(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238836
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】光ファイバスキャナ、照明装置および観察装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20171120BHJP
G02B 23/26 20060101ALI20171120BHJP
G02B 26/10 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
A61B1/00 524
G02B23/26 B
G02B26/10 109Z
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-111376(P2014-111376)
(22)【出願日】2014年5月29日
(65)【公開番号】特開2015-223425(P2015-223425A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2017年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 善朗
(72)【発明者】
【氏名】葛西 靖明
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 博士
(72)【発明者】
【氏名】横田 博一
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 和敏
【審査官】
磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−192825(JP,A)
【文献】
特開2013−180078(JP,A)
【文献】
特開2013−244045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00− 1/32
G02B 23/24−23/26
G02B 26/10−26/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光を導光する光ファイバと、
該光ファイバの長手軸方向の途中位置に配置され、屈曲振動によって光ファイバの射出端を長手軸に交差する方向に変位させる圧電素子と、
該圧電素子と前記光ファイバとの間において前記圧電素子に電気的に接合される配線部と、
前記圧電素子および前記光ファイバを収容する内孔を有する筒状の導電性の枠体と、
該枠体と前記圧電素子とを固定するとともに両者を電気的に導通させる保持部とを備える光ファイバスキャナ。
【請求項2】
前記光ファイバを貫通させる貫通孔を有する筒状の電気絶縁材料からなる振動伝達部材を備え、
前記光ファイバが前記振動伝達部材の外表面に前記圧電素子が接着されている請求項1に記載の光ファイバスキャナ。
【請求項3】
前記振動伝達部材の前記圧電素子の接着面に前記配線部と前記圧電素子との接合部を収容する凹部が設けられている請求項2に記載の光ファイバスキャナ。
【請求項4】
前記配線部が、前記光ファイバの表面に薄膜状に形成され、
前記圧電素子が前記配線部を挟んで前記光ファイバに接合されている請求項1に記載の光ファイバスキャナ。
【請求項5】
前記保持部が、前記枠体を径方向外方から内方に向けて押圧して変形させることにより形成されたカシメ部である請求項1から請求項4のいずれかに記載の光ファイバスキャナ。
【請求項6】
前記保持部が、前記枠体と前記圧電素子との隙間に充填された導電性の接着剤である請求項1から請求項4のいずれかに記載の光ファイバスキャナ。
【請求項7】
前記保持部が、前記圧電素子と前記光ファイバとの組立体を嵌合させる貫通孔と、前記枠体の前記内孔に嵌合する嵌合部とを備える請求項1から請求項4のいずれかに記載の光ファイバスキャナ。
【請求項8】
照明光を発生する光源と、
該光源からの照明光を走査させる請求項1から請求項7のいずれかに記載の光ファイバスキャナとを備える照明装置。
【請求項9】
請求項8に記載の照明装置と、
該照明装置からの照明光が被写体に照射されることにより、被写体から戻る戻り光を検出する光検出部とを備える観察装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバスキャナ、照明装置および観察装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光源からの光を導光する光ファイバの射出端を圧電素子の屈曲振動によって変位させることにより照明光を走査させる光ファイバスキャナが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この光ファイバスキャナは、光ファイバを貫通させる四角筒状の導電性のフェルールの4つの外面に平板状の圧電素子を固定し、フェルールを共通の接地電位として、光ファイバから見て径方向外方に位置する圧電素子の表面に固定したリード線から圧電素子を経由してフェルールに電流を流すことにより、圧電素子を駆動するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5452781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の光ファイバスキャナは、圧電素子の表面にリード線を固定するための半田等の接合部が配置され、特に小型の光ファイバスキャナの場合に、接合部の大きさはフェルールに対して比較的大きなスペースをとるため、周囲を取り囲む枠体が金属製である場合には、枠体と接合部との接触を回避しなければならいために、枠体の内径寸法を小さくすることができず、細径化を図ることが困難である。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、枠体を圧電素子に十分に近接させることを可能とし、細径化を図ることができる光ファイバスキャナ、照明装置および観察装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様は、照明光を導光する光ファイバと、該光ファイバの長手軸方向の途中位置に配置され、屈曲振動によって光ファイバの射出端を長手軸に交差する方向に変位させる圧電素子と、該圧電素子と前記光ファイバとの間において前記圧電素子に電気的に接合される配線部と、前記圧電素子および前記光ファイバを収容する内孔を有する筒状の導電性の枠体と、該枠体と前記圧電素子とを固定するとともに両者を電気的に導通させる保持部とを備える光ファイバスキャナを提供する。
【0007】
本態様によれば、配線部から供給された電流は、圧電素子の光ファイバ側から枠体側へと厚さ方向に流れ、枠体と圧電素子とを電気的に導通させている保持部を介して枠体へと流れる。これにより、電流の大きさおよび周期に応じた態様で保持部を振動の節として圧電素子を屈曲振動させ、光ファイバの射出端を長手軸に交差する方向に変位させることができる。この場合に、圧電素子の枠体側の表面と枠体の内面とは同電位となるので、仮に接触しても短絡は発生せず、十分に近接させることができる。すなわち、光ファイバの射出端に所望の振幅の変位を発生させるために必要な圧電素子の振動が許容される隙間まで枠体の内孔の内面を圧電素子に近接させることができ、十分な細径化を図ることができる。
【0008】
上記態様においては、前記光ファイバを貫通させる貫通孔を有する筒状の電気絶縁材料からなる振動伝達部材を備え、前記光ファイバが前記振動伝達部材の外表面に前記圧電素子が接着されていてもよい。
このようにすることで、圧電素子の屈曲振動が振動伝達部材を介して光ファイバに伝達され、光ファイバの射出端をより確実に変位させることができる。電気絶縁材料からなる振動伝達部材によって各圧電素子に接続する配線部を相互に絶縁することができる。
【0009】
また、上記態様においては、前記振動伝達部材の前記圧電素子の接着面に前記配線部と前記圧電素子との接合部を収容する凹部が設けられていてもよい。
このようにすることで、配線部を圧電素子に接合するための接合部が振動伝達部材に設けられた凹部に収容されるので、接合部の膨らみによって枠体の内孔の径寸法が制限されることを防止して、細径化を図ることができる。
【0010】
また、上記態様においては、前記配線部が、前記光ファイバの表面に薄膜状に形成され、前記圧電素子が前記配線部を挟んで前記光ファイバに接合されていてもよい。
このようにすることで、振動伝達部材を光ファイバの表面と圧電素子との間に介在させず、配線部も薄膜によって構成しているので、外形寸法を最小限に抑えて細径化を図ることができる。
【0011】
また、上記態様においては、前記保持部が、前記枠体を径方向外方から内方に向けて押圧して変形させることにより形成されたカシメ部であってもよい。
このようにすることで、光ファイバと圧電素子を含む組立体を枠体内に収容した状態で、枠体を外部から押圧して変形させたカシメ部を形成することにより、簡易に製造することができる。
【0012】
また、上記態様においては、前記保持部が、前記枠体と前記圧電素子との隙間に充填された導電性の接着剤であってもよい。
このようにすることで、光ファイバと圧電素子を含む組立体を枠体内に収容した状態で、枠体と圧電素子との隙間に導電性の接着剤を充填するだけで保持部を形成することができ、簡易に製造することができる。
【0013】
また、上記態様においては、前記保持部が、前記圧電素子と前記光ファイバとの組立体を嵌合させる貫通孔と、前記枠体の前記内孔に嵌合する嵌合部とを備えていてもよい。
このようにすることで、圧電素子と光ファイバとを含む組立体を保持部の貫通孔に貫通させ、嵌合部を枠体の内孔に嵌合させることにより、簡易に製造することができる。
【0014】
また、本発明の他の態様は、照明光を発生する光源と、該光源からの照明光を走査させる上記いずれかの光ファイバスキャナとを備える照明装置を提供する。
また、本発明の他の態様は、上記照明装置と、該照明装置からの照明光が被写体に照射されることにより、被写体から戻る戻り光を検出する光検出部とを備えていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、枠体を圧電素子に十分に近接させることを可能とし、細径化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る光ファイバスキャナを示す縦断面図である。
【
図2】
図1の光ファイバスキャナを基端側から見た横断面図である。
【
図3】
図1の光ファイバスキャナを構成するフェルールと圧電素子との関係を説明する斜視図である。
【
図4】
図1の光ファイバスキャナの第1の変形例を示す部分的な横断面図である。
【
図5】
図1の光ファイバスキャナの第2の変形例を示す横断面図である。
【
図6】
図1の光ファイバスキャナの第3の変形例を示す光ファイバの斜視図である。
【
図7】
図6の光ファイバを用いた光ファイバスキャナを示す横断面図である。
【
図8】
図1の光ファイバスキャナの第4の変形例を示す縦断面図である。
【
図9】
図1の光ファイバスキャナの第4の変形例を示す部分的な縦断面図である。
【
図10】
図9の光ファイバスキャナに用いられる保持部を示す斜視図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る照明装置を示す縦断面図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る観察装置を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係る光ファイバスキャナ1について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る光ファイバスキャナ1は、
図1に示されるように、照明光を導光する光ファイバ2と、該光ファイバ2を貫通させる貫通孔3aを有する四角柱状のフェルール(振動伝達部材)3と、該フェルール3の4つの外面にそれぞれ固定された4個の圧電素子4と、各圧電素子4に電力を供給するリード線5と、圧電素子4、フェルール3および光ファイバ2の組立体を収容する円筒状の枠体6と、該枠体6と組立体とを固定する保持部7とを備えている。
【0018】
光ファイバ2の一端には図示しない光源が接続され、他端は光源からの照明光を射出させる射出端2aを構成している。
圧電素子4は、平行な2枚の電極4a,4b間に圧電材料を挟んで構成されており、厚さ方向に沿う一方向に分極方向が設定されている。
【0019】
フェルール3は、電気絶縁性の弾性材料により構成されている。4個の圧電素子4は、フェルール3を挟んで対向する外面に配置される2個の圧電素子4が対となって同一の屈曲振動を発生させるように、分極方向を揃えて接着剤により固定されている。これにより2対の圧電素子4が、それぞれ相互に直交する方向の屈曲振動を発生させることができるようになっている。
【0020】
リード線5は、
図3に示されるように、圧電素子4のフェルール3に接着される側の電極4a,4bに導電性接着剤あるいは半田によって接合されている。図中、符号5aはリード線5の絶縁被覆である。また、符号8は、導電性接着剤の塊または半田のフィレットからなる接合部である。
【0021】
フェルール3の4つの外面には、圧電素子4が取り付けられる際に、リード線5の接合部8に対応する位置に、接合部8を収容可能な凹部9がそれぞれ設けられている。凹部9内には、
図1および
図2に示されるように、圧電素子4をフェルール3に接着するための接着剤10の一部が充填され、凹部9と接合部8との間の隙間を埋めている。
【0022】
円筒状の枠体6は導電性材料により構成されており、接地電位に設定されている。また、枠体6は、その長手方向の途中位置に、周方向に等間隔をあけて4カ所に、内孔6aから枠体6の外面まで径方向に貫通する貫通孔6bを備えている。
【0023】
保持部7は、フェルール3と圧電素子4との組立体が枠体6の内孔6a内に収容された状態で、枠体6の貫通孔6bから枠体6の内孔6aに注入した導電性接着剤11を硬化させることにより構成されている。これにより、保持部7は、枠体6に対して組立体を固定するとともに、圧電素子4の径方向外側の電極4a(4b)と枠体6とを電気的に導通させるようになっている。
また、保持部7は、
図1に示す例では、圧電素子4の長手方向の略中央において圧電素子4を枠体6に接合しており、この位置は、圧電素子4の屈曲振動の節となる位置となっている。
【0024】
このように構成された本実施形態に係る光ファイバスキャナ1の作用について説明する。
本実施形態に係る光ファイバスキャナ1を作動させるには、図示しない光源からの照明光を光ファイバ2に入射させ、光ファイバ2内を導光されてきた照明光を射出端2aから射出させる。
【0025】
そして、リード線5を介して圧電素子4の電極4a,4b間に振動的な電圧をかけることにより、電圧の振動の周期および振幅に応じて圧電素子4が屈曲振動させられる。
圧電素子4は、その屈曲振動の節において保持部7により枠体6に固定されているので、振動を阻害されることなく屈曲振動することができる。
【0026】
圧電素子4の屈曲振動は弾性体からなるフェルール3を介して貫通孔3a内部に支持されている光ファイバ2に伝達される。そして、光ファイバ2を屈曲振動させることによって、射出端2aを長手軸に交差する方向に変位させることができる。
【0027】
圧電素子4は、相互に直交する方向に屈曲振動するように2対設けられているので、異なる圧電素子4対に異なる振動パターンの電圧をかけ、振動の位相および振幅を調節することにより、光ファイバ2の射出端2aを所望の軌跡に従って変位させることができ、射出端2aから射出される照明光を、射出端2aの移動軌跡に従う軌跡に沿って走査させることができる。
【0028】
この場合において、本実施形態に係る光ファイバスキャナ1によれば、リード線5をフェルール3側の電極4a(4b)に接続し、枠体6を接地電位に設定しているので、リード線5の接合部8と枠体6との短絡を気にせずに済む。リード線5を圧電素子4に接合する接合部8は、フェルール3に設けた凹部9内に収容されているので、圧電素子4よりも径方向外方に物理的に突出する部分も存在させずに済む。
【0029】
したがって、枠体6の内孔6aの内径寸法を圧電素子4の屈曲振動を阻害しない程度まで小さくすることができる。圧電素子4の屈曲振動による変位はミクロンオーダーであるため、枠体6の内径および外径寸法を極限まで小さくして、細径化を図ることができる。
【0030】
また、本実施形態によれば、保持部7を圧電素子4の長手方向の途中位置に配置しているので、従来、圧電素子4やフェルール3をその長手方向の端部において支持していた場合と比較して、光ファイバスキャナ2の長手軸方向の寸法も短縮することができる。これにより、内視鏡の挿入部の先端に用いる場合には、関節よりも先端に配置される硬質部分の寸法を低減して、狭い体腔内においても動作範囲を広く確保することができる。
【0031】
なお、本実施形態においては、フェルール3の4つの面にそれぞれ圧電素子4を配置し、2対4個の圧電素子4によって2つの相互に交差する方向の屈曲振動を発生させることとしたが、これに代えて、
図4に示されるように、2個の圧電素子4のみをフェルール3の直交する2面に固定することにしてもよい。
【0032】
また、フェルール3としては四角筒状の形態の他、
図5に示されるように円筒状の形態を有するものを採用してもよい。この場合、接着剤10によってフェルール3と圧電素子4とを安定的に固定することができる。円柱状のフェルール3の方が精度よく加工することができる。
なお、この場合においても、2対4個の圧電素子4に代えて相互に直交する方向に屈曲振動する2個の圧電素子4を採用することにしてもよい。
【0033】
また、本実施形態においては、光ファイバ2と圧電素子4の間にフェルール3を配置したが、これに代えて、
図6および
図7に示されるように、光ファイバ2の外周面に直接圧電素子4を接着することにしてもよい。この場合には、配線部としてリード線5に代えて、
図6に示されるように、導電性材料からなる薄膜12を光ファイバ2の外表面に長手軸方向に延びる細長いパターンで周方向に間隔をあけて複数形成しておき、各薄膜12に対応する位置に、導電性接着剤からなる接合部9によって圧電素子4を接着することにすればよい。
【0034】
このようにすることで、フェルール3に必要なスペースを省略することができ、さらなる細径化を図ることができるという利点がある。
薄膜12としては、例えば、メッキ析出処理やスパッタリング法による薄膜形成、導電性接着剤の塗布等により形成することができる。薄膜12は、光ファイバ2のクラッド層外面にコーティングしてもよいし、光ファイバ2の保護層として通常用いられる樹脂コーティングの表面に形成してもよい。
【0035】
また、本実施形態においては、保持部7として、導電性接着剤11によって圧電素子4の電極4a(4b)と枠体6とを電気的に導通させかつ相互に機械的に固定することとしたが、これに代えて、
図8に示されるように、枠体6の一部を外側から径方向内方に押圧して、カシメ部6cを形成し、該カシメ部6cに対応する内孔6a内面を圧電素子4の電極4a(4b)に密着させて両者の電気的な導通と相互の機械的な固定とを一度に実現することにしてもよい。なお、圧電素子4は脆いので、電極4a,4b表面に図示しない導電性フィルムを貼付し、カシメる際に圧電素子4にかかる応力を分散させてもよい。
【0036】
また、保持部としては、
図9および
図10に示されるように、枠体6の内孔6a内面に嵌合する嵌合部13aと、圧電素子4および光ファイバ2を含む組立体を嵌合させる貫通孔13bとを有する保持部13を採用してもよい。これによっても、圧電素子4の長手方向の途中位置を枠体6に対して固定することができ、光ファイバスキャナ1の軸方向長さを短縮することができる。
【0037】
なお、本実施形態に係る光ファイバスキャナ1は、
図11に示されるように、枠体6の先端開口を閉塞する位置に光ファイバ2の射出端2aから射出された照明光を集光する集光レンズ14と、光ファイバ2に照明光を供給する光源15とを備える照明装置16に適用してもよい。
光源15からの照明光は光ファイバ2の射出端2aから射出されると集光レンズ14によって集光され、観察対象において形成されたスポット光を走査させることができる。
【0038】
また、本実施形態に係る光ファイバスキャナ1は、
図12に示されるように、さらに、枠体6の外周に周方向に複数配列された受光ファイバ17と、該受光ファイバ17によって受光された戻り光を検出する光検出部18とを備えた観察装置19に適用してもよい。
光ファイバスキャナ1によって走査されたスポット光の走査位置から戻る戻り光(反射光あるいは蛍光等)が受光ファイバ17によって受光され光検出器18によってその強度が検出される。これにより、照明光の走査位置と戻り光の強度とを対応づけて記憶することにより、観察対象の画像を取得することができる。
【0039】
本実施形態に係る照明装置16および観察装置19によれば、光ファイバスキャナ1が極めて細径に構成されるので、照明装置16および観察装置19としても極めて細径のものを構成することができ、血管等の細い臓器内にも容易に導入して、照明あるいは観察を行うことができる。
【符号の説明】
【0040】
1 光ファイバスキャナ
2 光ファイバ
2a 射出端
3 フェルール(振動伝達部材)
3a 貫通孔
4 圧電素子
5 リード線(配線部)
6 枠体
6a 内孔
6c カシメ部
7 保持部
8 接合部
9 凹部
11 導電性接着剤(接着剤)
12 薄膜(配線部)
13a 嵌合部
13b 貫通孔
15 光源
16 照明装置
18 光検出部
19 観察装置