【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるコンバインは、
運転部を覆うキャビンと、
前記運転部の下方に位置するエンジンルームに設けられたエンジンと、
前記キャビンの下方に位置して前記エンジンルームを覆う閉じ姿勢と、前記キャビンと分離した状態で機体横外側に位置して前記エンジンルームを開放する開き姿勢と、に亘って揺動可能なように支持されると共に、前記エンジンルームの機体横外側に位置して前記エンジンルームに外気を導入可能な給気ケースが設けられたエンジンボンネットと、
前記閉じ姿勢である前記エンジンボンネットと前記キャビンとを連結する連結機構と、が備えられ、
前記キャビンの側壁うち、前記エンジンボンネットが前記閉じ姿勢である状態において前記給気ケースの上側に隣接する側壁構成体が、前記エンジンボンネットと共に揺動するように構成され、
前記連結機構は、前記側壁構成体と、前記キャビンにおける前記側壁構成体以外のキャビン構成体とを連結する
よう構成され、
前記側壁構成体の上端部に、水平方向に延ばされ、前記キャビン構成体との合わせ面を構成する板状の第1合わせ面部が備えられ、
前記キャビン構成体のうち前記側壁構成体の直上に位置する部位の下端部に、水平方向に延ばされ、前記エンジンボンネットが前記閉じ姿勢のときに、前記第1合わせ面部と対向して、前記側壁構成体との合わせ面を構成する板状の第2合わせ面部が備えられ、
前記キャビン構成体のうち前記側壁構成体の直上に位置する部位の下端部に、下方に向けて延び、前記連結機構によって前記側壁構成体と連結される板状の連結部が備えられ、
前記エンジンボンネットが前記閉じ姿勢のとき、前記第1合わせ面部と前記第2合わせ面部との間に機体横幅方向に幅を有する隙間が形成されると共に、前記連結部が前記第1合わせ面部及び前記第2合わせ面部のキャビン室内側の側方を通過するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
本構成によると、エンジンボンネットや給気ケースに比して変形し難い側壁構成体に連結機構による保持力を作用させることによってエンジンボンネットを閉じ姿勢に保持するので、比較的強い走行振動や駆動振動が発生しても、側壁構成体に変形が発生し難く、エンジンボンネットのガタツキが生じ難い。また、連結部が剛性を備えるので、連結部にキャビンの支持をさせることができる。
【0009】
従って、本発明によると、エンジンボンネットのガタツキが発生し難いことにより、運転部を居住性が良い状態にでき、かつ、全体としてのキャビン支持構造を簡素にできる。
本発明によると、エンジンボンネットの揺動時におけるキャビン構成体と側壁構成体との干渉を隙間によって回避でき、エンジンボンネットの揺動操作をスムーズにできる。
【0010】
本発明において、前記キャビン構成体は、前記エンジンボンネットが前記閉じ姿勢である状態において前記側壁構成体の上側に隣接し、かつ、前記エンジンボンネットと共に揺動しない前記側壁の一部であると好適である。
【0011】
本発明によると、エンジンボンネットと共に揺動する側壁構成体として側壁の全体を採用するに比し、側壁構成体を小型にでき、エンジンボンネットの揺動操作を軽くできる。
【0012】
本発明において、前記側壁構成体に、前後方向に延びると共に機体横幅方向に幅を有し、
前記第1合わせ面部と、上下方向に延びると共に外部に面する縦壁部と、
前記第1合わせ面部と前記縦壁部とに亘って連結された被連結部材と、が備えられ、前記連結機構は、前記被連結部材と前記キャビン構成体とを連結すると好適である。
【0013】
本構成によると、エンジンボンネットを閉じ姿勢にした際、側壁構成体の移動方向での側壁構成体とキャビン構成体との少しの位置ずれが発生しても、位置ずれを合わせ面によってカバーでき、位置ずれによる隙間の発生を回避できる。
第1合わせ面部と縦壁部とが被連結部材による連結によって補強し合う。
【0014】
従って、本発明によると、側壁構成体とキャビン構成体との位置ずれによる隙間ができない状態でエンジンボンネットを閉じることができる。キャビン構成体を連結するための被連結部材を補強手段に活用した簡単な構造によって側壁構成体の強度アップをできる。
【0015】
本発明において、前記被連結部材は、箱状に形成されていると好適である。
【0016】
本発明によると、被連結部材の箱状によって被連結部材を軽量化しながら、被連結部材に優れた強度を備えさせ、被連結部材による補強を効果的に行わせられる。
【0017】
【0018】
【0019】
本発明において、前記エンジンボンネットが前記閉じ姿勢である状態において前記給気ケースの上側に隣接するキャビン支柱が、前記エンジンボンネットと共に揺動しない上側の上支柱と、前記エンジンボンネットと共に揺動する下側の下支柱とに分割可能であると好適である。
【0020】
本発明によると、エンジンルームのメンテナンス作業を行なう際、エンジンボンネットを開き姿勢にしてエンジンルームを開放すると、下支柱がエンジンボンネットと共に揺動して機体横外側に位置し、下支柱が障害にならなくてメンテナンス作業を行ない易い。
【0021】
本発明において、前記上支柱は、前記キャビン構成体に連結され、かつ、前記下支柱は、前記側壁構成体に連結されていると好適である。
【0022】
本発明によると、上支柱とキャビン構成体とが連結によって補強し合うので、それらの強度を向上でき、支柱と側壁構成体とが連結によって補強し合うので、それらの強度を向上できる。
【0023】
本発明において、前記連結機構は、前記上支柱に連結された連結部材と、前記側壁構成体とを連結すると好適である。
【0024】
本発明によると、上支柱に連結されてキャビン構成体に強固に支持される連結部材に連結機構が作用するので、キャビン構成体と側壁構成との連結機構による連結を強固にできる。
【0025】
本発明において、前記側壁構成体に、前後方向に延びると共に機体横幅方向に幅を有し、前記キャビン構成体との合わせ面を構成する
前記第1合わせ面部と、上下方向に延びると共に外部に面する縦壁部と、が備えられ、前記下支柱は、前記側壁構成体の前側に位置する状態で、
前記第1合わせ面部と前記縦壁部とに亘って連結されていると好適である。
【0026】
本発明によると、
第1合わせ面部が縦壁部に対するリブ作用を発揮するので、かつ、合わせ面部と縦壁部とが下支柱によって連結されて補強し合うので、全体として、側壁構成体に優れた強度を備えさせられる。
【0027】
本発明において、前記側壁構成体に、前後方向に延びると共に機体横幅方向に幅を有し、前記キャビン構成体との合わせ面を構成する
前記第1合わせ面部と、上下方向に延びると共に外部に面する縦壁部と、が備えられ、前記下支柱は、前記側壁構成体の前側に位置する状態で、
前記第1合わせ面部と前記縦壁部とに亘って連結されていると好適である。
【0028】
本発明によると、
第1合わせ面部と縦壁部とが被連結部材によって連結されて補強し合うので、かつ、下支柱と縦壁部との連結強度及び下支柱と
第1合わせ面部との連結強度が被連結部材によって向上されるので、側壁構成体に優れた強度を備えさせ、側壁構成体とキャビン構成体との連結機構による連結を強固にできる。
【0029】
本発明において、前記エンジンボンネットが前記閉じ姿勢である状態において前記給気ケースの前側に位置して前記運転部の乗降口を開閉するドアが、前側を支点として前記キャビンに揺動自在に支持され、前記キャビン支柱が、前記ドアの遊端側の戸当たりとなっていると好適である。
【0030】
本発明によると、側壁構成体とキャビン構成体とが連結機構によって連結されることによって下支柱と上支柱とが強固に連結され、これによって優れた強度を備えた状態にあるキャビン支柱が戸当たりになってドアに受け止め作用するので、ドアを振動し難いように安定的に支持させることができる。
【0031】
本発明において、前記キャビン支柱の戸当たり部に、シール材が設けられ、
前記シール材は、前記上支柱に取付けられた上シール部材と、前記下支柱に取付けられた下シール部材とに分割可能であると好適である。
【0032】
本発明によると、ドアを閉じると、上支柱とドアの間は上シール部材によってシールされ、下支柱とドアの間は下シール部材によってシールされ、運転部の居住環境を良好な状態に維持できる。
【0033】
本発明において、前記キャビン支柱の前方において、前記給気ケースの上端に、シール材が取り付けられて前記ドアの戸当たりとなるシール受け材が設けられ、前記下支柱と前記シール受け材とに亘ってシール材が取り付けられていると好適である。
【0034】
本発明によると、ドアを閉じると、キャビン支柱の前方においても、ドアと、ドア当たりとしてのシール受け材との間がシール材によってシールされ、運転部の居住環境をより良好な状態に維持できる。また、下支柱とシール受け材との間に隙間がある場合でも、シール材が下支柱とシール受け材とに亘っているので、シールを効果的にできる。
【0035】
本発明において、前記下支柱の下端と、前記シール受け材とが連結されていると好適である。
【0036】
本発明によると、下支柱とシール受け材とが連結されて補強し合うので、下支柱及びシール受け材によるドア受けを強固に行わせ、下支柱とのドアとの間のシール、及びシール受け材とドアとの間のシールを効果的にできる。
【0037】
本発明において、前記キャビン構成体及び前記上支柱に、前記ドアを閉状態に維持するロック機構が支持されていると好適である。
【0038】
本発明によると、エンジンボンネットと共に揺動しないキャビン構成体及び上支柱にロック機構が支持されるので、エンジンボンネットと共に揺動する側壁構成体や支柱に支持されるのに比べ、ロック機構とドアとの位置ずれに起因するドアのロック不良が生じにくい。
【0039】
本発明において、前記上支柱と前記運転部の後壁とを連結する前後向きの補強材が備えられていると好適である。
【0040】
本発明によると、上支柱と後壁とが補強材による連結によって補強し合い、キャビン構成体の強度を向上できる。
【0041】
【0042】
【0043】
本発明において、前記キャビン構成体及び前記側壁構成体の何れか一方に、または、その両方に亘って、前記隙間を塞ぐことが可能な遮蔽部材が備えられていると好適である。
【0044】
本発明によると、空調空気が隙間から漏れ出るなど、隙間によるトラブルの発生を回避できる。
本発明において、運転座席が、前向きの着座用姿勢と後向きの揺動用姿勢とに回転可能に前記エンジンボンネットに支持され、前記運転座席を前記着座用姿勢にしたとき、前記運転座席は、機体側面視で前記キャビン構成体と重複し、前記運転座席を前記揺動用姿勢にしたとき、前記運転座席は、前記キャビン構成体と重複せず、前記エンジンボンネットと共に揺動して前記運転部の乗降口を通過可能となると好適である。