(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レーザビームを出射する光源部と、前記光源部を搭載する基台と、前記基台に搭載された光源部を覆うように前記基台上に配設される外カバーと、前記光源部と前記外カバーとの間の空間に配設されて前記光源部を覆う内カバーと、を備え、
前記内カバーは、
周縁部が前記外カバーの側部内壁に接して前記外カバーの内部を上下に分割するように設けられ、前記光源部の上方部を覆う天板と、
前記天板から下垂して前記基台に接するように設けられ、前記光源部の側方部を覆う側板と、
前記天板から上方に延出して前記外カバーの上部内壁に接するように設けられ、前記天板と前記外カバーとの間の空間を複数の空間に分割する格子状の仕切板と、
を含んでなること
を特徴とするレーザ光源モジュール。
レーザビームを出射する光源部と、前記光源部を搭載する基台と、前記基台に搭載された光源部を覆うように前記基台上に配設される外カバーと、前記光源部と前記外カバーとの間の空間に配設されて前記光源部を覆う内カバーと、を備え、
前記内カバーは、当該内カバーから延設されて前記外カバーの内壁に接し、当該内カバーと前記外カバーとの間の空間を複数の空間に分割する仕切部材を有してなり、
当該内カバーが前記外カバーの内壁または前記基台と接する部分の複数の箇所に凸状の接触部を有すること
を特徴とするレーザ光源モジュール。
前記外カバーの上部内壁に接する前記内カバー部分に設けられた前記凸状の接触部の1つあたりの大きさは、前記基台上面に接する前記内カバー部分に設けられた前記凸状の接触部の1つあたりの大きさよりも大きいこと
を特徴とする請求項3に記載のレーザ光源モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る走査型画像表示装置100の機能構成の例を示した図である。
図1に示すように、走査型画像表示装置100は、スクリーン107に画像を表示するためのレーザビームを出射するレーザ光源モジュール110と、外部から入力される画像入力信号に応じて、レーザ光源モジュール110に含まれる光源部101を制御する制御モジュール120と、によって構成される。
【0016】
ここで、レーザ光源モジュール110は、光源部101を含んで構成され、また、光源部101は、赤/緑/青(以下、R/G/Bと記載)の3色に対応する3つのレーザ光源1a,1b,1cと、3つのコリメータレンズ2a,2b,2cと、2つのビーム結合部3a,3bと、走査ミラー108と、フロントモニタ109と、を含んで構成される。
【0017】
光源部101において、コリメータレンズ2a,2b,2cは、それぞれに対応するレーザ光源1a,1b,1cから発せられたレーザビームを略平行光にする。また、ビーム結合部3aは、コリメータレンズ2bを通過したレーザビームと、コリメータレンズ2cを通過したレーザビームと、を1つの光軸に沿って進むレーザビームに整列させ、結合する。同様に、ビーム結合部3bは、ビーム結合部3aによって整列、結合させられたレーザビームと、コリメータレンズ2aを通過したレーザビームと、を1つの光軸に沿って進むレーザビームに整列させ、結合する。よって、3つのレーザ光源1a,1b,1cから発せられたレーザビームは、1つの光軸に沿って進むレーザビームに整列、結合させられる。
【0018】
走査ミラー108は、ビーム結合部3a,3bによって整列、結合させられたレーザビームを所定の角度に偏向させながらスクリーン107へ投射する。このレーザビームの偏向は、そのビームの先端がスクリーン107の所定の領域を、例えば、水平方向および垂直方向に繰り返し走査するように行われる。従って、スクリーン107上には、レーザ光源1a,1b,1cから発せられたR/G/Bのレーザビームの強度に応じた画像が表示される。
【0019】
フロントモニタ109は、ビーム結合部3a,3bによって整列、結合させられたレーザビームを検出するセンサであり、その役割については後記する。
【0020】
さらに、
図1に示すように、制御モジュール120は、制御回路102、ビデオ信号処理回路103、レーザ光源駆動回路104、走査ミラー駆動回路105、フロントモニタ信号検出回路106などを含んで構成される。
【0021】
制御回路102は、外部から入力される画像入力信号を取り込んで、ビデオ信号処理回路103に出力する。ビデオ信号処理回路103は、制御回路102を介して入力される画像入力信号に対して所定の処理を施した後にR/G/Bの色信号に分離してレーザ光源駆動回路104に出力する。さらに、ビデオ信号処理回路103は、入力された画像入力信号の中から水平同期信号および垂直同期信号を抽出して、走査ミラー駆動回路105へ出力する。
【0022】
レーザ光源駆動回路104は、ビデオ信号処理回路103から入力されるR/G/Bの色信号に応じて、それぞれ対応するレーザ光源1a,1b,1cに対し、発光駆動電流を供給する。その結果、レーザ光源1a,1b,1cは、その発光駆動電流に応じた強度のレーザビームを出射する。なお、レーザ光源1a,1b,1cとしては、例えば、レーザダイオード(半導体レーザ)などを用いることができる。
【0023】
走査ミラー駆動回路105は、ビデオ信号処理回路103から入力される水平同期信号および垂直同期信号に同期して走査ミラー108に対し、ミラー面を2次元的に反復して傾斜させる駆動信号を供給する。その結果、走査ミラー108は、ミラー面を所定の角度だけ周期的に反復傾斜させて、ビーム結合部3a,3bによって整列、結合されたレーザビームを反射させ、スクリーン107上に投射する。このとき、レーザビームの先端は、スクリーン107上を水平方向および垂直方向に繰り返して走査することとなり、スクリーン107上には、画像入力信号に応じた画像が表示される。
【0024】
フロントモニタ信号検出回路106は、フロントモニタ109によって検出された信号を入力し、レーザ光源1a,1b,1cのそれぞれから出射されたレーザビームの出力レベルを検出する。そして、その出力レベルは、ビデオ信号処理回路103に入力され、さらに、レーザ光源駆動回路104によってレーザ光源1a,1b,1cへの駆動電流が調整される。その結果、レーザ光源1a,1b,1cのそれぞれから出射されるレーザビームの出力レベルは、所定の適正な出力になるように調整される。
【0025】
ここで、走査ミラー108としてはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術によって製作された2軸駆動ミラーを用いるのが好ましい。なお、走査ミラー108の駆動方式としては、圧電、静電、電磁などの駆動方式があるが、そのいずれの方式を用いてもよい。
また、走査ミラー108としては、1軸駆動のミラーを2つ用意し、その2つのミラーによって反射されるレーザビームが互いに直交する方向に走査可能なように配置されたものを用いてもよい。
【0026】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る走査型画像表示装置100の外観斜視図の例を示した図である。
図2に示すように、走査型画像表示装置100は、外カバー111で覆われた部分であるレーザ光源モジュール110と、保護カバー114で覆われた部分である制御モジュール120と、によって構成される。そして、外カバー111で覆われた部分の基台112上には、
図1に示された光源部101が搭載されている。また、保護カバー114で覆われた部分の基台112上には、1枚または複数の回路基板が搭載され、その回路基板には、
図1に示された制御回路102、ビデオ信号処理回路103、レーザ光源駆動回路104、フロントモニタ信号検出回路106、走査ミラー駆動回路105などが実装されている。
【0027】
ここで、基台112は、U字溝の形状をしており、レーザ光源モジュール110および制御モジュール120は、そのU字溝の中に収容される。そして、U字溝形状をした基台112の両側には、放熱のためのヒートシンク115が取り付けられている。また、レーザ光源モジュール110の外カバー111の側面および制御モジュール120の保護カバー114の側面は、基台112のU字溝の内壁に密着するように配設される。
【0028】
このとき、外カバー111は、基台112上に密着するように配設され、その内部は気密封止される。そして、気密封止された外カバー111の内部の基台112上には、光源部101が搭載される。そのため、外カバー111の一側面には、光源部101から出射されるR/G/Bのレーザビームを通過させるためのレーザ出射窓113が設けられているが、そのレーザ出射窓113には、気密維持のための透明の封止ガラスが嵌め込まれている。
【0029】
また、外カバー111は、熱伝導率の高いアルミニウム(Al)で形成されているものとする。ただし、その形成材料はアルミニウム(Al)に限定されず、高熱伝導率を有するものであれば、例えば、銅(Cu)など、他の材料であってもよい。ただし、外カバー111を所望の形状に加工するための加工性を考慮すると、外カバー111の形成材料としてはアルミニウム(Al)が好適である。
【0030】
また、保護カバー114は、亜鉛鋼板または冷間圧延鋼板 (SPCC)で形成されているものとする。なお、保護カバー114を、熱伝導率の高いアルミニウム(Al)で形成し、高い放熱性を併せ持つものとしてもよい。
【0031】
前記したように、基台112には、ヒートシンク115が取り付けられており、発熱体(熱源)である光源部101や制御回路102などが実装された基板から発せられる熱を外部に放熱する。なお、ヒートシンク115は、アルミニウム(Al)などの高熱伝導率の材料で形成され、その表面積を大とするため複数のフィンを備えた形状となっている。また、基台112も外カバー111やヒートシンク115と同様に熱伝導率の高いアルミニウム(Al)で形成し、放熱機能を併せ持つものとしてもよい。
【0032】
ところで、走査型画像表示装置100の使用時の温度上昇によって、レーザ光源1a,1b,1cの温度がその動作保証温度範囲を外れると、温度依存に基づくレーザ波長の変動によってR/G/Bの各色の視感度に差が現れる。その結果、画面全体が赤っぽくなったりするなどの画像の色ずれが生じる。さらには、レーザ光源1a,1b,1cのレーザ出力の低下や寿命の短命化の要因ともなる。
【0033】
また、走査型画像表示装置100を、自動車などに搭載するヘッドアップディスプレイとして使用する場合には、寒冷地での放置および真夏日での放置を考慮すれば、環境温度は摂氏マイナス数10度からプラス100度近くまで変動する。すなわち、環境温度は、レーザ光源1a,1b,1cの動作保証温度範囲よりもはるかに大きく変動するため、光源部101およびそれを備えた走査型画像表示装置100においては、レーザ光源1a,1b,1cをその動作保証温度範囲内に収めるために、温度を調節するための加熱・冷却機構が必要となる。
【0034】
図3は、本発明の第1の実施形態に係るレーザ光源モジュール110の分解斜視図の例を示した図である。また、
図4は、
図3に示されたレーザ光源モジュール110のA−A部分の断面構造の例を模式的に示した図である。
図3および
図4に示すように、光源部101は、温度調整素子5を介して基台112の上面部に取り付けられ、その周囲は、内カバー12および外カバー111で二重に覆われる。このとき、温度調整素子5は、ペルチェ素子などによって構成され、前記の内カバー12および外カバー111を設けた構造とともに、レーザ光源1a,1b,1cの温度を、その動作保証温度範囲内に維持する役割を果たす。
【0035】
レーザ光源1a,1b,1cは、温度調整素子5の上部に取り付けられた保持筐体4の側面部に配設され、その内部に向けてレーザビームを出射する。従って、
図1に示されたコリメータレンズ2a,2b,2c、ビーム結合部3a,3b、走査ミラー108およびフロントモニタ109は、保持筐体4の内部に収容されており、
図3には示されていない。なお、保持筐体4の一側面部には、光源部101から出射されるレーザビームを通過させるための開口部4aが設けられている。
【0036】
内カバー12は、基台112に搭載された光源部101および温度調整素子5を覆うように、基台112の上部で外カバー111の内部に配設される。このとき、内カバー12は、光源部101および温度調整素子5に直接には接しないように配設され、熱伝導経路が形成されないようにする。
【0037】
さらに、
図3および
図4に示されているように、内カバー12は、天板13、仕切格子板14および側板15によって構成される。天板13は、周縁部が外カバー111の側部内壁に接し、外カバー111の内部を上下に分割するように設けられる。従って、光源部101の上方部は、天板13によって覆われた状態となる。また、側板15は、天板13から下垂する板材によって構成され、その板材は、基台112に接するとともに、光源部101および温度調整素子5の側方部を取り巻いて覆うように設けられる。また、仕切格子板14は、天板13から上方略垂直に延設され、外カバー111の上部内壁に接する複数の板材によって構成され、天板13と外カバー111との間の空間を複数の空間(
図3の例では4つの空間)に分割する。
【0038】
なお、保持筐体4の開口部4aが設けられた側面に対面する位置の側板15には、光源部101から出射されるレーザビームや、電源用または制御用の配線を通過させるための開口部15aが設けられている。また、
図4に示された破線の長方形は、外カバー111に設けられたレーザ出射窓113の位置を表している。
【0039】
また、本実施形態では、天板13、仕切格子板14および側板15からなる内カバー12は、熱伝導率の小さい熱硬化性樹脂などを成形したもので構成されるものとする。さらに、その天板13および仕切格子板14の周縁の端部は、外カバー111の内壁または基台112の上面に接触する形状に成形されるものとする。
【0040】
以上のように構成された内カバー12は、光源部101と外カバー111との間の空気の対流による熱伝達および放射を低減させる効果を奏する。また、外カバー111の内部の天板13よりも上部の空間が仕切格子板14によって複数の小さな空間に分割されているので、その相互の空間での空気の流れが遮断されることになるので、対流による熱伝達をさらに低減することができる。
【0041】
また、本実施形態では、内カバー12は、熱硬化性樹脂などを2つの成形金型によって容易に成形することが可能な形状となっている。従って、内カバー12を低コストで製造することができる。また、こうして成形された内カバー12は、ハンドラなどで持ち運んだりするのに十分な硬さを有している。そのため、レーザ光源モジュール110を組み立てるとき、精度のよい位置合わせができなくなるなど作業性上の問題は生じない。
【0042】
図5は、本発明の第1の実施形態において比較例となるレーザ光源モジュール110aの断面構造の例を模式的に示した図である。
図5に示す比較例では、外カバー111の中には、内カバー12に相当するものとして断熱材11が設けられている。そのため、ここでは、断熱材11は、光源部101の保持筐体4およびレーザ光源1a,1b,1cに接触しない形状で、外カバー111の内壁側に接するように設けられるとしている。
【0043】
このような構造を有するレーザ光源モジュール110aでは、その組立手順にもよるが、断熱材11を外カバー111の内壁側に形成した上で、光源部101の周囲を覆うように組み立てるとすれば、外カバー111は持ち運びし易くなるので、その組立時の作業性は向上する。しかしながら、前記したように断熱材11は柔らかい素材であるため、十分な成形精度を得ることができない。そのため、断熱材11を光源部101に確実に接触しないようにするためには、断熱材11と光源部101との間の空間を大きくしておく必要がある。
【0044】
その場合には、外カバー111の内部に形成される断熱材11の厚みを減らし、断熱材11が形成されていない空間を大きくせざるを得ない。とすると、断熱材11による断熱効果は小さくなるとともに、断熱材11が形成されていない空間での空気の対流による熱伝達効果が大きくなる。
【0045】
また、この比較例では、断熱材11として発泡系などの材料が用いられるため、その成形時の端面の削りかすなどから塵埃が生じ、その塵埃がレーザビームの光路に漂うと、スクリーン107上に暗部となって表示される。とくに、断熱材11が光源部101など他の部材に接触するようなことがある場合には、振動などによって摩耗粉が生じる。そのため、この比較例では塵埃を防ぐ必要があった。
【0046】
以上の比較例に比べると、
図3および
図4に示された第1の実施形態に係るレーザ光源モジュール110では、熱硬化性樹脂などで成形された内カバー12を用いた断熱構造が採用されているため、内カバー12の持ち運び易さや精度のよい配置など、製造時の良好な作業性が確保される。また、そのレーザ光源モジュール110では、塵埃を生じる断熱材が使用されていないことから、レーザビームの光路に塵埃が漂うことがないので、スクリーン107上には、より明瞭な画像が表示される。
【0047】
さらに、本実施形態では、外カバー111と天板13との間の空間が仕切格子板14によって複数の小空間に分割されるので、その小空間内での空気の対流が弱くなる。従って、本実施形態では、とくに対流による熱伝達効果が小さくなるので、その分、断熱効果が向上する。なお、本発明の発明者らの評価実験によれば、本実施形態に係る断熱構造、すなわち、内カバー12を用いた断熱構造は、
図5に示した断熱材11を用いた断熱構造の断熱効果と比較して、同等以上の断熱効果があることが分かった。
【0048】
このようにして、断熱効果が改善されると、環境の温度が大きく変動した場合でも、レーザ光源1a,1b,1cの温度変動を抑制することが容易になる。すなわち、レーザ光源1a,1b,1cの温度をその動作範囲の温度に保つために温度調整素子5に供給する電力を低減させることができる。
【0049】
続いて、
図6〜
図12を参照しつつ、本発明の他の実施形態について説明する。なお、
図1〜
図4の説明は、以下に説明する実施形態にも、ほぼそのまま適用することができるので、以下の実施形態の説明では、主として相違点について説明する。なお、以下の
図6〜
図12の説明では、第1の実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0050】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態で用いられる内カバー12bの外観斜視図の例を示した図である。この内カバー12bの構造は、第1の実施形態の内カバー12(
図3参照)とは、側板15に形成された開口部15aの形状が相違している。第1の実施形態では、開口部15aは、側板15の下方部から切り込まれ、その下方部が開放された四角形状をしているが、本実施形態では、開口部15aは、その下方部も閉鎖された四角形状をしている。
【0051】
従って、第1の実施形態における内カバー12は、開口部15aも含め、2つの成形金型を用いた上下抜きによって容易に成形することができる。一方、第2の実施形態における内カバー12bは、2つの成形金型を用いた上下抜きによって成形した後、側板15の1つに開口部15aをくりぬいて成形する必要がある。従って、内カバー12bの製造コストは増加することになる。
【0052】
一方において、本実施形態では、第1の実施形態に比べ、開口部15aの大きさが小さくなることから、内カバー12bの内部の空気が側板15の外側の空間に出入りする量が減少する。そのため、対流による熱伝達が低減されるので、断熱効果が向上し、その分、温度調整素子5に供給する電力を低減させることができる。
【0053】
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態で用いられる内カバー12cの外観斜視図の例を示した図である。この内カバー12cの構造は、第1の実施形態の内カバー12とは、天板13と外カバー111との間に設けられている仕切格子板14の数が相違している。すなわち、第1の実施形態では、天板13と外カバー111との間の空間は、2つの仕切格子板14によって4つの空間に分割されているが、本実施形態では、4つの仕切格子板14によって9つの空間に分割されている。
【0054】
従って、本実施形態では、第1の実施形態と比較して、外カバー111と天板13との間の空間がより多数のより小さな空間に分割されるので、空気の対流がさらに弱くなる。従って、本実施形態では、対流による熱伝達効果がより小さくなるので、その分、断熱効果がさらに向上し、温度調整素子5に供給する電力をさらに低減させることができる。
【0055】
(第4の実施形態)
図8は、本発明の第4の実施形態で用いられる内カバー12dの外観斜視図の例を示した図である。この内カバー12dの構造は、天板13および仕切格子板14の上部に、さらに、第2の天板13dおよび第2の仕切格子板14dが設けられている点で、第1の実施形態に係る内カバー12の構造と相違している。すなわち、本実施形態では、天板13および仕切格子板14は、2階建て構造となっている。
【0056】
従って、本実施形態では、第1の実施形態と比較すると、外カバー111と天板13との間の空間がさらに第2の天板13dによって縦方向にも分割されたものとなっているので、空気の対流はさらに弱くなる。従って、本実施形態では、対流による熱伝達効果がより小さくなるので、その分、断熱効果が向上し、温度調整素子5に供給する電力をさらに低減させることができる。
【0057】
(第5の実施形態)
図9は、本発明の第5の実施形態で用いられる内カバー12eの(a)外観斜視図、および、(b)B−B部分の断面構造の例を示した図である。本実施形態に係る内カバー12eは、前記した第4の実施形態に係る内カバー12dと同様に、天板13および仕切格子板14の上部に第2の天板13eおよび第2の仕切格子板14eが設けられた2階建て構造をしている。
【0058】
第4の実施形態では、1階部分および2階部分は、仕切格子板14および第2の仕切格子板14dによってそれぞれ4つずつの区画に分割されているが、本実施形態では、1階部分および2階部分は、仕切格子板14および第2の仕切格子板14eによってそれぞれ9つの区画に分割されている。そして、本実施形態では、2階部分の9つの区画のうち中央区画30の床に相当する部分には、第2の天板13eが形成されておらず、1階と2階の区画が1つの空間、いわば、吹き抜けの空間となっている。
【0059】
ここで、中央区画30の2階の床に相当する部分にも天板13eを設けた構造の場合、その内カバー12eを成形するためには、内カバー12eを2つの部品に分割する必要がある。その場合、製品組立工程が1手間増加することになるので、製品の製造コストが上昇する。そこで、本実施形態では、中央区画30に第2の天板13eを形成しないようにすることによって、内カバー12eを1つの部品として成形することを可能にしたものである。ちなみに、
図9に示した内カバー12eは、上下抜きの2つの金型に左右抜きの金型を組み合わせれば、1つの部品としての成形が可能である。
【0060】
以上のような本実施形態に係る内カバー12eを第3の実施形態に係る内カバー12cと比較すると、天板13と外カバー111との間の空間は、第2の天板13eおよび第2の仕切格子板14eによってさらに細分化されたものとなっているので、空気の対流はさらに弱くなる。従って、本実施形態では、対流による熱伝達効果がさらに小さくなるので、その分、断熱効果が向上し、温度調整素子5に供給する電力をさらに低減させることができる。
【0061】
なお、以上の効果と同様の効果を得るには、内カバー12eは、中央区画30の2階の床に相当する部分にも天板13eを設けた構造であってもよい。ただし、その場合には、前記したとおり、2つの部品に分けて成形しなければならないので、製造コストが上昇することになる。
【0062】
(第6の実施形態)
図10は、本発明の第6の実施形態で用いられる内カバー12fの外観斜視図の例を示した図である。この内カバー12fの構造を第1の実施形態に係る内カバー12の構造と比較すると、両者間で、天板13、仕切格子板14および側板15のそれぞれが外カバー111または基台112に接する部分の形状が相違している。
【0063】
すなわち、第1の実施形態に係る内カバー12では、天板13、仕切格子板14および側板15の周縁部は、その全部が外カバー111または基台112に接触する。一方、本実施形態では、天板13が外カバー111の側部内壁に接する各辺の両端部には、凸状の接触部13cが設けられている。また、側板15が基台112の上面に接する各辺の両端部には、凸状の接触部15cが設けられている。また、仕切格子板14を構成する板材が外カバー111の上部内壁に接する各辺の両端部には、凸状の接触部14cが設けられている。
【0064】
従って、内カバー12,12fがそれぞれ外カバー111および基台112と接触する部分の面積は、本実施形態に係る内カバー12fのほうが小さい。そして、本実施形態では、天板13、仕切格子板14および側板15の凸状の接触部13c,14c,15cが設けられていない部分は、空気層を介して外カバー111または基台112と接することになる。
【0065】
従って、内カバー12,12fを、熱伝導率の小さい熱硬化性樹脂などで成形したとしても、その熱伝導率は空気の熱伝導率よりも大きい。そのため、本実施形態では、内カバー12fと外カバー111との間の熱伝導による熱伝達効果を低減させることができる。よって、本実施形態では、第1の実施形態の場合よりも大きな断熱効果を期待することができ、温度調整素子5に供給する電力をさらに低減させることができる。
【0066】
なお、以上の説明では、凸状の接触部13c,14c,15cは、天板13、仕切格子板14および側板15のそれぞれの周縁の両端部に設けるとしているが、レーザ光源1a,1b,1cからできるだけ遠い位置であれば、どこの位置でもよい。これは、レーザ光源1a,1b,1cから近い部分の熱抵抗を相対的に大きくすれば、熱を遠い部分に分散させることができるので、レーザ光源1a,1b,1cが内カバー12fから受ける熱の影響を低減させることができる、という考えに基づくものである。
【0067】
ところで、ここまでの説明においては、天板13、仕切格子板14および側板15の接触部13c,14c,15cが設けられていない部分と外カバー111または基台112との間隙の空気層で生じる対流(この場合、放射も含み、以下同様)の効果については考慮されていない。以下、
図11を参照して、その対流による熱伝達の効果について説明する。
【0068】
図11は、本発明の第6の実施形態で用いられる内カバー12fにおける接触部の長さの比率とレーザ光源の温度との関係を評価した実験結果の例を示した図である。
図11において、グラフの横軸は、接触部の長さの比率、縦軸は、レーザ光源の温度を表す。このグラフから容易に分かるように、レーザ光源の温度は、接触部の長さの比率に依存し、レーザ光源の温度を最小にするような接触部の長さの比率の最適値が存在する。
【0069】
ここで、接触部の長さの比率は、例えば、仕切格子板14の場合(
図10を参照)、仕切格子板14が外カバー111の内壁と接する部分(この場合、空気層の間隙を介して接する部分を含む)の長さをL1とし、仕切格子板14に設けられた2つの接触部14cの長さを2×L2としたとき、2×L2/L1の値として求められる。このような接触部の長さの比率は、天板13および側板15についても同様に求められる。
【0070】
そこで、
図11でいう接触部の長さの比率とは、天板13、仕切格子板14および側板15が外カバー111または基台112と接する部分(空気層の間隙を介して接する部分を含む)の長さの合計に対する、天板13、仕切格子板14および側板15のそれぞれに設けられた接触部13c,14c,15cの長さの合計の比のことをいう。
【0071】
また、レーザ光源の温度は、環境が高温の条件下で、温度調整素子5に供給する電力を一定としたときに、レーザ光源1a,1b,1c近傍の温度を測定したものである。そのため、内カバー12fの断熱効果が大きい場合には、レーザ光源の温度は低くなり、内カバー12fの断熱効果が小さい場合には、レーザ光源の温度は高くなる。従って、
図11のグラフは、接触部の長さの比率が0〜1/3程度の範囲では、その比率が大きくなるほど断熱効果が大きくなり、接触部の長さの比率が1/3程度〜1の範囲では、その比率が大きくなるほど断熱効果が低下することを表している。
【0072】
すなわち、接触部の長さの比率が1/3程度以下である場合には、内カバー12fと外カバー111との間隙部分の面積が広くなるため、空気の対流による熱伝達量が大きくなる。その結果、接触部の長さの比率が小さくなるほど断熱効果が低下する。一方、接触部の長さの比率が1/3程度以上である場合には、内カバー12fと外カバー111との間の接触部分が大きくなるため、接触部分における熱伝導による熱伝達量が大きくなる。その結果、接触部の長さの比率が大きくなるほど断熱効果が低下する。
【0073】
以上のように、本実施形態では、接触部の長さの比率を1/3程度にした場合、最大の断熱効果が得られることがわかる。従って、天板13、仕切格子板14および側板15が外カバー111または基台112と接する周縁の各辺に2つずつの接触部13c,14c,15cを設けるとすれば、各接触部13c,14c,15cの長さは、前記周縁の各辺の長さの1/6程度にするのが、断熱効果を最大にする上で好適であるといえる。
【0074】
なお、仕切格子板14、天板13および側板15のそれぞれに設けられた接触部13c,14c,15cのそれぞれの長さは、すべて等しいものとしてもよい。しかしながら、接触部13c,14c,15cのうち、外カバー111の上部の内壁に接する仕切格子板14の上部に設けられる接触部14cの長さL2(
図10参照)を、基台112の上面に接する側板15の下部に設けられた接触部15cの長さL3(
図10参照)よりも長くする、すなわち、L2>L3とするのが好ましい。これは、外カバー111および内カバー12fの内部では、空気の対流によって上部ほど圧力が高くなり、下部ほど圧力が低くなることから、上部ほど対流による熱の伝達効果が助長され、下部ほど対流による熱の伝達効果がそがれる、という考えに基づく断熱効果向上対策である。
【0075】
すなわち、仕切格子板14の上部に設けられる接触部14cの長さL2を大きくし、側板15の下部に設けられた接触部15cの長さL3を小さくすることは、対流による熱伝達効果が大きい部位での空気層を介した接触面積を減少させ、対流による熱伝達効果が小さい部位での空気層を介した接触面積を増加させることを意味する。よって、差し引きすれば、対流による熱伝達量を減少させることができ、断熱性能が向上する。
【0076】
なお、以上の第6の実施形態の説明においては、内カバー12fに設けられる凸状の接触部13c,14c,15cは、直方体の形状であるとしているが、三角突起形状や球突起形状などであってもよい。三角突起形状の場合、1つの接触部13c,14c,15c当たりの接触面積を小さくすることができるので、接触による熱伝導と空気層を介しての対流の双方を抑制でき、効果的な断熱が可能となる。
【0077】
また、内カバー12fに設けられる凸状の接触部13c,14c,15cを、外カバー111の内壁に圧入可能な材料および形状で成形してもよい。その場合、走査型画像表示装置100の組立工程では、内カバー12fを外カバー111に圧入することによって、位置決めし、固定することができる。その結果、接着剤などの取付け部材が不必要になるので、その生産効率が向上する。
【0078】
(第7の実施形態)
図12は、本発明の第7の実施形態に係るレーザ光源モジュール110gの分解斜視図の例を示した図である。本実施形態に係るレーザ光源モジュール110gの構造を第1の実施形態に係るレーザ光源モジュール110(
図3参照)の構造と比較すると、外カバー111gおよび基台112gの形状が相違している。すなわち、本実施形態では、外カバー111gは、天板だけで構成され、内カバー12bの側面を覆う側板を有していない。代わりに、内カバー12bは、基台112gの基部から上部に延設された四角形状の筒部の中に収容され、温度調整素子5(
図12には図示されていない)を介して基台112gの基部に取り付けられた光源部101を覆うものとなっている。
【0079】
以上のような構造を有するレーザ光源モジュール110gでは、外カバー111gを単純な平板状にすることができる、従って、レーザ光源モジュール110gの組立工程では、基台112gの筒部の中に光源部101および内カバー12を取り付け、さらに、その上部から平板状の外カバー111gを取り付ければよい。よって、組立工程が簡単化される。なお、本実施形態でも、第1の実施形態と同様の効果が得られることは、いうまでもない。
【0080】
なお、本発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものでなく、さらに様々な変形例が含まれる。例えば、第1〜第7の実施形態においては、内カバー12の側面部の側板15と外カバー111(ただし、第7の実施形態では、基台112gの筒部)との間の空間は、複数の空間にとくに分割はされていないが、仕切格子板14に類似するものを用いて複数の空間に分割してもよい。
【0081】
また、以上に説明した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成の一部で置き換えることが可能であり、さらに、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成の一部または全部を加えることも可能である。