特許第6238861号(P6238861)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238861
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】内視鏡用制御装置及び内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20171120BHJP
   A61B 1/005 20060101ALI20171120BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   A61B1/00 640
   A61B1/00 552
   A61B1/00 612
   A61B1/005 523
   G02B23/24 Z
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-177191(P2014-177191)
(22)【出願日】2014年9月1日
(65)【公開番号】特開2016-49340(P2016-49340A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2016年12月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】河合 利昌
(72)【発明者】
【氏名】内村 澄洋
【審査官】 磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/105259(WO,A1)
【文献】 特開2004−000335(JP,A)
【文献】 特開2011−152300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像機能とは異なる第1の機能を有する第1の内視鏡装置を制御するための第1の制御信号を出力する第1の制御モジュールと、
制御対象の内視鏡装置と、前記第1の制御モジュール並びに前記撮像機能及び第1の機能の何れとも異なる第2の機能を有する第2の内視鏡装置を制御するための第2の制御信号を出力する第2の制御モジュールとの間の信号線に設けられ、前記信号線に前記第1の制御モジュールを接続するか前記第2の制御モジュールを接続するかを切り替えるように構成された切替部と、
前記制御対象の内視鏡装置のID情報を取得し、前記ID情報が前記第1の内視鏡装置を示す場合に前記第1の制御モジュールを前記信号線に接続し、前記ID情報が前記第2の内視鏡装置を示す場合に前記第2の制御モジュールを前記信号線に接続するように前記切替部の接続系統を制御する切替制御モジュールと、
を具備する内視鏡用制御装置。
【請求項2】
撮像機能とは異なる第1の機能を有する第1の内視鏡装置を制御するための第1の制御信号を出力する第1の制御モジュールを備えた第1の制御装置と、
前記撮像機能及び前記第1の機能の何れとも異なる第2の機能を有する第2の内視鏡装置を制御するための第2の制御信号を出力する第2の制御モジュールを備えた第2の制御装置と、
前記第1の制御装置に設けられた信号線であって、制御対象の内視鏡装置と、前記第1の制御モジュール並びに前記撮像機能及び第1の機能の何れとも異なる第2の機能を有する第2の内視鏡装置を制御するための第2の制御信号を出力する第2の制御モジュールとの間の信号線に設けられ、前記信号線に前記第1の制御モジュールを接続するか前記第2の制御モジュールを接続するかを切り替えるように構成された切替部と、
前記第1の制御装置に設けられ、前記制御対象の内視鏡装置のID情報を取得し、前記ID情報が前記第1の内視鏡装置を示す場合に前記第1の制御モジュールを前記信号線に接続し、前記ID情報が前記第2の内視鏡装置を示す場合に前記第2の制御モジュールを前記信号線に接続するように前記切替部の接続系統を制御する切替制御モジュールと、
を具備する内視鏡システム。
【請求項3】
前記第1の内視鏡装置は可動部を有し、前記第1の機能は前記可動部を電動駆動させる機能であり、
第1の制御モジュールは、前記可動部の電動駆動を制御するための制御信号を前記第1の制御信号として出力する請求項2に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記第1の制御モジュールは、前記制御対象の内視鏡装置と前記第2の制御モジュールとの間にデイジーチェーン接続されている請求項2に記載の内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡用制御装置及びそれを用いた内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡システムには、撮像システムを基本として種々の周辺装置が存在している。この周辺装置は、例えばUPD内視鏡装置、パワースパイラル内視鏡装置、電動アングル内視鏡装置である。UPD内視鏡装置は、挿入部の内部に設けられた複数のコイルから送信される磁界の強度から各コイルの位置を検出し、それぞれの検出したコイル位置を結ぶことによって管腔内に挿入されている内視鏡装置の挿入部の形状を推定する機能を有した内視鏡装置である。パワースパイラル内視鏡装置は、挿入部の管腔内への挿入を支援する機能を有した内視鏡装置である。パワースパイラル内視鏡装置の挿入部の周囲には、スパイラルフィンと呼ばれる回転可能な螺旋状の凸部を有する回転筒体が設けられている。このような構成により、パワースパイラル内視鏡装置は、回転筒体の回転によって管腔内を自走する。電動アングル内視鏡装置は、使用者によるアングルノブの操作に応じて、電動駆動により、内視鏡装置の挿入部の向きを変化させるように構成された内視鏡装置である。
【0003】
種々の周辺装置を共通の制御装置で制御できるようにするための提案として、例えば特許文献1の提案がなされている。特許文献1の電子内視鏡システムは、撮像方式等の異なる複数の内視鏡装置を制御装置としての信号処理装置で使用できるように、信号処理装置の内部にそれぞれの内視鏡装置に対応した複数の撮像素子駆動回路及び複数の信号処理回路を設けておき、装着された内視鏡装置の種類に応じて各回路の接続構造を切り替えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−285017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
製品開発の時期の違い等に起因して、内視鏡装置を制御するための制御装置の仕様等は変更され得る。特許文献1の場合、内視鏡装置毎の対応の回路を予め設けておく必要があるので、後出製品との互換性を保つのは難しい。後出製品の仕様を制御装置の仕様に合わせることもできるが、この場合、製品の開発に制限が生じることになる。
【0006】
後出製品との互換を容易に保つことができる内視鏡用制御装置及びそれを用いた内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明の一態様の内視鏡用制御装置は、撮像機能とは異なる第1の機能を有する第1の内視鏡装置を制御するための第1の制御信号を出力する第1の制御モジュールと、制御対象の内視鏡装置と、前記第1の制御モジュール並びに前記撮像機能及び第1の機能の何れとも異なる第2の機能を有する第2の内視鏡装置を制御するための第2の制御信号を出力する第2の制御モジュールとの間の信号線に設けられ、前記信号線に前記第1の制御モジュールを接続するか前記第2の制御モジュールを接続するかを切り替えるように構成された切替部と、前記制御対象の内視鏡装置のID情報を取得し、前記ID情報が前記第1の内視鏡装置を示す場合に前記第1の制御モジュールを前記信号線に接続し、前記ID情報が前記第2の内視鏡装置を示す場合に前記第2の制御モジュールを前記信号線に接続するように前記切替部の接続系統を制御する切替制御モジュールとを具備する。
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明の一態様の内視鏡システムは、撮像機能とは異なる第1の機能を有する第1の内視鏡装置を制御するための第1の制御信号を出力する第1の制御モジュールを備えた第1の制御装置と、前記撮像機能及び前記第1の機能の何れとも異なる第2の機能を有する第2の内視鏡装置を制御するための第2の制御信号を出力する第2の制御モジュールを備えた第2の制御装置と、前記第1の制御装置に設けられた信号線であって、制御対象の内視鏡装置と、前記第1の制御モジュール並びに前記撮像機能及び第1の機能の何れとも異なる第2の機能を有する第2の内視鏡装置を制御するための第2の制御信号を出力する第2の制御モジュールとの間の信号線に設けられ、前記信号線に前記第1の制御モジュールを接続するか前記第2の制御モジュールを接続するかを切り替えるように構成された切替部と、前記第1の制御装置に設けられ、前記制御対象の内視鏡装置のID情報を取得し、前記ID情報が前記第1の内視鏡装置を示す場合に前記第1の制御モジュールを前記信号線に接続し、前記ID情報が前記第2の内視鏡装置を示す場合に前記第2の制御モジュールを前記信号線に接続するように前記切替部の接続系統を制御する切替制御モジュールとを具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、後出製品との互換を容易に保つことができる内視鏡用制御装置及びそれを用いた内視鏡システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る内視鏡システムの概念的な構成を示すブロック図である。
図2図1で示した内視鏡システムの具体的な構成を示す図である。
図3図2の内視鏡システムを示すブロック図である。
図4】電動コントローラによる接続系統の切り替え処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る内視鏡システムの概念的な構成を示すブロック図である。図1に示すように、内視鏡システムは、概念的には、内視鏡装置100と、複数の制御装置200、300、400とを有している。
【0012】
内視鏡装置100は、生体の例えば管腔内に挿入されるように構成された細長形状をした挿入部を備えている。挿入部は、硬性部と湾曲部とを主に有している。硬性部は、挿入部の最先端位置に形成された湾曲しない部分である。湾曲部は、挿入部における湾曲する部分であり、使用者による操作によって能動的に湾曲する部分と外力によって受動的に湾曲する部分とを含む。
【0013】
内視鏡装置100は、撮像機能を基本的な機能として有している。撮像機能を実現するため、内視鏡装置100の硬性部の内部には、撮像素子が設けられている。撮像素子は、被写体像に基づく画像データを生成する。撮像素子で取得された画像データは、制御装置200に送信される。また、内視鏡装置100は、撮像機能とは異なる機能である第1の機能と第2の機能との何れかを有している。また、第2の機能は、第1の機能とも異なっている。
【0014】
制御装置200は、内視鏡装置100に接続され、内視鏡装置100の機能のうちの撮像機能に係る制御を行うものである。制御装置200は、CPU等から構成されている。
【0015】
制御装置300は、内視鏡装置100の機能のうちの第1の機能に係る制御を行うものであって、制御装置200と制御装置400との間に線形デイジーチェーン接続されている。制御装置300は、CPU等から構成されている。この制御装置300は、制御モジュール302と、切替部304と、切替制御モジュール306とを有している。
【0016】
制御モジュール302は、第1の機能の制御を行うための複数の回路を備えたモジュールであり、内視鏡装置100を制御するための第1の制御信号を制御装置200に対して出力する。
【0017】
切替部304は、制御モジュール302及び制御装置400に設けられている制御モジュール402と制御装置200との間に設けられ、切替制御モジュール306からの切替制御信号に応じて、制御モジュール302からの第1の制御信号と制御モジュール402からの第2の制御信号とのうちの何れかを制御装置200に出力するように接続系統を切り替える。
【0018】
切替制御モジュール306は、内視鏡装置100のID記憶部102から制御装置200を介してID情報を取得し、取得したID情報によって内視鏡装置100を識別し、識別結果に応じて切替制御信号を切替部304に出力する。すなわち、切替制御モジュール306は、識別したID情報が第1の機能を有する内視鏡装置を示している場合には、制御モジュール302からの第1の制御信号を制御装置200に出力させるように切替制御信号を出力する。また、切替制御モジュール306は、識別したID情報が第2の機能を有する内視鏡装置を示している場合には、制御モジュール402からの第2の制御信号を制御装置200に出力させるように切替制御信号を出力する。
【0019】
制御装置400は、内視鏡装置100の機能のうちの第2の機能に係る制御を行うものである。この制御装置400は、制御モジュール402を有している。制御装置400は、CPU等から構成されている。
【0020】
制御モジュール402は、第2の機能の制御を行うための複数の回路を備えたモジュールであり、内視鏡装置100を制御するための第1の制御信号を制御装置200に対して出力する。
【0021】
図2は、図1で示した内視鏡システムの具体的な構成を示す図である。また、図3は、図2の内視鏡システムを示すブロック図である。具体例の内視鏡システムは、内視鏡装置100と、光源装置200と、電動コントローラ300と、UPDコントローラ400と、表示制御装置500と、モニタ600と、ビジュアルフォースゲージ(VFG)表示部700とを有している。
【0022】
内視鏡装置100は、図1で説明した内視鏡装置100と同様である。前述したように、内視鏡装置100は、撮像機能以外の第1の機能又は第2の機能を有している。
【0023】
第1の機能を有する内視鏡装置は、可動部を電動駆動させる機能を有する内視鏡装置であって、例えばパワースパイラル内視鏡装置又は電動アングル内視鏡装置である。パワースパイラル内視鏡装置は、挿入部の管腔内への挿入を支援する機能を有した内視鏡装置である。パワースパイラル内視鏡装置の挿入部の周囲には、スパイラルフィンと呼ばれる回転可能な螺旋状の凸部を有する回転筒体が設けられている。このような構成により、パワースパイラル内視鏡装置は、回転筒体の回転によって管腔内を自走することで使用者による内視鏡装置の挿入部の挿入を支援する。また、電動アングル内視鏡装置は、使用者による図示しないアングルノブの操作を受けて、電動駆動により、内視鏡装置の先端部の向きを変化させるように構成された内視鏡装置である。
【0024】
ここで、具体例において、第1の機能を有する内視鏡装置は、スコープIDとローカルIDからなる2種類のID情報をID記憶部102に記憶している。スコープIDは、内視鏡装置毎に個別に割り当てられたIDである。一方、ローカルIDは、パワースパイラル内視鏡装置及び電動アングル内視鏡装置等の新規機能を有する内視鏡装置に対して個別に割り当てられたIDである。
【0025】
第2の機能を有する内視鏡装置は、挿入部の形状を推定するための機能を有する内視鏡装置であって、例えばUPD(Endoscope Position Detecting Unit)内視鏡装置である。UPD内視鏡装置の挿入部の内部には、複数のコイルが設けられている。それぞれのコイルは、電流の供給を受けて磁界を送信するように構成されている。この第2の機能を有する内視鏡装置は、スコープIDのみをID記憶部102に記憶している。
【0026】
光源装置200は、図1の制御装置200と対応している。すなわち、光源装置200は、内視鏡装置100の撮像機能に係る制御を行う。内視鏡装置100は、光源装置200に設けられた装着部200aを介して光源装置200に装着される。光源装置200に内視鏡装置100が装着されることにより、光源装置200の制御に従って内視鏡装置100が動作する。また、光源装置200には、電源スイッチ等の操作部200bが設けられている。使用者は、操作部200bを操作することで光源装置200に関わる種々の設定を行うことができる。
【0027】
図3に示すように、光源装置200は、撮像制御モジュール202と、光源モジュール204とを有している。撮像制御モジュール202は、内視鏡装置100の撮像素子の撮像動作の制御及び撮像素子からの画像データの読み出しを行う。光源モジュール204は、光源と、その駆動回路とを有している。光源モジュール204は、所定の光量で発光が行われるよう、光源を駆動する。なお、光源から射出された光は、内視鏡装置100の先端部から生体内に照射される。
【0028】
電動コントローラ300は、図1の制御装置300と対応している。すなわち、電動コントローラ300は、内視鏡装置100の第1の機能に係る制御を行う。
【0029】
図3に示すように、電動コントローラ300は、電動駆動モジュール302と、切替部304と、切替制御モジュール306とを有している。電動駆動モジュール302は、制御モジュール302と対応している。第1の機能が内視鏡装置100に設けられた可動部の電動駆動機能である場合、電動駆動モジュール302は、内視鏡装置100に設けられた可動部を駆動するための図示しないモータを駆動するためのモータ電流を例えばPI(比例・積分)制御によって生成する。切替部304及び切替制御モジュール306は、図1で説明したものと同様である。すなわち、切替部304は、切替制御モジュール306からの切替制御信号に応じて、電動駆動モジュール302からの第1の制御信号としてのモータ電流とUPDコントローラの電力供給モジュール402からの第2の制御信号としての電流とのうちの何れかを光源装置200に出力するように接続系統を切り替える。また、切替制御モジュール306は、内視鏡装置100のID記憶部102から光源装置200を介してID情報を取得し、取得したID情報によって内視鏡装置100を識別し、識別結果に応じて切替制御信号を切替部304に出力する。
【0030】
また、電動コントローラ300は、信号線802及び信号線804を介して光源装置200に接続されている。信号線802は、例えば、光源装置200と電動コントローラ300との間で、撮像素子で得られた画像データ等の各種のデータを送受するための信号線である。信号線804は、例えば、電動駆動モジュール302で生成されたモータ電流や後で説明するUPDコントローラ400で生成されたコイル電流等の種々のアナログ信号を送信するための信号線である。
【0031】
また、電動コントローラ300は、信号線806を介して表示制御装置500に接続されている。信号線806は、例えば、撮像素子で得られた画像データや後で説明するUPDコントローラ400で生成された挿入部の形状データ等の種々のデータを送信するための信号線である。
【0032】
また、電動コントローラ300は、信号線808を介してVFG表示部700に接続されている。信号線808は、電動駆動モジュール302で生成されたモータ電流をVFG表示部700に送信するための信号線である。
【0033】
また、電動コントローラ300は、信号線810を介してフットスイッチ308に接続されている。信号線810は、フットスイッチ308で生成されたモータ駆動指示信号を送信するための信号線である。フットスイッチ308は、内視鏡装置100がパワースパイラル内視鏡装置の場合に用いられるスイッチであって、右足用ペダルと左足用ペダルとを含む。右足用ペダルは、使用者によって踏まれることにより、モータを正転(例えば挿入部を前進させる方向)させる指示信号を発する。また、左足用ペダルは、使用者によって踏まれることにより、モータを逆転(例えば挿入部を後退させる方向)させる指示信号を発する。また、右足用ペダル及び左足用ペダルは、それぞれ、使用者のペダルの踏み込みの強さに応じた大きさの信号を発生させるように構成されている。そして、電動駆動モジュール302は、右足用ペダル又は左足用ペダルの踏み込みに応じた速度でモータが正転又は逆転するようにモータ電流を生成する。
【0034】
また、電動コントローラ300は、信号線812及び814を介してUPDコントローラ400に接続されている。信号線812は、UPDコントローラ400で生成された電流を、電動コントローラ300を介して内視鏡装置100の挿入部の内部に設けられたコイルに供給するための信号線である。信号線814は、UPDコントローラ400で生成された挿入部の形状データを、電動コントローラ300を介してモニタ600に送信するための信号線である。
【0035】
UPDコントローラ400は、図1の制御装置400と対応している。すなわち、電動コントローラ300は、内視鏡装置100の第2の機能に係る制御を行う。このUPDコントローラ400には、必要に応じて形状検出のための基準位置を設定するためのマーカが接続される。このマーカは、UPDコントローラ400に設けられたコネクタ400aに接続される。また、光源装置UPDコントローラ400には、電源スイッチ等の操作部400bが設けられている。使用者は、操作部400bを操作することでUPDコントローラ400に関わる種々の設定を行うことができる。
【0036】
図3に示すように、UPDコントローラ400は、電力供給モジュール402と、形状検出モジュール404とを有している。また、UPDコントローラ400の近傍にはアンテナ406が配置されている。電力供給モジュール402は、内視鏡装置100の挿入部内に設けられたコイルから磁界を送信させるための電流を供給する。形状検出モジュール404は、アンテナ406を介して受信した磁界の強度分布から複数のコイルのそれぞれの位置を求め、それぞれの位置を繋ぎ合わせることにより、挿入部の形状(2次元形状又は3次元形状)を示す形状データを生成する。
【0037】
表示制御装置500は、コネクタ500aを介して接続される信号線816を介してモニタ600に接続されており、モニタ600への画像表示を制御する。また、表示制御装置500には、電源スイッチ等の操作部500bが設けられている。使用者は、操作部500bを操作することで表示制御装置500に関わる種々の設定を行うことができる。
【0038】
図3に示すように、表示制御装置500は、画像処理モジュール502を有している。画像処理モジュール502は、信号線806を介して入力された画像データや形状データに対して画像処理を施す。また、画像処理モジュール502は、処理したデータを、信号線816を介してモニタ600に入力することでモニタ600に生体内の画像や挿入部の形状画像といった各種の画像を表示させる。
【0039】
モニタ600は、例えば液晶ディスプレイといった一般的な表示素子である。モニタ600は、表示制御装置500の制御下で各種の画像を表示する。VFG表示部700は、信号線808を介して入力されるモータ電流のデータをVFGデータに変換する。VFGデータは、モニタにモータ電流の変化量を視覚的に視認可能な様に提示するデータである。そして、VFG表示部700は、VFGデータに基づいてモータ電流の大きさを表示する。
【0040】
以下、具体例の内視鏡システムの動作を説明する。図4は、電動コントローラ300による接続系統の切り替え処理を示すフローチャートである。図4の処理は、例えば光源装置200に内視鏡装置100が装着されたときに行われる。すなわち、光源装置200に内視鏡装置100が装着されたときには、光源装置200から電動コントローラ300に通知がなされる。そして、図4の処理が開始される。
【0041】
ステップS101において、切替制御モジュール306は、信号線802を介して光源装置200から、内視鏡装置100のID記憶部102に記憶されているID情報を取得する。
【0042】
ステップS102において、切替制御モジュール306は、取得したID情報から、制御対象の内視鏡装置100がUPD内視鏡装置であるか否かを判定する。前述したように、パワースパイラル内視鏡装置又は電動アングル内視鏡装置は、スコープIDとローカルIDからなる2種類のID情報を有している。これに対し、UPD内視鏡装置は、スコープIDしか有してない。したがって、切替制御モジュール306は、スコープIDとローカルIDの両方の識別を行うことができた場合には、制御対象の内視鏡装置100がUPD内視鏡装置でないと判定する。なお、ID情報を用いた内視鏡装置の識別は、このような2種のID情報を利用する手法に限るものではない。
【0043】
ステップS102において、制御対象の内視鏡装置100がUPD内視鏡装置であると判定された場合に、処理はステップS103に移行する。ステップS103において、切替制御モジュール306は、UPDコントローラ400の電力供給モジュール402からの電流を光源装置200に出力させるように切替制御信号を出力する。この後、UPDコントローラ400の電力供給モジュール402からの電流供給が開始される。電力供給モジュール402からの電流は、信号線814、信号線804を介して光源装置200に入力される。そして、内視鏡装置100の挿入部の内部に設けられたコイルに電流が供給される。その後、図4の処理は終了される。以後は、挿入部の形状の推定や形状画像の表示といった処理が行われる。
【0044】
ステップS102において、制御対象の内視鏡装置100がUPD内視鏡装置でない、すなわちパワースパイラル内視鏡装置又は電動アングル内視鏡装置であると判定された場合に、処理はステップS104に移行する。ステップS104において、電動駆動モジュール302は、モータ駆動のためのパラメータを設定する。このパラメータは、例えばフットスイッチ308の押し込み量に応じたモータ電流の値である。
【0045】
ステップS105において、切替制御モジュール306は、電動駆動モジュール302からのモータ電流を光源装置200に出力させるように切替制御信号を出力する。ステップS106において、電動駆動モジュール302は、モータ電流の出力を開始する。電動駆動モジュール302からのモータ電流は、信号線814、信号線804を介して光源装置200に入力される。そして、内視鏡装置100の可動部は電動駆動される。その後、図4の処理は終了される。以後は、モータ電流のPI制御や撮像素子を介して得られた画像の表示といった処理が行われる。
【0046】
以上説明したように本実施形態によれば、制御装置200と制御装置400との間にデイジーチェーン接続された制御装置300の内部に設けられた制御モジュール302からの制御信号と制御装置300の後段に設けられた制御装置400の内部に設けられた制御モジュール402から制御信号との何れを制御装置200に出力させるかを切り替え可能としている。これにより、制御装置200に制御装置400を直接接続することなく、制御装置200に制御信号を入力することが可能である。後発の制御装置もデイジーチェーンすることができるようにすれば、制御装置の間の互換性を保ちやすい。
【0047】
また、本実施形態ではパワースパイラル内視鏡装置の制御装置と電動アングル内視鏡装置の制御装置とをともに電動駆動モジュール302によって制御している。このように、内視鏡装置の機能毎に制御装置を構成することで、制御装置の総数を減らすことが可能である。
【0048】
ここで、前述した実施形態において、制御装置400を制御装置300と同様の構成とすることもできる。すなわち、制御装置400にも切替部及び切替制御モジュールを設けることにより、制御装置400のさらに後段に別の制御装置を接続することもできる。このように、本実施形態の内視鏡システムは、必ずしも3つの制御装置によって構成されるものではない。
【0049】
また、前述した実施形態の具体例では、第1の機能を電動駆動機能とし、第2の機能を挿入部の形状検出機能としている。しかしながら、第1の機能及び第2の機能にどのような機能を割り当てるかは適宜設定され得る。
【0050】
なお、前述した実施形態では、制御装置200に接続される内視鏡装置100は1つであることが前提になっている。これに対し、制御装置200に接続される内視鏡装置100は2つ以上であっても良い。この場合、制御モジュール302と制御モジュール402とのどちらを使用するかに優先度を持たせることが望ましい。具体例でいえば、例えば、フットスイッチ308が踏まれている間は、パワースパイラル内視鏡装置が使用されているとして電動駆動モジュール302からモータ電流を出力させるように切り替え、それ以外は電力供給モジュール402から電流を出力させるように切り替える等の手法が考えられる。
【0051】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。また、前述の各動作フローチャートの説明において、便宜上「まず」、「次に」等を用いて動作を説明しているが、この順で動作を実施することが必須であることを意味するものではない。
【0052】
さらに、上記した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、上述したような課題を解決でき、上述したような効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0053】
100 内視鏡装置、102 ID記憶部、200 制御装置(光源装置)、202 撮像制御モジュール、204 光源モジュール、300 制御装置(電動コントローラ)、302 制御モジュール(電動駆動モジュール)、304 切替部、306 切替制御モジュール、308 フットスイッチ、400 制御装置(UPDコントローラ)、402 制御モジュール(電力供給モジュール)、404 形状検出モジュール、406 アンテナ、500 表示制御装置、502 画像処理モジュール、600 モニタ、700 ビジュアルフォースゲージ(VFG)表示部。
図1
図2
図3
図4