特許第6238920号(P6238920)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6238920アクチュエータ及びリンク構造の駆動方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238920
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】アクチュエータ及びリンク構造の駆動方法
(51)【国際特許分類】
   F16H 21/02 20060101AFI20171120BHJP
   B25J 17/00 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   F16H21/02
   B25J17/00 F
【請求項の数】9
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2015-22090(P2015-22090)
(22)【出願日】2015年2月6日
(65)【公開番号】特開2016-1055(P2016-1055A)
(43)【公開日】2016年1月7日
【審査請求日】2016年10月18日
(31)【優先権主張番号】特願2014-106993(P2014-106993)
(32)【優先日】2014年5月23日
(33)【優先権主張国】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 第32回日本ロボット学会学術講演会 予稿集における「可変弾性と可変平衡点を有するロボット関節の運動性能」 一般社団法人 日本ロボット学会
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】野田 哲男
(72)【発明者】
【氏名】藤本 堅太
(72)【発明者】
【氏名】松阪 憲人
(72)【発明者】
【氏名】川村 貞夫
(72)【発明者】
【氏名】植村 充典
【審査官】 塚原 一久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−119249(JP,A)
【文献】 特開2012−161846(JP,A)
【文献】 特開2012−067809(JP,A)
【文献】 特開平03−224916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 19/00−37/16、49/00
B25J 1/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンク構造を駆動させるアクチュエータであり、
第1補助部と、
2補助部と、
前記リンク構造、前記第1補助部及び前記第2補助部と連結され、かつ、前記リンク構造、前記第1補助部及び前記第2補助部が回転運動する場合の回転中心である回転部とを備え、
前記リンク構造、前記第1補助部及び前記第2補助部は、それぞれ、前記回転部から延び出て形成され、
前記リンク構造が回転運動する面内において、前記第1補助部の前記回転部から延び出た位置と前記第2補助部の前記回転部から延び出た位置とは、前記リンク構造を挟んで配置され、
前記リンク構造は、前記回転部から延び出た位置において少なくとも1つのリンク固定部を備え、
前記第1補助部は、前記回転部から延び出た位置において、前記回転部から延び出る方向及びその逆方向に移動可能な第1移動固定部を備え、
前記第2補助部は、前記回転部から延び出た位置において、前記回転部から延び出る方向及びその逆方向に移動可能な第2移動固定部を備え、
前記リンク固定部と前記第1移動固定部とに跨る、紐状の第1弾性体と、
前記リンク固定部と前記第2移動固定部とに跨る、紐状の第2弾性体とをさらに備え、
前記第1弾性体と前記第2弾性体とは、互いの弾性力により引き延ばされた状態で保持され、
前記リンク構造は、前記第1移動固定部及び前記第2移動固定部の移動に応じて、前記第1弾性体の弾性力と前記第2弾性体の弾性力とが釣り合う位置に保持される、
アクチュエータ。
【請求項2】
前記第1移動固定部及び前記第2移動固定部は、滑車として作用するベアリングであり、
前記第1補助部は、前記回転中心において第1中心固定部を備え、
前記第2補助部は、前記回転中心において第2中心固定部を備え、
前記第1弾性体は、前記リンク固定部と前記第1中心固定部との間で、前記第1移動固定部を介して取り付けられ、
前記第2弾性体は、前記リンク固定部と前記第2中心固定部との間で、前記第2移動固定部を介して取り付けられる、
請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記リンク固定部は、1つである、
請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記リンク固定部、前記第1移動固定部及び前記第2移動固定部は、滑車として作用するベアリングであり、
前記第1弾性体と前記第2弾性体とは、互いの端部が接続されることで、全体として輪形状の接続弾性体を形成し、
前記接続弾性体は、前記リンク固定部、前記第1移動固定部及び前記第2移動固定部の間で、引き延ばされた状態で保持され、
前記リンク構造は、前記第1移動固定部及び前記第2移動固定部の移動に応じて、前記接続弾性体の弾性力が釣り合う位置に保持される、
請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記第1移動固定部及び第2移動固定部は、ベアリングであり、
前記第1補助部は、ねじが切られた棒構造である第1滑りねじ部を備え、
前記第2補助部は、ねじが切られた棒構造である第2滑りねじ部を備え、
前記第1滑りねじ部は、前記第1補助部における前記回転部から延び出る方向に沿って配置され、かつ、前記第1移動固定部を嵌合させ、
前記第2滑りねじ部は、前記第2補助部における前記回転部から延び出る方向に沿って配置され、かつ、前記第2移動固定部を嵌合させる、
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記第1補助部は、前記第1滑りねじ部を回転させる第1駆動モータを備え、
前記第2補助部は、前記第2滑りねじ部を回転させる第2駆動モータを備える、
請求項5に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記リンク構造が、多関節ロボットのアーム部であり、
前記回転部が、前記多関節ロボットの関節部である、
請求項1から請求項6のうちのいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記リンク構造は、前記回転部から延び出た位置で、かつ、前記リンク固定部よりも前記回転部に近い位置において、ベアリングである第1経由構造及びベアリングである第2経由構造をさらに備え、
前記第1弾性体は、前記リンク固定部と前記第1移動固定部との間で、前記第1経由構造を介して取り付けられ、
前記第2弾性体は、前記リンク固定部と前記第2移動固定部との間で、前記第2経由構造を介して取り付けられる、
請求項1から請求項3及び請求項5から請求項7のうちのいずれかに1項に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
回転中心を有するリンク構造を、前記リンク構造が回転運動する面内において、前記回転中心から延び出た位置において異なる複数の方向から引っ張り、
前記リンク構造を引っ張る力の大きさ及び力の方向を制御することにより、前記リンク構造を回転運動させ、
前記リンク構造を引っ張る力の大きさが、いずれの方向においても0より大きい、
リンク構造の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リンク構造を駆動させるアクチュエータ及びリンク構造の駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のリンク構造、及び、それらを連接する関節部を有する多関節ロボット(以下、単に「ロボット」ともいう)は、いくつかのリンク構造において、リンク構造を駆動させるアクチュエータ(作動装置)を備えている。ここで、リンク構造とは、他の可動部分により接続されることを前提とする構造体である。
【0003】
アクチュエータの例としては、例えば、特許文献1及び特許文献2に開示されたものがある。
【0004】
特許文献1に開示されたアクチュエータは、リンク構造における荷重に対抗して、線形バネを介して主アームを引っ張るモーメントアーム角度を適切に設定する。そのように制御することで自重補償を実現する。
【0005】
特許文献2に開示されたアクチュエータは、リンク構造における荷重が変わっても、手動で、線形バネのモーメントアームへの取り付け位置を変更することで、荷重補償を実現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−161846号公報
【特許文献2】特開2007−119249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記のアクチュエータでは、リンク構造の一方向への駆動が実現されるのみであり、リンク構造の複数の方向への駆動を実現することができない。よって、リンク構造を複数の方向へ駆動させるためのアクチュエータとしては、不十分であるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、リンク構造を複数の方向へ駆動させることができるアクチュエータ及びリンク構造の駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に関するアクチュエータは、リンク構造を駆動させるアクチュエータであり、第1補助部と、第2補助部と、前記リンク構造、前記第1補助部及び前記第2補助部と連結され、かつ、前記リンク構造、前記第1補助部及び前記第2補助部が回転運動する場合の回転中心である回転部とを備え、前記リンク構造、前記第1補助部及び前記第2補助部は、それぞれ、前記回転部から延び出て形成され、前記リンク構造が回転運動する面内において、前記第1補助部の前記回転部から延び出た位置と前記第2補助部の前記回転部から延び出た位置とは、前記リンク構造を挟んで配置され、前記リンク構造は、前記回転部から延び出た位置において少なくとも1つのリンク固定部を備え、前記第1補助部は、前記回転部から延び出た位置において、前記回転部から延び出る方向及びその逆方向に移動可能な第1移動固定部を備え、前記第2補助部は、前記回転部から延び出た位置において、前記回転部から延び出る方向及びその逆方向に移動可能な第2移動固定部を備え、前記リンク固定部と前記第1移動固定部とに跨る、紐状の第1弾性体と、前記リンク固定部と前記第2移動固定部とに跨る、紐状の第2弾性体とをさらに備え、前記第1弾性体と前記第2弾性体とは、互いの弾性力により引き延ばされた状態で保持され、前記リンク構造は、前記第1移動固定部及び前記第2移動固定部の移動に応じて、前記第1弾性体の弾性力と前記第2弾性体の弾性力とが釣り合う位置に保持される。
【0010】
本発明の一態様に関するリンク構造の駆動方法は、回転中心を有するリンク構造を、前記リンク構造が回転運動する面内において、前記回転中心から延び出た位置において異なる複数の方向から引っ張り、前記リンク構造を引っ張る力の大きさ及び力の方向を制御することにより、前記リンク構造を回転運動させ、前記リンク構造を引っ張る力の大きさが、いずれの方向においても0より大きい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の上記態様によれば、リンク構造を引っ張る力の大きさ及び力の方向を制御することにより、リンク構造を複数の方向へ駆動させることができる。
【0012】
本発明の目的、特徴、局面、及び利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に関するアクチュエータの全体構造を示す概略図である。
図2】実施形態に関する、アクチュエータの出力トルク特性を求めた結果を示す図である。
図3】実施形態に関する、アクチュエータの出力トルク特性を求めた結果を示す図である。
図4】実施形態に関する、アクチュエータの出力トルク特性を求めた結果を示す図である。
図5】実施形態に関する、アクチュエータの出力トルク特性を求めた結果を示す図である。
図6】実施形態に関する、アクチュエータの出力トルク特性を求めた結果を示す図である。
図7】実施形態に関する、アクチュエータの出力トルク特性を求めた結果を示す図である。
図8】実施形態に関する、アクチュエータの出力トルク特性を求めた結果を示す図である。
図9】実施形態に関する、アクチュエータの出力トルク特性を求めた結果を示す図である。
図10】実施形態に関する、アクチュエータの出力トルク特性を求めた結果を示す図である。
図11】実施形態に関するアクチュエータの全体構造を示す概略図である。
図12】実施形態に関する、アクチュエータの出力トルク特性を求めた結果を示す図である。
図13】実施形態に関する、アクチュエータの出力トルク特性を求めた結果を示す図である。
図14】実施形態に関する、アクチュエータの出力トルク特性を求めた結果を示す図である。
図15】実施形態に関するアクチュエータの全体構造を示す概略図である。
図16】実施形態に関する、アクチュエータの出力トルク特性を求めた結果を示す図である。
図17】実施形態に関する、アクチュエータの出力トルク特性を求めた結果を示す図である。
図18】実施形態に関する、アクチュエータの出力トルク特性を求めた結果を示す図である。
図19】実施形態に関する、各要素の寸法を示す図である。
図20】正の弾性値の場合の実験結果を示す図である。
図21】負の弾性値の場合の実験結果を示す図である。
図22】実施形態に関するアクチュエータの全体構造を示す概略図である。
図23】リンク構造を駆動させるアクチュエータの1つの補助部のみを有する場合の構造を示す図である。
図24】実施形態に関するアクチュエータをモデル化した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照しながら実施形態について説明する。以下の説明では、「上」、「下」、「側」、「底」、「表」又は「裏」などの特定の位置及び方向を意味する用語が用いられる場合があるが、これらの用語は、実施形態の内容を理解することを容易にするため便宜上用いられているものであり、実際に実施される際の方向とは関係しない。また、以下の説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称及び機能も同様のものとする。よって、それらについての詳細な説明を省略する場合がある。
【0015】
<第1実施形態>
<構成>
図1は、本実施形態に関するアクチュエータの全体構造を示す概略図である。図1に示されるように、アクチュエータは、リンク構造10と、弾性体2と、一対の補助部3a及び補助部3bと、回転部5とを備える。補助部3bは、リンク構造10を基準として補助部3aとは反対側に配置される。リンク構造10、補助部3a及び補助部3bは、それぞれ、回転部5から延び出て形成される。
【0016】
リンク構造10は、ベアリング4を備える。補助部3aはベアリング4aを備える。補助部3bはベアリング4bを備える。
【0017】
回転部5は、リンク構造10、補助部3a及び補助部3bと連結され、かつ、リンク構造10、補助部3a及び補助部3bが回転運動する場合の回転中心となる。
【0018】
補助部3aは、ねじが切られた棒状の部材である滑りねじ部30aを備える。ベアリング4aは、滑りねじ部30aに取り付けられ、また、補助部3aの長手方向に移動可能である。滑りねじ部30aは、補助部3aの長手方向に沿う軸を有し、当該軸にベアリング4aが嵌合する。
【0019】
補助部3aは、駆動モータ31aを備える。駆動モータ31aは、滑りねじ部30aを軸方向に回転させる。
【0020】
補助部3bは、ねじが切られた棒状の部材である滑りねじ部30bを備える。ベアリング4bは、滑りねじ部30bに取り付けられ、また、補助部3bの長手方向に移動可能である。滑りねじ部30bは、補助部3bの長手方向に沿う軸を有し、当該軸にベアリング4bが嵌合する。
【0021】
補助部3bは、駆動モータ31bを備える。駆動モータ31bは、滑りねじ部30bを軸方向に回転させる。
【0022】
リンク構造10は、回転部5を介してリンク構造11と連接され、回転部5を中心に回転可能である。リンク構造10は、例えば、回転部5を関節部としてリンク構造11と連接される、ロボットの腕部(アーム部)を構成する部材として想定される。ただし、リンク構造10は、リンク構造11と連接されていなくともよい。
【0023】
弾性体2は、紐状の弾性体である。弾性体2は、輪形状である。具体的には、伸び縮みする軽量なゴム紐、又は、弦巻バネを紐で結んだ紐状の部材(一部が弾性体である部材)などが想定される。
【0024】
補助部3a及び補助部3bは、回転部5を中心に回転可能である。図1においては、補助部3a及び補助部3bは同じ長さとなっているが、必ずしも同じ長さの構造である必要はない。また、図1においては、回転部5が、補助部3a及び補助部3bの、長手方向における中間点付近に位置しているが、この位置に限られるものではなく、長手方向におけるいずれかの端部に位置していてもよい。
【0025】
滑車であるベアリング4は、リンク構造10における回転部5から延び出た位置に1つ取り付けられる。滑車であるベアリング4aは、補助部3aにおける回転部5から延び出た位置に取り付けられる。滑車であるベアリング4bは、補助部3bにおける回転部5から延び出た位置に取り付けられる。ベアリング4、ベアリング4a及びベアリング4bは、それぞれにおいて弾性体2が、引き伸ばされた状態で引っかけられる。よって、弾性体2は、ある特定の張力を有する状態で、ベアリング4、ベアリング4a及びベアリング4bによる3点で保持される。また、ベアリング4、ベアリング4a及びベアリング4bは、滑車として作用するため、弾性体2は、ベアリング4とベアリング4aとの間、ベアリング4aとベアリング4bとの間、及び、ベアリング4とベアリング4bとの間において、同じ張力を有する。そして、リンク構造10は、ベアリング4a及びベアリング4bの移動に応じて、弾性体2の弾性力が釣り合う位置に保持される。
【0026】
回転部5は、リンク構造10、リンク構造11、補助部3a及び補助部3bの回転中心である。
【0027】
滑りねじ部30aは、補助部3aの長手方向にベアリング4aを移動させるための構造であるが、当該機能を有する他の構成と交換可能である。例えば、補助部3aの長手方向に延びて形成されたスライド穴、又は、補助部3aの長手方向に複数並んで形成された穴などであってもよい。
【0028】
滑りねじ部30bは、補助部3bの長手方向にベアリング4bを移動させるための構造であるが、当該機能を有する他の構成と交換可能である。例えば、補助部3bの長手方向に延びて形成されたスライド穴、又は、補助部3bの長手方向に複数並んで形成された穴などであってもよい。
【0029】
なお、図1に示されるように、回転部5の回転中心からベアリング4までの距離をl、回転部5の回転中心からベアリング4aまでの距離をr、回転部5の回転中心からベアリング4bまでの距離をr、基準線(図1における点線)からのリンク構造10の開き角度をq、基準線(図1における点線)からの補助部3aの開き角度をqe1、基準線(図1における点線)からの補助部3bの開き角度をqe2、ベアリング4aからベアリング4までの距離をx、ベアリング4bからベアリング4までの距離をxとする。
【0030】
<作用>
次に、本実施形態に関するアクチュエータの動作について説明する。リンク構造10は、回転部5を中心に回転する。このとき、補助部3a及び補助部3bは、ある特定の角度をなして配置される。
【0031】
補助部3a及び補助部3bにそれぞれ取り付けられたベアリング4a及びベアリング4bは、滑りねじ部30a及び滑りねじ部30bの回転動作により、それぞれ補助部3aの長手方向及び補助部3bの長手方向に移動する。リンク構造10に取り付けられたベアリング4は、リンク構造10においてその位置が固定されている。
【0032】
ベアリング4、ベアリング4a及びベアリング4bは、それぞれにおいて弾性体2が、引き伸ばされた状態で引っかけられる。
【0033】
このとき、例えばリンク構造10に対して外力が加わると、リンク構造10は回転部5を中心に回転するが、それに応じて弾性体2の各長さ(具体的には、x又はxなどに相当する長さ)が変化するため、弾性体2により発生するトルクが変化する。すなわち、リンク構造10が、弾性体2の弾性力が釣り合う位置から移動することにより、弾性体2によるトルクが発生する。
【0034】
このトルクは、各ベアリングの位置及び各補助部の開き角度に応じて変化させることができる。すなわち、上記各パラメータと、発生するトルクとの間には、ある種の力学的関係を見出すことができる。
【0035】
よって、上記各パラメータを調整することでアクチュエータとして作用させることができ、リンク構造10に対し、所望のトルクを生じさせることができる。
【0036】
このアクチュエータの出力特性を考えるために、まずそのポテンシャルエネルギーを考える。
【0037】
弾性体2の変位量を下式に示す。
【0038】
【数1】
【0039】
ここで、xは変位量、x(i=1,2)は片側の変位量、xは初期変位量、r0i(i=1,2)は回転部5からベアリング4a又はベアリング4bまでの初期の距離、lは弾性体2全体の初期長さをそれぞれ示す。
【0040】
これらから、本実施形態に関するアクチュエータのポテンシャルエネルギーは下式で表すことができる。
【0041】
【数2】
【0042】
ただし、Uは弾性体2に蓄えられるポテンシャルエネルギーであり、kは弾性体2の弾性値(ばね定数)である。
【0043】
ポテンシャルエネルギーをリンク構造10の開き角度qで1階偏微分して出力トルクを計算し、さらに、ポテンシャルエネルギーをリンク構造10の開き角度qで2階偏微分して回転部5周りの弾性値を計算する。
【0044】
【数3】
【0045】
ただし、τは出力トルク、kは回転部5周りの弾性値、Sei=sin(qei+q)、Cei=cos(qei+q)である。
【0046】
さて、この機構の平衡点は、本アクチュエータの出力トルクが0になる角度である。このとき、
【0047】
【数4】
【0048】
が成り立つ。これを変形していくと下式が得られる。
【0049】
【数5】
【0050】
ここで、qは弾性要素の平衡点である。ただし、qe1とqe2との関係によって解が変わる。また、目標の平衡点(q)が決定するとrとrとの関係が求まり、設定する弾性値(k)を決定するとrとrとが求まる。
【0051】
図2から図10は、本実施形態におけるアクチュエータの出力トルク特性を机上シミュレーションで求めた結果を示す図である。
【0052】
リンク構造10に作用する、弾性体2により発生する回転角度あたりの設定される弾性値(設定弾性値)を−2[Nm/rad]から2[Nm/rad]まで0.5[Nm/rad]刻みで設定する。また、このときのリンクの回転軸周りにトルクが加わらない平衡点(q)を−90[deg]から90[deg]まで10[deg]刻みで設定する。ただし、設定弾性値[Nm/rad]は平衡点付近での値であり、本アクチュエータの出力特性は線形でないため、図に示されたグラフの傾きに相当する弾性値は、図に示されるように一定の幅を有する。
【0053】
図2から図10においては、複数(19本)のグラフがプロットされているが、これは、平衡点(q)を−90[deg]から90[deg]まで10[deg]刻みでプロットした結果を反映したものである。ただし、図2では、その19本すべてが重なっている。
【0054】
各ベアリングの位置を、リンク構造10が配置される側とは反対側(図1であればリンク構造11が配置される側)に位置させることで、負の設定弾性値[Nm/rad]をとることも可能である。図4図6図8及び図10がこの場合に相当する。
【0055】
図2から図10において、横軸は、基準線(図1における点線)からのリンク構造10の開き角度[rad]を示し、縦軸は、リンク構造10に対して発生するトルクの値[Nm]を示す。
【0056】
図2は、設定弾性値を0[Nm/rad]としたものである。
【0057】
図3は、設定弾性値を0.5[Nm/rad]としたものである。図3に示されるように、この弾性値に設定された場合には、任意の開き角度qにおいて、およそ−0.5[Nm]以上0.5[Nm]以下のトルクが出力できる。
【0058】
図4は、設定弾性値を−0.5[Nm/rad]としたものである。図4に示されるように、この弾性値に設定された場合には、任意の開き角度qにおいて、およそ−0.5[Nm]以上0.5[Nm]以下のトルクが出力できる。
【0059】
図5は、設定弾性値を1[Nm/rad]としたものである。図5に示されるように、この弾性値に設定された場合には、任意の開き角度qにおいて、およそ−1[Nm]以上1[Nm]以下のトルクが出力できる。
【0060】
図6は、設定弾性値を−1[Nm/rad]としたものである。図6に示されるように、この弾性値に設定された場合には、任意の開き角度qにおいて、およそ−1[Nm]以上1[Nm]以下のトルクが出力できる。
【0061】
図7は、設定弾性値を1.5[Nm/rad]としたものである。図7に示されるように、この弾性値に設定された場合には、任意の開き角度qにおいて、およそ−1.5[Nm]以上1.5[Nm]以下のトルクが出力できる。
【0062】
図8は、設定弾性値を−1.5[Nm/rad]としたものである。図8に示されるように、この弾性値に設定された場合には、任意の開き角度qにおいて、およそ−1.5[Nm]以上1.5[Nm]以下のトルクが出力できる。
【0063】
図9は、設定弾性値を2[Nm/rad]としたものである。図9に示されるように、この弾性値に設定された場合には、任意の開き角度qにおいて、およそ−2[Nm]以上2[Nm]以下のトルクが出力できる。
【0064】
図10は、設定弾性値を−2[Nm/rad]としたものである。図10に示されるように、この弾性値に設定された場合には、任意の開き角度qにおいて、およそ−2[Nm]以上2[Nm]以下のトルクが出力できる。
【0065】
また、計算条件として用いた各要素の寸法を図19に示す。
【0066】
ここで、lは回転部5の回転中心からベアリング4までの距離、qe1は基準線(図1における点線)からの補助部3aの開き角度、qe2は基準線(図1における点線)からの補助部3bの開き角度、kは弾性体2の弾性値、r01は回転部5の回転中心からベアリング4aまでの初期の距離、r02は回転部5の回転中心からベアリング4bまでの初期の距離、lは引き伸ばされた状態で引っかけられた弾性体2全体の初期長さ、l01及びl02は、後述する第2実施形態及び第3実施形態における引き伸ばされた状態で引っかけられた弾性体の各部の初期長さをそれぞれ示す。
【0067】
なお、これらの寸法は後述する各実施形態においても同様に用いる。
【0068】
本実施形態に関するアクチュエータでは、リンク構造10の駆動に関し従来のような減速機構を有する必要がなく、よって、比較的大きな慣性を有する機構を別途備える必要がない。
【0069】
また、図2に示されるように、全くトルクを発生しない場合においても、伸ばされた状態の弾性体2が内側に収縮しようとするため、軸力が働いた状態の回転部5の回転摩擦力が駆動上の抗力となり、通常は、ボールベアリングなどの摩擦抵抗と同等の値となる。
【0070】
これらのことは、外力により、リンク構造10の位置を変化させることが必要な応用事例、例えば、産業用ロボットにおける力覚センサのフィードバック制御を実行する場合、あるいは、人の歩行を補助する動力義足のアクチュエータとして使用する場合などにおいて、モデル化しにくい摩擦補償制御を無視できる、又は、摩擦補償制御を無視して制御しても一定の制御効果が得られるというメリットがある。いわゆる、バックドライバビリティを有するアクチュエータが得られる効果がある。なお、バックドライバビリティとは、出力節に適当な力を加えたときに、その節が可動し、かつそれが入力節側に伝わる性質のことをいう。
【0071】
<効果>
以下に、本実施形態による効果を例示する。
【0072】
本実施形態によれば、リンク固定部としてのベアリング4、第1移動固定部としてのベアリング4a及び第2移動固定部としてのベアリング4bは、滑車構造である。
【0073】
後述する第1弾性体と後述する第2弾性体とは、互いの端部が接続されることで、全体として輪形状の接続弾性体としての弾性体2を形成する。
【0074】
弾性体2は、ベアリング4、ベアリング4a及びベアリング4bの間で、引き延ばされた状態で保持される。
【0075】
リンク構造10は、ベアリング4a及びベアリング4bの移動に応じて、弾性体2の弾性力が釣り合う位置に保持される。
【0076】
このような構成によれば、簡易な構成でリンク構造10を双方向(複数の方向)へ駆動させるアクチュエータを得ることができる。本実施形態に関するアクチュエータでは、リンク構造10の駆動に関し従来のような減速機構を有する必要がなく、よって、比較的大きな慣性を有する機構を別途備える必要がない。
【0077】
また、本実施形態によれば、第1移動固定部としてのベアリング4a及び第2移動固定部としてのベアリング4bは、ベアリングである。
【0078】
第1補助部としての補助部3aは、ねじが切られた棒構造である第1滑りねじ部としての滑りねじ部30aを備える。
【0079】
第2補助部としての補助部3bは、ねじが切られた棒構造である第2滑りねじ部としての滑りねじ部30bを備える。
【0080】
滑りねじ部30aは、補助部3aにおける回転部5から延び出る方向に沿って配置され、かつ、ベアリング4aを嵌合させる。
【0081】
滑りねじ部30bは、補助部3bにおける回転部5から延び出る方向に沿って配置され、かつ、ベアリング4bを嵌合させる。
【0082】
なお、ベアリング4aは、後述のベアリング40a又はベアリング400aと入れ替えることもできる。
【0083】
なお、ベアリング4bは、後述のベアリング40b又はベアリング400bと入れ替えることもできる。
【0084】
このような構成によれば、滑りねじ部30aを回転させることによりベアリング4aの位置を、滑りねじ部30bを回転させることによりベアリング4bの位置を、それぞれ変更することができる。よって、弾性体2がベアリング4を介してリンク構造10を引っ張る力の大きさ及び力の方向を制御することができ、リンク構造10を双方向(複数の方向)へ駆動させるアクチュエータを得ることができる。すなわち、リンク構造10に作用する、弾性体2により発生する弾性値を制御することにより、リンク構造10に対し、任意のトルクを発生させることができる。
【0085】
また、本実施形態によれば、第1補助部としての補助部3aは、第1滑りねじ部としての滑りねじ部30aを回転させる第1駆動モータとしての駆動モータ31aを備える。
【0086】
第2補助部としての補助部3bは、第2滑りねじ部としての滑りねじ部30bを回転させる第2駆動モータとしての駆動モータ31bを備える。
【0087】
このような構成によれば、駆動モータ31aで滑りねじ部30aを回転させることによりベアリング4aの位置を、駆動モータ31bで滑りねじ部30bを回転させることによりベアリング4bの位置を、それぞれ変更することができる。よって、弾性体2がベアリング4を介してリンク構造10を引っ張る力の大きさ及び力の方向をリアルタイムで制御することができる。また、出力トルク特性のシミュレーション結果に基づいて上記の制御を行うことで、リアルタイムで目標とするトルク出力を実現することができる。
【0088】
また、本実施形態によれば、リンク構造の駆動方法において、回転中心を有するリンク構造10を、回転中心から延び出た位置において異なる複数の方向から引っ張り、リンク構造10を引っ張る力の大きさ及び力の方向を制御することにより、リンク構造10を回転運動させる。この場合、リンク構造10を引っ張る力の大きさが、いずれの方向においても0より大きい。
【0089】
このような構成によれば、リンク構造10を複数の方向へ駆動させるアクチュエータを得ることができる。
【0090】
<第2実施形態>
<構成>
以下では、上記実施形態で説明した構成と同様の構成については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略する。
【0091】
図11は、本実施形態に関するアクチュエータの全体構造を示す概略図である。図11に示されるように、アクチュエータは、リンク構造10と、弾性体2aと、弾性体2bと、一対の補助部3a及び補助部3bと、回転部5とを備える。
【0092】
リンク構造10は、固定部6を備える。補助部3aは、固定部6a(図示せず)とベアリング40aとを備える。補助部3bは、固定部6bとベアリング40bとを備える。
【0093】
補助部3aは、ねじが切られた棒状の部材である滑りねじ部30aを備える。ベアリング40aは、滑りねじ部30aに取り付けられ、また、補助部3aの長手方向に移動可能である。滑りねじ部30aは、補助部3aの長手方向に沿う軸を有する。
【0094】
補助部3aは、駆動モータ31aを備える。駆動モータ31aは、滑りねじ部30aを軸方向に回転させる。
【0095】
補助部3bは、ねじが切られた棒状の部材である滑りねじ部30bを備える。ベアリング40bは、滑りねじ部30bに取り付けられ、また、補助部3bの長手方向に移動可能である。滑りねじ部30bは、補助部3bの長手方向に沿う軸を有する。
【0096】
補助部3bは、駆動モータ31bを備える。駆動モータ31bは、滑りねじ部30bを軸方向に回転させる。
【0097】
リンク構造10は、回転部5を介してリンク構造11と連接され、回転部5を中心に回転可能である。
【0098】
弾性体2a及び弾性体2bは、紐状の弾性体である。具体的には、伸び縮みする軽量なゴム紐、又は、弦巻バネを紐で結んだ紐状の部材(一部が弾性体である部材)などが想定される。
【0099】
補助部3a及び補助部3bは、回転部5を中心に回転可能である。
【0100】
固定部6は、リンク構造10における回転部5から延び出た位置に取り付けられる。ベアリング40aは、補助部3aにおける回転部5から延び出た位置に取り付けられる。ベアリング40bは、補助部3bにおける回転部5から延び出た位置に取り付けられる。固定部6a及び固定部6bは、それぞれ、補助部3aの回転中心及び補助部3bの回転中心に取り付けられる。
【0101】
固定部6及び固定部6aには、それぞれ弾性体2aの端部が固定され、固定部6及び固定部6bには、それぞれ弾性体2bの端部が固定される。滑車であるベアリング40aには、弾性体2aが引き伸ばされた状態で引っかけられる。滑車であるベアリング40bには、弾性体2bが引き伸ばされた状態で引っかけられる。よって、弾性体2a及び弾性体2bは、ある特定の張力を有する状態でそれぞれ保持される。また、ベアリング40a及びベアリング40bは、滑車のように作用する。そのため、弾性体2aは、固定部6とベアリング40aとの間、及び、ベアリング40aと固定部6aとの間において、同じ張力を有する。また、弾性体2bは、固定部6とベアリング40bとの間、及び、ベアリング40bと固定部6bとの間において、同じ張力を有する。
【0102】
弾性体2a及び弾性体2bは、互いの弾性力により引き伸ばされた状態で保持される。リンク構造10は、ベアリング40a及びベアリング40bの移動に応じて、弾性体2aの弾性力と弾性体2bの弾性力とが釣り合う位置に保持される。
【0103】
なお、リンク構造10における弾性体2aが固定される箇所は、リンク構造10における弾性体2bが固定される箇所と同一でなくてもよい。すなわち、リンク構造10において弾性体2aが固定される固定部6とは別の固定部において、弾性体2bが固定されていてもよい。
【0104】
<作用>
次に、本実施形態に関するアクチュエータの動作について説明する。
【0105】
このアクチュエータの出力特性を考えるために、まずそのポテンシャルエネルギーを考える。
【0106】
各弾性体の変位量を下式に示す。
【0107】
【数6】
【0108】
ここで、x0ia(i=1、2)は初期変位量、l0i(i=1、2)は弾性体2a及び弾性体2bの初期長さをそれぞれ示す。
【0109】
これらから、本実施形態に関するアクチュエータのポテンシャルエネルギーは下式で表すことができる。
【0110】
【数7】
【0111】
ただし、k(i=1、2)は弾性値(ばね定数)である。
【0112】
ポテンシャルエネルギーをリンク構造10の開き角度qで1階偏微分して出力トルクを計算し、さらに、ポテンシャルエネルギーをリンク構造10の開き角度qで2階偏微分して回転部5周りの弾性値を計算する。
【0113】
【数8】
【0114】
図12から図14は、本実施形態におけるアクチュエータの出力トルク特性を机上シミュレーションで求めた結果を示す図である。
【0115】
リンク構造10に作用する、弾性体2により発生する回転角度あたりの設定弾性値を−2[Nm/rad]から2[Nm/rad]まで0.5[Nm/rad]刻みで設定する。また、このときのリンクの回転軸周りにトルクが加わらない平衡点(q)を−90[deg]から90[deg]まで10[deg]刻みで設定する。
【0116】
図12から図14においては、複数(19本)のグラフがプロットされているが、これは、平衡点(q)を−90[deg]から90[deg]まで10[deg]刻みでプロットした結果を反映したものである。ただし、図12では、その19本すべてが重なっている。
【0117】
各ベアリングの位置を、リンク構造10が配置される側とは反対側(図11であればリンク構造11が配置される側)に位置させることで、負の設定弾性値[Nm/rad]をとることも可能である。図14がこの場合に相当する。
【0118】
図12から図14において、横軸は、基準線(図11における点線)からのリンク構造10の開き角度[rad]を示し、縦軸は、リンク構造10に対して発生するトルクの値[Nm]を示す。
【0119】
図12は、設定弾性値を0[Nm/rad]としたものである。
【0120】
図13は、設定弾性値を0.5[Nm/rad]としたものである。図13に示されるように、この弾性値に設定された場合には、任意の開き角度qにおいて、およそ−0.5[Nm]以上0.5[Nm]以下のトルクが出力できる。
【0121】
図14は、設定弾性値を−0.5[Nm/rad]としたものである。図14に示されるように、この弾性値に設定された場合には、任意の開き角度qにおいて、およそ−0.5[Nm]以上0.5[Nm]以下のトルクが出力できる。
【0122】
また、計算条件として用いた各要素の寸法を図19に示す。
【0123】
<効果>
以下に、本実施形態による効果を例示する。
【0124】
本実施形態によれば、第1移動固定部としてのベアリング40a及び第2移動固定部としてのベアリング40bは、滑車構造である。
【0125】
第1補助部としての補助部3aは、回転中心において第1中心固定部としての固定部6aを備える。
【0126】
第2補助部としての補助部3bは、回転中心において第2中心固定部としての固定部6bを備える。
【0127】
第1弾性体としての弾性体2aは、リンク固定部としての固定部6と固定部6aとの間で、ベアリング40aを介して取り付けられる。
【0128】
第2弾性体としての弾性体2bは、固定部6と固定部6bとの間で、ベアリング40bを介して取り付けられる。
【0129】
このような構成によれば、簡易な構成でリンク構造10を双方向(複数の方向)へ駆動させるアクチュエータを得ることができる。本実施形態に関するアクチュエータでは、リンク構造10の駆動に関し従来のような減速機構を有する必要がなく、よって、比較的大きな慣性を有する機構を別途備える必要がない。
【0130】
<第3実施形態>
<構成>
以下では、上記実施形態で説明した構成と同様の構成については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略する。
【0131】
図15は、本実施形態に関するアクチュエータの全体構造を示す概略図である。図15に示されるように、アクチュエータは、リンク構造10と、弾性体20aと、弾性体20bと、一対の補助部3a及び補助部3bと、回転部5とを備える。
【0132】
リンク構造10は、固定部6を備える。補助部3aは、ベアリング400aを備える。補助部3bは、ベアリング400bを備える。
【0133】
補助部3aは、ねじが切られた棒状の部材である滑りねじ部30aを備える。ベアリング400aは、滑りねじ部30aに取り付けられ、また、補助部3aの長手方向に移動可能である。滑りねじ部30aは、補助部3aの長手方向に沿う軸を有する。
【0134】
補助部3aは、駆動モータ31aを備える。駆動モータ31aは、滑りねじ部30aを軸方向に回転させる。
【0135】
補助部3bは、ねじが切られた棒状の部材である滑りねじ部30bを備える。ベアリング400bは、滑りねじ部30bに取り付けられ、また、補助部3bの長手方向に移動可能である。滑りねじ部30bは、補助部3bの長手方向に沿う軸を有する。
【0136】
補助部3bは、駆動モータ31bを備える。駆動モータ31bは、滑りねじ部30bを軸方向に回転させる。
【0137】
弾性体20a及び弾性体20bは、紐状の弾性体である。具体的には、伸び縮みする軽量なゴム紐、又は、弦巻バネを紐で結んだ紐状の部材(一部が弾性体である部材)などが想定される。
【0138】
固定部6は、リンク構造10における回転部5から延び出た位置に取り付けられる。ベアリング400aは、補助部3aにおける回転部5から延び出た位置に取り付けられる。ベアリング400bは、補助部3bにおける回転部5から延び出た位置に取り付けられる。
【0139】
固定部6及びベアリング400aには、それぞれ弾性体20aの端部が固定され、固定部6及びベアリング400bには、それぞれ弾性体20bの端部が固定される。弾性体20a及び弾性体20bは、互いの弾性力により引き伸ばされた状態で保持される。リンク構造10は、ベアリング400a及びベアリング400bの移動に応じて、弾性体20aの弾性力と弾性体20bの弾性力とが釣り合う位置に保持される。
【0140】
なお、リンク構造10における弾性体20aが固定される箇所は、リンク構造10における弾性体20bが固定される箇所と同一でなくてもよい。すなわち、リンク構造10において弾性体20aが固定される固定部6とは別の固定部において、弾性体20bが固定されていてもよい。
【0141】
<作用>
次に、本実施形態に関するアクチュエータの動作について説明する。
【0142】
このアクチュエータの出力特性を考えるために、まずそのポテンシャルエネルギーを考える。
【0143】
各弾性体の変位量を下式に示す。
【0144】
【数9】
【0145】
ここで、x0i(i=1、2)は初期変位量、l0i(i=1、2)は弾性体20a及び弾性体20bの初期長さをそれぞれ示す。
【0146】
これらから、本実施形態に関するアクチュエータのポテンシャルエネルギーは下式で表すことができる。
【0147】
【数10】
【0148】
ただし、k(i=1、2)は弾性値(ばね定数)である。
【0149】
ポテンシャルエネルギーをリンク構造10の開き角度qで1階偏微分して出力トルクを計算し、さらに、ポテンシャルエネルギーをリンク構造10の開き角度qで2階偏微分して回転部5周りの弾性値を計算する。
【0150】
【数11】
【0151】
ここで、x0ib(i=1、2)は初期変位量である。
【0152】
図16から図18は、本実施形態におけるアクチュエータの出力トルク特性を机上シミュレーションで求めた結果を示す図である。
【0153】
リンク構造10に作用する、弾性体2により発生する回転角度あたりの設定弾性値を−2[Nm/rad]から2[Nm/rad]まで0.5[Nm/rad]刻みで設定する。また、このときのリンクの回転軸周りにトルクが加わらない平衡点(q)を−90[deg]から90[deg]まで10[deg]刻みで設定する。
【0154】
図16から図18においては、複数(19本)のグラフがプロットされているが、これは、平衡点(q)を−90[deg]から90[deg]まで10[deg]刻みでプロットした結果を反映したものである。ただし、図16では、その19本すべてが重なっている。
【0155】
各ベアリングの位置を、リンク構造10が配置される側とは反対側(図15であればリンク構造11が配置される側)に位置させることで、負の設定弾性値[Nm/rad]をとることも可能である。図18がこの場合に相当する。
【0156】
図16から図18において、横軸は、基準線(図15における点線)からのリンク構造10の開き角度[rad]を示し、縦軸は、リンク構造10に対して発生するトルクの値[Nm]を示す。
【0157】
図16は、設定弾性値を0[Nm/rad]としたものである。
【0158】
図17は、設定弾性値を0.5[Nm/rad]としたものである。図17に示されるように、この弾性値に設定された場合には、任意の開き角度qにおいて、およそ−0.5[Nm]以上0.5[Nm]以下のトルクが出力できる。
【0159】
図18は、設定弾性値を−0.5[Nm/rad]としたものである。図18に示されるように、この弾性値に設定された場合には、任意の開き角度qにおいて、およそ−0.5[Nm]以上0.5[Nm]以下のトルクが出力できる。
【0160】
また、計算条件として用いた各要素の寸法を図19に示す。
【0161】
<実験>
次に、図15に示された構成を用いて、実験を行った結果を以下に示す。当該実験では、目標の平衡点と設定弾性値とが設定された状態で、本実施形態に関するアクチュエータにおける目標となるベアリングの位置を求め、同時にPフィードバック制御(比例制御)を行う。
【0162】
<正の弾性値実験>
図20は、正の弾性値の場合の実験結果を示す図である。図20において、縦軸が基準線(図15における点線)からのリンク構造10の開き角度[rad]であり、横軸が時間[s]である。図20の上段においては、平衡点1.04[rad]の場合の理想値が点線で示され、設定弾性値が0.1[Nm/rad]の場合の実際の測定値が実線で示され、設定弾性値が0.2[Nm/rad]の場合の実際の測定値を一点鎖線で示されている。また、図20の中段においては、平衡点0.52[rad]の場合の理想値が点線で示され、設定弾性値が0.1[Nm/rad]の場合の実際の測定値が実線で示され、設定弾性値が0.2[Nm/rad]の場合の実際の測定値を一点鎖線で示されている。また、図20の下段においては、設定弾性値が0.0[Nm/rad]の場合の実際の測定値が点線で示され、設定弾性値が0.1[Nm/rad]の場合の実際の測定値が実線で示され、設定弾性値が0.2[Nm/rad]の場合の実際の測定値を一点鎖線で示されている。図20の上段及び中段に示されるように、目標の平衡点π/6、π/3[rad]、設定弾性値0.1、0.2[Nm/rad]とした場合には、ベアリングの位置の収束性を確認することができる。また、図20の下段に示されるように、目標の平衡点0[rad]、設定弾性値0、0.1、0.2[Nm/rad]とした場合に、リンク先端から0.25[m]の箇所に外力1[N]以上2[N]以下を加えた場合の、ベアリングの位置変動の減衰を確認することができる。
【0163】
<負の弾性値実験>
図21は、負の弾性値の場合の実験結果を示す図である。図21において、縦軸が基準線(図15における点線)からのリンク構造10の開き角度[rad]であり、横軸が時間[s]である。図21の上段においては、設定弾性値が−0.1[Nm/rad]の場合の実際の測定値が実線で示され、設定弾性値が−0.2[Nm/rad]の場合の実際の測定値を一点鎖線で示されている。また、図21の中段においては、設定弾性値が−0.1[Nm/rad]の場合の実際の測定値が実線で示され、設定弾性値が−0.2[Nm/rad]の場合の実際の測定値を一点鎖線で示されている。また、図21の下段においては、設定弾性値が−0.1[Nm/rad]の場合の実際の測定値が実線で示され、設定弾性値が−0.2[Nm/rad]の場合の実際の測定値を一点鎖線で示されている。本実験では、目標の平衡点0、π/6、π/3[rad]、設定弾性値−0.1、−0.2[Nm/rad]とした場合に、リンク先端から0.25[m]の箇所に外力1[N]以上2[N]以下を加え、実際に弾性が負になっていることを確認する。本実験では、図21に示されるように、外力を与えた時点で大きな角度変化が生じている。
【0164】
<考察>
正の弾性値実験では、ベアリングの位置の、安定平衡点への収束が確認できる。また、負の弾性値実験では、ベアリングの位置の、不安定平衡点からの発散が確認できる。また、本実験の限りでは、静止摩擦の影響により、定常偏差が残っていることが分かる。
【0165】
<効果>
以下に、本実施形態による効果を例示する。
【0166】
本実施形態によれば、アクチュエータが、第1補助部としての補助部3aと、リンク構造10を基準として補助部3aとは反対側に配置される第2補助部としての補助部3bと、リンク構造10、補助部3a及び補助部3bと連結され、かつ、リンク構造10、補助部3a及び補助部3bが回転運動する場合の回転中心である回転部5とを備える。
【0167】
リンク構造10、補助部3a及び補助部3bは、それぞれ、回転部5から延び出て形成される。
【0168】
リンク構造10は、回転部5から延び出た位置において少なくとも1つのリンク固定部としての固定部6を備える。
【0169】
補助部3aは、回転部5から延び出た位置において、回転部5から延び出る方向及びその逆方向に移動可能な第1移動固定部としてのベアリング400aを備える。
【0170】
補助部3bは、回転部5から延び出た位置において、回転部5から延び出る方向及びその逆方向に移動可能な第2移動固定部としてのベアリング400bを備える。
【0171】
また、アクチュエータが、固定部6とベアリング400aとに跨る、紐状の第1弾性体としての弾性体20aと、固定部6とベアリング400bとに跨る、紐状の第2弾性体としての弾性体20bとを備える。
【0172】
弾性体20aと弾性体20bとは、互いの弾性力により引き延ばされた状態で保持される。
【0173】
リンク構造10は、ベアリング400a及びベアリング400bの移動に応じて、弾性体20aの弾性力と弾性体20bの弾性力とが釣り合う位置に保持される。
【0174】
このような構成によれば、簡易な構成でリンク構造10を双方向(複数の方向)へ駆動させるアクチュエータを得ることができる。本実施形態に関するアクチュエータでは、リンク構造10の駆動に関し従来のような減速機構を有する必要がなく、よって、比較的大きな慣性を有する機構を別途備える必要がない。
【0175】
本実施形態に関するアクチュエータでは、弾性体が伸び縮みする反力を駆動対象物の駆動に利用する。第1移動固定部及び第2移動固定部を備えることにより、弾性体からの反力を駆動対象物に伝達させる位置を可変とすることで、弾性による反力の大きさと、2つ以上の弾性体の力の拮抗することにより反力が働かなくなる平衡点とを変更することができる。
【0176】
また、本実施形態に関するアクチュエータでは、出力トルク特性のシミュレーション結果に基づいて、第1移動固定部及び第2移動固定部の位置、さらには、補助部3aの開き角度及び補助部3bの開き角度を設定することにより、目標のトルク出力を得ることができる。
【0177】
なお、これらの構成以外の構成については適宜省略することができるが、本明細書に示された任意の構成を適宜追加した場合でも、上記の効果を生じさせることができる。
【0178】
<第4実施形態>
<構成>
以下では、上記実施形態で説明した構成と同様の構成については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略する。
【0179】
図22は、本実施形態に関するアクチュエータの全体構造を示す概略図である。図22に示されるように、アクチュエータは、リンク構造10と、弾性体20aと、弾性体20bと、一対の補助部3a及び補助部3bと、回転部5とを備える。
【0180】
リンク構造10は、固定部6を備える。また、リンク構造10は、経由構造としてのベアリング401aと経由構造としてのベアリング401bとを備える。ベアリング401a及びベアリング401bは、滑車構造である。補助部3aは、ベアリング400aを備える。補助部3bは、ベアリング400bを備える。
【0181】
補助部3aは、ねじが切られた棒状の部材である滑りねじ部30aを備える。ベアリング400aは、滑りねじ部30aに取り付けられ、また、補助部3aの長手方向に移動可能である。滑りねじ部30aは、補助部3aの長手方向に沿う軸を有する。
【0182】
補助部3aは、駆動モータ31aを備える。駆動モータ31aは、滑りねじ部30aを軸まわりに回転させる。
【0183】
補助部3bは、ねじが切られた棒状の部材である滑りねじ部30bを備える。ベアリング400bは、滑りねじ部30bに取り付けられ、また、補助部3bの長手方向に移動可能である。滑りねじ部30bは、補助部3bの長手方向に沿う軸を有する。
【0184】
補助部3bは、駆動モータ31bを備える。駆動モータ31bは、滑りねじ部30bを軸まわりに回転させる。
【0185】
弾性体20a及び弾性体20bは、紐状の弾性体である。具体的には、伸び縮みする軽量なゴム紐、又は、弦巻バネを紐で結んだ紐状の部材(一部が弾性体である部材)などが想定される。
【0186】
固定部6は、リンク構造10における回転部5から延び出た位置に取り付けられる。ベアリング401aは、リンク構造10における回転部5から延び出た位置で、かつ、固定部6よりも回転部5に近い位置に取り付けられる。ベアリング401bは、リンク構造10における回転部5から延び出た位置で、かつ、固定部6よりも回転部5に近い位置に取り付けられる。また、本実施形態においては、ベアリング401aは、リンク構造10におけるベアリング401bの裏側に取り付けられる。ベアリング400aは、補助部3aにおける回転部5から延び出た位置に取り付けられる。ベアリング400bは、補助部3bにおける回転部5から延び出た位置に取り付けられる。
【0187】
固定部6、ベアリング401a及びベアリング400aには、それぞれ弾性体20aが固定され、固定部6、ベアリング401b及びベアリング400bには、それぞれ弾性体20bが固定される。弾性体20a及び弾性体20bは、互いの弾性力により引き伸ばされた状態で保持される。リンク構造10は、ベアリング400a及びベアリング400bの移動に応じて、弾性体20aの弾性力と弾性体20bの弾性力とが釣り合う位置に保持される。
【0188】
なお、リンク構造10における弾性体20aが固定される箇所は、リンク構造10における弾性体20bが固定される箇所と同一でなくてもよい。すなわち、リンク構造10において弾性体20aが固定される固定部6とは別の固定部において、弾性体20bが固定されていてもよい。
【0189】
また、本実施形態に示される構成は、図11に示される構成のように、補助部におけるベアリングを介して回転部5の回転中心まで弾性体が張られている場合にも適用可能である。
【0190】
<作用>
次に、本実施形態に関するアクチュエータの動作について説明する。
【0191】
まず、簡単のため、図22に示された構造のうちの1つの補助部3bのみを有する場合のトルクを求める。図23は、リンク構造を駆動させるアクチュエータの1つの補助部のみを有する場合の構造を示す図である。図23に示されるように、アクチュエータは、リンク構造10と、弾性体20bと、補助部3bと、回転部5とを備える。
【0192】
リンク構造10は、固定部6を備える。また、リンク構造10は、ベアリング401bを備える。補助部3bは、ベアリング400bを備える。
【0193】
ここで、回転部5の回転中心からベアリング401bまでの距離をl、ベアリング401bから固定部6までの距離をl、基準線(図23における点線)からのリンク構造10の開き角度をq、回転部5の回転中心からベアリング400bまでの距離をr、ベアリング400bからベアリング401bまでの距離をxとする。これらから、本実施形態に図23に示されるアクチュエータのポテンシャルエネルギーは、下式で表すことができる。
【0194】
【数12】
【0195】
また、xは、下式で表すことができる。
【0196】
【数13】
【0197】
また、xは、下式で表すことができる。
【0198】
【数14】
【0199】
ここで、kは、弾性体20bのばね定数であり、lは、弾性体20bの初期長さである。また、rは、回転部5からベアリング400bまでの初期の距離であり、xは、ベアリング400bからベアリング401bまでの初期の距離である。
【0200】
ここで、l=lの場合、
【0201】
【数15】
【0202】
が得られ、このポテンシャルエネルギーを角度で偏微分することでトルクを下式のように導出することができる。
【0203】
【数16】
【0204】
図24は、本実施形態に関するアクチュエータをモデル化した図である。図24において、Iは、リンク構造10の慣性モーメントであり、qは、基準線(q)からのリンク構造10の開き角度である。また、rは、弾性体20aに関する可変弾性機構のベアリング400aの位置であり、rは、弾性体20bに関する可変弾性機構のベアリング400bの位置である。
【0205】
上記のモデルにおいて、2つの可変弾性機構のトルクを合成した場合のダイナミクスは、下式となる。
【0206】
【数17】
【0207】
【数18】
【0208】
【数19】
【0209】
ここで、bは、リンク構造10の粘性係数であり、k(q,r,r)は、リンクの回転軸周りの可変弾性値である。また、q(q,r,r)は、可変弾性値の可変平衡点である。
【0210】
さらに、2つの可変弾性機構のダイナミクスは、以下と仮定する。
【0211】
【数20】
【0212】
【数21】
【0213】
【数22】
【0214】
【数23】
【0215】
ここで、mは、各可変弾性機構のベアリング400a又はベアリング400bの質量であり、dは、各可変弾性機構の粘性係数である。また、fki(q,r)(i=1,2)は、各可変弾性機構において弾性体からベアリングが受ける力であり、f(i=1,2)は、制御入力である。
【0216】
次に、弾性値が正である場合の設定弾性値と目標の平衡点とを満たすような、ベアリングの目標の位置を算出する。上記の式(38)と式(39)とから、
【0217】
【数24】
【0218】
【数25】
【0219】
となる。ここで、kqd(t)は、リンクの回転軸周りの設定弾性値の時間関数であり、qed(t)は、リンク構造10周りの目標の平衡点の時間関数である。また、r1d(t)は、弾性体20aに関する可変弾性機構のベアリング400aの目標の位置であり、r2d(t)は、弾性体20bに関する可変弾性機構のベアリング400bの目標の位置である。
【0220】
上記の式(45)から、
【0221】
【数26】
【0222】
となり、式(46)を式(44)に代入すると、
【0223】
【数27】
【0224】
となる。式(47)から、
【0225】
【数28】
【0226】
となり、式(48)と式(46)とから
【0227】
【数29】
【0228】
【数30】
【0229】
が得られる。制御入力は、式(49)及び式(50)を目標としたPフィードバック制御で行う。
【0230】
【数31】
【0231】
【数32】
【0232】
ここで、kp1は、rに関する位置フィードバックゲインであり、kp2は、rに関する位置フィードバックゲインである。また、kv1は、rに関する速度フィードバックゲインであり、kv2は、rに関する速度フィードバックゲインである。
【0233】
なお、当該制御は、PD制御であってもよい。
【0234】
<効果>
以下に、本実施形態による効果を例示する。
【0235】
本実施形態によれば、リンク構造10は、回転部5から延び出た位置で、かつ、リンク固定部としての固定部6よりも回転部5に近い位置において、滑車構造である第1経由構造としてのベアリング401a及び滑車構造である第2経由構造としてのベアリング401bを備える。
【0236】
第1弾性体としての弾性体20aは、固定部6と第1移動固定部としてのベアリング400aとの間で、ベアリング401aを介して取り付けられる。また、第2弾性体としての弾性体20bは、固定部6と第2移動固定部としてのベアリング400bとの間で、ベアリング401bを介して取り付けられる。
【0237】
このような構成によれば、弾性体20a及び弾性体20bがリンク構造10に沿って取り付けられる範囲が増えるため、弾性体を含めた可変弾性機構をリンク構造10近傍に集約することができる。よって、可変弾性機構を小型化することができる。
【0238】
また、目標のベアリングの位置を時間関数として算出することができ、さらに、制御入力に関しても時間関数として算出することができるため、設定弾性値及び目標の平衡点が決定された場合に、算出された目標のベアリングの位置及び制御入力を用いることができる。
【0239】
なお、上記の各実施形態において、補助部をさらに追加し、補助部が3つさらには4つ備えられる場合でも、リンク構造と新たに追加した補助部との間にもある特定の張力を有する弾性体が張られた場合でも、上記と同様に適用することができる。
【0240】
また、駆動モータ31a及び駆動モータ31bは、各補助部に取り付けられていなくともよく、アクチュエータの外部に備えられるものであってもよい。
【0241】
上記実施形態では、各構成要素の材質、材料、寸法、形状、相対的配置関係又は実施の条件などについても記載している場合があるが、これらはすべての局面において例示であって、本発明が記載されたものに限られることはない。よって、例示されていない無数の変形例が、本発明の範囲内において想定される。例えば、任意の構成要素を変形する場合又は省略する場合、さらには、少なくとも1つの実施形態における少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれる。
【符号の説明】
【0242】
2,2a,2b,20a,20b 弾性体、3a,3b 補助部、4,4a,4b,40a,40b,400a,400b,401a,401b ベアリング、5 回転部、6,6a,6b 固定部、10,11 リンク構造、30a,30b 滑りねじ部、31a,31b 駆動モータ。
図1
図2
図3
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図5
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図10
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