(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238872
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】液冷式スクリュー圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04C 18/16 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
F04C18/16 L
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-230326(P2014-230326)
(22)【出願日】2014年11月13日
(65)【公開番号】特開2016-94855(P2016-94855A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2016年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今城 貴徳
(72)【発明者】
【氏名】宮武 利幸
(72)【発明者】
【氏名】吉村 省二
(72)【発明者】
【氏名】山崎 洋武
(72)【発明者】
【氏名】野口 透
【審査官】
松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−069309(JP,A)
【文献】
特開2010−174830(JP,A)
【文献】
特開平09−096284(JP,A)
【文献】
特開2011−007048(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/112088(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0187064(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに噛み合いながら回転する雌雄のロータと、
前記ロータの径方向から流体を吸い込む吸込口、前記吸込口に接続される吸込空間、および前記吸込空間と連通し、前記ロータが収容されるロータ室が形成されたケーシングと、
を備えた液冷式スクリュー圧縮機において、
前記吸込空間と前記ロータ室とが、前記ロータの径方向および軸方向において連通しており、
前記ロータの端面のうち、前記吸込空間と前記ロータ室とが前記軸方向において連通している側の吸込側端面の前記吸込口側を覆う遮蔽部材が設けられており、
前記遮蔽部材のうち、前記軸方向において前記吸込側端面よりも外側の領域に、前記径方向の内側に突出する突出部が設けられていることを特徴とする液冷式スクリュー圧縮機。
【請求項2】
前記吸込側端面に対向して、前記ロータの回転軸を回転自在に支持する軸受部が前記ケーシングに設けられており、
前記遮蔽部材は、前記吸込側端面と前記軸受部との間の間隙をさらに覆う請求項1に記載の液冷式スクリュー圧縮機。
【請求項3】
前記吸込口と前記遮蔽部材とが、前記軸方向において少なくとも一部重複している請求項1または2に記載の液冷式スクリュー圧縮機。
【請求項4】
前記遮蔽部材が、前記ロータの最外部の回転軌跡に沿った円弧形状を有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液冷式スクリュー圧縮機。
【請求項5】
前記雌雄のロータが並べられた配列方向において、前記遮蔽部材の両端部は前記ケーシングの内壁に接続されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の液冷式スクリュー圧縮機。
【請求項6】
前記雌雄のロータの噛合部の前記吸込口側を覆う第2遮蔽部材がさらに設けられている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液冷式スクリュー圧縮機。
【請求項7】
前記吸込空間と前記ロータ室とが前記軸方向において連通している領域の面積が、前記吸込空間と前記ロータ室とが前記径方向において連通している領域の面積よりも大きい請求項1ないし6のいずれか1項に記載の液冷式スクリュー圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに噛み合いながら回転する雌雄のロータがケーシング内に配設された液冷式スクリュー圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに噛み合いながら回転する雌雄のロータがケーシング内に配設された液冷式スクリュー圧縮機においては、例えば冷却や潤滑等のために油等の液体が供給されることがある。この油の一部がロータの回転によって飛散し、吸込空間内で高温のオイルミストとなると、流体がオイルミストによって温められて膨張する。その結果、流体の密度が低下し、流体の吸込効率が低下するおそれがあった。
【0003】
そこで、例えば特許文献1、2に記載の圧縮機においては、ロータから吸込空間への油の飛散を抑制するための部材が設けられている。特許文献1のいわゆるラジアル型圧縮機では、ロータの径方向外側に吸込空間が設けられるため、雄雌のロータの噛合部を覆うリブを設けることで、油がロータから吸込空間に飛散することを抑制している。また、特許文献2に記載のいわゆるアキシャル型圧縮機では、ロータの軸方向外側に吸込空間が設けられるため、油がロータから軸方向に飛散することを抑制する吸気加熱防止用壁が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−174830号公報
【特許文献2】特開平11−13661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ラジアル型圧縮機とアキシャル型圧縮機とを比較した場合、一般的にアキシャル型圧縮機のほうが、流体の吸込効率の観点において優れている。これは、ロータに供給された油は径方向へ飛散しやすく、径方向から取り込まれる流体のほうが、飛散した油の影響を受けやすく、温度上昇しやすいためであると考えられる。そこで、径方向からの吸い込みに加えて、軸方向からも流体を吸い込めるようにすることで、流体の吸込効率の向上を図った圧縮機が知られている。
【0006】
しかしながら、実際のところ、単に流体を径方向および軸方向の両方向から吸い込めるようにするだけでは、吸込効率を向上させることは困難であった。これは、回転軸を支持する軸受に供給された油が、回転軸を伝ってロータの端面に至り、当該端面から飛散すると、軸方向からロータに取り込まれる流体の温度を上昇させてしまうことが一因であると考えられる。その結果、本来吸込効率の優れている軸方向からの吸い込みの効果が低減し、両方向から流体を吸い込むことの意義を大きく低下させてしまうことがあった。
【0007】
そこで、本発明は、互いに噛み合いながら回転する雌雄のロータがケーシング内に配設された液冷式スクリュー圧縮機において、流体の吸込効率を確実に向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、互いに噛み合いながら回転する雌雄のロータと、前記ロータの径方向から流体を吸い込む吸込口、前記吸込口に接続される吸込空間、および前記吸込空間と連通し、前記ロータが収容されるロータ室が形成されたケーシングと、を備えた液冷式スクリュー圧縮機において、前記吸込空間と前記ロータ室とが、前記ロータの径方向および軸方向において連通しており、前記ロータの端面のうち、前記吸込空間と前記ロータ室とが前記軸方向において連通している側の吸込側端面の前記吸込口側を覆う遮蔽部材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、吸込口に接続される吸込空間とロータを収容するロータ室とが、径方向および軸方向において連通しているため、ロータにより径方向および軸方向の両方向から流体を吸い込むことが可能となり、吸込効率を向上させることができる。しかも、ロータの吸込側端面の吸込口側が遮蔽部材によって覆われているため、吸込側端面から吸込空間への油の飛散が抑制され、流体の吸込効率を確実に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態の油冷式スクリュー圧縮機の上面図である。
【
図3】
図1のIII−IIIにおける断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明にかかる液冷式スクリュー圧縮機の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態の油冷式スクリュー圧縮機の上面図であり、
図2は、
図1のII−IIにおける断面図であり、
図3は、
図1のIII−IIIにおける断面図であり、
図4は、
図2のIV−IVにおける断面図である。なお、各図においては、各部材間の配置関係の理解を容易とするため、実際には図面に現れない部材を、一部破線で図示している。また、本実施形態においては、液冷式スクリュー圧縮機の一例として油冷式スクリュー圧縮機の場合について説明するが、他の液体により冷却を行うスクリュー圧縮機に本発明を適用してもよい。また、本実施形態では、スクリュー圧縮機により空気を圧縮するものとして説明するが、圧縮する流体は空気に限定されない。
【0012】
油冷式スクリュー圧縮機1は、ケーシング10に、互いに噛み合いながら回転する雄ロータ21および雌ロータ22が配設されて構成されている。なお、以降の説明において、雄ロータ21と雌ロータ22とを特に区別しない場合は、まとめてロータ20と表記する。雄ロータ21および雌ロータ22のそれぞれには回転軸23が連結されており、雄ロータ21に連結された回転軸23にモータ24(
図1参照)が接続されている。モータ24により雄ロータ21が回転駆動されると、これに従動して雌ロータ22が回転する。すると、ケーシング10とロータ20との間に形成される複数の作動室25(
図3参照)が、ロータ20の軸方向において吸込側から吐出側へ移動するとともに、作動室25にて空気が圧縮される。
【0013】
図2に示すように、ロータ20の回転軸23は、軸方向においてロータ20の端面20a、20bと対向配置された軸受部30によって回転自在に支持されている。軸受部30は、ケーシング10の側面に形成された凹部空間31に、軸受32が嵌め込まれて構成されている。凹部空間31はカバー部材33によって閉塞され、軸受32に供給される潤滑油が外部に漏れないようになっている。
【0014】
図2、
図3に示すように、ケーシング10の上面には、空気をケーシング10内に吸い込むための吸込口11が形成されている。この吸込口11は、ロータ20の直上領域に形成されており(
図1参照)、ロータ20に空気を供給する吸込空間12と接続されている。なお、吸込口11の全体がロータ20の直上領域に位置することは必須ではなく、吸込口11の一部がロータ20の直上領域からはみ出しても構わない。
【0015】
図2に示すように、吸込空間12は、ロータ20の径方向(以下、単に「径方向」と称する)のみだけではなく、ロータ20の軸方向(以下、単に「軸方向」と称する)においても、ロータ20を収容するロータ室13に連通している。吸込空間12の下部は、軸方向においてロータ20の吸込側端面20aよりも外側まで広がるとともに、ロータ20の上端よりも下方まで延びている。その結果、上述のように、吸込空間12とロータ室13とが、径方向だけでなく軸方向においても連通し、空気が径方向からロータ室13に至る流路Prと、軸方向からロータ室13に至る流路Paとが形成される。
【0016】
図3に示すように、ロータ室13は、ロータ20の形状に合わせて、2つの円筒を組み合わせた形状を有する。また、
図2に示すように、ロータ室13は、吸込空間12と軸方向において連通している側と反対側の端部において、吐出空間14と連通している。吐出空間14は、ケーシング10の下部に形成された吐出口15に接続されている。吐出空間14および吐出口15は、雄ロータ21と雌ロータ22との噛合部20c(
図3参照)の下方に形成されており、作動室25にて圧縮された空気は最終的に吐出空間14および吐出口15を経て、装置外部へ供給される。
【0017】
ここで、圧縮空気の冷却や各部位の潤滑等のために、ロータ20や軸受部30には油が供給される。油を各部位に供給するための油路については、図示を省略している。ここで、ロータ20に供給された油は、主に雄ロータ21と雌ロータ22との噛合部20c(
図3参照)から、ロータ20の回転による遠心力で径方向外側に飛散し、吸込空間12で高温のオイルミストとなり浮遊する。また、吸込側の軸受部30に供給された油も、回転軸23を伝ってロータ20の吸込側端面20a(吸込空間12とロータ室13とが軸方向において連通している側の端面)に至り、ロータ20の回転による遠心力で吸込側端面20aから径方向外側に飛散し、吸込空間12で高温のオイルミストとなり浮遊する。その結果、吸込口11から取り込まれた空気が、オイルミストとの熱交換により膨張することで、空気の密度が低下し、空気の吸込効率が低下してしまう。
【0018】
油冷式スクリュー圧縮機1においては、上述のように、吸込空間12とロータ室13とを径方向および軸方向において連通させることで、径方向に形成された吸込口11から取り込んだ空気を、ロータ20により径方向から吸い込むだけではなく、軸方向からも吸い込むことができるように構成されている。かかる構成によれば、ロータ20による空気の吸込効率を大きく向上させることができる。特に、軸方向から吸い込まれる空気は、径方向に飛散する油の影響が比較的小さいため、径方向から吸い込まれる空気よりも密度が大きくなり、吸込効率の観点で優れている。にもかかわらず、ロータ20から飛散した油、特に吸込側端面20aから径方向に飛散した油が吸込口11側に至ると、
図2の流路Paを流れる空気の温度を上昇させてしまう。その結果、軸方向から吸い込まれる空気の密度が低下し、軸方向からも空気を吸い込めるようにした意味が大きく低減する。
【0019】
そこで、油冷式スクリュー圧縮機1では、
図2に示すように、吸込側端面20aから吸込口11側への油の飛散を抑制するための遮蔽部材41を設けている。遮蔽部材41は、吸込側端面20aを径方向に延長させた仮想面上に位置するとともに、吸込側端面20aを軸方向にまたぐように吸込空間12に配置されており、吸込側端面20aの吸込口11側を覆っている。遮蔽部材41のうち、軸方向において吸込側端面20aよりも外側の領域には、径方向内側に突出する突出部41aが設けられている。このような遮蔽部材41を設けることで、吸込側端面20aから吸込空間12への油の飛散、特に流路Paへの油の飛散を抑制することができるため、軸方向からの吸い込みを有効に活かすことができ、全体としての吸込効率を向上させることができる。
【0020】
また、
図2において、遮蔽部材41の左端は、吸込空間12の左側の内壁から離間し、かつ、吸込側端面20aと軸受部30との間の間隙Gよりも左側に位置する。このため、遮蔽部材41の左側に流路Paを確保できるとともに、遮蔽部材41により間隙Gを覆うことができる。また、遮蔽部材41の右端は、吸込空間12の右側の内壁から離間し、かつ、吸込口11の左端よりも右側に位置する。このため、遮蔽部材41の右側に流路Prを確保できるとともに、遮蔽部材41と吸込口11とを軸方向において領域Rで重複させることができる。
【0021】
一方、遮蔽部材41を軸方向から見ると、
図3に示すように、遮蔽部材41は、雄ロータ21の最外部の回転軌跡に沿った円弧形状を有する部分と、雌ロータ22の最外部の回転軌跡に沿った円弧形状を有する部分とを組み合わせて構成されている。そして、雄ロータ21および雌ロータ22が並べられた配列方向において、遮蔽部材41の両端部はケーシング10の内壁に接続されている。
【0022】
さらに、本実施形態では、
図3に示すように、ロータ20の噛合部20cから吸込口11側への油の飛散を抑制するための第2遮蔽部材42も設けている。第2遮蔽部材42は、噛合部20cの鉛直上方に配置されており、噛合部20cに沿って、すなわち軸方向に沿って延びている。
図4に示すように、第2遮蔽部材42の軸方向における一端は、遮蔽部材41に接続されており、他端は、ケーシング10の内壁に接続されている。
【0023】
本実施形態では、遮蔽部材41および第2遮蔽部材42を、ケーシング10と同じ金属製とし、鋳造により、ケーシング10、遮蔽部材41および第2遮蔽部材42を一体的に形成している。こうすることで、遮蔽部材41および第2遮蔽部材42をケーシング10に取り付ける工程が不要となるとともに、遮蔽部材41および第2遮蔽部材42がケーシング10の補強材としても機能するので好適である。しかしながら、油の飛散を抑制するという機能を発揮できれば、遮蔽部材41および第2遮蔽部材42の形成方法、材料、形状等は適宜変更することが可能である。
【0024】
図3の領域Aa(太線内の領域)は、吸込空間12とロータ室13とが軸方向で連通している領域、すなわちロータ20が軸方向から空気を吸い込むことのできる領域を示している。なお、便宜的に領域Aaを
図3にて図示したが、領域Aaは断面III−III上ではなく、実際は吸込空間12とロータ室13との境界面上に位置する。一方、
図4の領域Ar(太線内の領域)は、吸込空間12とロータ室13とが径方向で連通している領域、すなわちロータ20が径方向から空気を吸い込むことのできる領域を示している。厳密には、遮蔽部材41や第2遮蔽部材42の下方においても、吸込空間12とロータ室13とは径方向にて連通しているとも言えるが、この部分を介してロータ20により径方向から空気が吸い込まれることは意図していない。このため、平面視において、遮蔽部材41および第2遮蔽部材42が存在する部分は、領域Arから除く。本実施形態では、領域Aaの面積が、領域Arの面積(2つの領域Arを足した面積)よりも大きくなるようにしている。
【0025】
(効果)
本実施形態の油冷式スクリュー圧縮機1によれば、吸込空間12とロータ室13とが、径方向および軸方向において連通しているため、ロータ20により径方向および軸方向の両方向から空気が吸い込むことが可能となり、吸込効率を向上させることができる。しかも、吸込側端面20aの吸込口11側が遮蔽部材41によって覆われているため、吸込側端面20aから吸込空間12への油の飛散、特に流路Paへの油の飛散が有効に抑制され、軸方向からの吸い込みを有効に活かすことができるため、流体の吸込効率を確実に向上させることができる。また、吸込口11が径方向から空気を取り込むように形成されているため、軸方向に大きな吸込空間を形成する必要がなく、軸方向においてロータ20の吸込側端面20aよりも若干外側まで広がる吸込空間12を設けるだけでよいので、ケーシング10の小型化を図ることができるという付随的な効果も生ずる。
【0026】
また、本実施形態では、遮蔽部材41は、吸込側端面20aと軸受部30との間の間隙Gを覆っているため、吸込側端面20aからだけでなく、間隙Gから吸込空間12へ飛散する油を抑制することができる。このため、空気の吸込効率をさらに向上させることができる。
【0027】
また、本実施形態では、吸込口11と遮蔽部材41とが、軸方向において少なくとも一部重複しているため、吸込側端面20aから吸込口11側へ飛散する油をより効果的に抑制することができる。このため、空気の吸込効率をさらに向上させることができる。
【0028】
また、本実施形態では、遮蔽部材41が、ロータ20の最外部の回転軌跡に沿った円弧形状を有しているため、遮蔽部材41をロータ20に近づけて配置することができる。このため、吸込側端面20aから径方向外側へ飛散する油をより効果的に抑制することができ、空気の吸込効率をさらに向上させることができる。
【0029】
また、本実施形態では、遮蔽部材41のうち、軸方向において吸込側端面20aよりも外側の領域に、径方向内側に突出する突出部41aが設けられているため、吸込側端面20aから流路Paへ飛散する油をより効果的に抑制することができる。このため、軸方向から吸い込まれる空気の吸込効率をさらに向上させることができる。
【0030】
また、本実施形態では、雄ロータ21と雌ロータ22とが並べられた配列方向において、遮蔽部材41の両端部はケーシング10の内壁に接続されている。このため、遮蔽部材41によってケーシング10の強度を向上させることができる。
【0031】
また、本実施形態では、雄ロータ21と雌ロータ22との噛合部20cの吸込口11側を覆う第2遮蔽部材42がさらに設けられているため、噛合部20cから径方向外側に飛散する油も抑制することができる。このため、空気の吸込効率、特に径方向から吸い込まれる空気の吸込効率をさらに向上させることができる。
【0032】
また、本実施形態では、吸込空間12とロータ室13とが軸方向において連通している領域Aaの面積が、吸込空間12とロータ室13とが径方向において連通している領域Arの面積よりも大きい。このため、吸込効率のより優れた軸方向からの吸込量を多くすることができ、空気の吸込効率をさらに向上させることができる。
【0033】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上記実施形態の要素を適宜組み合わせまたは種々の変更を加えることが可能である。例えば、ケーシング10や、ケーシング10に形成される吸込口11、吸込空間12、ロータ室13、吐出空間14、吐出口15等の具体的な形状や位置は、上記実施形態で示したものに限定されないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0034】
1:油冷式スクリュー圧縮機(液冷式スクリュー圧縮機)
10:ケーシング
11:吸込口
12:吸込空間
13:ロータ室
20:ロータ
20a:吸込側端面
20c:噛合部
21:雄ロータ
22:雌ロータ
23:回転軸
30:軸受部
41:遮蔽部材
41a:突出部
42:第2遮蔽部材
G:間隙