(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シート状に折り畳まれた筒状フィルムを供給するフィルム供給装置と、シート状に折り畳まれた筒状フィルムを開閉可能な一対の把持部材を有するフィルムオープナーによって開口して被嵌体に被嵌するフィルム被嵌装置と、フィルム供給装置から供給されるシート状に折り畳まれた筒状フィルムを、テイクアップ部材が吸引保持することによって受取って、フィルム被嵌装置のフィルムオープナーに引渡すフィルム受渡装置とを備え、
シート状に折り畳まれた筒状フィルムの一面側を吸引保持しているテイクアップ部材と、フィルムオープナーの一方の把持部材とが水平方向に移動することで相対接近して交差し、一方の把持部材が、その筒状フィルムにおけるテイクアップ部材の吸引面側を吸引保持した後、テイクアップ部材による筒状フィルムの吸引保持を解除することによって、テイクアップ部材とフィルムオープナーとの間で筒状フィルムを受渡すようになっているフィルム装着システムにおいて、
フィルムオープナーは、それぞれの把持部材が筒状フィルムの幅方向の中央部で筒状フィルムを吸引保持する、筒状フィルムの長さ方向に延びる一本または複数本の吸引杆を有し、
テイクアップ部材は、筒状フィルムにおけるフィルムオープナーの接触領域以外の領域に接触して筒状フィルムを吸引保持する、筒状フィルムの長さ方向に延びる一本または複数本の吸引杆を有していることを特徴とするフィルム装着システム。
フィルムオープナーの吸引杆における筒状フィルムの吸引面には、吸引杆の長手方向にグループ分けされ、グループ毎に独立した吸引路に連通した複数の吸引孔が形成されており、
それぞれの吸引路は、開閉手段によって開閉可能に吸引手段に接続されており、
開閉手段によって吸引路を開閉することで、吸引杆における吸引箇所を変更可能に構成されている請求項1に記載のフィルム装着システム。
【背景技術】
【0002】
例えば、ボトル容器等の胴部外周面にストレッチラベルやシュリンクラベル等の筒状ラベルを装着するラベル装着システムとしては、複数の装着ヘッドを備えたロータリ型のラベル装着システムがあり、各装着ヘッドには、シート状に折り畳まれた状態で供給される筒状ラベルを開口するラベルオープナーが搭載されている。
【0003】
図16及び
図17に示すように、ラベルオープナー70は、シート状に折り畳まれた状態で供給される筒状ラベルを把持する開閉可能な一対の把持部材71、71を備えており、この把持部材71、71は、それぞれの先端側に、筒状ラベルLの幅方向に延びる複数の吸引アーム72aが筒状ラベルLの長さ方向に配設された櫛歯状の吸引把持部72を有している。
【0004】
従って、シート状に折り畳まれた状態で供給される筒状ラベルLを、一対の把持部材71の吸引把持部72が把持した後、それぞれの吸引把持部72が筒状ラベルLの両面を吸引保持した状態で、一対の把持部材71、71を開くことによって筒状ラベルLの両面を相互に離間させることで筒状に開口するようになっている。
【0005】
シート状に折り畳まれた所定長の筒状ラベルLは、シート状に折り畳まれた長尺帯状のラベル形成基材をラベル供給装置が順次切断することによって形成され、ラベル受渡装置がこれを受取ってラベル装着装置のラベルオープナーに引渡すようになっている。
【0006】
ラベル受渡装置は、
図17に示すように、ラベル供給装置によって筒状ラベルLが供給される第1のラベル受渡位置と、ラベル装着装置のラベルオープナー70に筒状ラベルLを引渡す第2のラベル受渡位置とを通るように回転するテイクアップ部材80を備えており、このテイクアップ部材80は、ラベルオープナー70の櫛歯状の吸引把持部72を通過することができるように、その先端にシート状の筒状ラベルLの片面を吸引保持する、筒状ラベルLの幅方向に張り出す櫛歯状のラベル吸着部81を有している。
【0007】
テイクアップ部材80からラベルオープナー70への筒状ラベルLの引渡しは、第1のラベル受渡位置においてラベル供給装置から筒状ラベルLを受取って、その一面側を吸引保持しているテイクアップ部材80と、ラベルオープナー70とが第2のラベル受渡位置において接近し、テイクアップ部材80が吸引保持している筒状ラベルLの吸引面側をラベルオープナー70の一方の把持部材71が吸引保持した後、テイクアップ部材80による筒状ラベルLの吸引保持を解除することによって行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、筒状ラベルLが、90μm〜100μm程度の厚みを有する腰のあるフィルムによって形成されている場合は、上述したように、筒状ラベルLの幅方向に張り出した櫛歯状のラベル吸着部81を有するテイクアップ部材80を介してラベルオープナー70に筒状ラベルLを引渡しても、ラベルオープナー70は、受取った筒状ラベルLを確実に開口することができる。
【0010】
しかしながら、筒状ラベルLが、20μm〜30μm程度の薄肉で腰のないフィルムによって形成されている場合は、ラベル供給装置によって供給される筒状ラベルLを、その筒状ラベルLの幅方向に張り出した櫛歯状のラベル吸着部81を有するテイクアップ部材80によって受取って搬送すると、搬送途中に風圧等を受けることで、
図18に示すように、筒状ラベルLが、櫛歯状のラベル吸着部81に沿って、その長さ方向に波打った状態、即ち、凹凸が筒状ラベルLの幅方向に延びた状態でラベルオープナー70に引渡されることになる。
【0011】
このように、ラベルオープナー70に引渡された筒状ラベルLがその長さ方向に波打っていると、ラベルオープナー70が筒状ラベルLを開口しようとして、筒状ラベルLの両面を吸引保持している一対の把持部材が相互に離間しても、筒状ラベルLの長さ方向の中央部に位置している波打ち部分が開きにくく、筒状ラベルLの一方の開口端から他方の開口端に渡って空気が流入できないので、筒状ラベルLの開口不良が発生し、筒状フィルムLがラベルオープナー70から脱落してしまうといった問題がある。
【0012】
そこで、この発明の課題は、テイクアップ部材から受取った筒状フィルムをフィルムオープナーが確実に開口することができるフィルム装着システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、シート状に折り畳まれた筒状フィルムを供給するフィルム供給装置と、シート状に折り畳まれた筒状フィルムを開閉可能な一対の把持部材を有するフィルムオープナーによって開口して被嵌体に被嵌するフィルム被嵌装置と、フィルム供給装置から供給されるシート状に折り畳まれた筒状フィルムを、テイクアップ部材が吸引保持することによって受取って、フィルム被嵌装置のフィルムオープナーに引渡すフィルム受渡装置とを備え、シート状に折り畳まれた筒状フィルムの一面側を吸引保持しているテイクアップ部材と、フィルムオープナーの一方の把持部材とが水平方向に移動することで相対接近して交差し、一方の把持部材が、その筒状フィルムにおけるテイクアップ部材の吸引面側を吸引保持した後、テイクアップ部材による筒状フィルムの吸引保持を解除することによって、テイクアップ部材とフィルムオープナーとの間で筒状フィルムを受渡すようになっているフィルム装着システムにおいて、フィルムオープナーは、それぞれの把持部材が筒状フィルムの幅方向の中央部で筒状フィルムを吸引保持する、筒状フィルムの長さ方向に延びる一本または複数本の吸引杆を有し、テイクアップ部材は、筒状フィルムにおけるフィルムオープナーの接触領域以外の領域に接触して筒状フィルムを吸引保持する、筒状フィルムの長さ方向に延びる一本または複数本の吸引杆を有していることを特徴とするフィルム装着装置を提供するものである。
【0014】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明のフィルム装着システムにおいて、フィルムオープナーの吸引杆における筒状フィルムの吸引面には、吸引杆の長手方向にグループ分けされ、グループ毎に独立した吸引路に連通した複数の吸引孔が形成されており、それぞれの吸引路は、開閉手段によって開閉可能に吸引手段に接続されており、開閉手段によって吸引路を開閉することで、吸引杆における吸引箇所を変更可能に構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、請求項1に係る発明のフィルム装着システムでは、フィルムオープナーは、それぞれの把持部材が筒状フィルムの幅方向の中央部で筒状フィルムを吸引保持する、筒状フィルムの長さ方向に延びる一本または複数本の吸引杆を有しており、テイクアップ部材は、筒状フィルムにおけるフィルムオープナーの接触領域以外の領域に接触して筒状フィルムを吸引保持する、筒状フィルムの長さ方向に延びる一本または複数本の吸引杆を有しているので、筒状フィルムが薄肉で腰のない場合は、テイクアップ部材が筒状フィルムを搬送する際、搬送途中に風圧等を受けることで、筒状フィルムが、その長さ方向に延びる吸引杆に沿って、その幅方向に波打った状態、即ち、凹凸が筒状フィルムの長さ方向に延びた状態でフィルムオープナーに引渡されることになる。
【0016】
従って、フィルムオープナーが受取った筒状フィルムを開口しようとして、筒状フィルムの長さ方向に延びる吸引杆が筒状フィルムの両面における幅方向の中央部を吸引保持した状態で、一対の把持部材が相互に離間すると、少なくとも、筒状フィルムの幅方向の中央部において、一方の開口端から他方の開口端に渡って開通(フィルムが離反)し、その開通部分に空気が流入することによって、筒状フィルムが確実に開口されるので、筒状フィルムに開口不良が発生することがなく、筒状フィルムがフィルムオープナーから脱落することもない。
【0017】
また、請求項2に係る発明のフィルム装着システムでは、フィルムオープナーの吸引杆における筒状フィルムの吸引面には、吸引杆の長手方向にグループ分けされ、グループ毎に独立した吸引路に連通した複数の吸引孔が形成されており、それぞれの吸引路が、開閉手段によって開閉可能に吸引手段に接続されており、開閉手段によって吸引路を開閉することで、吸引杆における吸引箇所を変更可能に構成されているので、開口しようとする筒状フィルムの装着高さを変更する場合や長さの異なる筒状フィルムに変更する場合は、開閉手段によって、吸引杆における吸引させる必要のない部分に形成された吸引孔に対応する吸引路を閉鎖すればよく、型替えを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】この発明に係るフィルム装着システムの一実施形態であるラベル装着システムを示す概略平面図である。
【
図2】同上のラベル装着システムを構成しているラベル装着装置及びラベル受渡装置を示す概略側面図である。
【
図3】同上のラベル装着装置のラベル装着ヘッドを示す概略図である。
【
図4】同上のラベル装着ヘッドを構成しているラベルオープナーを示す平面図である。
【
図5】同上のラベルオープナーを示す側面図である。
【
図6】(a)は同上のラベルオープナーを構成している把持部材の把持部を示す平面図、(b)は同上の把持部を示す正面図、(c)は同上の把持部を示す側面図である。
【
図7】同上のラベル受渡装置を示す概略側面図である。
【
図8】(a)、(b)は同上のラベル受渡装置を構成しているテイクアップ部材を示す正面図である。
【
図9】同上のラベル装着装置を構成しているラベル拡開手段を示す断面図である。
【
図10】(a)は同上のラベル装着装置を構成しているボトル押上手段の載置台が上昇した状態を示す断面図、(b)は同上の載置台が降下した状態を示す断面図である。
【
図11】同上のラベル装着装置を構成しているボトル持上手段を示す概略側面図である。
【
図12】テイクアップ部材によるラベルの搬送途中の状態を示す概略斜視図である。
【
図13】(a)はラベルオープナーを構成している把持部の変形例を示す平面図、(b)は同上の把持部を示す左側面図、(c)は同上の把持部を示す正面図、(d)は同上の把持部を示す右側面図である。
【
図14】(a)はラベルオープナーを構成している吸引杆の変形例を示す正面図、(b)は(a)のX−X線に沿った断面図、(c)は同上の吸引杆を構成しているインナーパイプの展開図、(d)は同上のインナーパイプの変形例を示す展開図、(e)は同上のインナーパイプの他の変形例を示す展開図である。
【
図15】(a)はラベルオープナーを構成している吸引杆の他の変形例を示す平面図、(b)は同上の吸引杆を示す正面図、(c)は(b)のY−Y線に沿った断面図、(d)は同上の吸引杆を構成している遮蔽ベルトを移動させた状態を示す正面図である。
【
図16】従来のラベルオープナーを示す平面図である。
【
図17】従来のテイクアップ部材から同上のラベルオープナーへのラベルの引渡し状態を示す側面図である。
【
図18】同上のテイクアップ部材によるラベルの搬送途中の状態を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、PETボトル(以下、ボトルという。)Bにポリエチレン系樹脂製の弾性伸縮性フィルムによって形成された筒状のストレッチラベル(以下、ラベルという。)を装着するためのラベル装着システム1を示しており、このラベル装着システム1は、ベルトコンベア2a、スクリュー2b及びスターホイール2cからなるボトル供給装置2と、基材繰出部によって基材ロールから繰り出された長尺のラベル形成基材を順次切断しながらラベルを形成し、そのラベルを第1のラベル受渡位置αに順次供給するラベル供給装置3と、このラベル供給装置3によって第1のラベル受渡位置αに供給されたラベルを受取って第2のラベル受渡位置βに搬送するラベル受渡装置4と、ボトル供給位置γにおいて前記ボトル供給装置2から供給されたボトルBを受取り、ボトル送出位置δまで搬送すると共に、前記ラベル受渡装置4によって搬送されてきたラベルを第2のラベル受渡位置βにおいて受取り、ボトルBをボトル供給位置γからボトル送出位置δまで搬送する間に、ラベルをボトルBに装着するロータリ型のラベル装着装置5と、このラベル装着装置5によってラベルが装着されたボトルBを搬出する、スターホイール6a及びベルトコンベア6bからなるボトル搬送装置6とから構成されている。
【0020】
なお、前記ラベル形成基材は、ボトルBに装着する筒状のラベルが連続的に繋がったものであり、前記基材繰出部においてはシート状に折り畳んだ状態でドラムに巻回されている。
【0021】
前記ラベル装着装置5は、
図1及び
図2に示すように、回転軸(図示せず)に取り付けられた支持円盤5a及び回転軸から放射状に張り出した複数の支持アーム5b、5bを介して、回転軸を中心とした同心円上に一定間隔で取り付けられた多数のラベル装着ヘッド5cを備えており、各ラベル装着ヘッド5cによって、第2のラベル受渡位置βにおいて受取ったシート状に折り畳まれた筒状のラベルLがボトルBの外径より大きく拡開され、この拡開されたラベルLが、ボトル供給位置γにおいて受取ったボトルBがボトル送出位置δまで搬送される途中で、ボトルBの胴部に装着されるようになっている。
【0022】
前記ラベル装着ヘッド5cは、
図3に示すように、第2のラベル受渡位置βにおいて受取ったシート状に折り畳まれた筒状のラベルLを、予備的に開口するラベルオープナー10と、ラベルオープナー10によって予備的に開口されたラベルLを、ラベル装着レベルでボトルBの外径より大きく拡開するラベル拡開手段30と、ボトル供給位置γにおいて前記ラベル装着レベルの下方位置にある載置台42に載置されたボトルBを、載置台42を上昇させることによって、ラベル装着レベルにおいて拡開されたラベルLに挿入するボトル押上手段40と、ボトルBに被嵌されたラベルの上端部をボトルBとによって把持した状態で、ボトルBを持ち上げるボトル持上手段50とから構成されている。
【0023】
前記ラベルオープナー10は、
図4及び
図5に示すように、支持アーム5bに揺動自在に支持された本体部12a、12bの先端に把持部13が連設された開閉可能な一対の把持部材11と、この把持部材11の把持部13に形成された吸引口から吸引することで把持部材11に把持されたラベルLの両面をそれぞれ把持部材11に吸引保持させる図示しない吸引手段と、把持部材11を開閉させる開閉駆動手段14とから構成されており、このラベルオープナー10は、ラベル受渡装置4によって搬送されてきたシート状に折り畳まれたラベルLを、第2のラベル受渡位置βにおいて、一方の把持部材11が吸引保持することによって受取った後、一対の把持部材11によって把持し、吸引手段が作動することでラベルLの両面を把持部13にそれぞれ吸引保持させた状態で、その把持部材11を開いてラベルLの両面を相互に離間させることにより、ラベルLを筒状に開口するようになっている。
【0024】
前記把持部13は、
図5及び
図6に示すように、本体部12a、12bに接続するための接続部131a、131bを有する基部131と、この基部131の上端部に連設された、ラベルLの幅方向の中央部でラベルLを吸引保持する、ラベルLの長さ方向に延びる吸引杆132とを備えており、吸引杆132は、基部131の上端部から垂下する杆本体132aと、この杆本体132aに取り付けられ、上下2個の吸引孔からなる吸引孔群hgが、ラベルLの把持面に左右2列で上下方向の所定位置(5カ所)にそれぞれ配置された把持面形成部材132bとから構成されている。
【0025】
把持部13は、
図6(a)〜(c)に示すように、最下位の左右の吸引孔群hg及び下から2番目の左右の吸引孔群hgが連通した状態で把持面形成部材132bによって閉塞される、杆本体132aに形成された吸引凹部13a及びこの吸引凹部13aに連通する、杆本体132a及び基部131に形成された吸引路13b、13c、13dと、左右それぞれの最上位、上から2番目及び上から3番目の吸引孔群hgが連通した状態で把持面形成部材132bによって閉塞される、杆本体132aに形成された吸引凹部13e、13e及びこの吸引凹部13e、13eに連通する、杆本体132a及び基部131に形成された吸引路13f、13gとを備えており、吸引路13d及び吸引路13gは、それぞれを個別に開閉する電磁弁SVを介して吸引手段に接続されている。
【0026】
従って、各電磁弁SVを操作することによって、(1)全ての吸引孔群hgから吸引する場合、(2)最下位及び下から2番目の左右の吸引孔群hgから吸引する場合、(3)最上位、上から2番目及び上から3番目の左右の吸引孔群hgから吸引する場合の3つの吸引パターンを切替えることができ、ラベルの装着高さやラベルの長さに応じて、いずれかの吸引パターンを選択することで、ラベルの装着高さや長さの異なるラベルに対応することができる。
【0027】
前記開閉駆動手段14は、
図2〜
図5に示すように、把持部材11、11を常時閉方向に付勢するコイルバネ141と、把持部材11、11を開閉させるカム機構142、144とを備えている。
【0028】
前記カム機構142は、把持部材11(本体部12b)の後端側にそれぞれ取り付けられた一対のカムフォロア142aと、この一対のカムフォロア142aにそれぞれ当接するカム面を有するカム板142bとから構成されており、このカム板142bは、支持アーム5bに取り付けられたベース部分10aにスライド自在に支持された駆動杆143に連結されている。
【0029】
前記カム機構144は、駆動杆143の後端部に取り付けられたカムフォロア144aと、このカムフォロア144aが嵌り込むカム溝を有する環状のカム板(図示せず)とから構成されており、このカム機構144によって、駆動杆143を介してカム板142bを一対のカムフォロア142a間で進退させることによって、把持部材11、11を開閉させるようになっている。
【0030】
ラベル受渡装置4は、
図1〜
図3及び
図7に示すように、回転軸4aに装着されたベース円盤4bの周縁部に取り付けられ、第1のラベル受渡位置αと第2のラベル受渡位置βとを通るように水平回転する複数のテイクアップ部材20を有しており、それぞれのテイクアップ部材20は、シート状に折り畳まれたラベルLの片面を吸引保持するようになっている。
【0031】
テイクアップ部材20は、
図8(a)、(b)に示すように、ラベルオープナー10における把持部13の接触領域以外の領域に接触してラベルLの片面を吸引保持する、ラベルLの長さ方向に延びる二本の吸引杆21を有しており、テイクアップ部材20の二本の吸引杆21に吸引保持されているラベルLの吸引面側をラベルオープナー10の一方の把持部材11の把持部13が吸引保持した後、テイクアップ部材20によるラベルLの吸引を解除することによって、テイクアップ部材20からラベルオープナー10にラベルLが引渡されるようになっている。
【0032】
前記ラベル拡開手段30は、
図9に示すように、上部環状円盤31a及びこの上部環状円盤31aの下端部に取り付けられた下部筒状体31bからなるベース部材31と、スライド部材33を介して径方向に移動自在に環状円盤31aに支持された8本の拡開爪32と、各スライド部材33に支持部材34を介して取り付けられたカムフォロア35と、下部筒状体31bの内径部に回転可能に支持された、それぞれのカムフォロア35が嵌合する、内径側から外径側に向かって周方向に延びる複数の放射状のカム溝が形成された円環状のカム部材36とを備えており、このカム部材36を、図示しないカム機構によって回転させることで、拡開爪32が径方向に進退するようになっている。
【0033】
前記ラベル拡開手段30は、
図3に示すように、前記支持アーム5bに取り付けた支柱に昇降自在に支持されており、ベース部材31の下部筒状体31bに取り付けられたカムフォロア38及びこのカムフォロア38が当接するカム面を有するカム部材39からなる昇降機構37によって昇降するようになっている。
【0034】
前記ボトル押上手段40は、
図3及び
図10(a)、(b)に示すように、支持円盤5aの周縁部を上下に貫通した状態で上下動自在に支持された操作杆41と、支持円盤5aの上側で操作杆41の上端部に取り付けられた、ボトルBを載置するための載置台42と、操作杆41を昇降させる昇降機構43とを備えており、昇降機構43は、操作杆41の下端部に取り付けられたカムフォロア44と、このカムフォロア44が嵌り込むカム溝を有するカム板45とから構成されている。
【0035】
また、支持円盤5aには、載置台42に載置したボトルBの転倒を防止するために、載置台42を取り囲むボトルガイド46が配設されており、ボトル供給位置γにおいてボトル供給装置2から供給されたボトルBを受取る際に、ボトルBが載置台42の所定位置に位置決めされるようになっている。
【0036】
前記ボトル持上手段50は、
図3及び
図11に示すように、開閉可能な一対の揺動アーム51と、各揺動アーム51の先端部にそれぞれ取り付けられた、ラベルLが被嵌されたボトルBの胴部におけるラベルLの上端部を把持する左右一対のグリッパー52と、各グリッパー52にそれぞれ取り付けられた、各グリッパー52がボトルBを把持したときに、ボトルBの首部を把持する左右一対のネッククランパ53と、揺動アーム51を昇降させる昇降機構57と、揺動アーム51を開閉させる開閉機構60とを備えており、左右一対の揺動アーム51は、支持部材54及びスライドガイド55を介して、支持アーム5bに立設されたスライドレール56に昇降自在に支持されている。
【0037】
前記昇降機構57は、支持部材54に取り付けられたカムフォロア58と、このカムフォロア58が嵌り込むカム溝59aを有する、グリッパー52の移動経路に沿って配設された円筒状のカム部材59とによって構成されており、このカムフォロア58及びカム部材59(カム溝59a)からなるカム機構によって、スライドガイド55を上下動させることで、揺動アーム51を昇降させるようになっている。
【0038】
前記開閉機構60は、揺動アーム51を常時開方向に付勢する図示しないバネと、揺動アーム51の基端部側にそれぞれ取り付けられた図示しない一対のローラと、両ローラ間に挿入されることで両ローラに当接するカム面を備えたカム部材62が下端部に取り付けられた操作杆61とを備えており、操作杆61は、支持部材54によって上下動自在に支持されると共に、上端部には、スライドレール56に沿って昇降するスライドガイド63が取り付けられている。
【0039】
前記操作杆61の上端部には、カム部材59に形成されたカム溝59bに嵌り込むカムフォロア64が取り付けられており、このカムフォロア64及びカム部材59(カム溝59b)からなるカム機構によって、スライドガイド63を上下動させることで、操作杆61を昇降させるようになっている。
【0040】
従って、カム溝59bによってカムフォロア64を降下させると、これに伴って操作杆61が降下し、操作杆61の下端部に取り付けられたカム部材62がローラを押し広げることで、揺動アーム51の先端側が閉じるようになっており、カム溝59b及びカムフォロア64からなるカム機構によって操作杆61を上下動させることで、揺動アーム51が開閉されるようになっている。
【0041】
以上のように構成されたラベル装着システム1では、ラベル受渡装置4によってラベル受渡位置βに搬送されてきたシート状に折り畳まれた筒状のラベルLを、ラベルオープナー10の把持部材11が受取って予備的に開口し、ラベル拡開手段30の拡開爪32が、そのラベルLをラベル装着レベルでボトルBの外径より大きく拡開した状態で、ラベル装着レベルの下方位置においてボトルBを載置したボトル押上手段40の載置台42が上昇することで、拡開されたラベルLにボトルBを挿入し、拡開爪32がラベル装着レベルから降下することで、ボトルBに装着されたラベルLから拡開爪32を引抜いた後、ボトル持上手段50が、ボトルBに被嵌されたラベルの上端部を把持した状態で、ボトルBを持ち上げることで、ラベルLの装着動作が完了する。
【0042】
ラベル供給装置3とラベル装着装置5との間でラベルLの受渡しを行うラベル受渡装置4のテイクアップ部材20は、第1のラベル受渡位置αでラベル供給装置3から受取ったラベルLを、二本の吸引杆21に吸引保持した状態で第2のラベル受渡位置βに搬送するが、二本の吸引杆21はラベルLの長さ方向に延びているので、ラベルLが薄肉で腰のない場合は、テイクアップ部材20がラベルLを搬送する際、搬送途中に風圧等を受けることで、ラベルLが、
図12に示すように、その長さ方向に延びる吸引杆21に沿って、その幅方向に波打った状態、即ち、凹凸がラベルLの長さ方向に延びた状態でラベルオープナー10に引渡されることになる。
【0043】
従って、ラベルオープナー10が受取ったラベルLを開口しようとして、ラベルLの長さ方向に延びる把持部13の吸引杆132がラベルLの両面における幅方向の中央部を吸引保持した状態で、一対の把持部材11、11が相互に離間すると、少なくとも、ラベルLの幅方向の中央部において、一方の開口端から他方の開口端に渡って開通(ラベルLが離反)し、その開通部分に空気が流入することによって、ラベルLが確実に開口されるので、従来のように、ラベルLの幅方向に張り出す櫛歯状の吸引把持部72やラベル吸着部81を有するラベルオープナー70やテイクアップ部材80を使用する場合とは異なり、ラベルLに開口不良が発生することがなく、ラベルLがラベルオープナー10から脱落することもない。
【0044】
また、ラベルオープナー10は、上述したように、吸引杆132に形成された複数の吸引孔群hgが上下でグループ分けされており、電磁弁SVを操作することによって、3つの吸引パターンを適宜切替えることができるので、ラベルの装着高さを変更する場合や長さの異なるラベルに変更する場合も容易に対応することができる。
【0045】
なお、上述した実施形態では、一本の吸引杆132を有するラベルオープナー10と、二本の吸引杆21を有するテイクアップ部材20を採用しているが、ラベルオープナー10がラベルLの幅方向の中央部を吸引保持することができるのであれば、ラベルオープナー10の吸引杆132の本数及びテイクアップ部材20の吸引杆21の本数は特に限定されない。
【0046】
また、上述した実施形態のラベルオープナー10では、把持部13の吸引杆132の上半部に形成された吸引孔群hgが連通する吸引凹部13eを幅方向に2分割すると共に、吸引杆132の下半部に形成された吸引孔群hgが連通する吸引凹部13aに接続された吸引路13bを吸引凹部13e、13eの間に配置しているが、これに限定されるものではなく、例えば、
図13(a)〜(c)に示す把持部13Aのように、吸引杆132Aの把持面形成部材132Abに形成され、下部、中間部、上部にグループ分けされた吸引孔群がそれぞれ連通する同一幅の吸引凹部13Aa、13Ab、13Acを杆本体132Aaの上下方向に整列配置し、各吸引凹部13Aa、13Ab、13Acに接続された吸引路13Ad、13Ae、13Afを、杆本体132Aa及び基部131Aの奥行き方向に整列させた状態で配置するようにしてもよい。
【0047】
また、上述したラベルオープナー10では、吸引杆132に形成された複数の吸引孔群hgを上下でグループ分けすると共に、その吸引孔群hgに連通する吸引凹部や吸引路をそれぞれのグループ毎に設け、電磁弁SVによって吸引路を開閉することで、3つの吸引パターンを適宜切替えることができるようにしているが、これに限定されるものではなく、例えば、
図14(a)〜(c)に示すような吸引杆132Bを採用することも可能である。
【0048】
この吸引杆132Bは、同図に示すように、ラベルの把持面に多数の吸引孔vhが上下方向に形成されると共に、それらの吸引孔vhに連通する共通吸引路13Baが形成された杆本体132Baと、この杆本体132Baの共通吸引路13Baにおける下部を除いた部分に定位置回転可能に挿入されるインナーパイプ132Bbとによって構成されており、インナーパイプ132Bbは、杆本体132Baの共通吸引路13Baに連通する内部吸引路13Bbを有し、インナーパイプ132Bbの挿入部分に形成された各吸引孔vhを1個づつ内部吸引路13Bbに連通させる連通孔chが周方向に位置ズレさせた状態で形成されている。
【0049】
従って、この吸引杆132Bでは、インナーパイプ132Bbが挿入されていない杆本体132Baの下部に形成された吸引孔vhは、常時、共通吸引路13Baに連通されているので吸引可能であるが、インナーパイプ132Bbの挿入部分に形成された吸引孔vhは、いずれか1個だけが内部吸引路13Bbを介して共通吸引路13Baに連通することになり、インナーパイプ132Bbを回転させることによって、共通吸引路13Baに連通する吸引孔vhを変更することで、吸引可能な吸引孔vhの高さ位置を変更することができる。これによって、長さの異なるラベルを吸引保持することが可能となる。
【0050】
また、インナーパイプ132Bbには、吸引孔vhに対応する連通孔chが1個づつ形成されているが、同図(d)に示すように、連通孔chを連続した1本の長孔にすることも可能であり、このインナーパイプ132Bbでは隣接する2個の吸引孔vhを同時に連通させることができるようになっている。なお、長孔である連通孔chの幅を調整することによって内部吸引路13Bbに同時に連通させる吸引孔vhの個数を調整することができることはいうまでもない。
【0051】
さらに、同図(e)に示すように、上述した連通孔の形成位置が斜辺となる略直角三角形状の開口opを形成しておくと、インナーパイプ132Bbを回転させることによって、内部吸引路13Bbに同時に連通させる吸引孔vhの個数を1個づつ増減させることができる。
【0052】
また、長さの異なるラベルに対応するためには、
図15(a)〜(c)に示すような吸引杆132Cを採用することも可能であり、この吸引杆132Cは、同図に示すように、ラベルの把持面に多数の吸引孔vhが整列して形成された杆本体132Caと、この杆本体132Caの不要な吸引孔vhを閉塞する無端状の遮蔽ベルト132Cbとから構成されている。
【0053】
遮蔽ベルト132Cbは、ラベルの把持面に沿うように、杆本体132Caの上下方向に掛け渡されており、全ての吸引孔vhを開放可能な幅及び長さを有する長穴LHが形成されている。
【0054】
杆本体132Caには、その両側部に、掛け渡された遮蔽ベルト132Cbを杆本体132Caの幅方向に位置決めするための一対のフランジFが連設されており、遮蔽ベルト132Cbを同図(c)に矢印で示す方向に循環移動させることができるように、一対のフランジFの後部の上下端部にローラRが取り付けられている。
【0055】
以上のように構成された吸引杆132Cは、杆本体132Caに掛け渡された遮蔽ベルト132Cbを移動させて長穴LHの位置を調整することで、同図(b)及び(d)に示すように、吸引可能な吸引孔vhの数を増減させることができるので、長さの異なるラベルを吸引保持することが可能となる。
【0056】
また、この吸引杆132Cでシート状に折り畳まれた筒状のラベルを把持した状態で吸引すると、遮蔽ベルト132Cbの長穴LH部分は、ラベルの両面がそれぞれの杆本体132Caに吸着されることによって双方の吸引杆132Cの遮蔽ベルト132Cbの厚み分だけラベルが離反することになるので、双方の吸引杆132Cを離間させてラベルを開口する際、ラベルが開口しやすくなるという効果が得られる。
【0057】
また、上述した実施形態では、テイクアップ部材20については、その吸引杆21の吸引パターンを切替えることができないが、これに限定されるものではなく、ラベルオープナー10と同様の手法等を用いて、吸引杆21の吸引パターンを切替え可能に構成することも可能である。
【0058】
また、上述した各実施形態では、PETボトルにストレッチラベルを装着する場合について説明したが、被嵌体は上述したようなPETボトルに限定されるものではなく、本発明のラベル装着システムは、瓶、缶等の種々の容器や筒状体にストレッチラベルやシュリンクラベル等の筒状フィルムを装着する場合に適用することができることは言うまでもない。特に、腰のない薄肉の筒状ストレッチフィルムを開口して被嵌体に装着する場合に有効である。