特許第6238742号(P6238742)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238742
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】吸気量調整装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 69/32 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   F02M69/32 J
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-271723(P2013-271723)
(22)【出願日】2013年12月27日
(65)【公開番号】特開2015-124745(P2015-124745A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年11月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141901
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白井 準二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 実
【審査官】 木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−327500(JP,A)
【文献】 特開2007−332898(JP,A)
【文献】 特開2014−009618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 69/32
F16K 3/26
F16K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロットルボディに設けられてスロットルバルブで開閉される吸気通路と、
前記スロットルバルブの上流側で前記吸気通路又は該吸気通路の上流に開口するバイパス上流通路、及び該スロットルバルブの下流側で該吸気通路に開口するバイパス下流通路を有するバイパス通路と、
前記バイパス上流通路の下流側端部を構成する入口孔、前記バイパス下流通路の上流側端部を構成する出口孔、及び該入口孔の下流側及び該出口孔の上流側が開口するバルブ孔を有するバイパスボディと、
前記バイパス通路を経て吸気されるバイパス吸気の吸気量を、前記バルブ孔に収納されて前記入口孔と前記出口孔との間を開閉することにより制御するバイパスバルブとを備えるエンジンの吸気量調整装置において、
前記バイパス下流通路の一部は、前記バイパスボディに接続される配管部材と、該配管部材を接続するために該バイパスボディに設けられた挿入孔とで形成され、
前記出口孔は、前記配管部材が挿入されて前記挿入孔の底部に形成された空間に設けられた出口開口において下流側が開口するとともに、
前記配管部材は、該配管部材の内壁面と前記挿入孔内部に配置される該配管部材の上流側端面とが交差する角部を備え、
前記バイパスボディの前記挿入孔内部には、該挿入孔の底部から遠ざかる向きに延在するガイド面を備えるガイドが設けられ、
前記出口開口の縁に存在する点から前記角部に存在する点まで直線を引くとき、前記直線と前記ガイド面とが交差するように該直線を引くことができることを特徴とする請求項1に記載の吸気量調整装置。
【請求項2】
スロットルボディに設けられてスロットルバルブで開閉される吸気通路と、
前記スロットルバルブの上流側で前記吸気通路又は該吸気通路の上流に開口するバイパス上流通路、及び該スロットルバルブの下流側で該吸気通路に開口するバイパス下流通路を有するバイパス通路と、
前記バイパス上流通路の下流側端部を構成する入口孔、前記バイパス下流通路の上流側端部を構成する出口孔、及び該入口孔の下流側及び該出口孔の上流側が開口するバルブ孔を有するバイパスボディと、
前記バイパス通路を経て吸気されるバイパス吸気の吸気量を、前記バルブ孔に収納されて前記入口孔と前記出口孔との間を開閉することにより制御するバイパスバルブとを備えるエンジンの吸気量調整装置において、
前記バイパス下流通路の一部は、前記バイパスボディに接続される配管部材と、該配管部材を接続するために該バイパスボディに設けられた挿入孔とで形成され、
前記出口孔は、前記配管部材が挿入されて前記挿入孔の底部に形成された空間に設けられた出口開口において下流側が開口するとともに、
該配管部材は、該配管部材の内壁面と前記挿入孔内部に配置される該配管部材の上流側端面とが交差する角部を備え、
前記バイパスボディの前記挿入孔内部には、該挿入孔の底部から遠ざかる向きに延在するガイド面を備えるガイドが設けられ、
前記出口孔の内壁面と前記配管部材の内壁面とが共に切断されて現れる断面を含む平面であって、前記出口孔が延在する方向と前記配管部材の内壁面が延在する方向との両方に平行である該平面のうちの少なくとも1つの平面について
該1つの平面と前記ガイド面とは、第1交線において交差し、前記配管部材の内壁面と該1つの平面との交線のうちの該ガイド面に近い側の第2交線と該第1交線とがなす鋭角αは、前記出口孔の内壁面と該1つの平面との交線のうちの該ガイド面に近い側の第3交線と該第2交線とがなす鋭角βより小さく、該鋭角βは該鋭角αと、該第1交線と該第3交線とがなす鋭角との和に等しく、かつ該第1交線と該第2交線とは該出口孔の下流側の領域で交差することを特徴とする吸気量調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの吸気量調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スロットルボディに設けられてスロットルバルブで開閉される吸気通路と、スロットルバルブの上流側で吸気通路又は大気に開口し、スロットルバルブの下流側で吸気通路に開口するバイパス通路とを備えたエンジンの吸気量調整装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の吸気量調整装置では、バイパス通路の途中に、バイパス吸気量を調整するためのバイパスボディが設けられる。バイパス通路は、バイパスボディの上流側のバイパス上流通路と、下流側のバイパス下流通路とで構成される。
【0004】
バイパスボディは、バイパス上流通路の下流側端部を構成する入口孔と、バイパス下流通路の上流側端部を構成する出口孔と、入口孔の下流側端部及び出口孔の上流側端部が開口するバルブ孔とを有する。バルブ孔には、入口孔と出口孔との間を開閉することにより吸気量を制御するバイパスバルブが収納される。
【0005】
エンジン始動後の暖機運転時には、バイパスバルブがエンジンの温度に応じた所定の開位置に移動される。これにより、バルブ孔に開口する入口孔が該温度に応じた開口面積で開き、出口孔と連通する。これにより、スロットルバルブの閉塞時においても、バイパス吸気が吸気通路の上流側から下流側へ供給されるので、暖機運転が支障なく行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−332898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の吸気量調整装置によれば、搭載機器のレイアウトに制限がある車両へ吸気量調整装置を搭載する際に、バイパス吸気の吸気効率を低下させることのない最適なバイパス通路を形成することが困難な場合がある。
【0008】
具体的には、バイパス通路の径や、向き、長さ、バイパス通路の端部における内壁面や傾斜面の角度、該側壁と端面とが交差する角部の位置等において最適化した吸気量調整装置を設置できない場合がある。この場合、バイパス吸気に対するバイパス通路の吸気抵抗が大きくなり、吸気効率が下がることがある。
【0009】
本発明の目的は、かかる従来技術の課題に鑑み、バイパス通路における吸気抵抗が少ない吸気量調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の吸気量調整装置は、スロットルボディに設けられてスロットルバルブで開閉される吸気通路と、前記スロットルバルブの上流側で前記吸気通路又は該吸気通路の上流に開口するバイパス上流通路、及び該スロットルバルブの下流側で該吸気通路に開口するバイパス下流通路を有するバイパス通路と、前記バイパス上流通路の下流側端部を構成する入口孔、前記バイパス下流通路の上流側端部を構成する出口孔、及び該入口孔の下流側及び該出口孔の上流側が開口するバルブ孔を有するバイパスボディと、前記バイパス通路を経て吸気されるバイパス吸気の吸気量を、前記バルブ孔に収納されて前記入口孔と前記出口孔との間を開閉することにより制御するバイパスバルブとを備えるエンジンの吸気量調整装置において、前記バイパス下流通路の一部は、前記バイパスボディに接続される配管部材と、該配管部材を接続するために該バイパスボディに設けられた挿入孔とで形成され、前記出口孔は、前記配管部材が挿入されて前記挿入孔の底部に形成された空間に設けられた出口開口に下流側が開口するとともに、前記配管部材は、該配管部材の内壁面と前記挿入孔内部に配置される該配管部材の上流側端面とが交差する角部を備え、前記バイパスボディの前記挿入孔内部には、該挿入孔の底部から遠ざかる向きに延在するガイド面を備えるガイドが設けられ、前記出口開口の縁に存在する点から前記角部に存在する点まで直線を引いたとき、前記直線と前記ガイド面とが交差するように直線を引くことができることを特徴とする。
【0011】
本発明の構成において、エンジン始動直後のファストアイドル時には、バイパスバルブがモータにより移動され、バイパス上流通路の入口孔とバイパス下流通路の出口孔とが、バルブ孔を介して接続される。これにより、スロットルバルブが閉塞状態でも、バイパス通路を介してバイパス吸気が吸気通路の上流側から下流側に供給される。これにより、エンジンの暖機運転が行われる。
【0012】
この間、バイパス下流通路の出口孔からは、バイパス吸気が、配管部材の内壁面が位置する方向又は配管部材の内壁面と上流側端面とが交差する角部が位置する方向に向けて噴射される。しかし、角部が位置する方向に向けて噴射されたバイパス吸気は、ガイドにより、角部が位置する方向に進行することなく、配管部材の内壁面が位置する方向に進行するように誘導される。あるいは、配管部材の内壁面に入射しようとするバイパス吸気が、より大きい入射角で入射するように誘導される。
【0013】
このため、バイパス吸気は、角部により妨げられることなく、あるいは配管部材の内壁面により急激に曲げられることなく、スムーズに配管部材の下流側へ導かれる。これにより、バイパス吸気に対する吸気抵抗を増大させることなく、高い吸気効率で、バイパス吸気が、バイパス通路を経て供給される。
【0014】
したがって、本発明によれば、バイパス通路における吸気抵抗の少ない吸気量調整装置が提供される。また、これにより、吸気効率が向上するので、吸気量調整装置を大型化する必要なく、バイパス吸気の吸気量を広い範囲で制御することができる。
【0015】
また、挿入孔を介してバイパスボディに接続されるバイパスボディとは別体の配管部材を備えるので、配管部材の向きを任意に設定することができる。これにより、吸気量調整装置の汎用性を向上させることができる。
【0016】
また、バイパスボディに設けられたガイドによって吸気効率が向上するので、吸気効率を上げるために、配管部材の上流側端部に長い傾斜面を設ける必要がない。したがって、配管部材の汎用性を向上させることができる。
【0018】
また、配管部材の角部が、ガイドにより、バイパス吸気が噴射される方向のパイパス吸気の流れから隠される。このため、配管部材の側壁の端面側に比較的大きな入射角で入射するバイパス吸気や、配管部材の角部に当たったり、配管部材の端面側へ入り込もうとしたりするバイパス吸気が、ガイドによって強制的に排除される。したがって、バイパス通路における吸気抵抗をより少なくし、吸気効率をより向上させることができる。
【0019】
本発明の別の吸気量調整装置は、スロットルボディに設けられてスロットルバルブで開閉される吸気通路と、前記スロットルバルブの上流側で前記吸気通路又は該吸気通路の上流に開口するバイパス上流通路、及び該スロットルバルブの下流側で該吸気通路に開口するバイパス下流通路を有するバイパス通路と、前記バイパス上流通路の下流側端部を構成する入口孔、前記バイパス下流通路の上流側端部を構成する出口孔、及び該入口孔の下流側及び該出口孔の上流側が開口するバルブ孔を有するバイパスボディと、前記バイパス通路を経て吸気されるバイパス吸気の吸気量を、前記バルブ孔に収納されて前記入口孔と前記出口孔との間を開閉することにより制御するバイパスバルブとを備えるエンジンの吸気量調整装置において、前記バイパス下流通路の一部は、前記バイパスボディに接続される配管部材と、該配管部材を接続するために該バイパスボディに設けられた挿入孔とで形成され、前記出口孔は、前記配管部材が挿入されて前記挿入孔の底部に形成された空間に設けられた出口開口において下流側が開口するとともに、該配管部材は、該配管部材の内壁面と前記挿入孔内部に配置される該配管部材の上流側端面とが交差する角部を備え、前記バイパスボディの前記挿入孔内部には、該挿入孔の底部から遠ざかる向きに延在するガイド面を備えるガイドが設けられ、前記出口孔の内壁面と前記配管部材の内壁面とが共に切断されて現れる断面を含む平面であって、前記出口孔が延在する方向と前記配管部材の内壁面が延在する方向との両方に平行である該平面のうちの少なくとも1つの平面について該1つの平面と前記ガイド面とは、第1交線において交差し、前記配管部材の内壁面と該1つの平面との交線のうちの該ガイド面に近い側の第2交線と該第1交線とがなす鋭角αは、前記出口孔の内壁面と該1つの平面との交線のうちの該ガイド面に近い側の第3交線と該第2交線とがなす鋭角βより小さく、該鋭角βは該鋭角αと、該第1交線と該第3交線とがなす鋭角との和に等しく、かつ該第1交線と該第2交線とは該出口孔の下流側の領域で交差することを特徴とする。
【0020】
これによれば、配管部材の角部が位置する方向に向けて最も多く噴出されるバイパス吸気の部分が、上述の鋭角αをなすガイド面の部分により誘導される。その際、ガイド面は上述の鋭角αを有するので、該バイパス吸気の部分を、適切に配管部材の内壁面に向けて反射し、導くことができる。したがって、バイパス通路における吸気抵抗を確実に減らして、吸気効率を確実に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る吸気量調整装置の正面図である。
図2図1のII−II線断面図である。
図3図1のバイパスボディの部分におけるIII−III線断面図である。
図4図1の装置における配管部材が取り付けられていない状態のバイパスボディの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1に示すように、実施形態に係る4気筒エンジンの吸気量調整装置は、エンジンの吸気ポートに通じる4つの吸気通路1と、吸気通路1の一部をバイパスするバイパス通路2(図2参照)と、バイパス通路2を開閉制御するためのバイパスボディ3とを備える。なお、図1では、バイパス通路2のうちのバイパスボディ3よりも下流側の部分である後述のバイパス下流通路13のみが現れている。
【0027】
4つの吸気通路1は、2つのスロットルボディ4a及び4bにそれぞれ2つずつ設けられる。各吸気通路1は、スロットルボディ4a又は4bに対しバルブ軸5(図2参照)で回転自在に支持されたスロットルバルブ6により開閉される。
【0028】
4つのスロットルバルブ6のバルブ軸5は、スロットルボディ4aと4bの間に設けられたスロットルドラム7を介して連結される。4つのスロットルバルブ6は、スロットルドラム7の回転により、連動して4つの吸気通路1をそれぞれ開閉する。
【0029】
バイパスボディ3は、一方のスロットルボディ4a上に設けられる。バイパス通路2によりバイパスされるバイパス吸気は、スロットルボディ4aの吸気通路1において、スロットルバルブ6よりも上流側でバイパス通路2に導入される。バイパスボディ3は、バイパス通路2に導入されたバイパス吸気を、その吸気量を制御しながら、スロットルボディ4a及び4bの各吸気通路1のスロットルバルブ6の下流側に供給する。
【0030】
すなわち、バイパス通路2は、バイパスボディ3よりも下流側の部分が4つに分岐し、それぞれ各吸気通路1のスロットルバルブ6の下流側に通じている。バイパスボディ3からスロットルボディ4bの各吸気通路1に通じるバイパス通路2の一部は、バイパスボディ3に一端が接続された配管部材8及び配管部材8の他端に接続されたホース9により構成される。
【0031】
各吸気通路1のスロットルバルブ6よりも下流側の内壁には、エンジンの吸気ポートに向かって燃料を噴射する燃料噴射弁10が設けられる。各燃料噴射弁10に対して燃料配管11を経て、燃料が分配される。
【0032】
図2に示すように、バイパス通路2は、スロットルバルブ6の上流側で吸気通路1に上流側端部が開口するバイパス上流通路12と、スロットルバルブ6の下流側で吸気通路1に開口するバイパス下流通路13とを有する。バイパス下流通路13は、バイパス通路2のうちの上述の4つに分岐している部分である。
【0033】
バイパスボディ3には、バイパス上流通路12の下流側端部を構成する入口孔14と、分岐した4本のバイパス下流通路13の上流側端部をそれぞれ構成する4つの出口孔15(図3参照)と、入口孔14の下流側端部及び出口孔15の上流側端部が開口するバルブ孔16とが設けられる。
【0034】
バルブ孔16には、入口孔14と出口孔15との間を開閉することによりバイパス吸気の吸気量を制御するバイパスバルブ17が収納される。バイパスバルブ17は、モータ18により駆動される。すなわち、モータ18の出力軸には雄ねじ19が設けられる。バイパスバルブ17の開閉方向に沿った中心軸線上には、雄ねじ19が螺合する雌ねじ20が設けられる。モータ18で雄ねじ19を回転させることにより、バイパスバルブ17が開閉方向に駆動される。
【0035】
また、バイパスバルブ17には、開閉方向に沿った溝21が設けられる。バルブ孔16には、溝21に対応する凸部22が設けられる。バイパスバルブ17が開閉方向に移動する際には、溝21によって凸部22が案内される。これにより、バイパスバルブ17が雄ねじ19を軸として回転することが阻止される。
【0036】
図3に示すように、4つの出口孔15は、バイパスバルブ17の駆動方向に沿った中心軸線を中心とする径方向外方であって、それぞれほぼ90°ずつ異なる方向に向いている。また、バイパスボディ3には、配管部材8を挿入して接続するための2つの挿入孔23が設けられる。各配管部材8は、対応する挿入孔23に挿入され、バイパスボディ3にねじ止めされる固定部材24により、バイパスボディ3に固定される。
【0037】
この2つの挿入孔23と、これらにそれぞれ挿入される2本の配管部材8とで、4本のうちの2本のバイパス下流通路13の一部が形成される。この2本のバイパス下流通路13の下流側端部は、スロットルボディ4bの2つの吸気通路1におけるバイパスバルブ17の下流側にそれぞれ開口している。
【0038】
2つの挿入孔23は、これらの中心軸線は、相互に平行で、バイパスバルブ17の駆動方向(開閉方向)に垂直な一平面内に位置する。各挿入孔23は、その中心軸線に対してほぼ45°の角度で切断したような形状でかつバイパスバルブ17の駆動方向に平行な底面25を有する。配管部材8は、挿入孔23に対し、その底面25の近傍まで挿入される。したがって、底面25と配管部材8の端面26との間に空間27が生じる。
【0039】
配管部材8に通じる出口孔15は、その下流側端部が挿入孔23の底面25において開口する。出口孔15は、そこからのバイパス吸気を、配管部材8の内壁面28が位置する方向及び配管部材8の内壁面28と端面26とが交差する角部29が位置する方向に向けて噴射する形状、寸法及び姿勢を有するように形成される。
【0040】
また、バイパスボディ3の各空間27内には、出口孔15から噴射されるバイパス吸気を誘導するガイド30が設けられる。ガイド30は、角部29が位置する方向に向けて噴射されるバイパス空気の部分を、角部29が位置する方向に向かって進むことなく、配管部材8の内壁面28が位置する方向に向かって進行するように誘導する。また、ガイド30は、配管部材8の内壁面28に比較的小さい入射角(入射方向と入射面の法線とがなす鋭角)で入射しようとするバイパス吸気の部分を、比較的大きい入射角で入射するように誘導する。
【0041】
ガイド30は、出口孔15からのバイパス吸気の噴射方向と交差する面31に含まれる端面32を配管部材8側に有する。端面32は、矢印33で示されるように、該噴射方向のパイパス吸気の流れから角部29がガイド30で隠されるまで、該噴射方向と交差する方向に延びている。
【0042】
また、ガイド30は、出口孔15から角部29が位置する方向に噴出されるバイパス吸気の部分を、角部29が位置する方向に進行することなく、配管部材8の内壁面28が位置する方向に誘導するガイド面34を備える。ガイド面34は、図4に示すように、出口孔15側に頂点を有する円錐形の一部で構成したような形状であって、出口孔15から噴射されるバイパス吸気を囲うように湾曲した形状を有する。
【0043】
また、ガイド面34は、出口孔15が開口している底面25に沿った端縁35を有する。端縁35は、図3のように、挿入孔23の中心軸線に垂直な方向において、対応する角部29よりも出口孔15側に位置する。かかる形状により、ガイド面34は、対応する出口孔15からのバイパス吸気を、角部29が位置する方向に進行させることなく、配管部材8の内壁面28が位置する方向に誘導するとともに、内壁面28に比較的小さい入射角で入射しようとするバイパス吸気を、比較的大きい入射角で入射するように誘導する。
【0044】
出口孔15は、その所定の断面を含む平面に沿って、出口孔15からのバイパス吸気を、対応する配管部材8の内壁面28が位置する方向及び配管部材8の角部29が位置する方向に向けて最も多く噴出する。図3では、該所定の断面を含む平面と交差する部分としてのガイド30が破線で示されている。
【0045】
該所定の断面を含む平面とガイド面34とは、第1交線36において交差し、配管部材8の内壁面28と該平面との交線のうちのガイド面34側の第2交線37と第1交線36とがなす鋭角αは、出口孔15の内壁面28と該平面との交線のうちのガイド面34側の第3交線38と第2交線37とがなす鋭角βより小さい。なお、図3において、第1交線36、第2交線37及び第3交線38の符号は、各交線を延長した一点鎖線に対して付している。
【0046】
配管部材8の内壁面28は、配管部材8の上流側の端面26と交差して角部29を形成する傾斜面39を有する。出口孔15から配管部材8の内壁面28が位置する方向に噴射されるバイパス吸気の一部は、傾斜面39が位置する方向に向けて噴射される。ガイド30は、出口孔15から角部29に向けて噴射されるバイパス吸気の部分を、その進行方向が、傾斜面39に沿った方向に近づくように誘導する。
【0047】
バイパスボディ3の挿入孔23へ挿入される配管部材8の挿入部40は、バイパスボディ3に対して配管部材8が回転可能に取り付けられるように円筒形状を有する。配管部材8の上流側の端面26は、配管部材8の内壁面28の中心軸線に対してほぼ垂直な平面である。
【0048】
なお、配管部材8に通じていない方の2つの出口孔15は、4つに分岐したバイパス下流通路13のうちの図示していない他の2つの分岐を経て、スロットルボディ4aの2つの吸気通路1におけるスロットルバルブ6の下流側にそれぞれ通じている。
【0049】
この構成において、エンジン始動後のファストアイドル時には、バイパスバルブ17が、エンジンの温度に応じた所定の開位置に移動される。これにより、スロットルバルブ6が完全に閉じた状態でも、バルブ孔16に開口する入口孔14が、バイパスバルブ17の位置に応じた開口面積で各出口孔15に通じるので、開口面積に対応する量のバイパス吸気が各バイパス下流通路13に導入される。
【0050】
各バイパス下流通路13に導入されたバイパス吸気は、各バイパス下流通路13を経て、スロットルボディ4a及び4bの対応する吸気通路1の下流側に供給される。これにより、スロットルバルブ6が完全に閉じた状態でも、通常のアイドリング時の回転数よりも高い回転数でエンジンが回転するので、エンジンの暖機運転が、支障なく行われる。
【0051】
この間、バイパスボディ3の各配管部材8に対応する出口孔15からは、その形状によって、配管部材8の内壁面28が位置する方向及び配管部材8の内壁面28と端面26とが交差する角部29が位置する方向に向けて、バイパス吸気が噴出される。
【0052】
しかし、出口孔15から角部29に向けて噴射されるバイパス吸気は、ガイド30により、角部29が位置する方向に向かって進むことなく、配管部材8の内壁面28に沿った方向に進むように導かれる。したがって、出口孔15から噴出するバイパス吸気は、さほど抵抗を受けることなく、配管部材8の下流の方へ流れてゆく。この作用は、出口孔15から噴出するバイパス吸気の速度が速いほど、より効果的に働く。
【0053】
また、このとき、矢印33で示されるように、出口孔15からのバイパス吸気が向かう方向から角部29がガイド30で隠されているので、バイパス吸気が配管部材8の内壁面28に比較的急な角度で当たったり、角部29に当たったり、端面26に回り込んだりするバイパス吸気の流れの発生が極力回避される。これにより、バイパス吸気は、さらに抵抗なく、配管部材8の下流の方へ流れてゆく。
【0054】
また、出口孔15から、配管部材8の内壁面28及び角部29に向けて最も多く噴射されるバイパス吸気の部分では、図3で示した上述の鋭角αが鋭角βより小さいので、ガイド面34に当たるバイパス吸気は、ガイド面34により配管部材8の内壁面28に向けて反射される。したがって、バイパス吸気は、さらに効率よく、配管部材8の下流の方へ導かれる。
【0055】
さらに、出口孔15から角部29に向けて噴射されたバイパス吸気は、その進行方向が、ガイド30により、配管部材8の傾斜面39に沿った方向に近づくように誘導される。このため、バイパス吸気は、傾斜面39にも導かれて、スムーズに配管部材8の下流側へ流れてゆく。
【0056】
このようにして、出口孔15から噴射されたバイパス吸気は、極力小さい吸気抵抗のもとで、配管部材8及びホース9を経て、スロットルボディ4bの吸気通路1の下流側に導入される。したがって、高い吸気効率でバイパス吸気の供給が行われ、エンジンの暖機運転が、効率よく行われる。
【0057】
エンジンが暖まると、バイパスバルブ17が、所定の閉位置に移動される。これにより、ファストアイドルが停止され、暖機運転が終了する。なお、図示していないアイドリング用の吸気通路を経て、常時、通常のアイドリングに必要な量の吸気がバイパスされているので、ファストアイドルの停止後は、スロットルバルブ6が完全に閉じられた状態においては、通常のアイドリングが行われる。
【0058】
以上のように、本実施形態によれば、バイパス下流通路13の上流側端部の出口孔15から噴射されるバイパス吸気を適切に誘導するガイド30を設けたので、バイパス通路2における吸気抵抗を減少させることができる。これにより、吸気量調整装置を大型化する必要なく、バイパス吸気の吸気量を広い範囲で制御することができる。
【0059】
また、バイパスボディ3に対して向きを任意に設定できる配管部材8を備えるので、吸気量調整装置の汎用性を向上させることができる。また、ガイド30によって吸気効率が向上するので、吸気効率を上げるために、配管部材8の上流側端部に長い傾斜面を設ける必要がない。したがって、配管部材8の汎用性を向上させることができる。
【0060】
また、配管部材8の角部29が、ガイド30により、バイパス吸気が向けられる方向から隠されるので、バイパス通路2における吸気抵抗をより少なくし、吸気効率をより向上させることができる。
【0061】
また、出口孔15からのバイパス吸気が、配管部材8の内壁面28及び角部29が位置する方向に向けて最も多く噴出されるバイパス吸気の部分において、上述の鋭角αが鋭角βより小さいので、バイパス吸気を、ガイド面34により内壁面28に向けて反射し、導くことができる。したがって、バイパス通路2における吸気抵抗を確実に減らして、吸気効率を確実に向上させることができる。
【0062】
また、出口孔15から角部29に向けて噴射されたバイパス吸気部分の進行方向が、ガイド30によって、配管部材8の傾斜面39に沿った方向に近づくように誘導されるので、バイパス吸気を、傾斜面39を利用して、スムーズに配管部材8の下流側に導入することができる。また、傾斜面39により、配管部材8の上流側の径が増大するので、その分、吸気抵抗を減少させることができる。
【0063】
また、配管部材8は、バイパスボディ3に対して回転可能に取り付けられるので、ホース9を配管部材8に取付ける際に、各部品の組立誤差や寸法のばらつきを吸収することができる。また、任意の方向に配管部材8を向けることができるので、配管部材8の汎用性を高めることができる。
【0064】
以上、実施形態について説明したが、本発明は実施形態に限定されない。例えば、バイパス上流通路12の上流側端部は、吸気通路1の上流側のエアクリーナ等に開口していてもよい。また、挿入孔23及び配管部材を用いて構成されるバイパス下流通路13が接続される吸気通路1は、バイパス上流通路12の上流側端部が開口する吸気通路1と同一であってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…吸気通路、2…バイパス通路、3…バイパスボディ、4a、4b…スロットルボディ、5…スロットルバルブ、8…配管部材、9…ホース、12…バイパス上流通路、13…バイパス下流通路、14…入口孔、15…出口孔、16…バルブ孔、17…バイパスバルブ、18…モータ、23…挿入孔、26…端面、27…空間、28…内壁面、29…角部、30…ガイド、32…端面、34…ガイド面、35…端縁、36…第1交線、37…第2交線、38…第3交線、39…傾斜面、40…挿入部。
図1
図2
図3
図4