(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
底面が回路基板に接する箱状のハウジングと、このハウジングの後面で保持され、先端の半田実装部に連なる連結部が延在途中で角度を変えて前記回路基板に向かって延びるコンタクトと、前記ハウジングの後面に前記連結部の一部を収容し前記コンタクトを整列させる整列板とを備えた表面実装コネクタであって、
前記整列板が前記後面に沿って上下方向にスライド可能な状態があり、
このスライド過程で前記連結部を保持する正規圧入位置と、
前記コンタクトが正規フォーミング姿勢に曲げられた状態で前記連結部の
受け入れを許容する待機位置とを備え、
前記整列板が前記待機位置から前記正規圧入位置までスライドされて前記コンタクトが整列されるところに特徴を有する表面実装コネクタ。
前記整列板は前記ハウジングに一体的に備わり、解除操作によって、前記ハウジング後面に沿ってスライド自在になるところに特徴を有する請求項1から3のうち一項記載の表面実装コネクタ。
前記整列板は前記ハウジングにつながる連結部を介して一体的に成形され、前記連結部の離切操作で前記ハウジング後面に沿ってスライド自在になるところに特徴を有する請求項1から3のうち一項記載の表面実装コネクタ。
前記連結部は前記整列板の幅方向の端部に備わり、前記連結部の離切後の端部には、固定部が表れ、前記ハウジングには前記固定部を前記ハウジングの後面に沿って上下方向にスライド自在にガイドするための溝を有する支持部が備わるところに特徴を有する請求項5記載の表面実装コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、熱的影響が制限された整列板(上記でいう位置決め溝を含むもの)によって、コンタクトの位置振れを規制することができる表面実装コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る表面実装コネクタは、(1)底面が回路基板に接する箱状のハウジングと、このハウジングの後面で保持され、先端の半田実装部に連なる連結部が延在途中で角度を変えて前記回路基板に向かって延びるコンタクトと、前記ハウジングの後面に前記連結部の一部を収容し前記コンタクトを整列させる整列板とを備えた表面実装コネクタであって、前記整列板が前記後面に沿って上下方向にスライド可能な状態があり、このスライド過程で前記連結部を保持する正規圧入位置と、前記コンタクトが正規フォーミング姿勢に曲げられた状態で前記連結部の受け入れを許容する待機位置とを備え、前記整列板が前記待機位置から前記正規圧入位置までスライドされて前記コンタクトが整列されるところに特徴を有するものである。
【0007】
この発明によれば、整列板はハウジングの後面に沿ってスライド可能である。これにより、ハウジング後面と、整列板のハウジング後面に対応する面との間には、少なくともスライドを許容するだけの隙間が確保されている。その結果、たとえば半田実装時に受ける熱的影響は、ハウジングを反らせ、捻れさたりすることがあったとしても、直接ハウジングの変形が整列板に及ぶことにはならない。これにより、コンタクトの位置振れを規制することができる表面実装コネクタが得られる。
【0008】
さらに好ましくは、本発明に係る表面実装コネクタは、(2)前記連結部は幅方向に張
出部を有する圧入部を備え、前記整列板は前記圧入部の受け入れを許容する収容前室と、この収容前室に連なる、前記圧入部が圧入される収容後室とを有する収容室を備え、前記待機位置で前記圧入部は前記収容前室にあり、前記正規圧入位置で前記圧入部は前記収容後室にあるところに特徴を有する(1)記載のものである。
【0009】
この発明によれば、整列板は収容室を備え、正規フォーミング姿勢に曲げられたコンタクトの連結部を収容し、この収容した状態で収容前室から収容後室までスライドする。これにより、コンタクトは、収容室でガイドされた状態で整列板が移動するので、整列板のスライド動作によって、コンタクトの前後、左右の位置振れが規制され、最終の圧入によって、上下方向の位置振れが抑制される。
【0010】
さらに好ましくは、本発明に係る表面実装コネクタは、(3)前記収容後室には前記圧入部が圧入される溝が備わるところに特徴を有する(2)記載のものである。
【0011】
この発明によれば、収容後室には圧入用の溝が備わる。これにより、待機位置から正規圧入位置までスライド操作された整列板は、正規圧入位置で、溝に連結部の圧入部を受け入れることができる。その結果、コンタクトの位置振れを規制することができる表面実装コネクタが得られる。
【0012】
さらに好ましくは、本発明に係る表面実装コネクタは、(4)前記整列板は前記ハウジングに一体的に備わり、解除操作によって、前記ハウジング後面に沿ってスライド自在になるところに特徴を有する(1)から(3)のうち一項記載のものである。
【0013】
この発明によれば、整列板はハウジングに一体的に備わり、解除操作を経てスライド可能状態になる。一体的とは、整列板がハウジングとは別体で成形され、あとからハウジングに組み付けられて一体的になる場合を含み、また、成形時既に一体的に形成されている場合をも含む。
【0014】
さらに好ましくは、本発明に係る表面実装コネクタは、(5)前記整列板は前記ハウジングにつながる連結部を介して一体的に成形され、前記連結部の離切操作で前記ハウジング後面に沿ってスライド自在になるところに特徴を有する(1)から(3)のうち一項記載のものである。
【0015】
この発明によれば、整列板はハウジングと一体的に成形されるので、別体で成形され、後から組み付けられる場合に比べると、加工性や組み付け性のよい表面実装コネクタが得られる。
【0016】
さらに好ましくは、本発明に係る表面実装コネクタは、(6)前記連結部は前記整列板の幅方向の端部に備わり、前記連結部の離切後の端部には、固定部が表れ、前記ハウジングには前記固定部を前記ハウジングの後面に沿って上下方向にスライド自在にガイドするための溝を有する支持部が備わるところに特徴を有する(5)記載のものである。
【0017】
この発明によれば、連結部は幅方向の端部でハウジングの支持部に係合し、ハウジングの側面に沿った上下方向のスライド自由性を確保している。これにより、整列板のスライド操作は、ハウジングに対する平行姿勢を維持した状態で、安定して行なえるとともに、ハウジングの熱的影響を受けにくい整列板を備えた表面実装コネクタが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〈表面実装コネクタ〉 表面実装コネクタ1について図面にしたがって説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る表面実装コネクタの外観斜視図である。
図2は、同表面実装コネクタの分解斜視図である。なお、説明中示される方向は、図面内で定義される方向指示に従う。
【0020】
表面実装コネクタ1は、
図1、
図2に示されるように、非導電性のハウジング2と、導電性のコンタクト3とを備える。ハウジング2は、底面2cが回路基板PBに接する箱状で、前面2bに内部の収容室27に連なる開口部28と、後面2aにコンタクト3を保持するためのコンタクト孔23が2段にわたって複数列形成されている。コンタクト3は、対応する図示しないコネクタのコンタクトに接触するための接触部33が一方端部に備わり、他方端部には、回路基板PBのターミナルに接続するための接続部32が備わる。接続部32は、先端で90度外向きに曲げられ回路基板PBに対して平行に延び、この間で対応する図示しないターミナルに半田で固着される。
【0021】
表面実装コネクタ1は、
図1、
図2に示されるように、回路基板PBとの半田接続強度を補強するために、ハウジング2の左右側面2e、2fに補強金具4を備えている。表面実装コネクタ1は、コンタクト3の接続部32の位置振れを抑制するために、ハウジング2の後面2aから離間した位置に、上下方向にスライド可能な整列板20を備えている。
【0022】
〈コンタクト〉 コンタクト3について図面にしたがって説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る表面実装コネクタのコンタクトの正規フォーミング状態を示す外観斜視図であって、(A)は、上段のコンタクト、(B)は、下段のコンタクトである。
コンタクト3は、金属圧延材からプレス成形で型抜きされ、所定の曲げ加工を繰り返して、正規フォーミング姿勢が得られる。本実施形態の場合、コンタクト3は、ハウジング2へ圧入されたのち、所定の形状に曲げられる。
【0023】
上段のコンタクト3は、
図3の(A)に示されるように、対応する図示しないコネクタと電気的機械的に接触するための接触部33が端部に形成され、これから直線的に、固定部31、連結部34、及び接続部32と連なる。固定部31は、幅方向に張出部が形成され、ここでハウジング2のスリット状に開かれた圧入部25に圧入される。連結部34は
、上方で90度下向きに曲げられ、直線的に下方向に延びる。連結部34は、先端で接続部32に連なる。連結部34は下端近くに幅方向に張出部350が形成された圧入部35を備えている。圧入部35は、コンタクトの他の部分と同じ厚みで張出部350を備えている。連結部34は、下端で90度外向きに曲げられ接続部32につながる。接続部32は、回路基板PBのターミナルと半田固着されるところであって、回路基板PBに対して平行に延びている、
【0024】
下段のコンタクト3は、
図3の(B)に示されるように、上段側のコンタクト3と同じ構成を備えている。連結部34は、上段側のコンタクト3の連結部34に比べて延びが短く、先端で接続部32に連なる。連結部34は、下端近くに圧入部35を備えている。
【0025】
〈ハウジング〉 ハウジング2について図面にしたがって説明する。
図4は、本実施形態に係る表面実装コネクタのハウジングの外観斜視図である。
図5は、同表面実装コネクタの整列板を取り外した状態のハウジングの外観斜視図である。
図6は、同表面実装コネクタの整列板の外観斜視図であって、(A)は、表側、(B)は裏側である。
図7は、同表面実装コネクタの整列板の6面図であって、(A)は上面図、(B)は正面図、(C)は下面図、(D)は背面図、(E)は側面図、(F)は側面図である。
図8は、同表面実装コネクタの整列板の要部拡大図である。
図9は、
図8のIX−IX断面図である。
【0026】
ハウジング2は、
図4、
図5に示されるように、非導電性の合成樹脂からなる射出成形品で上面2d、底面2c、左右側面2e、2f、及び前後面2b、2aを備え、内部に中空の収容部27が形成された箱体であって、前面2bに内部の収容部27に連なる開口部28が形成されている。対応する図示しないコネクタは、開口部28から内部の収容部27に嵌合され、図示しない相手側コンタクトに電気的機械的に接続する。
【0027】
ハウジング2の底面2cは、回路基板PBに接する面で平坦であって、内側は内部の収容部27の底壁を形成する。ハウジング2の左右側面2e、2fは、
図4、
図5に示されるように、補強金具4を保持するための補強金具固定部26が備わる。補強金具固定部26は、対向する位置に一対備わり、内側には補強金具4の幅方向に張り出した圧入部4aが圧入される溝26aが形成されている。
【0028】
ハウジング2の前面2bには、
図2に示されるように、図示しない対応するコネクタが収容される内部の収容部27に連なる開口部28が備わる。開口部28は、前面2bの枠一杯に広がりその大きさのまま内部の収容部27に連なる。収容部27は、箱状の空間でハウジング2の上下面2d、2c、左右面2e、2f、及び後面2aで画成されている。
【0029】
ハウジング2は、後面2aに、
図4、
図5に示されるように、コンタクト3の固定部31を保持するためのコンタクト孔23が2段4列で配置されている。上段と下段とのコンタクト孔23は左右方向に間隔をずらして配置され、コンタクト3の先端の接続部32は、横一列に配置されている。本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、種々のコンタクト孔23の配置が許容される。
【0030】
ハウジング2の後面2aのコンタクト孔23が形成された周囲の壁は、前後方向に凹凸構造が見られるが、コンタクト孔234周囲の壁厚を確保すると共に、射出成形時のハウジング2のひけや、変形を抑制するためのものである。もちろん、本発明は、ハウジングの壁面構造を本実施形態の構造に限定を加えるものではない。
【0031】
ハウジング2は、後面2aに、
図4、
図5に示されるように、コンタクト3をフォーミングする際、曲げ位置を支持するための台22、260がコンタクト3ごとに、そのコンタクト孔23の下寄りに備わる。上段側のコンタクト3の台22は、
図4、
図5に示され
るように、ハウジング2の後面2aに直接備わり、下段側のコンタクト3の台260は、ハウジング2の後面2aの下方に位置する整列板20の上面に備わる。
【0032】
ハウジング2は、
図4、
図5に示されるように、後面2aの側端縁の略下半分に外向きに膨出する支持部21を備える。支持部21は、側面視多角形で、互いに平行に延びるように左右一対備わる。支持部21は、
図4、
図5に示されるように、対向する内面は、略平坦で下端に内向きに張り出す張出部29を備える。張出部29は、前後方向の中央部に上下方向に貫通した溝21aを備えている。
【0033】
支持部21は、
図4に示されるように、対向する間で整列板20を抱えている。整列板20は、
図4に示されるように、整列板20の両端部に備わる連結部250bで支持部21に連なる。整列板20は、連結部250bを通してハウジング2の一部として一体的に成形される。
【0034】
〈整列板〉 整列板20は、
図4に示されるように、前後方向の凹凸構造からなる収容室220が幅方向に連続するコンタクト3の先端を整列させるものである。整列は、左右方向、上下方向、及び前後方向について同時に調整される。整列板20は、本実施形態の場合ハウジング2の一部として一体的に射出成形で得られる。成形時、射出された樹脂は整列板20の両端に位置しハウジング2の支持部21に連なる連結部250bを通して整列板20本体に鋳込まれる。
【0035】
整列板20は、
図4に示されるように、コンタクト3が正規フォーミング姿勢に曲げられたとき待機位置にあり、収容室220でコンタクト3の厚み方向全体を収容する。整列板20は、コンタクト3が正規フォーミング姿勢に曲げられたとき、ハウジング2から切り離されてハウジング2から独立し、ハウジング2の後面2aの両端縁に備わる支持部21によって、スライド可能に支持される。整列板20は、コンタクト3が収容された状態で下方向にスライドされ、正規圧入位置でコンタクト3を圧入保持する。
【0036】
整列板20は、ハウジング2から切り離されているので、ハウジング2の熱的変形の影響を直接的には受けにくく、半田実装時にさらされる高温の環境下にあっても、ハウジング2の変形を抑制した状態で、コンタクト3の先端近くを正しい位置で整列させることができる。
【0037】
〈整列板 詳細〉 整列板20は、
図6、
図7に示されるように、凹形状の収容室220が左右方向に連続する本体210と、本体210の左右方向の両端部に形成される支持部250とを備えている。凹形状の収容室220は、表面だけでなく、裏面にも略同じ状態で備わる。これにより、熱的バランスが調整されるので、整列板20自体の反りや、変形が抑制されることとなる。
【0038】
本体210は、
図6、
図7に示されるように、左右方向一列にコンタクト3を収容するための収容室220を備えている。収容室220は、本体210に形成された凹形状であって、コンタクト3の厚みに応じた深みを備えている。収容室220は、正面視ホームベース形状の収容前室220aと、正面視矩形状の収容後室220bとからなり、両空間は連設されている。収容前室220a、収容後室220bともに、
図9に示されるように、前後方向の縦壁にコンタクト3、及びコンタクト3の圧入部35を受け入れ容易にするためのテーパーが形成されている。
【0039】
収容後室220bは、
図9に示されるように、対向する壁面に上下方向に延びる溝230が形成されている。溝230は、下方向から始まり収容後室220bの中ほどまで続く。待機位置にある整列板20の収容前室220aに収容されたコンタクト3の圧入部35
は、整列板20が正規圧入位置までスライドされる過程で、その張出部350全体が溝230に嵌り込む。整列板20が待機位置から正規圧入位置までスライドすることで、コンタクト3は圧入部35が収容前室220aから収容後室220bまで移動し、圧入部35は収容後室220bで溝230に圧入される。
【0040】
整列板20は、
図6に示されるように、本体210の左右端部に備わる支持部250でハウジング2の後面2aに備わる支持部21の切離部21bに繋がる。整列板20の支持部250は、ハウジング2の支持部21に先端が連なる連結部250bと、連結部250bの基端が据わる固定部250aとを備えている。固定部250aは、整列板20の本体210側面に備わり、連結部250bの切り離し後は、ハウジング2の支持部21の溝21aに沿うガイドポストとして機能する。
【0041】
連結部20は、
図6に示されるように、断面矩形の凸片で、容易にハウジング2の支持部21から切り離すことができる。切り離しは、刃物を用いた切り落とし方式で行なってもよく、あるいは、レーザー等熱を利用した溶断方式で行なってもよい。
固定部250aは、
図6に示されるように、連結部250bに比べて大きく、整列板20の本体210側面に比べて投影面積が小さい、断面矩形の凸片である。連結部250bがハウジング2の支持部21から切り離された後は、固定部250aは、整列板20の左右端部を構成し、ハウジング2の支持部21の溝21aにスライド自在に嵌り込むガイドポストとして機能する。
【0042】
整列板20の本体210上面には、
図6、
図7に示されるように、下段のコンタクト3をフォーミングするときに、曲げ位置を支持するための台260が左右方向に離間して4個備わる。台260は、コンタクト3のフォーミングカーブに倣う曲面で構成されている。
【0043】
収容後室220bの溝230は、
図9に示されるように、凹状で底壁と、側壁とを備える。底壁は、収容前室220aの縦壁に滑らかに連なるように形成されている。溝230を構成する側壁は、収容前室220aの開口部に、コンタクト3の圧入部35を誘い込むためのテーパーが形成されている。圧入は、収容後室220bの対向する縦壁に備わる溝230の底壁間の寸法と、コンタクト3の圧入部35の最大幅とのクリアランスを調整する方法で行なってよく、このとき、対向する二つの溝230の底壁間の寸法を圧入方向に沿って小さくなるように底壁に傾きを設けてもよい。また、溝230の圧入部35を挟持する厚みと、コンタクト3の圧入部35の厚みとを調整する方法で行なってもよく、さらには、これら両方の調整を併せて行なってもよい。
【0044】
〈組み付け〉 表面実装コネクタ1の組み付けについて、図面にしたがって説明する。
図10は、本発明の実施形態に係る表面実装コネクタの整列板の操作を示す工程図であって、(A)はコンタクトが正規フォーミング姿勢に曲げられ、整列板が待機位置にある状態、(B)は整列板の連結部が切り離された状態、(C)は整列板が正規圧入位置まで下げられてコンタクトを圧入する状態。
【0045】
表面実装コネクタ1の組付について、
図10に示されるように、3つの工程に分けて説明する。コンタクト3は、
図10の(A)に示されるように、ハウジング2の前面2bからコンタクト孔23に挿入され、コンタクト3の固定部31がハウジング2後面2aのコンタクト孔23の奥に備わるスリット状に開かれた圧入部25に圧入される。
【0046】
コンタクト3は、
図10の(B)に示されるように、接続部32につながる連結部34の先端側が略90度上向きに曲げられたあと、連結部34の基端側が略90度下向きに曲げられる。これにより、正規フォーミング姿勢が得られる。このとき、ハウジング2に備
わる台22は、上段のコンタクト3の曲げ位置を支持し、整列板20に備わる台260は、下段のコンタクト3の曲げ位置を支持する。コンタクト3の連結部34は、傾斜部260aに沿って90度より大きい角度で曲げられ、スプリングバックの働きで曲げ角略90度の位置に戻される。コンタクト3の連結部34は、整列板20の収容室220に収まり、連結部34の圧入部35は、待機位置にある整列板20の収容前室220aに収まる。この状態で、接触面のクリアランスの調製によって、コンタクト3は、整列板20によって緩やかに保持されている。コンタクト3を緩やかに保持した状態にある待機位置におかれた整列板20は、整列板20の連結部250bでハウジング2から切り離される。切り離しによっても、整列板20は、コンタクト3に保持された状態にある。
【0047】
整列板20は、収容前室220aにコンタクト3の圧入部35が収容された状態で、コンタクト3の側面に対して調整されたクリアランスをもって接触しているので、コンタクト3は、収容室220で緩やかに保持されている。これにより、整列板20がハウジング2から切り離された後においても、整列板20は、コンタクト3から離脱することはない。
【0048】
整列板20は、
図10の(C)に示されるように、待機位置から正規圧入位置まで押し下げられる。このとき、整列板20は、左右端部の固定部250aがハウジング2の支持部21の溝21aに係り、ハウジング2の支持部21で支持された状態で下方向にスライドする。このとき、ハウジング2に備わる台22、及び整列板20に備わる台260は、ともにコンタクト3が整列板20のスライドに引き摺られて移動することを抑制する。場合によっては、コンタクト3の先端の接続部32の下面を他の支持手段で支持することにより、重ねて抑制効果を確保してもよい。これにより、コンタクト3が整列板20のスライド動作に引き摺られて、下方向に移動することによるコンタクト3の位置振れが、抑制されることとなる。
【0049】
コンタクト3の圧入部35は、
図10の(C)に示されるように、整列板20が待機位置から正規嵌合位置まで移動することによって、収容前室220aから収容後室220bに移り、壁面に形成された溝230に圧入される。これにより、コンタクト3は、先端近くが整列された状態で整列板20に保持されるので、コンタクト3の先端にある接続部32の位置振れが調整された表面実装コネクタ1が得られる。コンタクト3の先端近くが整列板20に保持されるので、コンタクト3先端の振れ幅の抑制が効果的に作用する表面実装コネクタ1が得られる。
【0050】
整列板20は、
図10の(C)に示されるように、ハウジング2から離間した位置でスライドし、連結部250bで切り離されるので、ハウジング2から及ぼされる直接的な熱的影響が抑制される。また、整列板20は、表面側にコンタクト3が収容される収容室220が形成されているが、同じような凹部構造が裏面側にも左右方向に沿って形成されている。これにより、整列板20自体の表面側と裏面側との熱的バランスが確保されているので、整列板20は、高温環境下にさらされても反りや、変形が抑制されることとなる。
【0051】
〈回路基板への実装〉 表面実装コネクタ1の回路基板PBへの実装について図面にしたがって説明する。
図11は、本発明に実施形態に係る表面実装コネクタが回路基板に実装された状態を示す外観斜視図である。
表面実装コネクタ1は、
図11に示されるように、ハウジング2の後面2aから延出するコンタクト3の接続部32、及びハウジング2の左右側面2e、2fに備わる補強金具4によって回路基板PBに半田固着される。接続部32は回路基板PBにプリントされた図示しないターミナルに接続する。
【0052】
本実施形態の場合、左右方向一列状態で8個の接続部32が並び、その付け根部に連な
る連結部34の先端が整列板20の収容室220で保持されている。半田実装時の高温雰囲気にさらされたとき、ハウジング2は、熱的変形によって反りや、捻れが発生する場合があるが、本実施形態に係る表面実装コネクタ1は、コンタクト3が整列板20で整列配置された状態にあるとき、この整列板20は、ハウジング2から切り離されているので、ハウジング2の熱的影響が、この切り離しによって抑制されることとなる。また、整列板20自体も、表裏面同一構造がとられているので、重ねて、反りや、変形が抑制されることとなる。
【0053】
〈原理〉 表面実装コネクタ1のコンタクト3のコプラナリティをよくするために、ハウジング2の後面に整列板20を構成し、ハウジング2から回路基板PBに向かって延出するコンタクト3を、ここに整列させる技術は従来から知られている。しかし、この方法では、ハウジング2の高温環境下における変形がそのまま整列板20に現れ、この場合、反りや、捻れが生じた状態でコンタクト3が保持されることとなる。そのために、高温負荷前にコプラナリティが調整されたコンタクト3であっても、高温負荷後は、反りや、捻れが生じたコンタクト3が配設されたものとなる。
【0054】
本発明は、このようなハウジング2の熱的変形の影響を抑制することによって、半田実装時の高温環境下にさらされた状態でも、コンタクト3のコプラナリティが調整された状態が持続可能な整列板20を提供するものである。その原理は、高温環境下で熱的変形の影響を受けやすい比較的大きな構造を備えたハウジング2と、比較的小さな構造で熱的変形の影響を受けにくい整列板20とを完成品状態で分離し、コプラナリティが調整されたコンタクト3を保持する整列板20に対する、ハウジング2の熱的変形の影響を断ち切ることによって、調整されたコプラナリティの状態を維持するものである。特に、半田実装工程において回路基板PBのターミナルに接続するコンタクト3先端の接続部32の整列性は、高い精度が要求されるものなので、本実施形態に係る表面実装コネクタ1は、コンタクト3先端の接続部32の位置振れを小さくするために、整列板20が接続部32の近傍に組み付けられている。
【0055】
〈効果〉 本実施形態に係る表面実装コネクタ1は、次に挙げる効果を奏することができる。
(1)本実施形態に係る表面実装コネクタ1は、整列板20を備えているので、コンタクト3が整列された状態で保持することができ、特に、整列板20は、コンタクト3先端の接続部32近傍を保持するので、コプラナリティが調製された接続部32を備えた表面実装コネクタ1が得られる。
(2)本実施形態に係る表面実装コネクタ1は、完成品状態で、整列板20は、ハウジング2と切り離されているので、ハウジング2の熱的変形の影響を受けにくい整列板20が得られる。これにより、半田実装時の高温環境下にさらされた状態でも、コンタクト3のコプラナリティが調整された状態が持続可能な整列板20を備えた表面実装コネクタ1が得られる。
【0056】
(3)整列板20は、ハウジング2と一体的に成形され、コンタクト3が正規フォーミング姿勢にフォーミングされたときは、待機位置にあり、ハウジング2から切り離されてコンタクト3を保持する圧入位置まで、ハウジング2後面に沿ってスライドされるので、整列板20を別途成形し、組み付ける等の工数増加を招かない表面実装コネクタ1が得られる。
(4)整列板20は、コンタクト3を収容する表面側の構造と、略同一構造をコンタクト3が収容されることのない裏面側にも備えている。このように、整列板20は、表裏面で熱的バランスが考慮されているので、高温環境下にさらされても反り等の変形の生じることが抑制された整列板20を備えた表面実装コネクタ1が得られる。
【0057】
(5)整列板20は、ハウジング2に沿ったスライド操作で正規フォーミング姿勢にあるコンタクト3の圧入部35を収容後室220bにある溝230に嵌め込むことができるので、専用の治具を備えることなく、簡易にコンタクト3を保持することができる整列板20を備えた表面実装コネクタ1が得られる。
(6)整列板20の収容前室220aは、正規フォーミング姿勢に曲げられているコンタクト3の圧入部35を受け入れるための開口部を備えるとともに、この開口部には、受け入れを誘うためのテーパーが備わる。これにより、コンタクト3の正規フォーミング姿勢への曲げ加工がスムーズに行なうことができる整列板20を備えた表面実装コネクタ1が得られる。
【0058】
(7)ハウジング2のコンタクト孔23の下方近縁に、コンタクト3の曲げ加工時の曲げ位置を支持するための台22、260が備わる。これにより、コンタクト3の曲げ位置の精度が調整されたコンタクト3を備えた表面実装コネクタ1が得られる。
(8)ハウジング2のコンタクト孔23の下方近縁に備わるコンタクト3の曲げ加工時の曲げ位置を支持する台22、260には、傾斜部22a、260aが備わる。これにより、スプリングバックの効果を考慮して、コンタクト3を90度よりもやや大きめの角度まで曲げることができるので、コンタクト3を正規フォーミング姿勢に整えることができる表面実装コネクタ1が得られる。
【0059】
(9)ハウジング3の左右側面2e、2fには、回路基板PBとの半田実装接続強度を補強するための補強金具4が備わるので、半田実装強度が強化された表面実装コネクタ1が得られる。
(10)コンタクト3を保持する整列板20と、コンタクト3との圧入機構は、コンタクト3には、プレス成形で成形可能な張出部350を備えた圧入部35と、整列板20には圧入部35を迎え入れる断面凹状の溝230が備わる収容室220とから構成される。このように、加工容易な構成からなる圧入機構を備えた表面実装コネクタ1が得られる。
【0060】
(11)整列板20を待機位置から正規圧入位置までスライド操作するとき、コンタクト3の下面は台22、260の上面で支持されるので、コンタクト3が整列板20の収容室220に引掛かり下方向に引き摺られる結果、コンタクト3先端の接続部23の位置振れが生じない表面実装コネクタ1が得られる。
【0061】
〈改変等〉
本発明の技術的範囲は、本実施形態に表される構成、配置、材料、及び手段等に限定して解釈されるものではない。本実施形態は、本発明の技術的範囲に含まれる実施形態の一例に過ぎない。本発明の技術的思想の範囲以内で、本実施形態以外の構成、位置、形状をとることは許容される。
整列板20は、本実施形態では、ハウジング2と一体的に成形されるものであるが、これに限定されるものではない。たとえば、ハウジング2と別体で成形され、のちにハウジング2に組み付けられるものであってもよく、組み付け手段も限定されるものではない。たとえば、ハウジング2との間で凹凸構造からなる係合手段を備えるものであってもよく、鉤爪構造による係合であってもよい。また、係合手段がなく整列板20がハウジングの後面に載置される方式であってもよい。
このような改変を加えても概ね上記効果が奏される。