(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示された構造のものでは、摺動板の端部よりも外方側に位置して摺動板を保護するガード部材を備えることによって、摺動板が他物と接触して損傷する可能性を低減できる点で有用なものである。しかしながら、この構造のものでは、固定部とガード部材とを貫通するピン部材の抜き差しによって、ガード部材の位置決めと回り止めとを行う構造のものであったため、強度上の損失が大きい点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、ガード部材の位置変更及び固定を、ガード部材の孔の位置と位置決め用のピン部材の抜き差しによって行うのではなく、ガード部材に取り付けた係止体で行うようにして、操作性を損なうことなくガード部材の強度低下を避けられるようにしようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の水田作業機における技術手段は、次の点に構成上の特徴、及び作用効果がある。
【0007】
〔解決手段1〕
上記課題を解決するために講じた本発明の技術手段は、走行機体の後部に昇降操作自在に装備させた作業装置と、その作業装置に対する横外方側からの他物の当接を抑制するためのガード装置とが備えられ、前記ガード装置は、前記作業装置側の固定部に対して取り付け姿勢を変更可能なガード部材と、そのガード部材を所定の取り付け姿勢で前記固定部に連結する取付機構とを備え、前記取付機構は、前記固定部に設けた係合部と、その係合部に対して係脱可能であるように前記ガード部材に設けた係止体とを備えるとともに、前記係合部に対する前記係止体の係合位置の変更に伴って、前記ガード部材が前記作業装置の左右方向での端部よりも外方側に位置して他物の当接を抑制するガード姿勢と、前記ガード部材が前記作業装置の左右方向での端部よりも内方側に位置する格納姿勢とに、前記ガード部材の取り付け姿勢を変更可能であるように構成され、
前記係止体は、前記係合部に対する前記係止体の係脱方向で、前記ガード部材よりも前記固定部から離れる側へ延出された第一部分と前記ガード部材を挟んで前記第1部分とは反対側に延びる第二部分とを有し、前記係止体のうち、
前記第一部分によって、前記ガード部材の姿勢変更操作を行うための握り操作部が形成されていることである。
【0008】
〔解決手段1にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段によれば、ガード部材に設けた係止体を操作することによってガード部材の姿勢変更を行うことができるので、ガード部材に姿勢変更用の複数の係止孔を形成するなどの、強度低下を招く構造を必要としない。したがって、ガード部材の強度を損なわずに姿勢変更可能な構造を得られる利点がある。
また、ガード部材によって作業装置の保護を行うガード姿勢と、そのガード部材を格納姿勢とに姿勢変更して、作業装置をコンパクトに収容するにあたり、握り操作部がガード部材よりも固定部から離れる側へ延出されているので、その握りガード部材を容易に把持し易く、握り操作部の位置によって係止体の位置を把握しながら操作し易いという利点がある。
【0009】
〔解決手段2〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記ガード部材の一部が前記固定部に対して、所定方向での軸心線に沿ってスライド操作及び回動操作可能に装着されており、前記係合部に対する前記係止体の係脱方向が前記所定方向と同方向に設定してあり、前記固定部に対する前記ガード部材のスライド操作に伴って前記係合部に対する前記係止体の係脱が行われ、前記固定部に対する前記ガード部材の回動操作に伴って前記ガード部材の姿勢変更が行われるように構成してあり、前記握り操作部が、前記固定部に対する前記ガード部材のスライド箇所における軸心線の延長線と交差する位置に設けられていることである。
【0010】
〔解決手段2にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段2によれば、握り操作部が、固定部に対するガード部材のスライド箇所における軸心線の延長線と交差する位置に設けられているので、握り操作部を把持してのガード部材の押し引き操作や回動操作を、ガード部材のこじれなどが生じにくい状態で行い易いという利点がある。
【0011】
〔解決手段3〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記係止体が、前記ガード部材を貫通して前記固定部から離れる側へ延出されていることである。
【0012】
〔解決手段3にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段3によれば、係止体が、ガード部材を貫通して固定部から離れる側へ延出されているので、ガード部材が係止体の支持部材を兼ねることになり、構造の簡素化を図りやすいという利点がある。
【0013】
〔解決手段4〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記作業装置が整地用フロートと、その整地用フロートの上部側を覆うフロートカバーとを備え、前記握り操作部が前記フロートカバーが設けられた箇所よりも前方側に位置するように設けられていることである。
【0014】
〔解決手段4にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段4にかかる発明によると、握り操作部がフロートカバーと干渉せず、容易に操作し易いという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明における水田作業機の実施の形態の一例を図面の記載に基づいて説明する。
尚、以下の実施形態での説明における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、以下のように記載している。つまり、機体の作業走行時における前進側の進行方向が「前」、後進側への進行方向が「後」、その前後方向に対して、前向きを基準としての右側に相当する方向が「右」、同様に左側に相当する方向が「左」である。
【0017】
〔全体構成〕
図1および
図2に水田作業機の一例である乗用型田植機が示されている。
乗用型田植機は、機体フレーム10が、操向操作自在な左右一対の前輪11Fおよび左右一対の後輪11Rに支持された自走機体1(走行機体に相当する)を備え、この自走機体1の後方に、昇降用シリンダ13を備えたリンク機構12を介して昇降自在な苗植付装置2(作業装置に相当する)が連結されている。
自走機体1には、前部側に位置させて、エンジン30をボンネット3A内に収容する状態で原動部3が配備されている。自走機体1の後部には粉粒体供給装置としての施肥装置4が配備されている。これらの原動部3と施肥装置4との前後方向での間隔幅内に、運転座席50やステアリングハンドル51を備える搭乗運転部5が配備されている。
【0018】
原動部3では、
図2に示すように。ボンネット3A内に、エンジン30がクランク軸(図示せず)を横向きにした横置き姿勢で配設され、左右方向での一端側である右端側にラジエータ31が配設され、他端の左側端部にマフラー32が配設されている。
エンジン30の前記左端側には、図示はしないが出力用のプーリ、及び伝動ベルトが配設され、これらの伝動手段を介してエンジン30よりも後方側に位置させたミッションケース33内の変速機構(図示せず)にエンジン動力が伝達される。
【0019】
ミッションケース33内で変速された動力が、前輪11Fと、伝動軸34を介して後車軸ケース35とに伝達される。その動力が後車軸ケース35内の後輪駆動機構(図示せず)を介して後輪11Rに伝達される。また、この後車軸ケース35に伝えられた動力は、図示しない伝動機構を介して施肥装置4の繰り出し部41にも伝達され、後方の苗植付装置2にも動力取り出し軸36を介して伝達されている。
【0020】
搭乗運転部5では、機体フレーム10上で、ステアリングハンドル51と運転座席50との間に運転部ステップ52が設けられている。この運転部ステップ52に対して、地上から乗降するための足掛け用の乗降用ステップ53が、運転部ステップ52の左右両側に設けてある。運転部ステップ52は、ステアリングハンドル51と運転座席50との間のみならず、ボンネット3Aの左右両側にも設けてあり、機体前方側からの乗降も可能に構成されている。
ボンネット3Aの左右両側に位置する運転部ステップ52の横外側には、
図1および
図2に示すように、予備苗を搭載するための予備苗のせ台14が立設されている。したがって機体前方からの乗降は、ボンネット3Aと予備苗のせ台14との間の運転部ステップ52を通って行われる。
【0021】
施肥装置4は、運転座席50の背部側に配置された粉粒状の肥料を貯留する施肥タンク40と、その下方側に配設される繰り出し部41と、繰り出された肥料を苗植付装置2に備えた作溝器27に向けて搬送する施肥ホース42とを備えている。施肥ホース42は軟質樹脂製などの可撓管で構成され、苗植付装置2の昇降動作に伴って弾性変形可能であるように構成されている。
【0022】
そして、繰り出し部41から繰り出された肥料を前記施肥ホース42で風力搬送するための搬送風の供給手段として、施肥用のブロワ43が、繰り出し部41の前方下方に設けてある。
このブロワ43は、
図2に示すように、自走機体1の左右方向でのほぼ中央位置に配備されていて、専用のブロワモータ44で回転駆動される。ブロワ43で吸い込んだ外気は、左右に分岐する送風路45を介して各繰り出し部41の下部に供給される。そして、繰り出し部41で繰り出された肥料が落下し、吸引外気に乗って施肥ホース42へ送り出され、作溝器27へ向けて風力搬送されるように構成してある。
【0023】
苗植付装置2は、8条植型式の苗のせ台20と、8条分の苗を植え付け可能な植付装置21とを備え、苗のせ台20に載置されているマット状苗を、各条毎に植付装置21の植付爪21aで分離し、圃場へ植え付けて行くように構成されている。
この苗植付装置2は、左右方向での中央位置に、動力取り出し軸36を介して自走機体1側からエンジン30の動力が伝達されるフィードケース22が備えられている。フィードケース22は苗植付装置2の左右方向でのほぼ全長にわたるツールバー23の中央位置に固定支持されている。フィードケース22の左右両側に延出されているツールバー23の後面側には、前記植付装置21に動力を伝えるための4本の植付伝動ケース24の前端側が連結固定され、後方向きに延出された後端部の左右両側に前記植付装置21が装備されている。
【0024】
苗のせ台20は、フィードケース22に装備されている図示しない横送り機構によって左右方向で往復横移動するように構成されている。苗のせ台20の往復横移動範囲は、苗のせ台20における1条分の苗を載置する苗載置部20aの左右方向幅に相当する範囲である。
苗のせ台20の下端側に位置して苗のせ台20の横移動を案内する摺動板25の左右方向幅は、苗のせ台20の左右方向幅と、その往復横移動範囲との和よりも大きく設定されている。したがって、この乗用型田植機では、前記摺動板25の左右各端部が、後述するガード装置6を除いて最も機体外側箇所に位置している。摺動板25は長さ方向の複数箇所で各植付伝動ケース24に連結され支持されている。
【0025】
この苗植付装置2の下部には、苗植え付け作業時に、泥面に接地して滑走する整地用フロート26が配置され、その整地用フロート26に前記作溝器27が取り付けられている。
整地用フロート26のうち、中央位置のセンターフロート26Aを除く左右のサイドフロート26Bの前部上方に相当する箇所には、そのサイドフロート26Bからの泥の跳ね上がりを阻止するためのフロートカバー28が設けられている。このフロートカバー28はツールバー23の上面側に支持されている。
【0026】
〔ガード装置〕
図1乃至
図6に示されるように、ガード装置6は、苗植付装置2のツールバー23(固定部に相当する)に対して取り付け姿勢を変更可能なガード部材60と、そのガード部材60を所定の取り付け姿勢でツールバー23に対して連結固定するための取付機構61とを備えている。
【0027】
ガード部材60は、金属製の丸パイプを、パイプ長さ方向の二箇所でほぼ90度ずつ同方向に屈曲させて形成した屈曲杆によって構成されている。
つまり、金属製の丸パイプの長さ方向での中間部に相当する箇所のパイプ部分に対して、その中間部のパイプ部分の両端側に存在するパイプ部分を同方向にほぼ90度屈曲させて、中間部に相当する箇所のパイプ部分の一端側と他端側との夫々に、互いに長さの異なるパイプ部分を存在させたものである。
したがってガード部材60は、中間部に相当する箇所のパイプ部分である横杆部分60Bの一端側に長尺の最外側ガード部60Aが存在し、横杆部分60Bの他端側に短尺の差し込み杆部分60Cが存在する。これらの最外側ガード部60Aと差し込み杆部分60Cとは、互いに平行もしくはほぼ平行な姿勢で、かつ横杆部分60Bに対しては直交もしくはほぼ直交する姿勢で設けられている。
このうち、長さの短い差し込み杆部分60Cが、固定部であるツールバー23の左右方向での端部に備えた取付機構61を介して、前後方向に沿う枢支軸心p1回りで回動、及びその枢支軸心p1に沿う方向での前後移動が可能であるように支持されている。
【0028】
さらにガード部材60は、横杆部分60Bのうちで差し込み杆部分60Cに近い側に、この横杆部分60Bを貫通し、差し込み杆部分60Cと平行もしくはほぼ平行で、かつ同方向に突出する係入部62aを備えた係止ピン62(係止体に相当する)が溶接固定されている。
【0029】
この係止ピン62は、前記係入部62a
(第二部分に相当する)が突出する側とは横杆部分60Bを挟んで反対側にも延出されている。そして、その反対側に延出された部分
(第一部分に相当する)は、横杆部分60Bに沿う方向で差し込み杆部分60C側に屈曲させてあり、ガード部材60を抜き差し方向に移動、もしくは差し込み杆部分60Cの枢支軸心p1回りで回動操作する際に用いられる握り操作部62bに構成されている。
【0030】
握り操作部62bは、枢支軸心p1の延長線と交差するように設けてある。したがって、握り操作部62bを把持してガード部材60を枢支軸心p1に沿う方向である前後移動に移動させると、差し込み杆部分60Cをこじれなく操作し易い点で有利である。
また、この握り操作部62bは、ツールバー23に支持されているフロートカバー28よりも前方側で、かつ横外側に位置するように設けられているので、この握り操作部62bを把持する際にフロートカバー28との接触を避けやすい。
【0031】
係止ピン62のうち、差し込み杆部分60Cと同方向に突出する係入部62aは、その突出方向の途中部位が、差し込み杆部分60C側から延出された板状のストッパー部材62cに溶接固定されている。
このストッパー部材62cは、ガード部材60に対する係止ピン62の取付強度を高めるとともに、差し込み杆部分60C及び係入部62aを挿抜可能な取付機構61側に対して、差し込み杆部分60C及び係入部62aの最大挿入量を設定するための位置決め手段としても用いられる。
【0032】
取付機構61は次のように構成されている。
左右方向に延設されているツールバー23の左右方向の各端部に、ガード部材60を支持するための固定用取付枠63が溶接固定されている。
この固定用取付枠63と、ガード部材60を引き込み側へ付勢するためのコイルスプリングからなる付勢バネ66と、バネ受け用の止め輪67と、抜け止めピン68、及びガード部材60側に形成されたピン孔69とを備えて取付機構61が構成されている。
【0033】
固定用取付枠63は、ツールバー23の端部の前後の各面に当接した状態で溶接固定された前板63A及び後板63Bと、ツールバー23の前後方向幅に相当する間隔を隔てて存在するところの、前記前板63Aと後板63Bとを接続する中間板63Cとを備えて箱状に形成されている。
この前板63Aと後板63Bには、ガード部材60の差し込み杆部分60Cを挿抜可能な一つの枢支孔部64と、係止ピン62の係入部62aを挿抜可能な二つの係合孔部65とが形成されている。
二つの係合孔部65のうち、一方の係合孔部65が、ガード部材60をほぼ水平のガード姿勢にした状態で係止ピン62が係入する側の係合孔部65であり、この係合孔部65は、前板63Aと後板63Bとにわたって連結固定された筒状部材63Dの内周孔によって構成されている。他方の係合孔部65が、ガード部材60をほぼ鉛直の格納姿勢にした状態で係止ピン62が係入する側の係合孔部65である。
【0034】
このように構成された取付機構61は、固定用取付枠63の枢支孔部64に差し込まれたガード部材60の差し込み杆部分60Cのうち、固定用取付枠63を貫通して他側へ突出した部分に、付勢バネ66と、止め輪67とを装着し、ピン孔69に抜け止めピン68を挿入して、差し込み杆部分60Cを抜け止め状態に支持している。係止ピン62は、二つの係合孔部65のうち、何れか一方の係合孔部65に係入されることにより、ガード部材60がガード姿勢又は格納姿勢のうちの何れか一方の姿勢に固定される。
ガード部材60の姿勢変更は、係止ピン62の握り操作部62bを把持して、付勢バネ66の付勢力に抗して係入部62aを係合孔部65から引き抜き、差し込み杆部分60Cの枢支軸心p1回りで回動操作して、別の位置の係合孔部65に係入部62aを係入させることにより行われる。
【0035】
〔スタンド装着部〕
ツールバー23には、
図5及び
図7に示されているように、左右方向での両端部近くにスタンド装着部70が取り付けられている。このスタンド装着部70は、苗植付装置2を自走機体1から取り外した場合に、その苗植付装置2を自立姿勢に支持するように専用のスタンド(図示せず)を装着するためのものである。
スタンドとしては、単なる柱状のもの、あるいは、その下部にキャスター車輪を備えて移動可能に構成したものなどを用いることができる。
【0036】
図7に示すように、スタンド装着部70は、ツールバー23の上面及び前後両面を囲むようにチャンネル状に形成された上側枠71と、ツールバー23の下面側に当てつけられる下側枠72とを備えている。上側枠71と下側枠72との対向片箇所同士が連結用ナット73で連結されることにより、スタンド装着部70がツールバー23の長さ方向の適所に連結固定される。
下側枠72の下面側に、筒状の固定ボス74が設けられていて、この固定ボス74に専用のスタンドを差し込んでネジ止めするように構成されている。
【0037】
〔マフラー固定部〕
原動部3に設けられるマフラー32の固定構造について説明する。
図8及び
図9は、エンジン30の横側部に筒状本体32Aを前後方向に沿わせた姿勢で位置するマフラー32を、エンジン30に対して支持させるためのマフラー固定部80を示している。
また、
図8及び
図10は、エキゾーストマニホールド(図外)に連なるエキゾーストパイプ30Aとマフラー32との接続箇所を示している。
【0038】
マフラー固定部80は、
図8及び
図9に示すように、エンジン30側に固定されている支持台81に対して、抱き込み部材82を連結し、この抱き込み部材82によってマフラー32の筒状本体32Aを抱き込み支持させるように構成してある。
抱き込み部材82は、筒状本体32Aの外周形状に沿って円弧状に湾曲された湾曲部分82Aと、その湾曲部分82Aの両端部に連なる一対の板状の取付片部分82B,82Bとを備えている。そして、一対の取付片部分82B,82B同士を互いに対向させて湾曲部分82Aが円筒状となるように構成してある。
【0039】
取付片部分82Bには、抱き込み部材82を支持台81に連結するための前後一対の連結用孔83と、抱き込み部材82のガタツキを抑制するための係止孔84とが形成されている。
一対の連結用孔83は、左右方向に長い長孔に形成されている。この連結用孔83にはそれぞれ連結用ボルト85が挿通され支持台81に固定された止めナット85Aに螺合するように構成されている。連結用孔83と連結用ボルト85とは、連結用孔83の長孔の長さ範囲内で相対移動して、支持台81に対する抱き込み部材82の位置調節を行い、エンジン30側に対するマフラー32の離間距離に合うように調節して連結固定することができる。
【0040】
係止孔84も左右方向に長い長孔に形成されている。この係止孔84には、支持台81の下面側に溶接固定されたL字状のガイドピン81Aが挿入されている。この係止孔84とガイドピン81Aとが連結用孔83と連結用ボルト85との連結箇所よりも左右方向で離れて位置していることにより、抱き込み部材82の前後方向でのガタツキを効果的に抑制することができる。
【0041】
抱き込み部材82の取付片部分82Bのうち、湾曲部分82Aに近い箇所に、締め付けボルト86が設けられている。この締め付けボルト86は、湾曲部分82Aによるマフラー32の筒状本体32Aに対する締め付け度合いを、締め付けボルト86の締め付け度合いで変更可能にするためのものである。したがって、締め付けボルト86を緩めておくことで、抱き込み部材82に対する筒状本体32Aの前後方向での相対位置を変更することが可能であり、締め付けボルト86による締め付け度合いを強くすることで、その相対移動が阻止されるように調節することができる。
尚、抱き込み部材82の湾曲部分82Aとマフラー32の筒状本体32Aとの回転方向での相対移動は、湾曲部分82Aに形成された係合孔82Cと、筒状本体32Aの一部に形成されている突起部32Dとの係合により阻止される。
【0042】
マフラー32は、排気方向での上流側の導入口部32Bが、エンジン30のエキゾーストマニホールド(図外)に接続されたエキゾーストパイプ30Aに接続されている。導入口部32Bから導入された排気は筒状本体32Aを経て下流側の排気口部32Cから排出される。
エキゾーストパイプ30Aと導入口部32Bとの接続箇所では、エキゾーストパイプ30Aの後端部に導入口部32Bの前端側が外嵌した状態で、その外側を、締め付け金具87で締め付け固定している。
図10に示すように、締め付け金具87は、一対の半割筒状部材87A,87Aを一対の締め付けボルト87B,87Bで締め付け固定するように構成されている。
【0043】
このとき、導入口部32Bの前端側には複数本のスリット溝32Baを形成して、締め付け金具87での締め付け固定を行い易く構成してある。そして、エキゾーストパイプ30Aと導入口部32Bとの接続箇所を通過する排気が前記スリット溝32Baを通って漏れ出さないように、エキゾーストパイプ30Aと導入口部32Bとの嵌合箇所に、ブッシュ88を嵌入させてある。
このとき
図8に示すように、ブッシュ88の後端部の位置が、導入口部32Bの前端側に存在する大径の部分とそれに引き続く後方窄まりのテーパー状部分との境界部分32Bbと合致するように、前記マフラー固定部80でマフラー32の前後方向位置を調節できるようにしてある。
【0044】
〔リンクダンパ〕
図11に示すように、自走機体1の後方に備えたリンク機構12の昇降用シリンダ13は、そのシリンダロッド13Aとリンク機構12との接続箇所に緩衝用のコイルスプリング13Bを介装してある。さらに、そのコイルスプリング13Bの緩衝動作を減衰させるためのダンパ15を、シリンダロッド13Aとリンク機構12との接続箇所に設けてある。
このように、コイルスプリング13Bとともに、ダンパ15も並列で作用するように設けてあることにより、昇降用シリンダ13によるリンク機構12の昇降作動時に、その上昇限界、あるいは下降限界位置での衝撃の緩和と、緩和のために作用するコイルスプリング13Bの反復振動の減衰とを行える。
【0045】
〔収納部〕
図12に示すように、運転座席50は前端側の揺動支点50a周りで起伏揺動可能に構成されている。
そして、その運転座席50を支持する座席支持部54の上部に凹入部分を設けて、この凹入部分を工具等の収納部55として利用できるように構成してある。
【0046】
〔別実施形態の1〕
上記の実施形態では、施肥装置4自体にブロワ43を設けて、施肥ホース42で肥料などの粉粒体を風力搬送するための搬送風の供給手段を構成した構造のものを例示したが、この構造に限られるものではない。
例えば、
図13に示すように、原動部3におけるラジエータ31のラジエータファン31Aで吸引排出される冷却風を、施肥装置4側の送風路45に送る導風ダクト46を設けてもよい。この場合、導風ダクト46の入り口側をラジエータファン31Aの直後で絞って風圧を高めながら施肥装置4側へ案内し、繰り出し部41から粉粒体が供給される送風路45に送り込んで搬送風として利用できるようにしているが、導風ダクト46を徐々に絞るようにしてもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0047】
〔別実施形態の2〕
上記の実施形態では、乗用型田植機において、苗植付装置2の摺動板25の横外側にガード装置6のガード部材60が位置するように設けた構造のものを示したが、これに限られるものではない。
例えば
図14に示すように、播種装置9を備えた直播機(水田作業機に相当する)にガード装置6を設けてもよい。この場合、ガード装置6は、播種装置9の横外側にガード部材60が位置するように設けられている。
【0048】
この構造では、施肥装置4の施肥タンク40とは別に、種籾を収容可能な主タンク90と副タンク91とを備えている。
主タンク90は自走機体1の前部寄りの箇所に搭載し、副タンク91は、リンク機構12を介して自走機体1の後方に昇降自在に装備させた播種装置9に備えさせている。
主タンク90から副タンク91への種籾の搬送は、ある程度の可撓性を有した供給ホース92内にコイルスプリング状のスクリュー搬送装置(図示せず)を内装し、そのスクリュー搬送装置の回転によって種籾を副タンク91へ向けて搬送する。ように構成してある。副タンク91からは、その下方の繰り出し部(図示せず)から所定量ずつ種籾が間欠的に落下供給される。
また、このような構造に限らず、例えば、施肥装置4を設けずに
図14の施肥タンク40が存在するような自走機体1の後部に主タンク90を設けて、主タンク90から副タンク91への種籾の供給路に十分な落差を設けた状態に供給ホース92を配設して、落下供給するように構成してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0049】
〔別実施形態の3〕
上記の実施形態では、ガード部材60の差し込み杆部分60Cがツールバー23側の取付機構61に対して、前後方向に沿う枢支軸心p1回りで回動、及びその枢支軸心p1に沿う方向での前後移動が可能であるように支持された構造のものを例示したが、この構造に限られるものではない。
例えば、ガード部材60の差し込み杆部分60Cの取付機構61に対する相対移動方向を左右方向にして、かつ左右方向に沿う枢支軸心p1回りで回動可能であるように支持してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0050】
〔別実施形態の4〕
上記の実施形態では、ガード部材60の差し込み杆部分60Cがツールバー23側の取付機構61に対して、前後方向に沿う枢支軸心p1回りで回動、及びその枢支軸心p1に沿う方向での前後移動が可能であるように支持された構造のものを例示したが、この構造に限られるものではない。
例えば、ガード部材60の差し込み杆部分60Cを角筒状に形成し、取付機構61にもその角筒状に対応する角穴部分を備えるなどして、ガード部材60の差し込み杆部分60Cをツールバー23側の取付機構61に対して抜き差し可能に構成してもよい。このように構成することにより、取付機構61に対して抜き出した差し込み杆部分60Cを、ガード部材60の姿勢を変えて再度差し込むことにより、ガード部材60の取付姿勢を変更し得るように構成してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0051】
〔別実施形態の5〕
上記の実施形態では、ガード部材60をほぼ水平にしたガード姿勢と、ガード部材60をほぼ鉛直にした格納姿勢との二状態に姿勢変更可能に構成したものであるが、これに限られるものではない。
例えば、上記のガード姿勢と格納姿勢との中間で別の姿勢に維持させるようにしてもよい。また、格納姿勢を鉛直下方に向けてスタンドとして利用可能な姿勢とするのではなく、上方向きに姿勢変更して格納姿勢とするように構成してもよい。あるいは、格納姿勢を鉛直下方と上方との両方向に向き変更可能であるように構成してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。