(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
細長いシャフトの先端に、該シャフトの長手軸回りに回転可能な回転関節と、該回転関節の先端側に前記長手軸に交差する軸線回りに屈曲可能な屈曲関節とを備える手術用マニピュレータを操作する装置であって、
操作者により把持される把持部と、
該把持部に回転可能に取り付けられ前記把持部を把持した手の指で操作可能な回転部材を備え、前記把持部に対する前記回転部材の回転角度に応じた前記回転関節の回転指令を入力する回転入力部と、
前記回転部材に前記把持部を把持した手の指で操作可能に固定された周方向の操作位置に対応する方向への前記屈曲関節の屈曲指令を入力する屈曲入力部とを備える手術用マニピュレータ操作装置。
前記屈曲入力部が、前記把持部に固定され、前記回転部材の周方向に複数配列され前記回転部材に対して屈曲指令が入力された周方向位置を検出するセンサと、前記回転部材の回転角度および前記屈曲指令を検出した前記センサの位置に応じて屈曲指令信号を生成する信号生成部とを備える請求項1に記載の手術用マニピュレータ操作装置。
前記回転部材の表面に、該回転部材の特定の周方向位置を触覚により識別可能な指標が設けられている請求項1から請求項5のいずれかに記載の手術用マニピュレータ操作装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シャフトの先端の2関節が、挿入部の長手軸回りの回転関節と、その先端側に配置され長手軸に交差する軸線回りに屈曲させる屈曲関節とを備える場合には、回転関節が作動して回転が発生すると、先端側の屈曲関節も一緒に回転するために、該屈曲関節の屈曲方向が変化してしまい、ジョイスティックからなる操作装置の操作方向と内視鏡画像上の手術用マニピュレータの先端の移動方向との間にズレが生ずるため、操作者が混乱するという不都合がある。
【0005】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、先端に少なくとも2関節を有する手術用マニピュレータを操作者が混乱することなく直感的に操作できる手術用マニピュレータ操作装置および手術用マニピュレータシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様は、細長いシャフトの先端に、該シャフトの長手軸回りに回転可能な回転関節と、該回転関節の先端側に前記長手軸に交差する軸線回りに屈曲可能な屈曲関節とを備える手術用マニピュレータを操作する装置であって、操作者により把持される把持部と、該把持部に回転可能に取り付けられ
前記把持部を把持した手の指で操作可能な回転部材を備え、
前記把持部に対する前記回転部材の回転角度に応じた前記回転関節の回転指令を入力する回転入力部と、前記回転部材に
前記把持部を把持した手の指で操作可能に固定された周方向の操作位置に対応する方向への前記屈曲関節の屈曲指令を入力する屈曲入力部とを備える手術用マニピュレータ操作装置を提供する。
【0007】
本態様によれば、操作者が把持部を把持して把持部に対して回転部材を回転させると、その回転角度に応じた回転角度だけシャフトの先端に備えられている回転関節が回転する。屈曲関節は回転関節の先端側に配置されているので、回転関節が回転させられると、屈曲関節も一緒に回転する。その結果、屈曲関節の屈曲方向が回転関節の回転に伴って変化する。これに対して、屈曲関節に屈曲指令を入力するための操作位置が回転部材に固定されているので、回転関節を回転させるために回転部材を回転させると、屈曲関節に屈曲指令を入力するための操作位置も回転部材の回転に伴って回転する。
【0008】
例えば、シャフトの長手軸が水平に配置された状態で、屈曲関節の屈曲方向が上下方向であり、回転部材に固定された屈曲関節のための操作位置が上下に配置されている場合に、回転部材を時計回りに45°回転させると回転関節が時計回りに45°回転させられる結果、屈曲関節の屈曲方向が右斜め45°方向に変化するが、回転部材上の操作位置も右斜め45°方向に回転するので、操作者は操作位置と屈曲方向との対応付けを直感的に理解することができ、混乱することなく屈曲関節を屈曲させるための適正な屈曲指令を入力することができる。
【0009】
上記態様においては、前記屈曲入力部が、前記回転部材に取り付けられ、該回転部材の回転と共に回転させられるスイッチであってもよい。
操作装置の回転部材を回転させてマニピュレータの回転関節を回転操作すると、マニピュレータの回転関節よりも先端側にある屈曲関節の屈曲方向も回転する。しかし、操作装置の回転部材に取り付けられた屈曲指令を入力するためのスイッチも回転部材と共に回転させられるので、操作の初めにマニピュレータの屈曲関節の屈曲方向と操作装置の屈曲指令を入力するスイッチの方向を合わせておけば、その後は回転関節を操作しても屈曲方向とスイッチの方向は一致する。そのため、操作者はスイッチを操作するだけでその周方向位置に対応する方向に屈曲関節を屈曲操作することができる。すなわち、操作者はスイッチの位置と屈曲方向との対応付けを直感的に理解することができ、混乱することなく屈曲関節を屈曲させるための適正な屈曲指令を入力することができる。
【0010】
また、上記態様においては、前記手術用マニピュレータが2つの屈曲関節を備え、異なる屈曲関節の屈曲指令を入力する前記屈曲入力部が、前記回転部材の異なる周方向位置に配置されていてもよい。
【0011】
また、上記態様においては、前記屈曲入力部が、前記把持部に固定され、前記回転部材の周方向に複数配列され前記回転部材に対して屈曲指令が入力された周方向位置を検出するセンサと、前記回転部材の回転角度および前記屈曲指令を検出した前記センサの位置に応じて屈曲指令信号を生成する信号生成部とを備えていてもよい。
【0012】
このようにすることで、操作者が、屈曲関節に屈曲指令を入力するために、回転部材上の周方向のいずれかの位置を操作すると、その周方向位置がセンサにより検出される。屈曲関節を特定の方向に屈曲させるための操作位置は回転部材上に固定されているが、センサは把持部に固定されているので、周方向位置を検出したセンサが同じでも、回転部材の回転角度が異なる場合には、屈曲関節を異なる方向に屈曲させるための屈曲指令となる。
【0013】
したがって、信号生成部が、回転部材の回転角度と屈曲指令を検出したセンサの位置とから屈曲指令信号を生成することにより、回転部材の回転角度に応じて屈曲指令を入力するための操作位置を回転させることができ、回転関節が回転しても、操作者が混乱することなく屈曲関節を屈曲させるための適正な屈曲指令を入力することができる。また、回転部材にセンサを設けないので、可動配線が不要となり、装置を簡易に構成することができる。
【0014】
また、上記態様においては、前記回転部材が前記把持部に対して着脱可能に設けられ、該回転部材を回転可能に支持する貫通孔を備えるとともに、前記把持部全体を被覆するドレープを備えていてもよい。
このようにすることで、ドレープによって把持部全体を被覆した状態で、ドレープの貫通孔に回転可能に支持された回転部材を把持部に取り付けることにより、把持部が汚れることをドレープによって防止しつつ、ドレープを損傷することなく回転部材の回転を把持部側に伝達することができる。これにより、ドレープと回転部材とをディスポーザブルに構成し、把持部側を再利用することができる。
【0015】
また、上記態様においては、前記回転部材の表面に、該回転部材の特定の周方向位置を触覚により識別可能な指標が設けられていてもよい。
このようにすることで、操作者は、回転部材の表面に設けられた指標を指で触れることにより、回転部材の状態を認識することができ、回転部材を目視することなく、手の触覚だけで、回転関節および屈曲関節に対する適正な動作指令を入力することができる。
【0016】
また、上記態様においては、前記把持部が、前記回転部材を
前記シャフトの基端側に向けて前記シャフトに取り付けられていてもよい。
このようにすることで、回転入力部および屈曲入力部を、内視鏡画像に表示されている回転関節の角度および屈曲関節の屈曲方向に揃えて配置することができる。
【0017】
また、上記態様においては、前記把持部が、前記回転部材を
前記シャフトの先端側に向けて前記シャフトに取り付けられていてもよい。
このようにすることで、回転入力部および屈曲入力部を、内視鏡画像に表示されている回転関節および屈曲関節の順序まで揃えて配置することができる。これにより、あたかも手術用マニピュレータの回転関節および屈曲関節を直接把持して操作しているかのような操作感を提供することができる。
【0018】
また、上記態様においては、前記手術用マニピュレータが、シャフトを長手軸方向に駆動する移動機構を備え、前記把持部の前後方向への移動量によって前記移動機構への移動指令を入力する移動入力部を備えていてもよい。
このようにすることで、移動入力部によって把持部を前後方向に移動させて移動指令を入力することにより、移動指令に対応した距離だけ移動機構によってシャフトを長手軸方向に駆動することができる。
【0019】
また、本発明の他の態様は、上記いずれかの手術用マニピュレータ操作装置を備える手術用マニピュレータシステムを提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、先端に少なくとも2関節を有する手術用マニピュレータを操作者が混乱することなく直感的に操作できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る手術用マニピュレータシステムを示す全体構成図である。
【
図2】
図1の手術用マニピュレータシステムに用いられる手術用マニピュレータの概略構成を示す斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る手術用マニピュレータ操作装置を示す斜視図である。
【
図4】
図1の手術用マニピュレータシステムに備えられるマニピュレータ操作部を説明する斜視図である。
【
図5】
図4のマニピュレータ操作部に備えられる手動操作部を示す斜視図である。
【
図6】
図2の手術用マニピュレータの回転関節によりエンドエフェクタの揺動方向が回転した状態を示す斜視図である。
【
図7】
図6の動作を行わせるための
図3の手術用マニピュレータ操作装置の操作を説明する斜視図である。
【
図8】
図3の手術用マニピュレータ操作装置の第1の変形例を示す斜視図である。
【
図9】
図3の手術用マニピュレータ操作装置の第2の変形例を示す斜視図である。
【
図10】手術用マニピュレータの他の軸構成を示す(a)概略図、(b)斜視図である。
【
図11】
図10の手術用マニピュレータを操作するための
図3の手術用マニピュレータ操作装置の第3の変形例を示す斜視図である。
【
図12】
図10の手術用マニピュレータを操作するための
図3の手術用マニピュレータ操作装置の第4の変形例を示す斜視図である。
【
図13】
図10の手術用マニピュレータを操作するための
図3の手術用マニピュレータ操作装置の第5の変形例を示す斜視図である。
【
図14】
図3の手術用マニピュレータ操作装置の第6の変形例を示す斜視図である。
【
図15】
図14の手術用マニピュレータ操作装置の操作を説明する模式図である。
【
図16】
図14の手術用マニピュレータ操作装置の操作を説明する他の模式図である。
【
図17】
図3の手術用マニピュレータ操作装置の第7の変形例であって、(a)再利用部分、(b)ドレープをそれぞれ示す斜視図である。
【
図18】
図17のドレープに取り付けられたダイヤルを示す縦断面図である。
【
図19】
図17のドレープによって被覆した状態の手術用マニピュレータ操作装置を示す斜視図である。
【
図20】
図3の手術用マニピュレータ操作装置の第8の変形例を示す斜視図である。
【
図21】ダイヤルを他の用途に利用する一例を示す図である。
【
図22】
図21に対応するメニュー画面の一例を示す図である。
【
図23】ダイヤルの回転角度範囲の両端を検出するリミットセンサを説明する図である。
【
図24】
図23のリミットセンサを用いた角度補正の方法を示すフローチャートである。
【
図25】ダイヤルの回しすぎを防止する構造の一例を示す図である。
【
図26】ダイヤルの回転角度を精度よく検出する構造の一例を示す図である。
【
図27】ダイヤルの回しやすさを向上するための構造の一例を示す図である。
【
図28】
図3の手術用マニピュレータ操作装置の第9の変形例を示す斜視図である。
【
図29】
図1の手術用マニピュレータシステムの変形例を示す全体構成図である。
【
図30】
図1の手術用マニピュレータシステムの他の変形例を示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態に係る手術用マニピュレータシステム1について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る手術用マニピュレータシステム1は、
図1に示されるように、軟性内視鏡2の挿入部3の先端部にベルト状の固縛具3bにより固定されて作動させられるマニピュレータ4と、該マニピュレータ4を操作するためのマニピュレータ操作部5と、該マニピュレータ操作部5により入力された操作指令に基づいてマニピュレータ4を制御する制御部6と、軟性内視鏡2により取得された画像を表示するモニタ7とを備えている。
【0023】
マニピュレータ4は、挿入部3の先端面3aから前方に、軟性内視鏡2の視野範囲内に突出状態に配置される2つの多関節処置具8と、各多関節処置具8全体を移動させるための移動機構10と、電動により各多関節処置具8を動作させるための多関節処置具駆動機構11とを備えている。多関節処置具8は電動で操作される回転関節8aと、該回転関節8aよりも先端側に配置される屈曲関節8bとを有し、先端に把持鉗子やエネルギ鉗子等のエンドエフェクタ12を備えている。
【0024】
移動機構10は、各多関節処置具8を所定の方向に揺動させる湾曲アーム(図示略)を備えている。また、移動機構10は、湾曲アームに対して多関節処置具8を進退する方向に移動可能に支持している。
【0025】
これにより、移動機構10は、湾曲アームを所定の方向に揺動させることで、多関節処置具8全体の方向を変更することができ、湾曲アームに対して多関節処置具8を進退する方向に移動させることにより多関節処置具8全体を前後進させて、先端のエンドエフェクタ12を軟性内視鏡2の視野範囲内において前進または後退させることができるようになっている。
【0026】
移動機構10の湾曲アームの基端側には、細長く柔軟なガイドチューブ13が接続されている。ガイドチューブ13は、図示しない複数本のワイヤを全長にわたって貫通させている。ワイヤの先端は湾曲アームに接続され、張力によって湾曲アームを揺動させるようになっている。ワイヤの基端は、ガイドチューブ13の基端側に配置された後述するマニピュレータ操作部5に接続されている。
【0027】
多関節処置具8の基端側には、細長く柔軟な軟性部(シャフト)14がそれぞれ接続されている。各軟性部14は、各多関節処置具8の関節8a,8bを駆動するための図示しない複数本のワイヤを全長にわたって貫通させている。ワイヤの先端は各関節8a,8bに接続され、張力によって各関節8a,8bを独立して駆動することができるようになっている。
【0028】
ここで、本実施形態の説明に当たり、多関節処置具8の概略構造を
図2に例示して説明する。多関節処置具8の回転関節8aは、軟性部14の長手軸回りに回転可能に設けられている。また、多関節処置具8の屈曲関節8bは、回転関節8aの先端側に取り付けられ軟性部14の長手軸に直交する軸線回りにエンドエフェクタ12を揺動させるようになっている。
【0029】
また、軟性部14は、その基端側において、モータユニット15に接続されている。モータユニット15は、軟性部14内部を貫通している各ワイヤに個別に張力を付与する複数のモータ(図示略)を備え、制御部6からの指令によって駆動されるようになっている。モータユニット15は、
図1に示されるように、操作台16の側面に、医師(操作者)毎に最適な位置に配置できるように位置調節可能に、軟性部14との接続部を鉛直上方に向けて、水平軸線回りに揺動可能に吊り下げられている。
【0030】
ガイドチューブ13には、長手方向全長にわたって貫通する図示しないチャネルが設けられ、該チャネル内には軟性部14が、長手方向に移動可能に挿入されている。湾曲アームに対する多関節処置具8の進退動作は、ガイドチューブ13の基端側において、軟性部14自体を手動で長手方向に移動させることにより実施されるようになっている。
【0031】
マニピュレータ操作部5は、
図1および
図4に示されるように、操作者が両手で操作するために、左右一対の操作装置5aを備えている。例えば、左側の操作装置5aは左側の多関節処置具8を操作するためのものであり、右側の操作装置5aは右側の多関節処置具8を操作するためのものである。
【0032】
各操作装置5aは、手動操作部17と電動操作部(手術用マニピュレータ操作装置)18とを備えている。
手動操作部17は、
図4および
図5に示されるように、操作台16に、医師毎に最適な位置に配置できるように位置調節可能あるいは着脱可能に固定された2つのベース部17aと、該ベース部17aに対して上下方向に延びる軸線回りに揺動可能に支持された円筒状の揺動部17bと、該揺動部17b内に配置され長手方向に移動可能に支持された円筒状の可動部17cとを備えている。
【0033】
可動部17cは、揺動部17bに対して長手方向の相対移動のみ許容され、径方向の相対移動は拘束されている。これにより、可動部17cに対して、揺動部17bの揺動方向に一致する径方向に力を加えると、可動部17cは揺動部17bとともに揺動させられるようになっている。
軟性部14は、可動部17c、揺動部17bおよびベース部17aを貫通して延びており、可動部17cに着脱可能に固定されている。
【0034】
本実施形態に係る電動操作部18は、
図3および
図4に示されるように、操作者により把持される把持部18aと、該把持部18aを把持した手(例えば、右手)の人差し指で操作される第1の操作入力部18bと、同じく把持した手の親指で操作される第2の操作入力部18cと、電動操作部18を手動操作部17の可動部17cに着脱可能に固定するための着脱部18dとを備えている。
【0035】
第1の操作入力部18bは、例えば、多関節処置具8の先端のエンドエフェクタ12を作動させるための指令信号を入力するようになっている。また、第2の操作入力部18cは、多関節処置具8の回転関節8aを駆動してエンドエフェクタ12を長手軸回りに回転させるダイヤル(回転部材)18eと、該ダイヤル18e上に配置され、多関節処置具8の屈曲関節8bを揺動させる2つのスイッチ18f,18gとを備えている。
【0036】
ダイヤル18eは、電動操作部18を可動部17cに固定したときに、可動部17cの長手軸、すなわち、該可動部17cを貫通する軟性部14の長手軸に略平行に配置される軸線回りに回転可能な円板状に形成されている。また、ダイヤル18eは電動操作部18を可動部17cに固定した状態で、軟性部14の基端側に向かう方向に配置されるようになっている。すなわち、操作者が把持部18aを把持すると、把持した手の親指が配置される位置にダイヤル18eが操作者側に向かって配置されるようになっている。
【0037】
ダイヤル18eの中央には直径方向に延びる突起(指標)18hが設けられている。突起18hは2つのスイッチ18f,18gを分離するように間に配置されており、ダイヤル18eを親指で操作する操作者は、親指の触覚によってダイヤル18eにおける突起18hの位置および方向を容易に認識することができるとともに、突起18hによって分離された位置に配置されている2つのスイッチ18f,18gの位置も親指の触覚によって容易に認識することができるようになっている。
【0038】
また、2つのスイッチ18f,18gは、突起18hの両側に比較的広い範囲にわたって設けられている。これにより、スイッチ18f,18gを操作する操作者の親指の位置がスイッチ18f,18gの中心から多少ずれていても、スイッチ18f,18gを正しく操作することができるようになっている。
【0039】
また、着脱部18dは、可動部17cを貫通させて固定する取付孔18iと、把持部18aの上端に設けられた凹部18jに嵌合させて長手軸回りに90°捻ることにより把持部18aを可動部17cに着脱可能に固定する固定突起部18kとを備えている。
【0040】
そして、このようにして、可動部17cを介して電動操作部18を軟性部14に固定することで、先端部が患者の身体内部に導入される軟性部14に、操作者が触れる電動操作部18が直接接触しないようにしつつ電動操作部18によって手動操作部17を操作することができるようになっている。
【0041】
このように構成された本実施形態に係る電動操作部18および手術用マニピュレータシステム1の作用について以下に説明する。
本実施形態に係る手術用マニピュレータシステム1を用いて患者の体内の患部の処置を行うには、まず、2つの多関節処置具8を先端面3aから突出させた状態に固定した軟性内視鏡2の挿入部3を手動で体内に導入していき、軟性内視鏡2による撮影画像をモニタ7に表示して確認しながら軟性内視鏡2の視野範囲内に患部が配置されるように軟性内視鏡2の先端部の位置を調節する。
【0042】
次いで、操作者は、モニタ7に表示されている患部周辺の内視鏡画像を見ながら、多関節処置具8の先端を患部に近接させていく。この場合には、まず、操作者は、2つの電動操作部18の把持部18aを両手で把持して、操作入力部18b,18cを操作することなく、電動操作部18を移動させる。
【0043】
すなわち、電動操作部18を左右に移動させて、手動操作部17のベース部17aに対して揺動部17bを揺動させることにより、挿入部3の先端に固定されている移動機構10の湾曲アームを対応する方向に揺動させて、多関節処置具8を全体的に左右に移動させる。また、電動操作部18を前後に移動させて、手動操作部17の揺動部17bに対して可動部17cを進退させることにより、多関節処置具8全体を進退させる。
【0044】
これにより、多関節処置具8の先端が患部に対して大まかに位置合わせされるので、この状態で、操作者は電動操作部18に備えられた第2の操作入力部18cを操作して、各多関節処置具8の回転関節8aおよび屈曲関節8bを電動で駆動して患部に対して精密に位置合わせし、第1の操作入力部18bを操作してエンドエフェクタ12を作動させる。これにより、患部を処置することができる。
【0045】
この場合において、本実施形態に係る電動操作部18によれば、例えば、
図3に示されるように、把持部18aに取り付けられたダイヤル18eが突起18hを上下方向に配置する回転位置に配置されたときには、ダイヤル18e上の2つのスイッチ18f,18gは、突起18hの左右に配置される。したがって、いずれかのスイッチ18f,18gを押すことで、
図2に示されるように、屈曲関節8bによってエンドエフェクタ12を左右方向に揺動させることができる。
【0046】
操作を開始するときに、スイッチ18f,18gの位置関係と内視鏡画面に見える多関節処置具8の屈曲関節8bの揺動方向を合わせる初期化を行うことが望ましい。初期状態では多関節処置具8と電動操作部18のスイッチ18f,18gとが同じ方向になるようにイニシャライズ動作が行われてもよい。また、操作前に電動操作部18と多関節処置具8との連動(マスタスレーブ)が切断された状態で、操作者自身がダイヤル18eを回して方向を一致させてからクラッチスイッチ(図示略)によりマスタスレーブを接続してもよい。操作中にスイッチ18f,18gの方向と多関節処置具8の方向とがずれた場合にも、同様の方法で方向の一致を維持すればよい。
【0047】
一方、
図7に示されるように、ダイヤル18eが回転させられると、
図6に示されるように、回転関節8aが回転させられる結果、回転関節8aの先端側に配置されている屈曲関節8bの屈曲方向が斜め左右方向に変化する。この場合に、本実施形態によれば、2つのスイッチ18f,18gがダイヤル18e上に備えられているので、
図7に示されるように、ダイヤル18eを回すと、スイッチ18f,18gも回転してその配列方向も斜め左右方向に変化する。
【0048】
すなわち、操作者にとっては、モニタ7上に表示されている内視鏡画像内の多関節処置具8における回転関節8aの回転方向と把持している電動操作部18のダイヤル18eの回転方向とが一致し、かつ、屈曲関節8bによるエンドエフェクタ12の揺動方向も、ダイヤル18e上のスイッチ18g,18gの配列方向に一致している。したがって、操作者は、エンドエフェクタ12を所望の方向に揺動させるためのダイヤル18eおよびスイッチ18f,18gの操作方向を直感的に理解することができ、回転関節8aを作動させるためにダイヤル18eを回しても、屈曲関節18bを屈曲させるための適正な屈曲指令を混乱することなく入力することができるという利点がある。
【0049】
また、本実施形態によれば、ダイヤル18e上に突起18hを設けたので、操作者はダイヤル18e上の突起18hの位置によってダイヤル18eの回転角度を確認することができる。また、該突起18hを挟んで両側にスイッチ18f,18gを配置したので、操作者は突起18hを基準としてスイッチ18f,18gの位置を容易に確認することができる。
【0050】
特に、突起18hのように触覚によって確認できる指標によってダイヤル18eの回転角度を確認できるようにしたので、突起18hの方向を親指の触覚で確認するだけで、その両側のスイッチ18f,18gの配列方向も確認することができ、モニタ7上から目を離すことなく、手探りでエンドエフェクタ12を正しい方向に揺動させることができる。そのため、操作者は術野(操作するエンドエフェクタ12および対象臓器)を常に視認した状態で操作でき、操作効率を向上して手術時間を短縮することができる。
【0051】
術野から目を離さずに済むので、エンドエフェクタ12が意図せずに臓器に近づくことも防止できる。また、スイッチ18f,18gが比較的大きく形成されているので、操作者の親指がスイッチ18f,18gの中心からずれていても、確実にスイッチ18f,18gを操作することができる。突起18hに代えて、溝のような凹部を採用しても同様の機能を果たすことができる。
【0052】
なお、本実施形態においては、突起18hを挟んで両側にスイッチ18f,18gを設けることにしたが、これに代えて、
図8に示されるように、突起18h上にスイッチ18f,18gを配置してもよい。この場合には、突起18hの延びる方向がスイッチ18f,18gの配列方向に一致するので、エンドエフェクタ12の揺動方向に突起18hの延びる方向を一致させるようにダイヤル18eを回転させればよい。
【0053】
また、
図9に示されるように、ダイヤル18eに設けたスイッチ19自体を突起として活用することにしてもよい。
また、多関節処置具8の軸構成としては、
図10(a),(b)に示されるように、回転関節8aの先端側に2以上の屈曲関節8b,8cが直列に配列されていてもよい。
図10(a),(b)に示す例では、相互に直交する方向に屈折する2つの屈曲関節8b,8cが配列されている。
【0054】
そして、この場合には、電動操作部18のダイヤル18eには
図11に示されるように、相互に直交する2方向の屈曲関節8b,8cを個別に操作するための2組のスイッチ18f,18g:20a,20bが配列されていることにすればよい。
図11に示す例では、突起18hを挟む両側に配置された1組のスイッチ18f,18gと、突起18hの延びる方向に配列された1組のスイッチ20a,20bとによって、相互に直交する屈曲方向の屈曲関節8b,8cを個別に操作することができる。
【0055】
また、
図12に示す例では、ダイヤル18e上に配置されるスイッチ21自体を十字キーにより構成し、十字キーからなるスイッチ21によって直交する2方向の屈曲指令を入力するようにしている。また、十字キーからなるスイッチ21が、触覚によりダイヤル18eの方向を確認可能な指標となっている。
【0056】
また、
図13に示す例では、ダイヤル18e上に設けた十字上の溝22aに沿って2方向に揺動可能なジョイスティック方式のスイッチ22bを設けている。これによっても、回転関節8aを作動させるためにダイヤル18eを回しても、2つの屈曲関節8b,8cを個別に屈曲させるための適正な屈曲指令を混乱することなく入力することができる。
【0057】
また、本実施形態においては、ダイヤル18e上にダイヤル18eと共に回転するスイッチ18f,18gを設けることとしたが、これに代えて、ダイヤル18e上にスイッチを設けることなく、同様の機能を達成することにしてもよい。
図14に示す例では、ダイヤル18e上には突起18hのみが設けられている。
【0058】
ダイヤル18eはその外周近傍の周方向のいずれかの位置を選択して押すことができるように構成されており、ダイヤル18eの裏側の把持部18a側に、ダイヤル18eの押された周方向位置(操作位置)を検出するセンサ23a〜23dを配置しておく。そして、ダイヤル18eの回転角度とセンサ23a〜23dにより検出した操作位置とから屈曲関節8b,8cへの屈曲指令を生成して出力する信号生成部(図示略)を備えていればよい。
【0059】
さらに具体的に説明すると、
図15に示されるように、ダイヤル18eの中央を中心として上下左右に4個のセンサ23a〜23dが配置されており、ダイヤル18eの周方向の押された位置を検出するようになっている。
図15において最外周のV溝24は、例えば、
図14のダイヤル18eにおける突起18hの上端位置を示しているものとする。
【0060】
突起18hが、
図14の位置を中心とした±45°、合計90°の範囲に配置されているときには、信号生成部は、
図15(a)、(b)に示されるように、ダイヤル18eの上側を押すと、エンドエフェクタ12が上側(U)に揺動、ダイヤル18eの下側を押すと下側(D)に揺動、ダイヤル18eの左側を押すと左側(L)に揺動、ダイヤル18eの右側を押すと右側(R)に揺動する屈曲指令を生成して出力するようになっている。
【0061】
そして、ダイヤル18eがさらに回されて突起18hが上記90°の範囲を超えたときには、
図15(c)に示されるように、信号生成部により生成される屈曲指令が変化するようになっている。すなわち、最外周のV溝24位置を押すとエンドエフェクタ12が上側(U)に揺動する屈曲指令を生成して出力するようになっている。ダイヤル18eがさらに回されて突起18hが次の90°の範囲を超えたときにも、
図15(d)に示されるように、最外周のV溝24位置を押すと、信号生成部は、エンドエフェクタ12が上側(U)に揺動する屈曲指令を生成して出力するようになっている。
【0062】
このようにしても、ダイヤル18eの回転位置にかかわらず、V溝24位置を押すと必ずエンドエフェクタ12が上側(U)に揺動する屈曲指令を生成することができる。したがって、回転するダイヤル18e上にスイッチ18f,18gを配置する必要がないので、センサ23a〜23dへの配線を容易化することができる。
【0063】
また、
図15に示す例では、ダイヤル18eの回転角度90°毎に同じセンサ23a〜23dにより操作位置が検出された場合に生成される屈曲指令を切り替えることとしたが、これに代えて、同時に2つのセンサ23a〜23dによる検出を許容する場合には、
図16に示されるように、ダイヤル18eの回転角度45°毎に同じセンサ23a〜23dにより操作位置が検出される場合に生成される屈曲指令を切り替えることにしてもよい。
【0064】
具体的には、突起18hが、
図14の位置を中心とした±22.5°、合計45°の範囲に配置されているときに、信号生成部が、
図16(a)に示されるように、ダイヤル18eの上側を押すと、エンドエフェクタ12が上側(U)に揺動する屈曲指令を生成して出力する状態から、ダイヤル18eが上記45°の範囲を超えて、45°回転される毎に、
図16(b)〜(d)に示されるように、信号生成部により生成される屈曲指令が変化するようにすればよい。
【0065】
検出センサは上記の構成によらず、角度分解能がいくつであっても同様の方法で実現できる。例えば、タッチパネルセンサのように検出センサが周方向のすべて位置情報を連続的に取得できる場合は、ダイヤル18eの回転量分だけセンサと出力のマッピング関係を移動させることで実現できる。
【0066】
また、
図17〜
図19に示されるように、ドレープ25によって電動操作部18を被覆することにより、電動操作部18を再利用することができる。電動操作部18はスイッチ18f,18g等のセンサを含むため、高温蒸気による滅菌方法は困難となる。そのため、操作前に滅菌されたドレープ25で覆い、全ての操作終了後にそのドレープ25を捨てることで電動操作部18を再利用することが好ましい。この場合に、ダイヤル18eごとドレープ25で被覆するとダイヤル18eの操作が困難となるため、
図17に示されるように、把持部18aに対して着脱可能としたダイヤル18eをドレープ25側に設けることにすればよい。
【0067】
すなわち,
図18に示されるように、ドレープ25の一部に貫通孔25aを設け、該貫通孔25aにリング状のシール部材26を配置し、該シール部材26にダイヤル18eを回転可能に嵌合させることにすればよい。これにより、
図17(a)、(b)に示されるように分離された状態から、
図17(a)に示される把持部18aに
図17(b)に示されるドレープ25を被せ、ドレープ25側のダイヤル18eの取付軸27aを把持部18aの嵌合孔27bに嵌合させることにより、
図19に示されるように、ダイヤル18eのみを露出させて把持部18a全体をドレープ25によって被覆することができる。
図19において、符号28は把持部18aに接続するケーブル29を貫通させる孔を閉じる止め輪(伸縮ゴム)である。止め輪28を広げて、その止め輪28の中へ把持部18a全体を入れてドレープ25を被せ、ダイヤル18eを取り付けて固定すればよい。
【0068】
また、本実施形態においては、
図20に示されるように、ダイヤル18eにエンドエフェクタ12を作動させる操作キー30が設けられていてもよい。
図20に示す例では、突起18hに操作キー30が設けられている。これにより、操作者はダイヤル18eを見ることなく、突起18hを手がかりにしてダイヤル18eの回転角度や、スイッチ18f,18gおよび操作キー30の位置を触覚によって確認することができる。
【0069】
操作キー30は、多関節処置具8の姿勢と電動操作部18のスイッチ18f,18gの方向とがずれた際に、姿勢あわせを行うために使用してもよい。また、操作開始時のイニシャライズ動作にも同様の方法で利用できる。このように、触覚によって確認する位置に設置することで、ダイヤル18eやスイッチ18f,18gによる回転入力や屈曲入力の操作中にもモニタ7から目を離すことなく容易に姿勢あわせモードへの切り替えを行うことができる。
また、エンドエフェクタ12が高周波電源を利用する処置具であった場合、操作キー30を高周波処置具の通電スイッチとして使用してもよい。この場合も、多関節処置具8の関節8a,8bの操作と、高周波処置具への通電の操作をシームレスに行うことができる。
【0070】
また、本実施形態においては、多関節処置具8を操作するために操作者が操作するダイヤル18eを他の操作のために利用できることにしてもよい。
例えば、多関節処置具8を操作するための操作モードの他に、他のモードを用意し、他のモードが選択されている場合には、
図21に示されるように、機能A〜Dを選択するための選択ダイヤルとして使用してもよい。そして、ダイヤル18e上のスイッチまたはダイヤル18eの周方向の一部が押された場合には、機能の選択を確定させることにすればよい。
図22は、他のモードが洗濯されている場合のメニュー表示の一例である。
【0071】
また、ダイヤル18eの所定の回転角度を検出するリミットセンサ31を設け、該リミットセンサ31による検出結果を用いて、ダイヤル18eの回転角度と回転関節8aの回転角度とのズレを補正することにしてもよい。
例えば、
図23に示す例では、ダイヤル18eの回転角度範囲の両端±180°をリミットセンサ31により検出している。図中、符号32は検出用のドグである。
【0072】
回転角度ズレの補正方法としては、
図24に示されるように、例えば、リミットセンサ31が+180°を検出したときに、制御部6が保持しているダイヤル18eの現在角度と比較して(ステップS1)、角度差が所定の閾値より大きいときには、電動操作部18の回転センサ(図示略)あるいはリミットセンサ31に異常があるとしてこれを報知する(ステップS2)。一方、角度差が小さいときには、制御部6が保持しているダイヤル18eの現在角度を+180°に更新する(ステップS3)。
【0073】
次いで、多関節処置具8の回転関節8aの角度を取得し(ステップS4)、取得された回転関節8aの角度と+180°とを比較し(ステップS5)、角度差が所定の閾値より大きいときには姿勢一致モードを実施し(ステップS6)、角度差が小さいときには操作を継続する。
【0074】
姿勢一致モードにおいてダイヤル18eの回転角度と多関節処置具8の回転関節8aの角度とを一致させる方法としては、以下の方法が考えられる。
例えば、リミットセンサ31が+180°を検出したときに、回転関節8aの角度が+160°であった場合には、ダイヤル18eを回してダイヤル18eの回転角度が+160°に達するまで回転関節8aを動作させず、+160°に達した時点でダイヤル18eの回転角に応じて回転関節8aを回転させる方法を挙げることができる。
【0075】
また、例えば、ダイヤル18eの所定の動作範囲(例えば、+180°〜+110°)では、ダイヤル18eの回転角に対する回転関節8aの回転角の比率(モーションスケール比)を下げて動作させ、角度が一致した時点(+110°の時点)で比率を1に戻して動作させることにしてもよい。この方法によれば、ダイヤル18eの操作に応じて回転関節8aが常に動作するので、操作者に異常を気づかせることなく操作させることができる。
【0076】
また、回転関節8aとダイヤル18eとの対応関係について特別な操作を行うことなく初期化する場合には、最初にリミットスイッチ31がダイヤル18eの回転角度範囲の限界を検出される迄は、ダイヤル18eに対する回転関節8aのモーションスケール比を下げて動作させ、リミットスイッチ31が限界を検出した場合には、そのときの回転関節8aの角度を取得して、取得された回転関節8aの角度に一致するまで、ダイヤル18eの回転にかかわらず回転関節8aを動作させないようにすればよい。
【0077】
また、操作者による操作によってダイヤル18eが勢いよく回転してしまうのを防止するために、例えば、
図25に示されるように、ダイヤル18eに設けたギヤ33に、把持部18a側に設けた板バネ34を押し当てて、ダイヤル18eの回転に対して抵抗を与えることにしてもよい。
また、ダイヤル18eの回転角度を精度よく検出するために、
図26に示されるように、ダイヤル18eに設けたギヤ33に噛み合う小ギヤ35に回転センサ36を設けることにより、回転センサ36の回転をダイヤル18eよりも増速させて分解能を向上することにしてもよい。
また、操作者がダイヤル18eを回しやすくするために、
図27に示されるように、ダイヤル18eの周囲に凹凸37を設け、指をかけ易くすることにしてもよい。
【0078】
また、本実施形態においては、
図4に示されるように、ダイヤル18eが軟性部14の基端側に向かうように電動操作部18を可動部17cに固定したが、これに代えて、
図28に示されるように、ダイヤル18eが軟性部14の先端側に向かうように電動操作部18を可動部17cに固定してもよい。
図28に示す例では、2つの屈曲関節8b,8cを操作するジョイスティックタイプのスイッチ38を取り付けている。
【0079】
このようにすることで、把持部18aを把持した手の親指でダイヤル18eを回転させ、人差し指と中指でスイッチ38を操作することになる。この場合には、多関節処置具8における関節8a〜8cの配列が、基端側に回転関節8a、先端側に2つの屈曲関節8b,8cという配列となっているのに対し、電動操作部18においても、回転関節8aを操作するダイヤル18eが基端側に、屈曲関節8b,8cを操作するスイッチ38が先端側に配置される配列となるので、操作者は、あたかも多関節処置具8を握って操作しているような操作感を得ることができる。
【0080】
また、本実施形態においては、挿入部3に固縛具3bによって固定したマニピュレータ4の多関節処置具8を、手動操作部17の可動部17cに固定した電動操作部18によって操作することとしたが、これに代えて、
図29に示されるように、内視鏡2の挿入部3に設けられたチャネル39を経由して導入した軟性部14を、挿入部3の基端側において、電動操作部18を把持する手で押し引きすることにしてもよい。
【0081】
また、本実施形態における内視鏡2を用いた手術に限定されるものではなく、
図30に示されるように腹腔鏡手術に用いられる処置具に適用することもできる。
また、本実施形態においては、軟性部14を固定した可動部17cを手動で長手軸方向に移動させることとしたが、これに代えて、軟性部14を電動で長手軸方向に移動させる直動装置(図示略)を設けるとともに、電動操作部も直動機構によって移動可能に支持し、電動操作部の移動量を検出して、直動装置を制御することにしてもよい。