(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記経験値算出部は、現在から前記予定日までの日数と、前記担当医療従事者の過去において一日あたりに実施した医療行為の平均数をもとに、現在から前記予定日までに実施すると予測される医療行為の数を算出することを特徴とする請求項1に記載の医療業務支援装置。
予約された医療行為の患者情報、予定日、予定開始時刻、担当医療従事者、及び前記所要時間推定部により推定された当該医療行為の所要時間を少なくとも含む当該医療行為のスケジュールを、スケジュール表に含めるスケジュール管理部を、をさらに備え、
前記経験値算出部は、所定のタイミングで、前記予約された医療行為の前記予定日における前記担当医療従事者の想定される経験値を再計算し、
前記所要時間推定部は、前記タイミングで、前記予約された医療行為の所要時間を再推定し、
前記スケジュール管理部は、前記所要時間推定部により再推定された所要時間が、前回推定された所要時間と異なる場合、前記予約された医療行為のスケジュールを変更することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の医療業務支援装置。
前記スケジュール管理部は、前記予約された医療行為のスケジュールを、変更に対する同意を示すユーザ操作を受け付けたことを条件として、変更することを特徴とする請求項7に記載の医療業務支援装置。
前記スケジュール管理部により前記予約された医療行為のスケジュールがユーザによる同意なしに変更された場合、当該医療行為のスケジュールの変更をユーザ端末装置に通知する通知部を、さらに備えることを特徴とする請求項7に記載の医療業務支援装置。
前記予約された医療行為の開始日時から所定の設定期間遡った日時から、当該医療行為の開始日時まで、前記医療行為のスケジュールの変更が禁止されることを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の医療業務支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係る医療業務支援システム1の構成を示す図である。医療業務支援システム1は内視鏡部門に設置され、内視鏡業務を支援するためのシステムである。医療業務支援システム1は、複数の内視鏡システム10a、10b(以下、特に区別しない場合には「内視鏡システム10」とよぶ)、医療業務支援装置30、複数の端末装置40a、40b(以下、特に区別しない場合には「端末装置40」とよぶ)を備え、それらはLANなどのネットワーク2によって相互接続される。
【0012】
医療業務支援システム1は医療施設内の別のシステムと連携が可能である。例えばネットワーク2に図示しないゲートウェイ装置が接続され、このゲートウェイ装置を介して医療業務支援システム1は、オーダリングシステム、電子カルテシステム、レセプトシステムなどと連携可能である。
【0013】
内視鏡システム10は内視鏡スコープ11、内視鏡処理装置12及び表示装置13を備える。内視鏡スコープ11は患者の体内に挿入され、医師が内視鏡スコープ11のレリーズスイッチを押したタイミングで体内を撮像する。内視鏡スコープ11は固体撮像素子(例えばCCDイメージセンサ、CMDイメージセンサまたはCMOSイメージセンサ)及び信号処理回路を備える。固体撮像素子は入射光を電気信号に変換し、信号処理回路は、固体撮像素子により光電変換された画像データに対して、A/D変換、ノイズ除去などの信号処理を施して、内視鏡処理装置12に出力する。
【0014】
内視鏡処理装置12は、内視鏡スコープ11により撮像された画像を取得する。内視鏡処理装置12は、取得した画像を表示装置13に出力して表示装置13に表示させる。撮像中の画像をリアルタイムに表示させることもできる。また内視鏡処理装置12は、内視鏡スコープ11から取得した画像を医療業務支援装置30に送信して、医療業務支援装置30内のデータベースにファイリングする。
【0015】
医療業務支援装置30は医療業務支援システム1全体を統括的に制御する。医療業務支援装置30は例えば、サーバで構成される。端末装置40は医師、看護師などの医療従事者が使用する端末装置であり、例えばPC、タブレット、PDAなどで構成される。タブレット、PDAなどの携帯端末装置が使用される場合、ネットワーク2に図示しないアクセスポイントが設置され、無線LANによりネットワーク2に接続される。
【0016】
医療業務支援装置30は、内視鏡システム10から送信されてきた内視鏡画像データを受け取り記憶部に蓄積する。また医療業務支援装置30はWebサーバとしての機能も有し、ネットワーク2に接続する端末装置40に、例えば検査結果の一覧画面などの情報を提供する。医師は端末装置40を操作して検査レポートの入力を行う。医療業務支援装置30は、端末装置40から送信されてきた検査レポートを受け取り記憶部に蓄積する。また医療業務支援装置30は内視鏡検査のスケジュールを管理する。
【0017】
図2は、
図1の医療業務支援装置30の内部構成を示す図である。医療業務支援装置30は通信部31、制御部32及び記憶部33を備える。制御部32は検査予約部320を含む。本実施の形態では内視鏡検査のスケジュール管理に注目するため、制御部32の機能ブロックは、内視鏡検査のスケジュール管理機能に関連する機能のみを描いている。検査予約部320は経験値蓄積部321、レベル変更部322、操作受付部323、経験値算出部324、所要時間推定部325、スケジュール管理部326及び通知部327を含む。
【0018】
制御部32の機能はハードウェア資源のみ、又はハードウェア資源とソフトウェア資源の協働により実現できる。ハードウェア資源としてプロセッサ、ROM、RAM、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源としてオペレーティングシステム、アプリケーション等のプログラムを利用できる。
【0019】
記憶部33は例えばHDD、SSDなどで構成され、経験値記憶部331、変換テーブル332及びスケジュール記憶部333を含む。本実施の形態では内視鏡検査のスケジュール管理に注目するため、記憶部33内の機能ブロックは、内視鏡検査のスケジュール管理機能に関連する機能のみを描いている。
【0020】
図3は、
図1の端末装置40の内部構成を示す図である。端末装置40は通信部41、制御部42、記憶部43及び表示部44を備える。
【0021】
内視鏡検査において検査の所要時間は検査を実施する医師によって異なる。従って検査の所要時間を固定値に設定している場合、検査の所要時間と実際の検査時間が大きく乖離する可能性がある。そこで実際の検査実績から検査時間の平均値を算出し、当該平均値を検査の所要時間として使用することが考えられる。
【0022】
検査の所要時間は検査を実施する医師のスキル向上によって減少していく。従って検査予定日時点のスキルと、平均値を算出した時点のスキルに乖離が生じる場合がある。その場合、検査予定日時点のスキルに基づく検査の所要時間と、平均値を算出した時点のスキルに基づく検査の所要時間に誤差が生じてしまう。医師は検査を実施していくことで成長していくため、検査予定日時点のスキルは現時点のスキルより向上していると考えられる。しかしながら、過去の検査実績の検査時間を平均化して検査の所要時間を予測する方法では、検査予定日までの医師の成長を考慮できないため、スキル向上による成長分を反映できず、検査の所要時間を精度よく予測することが難しかった。
【0023】
検査の所要時間の予測精度が低いと最適な検査スケジュールの立案が難しくなり、検査スケジュールと実際の検査進捗とに乖離が生じやすくなる。その結果、時間通りに来院した患者の待ち時間が長くなったり、定時内に全ての検査が終了せずに医療スタッフが残業しなければならない事態が発生していた。
【0024】
以下、検査予定日までの医師の成長を見越して検査の所要時間を算出することにより、検査の所要時間の予測精度を高める方法を説明する。以下、
図2及び
図3を参照しながら具体的に説明する。経験値記憶部331は、医師ごとに内視鏡検査に関する経験値を記憶する。医師ごとの内視鏡検査の経験値は検査項目ごとに蓄積されてもよい。また当該経験値は手技ごとに蓄積されてもよい。また検査項目を第1分類、手技を第2分類として当該経験値が2階層で分類されて蓄積されてもよい。最もシンプルな設計では、医師の経験値は実施した検査回数に対応する。
【0025】
経験値蓄積部321は医師による内視鏡検査の終了後、当該医師の内視鏡検査の経験値を増加させる。例えば当該医師の、実施した検査項目の経験値をインクリメント(+1)する。
【0026】
変換テーブル332は医師の経験値に応じて区分されるスキルレベルと、検査の所要時間との対応関係を記憶する。レベル変更部322は、医師の経験値に応じてスキルレベルを変更する。例えば、医師が実施した検査回数が一定回数を超える毎にスキルレベルをアップさせていく。医師の経験値が検査項目毎に蓄積される場合、医師のスキルレベルも検査項目毎に設定される。
【0027】
操作受付部323は、医療従事者による端末装置40の操作入力部45への操作に起因して生成された各種の指示信号およびデータをネットワーク2を介して受け付ける。例えば検査予約情報を受け付ける。検査予約情報には少なくとも患者情報、検査予定日および担当医師が含まれる。検査予約情報の具体例は後述する。なお検査予約情報は、内視鏡部門に設置された端末装置40から入力される場合もあれば、図示しないHIS (Hospital Information System)のオーダリングシステムから図示しないゲートウェイ装置を介して入力される場合もある。
【0028】
また検査予約情報の一部の項目が当該オーダリングシステムから入力され、別の一部の項目が端末装置40から入力される場合もある。例えば当該オーダリングシステムから患者情報、検査予定日、検査項目および担当医師が入力され、端末装置40で当該情報を閲覧した看護師が検査室、検査の開始時刻を入力するケースなどが考えられる。
【0029】
看護師等の医療従事者により検査の開始時刻が指定されると、経験値算出部324及び所要時間推定部325は当該検査の所要時間を推定する。経験値算出部324は、予約された検査を実施すべき予定日における担当医師の想定される経験値(以下、想定経験値という)を算出する。具体的には経験値算出部324は、当該担当医師が現在までに実施した検査数と、現在から当該検査の予定日までに実施すると予測される検査数をもとに想定経験値を算出する。より具体的には実施した検査数と、実施すると予測される検査数を加算することにより想定経験値を算出する。
【0030】
なお本実施の形態では検査項目ごとに経験値が蓄積されているため、経験値算出部324は、予約された検査項目における担当医師の検査数をもとに当該検査項目の想定経験値を算出する。また手技ごとに経験値が蓄積されている場合、経験値算出部324は、予約された手技における担当医師の検査数をもとに当該手技の想定経験値を算出する。また検査項目を第1分類、手技を第2分類として経験値が2階層に分類されて蓄積されている場合、経験値算出部324は、予約された検査項目の、使用する手技における担当医師の検査数をもとに、当該検査項目の使用する手技における想定経験値を算出する。
【0031】
経験値算出部324は、現在から当該検査の予定日までに実施すると予測される検査数を、現在から当該検査の予定日までの日数と、当該担当医師の過去において一日あたりに実施した検査の平均数をもとに算出する。具体的には当該日数と、一日あたりに実施した検査の平均数を乗算することにより算出する。
【0032】
過去において一日あたりに実施した検査の平均数は例えば、当該医師が当該検査を初めて実施した日から当該検査を最後に実施した日までの期間で、当該期間内に実施した検査数を除算することにより算出できる。なお直近の所定期間(例えば、3年)で、当該期間内に実施した検査数を除算することにより算出してもよい。また、検査数が所定数より少ない年の、期間および検査数を除外して上記の検査の平均数を算出してもよい。
【0033】
所要時間推定部325は、予約された検査の予定日における担当医師の想定経験値に対応するスキルレベルを特定し、変換テーブル332を参照して当該スキルレベルに対応する当該検査の所要時間を特定して、当該予約された検査の所要時間を推定する。
【0034】
スケジュール記憶部333は、スケジュール管理部326により管理される検査スケジュール表を記憶する。スケジュール管理部326は検査が予約されると、当該検査の患者情報、予定日、予定開始時刻、担当医師、及び所要時間推定部325により推定された当該検査の所要時間を少なくとも含む検査スケジュールを、検査スケジュール表に追加する。
【0035】
経験値算出部324は所定のタイミングで、予約された検査の予定日における担当医師の想定経験値を再計算し、所要時間推定部325は当該タイミングで、当該予約された検査の所要時間を再推定する。当該タイミングは、予め設定された日時であってもよいし、イベントが発生したタイミングであってもよい。
【0036】
例えば、毎日17:00に検査スケジュールを見直す設定の場合、当該タイミングは毎日、17:00に到来する。また毎週月曜日の17:00に検査スケジュールを見直す設定の場合、当該タイミングは毎週月曜日の17:00に到来する。また当該タイミングは、医師のスキルレベルがアップしたタイミングであってもよい。この場合、経験値の再計算および所要時間の再推定は、該当する医師の検査スケジュールのみが対象となる。また当該タイミングは、医療従事者が検査スケジュールの見直しを指示する操作を行ったタイミングであってもよい。
【0037】
スケジュール管理部326は、所要時間推定部325により再推定された所要時間が、前回推定された所要時間と異なる場合、予約されている検査スケジュールを変更する。具体的には、予約されている検査の所要時間を再推定された所要時間に変更する。スケジュール管理部326が、予約されている検査スケジュールを自動的に変更する設定でもよいし、変更に対する同意を示すユーザ操作を受け付けたことを条件として変更する設定でもよい。
【0038】
検査スケジュールを、変更の同意を示すユーザ操作を受け付けたことを条件として変更する設定の場合、通知部327は検査スケジュールの更新が可能である旨を端末装置40に通知し、その旨のメッセージを表示部44に表示させる。
【0039】
検査スケジュールがユーザによる同意なしに自動的に変更される設定で、かつ実際に検査スケジュールが変更された場合、通知部327は、検査スケジュールが変更された旨を端末装置40に通知し、その旨のメッセージを表示部44に表示させる。なお当該メッセージを電子メールで通知してもよい。
【0040】
スケジュール管理部326は、検査スケジュールに登録されている所要時間と、検査当日の実際の所要時間が異なる場合、当該検査に後続する当日の検査の検査スケジュールを変更する。この場合も、後続の検査の検査スケジュールを自動的に変更する設定と、変更に対して同意するユーザ操作を受け付けたことを条件として変更する設定がある。通知部327は、検査の所要時間の再推定に起因して当該検査の検査スケジュールを変更する場合と同様に、検査スケジュールの更新が可能である旨のメッセージ、または検査スケジュールが変更された旨のメッセージを表示部44に表示させる。
【0041】
予約された検査の開始日時から所定の設定期間遡った日時から、当該検査の開始日時まで、当該検査スケジュールの変更を禁止するようにスケジュール管理部326に設定してもよい。看護師にとって当日または前日に検査スケジュールが変更になると、混乱をきたす場合がある。例えば、ある時刻に薬剤が到着するように手配している場合において、当日に検査開始時刻の前倒しがあると、その検査に薬剤が間に合わない可能性がある。また全ての看護師が端末装置40を見れない環境では、当日の検査開始時刻の変更を直ぐに把握できない看護師も発生する。そこで当該検査の開始日時から設定時間前までの期間、検査スケジュールを変更できない設定としてもよい。例えば、当該検査の前日から、または当日の朝から当該検査の検査スケジュールを変更できない設定としてもよい。
【0042】
以下、経験値記憶部331に保持されるデータ構成、及び検査スケジュールを立案するのに必要な要素を説明する。具体的には検査のデータ構成、スキルレベル、及び検査の所要時間の関係について説明する。
【0043】
検査情報には、患者情報(患者名、患者ID、患者に関するその他の属性情報を含む)、検査項目、検査の担当医師、検査予定日(検査日、予約時刻を含む)、実際に検査を行った際の所要時間である検査実施時間、及び実施を予定している検査室が含まれる。検査スケジュールを立案する上で、検査を担当する医師によって時間枠が大きく左右される。
【0044】
図4は、経験値記憶部331に構築される担当医師の経験値に関するデータ構成例を示す。
図4に示すデータ構成例では担当医師に、過去に検査を行った回数(総数)を示す検査実績回数が検査項目毎に紐付けられている。各検査項目の検査実績回数に、その検査の現時点のスキルレベルが紐付けられている。また各検査項目の検査実績回数に、その検査を1日に平均何件、実施してきたかを示す平均検査数も紐付けられている。
【0045】
平均検査数は下記(式1)により算出できる。
平均検査数(件数/日)=検査実績回数(件数)÷過去検査実施期間(日)
…(式1)
過去検査実施期間には例えば、医師が過去に実施した検査の中で最も過去の日から最も新しい日までの期間を設定する。検査実績回数は、その期間に実施した検査の総数が設定される。
【0046】
スキルレベルがアップするために必要な検査実績回数の閾値は可変値である。本実施の形態では検査実績回数が100回を超える毎にスキルレベルが1ポイントアップするように設定している。また、スキルレベルに応じて検査項目毎に検査の所要時間が定義されている。スキルレベルと検査の所要時間の関係は、スキルレベルが高くなるにつれて検査の所要時間が短縮されていく関係になる。スキルレベルが、ある一定のレベルに到達すると検査の所要時間が収束する。
【0047】
図5は、スキルレベルと検査の所要時間との関係を記述した変換テーブル332の一例を示す。
図6は、
図5の変換テーブル332に記述されたスキルレベルと検査の所要時間との関係をグラフ化した図である。
図5に示す変換テーブル332は例えば、当該医療機関の過去の統計データから生成される。
図5および
図6に示すようにスキルレベルが上がる毎に検査の所要時間が減少していく。なお検査項目毎にスキルレベルに応じた所要時間、及びスキルレベルの上昇による所要時間の減少時間は異なっている。
【0048】
例えば上部内視鏡検査において、スキルレベルが2の医師の所要時間は49分になり、スキルレベルが9の医師の所要時間は20分となる。スキルレベルが高くなるにつれて所要時間が短縮される。またスキルレベルが同じ2であっても、上部内視鏡検査では所要時間が42分になり、下部内視鏡検査では60分になる。
【0049】
なお、基準時間(スキルレベル=0のときの検査の所要時間)はシステム設定により調整できる。スキルレベルが上がる毎に減少する時間幅もシステム設定によって調整できる。
図5および
図6に示す例では上部内視鏡検査は−8、−7、−6・・・・と減少していき、下部内視鏡検査は−15、−10、−5・・・・と減少していき、ERCPは−5、−5、−4・・・・と減少していくように設定している。
【0050】
スキルレベルが上がる毎に検査の所要時間が減少していき、ある一定以上のスキルレベルになると検査の所要時間が収束する。
図5および
図6では上部内視鏡検査の所要時間が20分に収束し、下部内視鏡検査の所要時間が43分に収束し、ERCPの所要時間が71分に収束する例を示している。この収束する検査の所要時間も、システム設定によって調整できる。このように所要時間推定部325は、変換テーブル332を参照して検査項目毎にスキルレベルに応じた所要時間を決定できる。
【0051】
検査スケジュールの立案は、以下の2つのステップによって実施される。第1ステップは検査の予約である。例えば検査前日などに実施予定の検査を予約する。第2ステップは検査スケジュールの修正である。例えば検査当日の進捗により、検査スケジュールを調整する。
【0052】
図7は、検査の予約画面70の一例を示す図である。この予約画面70は、端末装置40の表示部44に表示される。医療従事者は検査を予約する時、検査の予約情報をこの画面70から入力する。医療従事者は検査の予約情報として患者情報、検査予定日、検査室及び担当医師を入力する。患者情報の内、患者名および患者IDは必須入力項目であり、その他の属性情報は任意入力項目である。検査予定日の内、検査日は必須項目であり、予約時刻は任意入力項目である。予約時刻は検査の開始時刻に対応する。本実施の形態では予約時刻も入力するものとする。検査室および担当医師は必須入力項目である。
【0053】
医療従事者により画面右下の登録ボタン72が押下されると検査予約を登録できる。検査予約が登録されると、スケジュール記憶部333に保持される検査スケジュール表が更新される。なお、必須入力項目が入力されていない状態で登録ボタン72が押下されると、全ての必須入力項目を入力するよう促すメッセージが表示される。必須入力項目が入力されていない状態では検査予約を登録できない。一方、任意入力項目が入力されていない状態で登録ボタン72が押下された場合は、検査予約を登録できる。また、同じ時間帯に同一の担当医師の検査が既に存在している状態で登録ボタン72が押下された場合、その時間帯には登録できない旨の警告メッセージが表示される。この状態では検査予約を登録できず、時間帯の重複が解消された時点で登録可能になる。
【0054】
図8は、臨床スタッフ情報の設定画面80の一例を示す図である。
図8では医師情報の設定画面80を示している。本画面80では医師の名前やIDなどの医師情報を確認できる。
【0055】
予約された検査の所要時間の算出には、検査スキルの各項目81〜84の値が使用される。具体的には医師が過去に実施した検査実績回数を示す実施検査数81、スキルレベル82、検査の所要時間を示す検査予定時間83、及び平均検査数84の値が使用される。
【0056】
上述のように本実施の形態では100回の検査を実施するとスキルレベルが1ポイントアップする設定である。
図8に示す画面80の例では、上部内視鏡検査の実施検査数81が1000件であるため、上部内視鏡検査のスキルレベル82が10になっている。また下部内視鏡検査の実施検査数81が200件であるため、下部内視鏡検査のスキルレベル82が2になっている。
【0057】
上述のように検査予定時間83はスキルレベルによって決定される。上部内視鏡検査のスキルレベル82が10であるため、上部内視鏡検査の検査予定時間83が20分になっている。また下部内視鏡検査のスキルレベル82が2であるため、下部内視鏡検査の検査予定時間83が60分になっている。
【0058】
上述のように平均検査数84は、実施検査数81を過去検査実施期間で除算することにより算出できる。例えば
図8に示す画面80に登録されている医師の上部内視鏡検査の過去検査実施期間が100日の場合、当該医師の上部内視鏡検査の平均検査数84は10件となる。また下部内視鏡検査の過去検査実施期間が40日の場合、当該医師の下部内視鏡検査の平均検査数84は5件となる。
【0059】
図9は、検査スケジュールの一覧画面90の第1例を示す図である。
図9の画面90は、検査室1〜検査室5における本日の10:00〜14:00までの検査リストを表示している。この検査リストを医療従事者が閲覧することにより、予約されている各検査の患者情報、検査項目、担当医師、検査室、及び所要時間を確認できる。
【0060】
表示リスト内において各検査スケジュールは実施する検査室の時間枠を、当該検査の所要時間の分、確保するように表示されている。検査リストに表示されている検査の進捗状況は色または模様によって表される。本実施の形態では左下がり斜線模様が予約中(即ち、検査未実施)を、左上がり斜線模様が患者受付済を、斜め格子模様が検査中を、縦線模様が検査終了後の患者リカバリ中を、横線模様が患者退出をそれぞれ示している。
【0061】
縦線模様で描かれた検査スケジュールと横線模様で描かれた検査スケジュールは、既に検査が終了している。既に検査が終了している検査スケジュールの所要時間は、実際の検査実施時間で表示される。検査実施時間を算出するための検査終了時刻には、検査終了時に医療従事者が操作入力部45に対して検査終了操作をすることにより得られる時刻情報、または内視鏡システム10から転送されてくる時刻情報を使用できる。
【0062】
担当医師が入力されていない検査スケジュールの場合、スキルレベルを0と仮定して検査の所要時間を推定して検査室の時間枠を確保する。また検査室が入力されていない検査スケジュールは「検査室指定無し」、予約時刻が入力されていない検査スケジュールは「時間指定無し」という枠に振り分けられる。
【0063】
経験値算出部324は検査の所要時間を、医師毎に設定されている検査スコアの値から算出する。具体的には経験値算出部324は、平均検査数に成長期間を掛け合わせて想定検査数を算出する。成長期間は検査を予約した日と検査予定日との差分から算出される。想定検査数は、検査を予約した日から検査予定日までに実施するであろうと予測される検査数である。経験値算出部324は、算出した想定検査数と過去に実施した検査実績数を足し合わせて想定検査総数を算出する。想定検査総数は、検査予定日時点における予測される検査実績数である。所要時間推定部325は、想定検査総数に対応するスコアレベルを特定し、当該スコアレベルに応じた検査の所要時間を特定する。スケジュール管理部326は、特定された検査の所要時間に応じて検査室の時間枠を確保する。
【0064】
以下、
図9に示す画面90内の検査91(患者ID:56789、担当医:滋賀六郎、検査項目:下部内視鏡検査)を例に説明する。滋賀六郎の下部内視鏡検査の現在のスキルレベルは0、検査実績数は90、平均検査数は5とする。この場合、現在のスキルレベル(=0)であれば
図5の変換テーブル332を参照すると、85分の時間枠を確保する必要である。
【0065】
これに対して成長期間が2日ある場合、想定検査数が10になる。この想定検査数は、平均検査数(=5)と成長期間(=2)を掛け合わせることにより算出される。想定検査数が10、検査実績数が90であるため、想定検査総数は100となる。想定検査総数が100の場合、検査予定日時点でのスキルレベルは1ポイントアップして、1になる。下部内視鏡検査のスキルレベルが1であれば、70分の時間枠の確保で足りる。
【0066】
予定されている検査が定時内に終了しない場合は、通知部327は画面90内にアラートメッセージ92を表示させる。
図9に示す例では13:45を定時としており、検査室2の検査が定時内に終了しない恐れがあると表示されている。
【0067】
図10は、検査スケジュールの一覧画面100の第2例を示す図である。検査が実施されると、実際に検査にかかった時間が検査実施時間として記録される。検査実施時間と、事前に確保されていた検査の所要時間とに差分がある場合、通知部327は画面100内に検査スケジュールを更新可能である旨のメッセージ101を表示させる。検査スケジュールの調整は検査室単位で行われるため、通知部327は、どの検査室の検査スケジュールが更新可能であるかを表示させる。
【0068】
操作入力部45に対するユーザ操作により当該メッセージ101が選択されると、通知部327は、検査スケジュールを更新するか否かの確認を求めるメッセージダイアログ102を表示させる。メッセージダイアログ102内の「はい」ボタンが押下されると、スケジュール管理部326は検査実施時間と、事前に確保されていた検査の所要時間との差分に応じて、影響を受ける検査スケジュールの時間枠を調整する。
【0069】
なお検査スケジュールを調整する際、スケジュール管理部326は、同じ時間帯に同一の担当医師の検査が重複しないように調整する。更に、検査を予約した時点の担当医師のスキルレベルと検査当日のスキルレベルが異なる場合、スケジュール管理部326は検査当日のスキルレベルに応じた検査の所要時間を使用して検査スケジュールを調整できる。
【0070】
図11は、検査スケジュールの一覧画面110の第3例を示す図である。
図12は、検査スケジュールの一覧画面120の第4例を示す図である。以下、実際の検査の進捗と、事前に確保されていた検査の所要時間との乖離に基づいて検査スケジュールを調整する例を説明する。まず前者が後者より短い場合を説明する。
図11に示す画面110が検査スケジュール調整前の画面を、
図12に示す画面120が検査スケジュール調整後の画面をそれぞれ示す。
【0071】
図11に示す画面110において、検査室2には3つの検査が予約されている。1番目の検査スケジュール111の各項目は、患者:ID45678、患者名:岐阜五郎、検査項目:上部EUS、検査の所要時間:60分である。実際の検査実施時間は30分である。2番目の検査スケジュール112の各項目は、患者:ID56789、患者名:京都七郎、検査項目:下部内視鏡検査、検査の所要時間:90分である。実際の検査実施時間は30分である。3番目の検査スケジュール113の各項目は、患者:ID67890、患者名:大阪八郎、検査項目:上部内視鏡検査 検査の所要時間:60分である。
【0072】
1番目の検査スケジュール111と2番目の検査スケジュール112では、検査の所要時間と検査実施時間に差分が発生している。通知部327は、検査室2の検査スケジュールを更新可能である旨のメッセージ114を表示させる。当該メッセージ114に対してユーザによる選択操作がなされると、通知部327は、検査スケジュールを更新するか否かの確認を求めるメッセージダイアログを表示させる。ユーザにより更新に対する同意を示す操作がなされると、スケジュール管理部326は検査実施時間と、事前に確保されていた検査の所要時間との差分を算出する。
【0073】
1番目の検査スケジュール111では検査の所要時間が60分、検査実施時間が30分であるため、両者の差分は30分である。2番目の検査スケジュール112では検査の所要時間が90分、検査実施時間が30分であるため、両者の差分は60分である。
【0074】
スケジュール管理部326は、検査リスト上に確保している1番目の検査スケジュール111の時間枠を60分から30分に短縮する。30分早く検査が終了したことを検査リストに反映させる処理である。スケジュール管理部326は、検査リスト上に確保している2番目の検査スケジュール112の時間枠を90分から30分に短縮する。60分早く検査が終了したことを検査リストに反映させる処理である。
【0075】
3番目の検査スケジュール113は未実施であるため、スケジュール管理部326は検査リスト上に確保している3番目の検査スケジュール113の時間枠自体は変更しない。1番目の検査スケジュール111及び2番目の検査スケジュール112の時間枠を短縮した分を反映させるために、スケジュール管理部326は3番目の検査スケジュール113の予約時刻を調整する(より具体的には、前倒しする)。この例では予約時刻を前倒しする際、検査の準備時間を考慮して5分の空き時間を挿入している。
【0076】
1番目の検査スケジュール111及び2番目の検査スケジュール112で短縮された時間の合計は120分である。検査の準備時間の5分を考慮すると、3番目の検査スケジュール113の予約時刻を前倒しする時間は、115分となる。スケジュール管理部326は、3番目の検査スケジュール113の予約時刻を115分、前倒しする。
【0077】
図12に示す検査スケジュール調整後の画面120内の1番目の検査スケジュール121、2番目の検査スケジュール122及び3番目の検査スケジュール123は、
図11に示す検査スケジュール調整前の画面110内の1番目の検査スケジュール111、2番目の検査スケジュール112及び3番目の検査スケジュール113にそれぞれ対応している。
【0078】
図13は、検査スケジュールの一覧画面130の第5例を示す図である。
図14は、検査スケジュールの一覧画面140の第6例を示す図である。以下、実際の検査の進捗が、事前に確保されていた検査の所要時間より長い場合の例を説明する。
図13に示す画面130が検査スケジュール調整前の画面を、
図14に示す画面140が検査スケジュール調整後の画面をそれぞれ示す。
【0079】
図13に示す画面130において、検査室3には3つの検査が予約されている。1番目の検査スケジュール131の各項目は、患者:ID89012、患者名:岡山十郎、検査項目:上部EUS、検査の所要時間:60分である。実際の検査実施時間は90分である。2番目の検査スケジュール132の各項目は、患者:ID90123、患者名:山口二郎、検査項目:下部内視鏡検査、検査の所要時間:45分である。実際の検査実施時間は60分である。3番目の検査スケジュール133の各項目は、患者:ID67890、患者名:大阪八郎、検査項目:上部内視鏡検査 検査の所要時間:60分である。
【0080】
1番目の検査スケジュール131と2番目の検査スケジュール132では、検査の所要時間と検査実施時間に差分が発生している。通知部327は、検査室3の検査スケジュールを更新可能である旨のメッセージ134を表示させる。当該メッセージ134に対してユーザによる選択操作がなされると、通知部327は、検査スケジュールを更新するか否かの確認を求めるメッセージダイアログを表示させる。ユーザにより更新に対する同意を示す操作がなされると、スケジュール管理部326は検査実施時間と、事前に確保されていた検査の所要時間との差分を算出する。
【0081】
1番目の検査スケジュール131では検査の所要時間が60分、検査実施時間が90分であるため、両者の差分は−30分である。2番目の検査スケジュール132では検査の所要時間が45分、検査実施時間が60分であるため、両者の差分は−15分である。
【0082】
スケジュール管理部326は、検査リスト上に確保している1番目の検査スケジュール131の時間枠を60分から90分に延長する。30分遅く検査が終了したことを検査リストに反映させる処理である。スケジュール管理部326は、検査リスト上に確保している2番目の検査スケジュール132の時間枠を45分から60分に延長する。15分遅く検査が終了したことを検査リストに反映させる処理である。
【0083】
3番目の検査スケジュール133は未実施であるため、スケジュール管理部326は検査リスト上に確保している3番目の検査スケジュール133の時間枠自体は変更しない。1番目の検査スケジュール131及び2番目の検査スケジュール132の時間枠を延長した分を反映させるために、スケジュール管理部326は3番目の検査スケジュール133の予約時刻を調整する(より具体的に遅らせる)。この例では予約時刻を遅らせる際、検査の準備時間を考慮して5分の空き時間を挿入している。
【0084】
1番目の検査スケジュール131及び2番目の検査スケジュール132で延長された時間の合計は45分である。検査の準備時間の5分を考慮すると、3番目の検査スケジュール133の予約時刻を遅らせる時間は、50分となる。スケジュール管理部326は、3番目の検査スケジュール133の予約時刻を50分、遅らせる。
【0085】
図14に示す検査スケジュール調整後の画面140内の1番目の検査スケジュール141、2番目の検査スケジュール142及び3番目の検査スケジュール143は、
図13に示す検査スケジュール調整前の画面130内の1番目の検査スケジュール131、2番目の検査スケジュール132及び3番目の検査スケジュール133にそれぞれ対応している。
【0086】
図15は、検査スケジュールの一覧画面150の第7例を示す図である。
図16は、検査スケジュールの一覧画面160の第7例を示す図である。以下、実際の検査の進捗と、事前に確保されていた検査の所要時間との乖離に基づいて検査スケジュールを調整する際に、同一担当医師の検査が同じ時間帯に重ならないように調整する例を説明する。
図15に示す画面150が検査スケジュール調整前の画面を、
図16に示す画面160が検査スケジュール調整後の画面をそれぞれ示す。
【0087】
図15に示す画面150において、検査室1には3つの検査が予約されている。1番目の検査スケジュール151の各項目は、患者:ID12345、患者名:東京一郎、検査項目:上部EUS、検査の所要時間:90分、担当医師:神奈川二郎である。実際の検査実施時間は40分である。2番目の検査スケジュール152の各項目は、患者:ID23456、患者名:静岡三郎、検査項目:上部EUS、検査の所要時間:45分、担当医師:神奈川二郎である。実際の検査実施時間は45分である。3番目の検査スケジュール153の各項目は、患者:ID34567、患者名:愛知四郎、検査項目:上部内視鏡検査、検査の所要時間:42分、担当医師:神奈川二郎、予約時刻:12:00、検査終了予定時刻:12:45分である。
【0088】
1番目の検査スケジュール151では、検査の所要時間と検査実施時間に差分が発生している。通知部327は、検査室1の検査スケジュールを更新可能である旨のメッセージ155を表示させる。当該メッセージ155に対してユーザによる選択操作がなされると、通知部327は、検査スケジュールを更新するか否かの確認を求めるメッセージダイアログを表示させる。ユーザにより更新に対する同意を示す操作がなされると、スケジュール管理部326は検査実施時間と、事前に確保されていた検査の所要時間との差分を算出する。
【0089】
1番目の検査スケジュール151では検査の所要時間が90分、検査実施時間が40分であるため、両者の差分は50分である。スケジュール管理部326は、検査リスト上に確保している1番目の検査スケジュール151の時間枠を90分から40分に短縮する。50分早く検査が終了したことを検査リストに反映させる処理である。
【0090】
2番目の検査スケジュール152では、検査の所要時間と検査実施時間に差分が発生していない。スケジュール管理部326は、1番目の検査スケジュール151の時間枠を短縮した分を反映させるために、2番目の検査スケジュール152の予約時刻を50分、早める。
【0091】
3番目の検査スケジュール153は未実施であるため、スケジュール管理部326は検査リスト上に確保している3番目の検査スケジュール153の時間枠自体は変更しない。1番目の検査スケジュール151の時間枠を短縮した分を反映させるために、スケジュール管理部326は3番目の検査スケジュール153の予約時刻を早める。その際、50分早めると、検査室1の3番目の検査スケジュール153と検査室3の2番目の検査スケジュール154の時間帯が重複してしまう。これらの検査の担当医師が同一であるため、検査室1の3番目の検査スケジュール153の予約時刻を50分早めると、検査室1の3番目の検査スケジュール153と検査室3の2番目の検査スケジュール154で予約されている検査のいずれかが実施できなくなる。
【0092】
スケジュール管理部326は、検査スケジュールを調整する際、移動候補の時間帯に同一の担当医師の検査スケジュールが存在しているか否か確認する。同一の担当医師の検査スケジュールが存在する場合、スケジュール管理部326は時間帯が重ならない範囲で、対象となる検査スケジュールの時間枠を調整する。
【0093】
図15に示す例では、検査室3の2番目の検査スケジュール154の時間枠は12:00〜12:45である。スケジュール管理部326は、検査室1の3番目の検査スケジュール153の予約時刻を12:00〜12:45の時間帯に重ならないように早める。この場合、12:45まで予約時刻を早めることができる。この例では予約時刻を早める際、検査の準備時間を考慮して5分の空き時間を挿入している。この準備時間の5分を考慮して、スケジュール管理部326は、検査室1の3番目の検査スケジュール153の予約時刻を12:00から12:50に変更している。
【0094】
図16に示す検査スケジュール調整後の画面160内の検査室1の1番目の検査スケジュール161、2番目の検査スケジュール162及び3番目の検査スケジュール163、並びに検査室3の2番目の検査スケジュール164は、
図15に示す検査スケジュール調整前の画面150内の検査室1の1番目の検査スケジュール151、2番目の検査スケジュール152及び3番目の検査スケジュール153、並びに検査室3の2番目の検査スケジュール154にそれぞれ対応している。
【0095】
図17は、検査スケジュールの一覧画面170の第9例を示す図である。
図18は、検査スケジュールの一覧画面180の第10例を示す図である。以下、検査を予約した日と検査当日のスキルレベルが異なる場合において、検査当日のスキルレベルに基づいて検査スケジュールを調整する例を説明する。
図17に示す画面170が検査スケジュール調整前の画面を、
図18に示す画面180が検査スケジュール調整後の画面をそれぞれ示す。
【0096】
図17に示す画面170において、検査室1の3番の検査スケジュール171の各項目は、患者:ID34567、患者名:愛知四郎、検査項目:上部内視鏡検査、検査の所要時間:42分、担当医師:神奈川二郎、予約時刻:13:00である。検査の所要時間が42分に設定されていることから、担当医師である神奈川二郎の上部内視鏡検査に関する検査当日のスキルレベルは2と想定されている(
図5参照)。
【0097】
これに対して検査当日までに想定通りにスキルレベルが向上せず、検査当日の実際のスキルレベルが0である場合、検査を予約した時点で想定したスキルレベルと、検査当日の実際のスキルレベルが異なることになる。スキルレベルが異なると検査の所要時間が変わってくる。通知部327は、検査室1の検査スケジュールを更新可能である旨のメッセージ172を表示させる。当該メッセージ172に対してユーザによる選択操作がなされると、通知部327は、検査スケジュールを更新するか否かの確認を求めるメッセージダイアログを表示させる。ユーザにより更新に対する同意を示す操作がなされると、経験値算出部324は検査当日の経験値を算出する。所要時間推定部325は当該経験値に対応するスキルレベルを特定し、変換テーブル332を参照して当該スキルレベルに応じた検査の所要時間を特定する。スケジュール管理部326は3番目の検査スケジュール171の時間枠を、特定された検査の所要時間に変更する。この例では42分から57分に変更する。
【0098】
図18に示す検査スケジュール調整後の画面180内の検査室1の3番目の検査スケジュール181は、
図17に示す検査スケジュール調整前の画面170内の検査室1の3番目の検査スケジュール171に対応している。前者のほうが後者より検査の時間幅が長くなっている。
【0099】
図19は、検査スケジュールの一覧画面190の第11例を示す図である。
図20は、検査スケジュールの一覧画面200の第12例を示す図である。以下、操作入力部45に対するユーザ操作により検査スケジュールを修正する例を説明する。ユーザは「検査室指定無し」や「時間指定無し」に振り分けられている検査を適切な検査室に振り分けたり、検査数が多い検査室の検査を別の検査室に振り分けたりすることができる。
【0100】
例えば検査リスト内の、ある検査スケジュールの検査室を別の検査室に変更する場合、ユーザは当該検査スケジュールをマウスでドラックアンドドロップして、他の検査室に振り分けることができる。検査の予約時刻を変更する場合も同様にマウス操作で変更できる。例えば検査の進捗が遅れている検査室の検査スケジュールを、余裕がある検査室に振り分けることができる。
【0101】
図19及び
図20に示す例では、
図19に示す画面190内の検査室3の2番目の検査スケジュール191を、マウスで検査室4の時間枠にドラックアンドドロップすることにより、当該検査スケジュール191を検査室4に振り分けている。
図20に示す画面200内の検査室4の2番目の検査スケジュール201は、
図19に示す画面190内の検査室3の2番目の検査スケジュール191が振り分けられたものである。なお検査スケジュールを振り分ける際、同じ時間帯に同一の担当医師の検査スケジュールがある場合、警告メッセージを表示させる。また、担当医師が同じ検査スケジュールの時間帯が重複する振り分け操作を設定により禁止する。
【0102】
図21は、本発明の実施の形態に係る医療業務支援装置30による検査予約方法を説明するためのフローチャートである。端末装置40及び/又はHISのオーダリングシステムにより検査予約が発行されるとスケジュール管理部326は、検査予約情報を取得する(S10)。スケジュール管理部326は経験値算出部324及び所要時間推定部325に、検査の所要時間の推定を依頼する。
【0103】
経験値算出部324は、検査予定日の担当医師の想定経験値を算出する(S11)。想定経験値の算出方法には上述した方法を用いることができる。所要時間推定部325は、経験値算出部324により算出された想定経験値から、検査予定日に担当医師が到達しているであろう想定スキルレベルを特定する(S12)。所要時間推定部325は変換テーブル332を参照して、特定した想定スキルレベルから検査の所要時間を推定する(S13)。所要時間推定部325は推定した検査の所要時間をスケジュール管理部326に渡し、スケジュール管理部326は、検査の所要時間を含む検査スケジュールを検査スケジュール表に含める(S14)。
【0104】
上記の
図17および
図18では、検査を予約した日と検査当日のスキルレベルが異なる場合に、検査当日のスキルレベルに基づいて検査スケジュールを調整する例を説明した。検査を予約した日と検査当日が大きく離れている場合、この検査スケジュールの調整により検査の所要時間が大きく変動することがある。その場合、後続する他の検査への影響が大きくなる。そこで定期的に検査スケジュールの見直しを行い、検査の当日や前日に検査の所要時間が大きく変化することを抑制する仕組みを導入することが考えられる。
【0105】
図22は、本発明の実施の形態に係る医療業務支援装置30による検査スケジュール見直し処理の第1例を説明するためのフローチャートである。スケジュール管理部326は、設定された検査スケジュールの見直しタイミングが到来したか否か判定する(S20)。見直しタイミングは、上述したように週単位または日単位で定期的に設定された時刻であってもよいし、担当医師のスキルレベルアップなどのイベント発生タイミングであってもよい。
【0106】
検査スケジュールの見直しタイミングが到来した場合(S20のY)、スケジュール管理部326は経験値算出部324及び所要時間推定部325に、検査の所要時間の再推定を依頼する。
【0107】
経験値算出部324は、検査予定日の担当医師の想定経験値を再算出する(S21)。上述のように想定経験値は、検査実績数と想定検査数を足し合わせることにより算出される。検査を予約した日と見直しタイミングが到来した日では通常、検査実績数が異なる。また想定検査数は、平均検査数に成長期間を掛け合わせることにより算出される。検査を予約した日と見直しタイミングが到来した日とでは成長期間が異なり、平均検査数は同じ場合と異なる場合がある。経験値算出部324は、見直しタイミングが到来した日における検査実績数、平均検査数および成長期間をもとに想定経験値を算出する。
【0108】
所要時間推定部325は、経験値算出部324により再算出された想定経験値から、検査予定日に担当医師が到達しているであろう想定スキルレベルを特定する(S22)。所要時間推定部325は変換テーブル332を参照して、特定した想定スキルレベルから検査の所要時間を再推定する(S23)。所要時間推定部325は再推定した検査の所要時間をスケジュール管理部326に渡す。
【0109】
スケジュール管理部326は、現在登録されている検査の所要時間と、所要時間推定部325により再推定された検査の所要時間が同じであるか否か判定する(S24)。検査の所要時間が変化した場合(S24のY)、スケジュール管理部326は通知部327にメッセージ送信を依頼する。通知部327は端末装置40の表示部44に、更新可能な検査スケジュールが存在する旨のメッセージを表示させる(S25)。操作受付部323は、操作入力部45に対して更新を同意するユーザ操作を示す信号を受信すると(S26のY)、その旨をスケジュール管理部326に通知する。スケジュール管理部326は、検査スケジュールの検査の所要時間を、再推定された検査の所要時間に更新する(S27)。
【0110】
ステップS26にて更新を同意するユーザ操作を示す信号を受信できない場合(S26のN)、ステップS27はスキップされる。即ち検査スケジュールは更新されない。ステップS24にて現在登録されている検査の所要時間と、再推定された検査の所要時間が同じである場合(S24のN)、ステップS25〜ステップS27の処理がスキップされる。即ち検査スケジュールは更新されない。ステップS20にて検査スケジュールの見直しタイミングが到来しない間は(S20のN)、ステップS21〜ステップS27の処理は発動されない。
【0111】
図23は、本発明の実施の形態に係る医療業務支援装置30による検査スケジュール見直し処理の第2例を説明するためのフローチャートである。ステップS20〜ステップS23の処理は
図22に示す第1例のフローチャートと同じである。
【0112】
スケジュール管理部326は、現在登録されている検査の所要時間と、所要時間推定部325により再推定された検査の所要時間が同じであるか否か判定する(S24)。検査の所要時間が変化した場合(S24のY)、スケジュール管理部326は、検査スケジュールの検査の所要時間を、再推定された検査の所要時間に更新する(S27)。スケジュール管理部326は通知部327に更新完了メッセージの送信を依頼する。通知部327は端末装置40の表示部44に、検査スケジュールを更新した旨のメッセージを表示させる(S28)。ステップS24にて現在登録されている検査の所要時間と、再推定された検査の所要時間が同じである場合(S24のN)、ステップS27及びステップS28の処理がスキップされる。即ち検査スケジュールは更新されない。
【0113】
第1例と第2例を比較すると、第1例が事前同意タイプで第2例が事後報告タイプである。いずれの場合も検査スケジュールの更新を医療従事者に認識させることができる。例えば見直し日と、検査予定日の期間が設定期間以上(例えば、1ヶ月以上)離れている場合、検査スケジュールの更新が業務に与える影響が軽微であるため事後報告タイプを採用し、設定期間未満の場合、検査スケジュールの更新が業務に与える影響が比較的大きいため事前同意タイプを採用してもよい。
【0114】
図24は、本発明の実施の形態に係る医療業務支援装置30による検査スケジュール見直し処理の第3例を説明するためのフローチャートである。第3例のフローチャートは、
図23に示す第2例のフローチャートのステップS24の処理と、ステップS27の処理の間にステップS245の処理が追加されたものである。
【0115】
当日の検査リストを前日にプリントアウトして医療従事者に配った場合、プリントアウトした以降に当日の検査スケジュールを変更しないほうが好ましいといえる。この場合、プリントアウトした時点から当日の全ての検査が終了するまでの期間を、当日の検査スケジュールの更新禁止期間に設定する。なお看護師長の判断で一定の期間を更新禁止期間に設定してもよい。
【0116】
図24のフローチャートにてスケジュール管理部326は、現在登録されている検査の所要時間と、所要時間推定部325により再推定された検査の所要時間が同じであるか否か判定する(S24)。検査の所要時間が変化した場合(S24のY)、スケジュール管理部326は、その検査スケジュールの更新禁止期間内であるか否か判定する(S245)。更新禁止期間内でない場合(S245のN)、スケジュール管理部326は検査スケジュールの検査の所要時間を、再推定された検査の所要時間に更新する(S27)。スケジュール管理部326は通知部327に更新完了メッセージの送信を依頼する。通知部327は端末装置40の表示部44に、検査スケジュールを更新した旨のメッセージを表示させる(S28)。
【0117】
ステップS245にて更新禁止期間内である場合(S245のY)、ステップS27及びステップS28の処理がスキップされる。即ち検査スケジュールは更新されない。ステップS24にて現在登録されている検査の所要時間と、再推定された検査の所要時間が同じである場合(S24のN)、ステップS245、ステップS27及びステップS28の処理がスキップされる。即ち検査スケジュールは更新されない。
【0118】
これまで医師の経験値、スキルレベル、検査の所要時間について単純化したモデルで説明してきた。以下、検査の難易度、医師の成長度、医師の属性などを考慮した、より精緻化したモデルを説明する。
【0119】
まず検査の難易度を考慮する例を説明する。具体的には、難易度の高い手技を伴う検査を実施するほど、スキルレベルが上がりやすくなるように設定する。例えば手技を伴なわない検査の場合、経験値蓄積部321は通常通り、1回の検査の実施に対して1ポイントを付与する。難易度の低い手技(例えば、薬剤散布など)を伴う検査の場合も同様に、経験値蓄積部321は当該検査の実施に対して1ポイントを付与する。難易度の高い手技(例えば、患部摘出など)を伴う検査の場合、経験値蓄積部321は当該検査の実施に対して3ポイントを付与する。この設定では、難易度の高い手技を伴う検査を実施するほどスキルレベルが上がりやすくなる。
【0120】
このように経験値蓄積部321は、検査の難易度に応じて1回の検査の実施に対して付与するポイントに重みをつける。結果的に検査の難易度に応じて、レベル変更部322によるレベルアップの感度が調整されることになる。
【0121】
図25は、医師による検査の実施情報を登録する画面250の一例を示す。ユーザは、実施者の入力欄251に、検査を実施した医師を入力する。
図25では実施情報の内、手技のタブ252が選択された状態である。医師(山田太郎)が上部内視鏡検査で実施した手技が表示されている。胃・十二指腸のファイバスコピー253を1回、食道のファイバスコピー254を1回実施している。
【0122】
レベル変更部322は、これまで検査回数が特定の回数に到達することをスキルレベルアップの条件としてきたが、特定の検査内容の実施の成功を条件としてスキルレベルをアップさせてもよい。難易度の高い特定の手技を伴う検査を単独で実施できた時点で、十分なスキルがあると判断できる場合もある。例えば特定の検査を、規定時間内に実施できた場合、スキルレベルをアップさせてもよい。
【0123】
例えば上部内視鏡検査のスキルレベルが0または1の医師が、上部内視鏡検査を60分で実施した場合、スキルレベルを2にアップさせてもよい。上部内視鏡検査を60分で実施するスキルは、スキルレベル=2に相当するためである。なお60分での実施を1回ではなく複数回(例えば、3回)成功したことを条件として、スキルレベルを2にアップさせてもよい。
【0124】
また胃・十二指腸のファイバスコピーを副実施医師を伴わずに単独で実施できた場合、スキルレベルをアップさせてもよい。
図25に示す画面250には、副実施医師の登録欄255もある。このようにレベル変更部322は、検査の難易度に応じてレベルアップの感度を調整できる。
【0125】
次に医師の成長速度を考慮する例を説明する。現実には医師ごとに成長速度にバラツキが発生する。医師の成長速度を、医師の現在のスキルレベルに応じた所要時間と、その医師の実際の所要時間を比較することにより判断できる。後者が前者より短い場合、成長速度が速いといえる。実際の所要時間から現在のスキルレベルに応じた所要時間を減算した時間が、次のスキルレベルに応じた所要時間以下の場合、経験値蓄積部321は例えば、1回の検査の実施に対して10ポイントを付与する。
図5に示す変換テーブル332において、上部内視鏡検査の現在のスキルレベルが1の場合、所要時間は49分である。実施の所要時間が41分の場合、スキルレベルが2の場合の所要時間である42分より短いことになる。この場合、経験値蓄積部321は成長が速い医師と判断して、1回の検査の実施に対して複数のポイントを付与する。
【0126】
このように経験値蓄積部321は、医師の成長度に応じて1回の検査の実施に対して付与するポイントに重みをつける。結果的に医師の成長度に応じて、レベル変更部322によるレベルアップの感度が調整されることになる。
【0127】
次に上級医師の判断によりスキルレベルを手動で設定する例を説明する。学会での受賞、学位取得、海外研修、教授の推薦など、一定レベル以上のスキルを持っていると判断された場合、上級医師の判断によりスキルレベルを決定する。
【0128】
図26は、上級医師によるスキルレベルの認定画面260の一例を示す。検査項目、スキルレベル、そのスキルレベルを付与した理由、そのスキルレベルを承認した承認者の欄が設けられている。
【0129】
次にスキルレベルと検査の所要時間との対応関係を調整する例を説明する。この対応関係は、医師の成長曲線とも捉えることができる。上述のように現実には医師ごとに成長速度にバラツキが発生する。医師の成長速度に応じて医師の成長曲線を補正する。
【0130】
例えば
図5に示す変換テーブル332において、上部内視鏡検査はスキルレベルが上がるにつれ、所要時間が−8、−7、−6、−5、−4、−3、−2、−1、0、0と短縮していく。スキルレベルが1から2にアップすると7分短縮することになる。例えば、ある医師のスキルレベルが1の時点の実際の所要時間が49分で、レベルアップ後のスキルレベルが2の時点の実際の所要時間が41分である場合を考える。この場合、通常7分短縮するところが8分短縮している。即ち、想定される成長速度より速く成長していると推定できる。
【0131】
図27は、
図5の変換テーブル332を補正した変換テーブル332aの一例を示す図である。
図5の変換テーブル332と比較して、
図27の変換テーブル332aでは、上部内視鏡検査におけるスキルレベル2以降の所要時間の短縮幅を大きくしている。
図5の変換テーブル332ではスキルレベル2以降、所要時間が−6、−5、−4、−3、−2、−1、0、0と減少していく。これに対して
図27の変換テーブル332aではスキルレベル2以降の所要時間が−7、−6、−5、−3、0、−1、0、0と減少していく。即ち、1レベル上がる毎の短縮幅を大きくしている。
【0132】
このようにスキルレベルと検査の所要時間との対応関係を規定した変換テーブル332を、医師の成長度に応じてカスタマイズする。なおカスタマイズの方法には、様々なものがあり、例えば複数パターンの変換テーブル332から成長度に応じた変換テーブル332を選択する方法を用いてもよい。
【0133】
次にスキルレベルと検査の所要時間との対応関係を医師の属性に応じて調整する例を説明する。出身大学や所属機関により検査項目毎のスキルレベルの上がり方に一定の傾向が見られることがある。例えば、教授の教え方などの影響を受ける場合があり、同じ教授から指導を受けた医師は、同じような成長曲線を示す場合がある。
【0134】
図28は、出身大学別の変換テーブル332bの一例を示す図である。A大学が上部内視鏡検査を、B大学が下部内視鏡検査を、C大学がERCPをそれぞれ得意としている。
図28に示す例では各検査項目において、その検査を得意としている大学出身者の所要時間を他の大学出身者より短く設定している。
【0135】
このようにスキルレベルと検査の所要時間との対応関係を規定した変換テーブル332を、医師の属性に応じてカスタマイズする。出身大学は属性の一例であり、学位や勤続年数などによりカスタマイズすることもできる。
【0136】
上述のように変換テーブル332は、該当する医療機関の統計データに基づき生成することが一般的である。各医療機関が検査の経験値と所要時間に関するデータを、図示しないインターネット上に接続された管理データベースに登録している場合、各医療機関は当該管理データベースに登録されている統計データを使用することができる。例えば、スキルレベルと検査の所要時間との対応関係について、全国平均のデータをダウンロードして使用することができる。また各種の条件を指定して、条件に合致したデータをダウンロードして使用してもよい。例えば地域ごと、経歴ごと、勤続年数ごとのデータをダウンロードして使用してもよい。
【0137】
以上説明したように本実施の形態によれば、検査を予約した日から検査予定日までの医師の成長を加味して検査の所要時間を予測するため、検査の所要時間を高精度に予測できる。従って最適な検査スケジュールを立案することができ、検査業務を効率的に管理できる。その結果、患者の待ち時間を減らし、医療スタッフの残業も減らすことができる。
【0138】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0139】
上述の実施の形態ではスキルレベルと検査の所要時間との対応関係をテーブルに記述する例を説明したが、その対応関係を関数で規定してもよい。また上述の実施の形態では経験値をスキルレベルに変換し、スキルレベルから検査の所要時間を特定する例を説明した。この点、経験値から直接、検査の所要時間を特定してもよい。この場合、経験値と検査の所要時間を直接対応づけるテーブルまたは関数を使用すればよい。
【0140】
図29は、変形例に係る、経験値と検査の所要時間との関係を記述した変換テーブルの一例を示す図である。
図5ではスキルレベルと検査の所要時間との関係を記述した変換テーブル332を示したが、
図29では経験値と検査の所要時間との関係を記述した変換テーブル332aを示している。所要時間推定部325は当該変換テーブル322aを参照して、検査予定日における医師の想定される経験値に対応する検査の所要時間を特定する。
図29に示す例では医師の上部内視鏡検査の検査実績回数が0−99回の場合、上部内視鏡検査の所要時間は57分となる。検査実績回数が100−199回の場合、所要時間は49分となる。上部内視鏡検査では検査実績回数が900回以上になると、所要時間が飽和して20分に固定される。
【0141】
図29に示す変換テーブル332aは、
図5に示した変換テーブル322に対応する例であるが、経験値の区分をより細かくしてもよい。また
図5に示したスキルレベルを介して経験値を検査の所要時間に変換する例と同様に、
図29に示す経験値を直接、検査の所要時間に変換する例においても、検査の難易度、医師の成長度、医師の属性などを考慮した、より精緻化したモデルを構築できる。例えば変換テーブル332aは、各医師の属性および/または成長度に応じてカスタマイズされてもよい。
【0142】
また上述の実施の形態では内視鏡検査の予約について説明したが、医療業務支援装置30によるスケジュール管理は内視鏡検査の予約に限るものではない。検査に限らず診察、処置、手術を含む医療行為全般の予約についても上述の実施の形態で説明した方法を使用できる。また内視鏡部門に限らず、他の部門における医療行為の予約についても上述の実施の形態で説明した方法を使用できる。