(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記伝動ギヤとして、前記出力ギヤに咬合して前記出力ギヤの前上側で前記対地作業装置の左右方向の横軸芯周りに回転自在に支持された前伝動ギヤと、前記出力ギヤに咬合して前記出力ギヤの後上側で前記対地作業装置の左右方向の横軸芯周りに回転自在に支持された後伝動ギヤとを備え、
前記前伝動機構として、前記前伝動ギヤに連結されたスプロケットと、前記前車軸に連結されたスプロケットと、前記前伝動ギヤのスプロケット及び前記前車軸のスプロケットに亘って巻回された前伝動チェーンとを備え、
前記後伝動機構として、前記後伝動ギヤに連結されたスプロケットと、前記後車軸に連結されたスプロケットと、前記後伝動ギヤのスプロケット及び前記後車軸のスプロケットに亘って巻回された後伝動チェーンとを備えている請求項1に記載の歩行型作業機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように、伝動チェーンが出力軸(スプロケット)から斜め前方下方(斜め後方下方)に延出されていると、伝動チェーンを覆うチェーンケースも、出力軸(スプロケット)から斜め前方下方(斜め後方下方)に延出される状態となる。
これにより、側面視において、伝動チェーン(伝動ケース)が前輪及び後輪の間の空間の上部を斜めに横切るような状態となって、前輪及び後輪の間の空間が高さの余裕の小さい空間となる。このように前輪及び後輪の間の空間が高さの余裕の小さい空間になると、刈刃フレームに支持された刈刃(刈刃の回転軌跡)や、刈刃を覆う横側部のカバー等が制限を受けることになる。
【0006】
本発明は、歩行型作業機において対地作業装置の上部に原動部を備え、対地作業装置の前部及び後部に前輪及び後輪を備えた場合、対地作業装置の右(左)の横側部において、前輪及び後輪の間の空間が、高さの余裕の小さい空間にならないように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、歩行型作業機において次のように構成することにある。
対地作業装置と、前記対地作業装置の上部に支持された原動部と、前記対地作業装置の前部に支持された前輪と、前記対地作業装置の後部に支持された後輪とを備えて、
前記出力ギヤ、前記伝動ギヤ、前記前伝動機構、及び、前記後伝動機構を収納する伝動ケースを備え、
前記伝動ケースの下方において機体の横断方向に延びる前後一対の横フレームを備え、
前記伝動ケース内において前記出力ギヤと前記伝動ギヤとが咬合しており、
前記原動部の動力が、前記出力ギヤから前記伝動ギヤ、前記前及び後伝動機構を介して前輪及び後輪に伝達されるように構成さ
れ、
前記伝動ケースの下辺部における前記出力ギヤの前部分及び後部分が上方に入り込んでおり、前記前部分に前側の前記横フレームが入り込み、前記後部分に後側の前記横フレームが入り込んでいる。
【0008】
(作用及び発明の効果)
本発明の第1特徴によると、出力ギヤに咬合する伝動ギヤが出力ギヤの上側に備えられているのであり、出力ギヤよりも高い位置に配置された伝動ギヤから、前伝動機構(後伝動機構)が斜め前方下方(斜め後方下方)に延出されて前輪の前車軸(後輪の後車軸)に接続される。
【0009】
これにより、本発明の第1特徴によると、前伝動機構(後伝動機構)の出力ギヤ側の位置を高いものにすることができ、側面視において前伝動機構(後伝動機構)が前輪及び後輪の間の上部を斜めに横切るような状態を、特許文献1に比べて小さいものにすることができるのであり、前輪及び後輪の間の空間が、高さの余裕の比較的大きな空間となる。
以上のように、前輪及び後輪の間の空間を高さの余裕の比較的大きな空間とすることができて、前輪及び後輪の間に備えられた対地作業装置が制限を受けることが少なくなるのであり、対地作業装置の配置及び形状等の自由度を大きくすることができる。
【0010】
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の歩行型作業機において次のように構成することにある。
前記伝動ギヤとして、前記出力ギヤに咬合して前記出力ギヤの前上側で前記対地作業装置の左右方向の横軸芯周りに回転自在に支持された前伝動ギヤと、前記出力ギヤに咬合して前記出力ギヤの後上側で前記対地作業装置の左右方向の横軸芯周りに回転自在に支持された後伝動ギヤとを備え、
前記前伝動機構として、前記前伝動ギヤに連結されたスプロケットと、前記前車軸に連結されたスプロケットと、前記前伝動ギヤのスプロケット及び前記前車軸のスプロケットに亘って巻回された前伝動チェーンとを備え、
前記後伝動機構として、前記後伝動ギヤに連結されたスプロケットと、前記後車軸に連結されたスプロケットと、前記後伝動ギヤのスプロケット及び前記後車軸のスプロケットに亘って巻回された後伝動チェーンとを備えている。
【0011】
(作用及び発明の効果)
本発明の第2特徴によると、前伝動機構(後伝動機構)として前伝動チェーン(後伝動チェーン)を使用した場合、横軸芯周りに回転自在に支持された前伝動ギヤ(後伝動ギヤ)及び横向きの前車軸(後車軸)により、前伝動チェーン(後伝動チェーン)が縦回し姿勢となるので、前伝動機構(後伝動機構)の横幅を狭いものに構成することができる。
【0012】
この場合、前伝動チェーンが巻回される前伝動ギヤと、後伝動チェーンが巻回される後伝動ギヤとを、同一の横軸芯周りに回転自在に左右方向に並べて配置すると、前及び後伝動ギヤの部分の横幅が大きなものとなる。これに加えて前及び後伝動チェーンが互いに左右方向に位置ズレした状態となるので、前及び後伝動ギヤ、前及び後伝動チェーンが全体的に横幅の大きなものとなる。
【0013】
これに対して本発明の第2特徴によると、前伝動チェーンが巻回される前伝動ギヤと、後伝動チェーンが巻回される後伝動ギヤとを前後に並べて配置することにより、前及び後伝動ギヤを左右方向において同じ位置に配置することができるのであり、これに伴って前及び後伝動チェーンも互いに左右方向に位置ズレすることなく、左右方向において同じ位置に配置することができる。
従って、前及び後伝動ギヤ、前及び後伝動チェーンを全体的に横幅の狭いものに構成することができて、歩行型作業機のコンパクト化を図ることができる。
【0014】
[III]
(構成)
本発明の第3特徴は、本発明の第1又は第2特徴の歩行型作業機において次のように構成することにある。
前記出力ギヤを前記出力軸にトルクリミッターを介して取り付けている。
【0015】
(作用及び発明の効果)
本発明の第3特徴によると、前輪に大きな負荷が掛かっても、後輪に大きな負荷が掛かっても、共通のトルクリミッターが遮断状態となるのであり、出力ギヤと出力軸との間のトルクリミッターを前輪用及び後輪用に兼用することができて、構造の簡素化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[1]
図1及び
図2に示すように、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2により支持された機体フレーム3(対地作業装置に相当)の上部にエンジン4(原動部に相当)が支持され、機体フレーム3の下部の上下軸芯P1周りに刈刃5(対地作業装置に相当)が回転駆動自在に支持されており、機体フレーム3の左の横側部に操縦ハンドル6が連結されて、歩行型作業機の一例である歩行型草刈機が構成されている。
【0018】
[2]
次に、機体フレーム3について説明する。
図3及び
図7に示すように、板金をプレス加工して構成されたフレーム部材7が備えられており、フレーム部材7は、右の折り曲げ部7a、左の折り曲げ部7b、前の折り曲げ部7c及び後の折り曲げ部7dを備えて構成されて、中央部に開口部7eが形成されている。
【0019】
図7に示すように、丸パイプ製の2本の横フレーム8がフレーム部材7の折り曲げ部7a,7bに亘って貫通するように連結されており、縦フレーム12が横フレーム8に亘って連結されている。操縦ハンドル6の基部が連結される支持部材9が、フレーム部材7の折り曲げ部7bから突出した横フレーム8の部分及びフレーム部材7の折り曲げ部7bに連結されている。
【0020】
図3,4,9に示すように、丸パイプ製の前車軸ケース10が備えられて、前車軸ケース10の右及び左側部にブラケット10a,10bが連結されており、左のブラケット10bにナット10cが連結されている。丸パイプ製の後車軸ケース11が備えられて、後車軸ケース11の右及び左側部にブラケット11a,11bが連結されており、左のブラケット11bにナット11cが連結されている。
【0021】
図3,4,7,9に示すように、前車軸ケース10(後車軸ケース11)の右のブラケット10a(11a)が、後述する[5]に記載の伝動ケース37(ケース部分37b)にボルト連結されており、フレーム部材7の折り曲げ部7aにナット7fが連結されている。伝動ケース37を貫通させてボルト58をフレーム部材7のナット7fに連結して、伝動ケース16をフレーム部材37の折り曲げ部7aに連結することにより、前車軸ケース10(後車軸ケース11)の右側部が、伝動ケース37を介してフレーム部材7の折り曲げ部7aに連結されている。
【0022】
図3,4,7,9に示すように、フレーム部材7の折り曲げ部7bに開口部7gが形成されて、前車軸ケース10(後車軸ケース11)のブラケット10b(11b)がフレーム部材7の折り曲げ部7bの内面に位置している。これにより、ボルト(図示せず)をフレーム部材7の開口部7g及び前車軸ケース10(後車軸ケース11)のナット10c(11c)に亘って連結することにより、前車軸ケース10(後車軸ケース11)の左側部がフレーム部材7の折り曲げ部7bに連結されている。
【0023】
図3,4,7に示すように、丸棒材を折り曲げて構成されたバンパー13が、フレーム部材7の前部及び後部に連結されている。ゴム板で構成されたカバー14が、フレーム部材7の折り曲げ部7c,7dに連結されて下向きに垂れ下がっている。
板金を折り曲げて構成されたカバー15が、フレーム部材7の折り曲げ部7a及び横フレーム8の端部のブラケット8aに連結されている。板金を折り曲げて構成されたカバー15が、フレーム部材7の折り曲げ部7b及び支持部材9に連結されている。
以上のように、機体フレーム3は、フレーム部材7、横フレーム8、縦フレーム12、支持部材9、前車軸ケース10、後車軸ケース11、バンパー15及びカバー14,15等により構成されている。
【0024】
[3]
次に、エンジン4及び刈刃5の支持構造、エンジン4から刈刃5への伝動構造について説明する。
図4及び
図5に示すように、伝動ケース16(原動部に相当)が用意されて、伝動ケース16の上部にエンジン4が連結されている。伝動ケース16から出力軸17が右の横側部に延出されており、支持軸18が伝動ケース16から左向きに出力軸17と同芯状に支持されている。
【0025】
図3,4,5に示すように、フレーム部材7の右側部にブラケット19が連結されて、ブラケット19のボス部19aに、出力軸17が回転自在に支持されている。縦フレーム12にブラケット20が連結されて、支持軸18がブラケット20に回転自在に支持されており、伝動ケース16がフレーム部材7の開口部7eに位置している。
これにより、エンジン4、伝動ケース16及び刈刃5が出力軸17及び支持軸18の横軸芯P2周りに前後の揺動自在に支持されており、エンジン4、伝動ケース16及び刈刃5の揺動範囲を設定角度に規制する規制機構21が備えられている。
【0026】
図4及び
図5に示すように、刈刃駆動軸22が伝動ケース16の上下軸芯P1周りに回転自在に支持されて、刈刃駆動軸22の下部に刈刃5が連結されている。刈刃5は、刈刃駆動軸22に連結されたブレード支持部5a、ブレード支持部5aの上下軸芯P3周りに自由回転自在に支持された刈刃ブレード5bを備えて構成されている。
【0027】
図8に示すように、刈刃駆動軸22の上側に同芯状に伝動軸23が支持されて、エンジン4の動力が主クラッチ24から伝動軸23に伝達されている。伝動軸23の下部の咬合部23aに対して、刈刃駆動軸22の上部にクラッチ部材22aがスプライン構造により一体回転及びスライド自在に備えられており、刈刃駆動軸22のクラッチ部材22a及び伝動軸23の咬合部23aにより、刈刃クラッチが構成されている。
【0028】
これにより、
図8に示すように、刈刃駆動軸22のクラッチ部材22aを上方に操作して伝動軸23の咬合部23aに咬合させることにより、エンジン4の動力が主クラッチ24、伝動軸23から刈刃駆動軸22に伝達されて、刈刃5が上下軸芯P1周りに回転駆動される。刈刃駆動軸22のクラッチ部材22aを下方に操作して伝動軸23の咬合部23aから離すことにより、刈刃5が停止する。
【0029】
[4]
次に、エンジン4から出力軸17への伝動構造について説明する。
図8に示すように、伝動軸23の動力がウォームギヤ機構25を介して伝動軸26に伝達されている。伝動軸26に低速ギヤ27及び高速ギヤ28が相対回転自在に外嵌されており、低速及び高速ギヤ27,28の間の伝動軸26の部分に、シフト部材29がスプライン構造により一体回転及びスライド自在に外嵌されている。
【0030】
図8に示すように、伝動軸26と平行に支持された伝動軸30に低速ギヤ31及び高速ギヤ32が固定されて、低速ギヤ27,31が咬合し、高速ギヤ28,32が咬合しており、低速ギヤ27,31、高速ギヤ28,32及びシフト部材29により走行用の変速装置が構成されている。
これにより、シフト部材29を低速ギヤ27に咬合させることによって、伝動軸26の動力が低速状態で伝動軸30に伝達されるのであり、シフト部材29を高速ギヤ28に咬合させることによって、伝動軸26の動力が高速状態で伝動軸30に伝達される。
【0031】
図8に示すように、出力軸17と伝動軸30とが直交するように配置されており、伝動軸30にベベルギヤ33が連結されている。出力軸17に前進ベベルギヤ34及び後進ベベルギヤ35が相対回転自在に外嵌されて、前進及び後進ベベルギヤ34,35がベベルギヤ33に咬合しており、前進及び後進ベベルギヤ34,35の間の出力軸17の部分にシフト部材36がスプライン構造により一体回転及びスライド自在に外嵌されている。
【0032】
これにより
図8に示すように、ベベルギヤ33、前進及び後進ベベルギヤ34,35、シフト部材36により前後進切換装置が構成されている。シフト部材36を前進ベベルギヤ34に咬合させることによって、伝動軸30の動力が前進状態で出力軸17に伝達されるのであり、シフト部材36を後進ベベルギヤ35に咬合させることによって、伝動軸30の動力が後進状態で出力軸17に伝達される。
【0033】
[5]
次に、出力軸17から前輪1及び後輪2への伝動構造について説明する(その1)。
図5,6,9に示すように、アルミ合金で構成されたケース部分37aと、板金をプレス加工して構成されたケース部分37bとを備えて、2分割構造の伝動ケース37が構成されている。伝動ケース37を貫通させてボルト58をフレーム部材7のナット7fに連結することにより、伝動ケース16がフレーム部材37の折り曲げ部7aに連結されており、伝動ケース37のケース部分37bの中央部がブラケット19に連結されている。
【0034】
図5,6,8に示すように、出力軸17の延出端部が伝動ケース37に挿入されて、出力軸17の延出端部に、出力ギヤ38がトルクリミッター39を介して取り付けられており、トルクリミッター39は出力軸17に連結された受け部材39a、押圧部材39b、一対の摩擦板39c及び皿状のバネ39dにより構成されている。
【0035】
図5に示すように、出力ギヤ38がトルクリミッター39の摩擦板39cの間で受け部材39aに相対回転自在に外嵌されており、トルクリミッター39のバネ39dにより押圧部材39bが摩擦板39cに押圧されて、出力ギヤ38がトルクリミッター30の受け部材39aに摩擦保持されている。
【0036】
これにより、
図5,6,8に示すように、前輪1及び後輪2から出力ギヤ38に掛かる負荷が設定値以下であると、出力軸17と出力ギヤ38が一体回転して、後述するように出力ギヤ38から前輪1及び後輪2に動力が伝達される(トルクリミッター39の伝動状態)。前輪1及び後輪2から出力ギヤ38に掛かる負荷が設定値を越えると、出力ギヤ38がトルクリミッター39の摩擦板39cに対して滑る状態となって、トルクリミッター39が遮断状態となる。
【0037】
図5に示すように、伝動ケース37(ケース部分37a)において、トルクリミッター39に対向する部分に開口部37cが形成されており、開口部37cを閉じる蓋部37dが備えられている。これにより、伝動ケース37の蓋部37dを取り外すことにより、伝動ケース37の開口部37cからトルクリミッター39の微調節(設定値の微調節)を行うことができる。
【0038】
[6]
次に、出力軸17から前輪1及び後輪2への伝動構造について説明する(その2)。
図5,6,8に示すように、伝動ケース37の内部において、出力ギヤ38の前上側の左右方向の横軸芯P4周りに伝動軸40が回転自在に支持されて、伝動軸40に連結された前伝動ギヤ41(伝動ギヤに相当)が出力ギヤ38に咬合している。伝動軸40の内側部分(伝動ケース16側)に、スプロケット44(前伝動機構に相当)(前伝動ギヤのスプロケットに相当)が連結されている。
【0039】
図5,6,8に示すように、伝動ケース37の内部において、出力ギヤ38の後上側の左右方向の横軸芯P5周りに伝動軸42が回転自在に支持されて、伝動軸42に連結された後伝動ギヤ43(伝動ギヤに相当)が出力ギヤ38に咬合している。伝動軸42の内側部分(伝動ケース16側)に、スプロケット45(後伝動機構に相当)(後伝動ギヤのスプロケットに相当)が連結されている。
【0040】
図3,4,6,8に示すように、前車軸46が前車軸ケース10の内部及び伝動ケース37に回転自在に支持されて、前車軸46の右及び左側部に右及び左の前輪1が連結されている。伝動ケース37の内部において、前車軸46にスプロケット47(前伝動機構に相当)(前車軸のスプロケットに相当)が連結されており、スプロケット44,47に亘って前伝動チェーン48(前伝動機構に相当)が縦回し姿勢で巻回されている。板バネで構成されたテンショナー52が伝動ケース(ケース部分37a)の前部の下部に備えられており、テンショナー52が前伝動チェーン48の下側に作用している。
【0041】
図3,4,6,8に示すように、後車軸49が後車軸ケース11の内部及び伝動ケース37に回転自在に支持されて、後車軸49の右及び左側部に右及び左の後輪2が連結されている。伝動ケース37の内部において、後車軸49にスプロケット50(後伝動機構に相当)(後車軸のスプロケットに相当)が連結されており、スプロケット45,50に亘って後伝動チェーン51(後伝動機構に相当)が縦回し姿勢で巻回されている。板バネで構成されたテンショナー53が伝動ケース(ケース部分37a)の後部の下部に備えられており、テンショナー53が後伝動チェーン51の下側に作用している。
【0042】
以上の構造によって、
図6及び
図8に示すように、出力ギヤ38の動力が前伝動ギヤ41、スプロケット44、前伝動チェーン48、スプロケット47を介して前車軸46に伝達されて、右及び左の前輪1が回転駆動される。出力ギヤ38の動力が後伝動ギヤ43、スプロケット45、後伝動チェーン51、スプロケット50を介して後車軸49に伝達されて、右及び左の後輪2が回転駆動される。
【0043】
この場合、
図4及び
図6に示すように、出力ギヤ38が
図6の紙面時計方向に回転駆動されて、前輪1及び後輪2が前進状態で駆動されると(歩行型草刈機が
図4の紙面左方向に移動すると)、出力軸17及び出力ギヤ38からの反力により、エンジン4、伝動ケース16及び刈刃5が、
図4の紙面反時計方向に設定角度だけ揺動して停止する。これにより、刈刃5の進行方向側(前輪1側)が下がった状態となるのであり、刈刃5の進行方向側(前輪1側)により草刈りが行われる。
【0044】
図4及び
図6に示すように、出力ギヤ38が
図6の紙面反時計方向に回転駆動されて、前輪1及び後輪2が後進状態で駆動されると(歩行型草刈機が
図4の紙面右方向に移動すると)、出力軸17及び出力ギヤ38からの反力により、エンジン4、伝動ケース16及び刈刃5が、
図4の紙面時計方向に設定角度だけ揺動して停止する。これにより、刈刃5の進行方向側(後輪2側)が下がった状態となるのであり、刈刃5の進行方向側(後輪2側)により草刈りが行われる。
【0045】
[7]
次に、伝動ケース37の特徴について説明する。
図6に示すように、伝動ケース37の内部において、出力ギヤ38の前上側に伝動軸40、前伝動ギヤ41及びスプロケット44が備えられており、出力ギヤ38の後上側に伝動軸42、後伝動ギヤ43及びスプロケット45が備えられている。
【0046】
図6に示すように、前伝動チェーン48が前伝動ギヤ41及びスプロケット44から斜め前方下方に延出されて、前車軸46及びスプロケット47に接続された状態となっている。後伝動チェーン51が後伝動ギヤ43及びスプロケット45から斜め後方下方に延出されて、後車軸49及びスプロケット50に接続された状態となっている。
【0047】
これにより、
図6に示すように、伝動ケース37の下辺部37eが比較的高い位置に位置しており、伝動ケース37の下辺部37eにおける出力ギヤ38の前及び後の部分37fが上方に入り込んだ状態となっている。伝動ケース37の下辺部37eの部分37fの下側に横フレーム8が入り込んで、伝動ケース37の下辺部37eの部分37fが横フレーム8を跨ぐ状態となっており、伝動ケース37の下辺部37eにおける出力ギヤ38の部分が、横フレーム8の間に位置している。
【0048】
以上の構成により、
図6に示すように、伝動ケース37の出力ギヤ38側の位置を高いものにすることができ、側面視において伝動ケース37の下辺部37eが前輪1及び後輪2の間の上部を斜めに横切るような状態が小さなものとなっており、前輪1及び後輪2の間の空間が高さの余裕の比較的大きな空間となっている。
【0049】
図6及び
図8に示すように、伝動ケース37の内部において、出力ギヤ38に咬合する前伝動ギヤ41に対して、スプロケット44が伝動ケース16側に配置されており、出力ギヤ38に咬合する後伝動ギヤ43に対して、スプロケット45がスプロケット44と同様に伝動ケース16側に配置されている。
【0050】
これにより、図 及び図 に示すように、前及び後伝動ギヤ41,43が左右方向において同じ位置に配置されており、スプロケット44,45が左右方向において同じ位置に配置されている。同様に、前及び後車軸46,49において、スプロケット47,50が左右方向において同じ位置に配置されており、スプロケット44,45,47,50が左右方向において同じ位置に配置されている。前及び後伝動チェーン48,51が縦回し姿勢で巻回されている。
以上の構成により、伝動ケース37が横幅の狭い薄いものに構成されている。
【0051】
[8]
次に、機体フレーム3の組み立てについて説明する。
図9に示すように、伝動ケース37に前及び後車軸ケース10,11のブラケット10a,11aを連結して、前及び後車軸ケース10,11に前及び後車軸46,49を支持させて、伝動ケース37に伝動軸40,42、前及び後伝動ギヤ41,43、スプロケット44,45を支持させ、前及び後伝動チェーン48,51を巻回して、一つのユニットを構成しておく。
【0052】
図9に示すユニットを基準として、このユニットに各部を連結して、機体フレーム3を組み立てる。
この場合、伝動ケース37に対して前及び後車軸ケース10,11が片持ち状に連結された状態となるので、
図9及び
図10に示すように、前及び後車軸ケース10,11のブラケット10b,11bに組み付け治具54を連結しておくのであり、フレーム部材7を取り付ける際に(フレーム部材7の折り曲げ部7bと前及び後車軸ケース10,11のブラケット10b,11bとを連結する際に)、組み付け治具54を取り外す。
【0053】
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための形態]に代えて、
図11(a)(b)に示すように構成してもよい。
図11(a)(b)に示すように、伝動ケース37の内部において、出力ギヤ38の上側の左右方向の横軸芯P6周りに、1つの伝動軸55が回転自在に支持されて、伝動軸55に連結された伝動ギヤ56が出力ギヤ38に咬合している。伝動軸55の内側部分(伝動ケース16側)に、スプロケット44,45が連結されている。スプロケット44,47に亘って前伝動チェーン48が縦回し姿勢で巻回され、プロケット45,50に亘って後伝動チェーン51が縦回し姿勢で巻回されている。
【0054】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態]において、
図12に示すように、伝動ケース37のケース部分37aの前部又は後部に水抜き用の開口部37gを形成して、通常は伝動ケース37の開口部37gをボルト57により塞いでおくように構成してもよい。
【0055】
[発明の実施の第3別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態][発明の実施の第2別形態]において、伝動ケース16から出力軸17を左の横側部に延出して、機体フレーム3の左の横側部に伝動ケース37を備え、機体フレーム3の右の横側部に操縦ハンドル6を連結するように構成してもよい。
スプロケット44,45,47,50、前及び後伝動チェーン48,51に代えて、ベベルギヤ機構(図示せず)及び伝動軸(図示せず)により、前及び後伝動機構を構成してもよい。