特許第6238893号(P6238893)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238893
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】太陽電池用裏面保護シート
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/049 20140101AFI20171120BHJP
【FI】
   H01L31/04 562
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-520021(P2014-520021)
(86)(22)【出願日】2013年6月5日
(86)【国際出願番号】JP2013065543
(87)【国際公開番号】WO2013183658
(87)【国際公開日】20131212
【審査請求日】2016年3月15日
(31)【優先権主張番号】特願2012-130256(P2012-130256)
(32)【優先日】2012年6月7日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】399054321
【氏名又は名称】東洋アルミニウム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】猿渡 昌隆
(72)【発明者】
【氏名】藤野 剛明
【審査官】 井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−019138(JP,A)
【文献】 特開2011−009392(JP,A)
【文献】 特開2010−089281(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/145083(WO,A1)
【文献】 特開平08−248408(JP,A)
【文献】 特開平11−065158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02−31/078、31/18−31/20、
51/42−51/48
H02S 10/00−50/15
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池セルの裏面側に配置される太陽電池用裏面保護シートであって、
(1)前記太陽電池用裏面保護シートは、2層以上の積層体からなり、
(2)前記積層体を構成する層のうち、前記太陽電池セルの裏面に最も近い層は、銅フタロシアニン顔料、キナクリドンレッド顔料及びベンツイミダゾロンイエロー顔料を含有し、380〜780nmの波長域の平均反射率が10%以下の黒色であり、
(3)前記太陽電池用裏面保護シートは、780〜2000nmの波長域の平均反射率が30%以上である、
ことを特徴とする太陽電池用裏面保護シート。
【請求項2】
前記太陽電池セルの裏面に最も近い層は、樹脂成分として密度0.900〜0.935g/cm3のポリエチレンを含有する、請求項1に記載の太陽電池用裏面保護シート。
【請求項3】
太陽電池セル及びその裏面側に配置された請求項1又は2に記載の太陽電池用裏面保護シートを備えた太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池セルの裏面側に配置される太陽電池用裏面保護シートに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池セルの裏面側には一般に太陽電池用裏面保護シートが積層されており、これらを合わせて一般に太陽電池モジュールと称されている。
【0003】
太陽電池モジュールを建造物の屋根や屋上に配置するに際し、外観や意匠性を考慮して太陽電池用裏面保護シートが黒色であることを要求される場合がある。このため、従来、黒色の太陽電池用裏面保護シートとして、例えば、カーボンブラックなどの黒色顔料を練り込んだ黒色樹脂フィルムを用いる態様、基材樹脂フィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなど)として黒色コーティングを施したものを用いる態様、樹脂フィルムどうしを貼り合わせる接着剤層にカーボンブラックなどの黒色顔料を添加した態様等が提案されている(特許文献1、2等)。
【0004】
しかしながら、黒色顔料としてカーボンブラックを用いた従来品の太陽電池用裏面保護シートは、電気絶縁性に劣ること、太陽光の近赤外域及び赤外域の光を吸収して太陽電池用裏面保護シート及び太陽電池セルの温度が上昇し易くなり、発電効率が低下すること等が問題として指摘されている。特に太陽電池セルが結晶シリコン系である場合には、温度上昇により約0.4%/℃の割合で発電効率が低下すると言われている。
【0005】
よって、太陽光の近赤外域及び赤外域の光の吸収が抑制されている、黒色の太陽電池用裏面保護シートの開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-249421号公報
【特許文献2】特開2008-053470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、太陽光の近赤外域及び赤外域の光の吸収が抑制されている、黒色の太陽電池用裏面保護シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、太陽電池用裏面保護シートの層構成を、黒色層を含む2層以上の積層体とし、且つ、光の反射率を特定範囲に制御する場合には、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は下記の太陽電池用裏面保護シートに関する。
1. 太陽電池セルの裏面側に配置される太陽電池用裏面保護シートであって、
(1)前記太陽電池用裏面保護シートは、2層以上の積層体からなり、
(2)前記積層体を構成する層のうち、前記太陽電池セルの裏面に最も近い層は、有機系顔料を2種類以上含有し、380〜780nmの波長域の平均反射率が15%以下の黒色であり、
(3)前記太陽電池用裏面保護シートは、780〜2000nmの波長域の平均反射率が30%以上である、
ことを特徴とする太陽電池用裏面保護シート。
2. 前記太陽電池セルの裏面に最も近い層は、樹脂成分として密度0.900〜0.935g/cm3のポリエチレンを含有する、上記項1に記載の太陽電池用裏面保護シート。
3. 太陽電池セル及びその裏面側に配置された上記項1又は2に記載の太陽電池用裏面保護シートを備えた太陽電池モジュール。
【0010】
以下、本発明の太陽電池用裏面保護シート及びそれを太陽電池セルの裏面側に配置した太陽電池モジュールについて詳細に説明する。
【0011】
太陽電池用裏面保護シート
本発明の太陽電池用裏面保護シートは、太陽電池セルの裏面側に配置され、
(1)前記太陽電池用裏面保護シートは、2層以上の積層体からなり、
(2)前記積層体を構成する層のうち、前記太陽電池セルの裏面に最も近い層(以下、「第1樹脂層」とも言う)は、有機系顔料を2種類以上含有し、380〜780nmの波長域の平均反射率が15%以下の黒色であり、
(3)前記太陽電池用裏面保護シートは、780〜2000nmの波長域の平均反射率が30%以上であることを特徴とする。
【0012】
上記特徴を有する本発明の太陽電池用裏面保護シートは、特に第1樹脂層が有機系顔料を2種類以上含有し、380〜780nmの波長域の平均反射率が15%以下であることにより黒色である。よって、太陽電池モジュールにおいて、太陽電池セル側から太陽電池用裏面保護シートを視認した際に黒色である。
【0013】
また、本発明の太陽電池用裏面保護シートは、780〜2000nmの波長域(近赤外域及び赤外域)の平均反射率が30%以上であることにより、第1樹脂層を透過した近赤外域及び赤外域の光は他の層により効率的に反射され、温度上昇による発電効率の低下が抑制されている。詳細には、特に780〜1200nmの波長域の平均反射率が30%以上であることにより光の有効利用による発電効率向上の効果が得られる。また、特に1200〜2000nmの波長域の平均反射率が30%以上であることにより太陽電池モジュールの温度上昇抑制の効果が得られる。
【0014】
本発明の太陽電池用裏面保護シートの層構成としては、第1樹脂層を含む2層以上の積層体からなり、第1樹脂層及び全体の平均反射率が上記要件を満たす限り限定されないが、例えば、図1に図示した2層構成(接着剤層は層として数えていない)、図2に図示した3層構成(接着剤層は層として数えていない)、及び図3に図示した4層構成(接着剤層は層として数えていない)等を例示することができる。
【0015】
以下、図1図2及び図3を用いて説明する。
【0016】
図1に図示した太陽電池用裏面保護シート10は、太陽電池セルの裏面に最も近い第1樹脂層11と、第2樹脂層12とが接着剤層14によって接着されている。図2に図示した太陽電池用裏面保護シート10は、太陽電池セルの裏面に最も近い第1樹脂層11と、第2樹脂層12と、第3樹脂層13とがそれぞれ接着剤層14によって接着されている。また、図3に図示した太陽電池用裏面保護シート10は、太陽電池セルの裏面に最も近い第1樹脂層11-1と第4樹脂層11-2とが多層押出し製膜により積層されており、第4樹脂層11-2と、第2樹脂層12と、第3樹脂層13とがそれぞれ接着剤層14によって接着されている。なお、第1樹脂層と第4樹脂層は層として異なるが、多層押出し製膜により同時に積層されている点で「11-1」、「11-2」で示される通りに一括りにして説明している。
≪第1樹脂層≫
第1樹脂層を構成する樹脂成分は特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(PE)(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE))、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート系樹脂、フッ素系樹脂(ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、エチレンテトラフルオロエチレン)、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アセタール系樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂等のフィルム又はシートを用いることができる。これらのフィルム又はシートは、1種又は2種以上の樹脂成分を含有し、一軸又は二軸方向に延伸されているものでもよい。
【0017】
太陽電池セルの最下層には、一般に封止材が配置されており、封止材の材質としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)が広く用いられている。封止材と太陽電池用裏面保護シートとの接着性は太陽電池モジュールの長期信頼性に影響するため、第1樹脂層を構成する樹脂成分は、封止材の材質を考慮して接着性の点から選択することが好ましい。
【0018】
例えば、封止材の材質がEVAの場合には、樹脂成分としてポリエチレン(PE)(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE))が好ましく、この中でもLLDPEがより好ましい。本発明では、第1樹脂層の樹脂成分として密度0.900〜0.935 g/cm3のLLDPEを使用し、第1樹脂層の密度を0.910〜0.990 g/ cm 3程度に設定することが好ましい。
【0019】
本発明では、第1樹脂層は、有機系顔料を2種類以上含有し、380〜780nmの波長域の平均反射率が15%以下であることにより黒色である。詳細には、第1樹脂層の380〜780nmの波長域の平均反射率が10%以下であることが好ましい。第1樹脂層の380〜780nmの波長域の平均反射率が10%を超えると黒色だが僅かに緑色味を呈するが、380〜780nmの波長域の平均反射率が10%以下であることにより深い黒色を呈し、太陽電池裏面保護シートとしての意匠性が向上する。
【0020】
このように、有機系顔料を2種類以上含有(混色)することにより黒色とするため、単色の黒色顔料(カーボンブラックなど)を用いる場合と比べて太陽光の近赤外域及び赤外域の光の吸収を抑制することができる。そして、太陽電池用裏面保護シートの780〜2000nmの波長域の平均反射率が30%以上であることにより、第1樹脂層を透過した近赤外域及び赤外域の光は他の層により効率的に反射され、温度上昇による発電効率の低下が抑制されている。詳細には、特に780〜1200nmの波長域の平均反射率が30%以上であることにより光の有効利用による発電効率向上の効果が得られる。また、特に1200〜2000nmの波長域の平均反射率が30%以上であることにより太陽電池モジュールの温度上昇抑制の効果が得られる。
【0021】
本発明において、上記のような反射率特性が得られる理由は次の通りである。つまり、第1樹脂層にカーボンブラックなどの1種類の黒色顔料を用いた場合には、可視域、近赤外域及び赤外域の全ての波長域の光が吸収されて透過する光は極めて少ないが、本発明のように第1樹脂層を、有機系顔料を2種類以上含有(混色)して黒色とした場合には、可視域の波長は吸収されるが、近赤外域及び赤外域の波長は殆ど吸収されずに透過する。そのため、透過した近赤外域及び赤外域の波長の光は他の層で反射させることにより太陽電池セルに再入射させることができるため、太陽電池モジュールの温度上昇を抑制し、光の有効活用により発電効率をより高めることができる。
【0022】
本発明で使用できる有機系顔料としては、例えば、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、縮合多環顔料及びその他の有機顔料が挙げられる。
【0023】
具体的には、アゾ顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料等が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、銅フタロシアニン顔料、無金属フタロシアニン顔料、銅ナフタロシアニン顔料、珪素ナフタロシアニン顔料、ゲルマニウムナフタロシアニン顔料等が挙げられる。縮合多環顔料としては、アントラキノン系顔料、スレンペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料等が挙げられる。その他の有機顔料としては、ジケトピロロピロール系顔料、ベンゾイミダゾロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、金属錯体系顔料等が挙げられる。
【0024】
より具体的には、溶性アゾ顔料としては、アセト酢酸アニリド系顔料、ピラゾロン系顔料、β−ナフトール系顔料、β−オキシナフトエ酸系顔料及びβ−オキシナフトエ酸アニリド系顔料が挙げられる。不溶性アゾ顔料としては、アセト酢酸アニリド系顔料(モノ、ジスアゾ)、ピラゾロン系顔料(モノ、ジスアゾ)、β−ナフトール系顔料及びβ−オキシナフトエ酸アニリド系顔料(モノ、ジスアゾ)が挙げられる。縮合アゾ顔料としては、アセト酢酸アニリド系顔料及びβ−オキシナフトエ酸アニリド系顔料が挙げられる。銅フタロシアニン顔料としては、銅フタロシアニン(ブルー)顔料、ハロゲン化銅フタロシアニン(ブルー、グリーン)顔料及びスルホン化銅フタロシアニンレーキ顔料が挙げられる。アントラキノン系顔料としては、アミノアントラキノン顔料、アントラピリミジン(イエロー)顔料、フラバントロン顔料、アントアントロン顔料、インダントロン顔料、ピラントロン顔料及びビオラントロン顔料が挙げられる。スレンペリノン系顔料としては、ペリノン顔料が挙げられる。ペリレン系顔料としては、ペリレン顔料及びペリレンマルーン顔料が挙げられる。キナクリドン系顔料としては、キナクリドンレッド顔料及びキナクリドンマルーン顔料及びキナクリドンゴールド顔料が挙げられる。ジオキサジン系顔料としては、ジオキサジン顔料及びジオキサジンバイオレット顔料が挙げられる。イソインドリノン系顔料としては、イソインドリノン顔料、イソインドリノンイエロー顔料、イソインドリノンオレンジ顔料及びインダンスロン顔料が挙げられる。キノフタロン系顔料としては、キノフタロン顔料が挙げられる。ジケトピロロピロール系顔料としては、ジケトピロロピロール顔料が挙げられる。ベンゾイミダゾロン系顔料としては、ベンゾイミダゾロンイエロー顔料及びベンツイミダゾロンイエロー顔料が挙げられる。トリフェニルメタン系顔料としては、トリフェニルメタン顔料が挙げられる。金属錯体系顔料としては、アゾメチン銅錯体顔料が挙げられる。
【0025】
本発明では、これらの有機系顔料の2種類以上を混色することにより黒色とできる組み合わせであれば特に限定されないが、例えば、銅フタロシアニン顔料、キナクリドンレッド顔料及びベンツイミダゾロンイエロー顔料の組み合わせが好適である。なお、本発明における黒色は、380〜780nmの波長域の平均反射率が15%以下(好ましくは10%以下)であることを意味するが、本明細書における平均反射率は、分光光度計(製品名「V-570」、日本分光株式会社製)により、第1樹脂層の380〜780nmの波長域の反射率を2nm間隔で測定した値の平均値である。そして、平均反射率が15%以下であれば、黒色の意匠性の要求を満たすことができる。他の波長域の平均反射率の測定方法についても同様である。
【0026】
第1樹脂層の製膜方法としては、例えば、Tダイ押出し成形、インフレーション成形等を利用することができる。また、後述する第2樹脂層、第3樹脂層、第4樹脂層と同時に多層押出しにより成形することもできる。有機系顔料の2種類以上を添加する方法としては、予め有機系顔料を1種又は2種以上含有するマスターバッチを調製し、所定量のマスターバッチを第1樹脂層のマトリックス樹脂と混合して各種成形法に供する方法が好ましい。
【0027】
第1樹脂層の厚さは限定的ではなく、最終製品の特性に応じて適宜設定できるが、10〜200μmが好ましく、30〜150μmがより好ましい。
≪第2樹脂層≫
第2樹脂層は、耐候性及び電気絶縁性に優れていることが好ましい。第2樹脂層を構成する樹脂成分としては、例えば、ポリエチレン(PE)(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE))、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート系樹脂、フッ素系樹脂(ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、エチレンテトラフルオロエチレン)、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アセタール系樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂等のフィルム又はシートを用いることができる。これらのフィルム又はシートは、1種又は2種以上の樹脂成分を含有し、一軸又は二軸方向に延伸されているものでもよい。
【0028】
第2樹脂層が単層フィルムから構成される場合には、厚さとしては、50〜300μmが好ましく、75〜250μmがより好ましい。
【0029】
第2樹脂層が積層フィルムから構成される場合には、耐候性に優れるフィルムと電気絶縁性に優れるフィルムとを積層したものが好ましい。この場合には、電気絶縁性に優れるフィルムが第1樹脂層側となるように配置する。耐候性に優れるフィルムとしては、特に厚みが10〜150μmのフッ素系フィルム(ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル及びエチレンテトラフルオロエチレンの少なくとも1種)が好ましい。また、電気絶縁性に優れるフィルムとしては、特に厚みが50〜250μmのPETフィルムが好ましい。
【0030】
第2樹脂層には、紫外域の光を吸収又は反射させる目的、及び、第1樹脂層を透過した近赤外域及び赤外域の波長の光を反射させる目的で、二酸化チタン、硫酸バリウム等の白色顔料を添加してもよい。白色顔料の添加量はその種類及び所望の反射率特性に応じて適宜設定することができる。白色顔料の添加により、近赤外域及び赤外域の波長の光を反射させて太陽電池セルに再入射させることにより、温度上昇を抑制し、発電効率をより高めることができる。なお、本発明では第1樹脂層が黒色であるため、第2樹脂層に白色顔料を添加しても太陽電池セル側から視認した際の黒色の意匠性には影響を与えない。
【0031】
また、着色顔料以外の紫外線吸収剤、水分吸収剤(乾燥剤)、酸素吸収剤、二酸化防止剤等の公知の添加剤を、第2樹脂層だけでなく、第1樹脂層及び/又は後記第3樹脂層に添加してもよい。
【0032】
本発明では、太陽電池裏面保護シートの特性として、780〜2000nmの波長域の平均反射率は30%以上であることが必要であり、35%以上であることがより好ましい。特に780〜1200nmの波長域の平均反射率が30%以上であることにより光の有効利用による発電効率向上の効果が得られる。また、特に1200〜2000nmの波長域の平均反射率が30%以上であることにより太陽電池モジュールの温度上昇抑制の効果が得られる。本発明では、第2樹脂層に白色顔料を添加することにより、上記の平均反射率の条件を満たすように設計することが好ましいが、必要に応じて、後記の第3樹脂層に白色顔料を添加し、第2樹脂層には添加しない設計とすることもできる。
≪第3樹脂層≫
第3樹脂層を設ける場合には、特に耐候性に優れていることが好ましい。第3樹脂層を構成する樹脂成分としては、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル;ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)などのフッ素系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリスチレン;ポリ塩化ビニル;ポリアクリルニトリル;ポリイミド;エンジニアリングプラスチック等のフィルム又はシートを用いることができる。これらのフィルム又はシートは、1種又は2種以上の樹脂成分を含有し、一軸又は二軸方向に延伸されているものでもよい。
【0033】
これらの樹脂成分の中でも、特にPET、フッ素系樹脂及びエンジニアリングプラスチックの少なくとも1種が好ましい。
【0034】
上記PETとしては、特に太陽電池用裏面保護フィルムの屋外での耐久性を考慮して、耐加水分解PETであることが好ましい。
【0035】
上記エンジニアリングプラスチックとしては、特にポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、GF強化ポリエチレンテレフタレート(GF-PET)、超高分子量ポリエチレン(UHPE)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、非晶ポリアリレート(PAR)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、液晶ポリマー(LCP)等がある。
【0036】
本発明では、第2樹脂層が二酸化チタン、硫酸バリウム等の白色顔料を含まない場合には、第3樹脂層にこれらの白色顔料を添加する。これにより、第1樹脂層及び第2樹脂層を透過した近赤外域及び赤外域の波長の光を反射させて太陽電池セルに再入射させることができるため、温度上昇を抑制しつつ発電効率をより高めることができる。
【0037】
第3樹脂層は単層又は多層のいずれでもよく、第3樹脂層の厚さとしては、5〜50μmが好ましく、10〜25μmがより好ましい。
≪第4樹脂層≫
本発明では、前記の通り、第2樹脂層及び/又は第3樹脂層に二酸化チタン、硫酸バリウム等の白色顔料を添加することにより、第1樹脂層を透過した近赤外域及び赤外域の波長の光を反射させることができる。しかしながら、第2樹脂層及び第3樹脂層よりも更に太陽電池セルに近い位置で近赤外域及び赤外域の波長の光を反射させることができれば、太陽電池モジュールの温度上昇抑制及び発電効率をより高めることができる。
【0038】
具体的には、第1樹脂層と第2樹脂層との間に、白色顔料を添加した第4樹脂層を形成することにより、温度上昇抑制及び発電効率をより高めることができる。かかる効果は、特に第2樹脂層に白色顔料が添加されておらず、第3樹脂層のみに白色顔料が添加されている態様において効果的である。
【0039】
第4樹脂層の製膜方法としては、例えば、Tダイ押出し成形、インフレーション成形等を利用することができる。この中でも、Tダイ押出し成形により第1樹脂層と第4樹脂層とを多層押出し製膜により形成することが好ましい。また、多層押出し製膜をより容易なものとするためには、第4樹脂層の樹脂は第1樹脂層の樹脂と同じであることが好ましく、第1樹脂層の項目で説明した樹脂が第4樹脂層にも使用できる。
【0040】
なお、本発明では第1樹脂層が黒色であるため、白色の第4樹脂層を形成しても太陽電池セル側から視認した際の黒色の意匠性には影響を与えない。白色顔料としては、二酸化チタン、硫酸バリウム等を用いることができ、白色顔料の添加量は、その種類及び所望の反射率特性に応じて適宜設定することができる。また、第4樹脂層には、水分吸収剤(乾燥剤)、酸素吸収剤、二酸化防止剤等の公知の添加剤を添加してもよい。
【0041】
第4樹脂層の厚さは限定的ではなく、最終製品の特性に応じて適宜設定できるが、10〜150μmが好ましく、30〜90μmがより好ましい。なお、第4樹脂層を設ける場合には、第1樹脂層の厚さは30〜90μmに設定することが好ましい。
≪接着剤層≫
第1樹脂層、第2樹脂層、第3樹脂層及び第4樹脂層のそれぞれの層間には、必要に応じて接着剤層を設けてもよい。例えば、第1樹脂層、第2樹脂層、第3樹脂層及び第4樹脂層をそれぞれ押出しコート法、ドライラミネート法、熱ラミネート法等により積層する場合には、層間に接着剤層を設けることが好ましい。
【0042】
接着剤層としては、例えば、2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエーテルウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリエステルポリオール系接着剤、ポリエステルポリウレタンポリオール系接着剤等が挙げられる。この中でも、芳香族イソシアネート及び脂肪族イソシアネートの少なくとも1種を含むウレタン系接着剤を用いたドライラミネート法を好適に採用することができる。
【0043】
接着剤層の厚さとしては、3〜15μmが好ましく、5〜10μmがより好ましい。
【0044】
太陽電池モジュール
本発明の太陽電池用裏面保護シートは、太陽電池セルの裏面側に配置することにより、太陽電池モジュールとなる。太陽電池セルの構成は限定的ではないが、おもて面から太陽電池用強化ガラス、EVA、結晶Siセル及びEVA(封止材)の順に積層した構成が一般的である。
【発明の効果】
【0045】
本発明の太陽電池用裏面保護シートは、特に第1樹脂層が有機系顔料を2種類以上含有し、380〜780nmの波長域の平均反射率が15%以下であることにより黒色である。よって、太陽電池モジュールにおいて、太陽電池セル側から太陽電池用裏面保護シートを視認した際に黒色である。また、本発明の太陽電池用裏面保護シートは、780〜2000nmの波長域(近赤外域及び赤外域)の平均反射率が30%以上であることにより、第1樹脂層を透過した近赤外域及び赤外域の光は他の層により効率的に反射され、温度上昇による発電効率の低下が抑制されている。詳細には、特に780〜1200nmの波長域の平均反射率が30%以上であることにより光の有効利用による発電効率向上の効果が得られる。また、特に1200〜2000nmの波長域の平均反射率が30%以上であることにより太陽電池モジュールの温度上昇抑制の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明の太陽電池用裏面保護シートの層構成を例示した図である。
図2】本発明の太陽電池用裏面保護シートの層構成を例示した図である。
図3】本発明の太陽電池用裏面保護シートの層構成を例示した図である。
図4】試験例1において、太陽電池モジュールの温度上昇比較を調べるための、温度上昇比較装置(木箱製)の模式図である。
【発明を実施するための態様】
【0047】
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
【0048】
実施例1
密度0.913g/cm3のLLDPE(三井化学株式会社製:エボリュー)100質量部に対して、銅フタロシアニン50質量部を練り込んでカラーマスターバッチを調製した。同様に、キナクリドンレッド、ベンツイミダゾロンイエローのカラーマスターバッチも調製した。
【0049】
密度0.922g/cm3のLLDPE(三井化学株式会社製:エボリュー)100質量部に対して、上記カラーマスターバッチ(銅フタロシアニン、キナクリドンレッド、ベンツイミダゾロンイエロー)をそれぞれ5質量部ずつ配合し、Tダイ押出し機による製膜を行い、第1樹脂層として厚さ50μmの黒色LLDPEフィルムを得た。
【0050】
第2樹脂層として厚みが188μmの白色PETフィルム(帝人製)を用意し、ドライラミネート用接着剤を用いてドライラミネート法で第1樹脂層に接着することにより、黒色の太陽電池用裏面保護シートを作製した。白色PETフィルムは、白色顔料として二酸化チタンを含有している。
【0051】
ドライラミネート用接着剤は、三井化学株式会社製の「製品名:タケラックA315」100質量部と「製品名:タケネートA50」10質量部を混合したポリウレタン系接着剤を、固形分の塗布量が5g/m2になるように調製して用いた。
【0052】
実施例2
第2樹脂層として厚みが250μmの透明PETフィルム(帝人製)を用意し、第3樹脂層として厚みが38μmの白色ポリフッ化ビニル(PVF)フィルム(デュポン製テドラー)を用意した。白色PVFフィルムは、白色顔料として二酸化チタンを含有している。
【0053】
第2樹脂層の片面にドライラミネート用接着剤を塗布し、実施例1の第1樹脂層(厚さ50μmの黒色LLDPEフィルム)を接着した。更に第2樹脂層の他面にドライラミネート用接着剤を塗布し、第3樹脂層のPVFフィルムを接着することにより、黒色の太陽電池用裏面保護シートを作製した。
【0054】
ドライラミネート用接着剤は、実施例1で用いたものと同じである。
【0055】
実施例3
密度0.913g/cm3のLLDPE(三井化学株式会社製:エボリュー)100質量部に対して、銅フタロシアニン50質量部を練り込んでカラーマスターバッチを調製した。同様に、キナクリドンレッド、ベンツイミダゾロンイエローのカラーマスターバッチも調製した。
【0056】
同様に、密度0.913g/cm3のLLDPE(三井化学株式会社製:エボリュー)100質量部に対して、二酸化チタン50質量部を練り込んで白色マスターバッチを調製した。
【0057】
密度0.922g/cm3のLLDPE(三井化学株式会社製:エボリュー)100質量部に対して、上記カラーマスターバッチ(銅フタロシアニン、キナクリドンレッド、ベンツイミダゾロンイエロー)をそれぞれ5質量部ずつ配合した(第1樹脂層原料)。また、密度0.922g/cm3のLLDPE(三井化学株式会社製:エボリュー)100質量部に対して、上記白色マスターバッチを20質量部配合した(第4樹脂層原料)。Tダイ押出し機による共押出し多層製膜を行い、第1樹脂層(黒色、50μm)及び第4樹脂層(白色、50μm)の積層体を得た。
【0058】
第2樹脂層として厚みが250μmの透明PETフィルム(帝人製)を用意し、第4樹脂層と貼り合わせた。更に第3樹脂層として厚みが38μmの白色ポリフッ化ビニル(PVF)フィルム(デュポン製テドラー)を用意し、第2樹脂層の他面と貼り合わせた。第3樹脂層の白色PVFフィルムは、白色顔料として二酸化チタンを含有している。これにより、黒色の太陽電池用裏面保護シートを作製した。
【0059】
ドライラミネート用接着剤は、実施例1で用いたものと同じである。
【0060】
実施例4
密度0.913g/cm3のLLDPE(三井化学株式会社製:エボリュー)100質量部に対して、銅フタロシアニン50質量部を練り込んでカラーマスターバッチを調製した。同様に、キナクリドンレッド、ベンツイミダゾロンイエローのカラーマスターバッチも調製した。
【0061】
同様に、密度0.913g/cm3のLLDPE(三井化学株式会社製:エボリュー)100質量部に対して、二酸化チタン50質量部を練り込んで白色マスターバッチを調製した。
【0062】
密度0.922g/cm3のLLDPE(三井化学株式会社製:エボリュー)100質量部に対して、上記カラーマスターバッチ(銅フタロシアニン、キナクリドンレッド、ベンツイミダゾロンイエロー)をそれぞれ5質量部ずつ配合した(第1樹脂層原料)。また、密度0.922g/cm3のLLDPE(三井化学株式会社製:エボリュー)100質量部に対して、上記白色マスターバッチを20質量部配合した(第4樹脂層原料)。Tダイ押出し機による共押出し多層製膜を行い、第1樹脂層(黒色、50μm)及び第4樹脂層(白色、50μm)の積層体を得た。
【0063】
第2樹脂層として厚みが125μmの透明PETフィルム(帝人製)を用意し、第4樹脂層と貼り合わせた。更に第3樹脂層として厚みが50μmの白色耐候性PETフィルム(東洋紡製シャインビーム)を用意し、第2樹脂層の他面と貼り合わせた。第3樹脂層の白色耐候性PETフィルムは、白色顔料として二酸化チタンを含有している。これにより、黒色の太陽電池用裏面保護シートを作製した。
【0064】
ドライラミネート用接着剤は、実施例1で用いたものと同じである。
【0065】
比較例1
第1樹脂層として厚みが50μmの透明PEフィルム(東セロ製)を用意し、第2樹脂層として厚みが250μmの透明PETフィルム(帝人製)を用意し、第3樹脂層として厚みが25μmの黒色エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)(旭化成製)を用意した。
【0066】
各層を、ドライラミネート用接着剤を用いて接着することにより、黒色の太陽電池用裏面保護シートを作製した。
【0067】
ドライラミネート用接着剤は、実施例1で用いたものと同じである。
【0068】
比較例2
第1樹脂層の顔料を黒色顔料(カーボンブラックのみ)に変更した以外は、実施例2と同様にして黒色の太陽電池用裏面保護シートを作製した。
<試験例>
実施例及び比較例で作製した黒色の太陽電池用裏面保護シートの平均反射率、並びに、太陽電池モジュールにした際の発電出力特性及び温度上昇比較について調べた。
<平均反射率>
分光光度計(製品名「V-570」、日本分光株式会社製)により、各太陽電池用裏面保護シートの380〜780nm、780〜1200nm、1200〜2000nm、780〜2000nmの波長域の平均反射率を測定した。なお、380〜780nmの波長域の平均反射率は第1樹脂層の平均反射率であり、780〜2000nmの波長域の平均反射率は太陽電池用裏面保護シート全体の平均反射率である。
【0069】
測定結果を下記表1に示す。
<発電出力特性>
太陽電池用強化ガラス、EVA、結晶Siセル及びEVA(封止材)の順に積層し、真空ラミネーター((株)NPC製、LM-140X200S)にて太陽電池セルを作製した。封止材のEVAが太陽電池セルの裏面である。この状態でソーラーシミュレーター(岩崎電気製、PXSS4K-1P)にて発電出力特性を測定し、測定値を初期値(BS貼り付け前)とした。
【0070】
次に各太陽電池用裏面保護シートを、太陽電池セルの裏面に貼り付け、真空ラミネーターにて太陽電池モジュールを作製した。再度、ソーラーシミュレーターにて発電出力特性を測定し、測定値(BS貼り付け後)を得た。ここで、「BS(バックシート)」は太陽電池用裏面保護シートを意味する。
【0071】
BS貼り付け前後での太陽電池モジュールの発電出力の変化率(Eff変化率)を算出した。
【0072】
変化率(%)=(BS貼り付け後値/初期値)×100
測定結果を下記表1に示す。
【0073】
比較例で用いた黒色太陽電池用裏面保護シートは、発電出力向上には全く寄与しないが、実施例で得られた黒色太陽電池用裏面保護シートは、発電出力向上に寄与していることが明らかである。
【0074】
【表1】
【0075】
<温度上昇比較>
実施例1〜4及び比較例1、2で作製した太陽電池モジュールの温度上昇比較を行った。具体的には、図3に示される温度上昇比較装置(木箱製)の各位置に、実施例となる黒色太陽電池用裏面保護シート、比較例となる黒色太陽電池用裏面保護シートをそれぞれ配置した。実施例及び比較例の黒色太陽電池用裏面保護シートは、それぞれ熱源(白熱球)から等距離となるように配置した。黒色太陽電池用裏面保護シート側に熱電対を取り付け、熱源(白熱球)を点灯させ時系列的に温度上昇値を比較し、最高到達温度の差を比較した。測定結果を表2に示す。
【0076】
なお、比較例1、2の測定は実施例1〜4のそれぞれの測定時に繰り返し行った。よって、表2では実施例1〜4のそれぞれの測定結果とともに比較例1、2の結果を示している。
【0077】
【表2】
【0078】
表2の結果から明らかなように、実施例1〜4の太陽電池モジュールは比較例1、2の太陽電池モジュールと比較して、顕著に温度上昇が抑制されている。
【符号の説明】
【0079】
10. 太陽電池用裏面保護シート
11. 第1樹脂層
11-1. 第1樹脂層
11-2. 第4樹脂層
12. 第2樹脂層
13. 第3樹脂層
14. 接着剤層
図1
図2
図3
図4