプト基、又は保護基で保護されていてもよいカルボキシル基であるモノマー単位]の割合は、例えば0〜60モル%、好ましくは5〜50モル%、さらに好ましくは10〜40モル%程度である。
【0083】
本発明の高分子化合物を得るに際し、モノマー混合物の重合は、溶液重合、塊状重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合、乳化重合など、アクリル系ポリマー等を製造する際に用いる慣用の方法により行うことができるが、特に、溶液重合が好適である。さらに、溶液重合のなかでも滴下重合が好ましい。滴下重合は、具体的には、例えば、(i)予め有機溶媒に溶解した単量体溶液と、有機溶媒に溶解した重合開始剤溶液とをそれぞれ調製し、一定温度に保持した有機溶媒中に前記単量体溶液と重合開始剤溶液とを各々滴下する方法、(ii)単量体と重合開始剤とを有機溶媒に溶解した混合溶液を、一定温度に保持した有機溶媒中に滴下する方法、(iii)予め有機溶媒に溶解した単量体溶液と、有機溶媒に溶解した重合開始剤溶液とをそれぞれ調製し、一定温度に保持した前記単量体溶液中に重合開始剤溶液を滴下する方法などの方法により行われる。
【0084】
重合溶媒としては公知の溶媒を使用でき、例えば、エーテル(ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等グリコールエーテル類などの鎖状エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテルなど)、エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル類など)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、アミド(N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド(ジメチルスルホキシドなど)、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノールなど)、炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素など)、これらの混合溶媒などが挙げられる。また、重合開始剤として公知の重合開始剤を使用できる。重合温度は、例えば30〜150℃程度の範囲で適宜選択できる。
【0085】
重合により得られたポリマーは、沈殿又は再沈殿により精製できる。沈殿又は再沈殿溶媒は有機溶媒及び水の何れであってもよく、また混合溶媒であってもよい。沈殿又は再沈殿溶媒として用いる有機溶媒として、例えば、炭化水素(ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素)、ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化脂肪族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素など)、ニトロ化合物(ニトロメタン、ニトロエタンなど)、ニトリル(アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)、エーテル(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタンなどの鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトンなど)、エステル(酢酸エチル、酢酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル等)、カーボネート(ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど)、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなど)、カルボン酸(酢酸など)、これらの溶媒を含む混合溶媒等が挙げられる。
【0086】
中でも、前記沈殿又は再沈殿溶媒として用いる有機溶媒として、少なくとも炭化水素(特に、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素)を含む溶媒、及びメタノールと水の混合溶媒が好ましい。このような少なくとも炭化水素を含む溶媒において、炭化水素(例えば、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素)と他の溶媒(例えば、酢酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル)との比率は、例えば前者/後者(体積比;25℃)=10/90〜99/1、好ましくは前者/後者(体積比;25℃)=30/70〜98/2、さらに好ましくは前者/後者(体積比;25℃)=50/50〜97/3程度である。
高分子化合物の重量平均分子量(Mw)は、例えば1000〜500000程度、好ましくは3000〜50000程度であり、分子量分布(Mw/Mn)は、例えば1.5〜2.5程度である。なお、前記Mnは数平均分子量を示し、Mn、Mwともにポリスチレン換算の値である。
【0087】
本発明の高分子化合物は、耐薬品性等の安定性が高く、有機溶剤に対する溶解性に優れ、しかも水に対する親和性に優れる。また、アルカリ現像等によるラクトン環の加水分解後において、優れた水溶性を有する。そのため、種々の分野における高機能性ポリマーとして使用できる。
【0088】
本発明のフォトレジスト組成物は上記本発明の高分子化合物と光酸発生剤とを少なくとも含み、通常レジスト用溶剤を含む。フォトレジスト組成物は、例えば、上記本発明の高分子化合物の溶液(レジスト用溶剤の溶液)に光酸発生剤を添加することにより調製できる。
【0089】
光酸発生剤としては、露光により効率よく酸を生成する慣用乃至公知の化合物、例えば、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩(例えば、ジフェニルヨードヘキサフルオロホスフェートなど)、スルホニウム塩(例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムメタンスルホネートなど)、スルホン酸エステル[例えば、1−フェニル−1−(4−メチルフェニル)スルホニルオキシ−1−ベンゾイルメタン、1,2,3−トリスルホニルオキシメチルベンゼン、1,3−ジニトロ−2−(4−フェニルスルホニルオキシメチル)ベンゼン、1−フェニル−1−(4−メチルフェニルスルホニルオキシメチル)−1−ヒドロキシ−1−ベンゾイルメタンなど]、オキサチアゾール誘導体、s−トリアジン誘導体、ジスルホン誘導体(ジフェニルジスルホンなど)、イミド化合物、オキシムスルホネート、ジアゾナフトキノン、ベンゾイントシレートなどを使用できる。これらの光酸発生剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0090】
光酸発生剤の使用量は、光照射により生成する酸の強度やポリマー(フォトレジスト用樹脂)における各繰り返し単位の比率などに応じて適宜選択でき、例えば、ポリマー100重量部に対して0.1〜30重量部、好ましくは1〜25重量部、さらに好ましくは2〜20重量部程度の範囲から選択できる。
【0091】
レジスト用溶剤としては、前記重合溶媒として例示したグリコール系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、これらの混合溶媒などが挙げられる。これらのなかでも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、これらの混合液が好ましく、特に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート単独溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとプロピレングリコールモノメチルエーテルとの混合溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートと乳酸エチルとの混合溶媒などの、少なくともプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む溶媒が好適に用いられる。
【0092】
フォトレジスト組成物中のポリマー濃度は、例えば、10〜40重量%程度である。フォトレジスト組成物は、アルカリ可溶性樹脂(例えば、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂、カルボキシル基含有樹脂など)などのアルカリ可溶成分、着色剤(例えば、染料など)などを含んでいてもよい。
【0093】
こうして得られるフォトレジスト組成物を基材又は基板上に塗布し、乾燥した後、所定のマスクを介して、塗膜(レジスト膜)に光線を露光して(又は、さらに露光後ベークを行い)潜像パターンを形成し、次いで現像することにより、微細なパターンを高い精度で形成できる。
【0094】
基材又は基板としては、シリコンウエハ、金属、プラスチック、ガラス、セラミックなどが挙げられる。フォトレジスト組成物の塗布は、スピンコータ、ディップコータ、ローラコータなどの慣用の塗布手段を用いて行うことができる。塗膜の厚みは、例えば0.1〜20μm、好ましくは0.3〜2μm程度である。
【0095】
露光には、種々の波長の光線、例えば、紫外線、X線などが利用でき、半導体レジスト用では、通常、g線、i線、エキシマレーザー(例えば、XeCl、KrF、KrCl、ArF、ArClなど)などが使用される。露光エネルギーは、例えば1〜1000mJ/cm
2、好ましくは10〜500mJ/cm
2程度である。
【0096】
光照射により光酸発生剤から酸が生成し、この酸により、例えばフォトレジスト用高分子化合物の酸の作用によりアルカリ可溶となる繰り返し単位(酸脱離性基を有する繰り返し単位)のカルボキシル基等の保護基(脱離性基)が速やかに脱離して、可溶化に寄与するカルボキシル基等が生成する。そのため、水又はアルカリ現像液による現像により、所定のパターンを精度よく形成できる。
【実施例】
【0097】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、ポリマーの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、屈折率計(RI)を用い、テトラヒドロフラン溶媒を用いたGPC測定により求めた標準ポリスチレン換算値を示す。GPCは、昭和電工株式会社製カラム「KF−806L」を3本直列につないだものを使用し、カラム温度40℃、RI温度40℃、テトラヒドロフラン流速0.8ml/分の条件で行った。
【0098】
実施例1
下記の反応式に従って、1−カルバモイル−5−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オンを製造した。
【化22】
【0099】
窒素置換した100ml撹拌機付き三つ口フラスコに、1−シアノ−5−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オン5g(20.2ミリモル)、濃塩酸10.5gを入れ、攪拌し混合した。水浴で液温を15〜25℃に保ちつつ、46時間攪拌した。氷浴で冷却し、内温を0〜5℃に保ちつつ、水90gを30分かけて滴下した。析出した結晶をろ過し、水5gで2回リンスして、粗結晶を得た。この粗結晶をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付すことにより、1−カルバモイル−5−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オン1.7g(6.4ミリモル、収率32%)を得た。NMRスペクトルデータは以下に示した。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:7.58(1H,brs),7.37(1H,brs),6.07(1H,s),5.72(1H,s),4.65(1H,d),4.56(1H,s),3.48(1H,d),2.51−2.54(1H,m),2.44(1H,dd),1.92(1H,d),1.89(3H,s),1.76(1H,dd),1.59(1H,d)
【0100】
実施例2
下記の反応式に従って、1−カルバモイル−5−(2−メタクリロイルオキシアセトキシ)−3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オンを製造した。
【化23】
【0101】
窒素置換した200ml撹拌機付き三つ口フラスコに、1−シアノ−5−(2−メタクリロイルオキシアセトキシ)−3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オン2.5g(8.2ミリモル)、p−メトキシフェノール0.05g、トルエン50g、二酸化マンガン28.5g(328ミリモル)を入れ、攪拌し混合した。油浴で液温を80℃に保ちつつ、48時間攪拌した。反応液をろ過し、ろ紙上に残った二酸化マンガンにアセトニトリル50gを加え、30分攪拌し目標物を抽出、ろ過し、さらにアセトニトリル25gでリンスした。反応液ろ液とアセトニトリル抽出ろ液、リンス液を混合し、減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付すことにより、1−カルバモイル−5−(2−メタクリロイルオキシアセトキシ)−3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オン0.50g(1.6ミリモル、収率20%)を得た。NMRスペクトルデータは以下に示した。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:7.56(1H,brs),7.37(1H,brs),6.13(1H,s),5.80(1H,s),4.77(1H,s),4.59(1H,s),3.48(1H,s)、2.49(1H,m),2.42(1H,dd),1.92(3H,s),1.83(1H,d),1.77(1H,d),1.57(1H,d)
【0102】
実施例3
下記の反応式に従って、1−(N−t−ブチルカルバモイル)−5−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オンを製造した。
【化24】
【0103】
窒素置換した100ml撹拌機付き三つ口フラスコに、1−シアノ−5−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オン5g(20.2ミリモル)、酢酸50g、t−ブチルアルコール3.0g(40.4ミリモル)を入れ、攪拌し混合した。水浴で内温を15〜20℃に保ちつつ、硫酸1.98g(20。2ミリモル)を30分かけて滴下した。滴下後、15〜25℃に液温を保ちつつ、45時間攪拌した。窒素置換した200ml撹拌機付き三つ口フラスコに水を入れ、氷浴で2℃まで冷却した。氷浴で内温を0〜5℃に保ちつつ、調整した反応液を30分かけて滴下した。温度を0〜5℃に保ちつつ、1時間攪拌した。析出した結晶をろ過し、水5gで2回リンスして、粗結晶5.5gを得た。粗結晶に33gのトルエンを添加し、液温を40℃にして溶解させた後、液温を40℃に保ちつつ、シクロヘキサン50gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに液温を0〜5℃まで下げて1時間冷却した。析出した結晶をろ過し、シクロヘキサン5.5gでリンスした。得られた結晶を減圧乾燥して、式(2c)で表される1−(N−t−ブチルカルバモイル)−5−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オン4.1g(13ミリモル、収率63%)を得た。NMRスペクトルデータは以下に示した。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:7.58(1H,brs),6.07(1H,s),5.72(1H,s),4.61(1H,d),4.54(1H,s),3.46(1H,d),2.51(1H,m),2.45(1H,dd),1.92(1H,s),1.89(3H,s),1.73(1H,d),1.60(1H,d)
【0104】
実施例4
下記構造の高分子化合物(共重合体)の合成
【化25】
【0105】
還流管、撹拌子、3 方コックを備えた丸底フラスコに、窒素雰囲気下、シクロヘキサノン59.5gを入れて温度を8 0 ℃ に保ち、撹拌しながら、1−カルバモイル−5−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オン12.33g(46.5ミリモル)、1−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシアダマンタン5.49g(23.3ミリモル)、1−(1−メタクリロイルオキシ−1−メチルエチル)アダマンタン12.19g(46.5ミリモル)ジメチル 2 , 2 ′ − アゾビスイソブチレート[和光純薬工業(株)製、商品名「V−601」]1.80g、シクロヘキサノン110.5gを混合したモノマー溶液を6 時間かけて一定速度で滴下した。滴下終了後、さらに2 時間撹拌を続けた。重合反応終了後、該反応溶液の7倍量のヘキサンと酢酸エチルの9:1(重量比)混合液中に撹拌しながら滴下した。生じた沈殿物を濾別、減圧乾燥することにより、所望の樹脂28.2gを得た。回収したポリマーをGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が8400、分子量分布(Mw/Mn)が1.86であった。
【0106】
実施例5
下記構造の高分子化合物(共重合体)の合成
【化26】
【0107】
実施例4において、モノマー成分として1−カルバモイル−5−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オン12.88g(48.6ミリモル)、1−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシアダマンタン5.74g(24.3ミリモル)、2−メタクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン11.38g(48.6ミリモル)を用いた以外は、実施例4と同様の操作を行ったところ、所望の樹脂25.5gを得た。回収したポリマーをGPC 分析したところ、Mw(重量平均分子量) が8800 、分子量分布(Mw/Mn)が1.90であった。
【0108】
実施例6
下記構造の高分子化合物(共重合体)の合成
【化27】
【0109】
実施例4において、モノマー成分として1−カルバモイル−5−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オン13.41g(50.6ミリモル)、1−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシアダマンタン5.97g(25.3ミリモル)、1−(1−メタクリロイルオキシ−1−メチルエチル)シクロヘキサン10.62g(50.6ミリモル)を用いた以外は、実施例4と同様の操作を行ったところ、所望の樹脂28.0gを得た。回収したポリマーをG P C 分析したところ、Mw(重量平均分子量)が8800 、分子量分布(Mw/Mn)が1.88であった。
【0110】
実施例7
下記構造の高分子化合物(共重合体)の合成
【化28】
【0111】
実施例4において、モノマー成分として1−カルバモイル−5−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オン12.25g(46.2ミリモル)、1−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシアダマンタン5.45g(23.1ミリモル)、1−(ボルニルオキシ)エチル=メタクリラート12.30g(46.2ミリモル)を用いた以外は、実施例4と同様の操作を行ったところ、所望の樹脂27.1gを得た。回収したポリマーをGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が8300 、分子量分布(Mw/Mn)が1.85であった。
【0112】
実施例8
下記構造の高分子化合物(共重合体)の合成
【化29】
【0113】
実施例4において、モノマー成分として1−カルバモイル−5−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オン14.07g(53.1ミリモル)、1−ヒドロキシ−5−メタクリロイルオキシアダマンタン6.27g(26.5ミリモル)、1−メタクリロイルオキシ−1−エチルシクロペンタン9.66g(53.1ミリモル)を用いた以外は、実施例4と同様の操作を行ったところ、所望の樹脂26.9gを得た。回収したポリマーをGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が9000、分子量分布(Mw/Mn)が1.91であった。
【0114】
実施例9
下記構造の高分子化合物(共重合体)の合成
【化30】
【0115】
実施例4において、モノマー成分として1−カルバモイル−5−(2−メタクリロイルオキシアセトキシ)−3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オン13.78g(42.7ミリモル)、1−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシアダマンタン5.04g(21.3ミリモル)、1−(1−メタクリロイルオキシ−1−メチルエチル)アダマンタン11.18g(42.7ミリモル)を用いた以外は、実施例4と同様の操作を行ったところ、所望の樹脂27.4gを得た。回収したポリマーをGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が8200 、分子量分布(Mw/Mn)が1.85であった。
【0116】
実施例10
下記構造の高分子化合物(共重合体)の合成
【化31】
【0117】
実施例4において、モノマー成分として1−(N−t−ブチルカルバモイル)−5−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オン13.74g(42.8ミリモル)、1−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシアダマンタン5.05g(21.4ミリモル)、1−(1−メタクリロイルオキシ−1−メチルエチル)アダマンタン11.21g(42.8ミリモル)を用いた以外は、実施例4と同様の操作を行ったところ、所望の樹脂28.0gを得た。回収したポリマーをGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が8400、分子量分布(Mw/Mn)が1 .87であった。
【0118】
実施例11
下記構造の高分子化合物(共重合体)の合成
【化32】
【0119】
実施例4において、モノマー成分として1−カルバモイル−5−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オン9.60g(36.2ミリモル)、1−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシアダマンタン5.70g(24.1ミリモル)、1−(1−メタクリロイルオキシ−1−メチルエチル)アダマンタン12.65g(48.3ミリモル)、α―メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン2.05g(12.1ミリモル)を用いた以外は、実施例4と同様の操作を行ったところ、所望の樹脂28.4gを得た。回収したポリマーをGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が8500、分子量分布(Mw/Mn)が1.86であった。
【0120】
実施例12
下記構造の高分子化合物(共重合体)の合成
【化33】
【0121】
実施例4において、モノマー成分として1−カルバモイル−5−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オン13.71g(51.7ミリモル)、1−(1−メタクリロイルオキシ−1−メチルエチル)シクロヘキサン16.29g(77.6ミリモル)を用いた以外は、実施例4と同様の操作を行ったところ、所望の樹脂25.6g を得た。回収したポリマーをGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が8700 、分子量分布(Mw/Mn)が1.88であった。
【0122】
実施例13
下記構造の高分子化合物(共重合体)の合成
【化34】
【0123】
実施例4において、モノマー成分として、1−カルバモイル−5−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オン12.79g(48.3ミリモル)、1−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシアダマンタン5.70g(24.1ミリモル)、1−(1−メタクリロイルオキシ−1−メチルエチル)アダマンタン9.49g(36.2ミリモル)、1−(1−メタクリロイルオキシ−1−メチルエチル)シクロプロパン2.03g(12.1ミリモル)を用いた以外は、実施例4と同様の操作を行ったところ、所望の樹脂28.3gを得た。回収したポリマーをGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が8600 、分子量分布(Mw/Mn)が1.88であった。
【0124】
比較例1
下記構造の高分子化合物(共重合体)の合成
【化35】
【0125】
実施例4において、モノマー成分として5−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オン11.06g(49.8ミリモル)、1−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシアダマンタン5.88g(24.9ミリモル)、1−(1−メタクリロイルオキシ−1−メチルエチル)アダマンタン13.06g(49.8ミリモル)を用いた以外は、実施例4と同様の操作を行ったところ、所望の樹脂28.0gを得た。回収したポリマーをGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が8500、分子量分布(Mw/Mn)が1.86であった。
【0126】
比較例2
下記構造の高分子化合物(共重合体)の合成
【化36】
【0127】
実施例4において、モノマー成分として5−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オン11.60g(52.3ミリモル)、1−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシアダマンタン6.17g(26.1ミリモル)、2−メタクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン12.23g(52.3ミリモル)を用いた以外は、実施例4と同様の操作を行ったところ、所望の樹脂25.9gを得た。回収したポリマーをGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が9000、分子量分布(Mw/Mn)が1.90であった。
【0128】
比較例3
下記構造の高分子化合物(共重合体)の合成
【化37】
【0129】
実施例4において、モノマー成分として5−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オン12.11g(54.5ミリモル)、1−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシアダマンタン6.44g(27.3ミリモル)、2−メタクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン11.45g(54.5ミリモル)を用いた以外は、実施例4と同様の操作を行ったところ、所望の樹脂28.1gを得た。回収したポリマーをGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が8700、分子量分布(Mw/Mn)が1.87であった。
【0130】
比較例4
下記構造の高分子化合物(共重合体)の合成
【化38】
【0131】
実施例4において、モノマー成分として5−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オン10.99g(49.5ミリモル)、1−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシアダマンタン5.84g(24.8ミリモル)、1−(ボルニルオキシ)エチル=メタクリラート13.70g(49.5ミリモル)を用いた以外は、実施例4と同様の操作を行ったところ、所望の樹脂26.9gを得た。回収したポリマーをGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が8500、分子量分布(Mw/Mn)が1.85であった。
【0132】
比較例5
下記構造の高分子化合物(共重合体)の合成
【化39】
【0133】
実施例4において、モノマー成分として5−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オン12.76g(57.5ミリモル)、1−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシアダマンタン6.78g(28.7ミリモル)、 1−メタクリロイルオキシ−1−エチルシクロペンタン10.46g(57.5ミリモル)を用いた以外は、実施例4と同様の操作を行ったところ、所望の樹脂26.7gを得た。回収したポリマーをGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が9100、分子量分布(Mw/Mn)が1.90であった。
【0134】
比較例6
下記構造の高分子化合物(共重合体)の合成
【化40】
【0135】
実施例4において、モノマー成分として1−シアノ−5−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オン11.82g(47.8ミリモル)、1−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシアダマンタン5.65g(23.9ミリモル)、1−(1−メタクリロイルオキシ−1−メチルエチル)アダマンタン12.54g(47.8ミリモル)を用いた以外は、実施例4と同様の操作を行ったところ、所望の樹脂28.2gを得た。回収したポリマーをGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が8400、分子量分布(Mw/Mn)が1.85であった。
【0136】
比較例7
下記構造の高分子化合物(共重合体)の合成
【化41】
【0137】
実施例4において、モノマー成分として1−シアノ−5−(2−メタクリロイルオキシアセトキシ)−3−オキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−2−オン13.36g(43.8ミリモル)、1−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシアダマンタン5.17g(26.9ミリモル)、1−(1−メタクリロイルオキシ−1−メチルエチル)アダマンタン11.47g(43.8ミリモル)を用いた以外は、実施例4と同様の操作を行ったところ、所望の樹脂28.5gを得た。回収したポリマーをGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が8200、分子量分布(Mw/Mn)が1.84であった。
【0138】
評価試験1
実施例1〜3で合成したカルバモイル基及びラクトン骨格含有単量体、比較対象とする単量体の溶解度パラメーター(SP値)を、Fedors法により算出した。結果を表1に示した。SP値の単位は(cal/cm
3)
1/2である。式中の「tBu」はt-ブチル基を示す。
No.1(実施例1の単量体)とNo.2、No.3(実施例2の単量体)とNo.4の各化合物の数値から、カルバモイル基を有する化合物は、対応するシアノ基を有する化合物より溶解度パラメーターが大きく、水に対する親和性が高いとの結果が得られた。
同様に、No.5(実施例3の単量体)とNo.6の数値から、N−t−ブチルカルバモイル基を有する化合物は、対応するt−ブトキシカルボニル基を有する化合物より溶解度パラメーターが大きく、水に対する親和性が高いとの結果が得られた。
【0139】
【表1】
【0140】
評価試験2
実施例4〜13及び比較例1〜7で得られた各フォトレジスト用ポリマー樹脂にシクロヘキサノンを添加して、ポリマー濃度20重量%のシクロヘキサノン溶液となるように、樹脂を溶解した。得られた各フォトレジスト用ポリマー溶液に、ポリマー100重量部に対して10重量部のトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートを加え、さらにシクロヘキサノンを加えてポリマー濃度15重量% に調整し、孔径0.02μmのフィルターで濾過することによりフォトレジスト組成物を調製した。
このフォトレジスト組成物をシリコンウエハーにスピンコーティング法により塗布し、厚み0.7μmの感光層を形成した。ホットプレート上で温度100℃で150秒間プリベークした後、波長193nmのArFエキシマレーザーを用い、マスクを介して、照射量30mJ/cm
2で露光した後、100℃の温度で60秒間ポストベークした。次いで、2.38Mのテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により60秒間現像し、超純水でリンスした。実施例及び比較例の何れのフォトレジスト用ポリマー溶液を用いた場合にも、0.25μmのライン・アンド・スペースパターンは得られたが、実施例4〜13は比較例と比べ明らかに鮮明でかつ欠陥が少なかった。