特許第6238779号(P6238779)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6238779文字入力支援装置、プログラムおよび文字入力支援システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238779
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】文字入力支援装置、プログラムおよび文字入力支援システム
(51)【国際特許分類】
   H03M 11/04 20060101AFI20171120BHJP
   G06F 3/023 20060101ALI20171120BHJP
   G06F 3/02 20060101ALI20171120BHJP
   G06F 3/0488 20130101ALI20171120BHJP
   G06F 17/22 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   G06F3/023 310L
   G06F3/02 370B
   G06F3/02 370C
   G06F3/0488 160
   G06F17/22 617
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-26948(P2014-26948)
(22)【出願日】2014年2月14日
(65)【公開番号】特開2015-153193(P2015-153193A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114258
【弁理士】
【氏名又は名称】福地 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125391
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 洋一
(72)【発明者】
【氏名】堀内 俊治
(72)【発明者】
【氏名】萩谷 俊幸
【審査官】 池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−288164(JP,A)
【文献】 特開2010−055225(JP,A)
【文献】 特開平10−240728(JP,A)
【文献】 特開2002−007390(JP,A)
【文献】 特開2008−083848(JP,A)
【文献】 特開2006−197193(JP,A)
【文献】 特開平11−025080(JP,A)
【文献】 特開平07−021171(JP,A)
【文献】 “ATOK 快適な入力にこだわったキーボードが魅力 高評価の変換能力に、スマートフォンならではの操作性をプラス!”,週刊アスキー増刊 初めてでも快適 スマートフォン,日本,株式会社アスキー・メディアワークス,2012年 4月23日,2012年 6/4号増刊,pp.88〜89
【文献】 青木恵美,“使って覚える! フリーソフト講座 ネット検索で培ったノウハウを活用 日本語入力がラクになる無料IME”,日経PC21,日本,日経BP社,2012年 8月24日,第17巻, 第15号,pp.112〜115
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/02
G06F 3/0488
G06F 17/22
H03M 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの文字入力を支援する文字入力支援装置であって、
タッチパネルディスプレイを介してユーザの文字入力を受け付ける入力部と、
予め取得されたユーザの操作の傾向を示すパターン情報と前記入力された文字とを対比し、ユーザのスキルを示すスキル情報に基づいて、ユーザの誤入力を検出する検出部と、
前記誤入力が検出された場合、前記検出された誤入力と前記パターン情報と前記スキル情報とに基づいて、少なくとも一つの正しい入力を推定し、推定した結果を出力する推定部と、を備え
前記スキル情報は、タッチパネルディスプレイにおけるタッチジェスチャまたはイベントごとのユーザのスキルを示す情報であり、
前記推定部は、前記スキル情報に応じて、推定した結果をユーザに対するアドバイス情報として出力する頻度を変更することを特徴とする文字入力支援装置。
【請求項2】
前記推定部は、推定した結果に対応する前記タッチパネルディスプレイ上のキーの表示を変更することを特徴とする請求項記載の文字入力支援装置。
【請求項3】
音声を出力する音声出力部を更に備え、
前記推定部は、推定した結果を音声として前記音声出力部から出力することを特徴とする請求項記載の文字入力支援装置。
【請求項4】
前記推定部は、推定した結果をテキストメッセージとして出力し、出力されたテキストメッセージが前記タッチパネルディスプレイに表示されることを特徴とする請求項記載の文字入力支援装置。
【請求項5】
前記推定部は、推定した結果をユーザが入力した文字であるとして、入力を確定することを特徴とする請求項1記載の文字入力支援装置。
【請求項6】
前記推定部は、イベント系列の置き換え、またはイベント系列間の時間間隔の変更に基づいて、推定した結果をユーザが入力した文字であるとして、入力を確定することを特徴とする請求項記載の文字入力支援装置。
【請求項7】
前記推定部は、前記スキル情報に基づいて、推定した結果をユーザに対するアドバイス情報として出力するか、または、推定した結果をユーザが入力した文字であるとして、入力を確定するかのいずれか一方を切り替えることを特徴とする請求項1記載の文字入力支援装置。
【請求項8】
ユーザの文字入力を支援するプログラムであって、
タッチパネルディスプレイを介してユーザの文字入力を受け付ける処理と、
予め取得されたユーザの操作の傾向を示すパターン情報と前記入力された文字とを対比し、ユーザのスキルを示すスキル情報に基づいて、ユーザの誤入力を検出する処理と、
前記誤入力が検出された場合、前記検出された誤入力と前記パターン情報と前記スキル情報とに基づいて、少なくとも一つの正しい入力を推定し、推定した結果を出力する処理と、の一連の処理を、コンピュータに実行させ
前記スキル情報は、タッチパネルディスプレイにおけるタッチジェスチャまたはイベントごとのユーザのスキルを示す情報であり、
前記推定した結果を出力する処理は、前記スキル情報に応じて、推定した結果をユーザに対するアドバイス情報として出力する頻度を変更することを特徴とするプログラム。
【請求項9】
端末装置およびサーバ装置から構成され、ユーザの文字入力を支援する文字入力支援システムであって、
前記端末装置は、
タッチパネルディスプレイを介してユーザの文字入力を受け付ける入力部を備え、
前記サーバ装置は、
予め取得されたユーザの操作の傾向を示すパターン情報と前記端末装置で入力された文字とを対比し、ユーザのスキルを示すスキル情報に基づいて、ユーザの誤入力を検出する検出部と、
前記誤入力が検出された場合、前記検出された誤入力と前記パターン情報と前記スキル情報とに基づいて、少なくとも一つの正しい入力を推定し、推定した結果を出力する教示部と、を備え、
前記スキル情報は、タッチパネルディスプレイにおけるタッチジェスチャまたはイベントごとのユーザのスキルを示す情報であり、
前記推定部は、前記スキル情報に応じて、推定した結果をユーザに対するアドバイス情報として出力する頻度を変更し、前記推定結果を前記端末装置のタッチパネルディスプレイに表示することを特徴とする文字入力支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの文字入力を支援する文字入力支援装置、プログラムおよび文字入力支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、文字入力の分野においては、文字入力を補助するソフトウェアとして、IME(Input Method Editor)が知られている。このIMEは、通常、言語ごとに用意され、日本語を扱うIMEは日本語IMEなどと呼ばれている。
【0003】
日本語IMEは、主として、ユーザのキー入力を受け付け、仮名漢字変換やローマ字仮名変換といった処理を行なうことで、英数字や記号なども含みうる仮名漢字交じりの文字列に変換し、確定し、文字列をアプリケーションソフトウェアに渡す役割を担う。
【0004】
このような日本語IMEでは、ユーザビリティを向上させるために、従来から多くの提案が行なわれ、また、工夫が施されている。多くの提案は、日本語IMEの核であって、仮名漢字交じりの文字列に変換し、確定する際の予測および連文節予測に関するものである。予測および連文節予測は、辞書および過去に入力した文章に基づいて、確定した文字列につながる最適な予測候補を表示する。
【0005】
例えば、特許文献1では、使用頻度が高い予測候補を表示し、また、特許文献2では、意図している予測候補を優先的に表示する。また、近年、ユーザのキー入力をタッチパネルなどのソフトウェアキーボードで受け付ける装置においては、打ち間違いを確率的なスコアに基づいて、訂正し、提示する提案がなされている。
【0006】
例えば、特許文献3では、ソフトウェアキーボードにおけるボタンの位置座標とユーザが入力した位置座標の関係、および単語辞書などから、ユーザが入力した位置座標を補正することにより、打ち間違いを訂正する。これらの提案は、本質的には、ユーザが意図している予測候補を表示するものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007―164278号公報
【特許文献2】特開2010−140412号公報
【特許文献3】特開2010−503125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、情報機器に不慣れで操作スキルが高くないユーザにとっては、操作方法が分からないことから生ずる誤入力や誤操作が生じやすい。特に、高齢者にとっては、情報機器の操作が容易ではなく、入力に長時間を要したり、誤入力や誤操作が多くなったりしていることが実証実験を経て分かってきている。このため、予測候補の表示に関わる支援のみでは必ずしも十分ではなく、依然として誤入力や誤操作に代表されるユーザのつまずきが多くみられ、必ずしもユーザビリティが高いとは言えなかった。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ユーザビリティの高い入力を実現させることができる文字入力支援装置、プログラムおよび文字入力支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の文字入力支援装置は、ユーザの文字入力を支援する文字入力支援装置であって、タッチパネルディスプレイを介してユーザの文字入力を受け付ける入力部と、予め取得されたユーザの操作の傾向を示すパターン情報と前記入力された文字とを対比し、ユーザの誤入力を検出する検出部と、前記誤入力が検出された場合、前記検出された誤入力と前記パターン情報とに基づいて、少なくとも一つの正しい入力を推定し、推定した結果を出力する推定部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
このように、予め取得されたユーザの操作の傾向を示すパターン情報と入力された文字とを対比し、ユーザの誤入力を検出し、誤入力が検出された場合、検出された誤入力とパターン情報とに基づいて、少なくとも一つの正しい入力を推定し、推定した結果を出力するので、ユーザに対して次に入力すべき文字や、次に操作すべきキーをアドバイスすることが可能となる。また、推定した結果を入力したものとすることで、ユーザの誤操作を吸収し、ユーザが意図した入力に変換することが可能となる。これにより、ユーザビリティの高い入力を行なうことが可能となる。
【0012】
(2)また、本発明の文字入力支援装置において、前記推定部は、推定した結果をユーザに対するアドバイス情報として出力することを特徴とする。
【0013】
このように、推定した結果をユーザに対するアドバイス情報として出力するので、誤入力や誤操作が無くなり、ユーザビリティの高い入力を行なうことが可能となる。
【0014】
(3)また、本発明の文字入力支援装置において、前記推定部は、推定した結果に対応する前記タッチパネルディスプレイ上のキーの表示を変更することを特徴とする。
【0015】
このように、推定した結果に対応するタッチパネルディスプレイ上のキーの表示を変更するので、ユーザは、視覚を介して、次に操作すべきキーを容易に知ることができ、ユーザビリティの高い入力を行なうことが可能となる。タッチパネルディスプレイ上のキーの表示の変更は、キーを点灯表示させたり、点滅表示させたりすることを含む。また、キーの表示色を変更しても良い。
【0016】
(4)また、本発明の文字入力支援装置は、音声を出力する音声出力部を更に備え、前記推定部は、推定した結果を音声として前記スピーカから出力することを特徴とする。
【0017】
このように、推定した結果を音声としてスピーカから出力するので、ユーザは、聴覚を介して、次に入力すべき文字や、次に操作すべきキーを知ることが可能となる。これにより、ユーザビリティの高い入力を行なうことが可能となる。
【0018】
(5)また、本発明の文字入力支援装置において、前記推定部は、推定した結果をテキストメッセージとして出力し、出力されたテキストメッセージが前記タッチパネルディスプレイに表示されることを特徴とする。
【0019】
このように、推定した結果をテキストメッセージとして出力し、出力されたテキストメッセージがタッチパネルディスプレイに表示されるので、ユーザは、視覚を介して、次に入力すべき文字や、次に操作すべきキーを知ることが可能となる。これにより、ユーザビリティの高い入力を行なうことが可能となる。
【0020】
(6)また、本発明の文字入力支援装置において、前記推定部は、推定した結果をユーザが入力した文字であるとして、入力を確定することを特徴とする。
【0021】
このように、推定した結果をユーザが入力した文字であるとして、入力を確定するので、ユーザの誤入力や誤操作を吸収し、正しい入力に変換して出力することが可能となる。これにより、ユーザビリティの高い入力を行なうことが可能となる。
【0022】
(7)また、本発明の文字入力支援装置において、前記推定部は、イベント系列の置き換え、またはイベント系列間の時間間隔の変更に基づいて、推定した結果をユーザが入力した文字であるとして、入力を確定することを特徴とする。
【0023】
このように、イベント系列の置き換え、またはイベント系列間の時間間隔の変更に基づいて、推定した結果をユーザが入力した文字であるとして、入力を確定するので、ユーザの誤入力や誤操作を吸収し、正しい入力に変換して出力することが可能となる。これにより、ユーザビリティの高い入力を行なうことが可能となる。
【0024】
(8)また、本発明の文字入力支援装置において、前記検出部は、ユーザのスキルを示すスキル情報に基づいて、ユーザの誤入力を検出することを特徴とする。
【0025】
このように、ユーザのスキルを示すスキル情報に基づいて、ユーザの誤入力を検出するので、ユーザのスキルに応じて誤入力を検出する度合いを変更することが可能となる。例えば、ユーザのスキルが低い場合には、入力される文字が誤る確率が高いとして、誤入力を検出する。これにより、正しいと推定される文字をアドバイスする頻度を高めることが可能となる。
【0026】
(9)また、本発明の文字入力支援装置において、前記推定部は、前記誤入力が検出された場合、前記検出された誤入力、前記パターン情報およびユーザのスキルを示すスキル情報に基づいて、少なくとも一つの正しい入力を推定し、推定した結果を出力することを特徴とする。
【0027】
このように、誤入力が検出された場合、検出された誤入力、パターン情報およびユーザのスキルを示すスキル情報に基づいて、少なくとも一つの正しい入力を推定し、推定した結果を出力するので、ユーザのスキルに応じたアドバイスを行なうことが可能となる。
【0028】
(10)また、本発明の文字入力支援装置において、前記推定部は、ユーザのスキルを示すスキル情報に基づいて、推定した結果をユーザに対するアドバイス情報として出力するか、または、推定した結果をユーザが入力した文字であるとして、入力を確定するかのいずれか一方を切り替えることを特徴とする。
【0029】
このように、ユーザのスキルを示すスキル情報に基づいて、推定した結果をユーザに対するアドバイス情報として出力するか、または、推定した結果をユーザが入力した文字であるとして、入力を確定するかのいずれか一方を切り替えるので、ユーザのスキルに応じて、誤入力時にアドバイスをするか、または誤入力を吸収して推定結果で入力を確定するかを切り替えることが可能となる。これにより、ユーザビリティの高い入力を行なうことが可能となる。
【0030】
(11)また、本発明のプログラムは、ユーザの文字入力を支援するプログラムであって、タッチパネルディスプレイを介してユーザの文字入力を受け付ける処理と、予め取得されたユーザの操作の傾向を示すパターン情報と前記入力された文字とを対比し、ユーザの誤入力を検出する処理と、前記誤入力が検出された場合、前記検出された誤入力と前記パターン情報とに基づいて、少なくとも一つの正しい入力を推定し、推定した結果を出力する処理と、の一連の処理を、コンピュータに実行させることを特徴とする。
【0031】
このように、予め取得されたユーザの操作の傾向を示すパターン情報と入力された文字とを対比し、ユーザの誤入力を検出し、誤入力が検出された場合、検出された誤入力とパターン情報とに基づいて、少なくとも一つの正しい入力を推定し、推定した結果を出力するので、ユーザに対して次に入力すべき文字や、次に操作すべきキーをアドバイスすることが可能となる。また、推定した結果を入力したものとすることで、ユーザの誤操作を吸収し、ユーザが意図した入力に変換することが可能となる。これにより、ユーザビリティの高い入力を行なうことが可能となる。
【0032】
(12)また、本発明の文字入力支援システムは、端末装置およびサーバ装置から構成され、ユーザの文字入力を支援する文字入力支援システムであって、前記端末装置は、タッチパネルディスプレイを介してユーザの文字入力を受け付ける入力部を備え、前記サーバ装置は、予め取得されたユーザの操作の傾向を示すパターン情報と前記端末装置で入力された文字とを対比し、ユーザの誤入力を検出する検出部と、前記誤入力が検出された場合、前記検出された誤入力と前記パターン情報とに基づいて、少なくとも一つの正しい入力を推定し、推定した結果を出力する教示部と、を備え、前記推定結果を前記端末装置のタッチパネルディスプレイに表示することを特徴とする。
【0033】
このように、予め取得されたユーザの操作の傾向を示すパターン情報と入力された文字とを対比し、ユーザの誤入力を検出し、誤入力が検出された場合、検出された誤入力とパターン情報とに基づいて、少なくとも一つの正しい入力を推定し、推定した結果を出力するので、ユーザに対して次に入力すべき文字や、次に操作すべきキーをアドバイスすることが可能となる。また、推定した結果を入力したものとすることで、ユーザの誤操作を吸収し、ユーザが意図した入力に変換することが可能となる。これにより、ユーザビリティの高い入力を行なうことが可能となる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、ユーザに対して次に入力すべき文字や、次に操作すべきキーをアドバイスすることが可能となる。また、推定した結果を入力したものとすることで、ユーザの誤操作を吸収し、ユーザが意図した入力に変換することが可能となる。これにより、ユーザビリティの高い入力を行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本実施形態に係る文字入力支援装置の概略構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態に係る文字入力支援装置の動作を示すフローチャートである。
図3】イベント系列の例を示す図である。
図4】ユーザの操作に応じたスキル情報を示す図である。
図5】テキストメッセージを表示することでユーザにアドバイスを行なう様子を示す図である。
図6】キートップを点灯させることでユーザにアドバイスを行なう様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明者らは、情報機器に不慣れで操作スキルが高くないユーザにとっては、操作方法が分からないことから生ずる誤入力や誤操作が生じやすく、特に、高齢者にとっては、文字入力の際、予測候補の表示に関わる支援のみでは必ずしも十分ではなく、依然として誤入力や誤操作に代表されるユーザのつまずきが多くみられることに着目し、ユーザのつまずきを検出し、正しい操作をアドバイスし、または、そのつまずきを吸収して入力を正しく修正することによって、ユーザビリティを向上させることができることを見出し、本発明をするに至った。
【0037】
すなわち、本発明の文字入力支援装置は、ユーザの文字入力を支援する文字入力支援装置であって、タッチパネルディスプレイを介してユーザの文字入力を受け付ける入力部と、予め取得されたユーザの操作の傾向を示すパターン情報と前記入力された文字とを対比し、ユーザの誤入力を検出する検出部と、前記誤入力が検出された場合、前記検出された誤入力と前記パターン情報に基づいて、少なくとも一つの正しい入力を推定し、推定した結果を出力する推定部と、を備えることを特徴とする。
【0038】
これにより、本発明者らは、ユーザに対して次に入力すべき文字や、次に操作すべきキーをアドバイスすることを可能とし、また、推定した結果を入力したものとすることで、ユーザの誤操作を吸収し、ユーザが意図した入力に変換することを可能とした。その結果、ユーザビリティの高い入力を行なうことを可能とした。以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0039】
図1は、本実施形態に係る文字入力支援装置の概略構成を示すブロック図である。入力部11は、例えば、タッチパネルディスプレイで構成され、ユーザのキー入力を受け付ける。変換部13は、日本語IME機能を有し、仮名漢字変換やローマ字仮名変換といった処理を行なうことで、英数字や記号なども含みうる仮名漢字交じりの文字列に変換し、確定する。出力部15は、変換部13で変換された文字列をアプリケーションソフトウェアに出力する。出力結果は、例えば、タッチパネルディスプレイでテキストや画像で表示されたり、スピーカやヘッドホンで音声として出力されたりする。
【0040】
検出部17は、発生するイベント系列を、あらかじめ測定あるいは推定されたパターン情報と比較することで、誤入力や誤操作に代表されるユーザのつまずきを検出する。教示部19は、検出部17で検出されたユーザのつまずきに対応する解決方法(アドバイス情報)を、予め測定され、あるいは推定されたパターン情報(およびスキル情報)から取得し、タッチパネルディスプレイに表示する。タッチパネルディスプレイでの表示は、テキストを表示しても良いし、次にユーザが操作すべきキーを光らせるように表示しても良い。また、アドバイス情報を音声として再生しても良い。パターン情報は、パターン情報データベース18aに格納されており、スキル情報は、スキル情報データベース18bに格納されている。
【0041】
吸収部21は、発生するイベントを、予め測定あるいは推定されたパターン情報と比較し、イベント系列を置き換え、または、イベント系列間の時間間隔を置き換える。または、設定情報を変更する。音声出力部23は、スピーカまたはヘッドホンで構成され、音声情報に対応した音を出力する。教示部19と吸収部21は、推定部を構成する。
【0042】
図2は、本実施形態に係る文字入力支援装置の動作を示すフローチャートである。まず、ユーザがタッチパネルディスプレイから入力を行なうと(ステップS1)、図3に例示するような入力中のイベント系列が、パターン情報のイベント系列に一致しているかどうかを判断する(ステップS2)。一致していない場合は、ステップS1に遷移し、一致している場合は、教示(ユーザに対するアドバイス情報の提供)をするかどうかを判断する(ステップS3)。教示をする場合は、例えば、図5に示すように、テキストメッセージを表示したり(ステップS4)、ボイスメッセージを再生して音声を出力したり(ステップS5)、図6に示すように、キートップの表示を変更(例えば、ユーザが次に操作すべきキーを点灯表示する)したりする(ステップS6)。
【0043】
一方、ステップS3において、教示をしない場合は、吸収するかどうかを判断する(ステップS7)。例えば、イベント系列を置換したり(ステップS8)、イベント系列の時間間隔を置換したり(ステップS9)、設定情報を変更したりする(ステップS10)。次に、出力を行ない(ステップS11)、処理を継続するかどうかを判断する(ステップS12)。処理を継続する場合は、ステップS1に遷移する一方、処理を継続しない場合は、終了する。
【0044】
なお、上記の実施形態において、文字入力支援装置の構成要件の全て、あるいはその一部がサーバサイドにあり、それ以外がユーザ側のクライアントサイド、すなわち、サーバクライアントシステムとして構成しても良い。
【0045】
さらに、上記実施形態において、検出部17または教示部19において、スキル情報に基づき、当該検出あるいは当該教示を行なっても良い。スキル情報は、あらかじめ測定あるいは推定され、スキル情報データベース18bに記録されているものとする。具体的には、上記実施形態において、スキル情報は、文字入力速度あるいは文字入力効率あるいは削除頻度と関連付けられているとする。例えば、日本語IMEを使用者に使用させ、文字入力速度、すなわち、1分あたりに入力された文字数、あるいは、文字入力効率、すなわち、1分あたりに入力されたタッチジェスチャあるいはイベント、あるいは、削除頻度、すなわち、1分当たりに入力された削除数を取得、記録し、図4に示すように、10段階にマッピングするなどにより得ることができる。また、タッチパネルディスプレイにおけるタッチジェスチャあるいはイベントと関連付けられていても良い。
【0046】
例えば、特定の課題を与えたアプリケーションを使用者に使用させ、タッチジェスチャあるいはイベントごとにスキル情報を取得、記録し、特定の課題の達成度を10段階にマッピングすることで得ることができる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によれば、日本語IMEにおいて、誤入力や誤操作に代表されるユーザのつまずきを検出し、ユーザに解決方法をアドバイスし、ユーザのつまずきを吸収することにより、ユーザビリティが高いインプットメソッドエディタを提供することができる。
【0048】
なお、以上の説明は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格ものではない。
【符号の説明】
【0049】
11 入力部
13 変換部
15 出力部
17 検出部
18a パターン情報データベース
18b スキル情報データベース
19 教示部
21 吸収部
23 音声出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6