特許第6238829号(P6238829)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238829
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】スポイラー及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 37/02 20060101AFI20171120BHJP
   B29C 65/06 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   B62D37/02 C
   B29C65/06
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-86150(P2014-86150)
(22)【出願日】2014年4月18日
(65)【公開番号】特開2015-205551(P2015-205551A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2017年1月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100101627
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 宜延
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 建介
【審査官】 梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−012471(JP,A)
【文献】 特開2001−260230(JP,A)
【文献】 特開2011−131665(JP,A)
【文献】 特開2012−061897(JP,A)
【文献】 特開2010−208058(JP,A)
【文献】 特開2010−064671(JP,A)
【文献】 特開2007−261043(JP,A)
【文献】 特開2004−090697(JP,A)
【文献】 特開2007−137030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 37/02
B29C 65/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の第一部材(1)と合成樹脂製の第二部材(2)とを振動溶着で一体化するスポイラーの製造方法において、
前記第二部材(2)の裏面(2b)に凸部(21)を設ける一方、前記第一部材(1)には該凸部(21)に対向する部位に開口窓(10)を設けて、下治具(6)の支持面(61)に溶着面(1b)側が上向きになる該第一部材(1)をセットすると共に、該溶着面(1b)に裏面(2b)が対向するように前記第二部材(2)を載置して、該凸部(21)が開口窓(10)を介して該第一部材(1)の下面(1a)側に露出するようにし、次に、下治具(6)に備える位置決め装置(7)に設けた係合部(75)を前記開口窓(10)に臨む前記凸部(21)に係合させて、第二部材(2)の振動方向の位置決めをし、その後、下治具(6)を上昇させるか又は上治具を下降させて上下治具(6,8)を閉じて、第一部材(1)と第二部材(2)とを圧接状態にし、続いて、前記凸部(21)への係合部(75)の係合を解除した後、振動溶着を行うことを特徴とするスポイラーの製造方法。
【請求項2】
前記係合部(75)を、対向する両板片部(751)が振動溶着の振動方向に離間状態で突出して前記凸部(21)の両側外壁面(21a,21a)を挟着できる把持部(75a)とし、且つ前記両板片部(751)に係る内板面(752)の縦断面形状を先端に向け側面視逆ハの字状に広がるようにした請求項1記載のスポイラーの製造方法。
【請求項3】
前記第二部材(2)に、錐台状の櫓体(25)をその周りの裏面(2b)よりも隆起させて一体成形し、且つ該櫓体(25)の天面(252)に透孔(252c)を貫通形成する一方、前記第一部材(1)には、天板(155)に通孔(152c)が形成された覆体(15)を一体成形して、該第二部材(2)との位置合わせ,セットで、該覆体(15)が前記櫓体(25)を覆い、且つ前記透孔(252c)に該通孔(152c)が向き合い、該通孔(152c)及び前記透孔(252c)への締結部材(SW)の挿入により第一部材(1)と第二部材(2)とを締結できるようにし、さらに該櫓体(25)に係る錐面の対面両壁部(251a,251a)に対応する覆体(15)の両側板(151,151)部位に切欠開口(151c)を設け、該切欠開口(151c)を前記開口窓(10)にして、該櫓体(25)が前記凸部(21)にもなるようにした請求項1又は2に記載のスポイラーの製造方法。
【請求項4】
合成樹脂製の第一部材(1)と合成樹脂製の第二部材(2)とを具備して、双方が振動溶着で一体化されたスポイラーにおいて、
前記第二部材(2)の裏面(2b)に凸部(21)が設けられる一方、前記第一部材(1)には該凸部(21)に対向する部位に開口窓(10)が設けられ、前記凸部(21)のうち、少なくとも振動溶着の振動方向と向かい合う側の両側外壁面(21a,21a)が、該開口窓(10)を介して該第一部材(1)の下面(1a)側に露出するように配されてなることを特徴とするスポイラー。
【請求項5】
前記凸部(21)の両側外壁面(21a,21a)が、該凸部(21)の前記第二部材裏面(2b)側から凸部先端(211)へ向けて間隔が狭まる側面視ハの字状に傾く斜面(212)を形成する請求項4記載のスポイラー。
【請求項6】
前記第二部材(2)に、錐台状の櫓体(25)がその周りの裏面(2b)よりも隆起して一体成形され、且つ該櫓体(25)の天面(252)に透孔(252c)が貫通形成される一方、前記第一部材(1)には、前記櫓体(25)を覆う覆体(15)が一体成形され、且つ前記透孔(252c)と向き合う位置に通孔(152c)が形成されて、該通孔(152c)及び前記透孔(252c)への締結部材(SW)の挿入により第一部材(1)と第二部材(2)とを締結し、さらに該櫓体(25)に係る錐面の対面両壁部(251a,251a)に対応する覆体(15)の両側板(151,151)部位に切欠開口(151c)が設けられて、該切欠開口(151c)を前記開口窓(10)にして、該櫓体(25)を前記凸部(21)とした請求項4又は5に記載のスポイラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車のスポイラーに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ワゴンタイプ,ワンボックスタイプ等の自動車のルーフエンドやリアウィンド上部には車幅方向に延びるスポイラーが取付けられる場合がある。この種のスポイラーは、以前のブロー成形タイプから板状第一部材と板状第二部材とを振動溶着で一体化するタイプものが多くなっている。ただ、第一部材と第二部材との位置決め,溶着一体化が結構難しく、その改良発明が種々提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−12471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、特許文献1の発明は、その段落0021に記載のごとく「係合爪44が係合孔26に嵌ると、…係合爪44の前面が係合孔26の前側開口縁に引っ掛かってインナー部材32の前方への移動が規制される。また、アウター係合部25およびインナー係合部41は、振動溶着に際して、左右方向でのアウター部材12とインナー部材32との相対的な移動を許容するように、振動溶着時の振幅以上の隙間をあけて第1板片18と突出片42とが左右方向に重なっている。」とあり、振幅の分は許容するほかなかった。これに続く文章のごとく「左右の突出片42,42の間隔は、左右の第1板片18,18の間隔よりも振幅以上大きくなるよう設定」するしかなかった。振動溶着の振動方向において、振幅分に余裕分を加えた隙間(図7のε1,ε2)は振動させるうえで必要不可欠であった。そのため、振動溶着治具の設計において、部材形状(特許文献1ではインナー部材とアウター部材)を反転させた上治具8と下治具6の合わせ精度を上げて、両部材の溶着位置合わせをするしかなかった。
しかし、振動溶着治具の下治具に二つの部材を重ね合わせてセットする際、実際に重ね合わさった二つの部材(第一部材と第二部材)が振幅方向に対し位置決めできないとなると、外周縁での両部材間の隙間(図10のε1,ε2)に、振幅の幅(例えば約1mm)でバラツキが生じることになる。振動方向にバラツキがあると、精度が要求される製品では不良になる問題があった。例えば、振動溶着リアスポイラーの設定振幅は1.0〜1.5mmほどであるが、製品として溶着後の第一部材,第二部材の合わせ位置が0.5mmも変われば、車両建て付けにおいて大きく影響を及ぼし問題となる。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するもので、溶着一体化された第一部材と第二部材との振動方向のバラツキをなくし、品質向上,歩留まり向上に貢献できるスポイラー及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、合成樹脂製の第一部材(1)と合成樹脂製の第二部材(2)とを振動溶着で一体化するスポイラーの製造方法において、前記第二部材(2)の裏面(2b)に凸部(21)を設ける一方、前記第一部材(1)には該凸部(21)に対向する部位に開口窓(10)を設けて、下治具(6)の支持面(61)に溶着面(1b)側が上向きになる該第一部材(1)をセットすると共に、該溶着面(1b)に裏面(2b)が対向するように前記第二部材(2)を載置して、該凸部(21)が開口窓(10)を介して該第一部材(1)の下面(1a)側に露出するようにし、次に、下治具(6)に備える位置決め装置(7)に設けた係合部(75)を前記開口窓(10)に臨む前記凸部(21)に係合させて、第二部材(2)の振動方向の位置決めをし、その後、下治具(6)を上昇させるか又は上治具を下降させて上下治具(6,8)を閉じて、第一部材(1)と第二部材(2)とを圧接状態にし、続いて、前記凸部(21)への係合部(75)の係合を解除した後、振動溶着を行うことを特徴とするスポイラーの製造方法にある。請求項2のスポイラーの製造方法は、請求項1で、係合部(75)を、対向する両板片部(751)が振動溶着の振動方向に離間状態で突出して前記凸部(21)の両側外壁面(21a,21a)を挟着できる把持部(75a)とし、且つ前記両板片部(751)に係る内板面(752)の縦断面形状を先端に向け側面視逆ハの字状に広がるようにしたことを特徴とする。請求項3のスポイラーの製造方法は、請求項1又は2で、前記第二部材(2)に、錐台状の櫓体(25)をその周りの裏面(2b)よりも隆起させて一体成形し、且つ該櫓体(25)の天面(252)に透孔(252c)を貫通形成する一方、前記第一部材(1)には、天板(155)に通孔(152c)が形成された覆体(15)を一体成形して、該第二部材(2)との位置合わせ,セットで、該覆体(15)が前記櫓体(25)を覆い、且つ前記透孔(252c)に該通孔(152c)が向き合い、該通孔(152c)及び前記透孔(252c)への締結部材(SW)の挿入により第一部材(1)と第二部材(2)とを締結できるようにし、さらに該櫓体(25)に係る錐面の対面両壁部(251a,251a)に対応する覆体(15)の両側板(151,151)部位に切欠開口(151c)を設け、該切欠開口(151c)を前記開口窓(10)にして、該櫓体(25)が前記凸部(21)にもなるようにしたことを特徴とする。
請求項4に記載の発明の要旨は、合成樹脂製の第一部材(1)と合成樹脂製の第二部材(2)とを具備して、双方が振動溶着で一体化されたスポイラーにおいて、
前記第二部材(2)の裏面(2b)に凸部(21)が設けられる一方、前記第一部材(1)には該凸部(21)に対向する部位に開口窓(10)が設けられ、前記凸部(21)のうち、少なくとも振動溶着の振動方向と向かい合う側の両側外壁面(21a,21a)が、該開口窓(10)を介して該第一部材(1)の下面(1a)側に露出するように配されてなることを特徴とするスポイラーにある。請求項5のスポイラーは、請求項4で、凸部(21)の両側外壁面(21a,21a)が、該凸部(21)の前記第二部材裏面(2b)側から凸部先端(211)へ向けて間隔が狭まる側面視ハの字状に傾く斜面(212)を形成することを特徴とする。請求項6のスポイラーは、請求項4又は5で、第二部材(2)に、錐台状の櫓体(25)がその周りの裏面(2b)よりも隆起して一体成形され、且つ該櫓体(25)の天面(252)に透孔(252c)が貫通形成される一方、前記第一部材(1)には、前記櫓体(25)を覆う覆体(15)が一体成形され、且つ前記透孔(252c)と向き合う位置に通孔(152c)が形成されて、該通孔(152c)及び前記透孔(252c)への締結部材(SW)の挿入により第一部材(1)と第二部材(2)とを締結し、さらに該櫓体(25)に係る錐面の対面両壁部(251a,251a)に対応する覆体(15)の両側板(151,151)部位に切欠開口(151c)が設けられて、該切欠開口(151c)を前記開口窓(10)にして、該櫓体(25)を前記凸部(21)としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のスポイラー及びその製造方法によれば、第一部材に開口窓を設け、第二部材に凸部を設けて、下治具側に備わる位置決め装置の係合部で凸部に係合させて、第二部材の振動方向の位置決めを行うことによって、これまで難しいとされてきた振動方向のバラツキをなくすことが可能であり、品質向上,歩留まり向上に優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1で、(イ)が下面側から見たスポイラーの概略斜視図、(ロ)が(イ)の要部斜視図である。
図2図1の分解斜視図である。
図3図1(ロ)に代わる他態様の要部斜視図である。
図4】下治具に第一部材をセットした車両前後方向での説明断面図である。
図5図4の第一部材に第二部材を載置した説明断面図である。
図6図5に対応する車幅方向での説明断面図である。
図7図6の凸部に係合部を係合させた説明断面図である。
図8図7の後、上下治具を閉じた説明断面図である。
図9図8の凸部への係合部を解除した説明断面図である。
図10図9の後に、振動溶着で第一部材に第二部材が一体化された説明断面図である。
図11図6,図7に代わる凸部,係合部周りの他態様の説明側面図である。
図12】実施形態2で、スポイラーの概略斜視図とその分解斜視図である。
図13図12の要部拡大斜視図である。
図14】実施形態1,2とは別態様のスポイラーの製造方法で、図11に代わる説明側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るスポイラー及びその製造方法について詳述する。
(1)実施形態1
図1図11は本発明に係るスポイラー及びその製造方法の一形態で、図1は(イ)が下面側から見たスポイラーの概略斜視図、(ロ)が(イ)の要部斜視図、図2図1の分解斜視図、図3図1(ロ)に代わる他態様図、図4は下治具に第一部材をセットした車両前後方向での説明断面図、図5図4の第一部材に第二部材を載置した説明断面図、図6図5に対応する車幅方向での説明断面図、図7図6の凸部に係合部を係合させた説明断面図、図8図7の後、上下治具を閉じた説明断面図、図9図8の凸部への係合部を解除した説明断面図、図10図9の後に、振動溶着で第一部材に第二部材が一体化された説明断面図、図11図6,図7に代わる凸部,係合部周りの他態様図である。尚、第一部材,第二部材は簡略図示し、溶着用の疣状突起kを強調して大きく描く。また図面を判り易くするため、図3を除き、断面を示すハッチングの図示を省く。
【0010】
(1a)スポイラー
スポイラーPは、合成樹脂製の板状第一部材1と合成樹脂製の板状第二部材2とを具備し、双方が振動溶着で一体化されたものである。自動車のルーフエンド近くのバックドアに、車幅方向に延びる翼状の本スポイラーPが取付けられる。
第一部材1と第二部材2には、アッパー部材2とロア部材1の組合せやアウター部材とインナー部材との組合せがあるが、ここでは第一部材1をロア部材とし、第二部材2をアッパー部材とする。ロア部材1とアッパー部材2とが振動溶着で一体化されるスポイラーPになっている。
【0011】
アッパー部材2は、熱可塑性樹脂製で、図1,2のごとく車両前後方向に対し紙面水平横方向の車幅方向の方が長いスポイラーPの上半部を形成する板状の射出成形品である。アッパー部材2は車両取付け状態で、上面が意匠面2aとなるほぼ平坦な主部2Aと、該主部2Aの両端から側面視L字状に屈曲して下方に延設されるサイド部2Bと、を備える。
アッパー部材2における振動溶着の箇所は、裏面2b側であり、振動溶着時にロア部材1の溶着用の疣状突起kと対向,当接する。本実施形態の振動溶着の振動方向(以下、単に「振動方向」ともいう。)は車幅方向とする。振動溶着で、振動方向の振動に伴う製品の寸法バラツキをなくすべく、アッパー部材2の裏面2bには位置決め専用の凸部21が設けられる。凸部21は、車両後方側の車幅中央に位置するハイマウントストップランプ収容部13内に配しており、スポイラー外観に問題が生じることはない。尚、符号131はハイマウントストップランプ収容部13の第一底板部分、符号132は第二底板部分、符号135は縦壁部分、符号136は端面部分を示す。
【0012】
前記凸部21は、アッパー部材2の成形時に一体成形される駒状体である。凸部21は円柱体や球状体でもよいが、角柱体や錐体等とし、凸部21の外壁面21aと溶着設備5の位置決め装置7に設けられた係合部75との面接触によって、係合を確実にするのがより好ましい。本実施形態は、図1,図2ごとくの一側壁面を開放口210にしたほぼ中空四角錐台のような凸部21とする。詳しくは、図3のような振動方向に面する両側外壁面21a,21aと、これに連接する主外壁面21b,21bと、で四角錐台の錐面を形成する。そして、両側外壁面21a,21aのうちの一つに前記開放口210が設けられる。符号21cは中空四角錐台の天面を示す。
アッパー部材2がロア部材1との振動溶着で一体化されたスポイラーPになると、凸部21のうち、少なくとも振動方向と向かい合う側の両側外壁面21a,21aが、ロア部材1の開口窓10を介してロア部材下面1a側に露出するように配される。
【0013】
ロア部材1は、熱可塑性樹脂製で、図1,図2のごとく紙面水平横方向の車幅方向が長いスポイラーPの下半部を形成する板状の射出成形品である。ロア部材1はアッパー部材2に係る主部2Aの裏面2b側に溶着一体化し、板状上面側が溶着面1bとなる。ロア部材1の成形時に、溶着面1b上に振動溶着用の疣状突起k(溶着用のリブを含む。)を一緒に隆起成形する。疣状突起kは図4図10のごとく分散させて複数設ける。図10の符号k1は溶着代を示す。車両にスポイラーPを取付けたとき、ロア部材1の下面1aが文字通りスポイラー下面になる。符号12は下面1a側に膨らむ隆起部を示す。
そして、ロア部材1には、アッパー部材2との組付け,セットで、前記凸部21に対向する部位に開口窓10が設けられる。スポイラーPが出来上がると、前記凸部21の両側外壁面21a,21aが、この開口窓10を介してロア部材1の下面1a側に露出する(図1,図3)。
ここでは、四角錐台状錐面に係る両側外壁面21a,21aが、凸部21のアッパー部材裏面2b側から凸部先端211へ向けて間隔が狭くなり、振動方向に対する側面視で、図11のようなハの字状に傾く両斜面212,212を形成する。次に述べるスポイラーの製造方法において、振動溶着の振動方向で、把持部75aを用いてロア部材1に対するアッパー部材2の位置決めの精度をより高められるからである(詳細後述)。
【0014】
(1b)スポイラーの製造方法
(1a)で述べたスポイラーPは、例えば次のような工程を経て製造される。
製造に先立ち、裏面2bに凸部21を設けたアッパー部材2と、該凸部21に対向する板状部位に開口窓10を設けたロア部材1とを準備する。尚、アッパー部材2,ロア部材1は、図2のごとく、図4,図5の車両前後方向長さに比べて図6図10の車幅方向の方が長いが、図6図10は、アッパー部材2,ロア部材1の要部を大きく描いて判り易くするため、車幅方向長さを実際よりも縮めて図示する。
また、ロア部材1の下面1aを反転した支持面61を有し、該支持面61にロア部材1をセットした際、開口窓10に位置決め装置7が臨む下治具6と、アッパー部材2の意匠面2aを反転した受面81を有する上治具8と、を具備する溶着設備5を用意する。下治具6は、開口窓10に対向する下方部位に位置決め装置7を備える。前記支持面61の上方で受面81が対向するように下治具6の上方に上治具8が配設される。下治具6を上昇させ (又は上治具8を下降させ)、ロア部材1,アッパー部材2を介在させて、上下治具6,8を閉じることができる。下治具6にロア部材1をセットし、該ロア部材1上にアッパー部材2を載置した状況下(図5,図6)、位置決め装置7は、ロッド72の上昇によりその先端に設けた係合部75を、開口窓10に臨む凸部21に係合させ、アッパー部材2の振動方向の位置決めができる。
【0015】
スポイラーの製造は、第一工程として、まず下治具6の支持面61に溶着面1b側を上向きにしたロア部材1をセットする(図4)。下治具6の支持面61に、ロア部材1が車両前後方向,車幅方向で位置決めセットされる。ハイマウントストップランプ収容部13内は図示のごとく支持面61から離れ、このとき、開口窓10の真下に、位置決め装置7の係合部75が位置する。尚、図4のロア部材1,アッパー部材2は、図2のIV-IV線矢視図の断面図を示す。
【0016】
続く第二工程で、ロア部材1上の溶着面1bに裏面2bが対向するようにアッパー部材2を載置する(図5,図6)。
アッパー部材2の車両前後方向に関しては、図5のごとくロア部材1の車両前後方向の端縁141にアッパー部材外周縁24の隆起部分241が近接又は当接することにより、位置決めがなされる。尚、ロア部材1へのアッパー部材2の車両前後方向の位置決めは、例えば特開2014-12471号公報のごとく、ロア部材(同公報ではアウター部材)に形成した位置決めリブによってアッパー部材(同公報ではインナー部材)の車両前後方向の移動を規制して、位置決めするなどしてもよい。
ロア部材1上にアッパー部材2が載置されると、溶着用疣状突起k上にアッパー部材2が載る図5,図6の姿態となるが、ロア部材1には四角錐台状凸部21に対向する部位に開口窓10が設けられていることから、凸部21が開口窓10を介してロア部材1の下面1a側に露出する。ロア部材1の開口窓10に下治具6の位置決め装置7が臨んでおり、凸部先端の天面21cが、位置決め装置7のロッド先端に設けた係合部75たる把持部75aと対向する。
【0017】
次いで、第三工程として、位置決め装置7のロッド72を上動させ、開口窓10に臨む凸部21に係合部75を係合させて、アッパー部材2の振動方向の位置決めをする(図7)。ロア部材1に載置されたアッパー部材2が振動溶着の振動方向に多少ズレていても(図6の鎖線)、係合部75を凸部21に係合させることにより、下治具6,ロア部材1に対しアッパー部材2を車幅方向に簡単且つ精度良く位置決めできる。振動溶着では、振動させる治具(ここでは上治具8)のスタート時点と終了時点での振動方向位置を同じ地点にできるので、スタート時点で、ロア部材1へのアッパー部材2の位置決めを精度良く決定すれば、終了時点でもスタート時点の位置決め精度がそのまま保たれる。振動溶着で振幅分振れても、その振幅が製品寸法に影響を及ぼさなくなる。凸部21,開口窓10を設け、下治具6に位置決め装置7が備わることで、アッパー部材2が振動方向にズレることがあっても、下治具6,ロア部材1に対し、アッパー部材2の直接的な振動方向の位置決めが可能になる。
【0018】
本実施形態は、係合部75を、対向する両板片部751が振動溶着の振動方向に離間状態で突出して凸部21の両側外壁面21a,21aを挟着できる把持部75aとする(図7)。振動溶着に先立ち、アッパー部材2の振動方向のセット位置に狂いがあるかどうかを問わず、両板片部751が凸部21の両側外壁面21a,21aを挟み込んで、アッパー部材2の振動方向の確実な位置決めをなす。
【0019】
ここで、図11のごとく両板片部751に係る内板面752の縦断面形状を先端に向け側面視逆ハの字状に徐々に広がるようにした把持部75aとすると、より好ましくなる。図11(イ)のようにアッパー部材2が、ロア部材1に対して振動方向(車幅方向)でズレていても、同図(ロ)のごとくロッド72の上動で、両板片部751が凸部21に当接し、該凸部21を紙面左方向へ移動させて、アッパー部材2を正規位置へ確実に移動修正できるからである(図11のハ)。さらに、凸部21の両側外壁面21a,21aに前記斜面212を形成すると、一層好ましくなる。図11(ロ)のごとくロッド72が上昇すると(白抜き矢印)、凸部斜面212が振動方向に対し側面視逆ハの字状の内板面752上を滑動して、黒矢印方向へより円滑に移動修正されるからである。アッパー部材2が正規位置に到達すると、凸部21の両側外壁面21a,21aに把持部75aの両板片部751が当接,嵌合して、位置決め装置7でアッパー部材2を位置決め保持できる効果もある。アッパー部材2に外力が不用意に加わっても、アッパー部材2の位置決めが保持され、位置ズレしない。
【0020】
その後、第四工程として、下治具6を上昇させて(又は上治具8を下降させて)、上下治具6,8を閉じ、第一部材1と第二部材2とを圧接状態にする(図8)。下治具6の上動で、下治具6にセットされたロア部材1上のアッパー部材2が上治具8に当たる。上下治具6,8が両部材1,2を圧接状態で挟んで閉じる。下治具6上に位置決めセットされたロア部材1に、アッパー部材2が振動方向にも位置決めセットされた状態で閉じる。ロア部材1とアッパー部材2との振動方向の位置が精確に合わさって保持される。
【0021】
続く第五工程で、ロッド72を下降させ、凸部21への係合部75の係合を解除する(図9)。しかる後、第六工程で、アッパー部材2と圧接状態で一体となった上治具8を、図10の振動溶着の振動方向に振動させる。図10で、ロア部材1の両端でアッパー部材2との隙間ε1,ε2が、振幅分に余裕分を加えた数値で確保されており、溶着振動方向には上治具8を規制して動きを止めるものはない。上治具8とアッパー部材2が圧接状態下にあって、互いにずれることなく溶着振動が行われる。アッパー部材2と一体となった上治具8側が振動して、ロア部材1に対しアッパー部材2が車幅方向(振動方向)に所定の振幅で相対振動する。と同時に、下治具6側が加圧し続けており、アッパー部材2,ロア部材1間で摩擦熱を発生させ、両部材1,2の圧接部分を溶かす。ロア部材1の疣状突起kの先端部分の溶着代k1を溶かして(図10)、アッパー部材2とロア部材1とを溶着結合する。振動溶着を終えると、上治具8が振動溶着のスタート地点に戻って止まる。振動溶着スタート時のロア部材1へのアッパー部材2の振動方向における図7の位置決めセット状態がそのまま保持された形で、両部材1,2が一体化した所望のスポイラーPが出来上がる。
【0022】
(2)実施形態2
図12,図13は別形態のスポイラーPで、図12図1,図2に対応するスポイラーの全体斜視図と分解斜視図、図13図12の要部拡大図である。尚、櫓体25,覆体15は図面を判り易くするため大きく描く。
【0023】
(2a)スポイラー
本実施形態は、第一部材1と第二部材2との振動溶着に加えて、螺子部材やリベット等の機械締結用締結部材SWで第一部材1と第二部材2とを補助締結できるようにしたスポイラーPである。アッパー部材2とロア部材1とを、溶着結合と共に機械締結する大型スポイラーになっている。実施形態1と同様、ここでも第一部材1をロア部材1、第二部材2をアッパー部材2とする。補助締結用の櫓体25がアッパー部材2に設けられ、該櫓体25を覆う補助締結用の覆体15がロア部材1に設けられる。
【0024】
詳しくは、アッパー部材2に、錐台状の櫓体25がその周りのアッパー部材裏面2bよりも隆起して図12のごとく一体成形され、且つ該櫓体25の天面252に透孔252cが貫通形成される。一方、ロア部材1には、櫓体25を覆う覆体15が一体成形され、且つ透孔252cと向き合う位置に通孔152cが形成される。そして、通孔152c及び透孔252cへ螺子部材やリベット等の締結部材SWを挿入することによって、ロア部材1とアッパー部材2とを機械締結できるようにしている。
【0025】
また、櫓体25の錐面のうち、振動方向と向かい合う対面両壁部251a,251aに対応する覆体15の両側板151,151部位に切欠開口151cを設ける。該切欠開口151cを開口窓10にして、櫓体25が凸部21にもなるようにしたスポイラーPとする。
櫓体25が凸部21になるよう、振動方向と向かい合う側の覆体15に係る両側板151に切欠開口151cが一対設けられる。切欠開口151cは、図13のごとく両側板151の大半を切欠き、さらに天板155の一部にまでその切欠が及ぶ。切欠開口151cの形成によって、櫓体25の対面両壁部251a,251aが凸部21の両側外壁面21a,21aにもなり、該切欠開口151cを介してロア部材1の下面1a側に両側外壁面21a,21aが露出する(図13)。櫓体25,覆体15を補助締結用にするにとどまらず、アッパー部材2の位置決め用としても利用したスポイラーPになっている。本実施形態は、さらにロア部材1に覆体15の側板151から天板155に及ぶ切欠開口151cを設けるに終わらず、覆体15に係る側板151の基端周囲のロア部材域1fをも切り欠く開口窓10とする。位置決め装置7の把持部75aで、櫓体25の対面両壁部251aを挟着し易くするためである。
他の構成は実施形態1と同様で、その説明を省く。実施形態1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0026】
(2b)スポイラーの製造方法
(2a)で述べたスポイラーPは例えば次のようにして造ることができる。
製造に先立ち、図12のアッパー部材2とロア部材1とを準備する。アッパー部材2は、錐台状の櫓体25をその周りのアッパー部材裏面2bよりも隆起させて一体成形し、且つ該櫓体25の天面252に透孔252cを貫通形成する。ロア部材1は、天面152に通孔152cが形成された覆体15を一体成形して、アッパー部材2との位置合わせ,セットで、覆体15が櫓体25を覆い、且つ透孔252cに通孔152cが向き合うようにする。そして、通孔152c及び透孔252cへ締結部材SWを挿着してロア部材1とアッパー部材2とを機械締結できるようする。さらに櫓体25に係る錐面のうち、振動方向と向かい合う側の対面両壁部251a,251aに対応する覆体15の両側板151,151部位に切欠開口151cを設ける。該切欠開口151cを開口窓10にして、櫓体25が凸部21にもなるようにする。
また、実施形態1で述べたような溶着設備5を用意する。
【0027】
スポイラーの製造方法は、アッパー部材2とロア部材1の形状が実施形態1のものと若干異なるだけで、実施形態1と基本的に同じである。
スポイラーの製造は、まず下治具6の支持面61に溶着面1b側を上向きにしたロア部材1をセットし(第一工程)、ロア部材1上の溶着面1bに裏面2bが対向するようにアッパー部材2を載置する(第二工程)。
【0028】
次いで、位置決め装置7のロッド72を上動させ、開口窓10を通って、係合部75を凸部21に係合させて、アッパー部材2の振動方向の位置決めをする(第三工程)。係合部75を凸部21に係合させることによって、下治具6を基準にしてアッパー部材2が振動方向に対し位置決めされる。この位置決めをした後、下治具6を上昇させて上下治具6,8を閉じ、ロア部材1とアッパー部材2とを圧接状態にする(第四工程)。続く第五工程で、ロッド72を下動させ、凸部21への係合部75の係合を解除する。
【0029】
しかる後、圧接状態によりアッパー部材2と一体となった上治具8を、図10の車幅方向に振動させ、ロア部材1に設けた疣状突起kの先端部分にあたる溶着代k1を溶かして、アッパー部材2とロア部材1とを振動溶着する(第六工程)。振動溶着を終えると、上治具8が振動溶着のスタート地点に戻って止まる。したがって、振動方向に関しては、振動溶着スタート時に位置決めセットした状態がそのまま維持される。この後、下治具6を下降させて、一体化したアッパー部材2とロア部材1を取り出し、通孔152c,透孔252cへ締結部材SWを挿着し、ロア部材1とアッパー部材2とを締結する。かくして、アッパー部材2とロア部材1とが溶着接合し、さらに締結部材SWで機械的に補助締結して、両部材1,2がより強固に一体化した所望のスポイラーPが出来上がる。
他の構成は実施形態1と同様で、その説明を省く。実施形態1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0030】
(3)効果
このように構成したスポイラー及びその製造方法によれば、下治具6上にセットされたロア部材1の開口窓10を介して、該ロア部材1上に載置したアッパー部材2の凸部21へ下治具6の位置決め装置7に係る係合部75を係合できるので、下治具6,ロア部材1に対し、アッパー部材2の振動方向の位置決めが精度良くできる。そして、この状態を保ったまま振動溶着し、且つ溶着振動機に取付けられた上治具8は振動溶着のスタート時と終了時の地点を同じにできるので、アッパー部材2とロア部材1との振動方向の位置ズレを少なくした製品を造ることができる。下治具6からアッパー部材裏面2bに設けた凸部21を係合部75で掴まえる機構で、且つ振動溶着の振動直前まで、凸部21を掴まえておくことで、ロア部材1,アッパー部材2の振動方向の位置ズレを最小限に抑えることができる。溶着一体化されたロア部材1とアッパー部材2との振動方向のバラツキをなくし、品質向上,歩留まり向上につながるスポイラーPを生産できる。
【0031】
振動溶着の振動方向において、振幅分に余裕分を加えた隙間(図7のε1,ε2)は振動させるうえで必要不可欠であり、従来、振動させる側の部材(ここではアッパー部材2)の固定側部材(ここではロア部材1)への位置決めが困難であった。特許文献1では、第1治具にセットしたアウター部材へインナー部材を重ねて、インナー部材を車両前後方向に位置決めをする一方、車幅方向(振動方向)に関しては第2治具の位置決め凸部64に頼っているため、アウター部材に対してインナー部材が振動方向に位置ずれしたまま、第1治具と第2治具とを閉じてしまい、振動方向における製品バラツキを生む虞があった。
一方、本発明は、車幅方向(振動方向)に対するロア部材1,アッパー部材2の位置決めを、凸部21と開口窓10を設けて下治具6だけで完結できるので、振動方向のバラツキをなくした品質的に優れるスポイラーPを提供できる。下治具6に位置決めセットされたロア部材1にアッパー部材2を載せ、凸部21に係合部75を係合させて、下治具6,ロア部材1に対しアッパー部材2の直接的な位置決めが可能であり、スポイラーPの品質向上に貢献できる。下治具6上で、ロア部材1,アッパー部材2が車両前後方向のみならず振動方向の車幅方向にも位置決めセットされる。このロア部材1,アッパー部材2を、該下治具6と上治具8とで圧接状態で閉じ、次に、上治具8と一緒にアッパー部材2を振動させるのであるが、両部材1,2の溶着を終えた後、振動前のスタート時の地点に戻れるので、振動方向のロア部材1,アッパー部材2の位置関係において、両部材1,2が位置決めセットされた初期状態で溶着一体化される。溶着に伴う振動方向の振幅に影響されず、歩留まり向上が期待できる良好なスポイラーPを生産できる。
【0032】
また、係合部75を、対向する両板片部751が振動溶着の振動方向に離間状態で突出して凸部21の両側外壁面21a,21aを挟着できる把持部75aとすると、該把持部75aで凸部21を挟んでアッパー部材2の振動方向の位置決めができるので、精度の高い位置決めが行い易くなる。把持部75aの両板片部751に係る内板面752の縦断面形状を、先端に向け側面視逆ハの字状に徐々に広がるようにすると、ロッド72を上動させ、内板面752を使って、凸部21をその正規位置へ移動修正し易くなる。さらに、凸部21の両側外壁面21a,21aが、該凸部21周りの裏面2b側から凸部先端211へ向けて間隔が狭くなる側面視ハの字状に傾く斜面212を形成すると、ロッド72の上動に伴い、図11(ロ)のごとくアッパー部材2の凸部斜面212が内板面752を滑りながらその正規位置へ円滑移動できる。
【0033】
加えて、実施形態2のごとく、アッパー部材2に透孔252cのある櫓体25を設け、且つロア部材1に櫓体25を覆う通孔152cのある覆体15を設け、通孔152c,透孔252cに締結部材SWを挿着してアッパー部材2,ロア部材1を締結できるようにし、さらに櫓体25の対面両壁部251a,251aに対応する覆体15の両側板151,151に切欠開口151cを設けると、該切欠開口151cを開口窓10にして、櫓体25を凸部21にもできる。アッパー部材2とロア部材1の振動溶着に、補助締結用の櫓体25,覆体15を設けることがあるが、覆体15に切欠開口151cを形成することによって、櫓体25にアッパー部材2の振動方向の位置決め用凸部21を担わせることができ、位置決め専用の凸部21を新たに要しない。櫓体25と覆体15が補助締結用と位置決め用の二役を果たし、極めて優れもののスポイラーPになる。
【0034】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。第一部材1,第二部材2,溶着設備5,螺子部材,スポイラーP等の形状,大きさ,個数,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。例えば、位置決め装置7のロッド72を上動させ、開口窓10を通ってロッド先端721に設けた係合部75を凸部21に係合させて、第二部材2の振動方向位置を位置決めするのに、図14のような構成を採ることもできる。第二部材裏面2bに二つの凸部21を離間して設け、両凸部21間にそれぞれの位置決め装置7を配設し、各ロッド72を上動させた後、外方へ移動させて、二つの凸部21に係合部75を内側から係合させて、第二部材2の振動方向の位置決めをすることもできる。
【符号の説明】
【0035】
1 第一部材(ロア部材)
1b 溶着面
151 側板
151c 切欠開口
152c 通孔
155 天板
2 第二部材(アッパー部材)
2b 裏面(溶着面)
21 凸部
21a 両側外壁面
25 櫓体
251a 対面両壁部
252 天面
252c 透孔
6 下治具
61 支持面
7 位置決め装置
72 ロッド
75 係合部
8 上治具
SW 締結部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14