特許第6238864号(P6238864)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6238864中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238864
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/20 20060101AFI20171120BHJP
   G05B 19/18 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   B29C49/20
   G05B19/18 C
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-192206(P2014-192206)
(22)【出願日】2014年9月22日
(65)【公開番号】特開2016-60176(P2016-60176A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2016年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147500
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 雅啓
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100179914
【弁理士】
【氏名又は名称】光永 和宏
(74)【代理人】
【識別番号】100179936
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 明日香
(72)【発明者】
【氏名】奥岡 俊光
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一成
(72)【発明者】
【氏名】池ヶ谷 応之介
【審査官】 大塚 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−141103(JP,A)
【文献】 特開2002−067135(JP,A)
【文献】 特開平02−038020(JP,A)
【文献】 特開2012−187843(JP,A)
【文献】 特開平08−300461(JP,A)
【文献】 特表2010−526682(JP,A)
【文献】 特開2009−149004(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0056356(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00 − 49/80
G05B 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロスヘッドからのパリソンに内蔵物(11)を入れたまま第1、第2金型部(10A,10B)からなる金型(10)によって前記パリソンを挟み込み成形するようにした中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御装置において、
前記金型(10)の開閉を行うための金型開閉用サーボモータ(6)と、前記第1金型部(10A)内に設けられ接合シリンダ出入り用サーボモータ(13)を有する接合シリンダ(15)と、前記接合シリンダ(15)に設けられ前記内蔵物(11)に当接して保持すると共に前記第1金型部(10A)内と前記第金型部(10A)外において出入り自在に配設された接合ロッド(15A)と、前記金型開閉用サーボモータ(6)及び前記接合シリンダ出入用サーボモータ(13)を同期制御するための制御部(1)と、を備え、
前記金型(10)の型閉動作中に、前記型閉動作と逆方向に前記接合ロッド(15A)の位置を前記制御部(1)によって同期制御させ、前記内蔵物(11)に当接する前記接合ロッド(15A)の先端位置を絶対位置として同一位置を保持するように構成されていることを特徴とする中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御装置。
【請求項2】
前記接合シリンダ出入り用サーボモータ(13)のトルクを検出したトルク検出値を用いて前記接合シリンダ出入り用サーボモータ(13)をフィードバック制御するように構成したことを特徴とする請求項1記載の中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御装置。
【請求項3】
前記接合ロッド(15A)の先端部(15Aa)には圧力センサ(20)が設けられ、前記内蔵物(11)に当接する前記接合ロッド(15A)のロッド先端部圧力を検出し、前記ロッド先端部圧力を用いて前記接合シリンダ出入り用サーボモータ(13)をフィードバック制御するように構成されていることを特徴とする請求項2記載の中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御装置。
【請求項4】
クロスヘッドからのパリソンに内蔵物(11)を入れたまま第1、第2金型部(10A,10B)からなる金型(10)によって前記パリソンを挟み込み成形するようにした中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御方法において、
前記金型(10)の開閉を行うための金型開閉用サーボモータ(6)と、前記第1金型部(10A)内に設けられ接合シリンダ出入り用サーボモータ(13)を有する接合シリンダ(15)と、前記接合シリンダ(15)に設けられ前記内蔵物(11)に当接して保持すると共に前記第1金型部(10A)内と前記第金型部(10A)外において出入り自在に配設された接合ロッド(15A)と、前記金型開閉用サーボモータ(6)及び前記接合シリンダ出入用サーボモータ(13)を同期制御するための制御部(1)と、を用い、
前記金型(10)の型閉動作中に、前記型閉動作と逆方向に前記接合ロッド(15A)の位置を前記制御部(1)によって同期制御させ、前記内蔵物(11)に当接する前記接合ロッド(15A)の先端位置を絶対位置として同一位置を保持することを特徴とする中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御方法。
【請求項5】
前記接合シリンダ出入り用サーボモータ(13)のトルクを検出したトルク検出値を用いて前記接合シリンダ出入り用サーボモータ(13)をフィードバック制御することを特徴とする請求項4記載の中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御方法。
【請求項6】
前記接合ロッド(15A)の先端部(15Aa)には圧力センサ(20)が設けられ、前記内蔵物(11)に当接する前記接合ロッド(15A)のロッド先端部圧力を検出し、前記ロッド先端部圧力を用いて前記接合シリンダ出入り用サーボモータ(13)をフィードバック制御することを特徴とする請求項5記載の中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御装置及び方法に関し、特に、パリソンに内蔵物を入れたまま第1、第2金型部からなる金型によって中空成形する場合に、内蔵物を同一位置に保持するための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中空成形機による成形方法の1つとして、図示していないが、パリソンに内蔵物を入れたまま型締装置によってパリソンを挟み込み成形する成形方法があるが、内蔵物はパリソンが来る前に金型が開いた状態でその間の空間で保持されている。
更に、各金型部で型閉めされる間、その位置を保持し、内蔵物とパリソンとを互いに接合させる構成であった。
【0003】
また、前記各金型部には、後述のように、各金型部内に同じ接合シリンダが設けられ、前記接合シリンダが取付けられる部位は、金型内であるため、型閉中には接合シリンダの接合ロッドの先端位置が金型部の閉動作に合わせて変化(閉方向に移動)することになっていた。
従って、各金型の型閉動作に同期して接合シリンダの動作を制御する必要があるが、先行技術文献を調査した結果、通常の位置決め制御方式で、二軸の位置決め同期制御を行う構成は、例えば、特許文献1及び特許文献2に開示されているが、パリソン内に内蔵物を設けて中空成形する構成においては、先行技術文献は調査の結果、見当たらなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−131712号公報
【特許文献2】特開2002−326140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の中空成形方法は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、パリソン内に内蔵物を入れた状態で型閉して中空成形を行う場合、(いわゆる、シップイン成形方法)、従来構成においては、内蔵物の保持位置が安定せず、型閉する時に内蔵物を損傷することもあり、歩留まりの向上が困難であった。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、パリソンに内蔵物を入れたまま第1、第2金型によって中空成形する場合に、第1、第2金型接合シリンダを同期制御することにより、内蔵物を所定位置に保持し、損傷もなく安定して成形できる中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御装置は、クロスヘッドからのパリソンに内蔵物を入れたまま第1、第2金型部からなる金型によって前記パリソンを挟み込み成形するようにした中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御装置において、前記金型の開閉を行うための金型開閉用サーボモータと、前記第1金型部内に設けられ接合シリンダ出入り用サーボモータを有する接合シリンダと、前記接合シリンダに設けられ前記内蔵物に当接して保持すると共に前記第1金型部内と前記第金型部外において出入り自在に配設された接合ロッドと、前記金型開閉用サーボモータ及び前記接合シリンダ出入り用サーボモータを同期制御するための制御部と、を備え、前記金型の型閉動作中に、前記型閉動作と逆方向に前記接合ロッドの位置を前記制御部によって同期制御させ、前記内蔵物に当接する前記接合ロッドの先端位置を絶対位置として同一位置を保持するようにした構成であり、また、
前記接合シリンダ出入り用サーボモータのトルクを検出したトルク検出値を用いて前記接合シリンダ出入り用サーボモータをフィードバック制御するようにした構成であり、また、前記接合ロッドの先端部には圧力センサが設けられ、前記内蔵物に当接する前記接合ロッドのロッド先端部圧力を検出し、前記ロッド先端部圧力を用いて前記接合シリンダ出入り用サーボモータをフィードバック制御するようにした構成であり、また、本発明による中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御方法は、クロスヘッドからのパリソンに内蔵物を入れたまま第1、第2金型部からなる金型によって前記パリソンを挟み込み成形するようにした中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御方法において、前記金型の開閉を行うための金型開閉用サーボモータと、前記第1金型部内に設けられ接合シリンダ出入り用サーボモータを有する接合シリンダと、前記接合シリンダに設けられ前記内蔵物に当接して保持すると共に前記第1金型部内と前記第金型部外において出入り自在に配設された接合ロッドと、前記金型開閉用サーボモータ及び前記接合シリンダ出入り用サーボモータを同期制御するための制御部と、を用い、前記金型の型閉動作中に、前記型閉動作と逆方向に前記接合ロッドの位置を前記制御部によって同期制御させ、前記内蔵物に当接する前記接合ロッドの先端位置を絶対位置として同一位置を保持する方法であり、また、前記接合シリンダ出入り用サーボモータのトルクを検出したトルク検出値を用いて前記接合シリンダ出入り用サーボモータをフィードバック制御する方法であり、また、前記接合ロッドの先端部には圧力センサが設けられ、前記内蔵物に当接する前記接合ロッドのロッド先端部圧力を検出し、前記ロッド先端部圧力を用いて前記接合シリンダ出入り用サーボモータをフィードバック制御する方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明による中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御装置及び方法は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、クロスヘッドからのパリソンに内蔵物を入れたまま第1、第2金型部からなる金型によって前記パリソンを挟み込み成形するようにした中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御装置及び方法において、前記第1、第2金型部の開閉を行うための金型開閉用サーボモータと、前記第1、第2金型部内に設けられ接合シリンダ出入り用サーボモータを有する接合シリンダと、前記接合シリンダに設けられ前記内蔵物に当接して保持すると共に前記第1金型部内と前記第1金型部外において出入り自在に配設された接合ロッドと、前記金型開閉用サーボモータ及び前記接合シリンダ出入り用サーボモータを同期制御するための制御部と、を備え、前記第1、第2金型部の型閉動作中に、前記型閉動作と逆方向に前記接合ロッドの位置を前記制御部によって同期制御させ、前記内蔵物に当接する前記接合ロッドの先端位置を絶対位置として同一位置を保持するように構成されていることにより、パリソン内に内設される内蔵物の位置は初期通りであり、何らの損傷を受けることなく、安定して成形を行うことができる。
また、前記接合シリンダ出入り用サーボモータのトルクを検出したトルク検出値を用いて前記接合シリンダ出入り用サーボモータをフィードバック制御するように構成したことにより、接合シリンダの接合ロッドの同期制御をより高精度とすることができ、シップインの成形をより安定したものとすることができる。
また、前記接合ロッドの先端部には圧力センサが設けられ、前記内蔵物に当接する前記接合ロッドのロッド先端部圧力を検出し、前記ロッド先端部圧力を用いて前記接合シリンダ出入り用サーボモータをフィードバック制御するように構成されていることにより、接合ロッドの先端位置をより高精度に位置決め制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明による中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御装置及び方法を示すブロック図である。
図2図1の要部の他の形態を示すブロック図である。
図3図1の金型を用いてシップインの中空成形を行う場合の工程図である。
図4図3の他の形態を示す構成図である。
図5図4の圧力センサを用いた場合の電気系を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明による中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御装置及び方法は、パリソンに内蔵物を入れたまま第1、第2金型によって中空成形する場合に、接合シリンダの接合ロッドを第1、第2金型の閉動作に合わせて後退させることにより、内蔵物の保持位置を安定させ、シップイン型の中空成形の歩留まりを安定させることである。
【実施例】
【0011】
以下、図面と共に本発明による中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御装置及び方法の好適な実施の形態について説明する。
図1において符号1で示されるものは、CPU2及び位置決めユニット3とを備えた上位の制御部であり、前記CPU2からの速度、位置、加減速度等からなるデータ指令4は前記位置決めユニット3に入力されるように構成されている。
【0012】
前記位置決めユニット3からの金型開閉用位置指令3Aは、第1サーボドライバ5に入力され、前記第1サーボドライバ5からの金型開閉信号5Aが金型開閉用サーボモータ6に入力されている。
前記金型開閉用サーボモータ6に設けられたエンコーダ等からなる回転検出器7からの回転検出信号7Aは前記第1サーボドライバ5に帰還入力され、前記金型開閉用位置指令3Aに沿って前記金型開閉用サーボモータ6の動作がフィードバック制御され、図3で示される第1、第2金型部10A,10Bからなる金型10(図3では第1金型部10Aのみ示しているが、図示している第1金型部10Aと対称形状及び構造の第2金型部10Bが左側に設けられている)のうちの一方の開閉動作を行うことができるように構成されている。
【0013】
尚、図3においては、第1、第2金型部10A,10Bのうち、右側のみしか示していないが、例えば、ブラケット等からなるシップイン用の内蔵物11の左側に位置する第2金型部10Bは右側の前記第1金型10と同一構造で構成され、図示しない型締装置によって前記内蔵物11を挟持して型締することができるように構成されているが、ここでは省略している。
【0014】
前記制御部1の前記位置決めユニット3からの接合シリンダ用位置指令3Bは、第2サーボドライバ12に入力され、前記第2サーボドライバ12からの接合シリンダ出入り信号12Aが接合シリンダ出入り用サーボモータ13に入力されている。
前記接合シリンダ出入り用サーボモータ13に設けられたエンコーダ等からなる回転検出器14からの回転検出信号14Aは前記第2サーボドライバ12は帰還入力され、前記接合シリンダ用位置指令3Bに沿って前記接合シリンダ出入り用サーボモータ13の動作がフィードバック制御され、図3で示される金型10内の接合ロッド15Aを有する接合シリンダ15の往復直動からなる出入り動作をすることができるように構成されている。
【0015】
尚、図3においては、前述のように、第1、第2金型10A,10Bのうち、右側のみしか示していないが、前記内蔵物11の左側に位置する第2金型部10Bには右側の前記第1金型10内と同一の接合シリンダ15が設けられている。
【0016】
前記位置決めユニット3から出力される前記接合シリンダ用速度指令3Bは、図1の構成が正常に作動していれば、理論上は、前記接合ロッド15Aの先端部の予め設定された絶対位置は保持されるが、接合ロッド15Aの「たわみ」や「内蔵物11の伸縮・揺れ」により、単なる位置決め制御では前記絶対位置に保持できない場合がある。
【0017】
そこで、前述の事態を避けて前記接合ロッド15Aを前記絶対位置に保持するために、図2で示されるサーボ動作中におけるトルク制御、及び、図4図5で示される圧力センサ20による接合ロッド先端部圧力20Aによる圧力制御、の二方式を採用することができる。
【0018】
前記制御部1から前記第2サーボドライバ12に入力される前記接合ロッド15Aの位置決め時の前記接合シリンダ用速度指令3Bは、予め設定された設定速度+−α・+−βであるため、まず、図2のように、サーボ動作中の前記接合シリンダ出入り用サーボモータ6のトルクをモニタリングし、検出された現在のトルク現在値PT2と予め設定されたトルク設定値PT1を、数1の1式のように比較し、偏差e(t)を周知のPI(比例積分)制御として前記αを得る。
【数1】
【0019】
また、図4図5で示されるように、前記内蔵物11の一面11aに形成された凹部11b内には、ロードセル等からなる圧力センサ20が設けられており、前記凹部11b内には前記圧力センサ20をその先端部15Aaで押圧することができるように前記金型10内で出入り自在な前記接合ロッド15Aが矢印A方向に沿って配設されている。
【0020】
前記圧力センサ20からの接合ロッド先端部圧力20Aは、増幅器21を介して前記制御部1に入力されるように構成されている。
従って、前述のサーボ動作中の前記接合ロッド先端部圧力20Aをモニタリングし、予め任意に設定された圧力値PP1と現在の圧力現在値PP2を前記制御部1に入力して、数2の2式のように比較し、偏差を周知のPI(比例積分)制御として前記βを得る。
【数2】
【0021】
次に、本発明による中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御装置及び方法における動作について述べる。
尚、図4に示されるように、前述の金型10は右側のみ示し、前記内蔵物11の左側に位置する他方の第2金型部10Bの金型は示していないが、左右両側の第1、第2金型10A,10Bは、共に前記接合ロッド15Aを有する接合シリンダ15が内設されている全く同一構造で、左右両側の第1、第2金型10A,10Bの接合ロッド15Aによって前記内蔵物11を宙に浮いた状態で保持している。
また、前記接合ロッド15Aは、図では1本のみしか示していないが、実際には8本の接合ロッド15Aによって保持され、図示しない周知のクロスヘッドから垂下してくる溶融状のパリソン(図示せず)内に前記内蔵物11が内設されるように構成されている。
【0022】
前述の状態で、図3の(A)の工程では、図1のように、前記制御部1からの金型開閉用速度指令3Aによって、左右の第1、第2金型10A,10Bが型開の状態であり、この状態では、前記接合シリンダ15の接合ロッド15Aが最後退していると共に前記第1金型10内に完全に内設された状態となっている。
尚、前述の状態では、前記内蔵物11は、第1、第2金型10A,10B間の所定の絶対位置に図示しない保持手段を介して保持されている。
【0023】
前述の図3の(A)の状態で、前記内蔵物11の外周にクロスヘッドからのパリソン(図示せず)が垂下した状態で、図3の(B)のように、第1、第2金型10A,10Bの型閉動作が開始され、前記接合シリンダ15が第1金型10の型閉方向Bに沿って前進移動し、前記接合ロッド15Aの先端部15Aaは前記内蔵物11の凹部11bに係合することにより、前記内蔵物11は前記第1金型10からの接合ロッド15Aによって所定の絶対位置に位置決めされる。
【0024】
次に、前記内蔵物11とパリソンを接合させるために、前記第1、第2金型10A,10Bを互いに前進させるが、この時、前述の(B)の状態のままで第1、第2金型10A,10Bを前進させると前記接合ロッド15Aの先端部15Aaが内蔵物11を押すことになり、前記内蔵物11の絶対位置が動くことになる。
そのため、第2金型10の型閉動作中に、前述の型閉方向Bとは逆方向に接合シリンダ15を作動させ、前記接合ロッド15Aの位置を前記制御部1によって同期制御させ、前記内蔵物11に当接する接合ロッド15Aの先端部15Aaの先端位置を絶対位置として図3の(A)の位置である同一位置を保持するように第1、第2金型10A,10Bと接合ロッド15Aの移動動作が制御されている。
【0025】
また、前述の第1、第2金型10A,10Bと接合シリンダ15の位置決め制御時に、前述した様に、図2のトルク制御及び図5の圧力制御を併用することにより、前記内蔵物11を絶対位置に保持するための位置決め制御の精度を大幅に向上させることができる。
【0026】
尚、前述の本発明による中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御装置及び方法の要旨は、次の通りである。
すなわち、クロスヘッドからのパリソンに内蔵物11を入れたまま第1、第2金型部10A,10Bによって前記パリソンを挟み込み成形するようにした中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御装置及び方法において、
前記第1、第2金型部10A,10Bによる開閉を行うための金型開閉用サーボモータ6と、前記第1金型部10A内に設けられ接合シリンダ出入り用サーボモータ13を有する接合シリンダ15と、前記接合シリンダ15に設けられ前記内蔵物11に当接して保持すると共に前記第1金型部10A内と前記第金型部10外において出入り自在に配設された接合ロッド15Aと、前記金型開閉用サーボモータ6及び前記接合シリンダ出入用サーボモータ13を同期制御するための制御部1と、を備え、前記第1、第2金型部10A,10Bの型閉動作中に、前記型閉動作と逆方向に前記接合ロッド15Aの位置を前記制御部1によって同期制御させ、前記内蔵物11に当接する前記接合ロッド15Aの先端位置を絶対位置として同一位置を保持するように構成されている構成と方法であり、また、前記接合シリンダ出入り用サーボモータ13のトルクを検出したトルク検出値を用いて前記接合シリンダ出入り用サーボモータ13をフィードバック制御するようにした構成と方法であり、また、図4のように前記接合ロッド15Aの先端部15Aaには圧力センサ20が設けられ、前記内蔵物11に当接する前記接合ロッド15Aのロッド先端部圧力を検出し、前記ロッド先端部圧力を用いて前記接合シリンダ出入り用サーボモータ13をフィードバック制御する構成と方法である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明による中空成形機の金型と接合シリンダの同期制御装置及び方法は、金型内に設けられた接合シリンダの接合ロッドで内蔵物を保持してパリソンを成形する場合、第1、第2金型部10A,10Bの型閉と接合ロッドの後退を同期制御することにより、内蔵物の絶対位置決めを維持し、シップインの中空成形品の歩留まりを向上できる。
【符号の説明】
【0028】
1 制御部
2 CPU
3 位置決めユニット
3A 金型開閉用速度指令
3B 接合シリンダ用速度指令
4 データ指令
5 第1サーボドライ
6 金型開閉用サーボモータ
7 回転検出器
7A 回転検出信号
10 金型
10A 第1金型部
10B 第2金型部
11 内蔵物
11a 一面
11b 凹部
15 接合シリンダ
15A 接合ロッド
20 圧力センサ
20A 接合ロッド先端部圧力
図1
図2
図3
図4
図5