(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記移動制御部は、前記継目が前記インクジェットヘッドを通過した場合、前記搬送面と前記吐出面との間の距離を前記第二間隔から前記第一間隔とする、前記移動部による相対移動を制御する、請求項2に記載のインクジェット記録装置。
前記移動制御部は、前記継目が前記インクジェットヘッドを通過した場合、前記搬送面と前記吐出面との間の距離を前記第二間隔から前記第一間隔とする、前記移動部による相対移動を制御する、請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
インクジェット記録装置は、各種の記録媒体に、好適な品質の画像を記録することができる。出願人においては、既に、インクジェット記録装置を用いて、長尺状の布帛に所定の模様を記録し加飾した製品(加飾布)を生産している。発明者は、このような加飾布を効率よく生産する場合、インクジェット記録装置が備えるインクジェットヘッドに形成されたノズルから、インクが好適に吐出されているかを検査することが必要であることを、知得している。加飾布を効率的に生産する場合、布帛に模様を記録しつつ、インクの吐出状態を検査するためのテストパターンをスムーズに記録することが、重要となる。
【0008】
本発明は、長尺状の布帛を加飾するための模様を記録する場合に、インクの吐出状態を検査するためのテストパターンをスムーズに記録することができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面のインクジェット記録装置は、
所定の長さの生地を複数繋げて形成された長尺状の布帛を加飾するための模様と、前記模様を記録するために吐出されるインクの吐出状態を検査するためのテストパターンと、を記録する、インクジェット記録装置であって、前記布帛が載せ置かれる搬送面を含み、前記搬送面に載せ置かれた前記布帛を、前記布帛の長手方向に沿った搬送方向に
一定の速度で搬送する搬送部と、インクを吐出するノズルが形成された
ライン型のインクジェットヘッドと、前記ノズルからのインクの吐出を制御する記録制御部と、
前記搬送部によって搬送されている前記布帛に含まれる前記生地同士の継目を、前記インクジェットヘッドより前記搬送方向の上流側で検出する継目検出部と、時間をカウントするタイマと、を備え、前記記録制御部は、
前記継目検出部で前記継目が検出されない場合、前記搬送部によって搬送されている前記布帛への前記模様の記録に対応したインクの吐出を制御し、
前記継目検出部で前記継目が検出された場合、前記タイマを起動させ、前記タイマによってカウントされる時間が、前記継目検出部で検出された前記継目が前記継目検出部より前記搬送方向の下流側で、前記インクジェットヘッドより前記搬送方向の上流側となる所定の地点に到達するのに要する設定時間を経過した場合、前記搬送部によって搬送されている前記布帛への前記テストパターンの記録に対応したインクの吐出を制御する、ことを特徴とする。このインクジェット記録装置によれば、
継目が検出されない場合、所定の長さの生地を複数繋げて形成された長尺状の布帛に、
模様を記録し、継目が検出された場合、設定時間の経過に伴い、この布帛に、テストパターンを記録することができる。
テストパターンの記録位置を、継目に対して一定の位置とすることができる。例えば、テストパターンを記録するために、
ライン型のインクジェットヘッドを、布帛の長手方向(搬送方向)に直交する短手方向に、搬送される布帛と対向しない位置まで移動させるといった動作が必要なくなる。
ライン型のインクジェットヘッドを備えるインクジェット記録装置において、模様の記録を効率よく行うことができる。
【0010】
インクジェット記録装置は、前記搬送面に垂直な離間方向において、前記搬送部に対して前記インクジェットヘッドを相対移動する移動部と、前記移動部による相対移動を制御する移動制御部と、を備え、前記移動制御部は、
前記タイマによってカウントされる時間が前記設定時間を経過し、前記テストパターンが記録された場合、前記搬送面と、前記ノズルが形成された前記インクジェットヘッドの吐出面と、の間の距離を、前記インクジェットヘッドで前記模様及び前記テストパターンが記録される状態における第一間隔より長い第二間隔とする、前記移動部による相対移動を制御する、ようにしてもよい。これによれば、ライン型のインクジェットヘッドにおいても、継目の高さ形状等に関わらず、継目と吐出面が接触するといった事態の発生を防止することが可能となる。インクジェットヘッドが模様を記録する場合と同様の状態で、テストパターンを記録することができる。「前記テストパターンが記録された場合、」は、テストパターンの記録に対応したインクの吐出が制御された場合と定義することもできる。
【0011】
前記移動制御部は、前記継目が前記インクジェットヘッドを通過した場合、前記搬送面と前記吐出面との間の距離を前記第二間隔から前記第一間隔とする、前記移動部による相対移動を制御する、ようにしてもよい。これによれば、継目がインクジェットヘッドを通過した場合、搬送面と吐出面との間の距離を第一間隔とすることができる。
【0012】
インクジェット記録装置は、前記搬送面に垂直な離間方向において、前記搬送部に対して前記インクジェットヘッドを相対移動する移動部と、前記移動部による相対移動を制御する移動制御部と、を備え、前記移動制御部は、
前記タイマによってカウントされる時間が前記設定時間を経過した場合、前記搬送面と、前記ノズルが形成された前記インクジェットヘッドの吐出面と、の間の距離を、前記インクジェットヘッドで前記模様が記録される状態における第一間隔より長い第二間隔とする、前記移動部による相対移動を制御
し、前記記録制御部は、前記タイマによってカウントされる時間が前記設定時間を経過し、前記搬送面と前記吐出面との間の距離が前記第二間隔とされた場合、前記テストパターンの記録に対応したインクの吐出を制御する、ようにしてもよい。これによれば、ライン型のインクジェットヘッドにおいても、継目の高さ形状等に関わらず、継目と吐出面が接触するといった事態の発生を防止することが可能となる
。
【0013】
前記移動制御部は、前記継目が前記インクジェットヘッドを通過した場合、前記搬送面と前記吐出面との間の距離を前記第二間隔から前記第一間隔とする、前記移動部による相対移動を制御する、ようにしてもよい。これによれば、継目がインクジェットヘッドを通過した場合、搬送面と吐出面との間の距離を第一間隔とすることができる。
【0014】
インクジェット記録装置は、前記搬送部によって搬送されている前記布帛に記録された前記テストパターンを前記インクジェットヘッドより前記搬送方向の下流側で読み取る読取部と、前記読取部による読み取りを制御する読取制御部と、を備える、ようにしてもよい。これによれば、継目に対して一定の位置に記録されたテストパターンを読み取ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、長尺状の布帛を加飾するための模様を記録する場合に、インクの吐出状態を検査するためのテストパターンをスムーズに記録することができるインクジェット記録装置を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。また、他の構成を備えるようにしてもよい。
【0018】
<インクジェット記録装置>
インクジェット記録装置1について、
図1〜
図6等を参照して説明する。インクジェット記録装置1では、画像データに従い、長尺状の布帛3に対してインクが吐出され、この画像データに対応した画像が記録される。本実施形態において、画像とは、布帛3を加飾するための模様、及び/又は、インクの吐出状態を検査するためのテストパターン5を含む概念である。画像の記録には、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のインクが用いられる。これら4色の他、イエロー、マゼンタ、シアンの各色の淡色系であるライトイエロー、ライトマゼンタ、ライトシアン、及び/又は、クリアを用いてもよい。本実施形態は、記録に用いられるインク色に関し、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色を例として説明する。長尺状の布帛3は、布帛3の長手方向となる方向において所定の長さの生地を、複数繋げて形成される。従って、布帛3は、生地同士を複数繋げた部分に継目4を含む。複数の生地は、縫製によって繋がれる。生地の縫製には、所定の糸が用いられる。本実施形態では、後述する継目4の検出との関係で、導電性を有する糸を例として説明する。
【0019】
インクジェット記録装置1は、導入部10と、搬送部20と、記録部40と、継目検出部50と、移動部70と、読取部80と、回収部90と、制御装置100(
図1で不図示)と、メンテナンス部110(
図1で不図示)を備える。記録媒体としての長尺状の布帛3は、導入部10の側から回収部90の側に、順次送られる。布帛3の送りは、インクジェット記録装置1が備える、複数の送りローラ2と、搬送部20によって実現される。
【0020】
導入部10は、長尺状の布帛3を、繰り出し、複数の送りローラ2を介して、搬送部20に供給する。長尺状の布帛3は、例えば、
図1に示すように、導入用の台車13に収容された状態で、導入部10にセットされる。台車13に収容された布帛3は、例えば、左右交互に折り畳まれた状態とされる。長尺状の布帛3は、ロール状に巻き取られた状態で、導入部10にセットされるようにしてもよい。導入部10における布帛3の経路は、諸条件を考慮して適宜設定される。
【0021】
搬送部20は、導入部10から供給された布帛3を搬送する。搬送部20による搬送は、布帛3の長手方向に沿って行われる。搬送部20によって布帛3が搬送される方向を、「搬送方向」という。搬送方向は、布帛3の長手方向を第一側(上流側)から第二側(下流側)へと向かう方向となる。搬送部20による搬送は、例えば、数m/分〜数十m/分の速度で行われる。例えば、30m/分といった高速で行われることもある。搬送部20は、コンベア等によって構成される。例えば、搬送部20がベルトコンベアによって構成される場合、搬送部20は、
図1に示すように、一対の第一ローラ21及び第二ローラ22と、搬送ベルト23とを備える。第一ローラ21は、記録部40より搬送方向の上流側に設けられる。第二ローラ22は、記録部40より搬送方向の下流側に設けられる。
【0022】
搬送ベルト23は、環状とされた無端ベルトであって、第一ローラ21及び第二ローラ22に張力が作用した状態で架けられる。例えば、搬送方向の下流側に設けられた第二ローラ22が、不図示の駆動部の駆動力によって、搬送方向に対応した方向に回転することで、搬送ベルト23が、これと同一方向に回転する。
図1に基づけば、第二ローラ22は、左回転する(「第二ローラ22」内に示す矢印参照)。このとき、搬送方向の上流側に設けられた第一ローラ21は、従動して回転する。
【0023】
搬送ベルト23の表面である搬送面24には、全周に亘って粘着部が形成される。搬送部20の搬送方向の上流側の端部には、押圧ローラ30が、搬送面24(粘着部)に対向するようにして設けられる。押圧ローラ30は、導入部10から供給された布帛3を、粘着部が形成された搬送面24に対して押圧する。布帛3は、搬送部20の搬送方向の上流側で搬送面24に載せ置かれ、粘着部にて搬送面24に固定された状態で、搬送方向に搬送される。搬送部20によって搬送される布帛3は、記録部40を通過し、搬送方向の下流側の領域に到達する。
図1において、継目検出部50と記録部40との間と、記録部40と読取部80との間に示す合計3個の三角(白抜き)は、後述する記録処理(
図7参照)の説明に用いる、第一地点Aと、第二地点Bと、第三地点Cを示すものである。
【0024】
搬送部20の搬送方向の下流側の端部の上方には、剥離ローラ32が設けられる。剥離ローラ32は、不図示の駆動部によって、搬送方向に対応した方向に回転する。
図1に基づけば、剥離ローラ32は、左回転する(「剥離ローラ32」の外周に示す矢印参照)。剥離ローラ32は、搬送ベルト23(第二ローラ22)の回転に同期して回転する。布帛3に接する剥離ローラ32の外周面は、布帛3との間で所定の摩擦力が発生するような状態をなしている。剥離ローラ32が回転すると、搬送部20にて搬送されている布帛3は、剥離ローラ32の側に引っ張られる。これによって、画像が記録された状態で搬送されている布帛3は、読取部80を通過した所定の位置で、粘着部から剥離される。
【0025】
記録部40は、
図2に示すように、インクジェットヘッド41Y,41M,41C,41Kを備える。インクジェットヘッド41Y,41M,41C,41Kは、キャリッジ42に搭載される。インクジェットヘッド41Y,41M,41C,41Kには、インクを吐出するノズルが形成される。インクジェットヘッド41Yは、イエローインクを吐出するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド41Mは、マゼンタインクを吐出するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド41Cは、シアンインクを吐出するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド41Kは、ブラックインクを吐出するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド41Y,41M,41C,41Kを備える記録部40によれば、例えば、フルカラーの模様を、布帛3に記録することができる(
図2等で、搬送方向の下流側に示す布帛3に付された「網目模様」参照)。
【0026】
模様等の記録に、上述したような淡色系のインク等を用いる場合、記録部40は、これら各色のインクを吐出するインクジェットヘッドをそれぞれ備える。インクジェットヘッド41Y,41M,41C,41Kは、何れも同一の構成を有する(他の色が用いられる場合、他の色のインクを吐出するインクジェットヘッドについても同じ)。本実施形態では、インクジェットヘッド41Y,41M,41C,41Kを、区別しない場合又はこれらを総称する場合、「インクジェットヘッド41」という。インクジェット記録装置1において、各色のインクは、対応したインクのためのインクタンク(不図示)に貯留され、色毎のインク供給ラインにて、各色のインクジェットヘッド41にそれぞれ供給される。
【0027】
インクジェットヘッド41Y,41M,41C,41Kは、
図2に示すように、搬送方向に配列される。配列順序は、適宜設定される。例えば、
図2に示すような順で配列される。インクジェットヘッド41は、布帛3の幅方向に一致する短手方向に、布帛3を横断するように設けられる。短手方向は、長手方向(搬送方向)に直交する方向である。インクジェットヘッド41は、ドロップオンデマンド型のインクジェットヘッドである。ドロップオンデマンド型のインクジェットヘッド41では、搬送部20にて布帛3が搬送され、画像を記録するタイミングで、インクジェットヘッド41に形成されたノズルからインクが吐出される。インクジェットヘッド41は、搬送部20にて搬送される布帛3にインクを吐出するノズルが、短手方向において、布帛3の幅以上の範囲に配列して形成されたライン型のインクジェットヘッドでもある。
【0028】
継目検出部50は、継目4を検出するための構成である。継目検出部50は、
図3に示すように、2個の電気接点51,52を備える。継目検出部50において、電気接点51,52は、記録部40より搬送方向の上流側の位置に設けられる。2個の電気接点51,52は、短手方向に所定の間隔で、搬送面24の上側の所定の位置に固定された状態で設けられる。複数の生地を繋げる場合、繋げられる各生地は、短手方向に沿って、導電性を有する糸で縫製される。布帛3が搬送部20によって搬送されると、継目4は、電気接点51,52が設けられた位置を通過する。このとき、継目4において短手方向に延在する糸は、同様のタイミングで電気接点51,52に接する。これによって、電気接点51,52の間には、導電性の糸を介して電気が流れる。継目検出部50での継目4の検出は、この電気を検知して行われる。継目検出部50は、既に実用化されたインクジェット記録装置においても採用された構成である。従って、継目検出部50に関するこの他の説明は、省略する。
【0029】
移動部70は、搬送面24に垂直な離間方向において、搬送部20に対して記録部40を移動(相対移動)する。具体的に、移動部70は、記録部40を離間方向に移動する。搬送面24が水平となるように搬送部20が設けられるインクジェット記録装置1では、離間方向は、鉛直方向に一致する。移動部70による移動は、搬送面24と吐出面43との間の距離が第一間隔G1(
図1及び
図2参照)から、第二間隔G2(第一間隔G1<第二間隔G2
図4参照)となる範囲で行われる。第一間隔G1は、布帛3に画像を記録する場合の距離である。第一間隔G1は、布帛3に画像を好適な品質で記録するために必要となる布帛3の記録面と吐出面43との間の距離に基づき適宜設定される。即ち、第一間隔G1は、布帛3の厚みに従って変化する。布帛3の記録面は、吐出されたインクが付着し、画像が記録される面である。第二間隔G2は、記録部40(インクジェットヘッド41Y,41M,41C,41K)を、継目4が通過する場合、継目4と吐出面43が接触することとならない距離とされる。
【0030】
移動部70は、
図2及び
図4等に示すように、3個のガイド部71,72,73と、駆動部74を備える。ガイド部71,72,73は、離間方向に沿った状態で、例えば、キャリッジ42と、インクジェット記録装置1が備えるフレーム(不図示)にそれぞれ固定される。ガイド部71,72,73としては、例えば、リニアガイドのような構成が採用される。駆動部74は、例えば、ボールねじ75と、モータ76を備える。モータ76には、例えば、サーボモータ、ステッピングモータ又はDCモータが採用される。ボールねじ75は、回転自在に、取付具77と、インクジェット記録装置1が備えるフレーム(不図示)に固定される。取付具77は、キャリッジ42に固定される。モータ76は、ボールねじ75のねじ軸の一端側(本実施形態では、離間方向の下側
図2等参照)に、所定の継手機構を介して連結される。
【0031】
駆動部74において、モータ76が駆動し、ボールねじ75のねじ軸が、例えば左回転すると、ボールねじ75のナット部は、回転方向に対応し、離間方向を下側から上側に移動する。ナット部は、取付具77を介してキャリッジ42に取り付けられている。従って、ナット部の離間方向における移動に対応して、記録部40も離間方向を下側から上側に移動(以下、「上昇」という)する。記録部40は、
図4に示すように、搬送面24と吐出面43との間の距離が、第二間隔G2となる位置に配置される。一方、駆動部74において、モータ76が駆動し、ボールねじ75のねじ軸が、例えば右回転すると、ボールねじ75のナット部は、回転方向に対応し、離間方向を上側から下側に移動する。従って、ナット部の離間方向における移動に対応して、記録部40も離間方向を上側から下側に移動(以下、「下降」という)する。記録部40は、
図2に示すように、搬送面24と吐出面43との間の距離が、第一間隔G1となる位置に配置される。
【0032】
本実施形態では、3個のガイド部71,72,73と、1個の駆動部74を備える移動部70を例として説明するが、ガイド部及び駆動部の数は、これとは異なるようにしてもよい。ガイド部及び駆動部の数は、適宜設定される。記録部40に対して、ガイド部71,72,73及び駆動部74がそれぞれ設けられる位置についても、適宜設定される。駆動部74は、空圧、油圧又は電動のシリンダによって構成してもよい。この場合、シリンダによる駆動部74は、ロッドの突出方向が離間方向の上側となるようにして、キャリッジ42に設けられた取付具77のような構成と、インクジェット記録装置1が備えるフレーム(不図示)に固定される。
【0033】
読取部80は、記録部40で布帛3に記録されたテストパターン5を読み取る(撮像する)。読取部80は、記録部40より搬送方向の下流側の所定の位置に設けられる。読取部80は、この位置において、短手方向の第三側及び第四側で、例えば、インクジェット記録装置1が備えるフレーム(不図示)に固定される。読取部80は、例えば、CCDを含む。読取部80において、CCDは、搬送面24(テストパターン5が記録された布帛3)に対向するようにされる。CCDは、テストパターン5の短手方向の寸法以上の範囲に設けられる。複数のCCDを短手方向に設け、前述した範囲を読み取るようにしてもよい。読取部80において、前述した範囲に設けられた1又は複数のCCDは、搬送部20によって搬送方向に搬送される布帛3に記録されたテストパターン5の全範囲を読み取る。
【0034】
回収部90は、画像が記録された布帛3を回収する。回収部90は、
図1に示すように、振り落とし部91を備える。振り落とし部91は、不図示の駆動部にて、離間方向の上側の部分を支点として長手方向に揺動し(
図1で、「振り落とし部91」に近接して示す両矢の矢印参照)、搬送部20の側から送られてくる布帛3を、回収用の台車93に回収する。長尺状の布帛3は、供給前と同様、左右交互に折り畳まれた状態で、台車93に収容される。布帛3をロール状に巻き取り、回収するようにしてもよい。回収部90にて回収され、台車93に収容された布帛3は、次の工程に移動される。
【0035】
制御装置100は、例えば、
図2等に示すように、制御部101と、記憶部102と、操作部103と、表示部104を備える。制御部101は、CPUと、RAM等のようなメモリを含む。制御部101は、インクジェット記録装置1で実行される各種の処理を制御する。例えば、制御部101は、後述する記録処理を制御する。記憶部102は、記録処理を含む各種の処理のためのコンピュータプログラムと、テストパターン5に対応したテストパターンデータ等の各種のデータを記憶する。操作部103は、制御装置100に対し、所定の指示を入力するためのインターフェースである。表示部104は、各種の情報を表示する。CPUが、メモリを利用して記憶部102に記憶されたコンピュータプログラムを実行することで、各種の機能が実現される。即ち、制御部101は、各種の機能を実現する機能部を構成する。
【0036】
メンテナンス部110は、記録部40に対するメンテナンスを行う。メンテナンスは、例えば、インクの吐出状態が異常であると判定された場合に行われる。メンテナンスが行われる場合、
図6に示すように、記録部40は、所定の移動機構(不図示)によって、メンテナンス部110が設けられた位置に移動される。メンテナンス部110では、例えば、吐出面43がクリーニングされる。各色のインクジェットヘッド41に形成されたノズルから、各色のインクが強制的に吐出される。この吐出は、例えば、エア詰まり等を解消する目的で行われる。メンテナンスが終了した場合、記録部40は、所定の移動機構によって、
図2に示す位置に戻される。その後、インクジェット記録装置1では、例えば、布帛3の搬送が開始され、布帛3への画像の記録が再開される。
【0037】
<記録処理>
インクジェット記録装置1で実行される記録処理について、
図7を参照して説明する。記録処理は、制御部101が、記憶部102に記憶されたこの処理のためのコンピュータプログラムを実行して行われる。記録処理は、例えば、操作部103を介して、制御装置100に、この処理の開始指示が入力され、制御部101がこれを取得した場合に開始される。記録処理の開始に対応して、導入部10、搬送部20及び回収部90等が動作し、搬送部20による布帛3の搬送等が開始される。
【0038】
記録処理を開始した制御部101は、搬送部20によって搬送される布帛3に対する模様の記録を開始する(S10)。制御部101は、模様の記録に対応したインクの吐出を制御する。具体的に、制御部101は、記録する模様に対応した画像データを取得する。画像データは、例えば、記憶部102、又は、制御装置100に通信可能に接続された記憶装置(不図示)から取得される。取得された画像データは、制御部101に含まれるRAMに記憶される。制御部101は、画像データに従い、各色のインクの吐出を制御する。記録部40では、各色のインクジェットヘッド41に形成されたノズルから、各色のインクが適宜吐出され、模様が記録される。
【0039】
制御部101は、模様を記録するための制御を継続しつつ、継目検出部50で継目4が検出されたかを判断する(S12)。継目4の検出は、上述した通り、電気接点51,52に、搬送されている布帛3を形成する生地を縫製するために用いられた導電性の糸が接し、電気接点51,52の間に電気が流れたことが検知されたか否かに従い行われる。継目4が検出されていない場合(S12:No)、制御部101は、この処理を繰り返して実行する。継目4が検出された場合(S12:Yes)、制御部101は、継目4を検出後、さらに布帛3が搬送され、継目4が第一地点Aに到達したかを判断する(S14)。
【0040】
第一地点Aは、
図1に示すように、搬送方向において、継目検出部50より下流側で、記録部40より上流側となる所定の位置である。継目検出部50と記録部40との間で、第一地点Aを設定する場合、後述するS16〜S20の処理を実行するのに要する時間T1と、第一地点Aとして設定される位置から記録部40までの距離を継目4が搬送されるのに要する時間T2の関係が、「時間T1<時間T2」を満足するようにされる。継目4が第一地点Aに到達したか否かは、例えば、継目検出部50で継目4が検出された後の経過時間によって判断される。制御部101は、S12が肯定された場合(S12:Yes)、タイマ(不図示)を起動させ、継目4の検出後の経過時間をカウントする。搬送部20による搬送速度が30m/分で、継目検出部50から、上述した関係に基づき設定した第一地点Aまでの距離が1mであったとする。この場合、継目検出部50で検出された継目4が第一地点Aに到達するのに要する時間は、2秒(1(m)/(30(m/分)/60(秒)))である。このような条件である場合、制御部101は、継目4が検出された後、2秒経過したか否かに従い、S14を判断する。前述した搬送速度及び距離は、説明を容易とするための例示である(以下において同じ)。
【0041】
継目4が第一地点Aに到達していないと判断される場合(S14:No)、制御部101は、S14の判断を繰り返して実行する。継目4が第一地点Aに到達したと判断される場合(S14:Yes)、制御部101は、模様を記録するための制御を中断する(S16)。これによって、記録部40での模様の記録も中断される。続けて、制御部101は、テストパターン5の記録に対応したインクの吐出を制御する(S18)。具体的に、制御部101は、記憶部102からテストパターンデータを取得する。取得されたテストパターンデータは、RAMに記憶される。制御部101は、テストパターンデータに従い、各色のインクの吐出を制御する。記録部40では、各色のインクジェットヘッド41に形成されたノズルから各色のインクが適宜吐出される。これによって、テストパターン5が、継目4に対して搬送方向の下流側の領域に、継目4と隣り合った状態で記録される。その後、制御部101は、移動部70を介した記録部40の上昇を制御する(S20)。移動部70は駆動し、搬送面24と吐出面43との間の距離が第二間隔G2となる位置まで、記録部40を上昇する。
【0042】
次に、制御部101は、継目4が第二地点Bに到達したかを判断する(S22)。第二地点Bは、
図1に示すように、搬送方向において、記録部40より下流側で、読取部80より上流側となる所定の位置である。第二地点Bは、布帛3が搬送され、継目4が記録部40を通過したと判断できる所定の位置である。継目4が第二地点Bに到達したか否かは、S14の場合と同様にして判断される。例えば、搬送部20による搬送速度が30m/分で、継目検出部50から第二地点Bまでの距離が3mであったとする。この場合、継目検出部50で検出された継目4が第二地点Bに到達するのに要する時間は、6秒(3(m)/(30(m/分)/60(秒)))である。このような条件である場合、制御部101は、継目4が検出された後、6秒経過したか否かに従い、S22を判断する。
【0043】
継目4が第二地点Bに到達していないと判断される場合(S22:No)、制御部101は、S22の判断を繰り返して実行する。継目4が第二地点Bに到達したと判断される場合(S22:Yes)、制御部101は、移動部70を介した記録部40の下降を制御する(S24)。移動部70は駆動し、搬送面24と吐出面43との間の距離が第一間隔G1となる位置まで、記録部40を下降する。続けて、制御部101は、継目4が第三地点Cに到達したかを判断する(S26)。第三地点Cは、
図1に示すように、搬送方向において、第二地点Bより下流側で、読取部80より上流側となる所定の位置である。ここで、S14が肯定(S14:Yes)されたことを条件として、S18でテストパターン5を記録する、本実施形態の記録処理によれば、テストパターン5は、継目4に対して一定の位置とされる(
図5に示す「寸法L」参照)。第三地点Cは、テストパターン5が読取部80に対向した位置となる場合において、テストパターン5と長手方向に寸法Lだけ離間した関係にある継目4が搬送されている位置である(
図5で「継目4」が図示された位置参照)。継目4が第三地点Cに到達したか否かは、S14の場合と同様にして判断される。例えば、搬送部20による搬送速度が30m/分で、継目検出部50から第三地点Cまでの距離が3.5mであったとする。この場合、継目検出部50で検出された継目4が第三地点Cに到達するのに要する時間は、7秒(3.5(m)/(30(m/分)/60(秒)))である。このような条件である場合、制御部101は、継目4が検出された後、7秒経過したか否かに従い、S26を判断する。
【0044】
継目4が第三地点Cに到達していないと判断される場合(S26:No)、制御部101は、S26の判断を繰り返して実行する。継目4が第三地点Cに到達したと判断される場合(S26:Yes)、制御部101は、読取部80でのテストパターン5の読み取りを制御する(S28)。読取部80では、搬送部20によって搬送されている布帛3に記録されたテストパターン5が読み取られる。制御部101は、読み取られたテストパターン5に対応した検査データを生成する。生成された検査データは、RAMに記憶される。続けて、制御部101は、検査データを対象として、判定処理を実行する(S30)。判定処理は、インクの吐出状態を判定するための処理である。S30で制御部101は、RAMに記憶された検査データを画像処理して検出される情報が、予め定めた条件に合致する場合、インクの吐出状態は正常であると判定する。一方、制御部101は、前述した情報が、予め定めた条件に合致しない場合、インクの吐出状態は異常であると判定する。判定処理は、例えば、上述した特許文献1及び特許文献2に開示された処理と同様にして行われる。この点に関する説明は、省略する。
【0045】
制御部101は、判定処理による結果が、正常であったかを判断する(S32)。正常であった場合(S32:Yes)、制御部101は、処理をS36に移行する。インクの吐出状態が異常であった場合(S32:No)、制御部101は、ルーチン処理を実行する(S34)。ルーチン処理は、インクの吐出状態が異常である場合に実行する処理として予め定められた処理である。例えば、表示部104にインクの吐出状態に異常があることを内容とする情報が表示される。上述したメンテナンスは、ルーチン処理に含まれる。メンテナンスの実行に際し、制御部101は、搬送部20の停止を制御してもよい。この場合、制御部101は、導入部10及び回収部90の停止を制御してもよい。ルーチン処理を実行した後、制御部101は、処理をS36に移行する。
【0046】
S36で制御部101は、記録処理の終了を示す終了指示を取得したかを判断する。終了指示は、操作部103を介して入力される。終了指示が取得されていない場合(S36:No)、制御部101は、処理をS10に戻し、S16で中断させた模様の記録に対応したインクの吐出の制御を再開する。これによって、記録部40では、各色のインクジェットヘッド41から各色のインクが吐出され、搬送部20によって搬送されている布帛3に模様が記録される。上述したように、メンテナンスの実行(S34参照)に際し、搬送部20等が停止されていた場合、制御部101は、停止させた搬送部20等による布帛3の搬送の制御を再開する。搬送部20等では、布帛3の搬送等が再開される。終了指示が取得されている場合(S36:Yes)、制御部101は、記録処理を終了する。
【0047】
<本実施形態の効果>
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0048】
(1)上記では、記録処理(
図7参照)において、加飾のための模様を記録する布帛3の所定の領域に、テストパターン5を記録し(S18参照)、このテストパターン5に従い、判定処理を実行する(S30参照)こととした。そのため、テストパターン5を記録し、判定処理を実行するに際し、各色のインクジェットヘッド41をキャリッジ42に搭載して構成される記録部40を、短手方向に、搬送される布帛3と対向しない位置まで移動させるといった動作が必要なくなる。模様の記録と、インクの吐出状態の検査を、効率よく実施することができる。
【0049】
(2)上記では、記録処理において、テストパターン5の記録(S18参照)を実行するための条件となる第一地点Aを、「時間T1<時間T2」を満たす所定の位置とした。上述した通り、時間T1は、S16〜S20の処理を実行するのに要する時間であり、時間T2は、第一地点Aとして設定される位置から記録部40までの距離を継目4が搬送されるのに要する時間である。このような第一地点Aによれば、記録処理において、テストパターン5を、継目4に対し、搬送方向の下流側(既に模様が記録された布帛3を形成する生地の後端部領域)に記録することができる。ここで、記録された模様によって加飾された布帛3を、加飾布(製品)として出荷する場合、生地同士を繋ぐ糸はほどかれ、生地毎に分割されると共に、分割された生地の両端部分は裁断等される。従って、本実施形態において、テストパターン5が記録される領域は、製品としては取り扱われない。このような製品とはならない領域に、テストパターン5を記録することで、布帛3を有効に利用することができる。
【0050】
(3)上記では、インクジェット記録装置1が移動部70を備えることとし、記録処理では、継目4が記録部40を通過する際、記録部40を上昇(S20参照)させることとした。そのため、継目4の高さ形状等に関わらず、継目4と、吐出面43が接触するといった事態の発生を防止することができる。記録部40を上昇させるタイミングとして、テストパターン5の記録が実行された後(S18及びS20参照)とした。そのため、記録部40で模様が記録される場合と同様、搬送面24と吐出面43との間の距離が第一間隔G1の状態で、テストパターン5を記録することができる。テストパターン5を、模様と同様の品質で記録することができる。
【0051】
<変形例>
本実施形態は、次のようにすることもできる。このような構成によっても、上記同様の効果を得ることができる。以下に示す変形例は、適宜組み合わせるようにしてもよい。
【0052】
(1)上記では、継目検出部50が、電気接点51,52を備えることとし、複数の生地を繋げる導電性を有する糸が電気接点51,52に接し、流れた電気を検知することで、継目4を検出することとした。継目検出部50での継目4の検出は、搬送される布帛3を、例えば、記録面の側から撮像し、撮像された画像を画像解析して検出するようにしてもよい。この場合、継目検出部50を構成するカメラのような撮像部が、搬送方向において電気接点51又は電気接点52が設けられた位置と同様の位置で、布帛3の記録面を撮像できるような状態で設けられる。
【0053】
(2)上記では、離間方向において、搬送部20に対して記録部40を移動(相対移動)するために、インクジェット記録装置1が、記録部40を離間方向に移動する移動部70を備えることとした。搬送部20に対する記録部40の相対移動は、搬送部20における搬送面24が存在する位置を、離間方向に移動させて行うようにしてもよい。この場合、インクジェット記録装置1は、搬送面24等を離間方向に移動させるための機構を備える。
【0054】
(3)上記では、第一地点Aを上述した位置とすることで、記録処理において、テストパターン5を、継目4に対して搬送方向の下流側に記録することとした。この他、テストパターン5は、継目4より搬送方向の上流側に記録されるようにしてもよい。これによれば、継目4が通り過ぎた状態で、検査対象となる各色のインクジェットヘッド41からインクを吐出し、テストパターン5を記録することができる。継目4と吐出面43の接触に起因したインクの吐出状態の異常発生を、好適に判定することができる。この場合、記録処理では、S16に続けてS20が実行され、S24の終了後、S18が実行され、テストパターン5が記録される。S18を実行した後、S26以降の処理が、上記同様、適宜実行される。S26の判断条件となる第三地点Cは、テストパターン5が読取部80に到達するまでの距離(時間)を考慮し、適宜設定される。
【0055】
(4)上記では、記録処理において、継目4が検出(S12:Yes参照)された後、記録部40を上昇(S20)する前に、テストパターン5を記録(S18参照)することとした。テストパターン5の記録は、記録部40を上昇した後、搬送面24と吐出面43との間の距離が第二間隔G2となった状態で実行されるようにしてもよい。このような状態で記録されたテストパターン5によっても、好適にインクの吐出状態を判定することができる場合もある。記録部40の上昇のタイミングを早め、より確実に、継目4と吐出面43の接触を防止することができる。この場合についても、テストパターン5が記録される位置は、継目4に対して搬送方向の上流側又は下流側の何れとしてもよい。記録処理では、S16とS20が順次実行され、その後、S18が実行される。
【0056】
(5)上記では、記録処理において、継目4が検出(S12:Yes参照)された後、判定処理(S30参照)によって、インクの吐出状態が正常であると判定された場合(S32:Yes参照)に、模様の記録を再開(S10参照)することとした。継目4が検出された後の模様の記録再開は、例えば、テストパターン5の読み取りが完了(S28参照)した後としてもよい。布帛3が空送りされ、模様が記録されない領域が増加してしまうことを防止することができる。このような構成は、インクの吐出状態が異常であると判定されることが少ないといった実績がある場合に有効である。記録部40の下降が完了(S24参照)した後に再開することとしてもよい。
【0057】
(6)上記では、読取部80がテストパターン5の短手方向の寸法以上の範囲にCCDを含む読取部80とし、この読取部80によって、テストパターン5の全範囲を読み取ることとした。テストパターン5の読み取りは、短手方向における読取能力が、テストパターン5の短手方向の寸法より小さいCCDを含む読取部を、短手方向に移動させて行うようにしてもよい。この場合、インクジェット記録装置1は、前述したようなCCDを含む読取部を、短手方向に移動する移動機構を備える。読取部は、移動機構によって、短手方向を、例えば、第三側から第四側に移動し、テストパターン5の全範囲を読み取る。テストパターン5の読み取りをこのようにする場合、記録処理のS26の判断が肯定されると(S26:Yes)、制御部101は、搬送部20による布帛3の搬送の停止を制御する。その後、S28が実行され、テストパターン5が読み取られた場合、制御部101は、搬送部20による布帛3の搬送の制御を再開する。
【0058】
(7)上記では、移動部70を備えるインクジェット記録装置1を例に説明した。例えば、搬送面24と吐出面43との間の距離が第一間隔G1であっても、継目4が吐出面43に接触しないような形状である場合、又は、元々、第一間隔G1が十分に広い間隔とされている場合等については、移動部70は、省略するようにしてもよい。この場合、記録処理では、S20と、S24と、S22又はS26の何れか一方は、省略される。
【0059】
(8)インクジェット記録装置1は、上述した各部の他、例えば、乾燥部を備えるようにしてもよい。乾燥部は、布帛3が送られる経路のうち、搬送部20(剥離ローラ32)と回収部90との間に設けられる。乾燥部は、記録部40によって画像が記録された布帛3を乾燥する。乾燥部を備えるインクジェット記録装置1では、記録処理において、インクの吐出状態に異常があるとされた場合(S32:No)、模様が既に記録された布帛3の回収は、継続されるようにしてもよい。停止させた場合、乾燥途中の布帛3が、乾燥部の内部に停滞することとなるためである。
【0060】
(9)布帛3に、加飾のための模様を記録すると共に、テストパターン5を記録するといった処理を含む、本実施形態の記録処理は、上述したような、ライン型のインクジェットヘッド41による記録部40を備えるインクジェット記録装置1の他、記録部を短手方向に往復移動させながら模様の記録を行うシリアル型のインクジェット記録装置にも、適宜採用することができる。シリアル型である場合、移動部70は省略される。この場合、例えば、記録処理のS18を実行した後、S20のタイミングで、記録部を布帛3に対向しない短手方向の第三側又は第四側に退避させる。その後、S24のタイミングで、記録部を、模様の記録が可能な位置に戻す。