特許第6238848号(P6238848)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238848
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】風呂装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/00 20060101AFI20171120BHJP
   A47K 3/00 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   F24H1/00 602M
   A47K3/00 N
   A47K3/00 E
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-143987(P2014-143987)
(22)【出願日】2014年7月14日
(65)【公開番号】特開2016-20763(P2016-20763A)
(43)【公開日】2016年2月4日
【審査請求日】2016年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】諸橋 信人
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 靖
(72)【発明者】
【氏名】本間 誠
(72)【発明者】
【氏名】佐山 和也
(72)【発明者】
【氏名】米山 正敏
【審査官】 宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−169271(JP,A)
【文献】 特開平04−174250(JP,A)
【文献】 特開2014−199168(JP,A)
【文献】 特開2001−248900(JP,A)
【文献】 特開平06−180144(JP,A)
【文献】 特開2004−116932(JP,A)
【文献】 特開2004−143987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
A47K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽水を加熱する加熱手段と、該加熱手段と浴槽との間を浴槽水が循環可能に接続した風呂回路と、該風呂回路の途中に設置され配管内の圧力を電圧に変換して出力電圧値を検知する水位センサと、該水位センサで検知された出力電圧値から浴槽の水位を算出する浴槽水位算出手段と、設定水位まで浴槽に湯水を供給し所定時間だけ設定温度で保温する風呂自動運転を制御する制御部とを備え、前記制御部は、所定の学習条件を満たす場合に学習タイマーで経過時間をカウントし、経過時間中に前記水位センサで検知された出力電圧値の増加量を取得して経過時間と組で記憶し、記憶した経過時間に対する出力電圧値の増加量のデータから近似式を算出して、所定の補正条件を満たす場合に補正タイマーで経過時間をカウントし、該カウントした経過時間を前記近似式に当てはめて算出された値を前記水位センサの出力電圧値から減算することを特徴とする風呂装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記風呂自動運転中に前記浴槽水位算出手段で算出された浴槽水位の変化が所定範囲内の時かつ前記風呂回路内で湯水が流動していない時を前記所定の学習条件を満たす場合として、前記学習タイマーで経過時間をカウントすることを特徴とする請求項1記載の風呂装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記風呂自動運転中に前記浴槽水位算出手段で算出された浴槽水位の変化が所定範囲内の時かつ前記風呂回路内で湯水が流動していない時を前記所定の補正条件を満たす場合として、前記補正タイマーでカウントされた経過時間を前記近似式に当てはめて前記水位センサで検知された出力電圧値を補正することを特徴とする請求項1又は2記載の風呂装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、加熱手段で加熱して設定温度に調節した湯水を浴槽内に流入して設定水位を保持する風呂装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものにおいて、浴槽内に設定湯張り量の湯水を流入した後、浴槽に接続された風呂回路の途中に設置され、風呂回路内の圧力を出力電圧値に変換する水位センサにより浴槽の水位を算出して常時監視し、浴槽内の水位が予め設定された設定水位より所定値だけ低くなったと判断したら、設定温度に調節した湯水を浴槽に供給して設定水位を保持する風呂装置があり、検知温度による出力電圧値と圧力の関係を補正する制御を行うことで水位センサの検知精度を高め、入浴者が常時設定水位の浴槽水が貯められた浴槽に入浴可能な状態としていた。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−169217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、風呂回路内の浴槽水の温度が低下すると風呂回路内の水の密度が大きくなって圧力が増加するため出力電圧値が上昇し、実際には浴槽の水位が変化していないにも関わらず水位センサで検知される出力電圧値が上昇したことで浴槽の水位が増加したと誤検知するため、特に浴槽が2階や3階に設置され水位センサと浴槽との距離が大きいような設置がされると、従来の水位センサの温度補正では対応できないレベルのずれが生じて、浴槽内の水位が減少しても湯水が浴槽に供給され難い状態に陥り、また、湯水が供給されても設定水位より低い水位で供給が停止することから改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、浴槽水を加熱する加熱手段と、該加熱手段と浴槽との間を浴槽水が循環可能に接続した風呂回路と、該風呂回路の途中に設置され配管内の圧力を電圧に変換して出力電圧値を検知する水位センサと、該水位センサで検知された出力電圧値から浴槽の水位を算出する浴槽水位算出手段と、設定水位まで浴槽に湯水を供給し所定時間だけ設定温度で保温する風呂自動運転を制御する制御部とを備え、前記制御部は、所定の学習条件を満たす場合に学習タイマーで経過時間をカウントし、経過時間中に前記水位センサで検知された出力電圧値の増加量を取得して経過時間と組で記憶し、記憶した経過時間に対する出力電圧値の増加量のデータから近似式を算出して、所定の補正条件を満たす場合に補正タイマーで経過時間をカウントし、該カウントした経過時間を前記近似式に当てはめて算出された値を前記水位センサの出力電圧値から減算することを特徴としている。
【0006】
また、請求項2では、前記制御部は、前記風呂自動運転中に前記浴槽水位算出手段で算出された浴槽水位の変化が所定範囲内の時かつ前記風呂回路内で湯水が流動していない時を前記所定の学習条件を満たす場合として、前記学習タイマーで経過時間をカウントすることを特徴としている。
【0007】
また、請求項3では、前記制御部は、前記風呂自動運転中に前記浴槽水位算出手段で算出された浴槽水位の変化が所定範囲内の時かつ前記風呂回路内で湯水が流動していない時を前記所定の補正条件を満たす場合として、前記補正タイマーでカウントされた経過時間を前記近似式に当てはめて前記水位センサで検知された出力電圧値を補正することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、所定の学習条件を満たす場合に学習タイマーで経過時間をカウントし、経過時間中に水位センサで検知された出力電圧値の増加量を取得して経過時間と組で記憶し、記憶した経過時間に対する出力電圧値の増加量のデータから近似式を算出して、所定の補正条件を満たす場合に補正タイマーで経過時間をカウントし、該カウントした経過時間を近似式に当てはめて算出された値を水位センサの出力電圧値から減算するので、水位センサで検知される出力電圧値が実際の浴槽水位と大きく離れた値とならないよう補正されるため、常時浴槽の水位を設定水位に保持することが可能となる。
【0009】
また、風呂自動運転中に浴槽水位算出手段で算出された浴槽水位の変化が所定範囲内の時かつ風呂回路内で湯水が流動していない時を所定の学習条件を満たす場合として、学習タイマーで経過時間をカウントするので、温度低下による水位センサで検知された出力電圧値の増加量を正確に記憶することができる。
【0010】
また、風呂自動運転中に浴槽水位算出手段で算出された浴槽水位の変化が所定範囲内の時かつ風呂回路内で湯水が流動していない時を所定の補正条件を満たす場合として、補正タイマーでカウントされた経過時間を近似式に当てはめて水位センサで検知された出力電圧値を補正するので、水位センサで検知される出力電圧値を近似式を用いて適切なタイミングで補正し正確な浴槽水位を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明の一実施形態を示す概略構成図
図2】同実施形態のブロック構成図
図3】同実施形態のカウント時間及び補正時間の開始条件と停止条件を説明する図
図4】同実施形態のカウント時間と出力電圧変化幅から算出した近似式を説明する図
図5】同実施形態の風呂自動運転時のカウント時間に出力電圧値を記憶する制御を説明するフローチャート
図6】同実施形態の風呂自動運転時に出力電圧値の補正する制御を説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、この発明の一実施形態を図に基づいて説明する。
1は最大で370Lの湯水が貯湯可能な貯湯タンク2を収納した貯湯タンクユニット、3は貯湯タンク2内の湯水を加熱可能な加熱手段としてのヒートポンプユニットである。
【0013】
前記ヒートポンプユニット3は、冷媒を高温高圧に圧縮する圧縮機4と、高温高圧の冷媒と熱交換によって湯水を加熱する冷媒水熱交換器5と、冷媒を減圧する電動式の膨張弁6と、空気熱で冷媒を蒸発させる空気熱交換器7とを配管で環状に接続した冷媒回路と、空気熱交換器7に周囲の空気を送り込む送風ファン8とを備えており、冷媒回路内を流動する冷媒によって貯湯タンク2内の湯水の加熱が可能な加熱手段としてのヒートポンプ式加熱手段9が形成されている。
【0014】
ここで、冷媒水熱交換器5は冷媒と被加熱水である貯湯タンク2内の湯水とが対向して流れる対向流方式を採用しており、超臨界ヒートポンプサイクルでは熱交換時において冷媒は超臨界状態のまま凝縮されるため効率よく高温まで被加熱水を加熱することができ、冷媒水熱交換器5に流入する冷媒の入口温度と流出する出口温度の温度差が一定になるように膨張弁6または圧縮機4を制御して、冷媒水熱交換器5に流入する被加熱水の温度を5〜20℃の低温にすることで効率よく加熱することができ、COPが向上する。
【0015】
10は圧縮機4から吐出し冷媒水熱交換器5に流入する冷媒の温度を検出する水熱交入口センサ、11は冷媒水熱交換器5で放熱した冷媒の温度を検出する水熱交出口センサ、12は膨張弁6で減圧され空気熱交換器7に流入する冷媒の温度を検出する空熱交入口センサ、13は空気熱交換器7で蒸発した冷媒の温度を検出する空熱交出口センサ、14は空気熱交換器7の上部に設置され周囲の気温を検出する外気温センサである。
【0016】
15は貯湯タンク2下部と冷媒水熱交換器5とを配管で接続する加熱往き管、16は冷媒水熱交換器5と貯湯タンク2上部とを配管で接続する加熱戻り管、17は加熱往き管15の途中に設置され配管内の湯水を循環させるヒーポン循環ポンプであり、該ヒーポン循環ポンプ17を駆動することで貯湯タンク2下部にある湯水を加熱往き管15から冷媒水熱交換器5に流入して加熱し、加熱戻り管16から貯湯タンク2に流入することで高温水を貯湯する加熱回路18を形成している。
【0017】
19は加熱往き管15に設置され冷媒水熱交換器5に流入する湯水の温度を検出する往き管温度センサ、20は加熱戻り管16に設置され冷媒水熱交換器5で加熱された湯水の温度を検出する戻り管温度センサであり、往き管温度センサ19及び戻り管温度センサ20で検出された湯水の温度に基づいて圧縮機4の出力やヒーポン循環ポンプ17の回転数を制御し、設定された沸き上げ目標温度まで沸き上げる沸き上げ運転を行う。
【0018】
21は貯湯タンク2に市水を流入する給水管、22は貯湯タンク2上部にある高温水を出湯する出湯管、23は給水管21から分岐した給水バイパス管、24は出湯管22と給水バイパス管23内を流動する湯水を所定の比率で混合して設定された給湯温度に調節する給湯混合弁、25は出湯管22と給水バイパス管23内を流動する湯水を所定の比率で混合して設定された風呂温度に調節する風呂混合弁である。
【0019】
26は給湯混合弁24で所定の比率で混合された湯水が流動する給湯管、27は洗面所等に設置され給湯混合弁24で給湯温度に調節された湯水を開栓することで出湯可能な給湯栓、28は給湯管26内を流動する湯水の流量を検知する給湯流量センサ、29は給湯管26内を流動する湯水の温度を検知する給湯温度センサである。
【0020】
30は貯湯タンク2内の高温水と熱交換して浴槽31内に貯められた浴槽水を加熱する風呂熱交換器、32は浴槽水を風呂熱交換器30に送る風呂戻り管、33は風呂熱交換器30で加熱された浴槽水を浴槽31内に戻す風呂往き管、34は風呂往き管33と風呂熱交換器30と風呂戻り管32とで形成された風呂回路、35は風呂回路34内の浴槽水を流動させる風呂循環ポンプである。
【0021】
36は浴槽31内の圧力を出力電圧に変換して水位を検知する水位センサ、37は風呂熱交換器30で加熱された浴槽水の温度を検知する風呂温度センサであり、風呂往き管33途中にそれぞれ設置されている。
【0022】
38は風呂混合弁25で混合された湯水を風呂戻り管32に搬送する湯張り管であり、配管途中には、風呂混合弁25で混合された湯水の温度を検知する湯張り温度センサ39と、電動弁を開閉して浴槽31への湯張り開始及び停止を行う湯張り電磁弁40と、配管内を流動する湯水の流量から浴槽31への湯張り量を検知する湯張り流量センサ41と、浴槽31の湯水が逆流するのを防止する逆止弁42とが設置されている。
【0023】
43は貯湯タンク2の上下方向に複数配置された貯湯温度センサで、この実施形態では貯湯温度センサ43a、43b、43c、43d、43eの5つが設置されているものであり、この貯湯温度センサ43が検出する温度情報によって貯湯タンク2内の残熱量と、貯湯タンク2内の上下方向の温度分布が確認できる。
【0024】
なお、この実施形態において貯湯タンク2の最大貯湯量は370Lであり、複数の貯湯温度センサ43は貯湯タンク2に対し、aが340L、bが260L、cが180L、dが100L、eが30Lの湯水が貯湯される箇所にそれぞれ設置されている。
【0025】
44は貯湯タンク2上部に連通し加熱した湯水の体積膨張による圧力上昇を防止する逃し弁、45は市水からの圧力を一定に減圧する減圧弁、46は給水管21内を流動する市水の温度を検出する給水温度センサ、47は給水管21に設置され栓を備えた給水栓である。
【0026】
48は浴室に設置されたリモコンであり、給湯設定温度や風呂設定温度を表示して報知する表示部49と、過去の湯の使用量を学習して最適な湯量を沸き上げるおまかせモードと、深夜時間帯にのみ沸き上げ運転を許可して昼間の沸き上げ運転を行わない使い切りモードと、貯湯タンク2内に常時湯を満タンまで貯湯する満タンモードとを選択可能なモード選択スイッチ50と、上下キーで浴槽31の水位や浴槽水の温度を所望の値に設定する設定スイッチ51と、該設定スイッチ51で設定された温度の湯水を浴槽31に流入して所定時間の間だけ設定水位で保持されるよう湯水の供給を調整する風呂自動スイッチ52と、浴槽31内に所定温度の湯を所定量だけ流入する足し湯スイッチ53と、浴槽31内に所定量の水を流入する差し水スイッチ54と、給湯設定温度や風呂の湯張り完了等を音声で報知するスピーカ55とが備えられている。
【0027】
56は貯湯タンクユニット1内に設置された各センサの入力を受け、各アクチュエータの駆動を制御するマイコンを内蔵した制御部であり、該制御部56には、水位センサ36で検知された出力電圧値から浴槽31の水位を算出する浴槽水位算出手段57と、所定の学習条件を満たす場合に経過時間をカウントする学習タイマー58と、所定の補正条件を満たす場合に経過時間をカウントする補正タイマー59と、前記学習タイマー58でカウントされた中で最も長い経過時間で取得した出力電圧値の増加量を経過時間と組にして記憶する記憶手段60と、該記憶手段60で記憶した経過時間と出力電圧値の増加量から近似式を算出する学習手段61と、所定の補正条件を満たす場合に水位センサ36で検知される出力電圧値について補正タイマー59でカウントされた経過時間を前記近似式に当てはめて補正する補正手段62とが備えられている。
【0028】
ここで、所定の学習条件を満たす場合における水位センサ36の出力電圧値の学習について詳述すると、水位センサ36は風呂往き管33内の圧力を出力電圧に変換した値を検知しており、配管内の温度が低下すると水の密度が大きくなって圧力が増加し、水位センサ36で検知される出力電圧値が増加して浴槽水位算出手段57で算出される浴槽31の水位が実際の水位より増加するため、浴槽31の水位が低下した時に湯水が供給され難く、浴槽31内に湯水が供給されても設定水位まで達しないことが考えられ、特に浴槽31が家の2階や3階に設置されて水位センサ36が設置された配管との距離が大きい場合にこの現象が顕著になる。
【0029】
このため、図3で示すように浴槽31の水位変化が所定範囲内の時、浴槽31への湯張り動作が完了してから風呂自動運転が終了するまでの間で湯張り流量センサ41で流量が検知されない時、風呂循環ポンプ35がOFF状態になった時のように、風呂自動運転中で浴槽31の水位変化が所定範囲内かつ風呂回路34内を湯水が流動していない時を学習タイマー58の開始条件とし、浴槽31の水位変化が所定範囲を超えた時、浴槽31への湯張りが完了してから風呂自動運転が終了するまでの間で湯張り流量センサ41で流量が検知された時、風呂循環ポンプ35がON状態になった時のように、風呂自動運転中で浴槽31の水位変化が所定範囲を超えたか風呂回路34内を湯水が流動した時を学習タイマー58の停止条件として、開始条件が満たされてから停止条件が満たされるまでの間の経過時間をカウントして出力電圧値の増加量と組で記憶し、記憶した一日の中で最も長かった経過時間で取得した出力電圧値の増加量を経過時間と組にして記憶手段60で記憶する。
【0030】
なお、前記学習タイマー58の開始条件にある浴槽31の水位変化が所定範囲内の定義は、開始条件を満たしてから浴槽水位算出手段57で算出された浴槽31の最新3秒の水位の上下範囲である3秒移動平均水位と30秒前の3秒移動平均水位との差が3cm未満であれば浴槽31の水位は変化していないと判断し、最新の3秒移動平均と30秒前の3秒移動平均との差が3cm以上であれば浴槽31の水位が変化したと判断する。
【0031】
そして、記憶手段60で経過時間と出力電圧値の増加量を組にして記憶したら、図4で示すように経過時間別の出力電圧値の増加量をグラフ上にプロットする作業を一週間継続し、一週間分のデータのプロットが終了したらカウントした経過時間で増加した出力電圧値の近似式を学習手段61で算出する。
【0032】
なお、一週間分のデータのプロットが終了した以降における一日の最長経過時間で取得した出力電圧値の増加量のデータは、最も古いデータに新しいデータを上書きして近似式を作成することで、常に最新のデータに基づいた近似式を算出することができる。
【0033】
また、所定の補正条件を満たす場合における水位センサ36の出力電圧値の補正ついて詳述すると、学習手段61で一週間分の経過時間と出力電圧値の増加量のデータから近似式を算出した後、図3で示すように浴槽31の水位変化が所定範囲内の時、浴槽31への湯張り動作が完了してから風呂自動運転が終了するまでの間で湯張り流量センサ41で流量が検知されない時、風呂循環ポンプ35がOFF状態になった時のように、浴槽31の水位変化が所定範囲内かつ風呂回路34内を湯水が流動していない時を補正タイマー59の開始条件とし、浴槽31の水位変化が所定範囲を超えた時、浴槽31への湯張り動作が完了してから風呂自動運転が終了するまでお間で湯張り流量センサ41で流量が検知された時、風呂循環ポンプ35がON状態になった時のように、浴槽31の水位変化が所定範囲を超えたか風呂回路34内を湯水が流動した時を補正タイマー59の停止条件として、補正タイマー59の開始条件が満たされたら経過時間をカウントして、該カウントした経過時間を近似式に当てはめて算出された値を水位センサ36の出力電圧値から減算する補正を補正手段62で実施することで、浴槽31の正確な水位を算出する。
【0034】
63は貯湯タンク2の底部に接続され配管途中に排水栓64を設置した排水管であり、地震等の災害が発生して断水状態になった場合は、給水栓47を閉栓して逃し弁44を開放し、排水栓64を開栓することで貯湯タンク2内に残存する湯水が取り出せる。
【0035】
(沸き上げ動作の説明)
次に、本実施形態での貯湯タンク2内の湯水を設定温度まで沸き上げる沸き上げ動作について説明する。
まず制御部56は、リモコン48のモード選択スイッチ50で選択されている沸き上げモードの種類を判断し、自動沸き上げモードが設定されていると判断したら、各地域の時間帯別契約電力における電力単価が安価な深夜時間帯(例えば23時から7時)の開始時刻に達したか判断し、深夜時間帯に達したと判断したら外気温センサ14で検知された外気温に基づいて貯湯タンク2内に貯湯する湯水の沸き上げ目標温度を判断し、深夜時間帯が終了する時刻以前の沸き上げ完了時刻までに沸き上げ目標温度の湯水を沸き上げ可能な沸き上げ開始時刻を算出する。
【0036】
そして、沸き上げ開始時刻に達したと判断したら、制御部56は、膨張弁6を初期開度に開き、ヒーポン循環ポンプ17を駆動すると共に送風ファン8を送風状態とする。その後、少し遅れて圧縮機4を駆動し、膨張弁6の開度と、ヒーポン循環ポンプ17の回転数と、圧縮機4の駆動周波数とを制御して戻り管温度センサ20で検知する温度が沸き上げ目標温度となるように沸き上げ動作を行う。
【0037】
沸き上げ動作を開始した後、制御部56は、貯湯温度センサ43eで所定の沸き上げ停止温度(例えば、沸き上げ目標温度−15℃)を検知したか判断し、貯湯温度センサ43eで沸き上げ停止温度を検知したと判断したら、ヒートポンプ式加熱手段9及びヒーポン循環ポンプ17を駆動停止して沸き上げ動作を終了する。
【0038】
(風呂自動運転の説明)
次に、本実施形態で浴槽31に設定量の浴槽水を湯張りする湯張り動作について説明する。
まず、制御部56は、リモコン48の風呂自動スイッチ52が操作されたか判断し、風呂自動スイッチ52が操作されていれば湯張り電磁弁40を開放し設定スイッチ51で設定された浴槽水温度となるよう風呂混合弁25の開度を調節して湯張り動作を開始する。
【0039】
湯張り動作を開始した後、制御部56は、浴槽31の水位が設定スイッチ51で設定された水位に達したか浴槽水位算出手段57での算出結果から判断し、算出結果が設定水位以上となっていれば湯張り電磁弁40を閉止しスピーカ55から湯張りが完了した旨を音声で報知することで湯張り動作を終了する。
【0040】
そして、前記湯張り動作により浴槽31内への湯張りが終了したら、制御部56は、浴槽31の水位を常時監視し、設定水位から所定値だけ低下したと判断したら、湯張り電磁弁40を開放して設定温度の湯を浴槽31内に流入する足し湯を実施し、所定の間隔で風呂循環ポンプ35を駆動させて風呂温度センサ37で浴槽水の温度を確認し、風呂温度センサ37で検知された温度が設定温度よりも所定値だけ低ければ、風呂循環ポンプ35を駆動させ風呂熱交換器30で浴槽水を加熱する追い焚き動作を実施する。また、湯張り動作完了後にリモコン48の足し湯スイッチ53や差し水スイッチ54が操作されたら、制御部56は、所定量の湯水を浴槽31内に流入する。
【0041】
(出力電圧値の学習と補正制御の説明)
次に、風呂自動運転中に水位センサ36で検知された出力電圧値を学習し補正する制御について図5、6で示すフローチャートに基づいて説明する。
まず図5で示すように、制御部56は、記憶手段60で記憶した経過時間と出力電圧値の増加量のデータから学習手段61で近似式を算出しているか判断し(ステップS101)、近似式を算出していないと判断されたら学習タイマー58による学習開始条件を満たしているか判断して(ステップS102)、学習開始条件を満たしていれば学習タイマー58で経過時間のカウントを開始し、水位センサ36の出力電圧値の増加量を監視する(ステップS103)。
【0042】
ステップS103で学習タイマー58での経過時間のカウントと水位センサ36の出力電圧値の増加量の監視を開始したら、制御部56は、学習タイマー58による経過時間のカウントを停止する学習停止条件を満たしたか判断し(ステップS104)、学習停止条件を満たしていればカウントした経過時間と水位センサ36の出力電圧値の増加量とをデータとして記憶してからカウントした経過時間をリセットし(ステップS105)、学習停止条件を満たしていなければ、再度ステップS103で経過時間のカウントと出力電圧値の増加量の監視を続ける。
【0043】
ステップS102で学習開始条件を満たしていないか、ステップS105でカウントした経過時間と水位センサ36の出力電圧値の増加量のデータを記憶したら、制御部56は、風呂自動スイッチ52を操作してから所定時間(例えば2時間)が経過したか再度風呂自動スイッチ5が操作されたかで風呂自動運転が終了したか判断し(ステップS106)、風呂自動運転が終了していれば、記憶した中で最長の経過時間で取得した水位センサ36の出力電圧値の増加量を経過時間と組にして記憶手段60で一日のデータとして記憶し(ステップS107)、風呂自動運転が終了していなければ再度ステップS101で近似式の算出有無を判断する。
【0044】
ステップS107で最長の経過時間と水位センサ36の出力電圧値の増加量を一日のデータとして記憶手段60で記憶したら、制御部56は、記憶手段60で記憶した経過時間と水位センサ36の出力電圧値の増加量のデータが一週間分存在するか判断し(ステップS108)、一週間分のデータが存在すれば、記憶した経過時間と水位センサ36の出力電圧値の増加量のデータをグラフ上にプロットしたものに基づいて学習手段61が近似式を算出することで制御を終了し(ステップS109)、一週間分のデータが存在しなければ、記憶手段60で記憶したデータを残した状態で制御を終了する。
【0045】
次に、ステップS101で近似式が算出されていると判断された場合を図6に基づいて説明すると、制御部56は、補正タイマー59の補正開始条件を満たしているか判断し(ステップS201)、補正開始条件を満たしていれば、補正タイマー59で経過時間のカウントを開始し、水位センサ36の出力電圧値の増加量を監視して、カウントした経過時間を近似式に当てはめて算出された値を水位センサ36で検知された出力電圧値から減算する補正を補正手段62で実施する(ステップS202)。
【0046】
ステップS202で補正タイマー59での経過時間のカウントと水位センサ36の出力電圧値の増加量の監視してカウントした経過時間を近似式に当てはめて算出された値を水位センサ36で検知された出力電圧値から減算する補正を実施したら、制御部56は、補正タイマー59による経過時間のカウントを停止する補正停止条件を満たしたか判断し(ステップS203)、補正停止条件を満たしていると判断したら、補正タイマー59でカウントした経過時間と補正手段62で補正していない水位センサ36の出力電圧値の増加量とを記憶してから、カウントした経過時間をリセットする(ステップS204)。
【0047】
ステップS201で補正開始条件を満たしていなかったか、ステップS203で補正停止条件を満たしていなかったか、ステップS204で経過時間と補正手段62で補正していない水位センサ36の出力電圧値の増加量とを記憶してからカウントした経過時間をリセットしたら、制御部56は、風呂自動スイッチ52を操作してから所定時間(例えば2時間)が経過したか再度風呂自動スイッチ5が操作されたかして風呂自動運転が終了したか判断し(ステップS205)、風呂自動運転が終了していれば、記憶した中で最長の経過時間で取得した水位センサ36の出力電圧値の増加量を経過時間と組にして記憶手段60で一日のデータとして記憶して、記憶手段60で記憶した中で最も古いデータを消去し今回のデータを入れて近似式を更新し(ステップS206)、風呂自動運転が終了していなければ再度ステップS201で補正開始条件を満たすか判断する。
【0048】
以上のように、風呂自動運転中に所定の学習条件を満たす場合、学習タイマー58でカウントした経過時間で取得した出力電圧値の増加量をカウントした経過時間と組にして記憶手段60でデータとして記憶し、記憶した経過時間と出力電圧値の増加量のデータに基づき経過時間に対する増加した出力電圧値の近似式を学習手段61で算出して、所定の補正条件を満たす場合に補正タイマー59で経過時間をカウントし、該カウントした経過時間を近似式に当てはめて算出された値を水位センサ36の出力電圧値から減算するので、水位センサ36で検知される出力電圧値が浴槽31の実際の水位と大きく離れないよう補正するため、風呂自動運転中に浴槽31の水位を設定水位に保持することが可能となる。
【0049】
また、風呂自動運転中に浴槽31の水位の変化が所定範囲内の時かつ風呂回路34内の湯水が流動していない時を所定の学習条件を満たす場合として、学習タイマー58で経過時間をカウントするので、浴槽31の水位に変化がなく風呂回路34内の湯水が流動していない時間を所定の学習時間としているため、水位センサ36で検知された出力電圧値の増加量を正確に記憶することができる。
【0050】
また、風呂自動運転中に浴槽31の水位の変化が所定範囲内の時かつ風呂回路34内の湯水が流動していない時を所定の補正時間を満たす場合として、補正タイマー59で経過時間をカウントするので、人が入浴した時や追い焚き動作等により浴槽31の水位が変化した時以外の時間を所定の補正時間としているため、適切なタイミングで出力電圧値を補正することができ、風呂自動運転中における差し湯や差し水動作時に浴槽31の水位を設定値通りにすることができる。
【0051】
なお、本実施形態では所定の学習時間中に水位センサ36で検知される出力電圧値の増加量をカウントした経過時間と組にしたデータとして記憶しているが、これに限らず例えば、周囲の外気温度を検知する外気温センサ14や風呂回路34内の浴槽水温度を検知する風呂温度センサ37での検知温度をデータに加えて近似式を算出する制御であってもよく、所定の学習時間中における外気温センサ14や風呂温度センサ37での検知温度を出力電圧値の増加量と共に記憶し、最も長くカウントした経過時間で取得した出力電圧値の増加量とその時の外気温センサ14や風呂温度センサ37で検知された温度の平均値をデータとして記憶することで、各外気温度や浴槽水の温度に応じた近似式を算出して所定の補正時間中に水位センサ36で検知された出力電圧値を補正することで、各外気温度や浴槽温度による近似式を用いて風呂自動運転中に浴槽31の水位を設定水位で保持することが可能となる。
【0052】
また、本実施形態では記憶手段60で経過時間と出力電圧値の増加量を組にして記憶したら、経過時間別の出力電圧値の増加量をグラフ上にプロットする作業を一週間継続し、一週間分のデータのプロットが終了したら出力電圧と経過時間の関係から学習手段61が近似式を算出しているが、これに限らず例えば、一週間分のデータを揃えることなく一日や三日間の経過時間別の出力電圧値の増加量のデータのみで近似式を算出してもよい。
【0053】
また、本実施形態における構成や制御内容は一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
3 ヒートポンプユニット(加熱手段)
31 浴槽
34 風呂回路
36 水位センサ
56 制御部
57 浴槽水位算出手段
58 学習タイマー
59 補正タイマー
図1
図2
図3
図4
図5
図6