【実施例】
【0063】
・活性化したカーボンクライオゲルの製造およびBET分析
スーパーキャパシタ電極材料で用いる活性化したクライオゲルは標準的な化学物質:レゾルシノール{99+%、Sigma-Aldrich社製、C
6H
4(OH)
2}、ホルムアルデヒド溶液{37%、メタノール(C
2H
5OH)で安定化、Fisher Scientific社製、COH
2}、炭酸ナトリウム{99.5%、Sigma-Aldrich社製、NaCO
3}およびtert−ブチルアルコール(t−ブタノール){99.8%、J. T. Baker社製、(CH
3)
3COH}ならびに必要に応じてトリフルオロ酢酸{99%、Aldrich社製、C
2HF
3O
2}より作成される。これらの化学物質は更なる処理なしに受け入れたまま使用した。一連の活性化したカーボンクライオゲルを作った。全てのゾルについて、レゾルシノール(R)のホルムアルデヒド(F)に対するモル比(R/F)は1:2に維持し、レゾルシノールの炭酸ナトリウム触媒(C)に対するモル比(R/C)およびレゾルシノールの水(W)に対する質量比(R/W)は系統的に変化させた。ゾルは、レゾルシノールとホルムアルデヒドとを撹拌した蒸留水中で混合した後、室温で触媒を添加することにより準備した。得られたゾルはガラス製アンプルまたはバイアル(または小瓶)に密閉し90℃で少なくとも24時間またはゲル化が完了するまで(7日間)ゲル化した。得られたレゾルシノール−ホルムアルデヒド(RF)ヒドロゲルは、未使用のt−ブタノール中で3回、それぞれ24時間浸すことにより溶媒交換されて水をt−ブタノールで置換し、その後3日間凍結乾燥した。得られたRFクライオゲルは、窒素中にて1050℃で4時間熱分解し、その後流量400SCCM(立方センチメートル毎秒)のCO
2中にて900℃で様々な保持時間で活性化した。ポア構造はQuantachrome NOVA 420Oe (Quantachrome Instruments社、Florida州Boyton Beach)で77Kでの窒素吸着および273KでのCO
2吸着により特性評価した。本願の1つの態様では、活性化したカーボンクライオゲルの準備において、ゲル化の後にトリフルオロ酢酸を用いた酸への浸漬(acid rinse)工程が含まれる。
【0064】
・サイクリックボルタンメトリーとクロノポテンシオメトリーを用いた電気化学的解析および電気容量測定
電極は、粉末状の活性化したカーボンクライオゲルと1重量%〜3重量%のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)バインダーとを混合することにより準備した。混合物を圧延し、そして厚さ75μm、直径9mmのディスクを切り出した。
【0065】
電気化学試験用のセルはステンレス鋼接点を有するペルフルオロアルコキシTセルから作った。このセルは、作動するキャパシタの条件を模して、サンプルを例えばアルゴンのような不活性環境に保持できるという1つの利点を有する。アルゴングローブボックス中で、対称なカーボン−カーボン(C−C)キャパシタを組み立てた。25μm厚さの多孔質ポリプロピレン薄膜(Celanese Plastics社による Celgard)をセパレータとして用いた。一旦組み立ててから、サンプルを電解質にサンプルのポロシティーに応じて20分以上浸漬した。用いた電解質は、飽和した50/50 プロピレンカーボネート(PC)/ジメチルカーボネート(DMC)中のテトラエチルアンモニウム テトラフルオロボレート(TEATFB)であった。
【0066】
テストセルの電気容量および出力電力は、CHI電気化学ワークステーション(CHI Instruments、米国)による様々な電圧(1.0〜最大3.5Vの範囲)および電流レベル(1〜10mA)でサイクリックボルタンメトリーとクロノポテンシオメトリーとを用いて測定した。電気容量(C)は以下の式を用いてポテンシオグラムの放電極性から計算した。
(式1) C=i/s
【0067】
ここで、iは電量(A)であり、s=V/tはV/sの電圧速度である。テストキャパシタは対称なC−C電極であるから、比電気容量(C
s、単位はF/g)は、以下の式で求まる。
(式2) C
s=2C/m
e
【0068】
ここで、m
eは単一の電極の質量である。比エネルギー(E
s、単位はW/g)および比電力(P
s、単位はJ/g)は、以下を用いて決定される。
【0069】
【数1】
【0070】
ここで、Cは測定した電気容量であり、V
maxは最大試験電圧であり、ESRは放電の初期の電圧降下より得られる等価直列抵抗である。
図1は上記の式の値を決定するために、CP曲線からどのようにi、s、V、t、V
maxおよびESRの値を計算するかを示す。
【0071】
同様に、これらの式は、本明細書で例示する対称のカーボン−カーボン電極ではない電極の比電気容量、比エネルギー、比電力を計算するのに用いることができる。
【0072】
・統計的分析
工業実験計画法(DOE)を用いて、ポア構造のそれぞれの変数の影響(impact)および電極の活性化したクライオゲルの性能を調査した。DOE(または実験計画法)は科学の領域ではそれほど頻繁には用いられていないが、本調査では、個々の異なる活性化したクライオゲルの加工(または処理)パラメータの特性を見出すこの取り組みにより生じる膨大な量のデータを活用するために用いた。タグチメソッドL2統計的設計(Digital Computations, IncのDOE Proソフトウエアによる)を用いて、それぞれの変数の相対的影響(または相対的インパクト)を調べた。サンプルは2つの工程でテストした。それぞれについて、調査した変数は、レゾルシノール/触媒比(R/C)、レゾルシノール/水比(R/W)、RFクライオゲルの熱分解の温度および時間、二酸化炭素による活性化の温度および時間である。RC比(ポア構造に影響を及ぼす1因子)の最適範囲ならびに活性化の理想的な程度を見出すように、第1のテストはより一般的な設計を用いた。本調査では、続いて最適な範囲内でR/Cと活性化の影響ならびにR/Cと活性化が最も性能を発揮する値の範囲内で他の変数の良好な調整(またはチューニング)を評価するための第2のテストに繋がる。表1は、タグチメソッドのL12実験計画アプローチで用いた6つの異なる変数のための加工パラメータを示す。この実験計画およびDOE Proソフトウエアを用いて、本願出願者らは、複数の変数の一次レベルの相互作用を明らかにしながら、より好ましい2つの高値と低値を特定した。
【0073】
本明細書で開示する実施例では、全てのゾルゲル、および乾燥パラメータは全てのサンプルについて同じである。以下に示すサンプル1〜4の熱分解および活性化のパラメータは変化させた。カーボンクライオゲルの構造を改良するのにR/Cと%活性化のみを用いた。本明細書で示すサンプルの個々の詳細は以下に示す。
【0074】
サンプル1(「R/C50」とも言う)は、R/Cが50で、R/Wが0.25で準備した。N
2熱分解は1050℃で240分間行った。活性化は900℃で70%の活性化に必要な時間の間行った。
【0075】
サンプル2は、R/Cが50で、R/Wが0.125で準備した。N
2熱分解は1050℃で60分間行った。活性化は900℃で45%の活性化に必要な時間の間行った。
【0076】
サンプル3(「R/C25」とも言う)は、R/Cが25で、R/Wが0.25で準備した。N
2熱分解は1050℃で240分間行った。活性化は900℃で70%の活性化に必要な時間の間行った。
【0077】
サンプル4は、R/Cが50で、R/Wが0.125で準備した。N
2熱分解は1050℃で60分間行った。活性化は900℃で25%の活性化に必要な時間の間行った。
【0078】
【表1】
【0079】
・インピーダンス分光法を用いた電気化学的解析および電気容量測定
材料および準備:
活性化したそれぞれのクライオゲルサンプルは60℃で乾燥し、その後3重量%になるようテフロン(登録商標)バインダー(ポリテトラフルオロエチレン)と混合した。それぞれの混合物を全体に亘りブレンドして、厚さ0.002インチのシートを形成した。
【0080】
それぞれのシート材料を、鋼の金型を用いて打ち抜き、直径0.625インチのディスクを作った。それぞれの材料の6つの電極ディスクは0.1mgの精度で重量を測定した。これら電極は真空状態(機械式粗引きポンプ)で195℃で少なくとも10時間乾燥した。電極1組の平均質量および密度を表2に示す。
【0081】
【表2】
【0082】
テストキャパシタ;
195℃から冷却後、電極を含む真空容器は真空下のままで、ドライボックスに運んだ。以降の全ての組み立て作業はドライボックス中で行った。電極ディスクを10分間有機電解質に浸漬し、その後セルに組み付けた。電解質は1.0Mのテトラエチルアンモニウム−テトラフルオロボレート(TEATFB)塩を含む、同じ体積のプロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)との混合物であった。
【0083】
開放気泡型セパレータ(open cell foam type)材料を用いてテストセルを準備した。セパレータはテストセル中で圧縮される前0.002インチ程度の厚さであった。テストセルの導電性フェイスプレートは、酸化を防止するように特殊な表面処理を行ったアルミニウム金属(リチウムイオン電池産業で用いられているように)であった。熱可塑性エッジシール材料を電解質との適合性および低透湿性から選択し、ドライボックス内に位置する加熱式インパルスシーラーを用いて適用した。
【0084】
それぞれのテスト材料について、同じ製造方法による2つのテストセルを作った。組み立てたセルはテストのためにドライボックスから取り出した。それぞれの導電性フェイスプレートに対して金属プレートをクランプし、電流コレクタとして用いた。組み立てた装置の断面を
図2に示す。電極はそれぞれ0.002インチの厚さであり、セル内で圧縮される前のセパレータは0.002インチの厚さであった。電極は0.625インチの直径を有していた。キャパシタセルは1.5Vで10分間調整し、特性を測定し、その後2.0Vで10分間調整し、特性を測定した。
【0085】
DFT(密度汎関数理論計算):
77KでのN
2等温線(isotherm)および273KでのCO
2等温線に伴うDFTの結果は、N
2/カーボン(77K)およびCO
2/カーボンについてはAutosorubソフトウエア(Quantachrome instrumentsにより開発され、かれらのNovaWinパッケージの一部である;NLDFTカーネルはNeimark博士(現在Rutgers大学)とPeter Ravikovitch博士により開発された)に実装されているNLDFT(非局所密度汎関数理論、Non Local Density Functional Theory)カーネル(同様に、カーボンでのCO
2吸着については、GCMC(グランドカノニカルモンテカルロ法))により導出した。カーボン材料へのNLDFTのこれらの実施は、理想的な黒鉛の壁を有する独立したポア(例えば、円柱状ポア(cylindrical pore)のスリットポア)のモデルをベースとしている。カーネル(選択した流体−流体および流体−壁の相互作用、吸着ポテンシャル等)についての詳細は、RavikovitchとNeimarkによる論文に示されている(例えば、参考文献27(およびそこに引用されている文献)を参照されたい)。この論文はおもにスリット状ポアの形状(本特許でも用いている)を取り上げているが、円柱形状のポアについて仮定しているカーネルとも関連する。このNLDFT法は現在では広く受け入れられており、最近のISO規格でも掲載されている(ISO- 15901-3: Pore size distribution and porosity of solid materials by mercury porosimetry and gas adsorption- Part 3: Analysis of micropores by gas adsorption)。
【0086】
装置および測定:
全ての測定は、周波数応答アナライザ(FRA)、Solartron model 1250;ポテンシオスタット/ガルバノスタット、PAR273;デジタルマルチメーター、Keithley Model 197;電気容量テストボックス S/N 005,500 ohm setting;RCLメーター、Philips PM6303;電源装置 Hewlett−Packard Model E3610A;バランス Mettler H10;Mitutoyo dial indicator 2416−10;漏れ電流計;電池/キャパシタ テスター、Arbin Model BT2000を含む装置を用いて室温で実施した。
【0087】
テストキャパシタは1.0Vで調整し、その後短絡し以下の測定を行った:RCLメーターを用いた1kHz等価直列抵抗(ESR)、電気容量テストボックスを用いて500オームの直列抵抗で、1.0Vでチャージされる電気容量、漏れ電流計を用いて30分後の0.5Vおよび1.0Vの漏れ電流および電気化学的界面およびFRAを用いてバイアス電圧1.0Vでのインピーダンス分光(EIS)測定。そして、テストキャパシタは2.0Vで調整し、その後短絡し以下の測定を行った:RCLメーターを用いた1kHz等価直列抵抗(ESR)、500オームの直列抵抗で、2.0Vでチャージされる電気容量、漏れ電流計を用いて30分後の1.5Vおよび2.0Vの漏れ電流およびバイアス電圧2.0Vでのインピーダンス分光(EIS)測定。
【0088】
最後にArbinを用いて、チャージ(または充電)/ディスチャージ(または放電)測定を行った。これらの測定は、電力レベル0.01Wから0.2Wで1.0Vと2.0Vの間の定電流チャージ/定電力ディスチャージサイクルおよび1.25Vと2.5V間の定電流チャージ/定電流ディスチャージ測定を含む。定電力ディスチャージ測定は、テストしたキャパシタのラゴーニ関係を求めるのに用いた。定電流チャージ測定は、エネルギーキャプチャータイム(またはエネルギー獲得時間)3秒〜80秒範囲において蓄えられるエネルギー量およびエネルギー貯蔵の効率を決定するのに用いた。このテストは、例えばハイブリッド車で制動動作(またはブレーキ動作、braking event)の際に電極材料がどのように振る舞うかの測定手段を提供する。
【0089】
BETならびにサイクリックボルタンメトリーとクロノポテンシオメトリーを用いた電気化学的解析および電気容量測定の結果:
EDLC電極材料の電力、電気容量、比エネルギーまたは他の性能パラメータを直接比較するのは困難である。こらは、電解質の化学成分および実験の構成または測定方法に多くのバリエーションがあることに起因する。例えば、水ベースの電解質は、有機電解質と比較すると非常に高い(〜2×)比電気容量が可能であるが、しかし概して、そのより低い電圧範囲に起因してより低い電力しか生じない[1]。水性電解質のより高い電気容量はしばしば、多くの水性電解質で活性な官能基を含む酸素に起因する疑似容量によるものとされる[2、3]。三電極式セルの参照電極に高度な注意が払われなければ、二電極式セル対三電極式セルでは顕著に異なる結果を生ずることから別の矛盾をもたらす。三電極式セルの1つの電極からの電気容量を報告する方法は、しばしば二電極式セルの1つの電極の材料に関し報告されている電気容量の4倍に増加する[4]。最後に、CP/CVを用いて得た測定とインピーダンス分光法との間にいくつかのバリエーションがある。本願では、より正確に作動しているキャパシタを模すことができる、CV/CPを用いて測定する二電極式セルを用いることが選択されている。本明細書が開示する実験に用いられている電解質塩、テトラエチルアンモニウム テトラフルオロボレートはおそらく有機溶媒にとって最も一般的である。本願において、他の研究または結果物との比較は、同じ電解質塩、実験構成、および測定方法を用いている。性能はセル全体についてではなく、電極の重量に対してのみ報告している。
【0090】
図3は、電圧3.5V電流1mAで、キャパシタテストセルでテストした全てのサンプルの電力密度とエネルギー密度とを示している。殆どのサンプルで高電力密度とエネルギー密度の高い値を達成しているがしかし、これらのサンプルが全て非常に類似した材料に由来し、類似した条件で製造されたという事実にもかかわらず、最も良い電極ともっと悪い電極に一桁の性能の差がある。本研究では、R/Cおよび%活性化(活性化誘起の重量損失)を除いて、全てのゾルゲル、乾燥、熱分解、活性化パラメータは全てのサンプルで同じであった。カーボンの構造を改良するためにR/Cと%活性化のみを用い、従ってこれらの変数が
図3に示される性能の違いに関与していると考える。
【0091】
初期のゾルのR/C比は、カーボン電極の最終のポア構造および
図4A、Bに提示されている電気容量に影響を与えると思われる。カーボンエーロゲル(またはエアロゲル)およびクライオゲルの構造に及ぼす触媒の影響についてのメカニズムは、文献に十分に示されている[5、30、31]。ポア体積および表面積(窒素吸着より測定した)の傾向はは、電気容量と良く対応するが、しかしより詳しく観察するとデータは直線上に並んではいない。これは特に、非常に似た電気容量を有するR/C25および50カーボンクライオゲルで顕著である。R/C25の材料はより少ないポア体積を有するがしかしより広い表面積を有しており、平均ポアサイズでのポロシティーが低いことを示している。一方、R/C50カーボンはより高いポア体積を有し、より低い表面積を有しており、より大きなポアである傾向を示している。高い比表面積は、単位重量あたりの電解イオンの最大の吸着を可能にするが、しかし非常に高い表面積はしばしばBETの計算で誇張されることから、指標として歪曲されうる。高いポア体積は電極のポア内部の電解質の良好は輸送を可能にし、チャージおよびディスチャージの動力学(kinetics)を向上させ、従って表面全体の利用を可能とする。しかし、活性化したカーボンでは、高いポア体積は多くの非常に小さいミクロポアまたは少数の大きなメゾポアにより達成される。最小のポアは電解質イオンを受け入れられず、より大きなポアはより小さな比表面積を有することから、これらのいずれか一方ではキャパシタの電極として完全に望ましいものではない。従って、R/C値が異なる、活性化したカーボンクライオゲル間の性能の違いを理解するために、単なるポア体積および表面積よりもより詳細が必要である。
【0092】
窒素吸着/脱離等温曲線は、該材料のポア構造についてより多くを示し、それがどのように最終性能に影響するかについていくつかの見識を提供することができる。
図5同じ4つのサンプル(同じ活性化度に活性化しているが、R/C値が異なる)についての窒素吸着等温線を示す。これらの等温曲線は1つのRC値と別のRC値とで性能が実質的に異なる良い説明を与える。最初にR/C25およびR/C50サンプルの等温曲線を見ることにより、それぞれのポア構造を区別することができる。非常に低い圧力でカーボンのグラムあたりの吸着されるN
2の大きなジャンプにより証明されるようにサンプルは単位重量あたり同様のミクロポア体積を有するが、しかしR/C25がわずかに多い、圧力が0.4atm以降、類似性が消滅し、顕著な量のメゾポロシティーが高圧で満たされるために、R/C50サンプルの等温曲線が上方に曲がり始める。R/C25サンプルもまた、高圧でいくらかのメゾポアが満たされることを示すが、しかしR/C50サンプルの小さな割合のみである。このことは、R/C50サンプルがR/C25サンプルより顕著に高いポア体積(1atmで吸着されるN
2の量)を有するという観察結果をもたらすが、しかし高圧で満たされたメゾポロシティーとして余計なポア体積が存在する。R/C25のポア体積はより多くのミクロポアとより少ないメゾポアとから成ることに起因し、上述したように、R/C25サンプルの比表面積はより高い。
【0093】
R/C25およびR/C50サンプルが大きい電気容量、広い表面積および大きいポア体積を有している一方、R/C10およびR/C75は遙かに少ない電気容量を有する。R/C75サンプルはいくらかのメゾポロシティーを伴う穏やかなレベルのミクロポロシティーを示し、R/C10サンプルは全体に小さいポア体積を伴い、殆ど完全にミクロ多孔質(microporous)である(ヒステリシスがないことに留意されたい。)。R/C25等温曲線とR/C75等温曲線とを比較することはまた利点がある。これらは両方、こられの類似したヒステリシスループから判断できるように同程度のメゾポロシティーを有し、圧力が0.4atmから1.0atmまでポア体積が増加している。こられ2つの間の違いは主にミクロポロシティーにある。R/C75サンプルのミクロポア体積はR/C25サンプルのそれより遙かに少ない。しかしながら、単純な体積の評価を超えて、R/C25サンプルのミクロポアは0.2atm付近まで徐々に傾斜し少ないメゾポアと多くのミクロポアの存在を示す(R/C50サンプルに同様に存在する特徴)等温極性をもたらす。しかしながら、R/C75サンプルはミクロポアの体積が200cc/g付近まで鋭くジャンプしそして直ちに平坦になり、そのミクロポロシティーが殆ど1つのサイズでありミクロポアが非常に小さいことを示している。これらのサンプルから、このカーボン−TEATFBシステムにおいて、ミクロポロシティーおよびメゾポロシティーの両方が重要な特性であると言うことができる。これら合成活性化した(または人工的に活性化した、synthetic activated)カーボンのR/C比を変化させることはミクロポロシティーおよびメゾポロシティーの両方の特徴を変えることができるということも極めて明白である。同様に、等温曲線(isotherm)を研究することにより解決できるこれらの特徴がこれらのカーボンでできた電極の電気容量に影響を及ぼす。
【0094】
EDLC電極にとって表面積は重要なパラメータとなり得るがしかし、それは容易に接近できなければならない。窒素分子が入るのに十分に小さいミクロポア(0.35nmまで小さく)より大きな電解質イオン、特に陽イオンに接近しやすくないかもしれない。しかしながら、より大きなミクロポアおよび小さなメゾポアは大きな電気活性な表面の成長に最も有益であろう。これらは電解質イオンとって十分な大きさであろうし、材料が単位重量あたり大きな面積を有するのにまだ十分小さいからである。しかしながら、サンプルのメゾポア体積もまた速いイオンの輸送を促進および電力を最大化できる変数である。非常に小さいポアのみから成るマトリクス表面を十分に利用していないかもしれない。これら非常に小さいポアの曲がりくねった経路はイオンが所定の領域に到達するのを阻み得るからであろう。最適な構造の一例は伝達ラインおよび電解質移動経路として機能するより大きなポアを有するであろうし、マイクロポアを完全に利用し、もっとも高い比電気容量を生み出すであろう[6]。
【0095】
この種の構造は、最も顕著にR/C50カーボンクライオゲルで達成されている。それは、高いミクロポロシティーならびにイオン伝導のためのメゾポーラスニットワークを有している。このサンプルより作った電極の電気容量は、R/C25サンプルから作った電極よりも高い。表面積は、より小さいが、しかしメゾポアはポアのより高い利用を可能にする。TEM(透過型電子顕微鏡法)は、これら材料のメゾポアは、互いにわずか数nmしか離れておらず、そしてミクロポアの最大長さが僅か数nmであることを示している。この短い拡散距離は、本研究において測定したように、これら材料から作った電極により高い電力をもたらす。この構造は、単に初期ゾルのR/C比を調整することにより達成している。
【0096】
【表2.5】
【0097】
窒素等温曲線がカーボンのポア構造について多くのことを示す一方で、ポアサイズ分布(密度汎関数理論(DFT)ならびにN
2およびCO
2等温曲線を用いて導出する)は、ポア構造のより定量的な分析を可能にする。ポアサイズの特定の範囲の影響の定量化は、電解質と多孔質電極との間の相互作用について更なる洞察を可能にする。
図6は、異なるレゾルシノールの触媒に対する比率(R/C)を用いて、乾燥、熱分解および活性化後の最終のカーボンの構造に影響のあるポリマー前駆体の構造を変化させた2つの異なるサンプルのポアサイズ分布(PSD)を示す。数値は、N
2およびCO
2の吸着およびDFT分析から導出した。R/C75カーボンクライオゲルについて、最も高いピークは最も小さいポアの範囲(約0.3nmから約0.6nmの範囲)である。約0.7nmから約2nmの範囲に他の複数のピークがあり、また約3.7nmにピークが1つある。反対に、R/C比が50であるカーボンクライオゲルは、2つの最大値、1つはR/C75クライオゲルと同様に0.5nmに中心が位置し、もう1つは0.8nmに中心が位置する。この第2のピークは実質的なポア体積を伴い、それが最終的に降下する約2nmまで拡がっている。また、約2.0nmと約10.0nmの間に2つの主要なメゾポーラス(またはメゾ多孔質)ピークもある。広い範囲のポアサイズ分布を有し、多くの異なるポアサイズに大きなポア体積を有するカーボンクライオゲルを製造することが可能である。以下の
図6.5は、一緒になって広いポアサイズの範囲で大きいポア体積を作る能力を示す3つの分離したカーボンクライオゲルを示す。カーボンクライオゲルの様々な加工パラメータを調整することにより、高電力、高エネルギー、密度、電気容量またはこれらの組み合わせを有するEDLCへのニーズに応じて多くの異なるポアサイズにおいて大きいポア体積を得ることができる。さらに、これらのポアサイズ分布は特定の電解質塩の分子に適合するように調整することができる。表2.5は、6つの異なるポアサイズ範囲でのそれぞれのサンプルのポア体積を示す。
【0098】
最大電圧3.5V電流5mAで充填した場合、R/C50サンプルの電気容量は124F/Gであり、一方R/C75カーボンクライオゲルは僅か59F/gである。この電気容量の格差をさらに調査し、それがPSDによりどのように影響を受けるかを調査するように、
図4および
図5の他の2つのサンプルのPSDおよび電気容量を調べた。
図7aは、R/Cが10から75に増加する際の異なる直径範囲のポア体積の傾向が電気容量の傾向とどの程度密接に一致するかを示す。より直接的に比較するように、それぞれのデータセットはR/C10での値が1.00となるようにした所定の乗数に変換した。ポア体積のデータは、これらサンプルのポアサイズ分布および考慮すべきイオンのサイズを基に4つの異なる範囲に分けた、理論に縛られることのない、これら範囲の可能な説明の1つは以下の通りである。TEA陽イオンの最大寸法は0.64mmであるが、その短軸に沿うとそれは、0.6nmよりも小さい程度である(
図7c)[7]。このため、本願発明者のサンプルのPSD調査で本願発明者が調査した1つの範囲はポアがTEAイオンのサイズより小さい(例えば約0.6nmより小さい直径)。しかしながら、イオンサイズは溶媒層ならびに分子サイズによって決まるとしばしば考えられている。プロピレンカーボネートについて、これは
図7cに示すように溶媒和イオン直径が1.96nmとなる。このため、PSDに関連のある2つの範囲の間の境界として2.0nmを選択した。それぞれのカーボンクライオゲルが約0.6nmから約1.0nmの範囲と約2.0nmから約4.0nmの範囲にピークを有していたため、他の2つの境界値(またはカットオフ値)(1.0nmと4.0nm)を選択した。従って、ポアサイズ分布は、異なるメカニズムにより性能を導くであろう4つの分離した領域に分けた。
図7bのデータは、単にR/Cに代えて電気容量に対してプロットした。
【0099】
図7に示した傾向間の関係を調べると、いくつかのことが特徴的である、一見して、最も小さい、0.6nmより小さいポアとR/C10、25および30の比電気容量は密接に関係しているようである。いかしながら、この関係は、R/C75のクライオゲルは有していない。実際、全てのクライオゲルの更なるPSD調査(図示せず)では、最初の3つのサンプルの明確な傾向は偶然に生じた。R/C75クライオゲルを除く全てのサンプルにおいて、電気容量に寄与する他の範囲に対応するポア体積があるからである。電気容量の傾向に最も密接に追随しているポアの範囲は、約0.6nmから約1.0nmのポア範囲である。残りの2つのポア範囲を見ると、これら2つは、電気容量の傾向にから反対の方向にあるが、殆ど同じ距離にあり、約1.0から約2.0nmの範囲が約2,0nmから約4.0の範囲の傾向と僅かに接近している。これら傾向の間の関係をより明確に評価するように、
図7bにデータを直線の形態でプロットした。このデータの配置は、0.6〜1.0nmのデータが最も電気容量のデータと一致し、<0.6nmのポア体積のデータが基も一致せず、一方、他の2つの体積範囲はこれらの間に位置することを明らかに示している。本発明者らの研究の調査においては、多くの活性化したカーボンクライオゲルのPSDはひとつの電気容量の重要な推進力としてポア範囲0.6〜1.0nm間を示していることに留意する必要がある。理論に縛られることなく、本願出願者は、高エネルギーと高電流密度の組み合わせは、加工(または製造)の全ての工程でカーボンクライオゲルの構造および構成する化学成分を密に制御することに帰することができると考える。合成前駆体の高純度を維持することにより、材料の純度は容易に制御できる。カーボンクライオゲルベースの電極の構造は、前駆体の調整の容易さ、ゾル−ゲル誘導体ポリマーおよび活性化パラメータの操作を介して制御する。
図4から
図7に示したサンプルの作製は、R/C比以外は全て同じであることから、これらはポアサイズ分布および電気容量性能を比較することが可能である。これらサンプルのPSDはいくつかのピークを有する。2峰性(またはバイモーダル、bimodal)ポアサイズ分布は高度に活性化したカーボン(特に表面積が>2000m
2/gのものでは)珍しくはないということに留意すべきである[8]。これは、自然に発生するミクロポアと、活性化により僅かに開いているより大きなミクロポア(または小さなメゾポア)とに起因する。カーボンPSDの複雑さを顕在化させるDFTの能力は、活性化したカーボンにおいてバイモーダルまたはマルチモーダルの多くの報告をもたらしている[9、10、11、12]。
【0100】
理論に縛られることなく、電気容量は式5に示すように電極のポアの表面に吸着したイオンの数と直接関係していることから、発明者らは特定の範囲の接近可能なポア体積により電気容量が決定し得ると予測していた。
【0101】
【数2】
ここでCは電気容量、qは電荷、ΔUはキャパシタの電圧範囲、mは電極の質量である[13]。さらに、形状は概して、よりポアが小さくなる程、比表面積はより大きくなるという影響があり、これは、同様に高い比電気容量をもたらす(これらポアが電解質にアクセス可能である限り)。従って、発明者らは、電解質イオンにアクセス可能な最も小さいポアの大きなポア体積が、高い比電気容量をもたらすであろうと予想できた。
図7aと7bのデータは約0.6nmから約1.0nmの範囲のポアが電気容量と最も密接な関係を有していることを示唆している。TEAイオンが溶媒和していない(unsolvated)と仮定して、それをこれらポアと適合(またはフィット)させて、上述のポアサイズ、比表面積および比電気容量間の幾何学的な関係との一致を得た、しかし、この関係を信頼性のあるものとするには、溶媒和層(solvation layer)の問題または溶媒和層が無い問題を解決しなければならない。
【0102】
イオン溶媒和の問題およびそのミクロポーラス電気容量との関係は、文字通り議論中のようである。上述したように、溶液中のイオンの従来の考えは、これらイオンは概してミクロポアへのアクセスを阻害するであろう溶媒和層を有しているというものである。しかしながら、キャパシタの研究および電解質化学の両方において、特定のシステムでは非常に緩い(またはルーズな)溶媒和層または全く溶媒和層が無いことを示す顕著な証拠もある。
【0103】
N
2の表面吸着の出現により、システムはミクロポア吸着を分解するのに十分な非常に低い圧力を正確に実現でき、データの解釈のために密度汎関数理論と組み合わせて、これらのツールはカーボン電極におけるマクロポアとメゾ・マクロポアとの関係をよりよく理解するのに用いることができるであろう。イオンがポアに適合するのに大きすぎる場合、これらポアの表面を電荷を保持するのに利用できない、イオンふるい効果が観察された。これらは、TEATFB塩についてポアの境界値が0.7nm程度であることを示している[14]。しかしながら、スーパーキャシタの用途においてミクロポアが有用であるかどうかをより理解するように、より詳細に電解質塩と溶媒を調べることは有益である。これらの塩(またはソルト)成分、とりわけTEAは、一般的な二要素(dual element)またはシンプルな酸/塩基電解質よりかなり複雑である。一般的な塩は、溶媒中で解離し、それぞれのイオンの周囲に溶媒和(または溶媒化)層を形成しその電荷を中和する。しかしながら、TEAのようなアルカリアンモニウムベースの塩と組み合わせた、これらカーボネート溶媒の研究が、このような現象が発生しているのか疑問をもたらした。多くの研究が、弱い溶媒−陽イオン相互作用を生ずる相対的に弱い表面電荷に起因して、イオンが非常に緩い形態で結合しているらしいことを見出している。TEAオンの低い表面電荷は、相対的に非分極のエチル基が電荷を有するN
+を取り囲んでいるという単純な観測事実の後ではそれほど驚くことではない。
【0104】
TEAおよびTFBイオンとそれぞれの溶媒和層との単純化したモデルは、プロピレンカーボネートベースの溶媒で溶媒和イオンはそれぞれ、1.96nmと1.71nmであること示している。このモデルで、溶媒和化していない陽イオンと陰イオンはそれぞれ、0.74nmと0.49nmとされている。(TEAイオンの理解されている半径は0.678nmと0.800nmの間と幾ばくかの範囲があることに留意すべきである。[15、16、17])。飽和化したイオン半径は、
図7Cに示すのと同様にイオンが全ての側面を厚さ0.61nmの溶媒和層で取り囲まれているという仮定をベースにしている(例えば、0.74+2×0.61=1.96nm)[18]。2nm近辺の溶媒和イオンの半径の値は多くの人に溶媒和イオンは多くの活性化したカーボンに存在する小さなミクロポアに適合しないと信じさせている。粘性流体(η)中を一定速度vで動く半径(r)の球形粒子に作用する力を定義するトークスの式(式6)の適用が、このことが正しくないであろうことを示している。この関係において、第一項は動いている粒子の前方の圧力に起因し発生する力であり、第2項は動いている方向に平行な摩擦力に起因する。イオンと溶媒との関係が減少すると式は、第2項が0に等しい場合で結果は完全に「滑りやすい(slippy)」またはx=4と定義され、第2項がその最大である場合、x=6または「スティック(stick)」が起こる。
【0105】
【数3】
導電性の測定は、プロピレンカーボネート中のTEAイオンが(研究した他のバルキーな陽イオンの殆ど全てと共に)ほとんど完全に「滑りやすい」またはほとんど溶媒和層が存在しないことを示した。対照的に非常に高い表面電荷濃度を有するLi
+イオンは、強く結合した溶媒和層に起因して完全な「スティック」を示す。この観察結果は、陽イオンと陰イオンの間の結合定数の測定により更に支持されている。接触したペア(2つの「接触した(touching)イオン」)にとって、結合係数は2つの反対の電荷が離れている距離と関係し、2つのイオン半径によってのみ決まる。溶媒和化したイオンでは、それぞれのイオンの周りの溶媒層のためにイオンの分離距離は増加し、従って結合係数は顕著に低くなる。調査したすべての「滑りやすい」イオンで、結合係数は溶媒和層の存在により予測した値より高く、プロピレンカーボネートに接触したイオンのペア(contact ion pari)が形成されており、従って溶媒和層が欠如していることを示している[19]。この観察結果は別の研究の異なるアプロ−チによって裏付けられている。例えば、イオンふるいは溶媒中のイオンの相対的なサイズをランク付けするのに用いる。このアプローチを用いてプロピレンカーボネート溶媒中のTEA陽イオンのサイズはLi
+イオンのサイズより大きいことが推定された。もしこられの陽イオンの同じ溶媒和を仮定していれば、Li
+イオンは直径僅か0.152nmであることから、これはたいへんな驚きである。しかしながら、TEAに溶媒和層がないことを考慮すると、この結果は驚くものではない[20]。粘性を測定した別の研究では、Liベースの電解質は、同じカーボネート溶媒に同じ対イオン(counter ion)を有するTEAベースの電解質より顕著に粘性が高い。粘性への陰イオンの影響を明らかにするように、研究は更に多くの異なるLiベースのシステムを調査し、陰イオンが大きい程、粘性が高くなり、従って溶媒和化しLi
+は緩やかなまたは溶媒和化していないTEAイオンより実際に大きいという議論を支持している[21]。多くの研究が、本願発明者らのシステムでは電気容量のかなりの部分がTEAイオン(直径が0.7nm程度で本願発明者らのカーボンクライオゲル電極に本来備わっている十分なミクロポア体積の内側の電荷を有する表面に引きつけられている)と関係していることを示唆する本願発明者自身の証拠と一致しているようである。
【0106】
R/C比を用いたポアサイズ分布の操作に加えて、ポアのアクセスの容易さ(accessibility)も考慮する必要がある。2つのことがポアのアクセスの容易さに影響し得る:ポアへの障害(まあはポアの閉塞、obstruction to pore)とポア長さである。ポアは十分に多いようであるが、しかしこれらポアの入口より大きな電解質イオンにアクセスできない(N
2分子と比較して)、または曲げられた経路はポアの十分な利用を妨げることは全くありそうである。これらの可能性を考慮すると、ミクロポアを露出するメカニズム(CO
2活性化)は関連がある。
図4および5に示したすべてのカーボンクライオゲルは、70%(出発材料の70%のカーボンが活性化の際に除去される)に活性化したクライオゲルである。
図8は、R/C75クライオゲルについて、異なる活性化レベルの表面積、電気容量およびポア体積に及ぼす効果を示す。活性化はカーボンクライオゲルの表面積およびポア体積を活性化が最終的に材料を過剰に腐食し性能を低下させるまで増加させる。活性化がどのようにポア構造に影響を及ぼすかの詳細は
図8に示した4サンプルのN
2の等温曲線を調査することで理解できる。
【0107】
図9は、
図8に示すのと同じ4つのサンプルの等温曲線を示す。一見したところ、すべての等温曲線は概ね同一のように見えるがしかし、
図8Aから予想されうるポア体積の幾ばくかの違いが存在している。サンプルが最大36%まで活性化されるとともに、ミクロポア体積および全体の体積は増加している。そして活性化を継続すると構造が腐食され、ミクロポアおよび全体ポア体積は減少している。より詳しい調査では、等温曲線データから抽出することができるより僅かな変化もある。ミクロポア体積および全体ポア体積が増加し、その後減少していることは明白であるがしかし、同じことがメゾポア体積に起こっている。トータルのポア体積(1atmでの吸着されたN
2の体積)をメゾポアヒステリシスが発現した際のポア体積(約0.4atmでの吸着されたN
2の体積)から差し引くことにより、その範囲でのメゾポア体積の変化を評価できる。これらのサンプルについて、活性化が16%から36%に進むと差は45cc/gから65cc/gに変化し、その後、活性化がさらにそれぞれ、70%および78%に増加し、同じポア体積が減少して47cc/gに戻り、最終的に45cc/gに戻る。より定量的な観点から、36%活性化サンプルがより長くより広いヒステリシスループを有しており、最も発達したメゾポロシティーを示していることも明らかである。このことは、なぜ16%活性化サンプルのミクロポロシティー170cc/gから36%活性化サンプルの240cc/gへの40%増加が、それぞれ38F/gから85F/gへの電気容量の倍増を伴うかを説明し得る。理論に縛られることなく、サンプルのメゾポロシティーの顕著な増加は、イオンがより容易にミクロポアの広い表面積にアクセするのを可能にし、活性化した表面積が増加し、これはより高い電気容量をもたらす。
【0108】
広い表面積おおよび高い電気容量を維持したままイオンの移動を可能にするように、より小さいミクロポアに加えて、メゾポアまたは大きいミクロポアが存在する必要がある。本願発明者らのシステムでは、これは本来備わっているメゾポーラスフレームワークの活性化(ミクロポアを露出させる)によりこれを促進している。これについてさらに理解するように、活性化の前、間および後にカーボンクライオゲルの構造を迅速に調査することが有用である。R/Cがカーボンエアロゲルおよびクライオゲルのメゾ構造に影響を及ぼすことは十分に文献で示されている[22、23]。SAXS(小角X線散乱)の研究もまた、カーボンエアロゲル(およびクライオゲル、関連して)に隠れたミクロポアが存在していることを示している[24]がしかし、これらのカーボン構造はスーパーキャパシタ電極として用いるのに十分にアクセスできるミクロポロシティーを開示していない。しかしながら、活性化したカーボンエアロゲル[25]および活性化したカーボンクライオゲル[5]は、電解質の浸透が可能になるように用いるこれら材料の顕著なミクロポロシティーを可能とする開口したミクロポアを有している。初期ゾルの触媒量を調整することにより、ポリマー前駆体材料の構造を調整することができ、最終カーボンのミクロ構造を改良できる。しかしながら、熱分解工程の間(N
2を流した状態で1050℃まで加熱する)、焼結のような(sintering like)効果を生ずる。ポリマーがカーボンに変化するとともにメゾポーラススーパー構造が発達するがしかし、上述したミクロポアはこれら温度での材料の相対移動度および表面エネルギーを低下させる傾向とにより隠される。そして、平滑化した表面全体を除去し、下部のミクロポアを暴露するようにいくらか低い温度で活性化が必要である。活性化は900℃で式7に示すようにカーボンとCO
2との間の反応により起こる。
【0109】
【数4】
【0110】
この工程は、如何なるアクセス可能な表面からカーボンを剥ぎ取る。熱分解の後に存在するメゾポーラスフレームワークの外側から始まり、活性化工程はこれらメゾポア表面を腐食する。この工程は、徐々に露出したミクロポアの数を増加させ、従って表面積および電気容量が増加する。CO
2が流れる中、新しく露出したミクロポアの表面が反応を開始すると、工程はネックや障害のようなポア壁より作られたポイントで始まるようである。このようにして、広い活性化はポア壁(pore wall)を平滑にし、CO
2より大きい分子(またはイオン)がアクセスできる特定の領域のようなところを減少させると概して考えられている。ミクロポアが露出し、このガス状の反応物により表面が平滑に成った後、次に最も活発なサイトはメゾポア表面のミクロポア自身の入口のようである。この材料が腐食されるとともに、カーボンクライオゲルマトリクスバルク全体が消滅し始め、全体のポロシティーが減少することに起因して性能が低下する。本願発明者らの研究結果はこの活性化工程はR/CまたはR/Wに応じて異なって起こることを示している。ゾルゲルパラメータは異なる表面トポロジーを備えた出発材料をもたらすことから、このことは驚くことではない。
【0111】
障害物を低減する活性化の能力に加えて、上述したR/CまたはR/Wのメゾポーラス構造を変える傾向もまたミクロポアへのアクセスに影響を及ぼす。とりわけミクロポアがより長くなる程、障害物またはねじれ(contortion)は電解質分子によるアクセスをより阻害するようである。電解質が相対的に阻害されることなく動くことができると、高電力EDLCキャパシタがよりよく機能する。ミクロポアは表面積を向上させ、従って電気容量を向上させるがしかし、ポアへのアクセス能力を増加させながら速い充電および放電速度を容易にするようにミクロポアはより長いメゾポアのフレームワークにより補完される必要がある。このコンセプトを考慮して、カーボンクライオゲルは、さらに別の利点を提供する。R/CおよびR/W比を変化することにより、メゾポーラスフレームワークを制御し、ポア壁の厚さを調整する(通常、約3から約10nm)。これらポア壁の内側のミクロポアが活性化により暴露した場合、ポア長さはメゾポアの壁の厚さにより制限される。従って、ミクロポア長さはメゾポアの壁の厚さの半分程度または僅か数nmに制限される(よって、容易なイオンのアクセスにより素早い充電と放電が保証される)。
【0112】
上記の結果は活性化したカーボンクライオゲルスーパーキャパシタ電極は、例えR/Cおよび%活性化(または活性化%)のみがそのポア構造を制御する変数として使用されたとしても非常に高い性能が可能である。しかしながら、ポア構造、従って材料の電気容量に影響を及ぼすであろう他の変数がある。他のすべての変数を一定値に維持している間に1つの変数を変える一般的な科学的アプローチを用いるのが単純で簡潔であるが、しかし複数の変数が含まれる場合、それは複雑になり得るし、他の変数の変化を考慮すると個々の変数が如何に重要かを決定するのに混乱さえ生ずる。変数が互いに作用しているか否かを解明するのはしばしば困難である。しかしながら本明細書に示す工業実験計画法に従った統計的アプローチを用いることにより、変数の影響を互いに評価でき、交互作用(または相互作用)を測定できる。
図1は、以下の研究で用いた変数の範囲を示す。
図10は、BET表面積を応答として用いた場合のDOE Proソフトウエアのアウトプットを示す。表1に示す12のサンプルの個々の表面積をソフトウエアに入力し、結果を示す。
図10は活性化の変数およびR/C値が表面積の決定に最も支配的あると示している。R/C値は僅か25と50の間で変化させ、それは広い表面積を提供すべきであるがしかし、
図4に示すように表面積に顕著な差を生じていないことに留意すべきである。にもかかわらず、この変数は、活性化後、表面積に最も強い影響を与えているようである。R/W、熱分解時間および熱分解温度もより小さいがしかし顕著な影響を有することがわかる。このチャートは本質的に最も広い表面積を形成するための最適な方策:R/C50、R/W0.13,熱分解温度1050℃で360分の滞留時間および900℃の活性化温度で180分間を与える。
【0113】
個々の変数の平均的な影響に加え、大規模な交互作用プロットのセットを与える。タグチメソッドL12は個々の応答について36の交互作用応答(interaction response)を与える。
図11は強い交互作用、中程度の交互作用および弱い交互作用を有する3つの例を示している。
図11aはRCとRWの間の交互作用を示す。RWが0.125についてはRC50の値がより良く、しかしRW値が0.25についてはRCが0.25がより良いことが明らかである。これは、RCとRWの間の強い交互作用および関係が見られる。
図11bは活性化温度とRWとの間の中程度の交互作用を示す。低い活性化温度ではRWが0.25であることが最も良いがしかし、きわめて強固なものではない。なぜなら一方から他方に僅かに増加しているだけだからである。しかしながら、活性化温度900℃については、RWの増加とともに表面積のかなり強い減少がみられることから、より低いRW値を選択するのが好ましい。
図11cは、RWと熱分解時間の間には最低限の交互作用しかないことを示唆している。どちらのRWについても短い熱分解時間を選ぶのが良いようである。これらのチャートは評価指標に対してこのシステムの性能を最適化するのに用いることができる豊富な情報を提供する。
【0114】
しかしながら、いくつかの他のYバー周辺平均プロットを見てみる価値がある。これらは互いの影響のかなり簡潔な概要を与えるからである。
図12は、比電力、エネルギーおよび電気容量についてのYバー周辺平均のプロットを示す。これらは全て互いに相対的によい一致を示し、良い性能を達成するようにこれら評価指標の3つ全てを操作することは理に叶っていないことではないことを示している。しかしながら、チャートはこれら3つの間のいくつかの軽微な違いを示している。活性化パラメータは概して、すべて重要であるが、しかしRWおよび熱分解温度は比電力により強い影響があるようである。ところが、RCおよび熱分解時間は電気容量とエネルギーにより影響を及ぼしている。これらチャートの情報および交互作用プロットの膨大なデータを用いて、所望の結果に応じて、僅かに電力を犠牲にしてエネルギーを増加させるまたはその逆のような特定の性能のために調整することが可能であると考えられる。
【0115】
・インピーダンス分光法を用いた電気化学的解析および電気容量測定の結果
表3および表4はキャパシタのテスト結果を示す。
【0116】
【表3】
【0117】
【表4】
【0118】
これらのサンプルに関する電気化学的インピーダンス分光法(EIS)の結果をレビューする前に理想的な多孔質電極のEIS応答について調べておくことは有用である。
図13は多孔質電極を備えたキャパシタのインピーダンスデータの複素平面表示である。Rは等価直列抵抗であり、Ωはポアによるイオン抵抗であり、直円柱状のポアで構成されている電極のEISデータの複素平面表示を示している。等価直列抵抗Rはセパレータ中の電解質のイオン抵抗に加え回路全体の電気抵抗による。回路の電気抵抗は全ての材料のバルク抵抗と全ての材料間の接触抵抗とを含む。
【0119】
複素平面表示での直列RC回路のインピーダンスは、等価直抵抗Rの値で実軸と交差する垂直な直線であろう。多孔質電極を備えた装置は、分配された電荷蓄積(charge storage)により実軸から45°程度の角度で短い距離の上昇を示す。45°の上昇の後は、この直線は垂直である。この45°のラインの実軸への投影(ここではΩと名前を付ける)は、多孔質構造内のイオン抵抗である。多孔質電極が電気伝導率κの電解質で満たされた、均一な直径の直円柱形状のポアにより構成されていると仮定すると、
【0120】
【数5】
ここで、lはポアの長さ、κ=電解質の伝導率、V=ポア体積、r=ポア半径およびS=2πln ここでn=ポアの数。Ωはポアの形状および電解質の伝導率に影響される。
【0121】
図14aおよび
図15aは、バイアス電圧1.0Vおよび2.0Vでのテストキャパシタのインピーダンスデータの複素平面表示を示す。両サンプルは典型的な多孔質電極の挙動を示す。サンプル2はポアの最も小さいイオン抵抗を示す(約0.5Ω)。すなわち、複素平面曲線の実軸に投影した長さが約0.5Ωである。サンプル1はより大きな値、約0.8Ωを有する。多くのカーボンサンプルは、バイアス電圧を1Vから2Vに上昇させると十分に増加するイオン抵抗を示すが、しかしこれらのサンプルはこのような挙動を示さなかった。
【0122】
式8を参照すると、サンプル1および2と比べると他のカーボンがより大きなΩである理由は、これらの有するより長いポアおよび/またはより小さいポア体積に起因するであろう。Ωのバイアス依存性(より高い電圧でより大きい)は、この理由がこれら2つと比べ他のカーボンのより少ないポア体積であろうことを示唆している。
【0123】
図14bおよび
図15bは、同じインピーダンスデータをインピーダンス|Z|の大きさおよび位相角対周波数であるボード線図(またはボード表現)で示している。装置は高い周波数では全くエネルギーを蓄えないが、しかし周波数が減少すると「ターンオン(またはスイッチが入る、turn on)」。容量性の挙動は低い周波数での−1の傾きおよび引く周波数で−90°に近づいている位相角の増加で明らかである。高い周波数で「ターンオン」するサンプルは、より短い時間でより早く応答し、より多くのエネルギーを蓄え、すなわちよりパワフルである。
【0124】
図14cおよび
図15cは、同じデータのさらに別の表現であり、装置は直列RC回路で表現できると仮定している。電気容量は「1/(2πfZ")」として計算する。ここで、fはHzで表す周波数、Z"はリアクタンス、πは3.1415である。図示するように、電気容量は周波数が減少すると約200Hzでの最小値から単調な形態で増加し、サンプル2では2.0Vのバイスで0.2Fの飽和値に達し、サンプル1では0.3Fの飽和値に達する。直列抵抗は約1kHzで最小値を有し、周波数の減少とともに増加する。この種の挙動は、電解質のより長い経路を介してより深いポアで電荷の蓄積がおこることから、低い周波数で抵抗が増加する多孔質電極の特徴である。
【0125】
エネルギー貯蔵装置(またはエネルギー貯蔵デバイス)の性能を示し、また比較する1つの方法は、
図16に示すエネルギーと電力の関係のラゴンプロットである。装置により供給できるエネルギーは供給速度の増加とともに減少している。この図に示すエネルギーと電力の値は2.0Vから1.0Vへの定電力放電を用いて測定した。それぞれのサンプルについて測定した最大比電力を表5に示す。これらは可能な最大電力の値ではなく、
図9に示す曲線の終点(またはエンドポイント)の値であることに留意されたい。より高い電力値を測定できた可能性がある。この技術的性能の表示は、有用であるがかなり限定されている。例えば、これは十分に充電された装置にのみ有効であり、完全な装置の放電を要し、しばしばキャパシタの用途と合わない。しばしば用途の中で部分的な放電が起こり、その後第2の部分的な放電が続く。この第2の放電は、第1の放電と同じ曲線に乗らないであろう。
【0126】
さらに、いくつかの用途では、貯蔵装置の充電はその放電よりも重要である。従って、ラゴンプロットは、技術を比較する際、特に電池を含む場合は有用ではない。なぜなら、これらは通常異なる化学反応速度のために異なって充電および放電されるからである。
【0127】
【表5】
【0128】
テストしたキャパシタは、多くの商業的なキャパシタで用いられているアセトニトリルベースの電解質に代えてPC/DMCベースの電解質を用いて作られていることに留意されたい。アセトニトリルベースの電解質の導電率は殆んど5倍程度高く、このため最大電力が5倍定程度増加可能となりうるESRの現象をもたらす。にもかかわらず、両者とも同じ電解質を用いたことから、材料の比較は有効である。
【0129】
多くの用途のために、電気化学的キャパシタ(EC)を評価および比較するための他の方法がある。ハイブリッド自動車用途のためにEC技術を比較する1つの方法は、回生制動(regenerative braking)(「リジェネ」)の際のエネルギーキャプチャー(または獲得されたエネルギー)の量をおよびエネルギーキャプチャーの効率を求めることである[28]。このリジェネエネルギーキャパシタテストはハイブリッド車での装置性能のより良い情報を与える。この方法は、充電の間に装置が獲得したエネルギー量を測定し、その後再び獲得したエネルギーのどの程度の比率が貯蔵され停止後に進む際に加速するのに用いることができるかを測定する。バッテリー(または電池)は、概してこのテストにおいて結果が良くない。改めていうが、リジェネキャプチャー試験は性能の1つの重要な特徴を比較するための測定法を与える。活性化したカーボンクライオゲルサンプルから製造したプロトタイプ(または試作品)キャパシタを、定電流充電を用いて充電時間の関数としてそのエネルギーを獲得する能力を評価した。それぞれのセルを1.25Vで30秒保持し、そして2.5Vまで充電し、その後30秒回路を開いた後(この間、電圧は降下またはすぐに回復した。)セルの電圧を測定した。1.25Vから2.5Vの間に充電されたエネルギーは、再生して獲得したエネルギー(regenerative capture energy)(または貯蔵することが可能なエネルギー)と考えることができ、電流、電圧および2.5Vまで充電する時間から求めた。装置に実際に貯蔵されたエネルギーは30秒間回路を開いた後の電圧により求めた。3〜30秒の範囲の充電時間では、このテストはハイブリッド車がブレーキをかけている間の貯蔵キャパシタにより期待される性能を模している。
【0130】
図17は、約2秒から約70秒の間の充電時間で個々のセルに獲得され、貯蔵されたエネルギーを示す。左側の曲線は獲得されたエネルギーであり、右側の曲線はリジェネ充電の間にセルに貯蔵されたエネルギーである。概して、充電時間が減少すると(より速い充電速度)より少ないエネルギーが貯蔵される。
図18は、貯蔵可能なエネルギーの実際に貯蔵されたエネルギーに対する比率を示し、それぞれの装置のリジェネエネルギー受け入れ効率は効果的である。この比率はシステム設計とコストのバランスに強く影響を及ぼすことから、この比率は重要である。低い効率はより多くの熱が生じていることを意味し、この熱は貯蔵装置の過熱を避けるように除去しなければならない。低い効率が原因で、熱管理のための能動冷却に更なるコスト、体積および質量を要するであろう。従って、高い効率を有することの効果は、実質的な循環を有する用途では乗じられる(または拡大する)。
【0131】
EC技術を比較する、例えばデジタル通信用途に適した別の方法は、パルス電力性能に関係した異なる応答時間で利用可能なエネルギーを求めるものである。これは電気化学的インピーダンス分光法のデータを用いて決定する性能指数(Figure of Merit)(FOM)の計算により為される[29]。このFOMは、例えば通信、デジタルカメラおよび瞬時ON(instant-on)コンピュータのようなポータブルエレクトロニクス用途のためのECを比較する場合に有用である。
【0132】
FOMは、EISデータから、とりわけ位相角が−45°に達する周波数での貯蔵されたエネルギーから決定する。この周波数で計算した電気容量は、直列RC回路と仮定し、C=−1/2(2πf
0Z")であり、エネルギーは1/2CV”である。これらFOMは、パルス電力の用途にとって重要な考慮すべき事項である、キャパシタのエネルギーが利用可能な比率を示した。表6は、試験したサンプル材料のFOMを示す。概して、FOM値が大きいほど、パルス用途に対して材料はより安定である。
【0133】
【表6】
【0134】
電解質の質量ならびにパッケージの質量および体積のため、時々これらFOMを市販の装置のFOMと直接比較するのが困難なことがある。また、表5に示したFOMはPC/DMC/TEATFB電解質を用い2.0Vで実施している、一方、アセトニトリル/TEATFBを用いた有機電解質を伴う殆どの市販のECはより高い電圧で評価されている。
【0135】
本願出願人らはEDLC電極材料として活性化したカーボンクライオゲルの実施例を提供した。これらの結果は高い電気容量を伴い、高い電力および高いエネルギー密度を示している。加えて、ゾル−ゲルパラメータおよびカーボンクライオゲルの活性化レベルを改良することにより、容易に電解質を表面に供給し動力学を促進するようにクライオゲルを加工した調整可能なメゾポロシティーと、単位重量あたりの使用可能な表面を最大にする制御可能なミクロポア体積およびサイズ分布と、ミクロポアへの完全なアクセスを可能にし、良好な表面積および電気容量を確実にし、最終的に短くまた優れた充電および放電の動力学が可能なように調整できる活性化とを提供した。RCおよび活性化レベルに加えて、統計的アプローチによりカーボンクライオゲルの加工に用いる全ての変数がその性能に幾ばくかの影響を及ぼすことを示した。
【0136】
本明細書引用されている全ての参考文献は参照することに、それぞれが個々にその全体を参照することに取り込まれるように、本明細書に取り込まれる。本願の実施形態の説明では明確にするために特定の用語を用いた。しかしながら、本発明は選択した特定の用語に限定されることを意図されていない。本明細書のいかなるものも本発明の技術的範囲を制限するものではないことを理解すべきである。示された全ての実施例は代表的なものであり、制限するものではない。上述の開示を考慮した当業者が認識するように、上述した実施形態は、本発明から逸脱することなく改良および変形することが可能である。従って、特段の記載がない限り本発明は請求項の技術的範囲内およびその均等範囲内で実施することが可能である。
本発明は、以下の態様を含む。
態様1:
調整可能なポア構造を有する活性化したカーボンクライオゲルを含む電極であって
77Kでの窒素吸着およびBET分析により決定される表面積が少なくとも1500m2/gであり、前記ポア構造が0.6nm〜1.0nmの直径を有するポアについて、約0.01cc/gから約0.25cc/gまでの範囲内のポア体積を含む電極。
態様2:
同じ体積のプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとを含み、更に約1.0Mのテトラエチルアンモニウム−テトラフルオロボレートを含む電解質を含む電気2重層キャパシタ装置内で測定した比電気容量が少なくとも75F/gであり比電力が少なくとも10W/gである態様1に記載の電極。
態様3:
スーパーコンデンサ、電気2重層キャパシタ、ウルトラキャパシタまたは疑似キャパシタの部材である態様1または2に記載の電極。
態様4:
a)それぞれが調整可能なポア構造を有する活性化したカーボンクライオゲルを含む正電極と負電極と、
b)不活性な多孔質セパレータと、
c)電解質と、
を含み、前記正電極と前記負電極とが前記不活性な多孔質セパレータにより分離され、前記正電極および前記負電極それぞれの比電気容量が独立して少なくとも75F/gであり、前記正電極および前記負電極それぞれの比電力が独立して少なくとも10W/gである電気2重層キャパシタ(EDLC)装置。
態様5:
前記比電気容量と前記比電力とをそれぞれ、同じ体積のプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートと含み更に約1.0Mのテトラエチルアンモニウム−テトラフルオロボレートを含む電解質を含む前記装置で測定する態様4に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様6:
前記正電極および前記負電極それぞれの前記比電気容量が独立して約75F/gから約150F/gの範囲である態様5に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様7:
前記正電極および前記負電極それぞれの前記比電気容量が独立して約90F/gから約130F/gの範囲である態様6に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様8:
前記正電極および前記負電極それぞれの前記比電気容量が独立して約100F/gから約130F/gの範囲である態様7に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様9:
前記正電極および前記負電極それぞれの比電力が独立して約10W/gから約50W/gの範囲である態様1〜8の何れかに記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様10:
前記正電極および前記負電極それぞれの比電力が独立して約25W/gから約35W/gの範囲である態様9に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様11:
前記正電極および前記負電極それぞれの比エネルギーが独立して少なくとも約25J/gである態様1〜10の何れかに記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様12:
前記正電極および前記負電極それぞれの比エネルギーが独立して約25J/gから約50J/gの範囲である態様11に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様13:
前記正電極および前記負電極それぞれの比エネルギーが独立して約38J/gから約45J/gの範囲である態様12に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様14:
リジェネ−キャプチャーエネルギーストアードが約2.5秒のリジェネタイムで約0.040から約0.055kJ/gの範囲である態様4に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様15:
リジェネ−キャプチャーエネルギーストアードが約72秒のリジェネタイムで約0.065から約0.075kJ/gの範囲である態様4または14に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様16:
リジェネ−キャプチャーエネルギーストアードが約2.5秒のリジェネタイムで約0.050から約0.065kJ/gの範囲である態様4に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様17:
リジェネ−キャプチャーエネルギーストアードが約72秒のリジェネタイムで約0.070から約0.075kJ/gの範囲である態様4または14に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様18:
リジェネ−キャプチャーエネルギーストアードが約2.5秒のリジェネタイムで約0.054であり、約72秒のリジェネタイムで約0.072kJ/gの範囲である態様4に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様19:
リジェネエネルギーアクセプタンス効率が2.5秒で約0.85から約0.95の範囲である態様4に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様20:
リジェネエネルギーアクセプタンス効率が47秒で約0.95から約0.99の範囲である態様4または19に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様21:
前記活性化したカーボンクライオゲルが77Kでの窒素吸着およびBET分析により決定した約1500m2/gより大きい表面積を有する態様1〜20のいずれかに記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様22:
前記活性化したカーボンクライオゲルが77Kでの窒素吸着およびBET分析により決定した約2000m2/gより大きい表面積を有する態様21に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様23:
前記活性化したカーボンクライオゲルが77Kでの窒素吸着およびBET分析により決定した約2250m2/gより大きい表面積を有する態様22に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様24:
前記活性化したカーボンクライオゲルが77Kでの窒素吸着およびBET分析により決定した約2500m2/gより大きい表面積を有する態様23に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様25:
前記活性化したカーボンクライオゲルが77Kでの窒素吸着およびBET分析により決定した約2750m2/gより大きい表面積を有する態様20に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様26:
前記電解質が水性または有機の液体電解質である態様4に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様27:
前記電解質が同じ体積のプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとを含み、更に約1.0Mのテトラエチルアンモニウム−テトラフルオロボレートを含むに態様26に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様28:
前記電解質が固体電解質である態様4に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様29:
a)第1の溶媒中で触媒と第1のポリマー成分単量体および第2のポリマー成分単量体とを混合しゾルを生ずること、
b)調整可能な合成ポリマー前駆体材料を生ずるのに充分なゲル化温度で加熱することにより前記ゾルをゲル化すること、
c)調整可能な前記合成ポリマー前駆体材料を凍結乾燥し、乾燥したクライオゲルを生ずること、
d)不活性ガス存在下または真空中において、前記乾燥したクライオゲルを炭化するのに充分な炭化滞留温度で前記乾燥したクライオゲルを加熱すること、
e)前記炭化したクライオゲルを活性化するのに充分な活性化滞留温度で前記炭化したクライオゲルを加熱すること、
を含む方法により、前記活性化したカーボンクライオゲルを準備する態様1〜28のいずれかに記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様30:
前記工程e)が、
i)二酸化炭素の存在下、活性化滞留温度で前記炭化したクライオゲルを加熱すること、
ii)蒸気の存在下、活性化滞留温度で前記炭化したクライオゲルを加熱すること、
iii)活性化助剤の存在下、活性化滞留温度で前記炭化したクライオゲルを加熱すること、
の何れか1つを含む態様29に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様31:
前記活性化したカーボンクライオゲルの調整可能なポア構造が、
i)触媒を変更すること
ii)触媒の量を変更すること
iii)工程(a)で用いる溶媒を変更すること
iv)溶媒の量を変更すること
v)第1および/または第2のポリマー成分単量体を変更すること
vi)第1および/または第2のポリマー成分単量体の相対量を変更すること
の何れか1つにより調整される態様29に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様32:
前記活性化したカーボンクライオゲルの調整可能なポア構造が、
i)凍結乾燥の時間を変更すること
ii)凍結乾燥の圧力を変更すること
iii)凍結乾燥の温度を変更すること
の何れか1つにより調整される態様29に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様33:
前記活性化したカーボンクライオゲルの調整可能なポア構造が、
i)乾燥したクライオゲルを炭化する滞留温度を変更すること
ii)炭化の滞留温度への加熱速度を変更すること
iii)炭化の滞留温度で乾燥したクライオゲルを保持する時間を変更すること
iv)炭化中にガスの異なる流速を用いること
v)炭化中にガスの異なる圧力を用いること
vi)炭化中に異なるガスを用いること
vii)炭化中に真空を用いること
の何れか1つにより調整される態様29に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様34:
前記活性化したカーボンクライオゲルの調整可能なポア構造が、
i)炭化したクライオゲルを活性化する滞留温度を変更すること
ii)活性化の滞留温度への加熱速度を変更すること
iii)活性化の滞留温度で乾燥したクライオゲルを保持する時間を変更すること
iv)活性化中にガスの異なる流速を用いること
v)活性化中にガスの異なる圧力を用いること
vi)活性化中に異なるガスを用いること
の何れか1つにより調整される態様29に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様35:
前記調整可能なポア構造が、約0.6nmより小さい直径を有するポアについて約0.01cc/gから約0.15cc/gの範囲のポア体積を有する態様1〜34のいずれかに記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様36:
前記調整可能なポア構造が、約0.6nmと約1.0nm間の直径を有するポアについて約0.01cc/gから約0.25cc/gの範囲のポア体積を有する態様1〜34のいずれかに記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様37:
前記調整可能なポア構造が、約1.0nmと約2.0nm間の直径を有するポアについて約0.30cc/gから約0.70cc/gの範囲のポア体積を有する態様1〜34のいずれかに記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様38:
前記調整可能なポア構造が、約2.0nmと約4.0nm間の直径を有するポアについて約0.15cc/gから約0.70cc/gの範囲のポア体積を有する態様1〜34のいずれかに記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様39:
前記調整可能なポア構造が、約4.0nmと約6.0nm間の直径を有するポアについて約0.06cc/gから約0.50cc/gの範囲のポア体積を有する態様1〜34のいずれかに記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様40:
前記調整可能なポア構造が、約6.6nmと約8.0nm間の直径を有するポアについて約0.01cc/gから約0.30cc/gの範囲のポア体積を有する態様1〜34のいずれかに記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様41:
前記調整可能なポア構造が、
約0.6nmより小さい直径を有するポアについて約0.01cc/gから約0.15cc/gの範囲のポア体積を有し、
約0.6nmと約1.0nmの間の直径を有するポアについて約0.01cc/gから約0.25cc/gの範囲のポア体積を有し、
約1.0nmと約2.0nmの間の直径を有するポアについて約0.30cc/gから約0.70cc/gの範囲のポア体積を有し、
約2.0nmと約4.0nmの間の直径を有するポアについて約0.15cc/gから約0.70cc/gの範囲のポア体積を有し、
約4.0nmと約6.0nmの間の直径を有するポアについて約0.06cc/gから約0.50cc/gの範囲のポア体積を有し、
約6.0nmと約8.0nmの間の直径を有するポアについて約0.01cc/gから約0.30cc/gの範囲のポア体積を有する態様1〜40のいずれかに記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様42:
前記調整可能なポア構造がTEMによる測定で決定される約10nmよりも短い有効長を有するミクロポアを含む態様1〜41のいずれかに記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様43:
前記調整可能なポア構造がTEMによる測定で決定される約5nmよりも短い有効長を有するミクロポアを含む態様42に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様44:
前記調整可能なポア構造がDFT法により導出したN2吸着から求めた約2.0nmから約10.0nmの範囲の直径を有するメゾポアを含む態様1〜43のいずれかに記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様45:
前記調整可能なポア構造がDFT法により導出したN2吸着から求めた約2.0nmから約4.0nmの範囲の直径を有するメゾポアを含む態様44に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様46:
前記調整可能なポア構造がDFT法により導出したN2吸着から求めた約3.0nmから約4.0nmの範囲の直径を有するメゾポアを含む態様45に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様47:
前記調整可能なポア構造がDFT法により導出したN2吸着から求めた約4.0nmから約5.0nmの範囲の直径を有するメゾポアを含む態様45に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様48:
前記調整可能なポア構造がDFT法により導出したCO2吸着から求めた約0.3nmから約2.0nmの範囲の直径を有するミクロポアを含む態様1〜47のいずれかに記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様49:
前記調整可能なポア構造がDFT法により導出したCO2吸着から求めた約0.7nmから約1.5nmの範囲の直径を有するミクロポアを含む態様48に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様50:
前記調整可能なポア構造がDFT法により導出したCO2吸着から求めた約0.7nmから約1.0nmの範囲の直径を有するミクロポアを含む態様49に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様51:
前記調整可能なポア構造がDFT法により導出したCO2吸着から求めた約0.6nmから約1.0nmの範囲の直径を有するミクロポアを含む態様50に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様52:
a)それぞれが活性化したカーボンクライオゲルとポリテトラフルオロエチレンとを含む、正電極と負電極と、
b)ポリプロピレンまたはポリエチレンを含む不活性な多孔質セパレータと、
c)それぞれが耐食性金属を含む第1および第2の電流コレクタと、
d)同じ体積のプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとを含み、更に約1.0Mのテトラエチルアンモニウム−テトラフルオロボレートを含む電解質と、
を含む電気2重層キャパシタ(EDLC)装置であって、
前記正電極と前記負電極が前記多孔質セパレータにより分離され、前記正電極と前記負電極それぞれが1つの前記電流コレクタと接続され、
前記装置内で測定した前記正電極と前記負電極それぞれの比電気容量が独立して少なくとも75F/gであり、前記装置内で測定した前記正電極と前記負電極それぞれの比電力が独立して少なくとも10W/gである電気2重層キャパシタ(EDLC)装置。
態様53:
a)溶媒中で触媒とレゾルシノールおよびホルムアルデヒドとを混合しゾルを生ずること、
b)ゾルゲルを生ずるのに充分なゲル化温度で加熱することにより前記ゾルをゲル化すること、
c)前記ゾルゲルを凍結乾燥し、乾燥したクライオゲルを生ずること、
d)不活性ガスの存在下において、前記乾燥したクライオゲルを炭化するのに充分な炭化滞留温度で前記乾燥したクライオゲルを加熱すること、
e)前記炭化したクライオゲルを活性化するのに充分な活性化滞留温度で前記炭化したクライオゲルを加熱すること、
を含む方法により前記活性化したカーボンクライオゲル準備する態様52に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様54:
前記正電極および前記負電極それぞれの前記比電気容量が約75F/gから約150F/gの範囲である態様52または53に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様55:
前記正電極および前記負電極それぞれの前記比電気容量が独立して約90F/gから約130F/gの範囲である態様54に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様56:
前記正電極および前記負電極それぞれの前記比電気容量が独立して約100F/gから約130F/gの範囲である態様55に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様57:
前記正電極および前記負電極それぞれの比電力が独立して約10W/gから約50W/gの範囲である態様52または53に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様58:
前記正電極および前記負電極それぞれの比電力が独立して約25W/gから約35W/gの範囲である態様57に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様59:
前記正電極および前記負電極それぞれの比エネルギーが独立して約25J/g〜約50J/gである態様52または53に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様60:
前記正電極および前記負電極それぞれの比エネルギーが独立して約38J/g〜約45J/gである態様59に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様61:
リジェネ−キャプチャーエネルギーストアードが約2.5秒のリジェネタイムで約0.040から約0.055kJ/gの範囲である態様52または53に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様62:
リジェネ−キャプチャーエネルギーストアードが約72秒のリジェネタイムで約0.065から約0.075kJ/gの範囲である態様52または53に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様63:
リジェネ−キャプチャーエネルギーストアードが約2.5秒のリジェネタイムで約0.050から約0.065kJ/gの範囲である態様52または53に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様64:
リジェネ−キャプチャーエネルギーストアードが約72秒のリジェネタイムで約0.070から約0.075kJ/gの範囲である態様52または53に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様65:
リジェネエネルギーアクセプタンス効率が2.5秒で約0.85から約0.95の範囲である態様52または53に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様66:
リジェネエネルギーアクセプタンス効率が47秒で約0.95から約0.99の範囲である態様52または53に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様67:
前記活性化したカーボンクライオゲルが77Kでの窒素吸着およびBET分析により決定した約1500m2/gより大きい表面積を有する態様1〜66のいずれかに記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様68:
前記活性化したカーボンクライオゲルが77Kでの窒素吸着およびBET分析により決定した約2000m2/gより大きい表面積を有する態様67に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様69:
前記活性化したカーボンクライオゲルが77Kでの窒素吸着およびBET分析により決定した約2250m2/gより大きい表面積を有する態様68に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様70:
前記活性化したカーボンクライオゲルが77Kでの窒素吸着およびBET分析により決定した約2500m2/gより大きい表面積を有する態様69に記載の電気2重層キャパシタ装置。
態様71:
前記活性化したカーボンクライオゲルが77Kでの窒素吸着およびBET分析により決定した約2750m2/gより大きい表面積を有する態様70に記載の電気2重層キャパシタ装置。
【0137】
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