【実施例】
【0011】
以下、図面と共に本発明による中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御装置及び方法の好適な実施の形態について説明する。
図1において符号1で示されるものは、CPU2及び位置決めユニット3とを備えた上位の制御部であり、前記CPU2からの速度、位置、加減速度等からなるデータ指令4は前記位置決めユニット3に入力されるように構成されている。
【0012】
前記位置決めユニット3からの金型開閉用位置指令3Aは、第1サーボドライバ5に入力され、前記第1サーボドライバ5からの金型開閉信号5Aが金型開閉用サーボモータ6に入力されている。
前記金型開閉用サーボモータ6に設けられたエンコーダ等からなる回転検出器7からの回転検出信号7Aは前記第1サーボドライバ5に帰還入力され、前記金型開閉用位置指令3Aに沿って前記金型開閉用サーボモータ6の動作がフィードバック制御され、
図3で示される
第1、第2金型部10A,10Bからなる金型10(
図3では
第1金型
部10Aのみ示しているが、図示している
第1金型
部10Aと対称形状及び構造の
第2金型
部10Bが左側に設けられている)のうちの一方の開閉動作を行うことができるように構成されている。
【0013】
尚、
図3においては、
第1、第2金型
部10A,10Bのうち、右側のみしか示していないが、例えば、ブラケット等からなるシップイン用の内蔵物11の左側に位置する
第2金型
部10Bは右側の前記
第1金型
部10
Aと同一構造で構成され、図示しない型締装置によって前記内蔵物11を挟持して型締することができるように構成されているが、ここでは省略している。
【0014】
前記制御部1の前記位置決めユニット3からの接合シリンダ用位置指令3Bは、第2サーボドライバ12に入力され、前記第2サーボドライバ12からの接合シリンダ出入り信号12Aが接合シリンダ出入り用サーボモータ13に入力されている。
前記接合シリンダ出入り用サーボモータ13に設けられたエンコーダ等からなる回転検出器14からの回転検出信号14Aは前記第2サーボドライバ12は帰還入力され、前記接合シリンダ用位置指令3Bに沿って前記接合シリンダ出入り用サーボモータ13の動作がフィードバック制御され、
図3で示される金型10内の接合ロッド15Aを有する接合シリンダ15の往復直動からなる出入り動作をすることができるように構成されている。
【0015】
尚、
図3においては、前述のように、
第1、第2金型
部10
A,10Bのうち、右側のみしか示していないが、前記内蔵物11の左側に位置する
第2金型
部10Bには右側の前記
第1金型
部10
A内と同一の接合シリンダ15が設けられている。
【0016】
前記位置決めユニット3から出力される前記接合シリンダ用速度指令3Bは、
図1の構成が正常に作動していれば、理論上は、前記接合ロッド15Aの先端部の予め設定された絶対位置は保持されるが、接合ロッド15Aの「たわみ」や「内蔵物11の伸縮・揺れ」により、単なる位置決め制御では前記絶対位置に保持できない場合がある。
【0017】
そこで、前述の事態を避けて前記接合ロッド15Aを前記絶対位置に保持するために、
図2で示されるサーボ動作中におけるトルク制御、及び、
図4と
図5で示される圧力センサ20による接合ロッド先端部圧力20Aによる圧力制御、の二方式を採用することができる。
【0018】
前記制御部1から前記第2サーボドライバ12に入力される前記接合ロッド15Aの位置決め時の前記接合シリンダ用速度指令3Bは、予め設定された設定速度+−α・+−βであるため、まず、
図2のように、サーボ動作中の前記接合シリンダ出入り用サーボモータ6のトルクをモニタリングし、検出された現在のトルク現在値P
T2と予め設定されたトルク設定値P
T1を、数1の1式のように比較し、偏差e
(t)を周知のPI(比例積分)制御として前記αを得る。
【数1】
【0019】
また、
図4と
図5で示されるように、前記内蔵物11の一面11aに形成された凹部11b内には、ロードセル等からなる圧力センサ20が設けられており、前記凹部11b内には前記圧力センサ20をその先端部15Aaで押圧することができるように前記金型10内で出入り自在な前記接合ロッド15Aが矢印A方向に沿って配設されている。
【0020】
前記圧力センサ20からの接合ロッド先端部圧力20Aは、増幅器21を介して前記制御部1に入力されるように構成されている。
従って、前述のサーボ動作中の前記接合ロッド先端部圧力20Aをモニタリングし、予め任意に設定された圧力値P
P1と現在の圧力現在値P
P2を前記制御部1に入力して、数2の2式のように比較し、偏差を周知のPI(比例積分)制御として前記βを得る。
【数2】
【0021】
次に、本発明による中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御装置及び方法における動作について述べる。
尚、
図4に示されるように、前述の金型10は右側のみ示し、前記内蔵物11の左側に位置する他方の
第2金型
部10Bの金型は示していないが、左右両側の
第1、第2金型
部10
A,10Bは、共に前記接合ロッド15Aを有する接合シリンダ15が内設されている全く同一構造で、左右両側の
第1、第2金型
部10
A,10Bの接合ロッド15Aによって前記内蔵物11を宙に浮いた状態で保持している。
また、前記接合ロッド15Aは、図では1本のみしか示していないが、実際には8本の接合ロッド15Aによって保持され、図示しない周知のクロスヘッドから垂下してくる溶融状のパリソン(図示せず)内に前記内蔵物11が内設されるように構成されている。
【0022】
前述の状態で、
図3の(A)の工程では、
図1のように、前記制御部1からの金型開閉用速度指令3Aによって、左右の
第1、第2金型
部10
A,10Bが型開の状態であり、この状態では、前記接合シリンダ15の接合ロッド15Aが最後退していると共に前記
第1金型
部10
A内に完全に内設された状態となっている。
尚、前述の状態では、前記内蔵物11は、
第1、第2金型
部10
A,10B間の所定の絶対位置に図示しない保持手段を介して保持されている。
【0023】
前述の
図3の(A)の状態で、前記内蔵物11の外周にクロスヘッドからのパリソン(図示せず)が垂下した状態で、
図3の(B)のように、
第1、第2金型
部10
A,10Bの型閉動作が開始され、前記接合シリンダ15が
第1金型
部10
Aの型閉方向Bに沿って前進移動し、前記接合ロッド15Aの先端部15Aaは前記内蔵物11の凹部11bに係合することにより、前記内蔵物11は前記
第1金型
部10
Aからの接合ロッド15Aによって所定の絶対位置に位置決めされる。
【0024】
次に、前記内蔵物11とパリソンを接合させるために、前記
第1、第2金型
部10
A,10Bを互いに前進させるが、この時、前述の(B)の状態のままで
第1、第2金型
部10
A,10Bを前進させると前記接合ロッド15Aの先端部15Aaが内蔵物11を押すことになり、前記内蔵物11の絶対位置が動くことになる。
そのため、
第2金型
部10
Bの型閉動作中に、
前述の型閉方向Bとは逆方向に接合シリンダ15を作動させ、前記接合ロッド15Aの位置を前記制御部1によって同期制御させ、前記内蔵物11に当接する接合ロッド15Aの先端部15Aaの先端位置を絶対位置として
図3の(A)の位置である同一位置を保持するように
第1、第2金型
部10
A,10Bと接合ロッド15Aの移動動作が制御されている。
【0025】
また、前述の
第1、第2金型
部10
A,10Bと接合シリンダ15の位置決め制御時に、前述した様に、
図2のトルク制御及び
図5の圧力制御を併用することにより、前記内蔵物11を絶対位置に保持するための位置決め制御の精度を大幅に向上させることができる。
【0026】
尚、前述の本発明による中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御装置及び方法の要旨は、次の通りである。
すなわち、クロスヘッドからのパリソンに内蔵物11を入れたまま第1、第2金型部10A,10Bによって前記パリソンを挟み込み成形するようにした中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御装置及び方法において、
前記第1、第2金型部10A,10Bによる開閉を行うための金型開閉用サーボモータ6と、前記第1金型部10A内に設けられ接合シリンダ出入り用サーボモータ13を有する接合シリンダ15と、前記接合シリンダ15に設けられ前記内蔵物11に当接して保持すると共に前記第1金型部10A内と前記第
1金型部10
A外において出入り自在に配設された接合ロッド15Aと、前記金型開閉用サーボモータ6及び前記接合シリンダ出入用サーボモータ13を同期制御するための制御部1と、を備え、前記第1、第2金型部10A,10Bの型閉動作中に、前記型閉動作と逆方向に前記接合ロッド15Aの位置を前記制御部1によって同期制御させ、前記内蔵物11に当接する前記接合ロッド15Aの先端位置を絶対位置として同一位置を保持するように構成されている構成と方法であり、また、前記接合シリンダ出入り用サーボモータ13のトルクを検出したトルク検出値を用いて前記接合シリンダ出入り用サーボモータ13をフィードバック制御するようにした構成と方法であり、また、
図4のように前記接合ロッド15Aの先端部15Aaには圧力センサ20が設けられ、前記内蔵物11に当接する前記接合ロッド15Aのロッド先端部圧力を検出し、前記ロッド先端部圧力を用いて前記接合シリンダ出入り用サーボモータ13をフィードバック制御する構成と方法である。