(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238865
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01D 67/00 20060101AFI20171120BHJP
A01D 67/02 20060101ALI20171120BHJP
A01D 41/12 20060101ALI20171120BHJP
B62D 25/08 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
A01D67/00 A
A01D67/00 C
A01D67/00 G
A01D67/02
A01D41/12 Z
B62D25/08 A
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-195573(P2014-195573)
(22)【出願日】2014年9月25日
(65)【公開番号】特開2016-63790(P2016-63790A)
(43)【公開日】2016年4月28日
【審査請求日】2016年12月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】迫 和志
(72)【発明者】
【氏名】竹中 満
【審査官】
佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−162790(JP,A)
【文献】
特開2012−100611(JP,A)
【文献】
特開2013−247915(JP,A)
【文献】
特開2014−097037(JP,A)
【文献】
実開昭53−159017(JP,U)
【文献】
特開2011−084963(JP,A)
【文献】
特開2008−094180(JP,A)
【文献】
特開2012−130265(JP,A)
【文献】
特開2012−090597(JP,A)
【文献】
特開2005−096631(JP,A)
【文献】
特開2004−324101(JP,A)
【文献】
実開昭62−022112(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0217702(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 67/00−67/04
A01D 41/12
B62D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転座席を有する運転部と、
前記運転部の上方を覆うキャビン部と、
前記運転部において、前記運転座席の側方に設けられ、操作具が配設される操作パネルと、
前記キャビン部のうち前記運転座席に対して前記操作パネルが位置する側の壁部に、前記操作パネルと隣り合う状態で設けられるサッシと、
前記サッシを支持するサッシフレームと、
前記サッシフレームの下方で前記サッシフレームの下端に沿って車体前後方向に延びるように設けられ、前記サッシフレーム及び前記操作パネルを支持する運転部フレームと、を備え、
前記サッシフレームの下端と前記運転部フレームの上端との間に、差込空間が形成されるように、前記サッシフレームの下端と前記運転部フレームの上端とが上下に離間する状態で、前記サッシフレームが前記運転部フレームに支持され、
前記操作パネルのうち前記サッシ側の端部は、前記差込空間に差し込まれた状態で、前記運転部フレームに支持され、
前記サッシフレームの下端と前記運転部フレームの上端とに亘るように構成され、前記差込空間を機体外方から覆うパネルカバーを備えるコンバイン。
【請求項2】
前記運転部フレームと前記パネルカバーとの間に、シール部材が設けられている請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記運転部フレームは、車体前後方向に延びる前後フレーム部材と、前記前後フレーム部材の上部に沿って設けられ、前記操作パネルが取り付けられる取付フレーム部材と、を有し、
前記操作パネルのうち前記サッシ側の端部に、上下方向に延びる縦向き部が設けられ、
前記差込空間のうち前記取付フレーム部材の機体外側に、前記縦向き部が差し込まれ、
前記縦向き部と前記パネルカバーとの間に、前記シール部材が設けられている請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記パネルカバーの上部に、前記サッシフレームの下面に沿って横方向に延びる横向き部が設けられ、
前記横向き部が前記サッシフレームの下面に支持されている請求項1から3のいずれか一項に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記サッシフレームの下端部に、下方に延びるブラケットが設けられ、
前記ブラケットに、前記パネルカバーが支持されている請求項1から4のいずれか一項に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記操作パネルのうち前記キャビン部の内側における前記サッシ側の上端は、前記サッシフレームの下端よりも上方の位置に設定されている請求項1から5のいずれか一項に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転座席を有する運転部と、運転部の上方を覆うキャビン部と、運転部において、運転座席の側
方に設けられ、操作具が配設される操作パネルと、を備えるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなコンバインとして、例えば、特許文献1に記載のものが既に知られている。特許文献1に記載のコンバインは、運転座席を有する運転部と、運転部の上方を覆うキャビン部(文献では「キャビン」)と、を備えている。運転部において、運転座席の左方には、操作具が配設される操作パネル(文献では「サイドパネル」)が設けられている。また、キャビン部の左側壁部には、窓部が操作パネルと隣り合う状態で設けられている。そして、窓部の下方には、窓部及び操作パネルを支持する支持部材が、窓部の下端に沿って前後方向に延びるように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−97037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のコンバインでは、窓部が操作パネルに載置された状態で支持部材に支持されている。したがって、例えば、メンテナンス等に際して、操作パネルを取り外すためには、あらかじめ窓部を取り外す必要があり、操作パネルを取り外すのが容易ではない。
【0005】
上記状況に鑑み、操作パネルを容易に取り外すことができるコンバインが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、
運転座席を有する運転部と、
前記運転部の上方を覆うキャビン部と、
前記運転部において、前記運転座席の側
方に設けられ、操作具が配設される操作パネルと、
前記キャビン部のうち前記運転座席に対して前記操作パネルが位置する側の壁部に、前記操作パネルと隣り合う状態で設けられるサッシと、
前記サッシを支持するサッシフレームと、
前記サッシフレームの下方で前記サッシフレームの下端に沿って
車体前後方向に延びるように設けられ、前記サッシフレーム及び前記操作パネルを支持する運転部フレームと、を備え、
前記サッシフレームの下端と前記運転部フレームの上端との間に、差込空間が形成されるように、前記サッシフレームの下端と前記運転部フレームの上端とが上下に離間する状態で、前記サッシフレームが前記運転部フレームに支持され、
前記操作パネルのうち前記サッシ側の端部は、前記差込空間に差し込まれた状態で、前記運転部フレームに支持され、
前記サッシフレームの下端と前記運転部フレームの上端とに亘るように構成され、前記差込空間を機体外方から覆うパネルカバーを備えることにある。
【0007】
本特徴構成によれば、サッシフレームの下端と運転部フレームの上端との間に、差込空間が形成されるように、サッシフレームの下端と運転部フレームの上端とが上下に離間する状態で、サッシフレームが運転部フレームに支持されている。そして、操作パネルのうちサッシ側の端部が、差込空間に差し込まれた状態で、運転部フレームに支持されている。これにより、サッシフレームを取り外さなくても、操作パネルを差込空間から引き抜くことが可能であり、操作パネルを容易に取り外すことができる。しかも、差込空間がパネルカバーによって機体外方から覆われているため、塵埃や雨水が差込空間に侵入することがない。
【0008】
さらに、本発明において、
前記運転部フレームと前記パネルカバーとの間に、シール部材が設けられていると好適である。
【0009】
本特徴構成によれば、塵埃や雨水が運転部フレームとパネルカバーとの間から差込空間に侵入するのを、シール部材によって防止することができる。
【0010】
さらに、本発明において、
前記運転部フレームは、
車体前後方向に延びる前後フレーム部材と、前記前後フレーム部材の上部に沿って設けられ、前記操作パネルが取り付けられる取付フレーム部材と、を有し、
前記操作パネルのうち前記サッシ側の端部に、上下方向に延びる縦向き部が設けられ、
前記差込空間のうち前記取付フレーム部材の機体外側に、前記縦向き部が差し込まれ、
前記縦向き部と前記パネルカバーとの間に、前記シール部材が設けられていると好適である。
【0011】
本特徴構成によれば、差込空間のうち取付フレーム部材の機体外側に、縦向き部が差し込まれていることにより、取付フレーム部材が操作パネルのうちサッシ側の端部によって覆われている。これにより、操作パネルのうちサッシ側の端部と取付フレーム部材との間から塵埃や雨水が操作パネルの内部に侵入し難くなる。しかも、縦向き部とパネルカバーとの間から塵埃や雨水が差込空間に侵入するのを、シール部材によって防止することができる。
【0012】
さらに、本発明において、
前記パネルカバーの上部に、前記サッシフレームの下面に沿って横方向に延びる横向き部が設けられ、
前記横向き部が前記サッシフレームの下面に支持されていると好適である。
【0013】
本特徴構成によれば、横向き部がサッシフレームの下面に支持されていることにより、パネルカバーとサッシフレームの下面との間に隙間が無い状態で、差込空間がパネルカバーによって覆われている。これにより、パネルカバーとサッシフレームの下面との間から塵埃や雨水が差込空間に侵入することがない。
【0014】
さらに、本発明において、
前記サッシフレームの下端部に、下方に延びるブラケットが設けられ、
前記ブラケットに、前記パネルカバーが支持されていると好適である。
【0015】
本特徴構成によれば、ブラケットを利用することにより、パネルカバーを簡単に支持することができる。
【0016】
さらに、本発明において、
前記操作パネルのうち前記キャビン部の内側における前記サッシ側の上端は、前記サッシフレームの下端よりも上方の位置に設定されていると好適である。
【0017】
本特徴構成によれば、仮に、塵埃や雨水が差込空間に侵入した場合でも、差込空間内の塵埃や雨水が、操作パネルのうちキャビン部の内側におけるサッシ側の上端を乗り越え難く、キャビン部の室内に侵入し難い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図4】運転キャビンの内部を示す平面断面図である。
【
図6】(a)ドアサッシ及びドアフレームを示す正面断面図である。(b)ドアを示す正面断面図である。
【
図7】(a)防塵カバー及びドアの隔壁構造を示す斜視断面図である。(b)同じく平面断面図である。
【
図8】サイドパネルが差込空間に差し込まれた状態を示す左側面図である。
【
図9】
図8におけるVIII−VIII断面図である。
【
図10】別実施形態に係るエンジンルームの開放構造を示す左側面図である。
【
図11】(a)別実施形態に係るエンジンルームの開放構造を示す正面断面図である。(b)ノブボルトによる防塵カバーの固定構造を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。
【0020】
〔自脱型コンバインの全体構成〕
図1及び
図2には、コンバインの一例としての自脱型コンバインを示している。この自脱型コンバインは、クローラ式の走行装置1と、走行装置1で支持される機体フレーム2と、を備えている。機体フレーム2の前端部には、植立穀稈を刈り取る刈取部3が昇降可能に設けられている。刈取部3の後方には、運転キャビン4が設けられている。運転キャビン4の下部には、エンジン5が設けられている。運転キャビン4の後方には、刈取穀稈を脱穀する脱穀装置6と、穀粒を貯留するグレンタンク7と、が左右方向に隣り合う状態で設けられている。グレンタンク7には、グレンタンク7内の穀粒を排出するアンローダ8が設けられている。
【0021】
〔運転キャビン〕
図3から
図5に示すように、運転キャビン4は、運転座席9を有する運転部10と、運転部10の上方を覆うキャビン部11と、を有している。運転キャビン4は、運転部10とキャビン部11とが一体で構成されていてもよいし、別体で構成されていてもよい。
【0022】
運転部10において、運転座席9の左方と前方には、それぞれサイドパネル12(本発明に係る「操作パネル」に相当)とフロントパネル13が設けられている。サイドパネル12のうち操作パネル面12Aには、例えば、主変速レバー14(本発明に係る「操作具」に相当)その他の操作具が配設されている。フロントパネル13のうち操作パネル面13Aには、例えば、ステアリングレバー15その他の操作具や計器表示部16が配設されている。計器表示部16には、例えば、作業速度計やエンジン回転計、燃料計が配設されている。
【0023】
運転部10の後部には、エンジン5を覆うエンジンボンネット17が設けられている。エンジンボンネット17の上面には、運転座席9が取り付けられている。エンジンボンネット17の内部には、エンジンルーム17Aが形成されている。エンジンルーム17Aには、エンジン5やラジエータ、冷却ファン19、エアクリーナ20が収容されている。エンジンルーム17Aの右側部は、防塵網21aを有する防塵カバー21によって覆われている。防塵カバー21は、前後方向に延びる軸心Y1周りで揺動可能に構成されている。冷却ファン19が回転することにより、エンジンルーム17Aの外部の空気が防塵網21aを通してエンジンルーム17Aに導入される。
【0024】
キャビン部11の上部には、ルーフ部22が設けられている。キャビン部11のうち前壁部、後壁部、左側壁部及び右側壁部には、それぞれフロントガラス23、リヤガラス24、左窓部25及びドア26が設けられている。左フロントサイドガラス27と右フロントサイドガラス28が、それぞれフロントガラス23の左端と右端に連なる状態で設けられている。
【0025】
〔ドア〕
ドア26は、後支点で開閉可能に構成されている。ドア26は、ドアガラス39と、ドアガラス39が取り付けられるドアサッシ40と、ドアサッシ40を支持するドアフレーム41と、を有している。
【0026】
ドアガラス39は、上下方向において運転キャビン4の室外側に膨出する湾曲形状の曲面ガラスで構成されている(
図6参照)。ドアガラス39は、上側の開閉ガラス39Aと、下側の固定ガラス39Bと、を有している。開閉ガラス39Aは、ドアサッシ40の上側に上下移動可能に取り付けられている。固定ガラス39Bは、ドアサッシ40の下側に上下移動不能に取り付けられている。
【0027】
ドアフレーム41は、前側の前縦ドアフレーム部材41Aと、後側の後縦ドアフレーム部材41Bと、上側の上横ドアフレーム部材41Cと、下側の下横ドアフレーム部材41Dと、を有している。後縦ドアフレーム部材41Bは、上下一対のヒンジ26aを介して後ピラー42に揺動可能に取り付けられている。
【0028】
図6に示すように、ドアサッシ40は、上述のような曲面ガラスで構成されたドアガラス39が取り付けられるため、上下方向において運転キャビン4の室外側に膨出する湾曲形状の曲面サッシで構成されている。ドアサッシ40は、ドアフレーム41の内側に嵌め込まれている。
【0029】
ここで、前縦ドアフレーム部材41A及び後縦ドアフレーム部材41Bにおける運転キャビン4の室外側の面は、ドアサッシ40の湾曲形状に対応するように、上下方向において運転キャビン4の室外側に膨出する湾曲形状に形成されている。これに対して、ドアフレーム41のうち運転キャビン4の室内側の面は、フラットに形成されている。そして、ドアフレーム41のうち運転キャビン4の室内側の面には、シール用のパッキン49が設けられている。
【0030】
このような構成によれば、上述のような湾曲形状の曲面サッシで構成されたドアサッシ40が、ドアフレーム41の内側に嵌め込まれていることにより、ドアサッシ40の湾曲による復元力がドアフレーム41に作用する。これにより、ドアサッシ40とドアフレーム41との一体性が向上し、ドア26全体としての剛性が向上する。しかも、ドアフレーム41のうち運転キャビン4の室内側の面が、パッキン49を介して全面に亘って均一に運転キャビン4側に押し付けられるので、ドアフレーム41のうち運転キャビン4の室内側の面がフラットに形成されていることと相まって、ドア26のシール性が向上する。また、グレンタンク7や防塵カバー21の右側面が曲面で構成されている場合、グレンタンク7や防塵カバー21の形状とドア26の形状とが合うので、デザイン上の統一を図り易い。
【0031】
〔ドア及び防塵カバーのシール構造〕
図7に示すように、エンジンボンネット17上の右端部には、板金製の隔壁43が設けられている。運転キャビン4の室内と防塵カバー21の上部及びドア26との間は、隔壁43によって塞がれている。すなわち、運転キャビン4の室内と防塵カバー21の上部及びドア26との間が、一つの隔壁43によって塞がれている。また、隔壁43とドアフレーム41との間には、シール用のトリム44が設けられていると共に、隔壁43と防塵カバー21との間には、シール用のパッキン45が設けられている。このように、防塵カバー21とドア26とで隔壁43を共通化することにより、防塵カバー21用の隔壁とドア26用の隔壁とを別々に設けるのと比較して、運転キャビン4の室内を広くすることができると共に、部品のコストダウンを図ることが可能である。
【0032】
〔左窓部〕
図4及び
図5に示すように、左窓部25は、前後引違い式のサイドガラス29と、サイドガラス29が取り付けられるサッシ30と、サッシ30を支持するサッシフレーム31と、を有している。サッシ30は、サイドパネル12の左隣に設けられている。サッシフレーム31は、サッシ30の前面に沿って延びる前サッシフレーム部材31Aと、サッシ30の後面に沿って延びる後サッシフレーム部材31Bと、サッシ30の下面に沿って延びる下サッシフレーム部材31Cと、を有している。サッシフレーム31の下方には、サッシフレーム31及びサイドパネル12を支持する運転部フレーム32が設けられている。
【0033】
図8及び
図9に示すように、運転部フレーム32は、下サッシフレーム部材31Cの下端に沿って前後方向に延びるように設けられている。運転部フレーム32は、前後フレーム部材32Aと、取付フレーム部材32Bと、を有している。運転部フレーム32は、各種のフレームを介して機体フレーム2に支持されている。前後フレーム部材32Aは、前後方向に延びる角パイプで構成されている。取付フレーム部材32Bは、前後フレーム部材32Aの上面に沿って設けられている。取付フレーム部材32Bは、上下方向に延びる縦向き部32aと、左右方向に延びる横向き部32bと、を有するL形の板金で構成されている。
【0034】
ここで、下サッシフレーム部材31Cの前端部と後端部には、前支持部33と後支持部34が設けられている。サッシフレーム31は、前支持部33及び後支持部34を介して前後フレーム部材32Aに支持されている。すなわち、下サッシフレーム部材31Cの下端と前後フレーム部材32Aの上端とが上下に離間する状態で、サッシフレーム31が前後フレーム部材32Aに支持されている。これにより、下サッシフレーム部材31Cの下端と前後フレーム部材32Aの上端との間に、差込空間35が形成されている。
【0035】
〔差込空間〕
差込空間35は、側面視において、前後方向に長い略矩形状に形成されている。差込空間35は、前支持部33と後支持部34とに亘るように形成されている。すなわち、差込空間35は、下サッシフレーム部材31Cにおける前端部と後端部とに亘るように形成されている。また、差込空間35は、パネルカバー36によって左方から覆われている。
【0036】
〔パネルカバー〕
パネルカバー36は、前後方向に長い板状部材で構成されている。パネルカバー36は、前後方向において前支持部33と後支持部34とに亘り、かつ、上下方向において下サッシフレーム部材31Cの下端と前後フレーム部材32Aの上端とに亘るように構成されている。パネルカバー36の上端部には、下サッシフレーム部材31Cの下面に沿って左右方向に延びる横向き部36aが形成されている。横向き部36aは、下サッシフレーム部材31Cの下面に当て付けられている。
【0037】
ここで、下サッシフレーム部材31Cの前後中央部には、下方に延びるブラケット37が設けられている。そして、パネルカバー36は、ブラケット37、前支持部33及び後支持部34に、左方側(機体外方側)からボルト51によって着脱可能に取り付けられている。具体的には、パネルカバー37は、ブラケット37に対して右方側(機体内方側)から当て付けられた状態で、かつ、前支持部33及び後支持部34に対して左方側(機体外方側)から当て付けられた状態で、左方側(機体外方側)からボルト51によって着脱可能に取り付けられている。
【0038】
〔サイドパネル〕
図9に示すように、サイドパネル12の左端部には、上下方向に延びる第一縦向き部12Bと、左右方向に延びる横向き部12Cと、上下方向に延びる第二縦向き部12D(本発明に係る「縦向き部」に相当)と、が形成されている。
【0039】
第一縦向き部12Bは、操作パネル面12Aの左端部から下方に延びるように形成されている。第一縦向き部12Bの上端部と操作パネル面12Aの左端部との接続部、すなわち、サイドパネル12のうち運転キャビン4の室内側におけるサッシ30側の上端Pは、下サッシフレーム部材31Cの下端よりも上方の位置で、かつ、下サッシフレーム部材31Cの上端よりも下方の位置に設定されている。
【0040】
横向き部12Cは、第一縦向き部12Bの下端部から取付フレーム部材32Bのうち横向き部32bの上面に沿って左方に延びるように形成されている。第二縦向き部12Dは、横向き部12Cの左端部から取付フレーム部材32Bのうち縦向き部32aの左側面に沿って下方に延びるように形成されている。第二縦向き部12Dは、差込空間35において取付フレーム部材32Bのうち縦向き部32aの左側(機体外側)に差し込まれている。すなわち、第二縦向き部12Dは、差込空間35において取付フレーム部材32Bのうち縦向き部32aとパネルカバー36との間に差し込まれている。また、第二縦向き部12Dとパネルカバー36との間には、シール部材38が設けられている。
【0041】
シール部材38は、パネルカバー36の右側面に取り付けられていてよいし、サイドパネル12のうち第二縦向き部12Dの左側面に取り付けられていてもよい。シール部材38は、例えば、スポンジやゴムで構成されている。シール部材38は、差込空間35の前後方向の長さに対応する長さに形成されていると好適である。
【0042】
〔サイドパネルの着脱〕
サイドパネル12のうち横向き部12Cを、取付フレーム部材32Bのうち横向き部32bに着脱可能に取り付けることができる。サイドパネル12の取付けは、例えば、リベットやボルト等の固定具を用いて行うことができる。当該固定具の取付け及び取外しは、パネルカバー36を取り外した状態で、差込空間35の左方側(機体外方側)、すなわち、運転キャビン4の外部から行うことができる。サイドパネル12の取付け箇所は、例えば、横向き部12Cのうち前端部、前後中央部及び後端部の三カ所に設けられている。
【0043】
そして、上記固定具を取り外すことにより、サイドパネル12を運転キャビン4の室内側から取り外すことができる。すなわち、サッシフレーム31を運転部10から取り外さなくても、サイドパネル12を差込空間35から引き抜くことが可能であり、サイドパネル12を容易に取り外すことができる。例えば、キャビン部11が運転部10に溶接で固定されている場合、キャビン部11を運転部10から取り外さなくても、サイドパネル12を差込空間35から引き抜くことが可能である。
【0044】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態において、防塵カバー21がエンジンボンネット17と一体的に開閉するように構成されていてもよい。
【0045】
図10及び
図11において、運転座席9は、前後方向に移動可能、かつ、左右方向に延びる軸心X1周りで揺動可能に構成されている。運転座席9は、第一留め具46によってエンジンボンネット17に固定されている。第一留め具46を取り外すことにより、運転座席9を前方に移動させて、軸心X1周りで前方に揺動させることができる。
【0046】
防塵カバー21には、エンジンボンネット17が一体的に取り付けられている。防塵カバー21の上端部は、第二留め具47によって運転キャビン4側に固定されていると共に、ステー21bを介して運転キャビン4側のステー50にノブボルト48によって固定されている。第二留め具47及びノブボルト48を取り外すことにより、防塵カバー21をエンジンボンネット17と一体的に軸心Y1周りで下方に揺動させることができる。
【0047】
このような構成により、エンジンルーム17Aを開放させるには、第一留め具46、第二留め具47及びノブボルト48を取り外す。そして、運転座席9を前方に移動させて、軸心X1周りで前方に揺動させる。その後、ドア26を取り外した上で、防塵カバー21をエンジンボンネット17と一体的に軸心Y1周りで下方に揺動させる。こうして、エンジンルーム17Aを開放させることにより、エンジンルーム17A内のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0049】
(
2)上記実施形態において、サイドパネル12のうち運転キャビン4の室内側におけるサッシ30側の上端Pは、下サッシフレーム部材31Cの下端よりも上方の位置で、かつ、下サッシフレーム部材31Cの上端よりも下方の位置に設定されているが、下サッシフレーム部材31Cの上端よりも上方の位置に設定されていてもよいし、下サッシフレーム部材31Cの下端よりも下方の位置に設定されていてもよい。
【0050】
なお、本発明は、上記実施形態及び別実施形態に限定されるものではなく、その他種々の変更が可能である。また、上記実施形態及び別実施形態は、矛盾の生じない限り、適宜組み合わせたり又は省略したりすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、自脱型コンバインの他、普通型コンバインにも利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
9 運転座席
10 運転部
11 キャビン部
12 サイドパネル(操作パネル)
12D 第二縦向き部(縦向き部)
14 主変速レバー(操作具)
30 サッシ
31 サッシフレーム
32 運転部フレーム
32A 前後フレーム部材
32B 取付フレーム部材
35 差込空間
36 パネルカバー
36a 横向き部
37 ブラケット
38 シール部材
P 上端