(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238921
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】イルベサルタンを含有する錠剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4184 20060101AFI20171120BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20171120BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20171120BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20171120BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20171120BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20171120BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20171120BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
A61K31/4184
A61P43/00 111
A61P9/04
A61P9/12
A61K9/20
A61K47/26
A61K47/38
A61K47/12
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-27127(P2015-27127)
(22)【出願日】2015年2月16日
(65)【公開番号】特開2015-166342(P2015-166342A)
(43)【公開日】2015年9月24日
【審査請求日】2017年1月18日
(31)【優先権主張番号】特願2014-27875(P2014-27875)
(32)【優先日】2014年2月17日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593030071
【氏名又は名称】大原薬品工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】三明 達矢
【審査官】
馬場 亮人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−136908(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0030052(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0104640(US,A1)
【文献】
特開2010−053047(JP,A)
【文献】
特開2012−051829(JP,A)
【文献】
特表2010−517936(JP,A)
【文献】
特開平08−333253(JP,A)
【文献】
特開2003−034655(JP,A)
【文献】
特開2000−103731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/4184
A61K 9/20
A61K 47/12
A61K 47/26
A61K 47/38
A61P 9/04
A61P 9/12
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤の全重量に対して、40.0〜60.0重量%のイルベサルタン、30.0〜50.0重量%の乳糖水和物及び結晶セルロースである希釈剤、クロスカルメロースナトリウムである崩壊剤、ヒプロメロースである結合剤、及びステアリン酸マグネシウムである滑沢剤を含み、二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、タルクから選ばれる抗付着剤を含まない混合末を圧縮成形することによって錠剤(薬物としてイルベサルタンのみを含むものに限る。)を製造する方法。
【請求項2】
イルベサルタンと希釈剤、崩壊剤、結合剤を含む、湿式造粒によって製造された顆粒を含有する、請求項1に記載の錠剤を製造する方法。
【請求項3】
錠剤の全重量に対して、1.0〜10.0重量%の崩壊剤、1.0〜5.0重量%の結合剤、0.2〜5.0重量%の滑沢剤を含む、請求項1又は2に記載の錠剤を製造する方法。
【請求項4】
錠剤の重量が300〜450mgである、請求項1〜3のいずれかに記載の錠剤を製造する方法。
【請求項5】
イルベサルタン、希釈剤及び崩壊剤を混合し、これに結合剤を溶解した液を加えて湿式造粒によって顆粒を製造し、これを崩壊剤と滑沢剤と共に混合した後に圧縮成形する、請求項1〜4のいずれかに記載の錠剤を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は心臓血管疾患の治療に有用なイルベサルタンを含有する医薬組成物に関するものであり、これらの医薬組成物から製造された錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
イルベサルタン(一般名)は、化学名が2−ブチル−3−{4−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル]ベンジル}−1,3−ジアザスピロ[4.4]ノン−1−エン−4−オンと記される長期作用性アンギオテンシンII受容体拮抗剤である。特に高血圧症および心不全などの心臓血管疾患の治療に有用である。この薬物の好ましい医薬組成物は有効成分としてイルベサルタンを含有する錠剤であり、イルベサルタンを50〜200mg含有する錠剤として投与される。
イルベサルタンは綿毛状の物質であり、相対的に実質重量が少なく、密度も非常に小さい。これらの特性は、小さい錠剤の中に多量の薬物を含有せしめ、かつ量の一定性、硬度その他の望ましい錠剤特性を持たせることを困難にしている。またイルベサルタンは望ましくない流動特性を有し、高速での打錠時に粉末の流動性不良や杵や臼の表面への付着を引き起こし、錠剤重量の均一性の保証を困難にしている。加えて、イルベサルタンは水への溶解度が低く、消化管液における錠剤のヌレ、崩壊、迅速かつ完全な薬物の溶出を困難にしている。
【0003】
一方、錠剤等の医薬品製剤は製造直後に患者に投与されることはなく、製造後しかるべき期間倉庫に保管され、出荷されて薬局に輸送された後に薬局で保管され、薬局で包装容器が開封された後に簡易包装されるなどして投与日数分が患者に手渡され、これを患者が保管しながら順次服用してゆくのが一般的である。錠剤等の医薬品製剤の品質特性は製造直後の出荷試験の時点で評価されるが、患者が服用する時点でも同じ特性を維持していなければならない。製剤の品質特性は経時的に変化してはならず、安定でなければならない。
安定性に関しては、化学的な安定性の保証、即ち分解物の生成の程度を許容される限度以下に抑制することは当然必要であるが、錠剤からの薬物の溶出速度の遅延を防止することも強く求められる。溶出速度が遅延すれば、薬物の消化管からの吸収性が低下し、医薬品としての有効性が低下するからである。
【0004】
イルベサルタンでも、消化管液中でイルベサルタンが速やかに溶出する錠剤が求められるが、同時に錠剤の保存中にイルベサルタンの溶出速度が遅延しない錠剤が求められる。
錠剤からのイルベサルタンの溶出速度を遅延させる最大の要因は水分である。錠剤を高湿度環境下に保存すると、イルベサルタンの溶出速度が遅延する。
出荷後、薬局で開封されるまでの期間については、例えば防湿機能を有した包装容器を使用することにより、水分の影響を排除することが可能である。しかし、防湿包装を施せばコスト高となる。防湿包装なしでも溶出速度が遅延しない錠剤が望ましい。
【0005】
一方、薬局で患者に手渡されてから患者が服用するまでの期間は、非防湿の簡易包装とされる場合が多く、包装で水分の影響を排除することができない。水分の影響を受けない錠剤が必要になる。日本の梅雨時の気象条件を考慮すると、相対湿度75%の条件下でも溶出速度が変化しない錠剤が必要になる。
本発明は、イルベサルタンを高含量含有する錠剤で、初期の溶出特性が優れているのに加えて、錠剤を高湿度環境下に保存した場合においても、錠剤からのイルベサルタンの溶出速度が変化しない錠剤の製造法に関するものである。
【0006】
イルベサルタンの錠剤に関する従来技術には、約20〜約70%のイルベサルタン、約1〜約70%の希釈剤、約2〜約20%の結合剤、約1〜約10%の崩壊剤、約0.1〜約5%の抗付着剤、および約0.2〜約5%の滑沢剤を含む医薬組成物や(特許文献1)、70%w/w超のイルベサルタン、結合剤、及び界面活性剤を含んで成る組成物(特許文献2)がある。
しかしこれらの技術はいずれも、イルベサルタンが望ましくない流動特性を有していることから、高速での打錠時に粉末の流動性不良や杵や臼の表面への付着を防止するために抗付着剤を添加しているという特徴を有している。しかし、イルベサルタンを含有する錠剤に抗付着剤を添加すれば、製造初期の錠剤の溶出特性は優れているものの、錠剤の高湿度環境下での保存時に溶出速度が遅延するという問題を引き起こす。
イルベサルタンを高含量含有する錠剤で、錠剤を高湿度環境下に保存した場合に溶出速度が遅延しない錠剤は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3162626号公報
【特許文献2】特許第4880591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はイルベサルタンを高含量含有する錠剤で、製造初期における錠剤からのイルベサルタンの溶出速度が速く、かつ、錠剤を高湿度環境下に保存した場合でも溶出速度が遅延しない錠剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は前記目的を達成するべく鋭意検討した結果、抗付着剤を配合せずにイルベサルタンの錠剤を製造すれば、錠剤を高湿度環境下に保存した場合に溶出速度が遅延しない錠剤が得られることを見出した。さらに、イルベサルタン、希釈剤および崩壊剤の一部を混合し、これに結合剤を水に溶解した液を加えて湿式高速撹拌造粒によって顆粒を製し、これに崩壊剤と滑択剤を加えて圧縮成形することによって、抗付着剤を配合しなくても打錠時の粉末の付着なしに重量の均一性に優れ、かつ十分な強度を有した錠剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下(1)〜(5)において記述されているものである。
(1)錠剤の全重量に対して、40.0〜60.0重量%のイルベサルタン及び、30.0〜50.0重量%の希釈剤を含み、二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、タルクから選ばれる抗付着剤を含まない混合末を圧縮成形することによって製造される錠剤。
(2)希釈剤が乳糖水和物、結晶セルロース、無水乳糖、およびマンニトールから選ばれる、前記(1)に記載の錠剤
(3)1.0〜10.0重量%の崩壊剤、1.0〜5.0重量%の結合剤、0.2〜5.0重量%の滑沢剤を含む、前記(2)に記載の錠剤。
(4)崩壊剤がクロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースから選ばれ、結合剤がヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、糊化デンプンから選ばれ、滑沢剤がステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウムから選ばれる、
前記(3)に記載の錠剤
(5)イルベサルタンと希釈剤、崩壊剤、結合剤を含む、湿式造粒によって製造された顆粒を含有する、前記(3)に記載の錠剤。
【発明の効果】
【0011】
本発明のイルベサルタン含有錠剤は、優れた均一性と十分な強度を有していながら、イルベサルタンの速やかな溶出速度を有する。例えば、日本薬局方の溶出試験機(パドル法)を用い、37℃の日局1液900mL中に錠剤1錠を投入し、パドルを50rpm回転速度で回転せしめて測定した場合には、15分後のイルベサルタンの溶出率は85%以上である。さらに本発明の錠剤は、錠剤を高湿度環境下に保存した場合でも、溶出速度の遅延は起こらない。例えば、錠剤を温度60℃、相対湿度75%の環境下において2週間無包装状態で保存しても15分後のイルベサルタンの溶出率は85%以上であり、錠剤からのイルベサルタンの溶出速度は遅延しない。このこととから、本錠剤は、薬局において製品の包装を開封して非防湿の簡易包装に再包装された場合でも、患者が服用するまでの期間に溶出速度が遅延することはなく、確実な薬効を保証することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る希釈剤は、例えば、乳糖水和物、結晶セルロース、無水乳糖、およびマンニトールから選ばれる1または2種以上の化合物であり、好ましくは乳糖水和物と結晶セルロースの混合物である。
【0013】
本発明に係る崩壊剤は、例えば、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースから選ばれる1または2種以上の化合物であり、好ましくはクロスカルメロースナトリウムである。
【0014】
本発明に係る結合剤は、例えば、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、および糊化デンプンから選ばれる1または2種以上の化合物であり、好ましくはヒプロメロースである。
【0015】
本発明に係る滑沢剤は、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウムから選ばれる1または2種以上の化合物であり、好ましくはステアリン酸マグネシウムである。
本発明における含有させない抗付着剤とは、例えば、二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、タルクであり、最も好ましくなくは二酸化ケイ素である。
本は発明の錠剤には、必要に応じて、医薬品添加物として許容される界面活性剤、着色剤を含むことができる。
【0016】
本発明の錠剤に含まれる各成分の配合割合は、錠剤の全重量に対し、イルベサルタンが40.0〜60.0重量%、希釈剤が30.0〜50.0重量%、崩壊剤が1.0〜10.0重量%および結合剤が1.0〜5.0重量%、滑沢剤が0.01〜3.0重量%の各範囲にあるものが好ましいが、より好ましくは、錠剤の全重量に対し、イルベサルタンが45.0〜55.0重量%、希釈剤が40.0〜45.0重量%、崩壊剤が3.0〜7.0重量%、結合剤が1.0〜3.0重量%、滑沢剤が0.5〜1.5重量%の各範囲内にあるのである。
【0017】
本発明の錠剤の製造に使用されるイルベサルタンの平均粒子径(d
50)は1.0〜15.0μmが好ましく、より好ましくは7.0〜12.0μmである。
【0018】
本発明の錠剤の重量は300〜450mgが好ましく、より好ましくは330〜400mgであり、最も好ましくは350〜370mgである。
【0019】
本発明の錠剤の製造方法は、例えば、イルベサルタン、希釈剤および崩壊剤を混合した粉末に結合剤加えて湿式高速撹拌造粒を行って顆粒とされる。本発明で使用する高速撹拌造粒機は、例えば、バーチカルグラニュレーター(株式会社パウレック)やハイスピードミキサー(アーステクニカ)である。撹拌槽の底部に水平回転をする撹拌羽根を有し、側面には造粒物を解砕するための補助羽根を有する場合がある。混合粉末を撹拌層に仕込み、撹拌羽根を高速で回転させながら結合剤を水に溶解した液を加えて造粒を行う。撹拌羽根の回転速度は毎分50〜500回転である。得られた顆粒は流動層乾燥機又は真空乾燥機によって乾燥され、整粒機によって整粒された後、崩壊剤と滑択剤を混合した後に打錠機によって圧縮成形されて錠剤とされる。
上記の如くして製造された素錠にフィルムコーティングを施して、フィルムコーティング錠とすることが可能である。フィルムコーティングはフィルムコーティング装置を用いて行われる。フィルム基剤としては、例えば、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。
【実施例】
【0020】
以下に実施例等により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0021】
[実施例1]
200mgのイルベサルタンを含有する1錠400mgの錠剤の調製について説明する。
本発明の錠剤は、表1に示す成分を用いて、湿式高速撹拌造粒法により調製した。 イルベサルタン100g、乳糖水和物64g、結晶セルロース20g、クロスカルメロースナトリウム5gを高速撹拌造粒機(VG−01、パウレック社製)で混合した。別にヒプロメロース4gを水66mLに溶解し、これを高速撹拌造粒機内の混合粉末に添加して毎分370回転で5分間撹拌し、湿式造粒を行った。得られた顆粒を流動層乾燥機(MP−01、パウレック社製)で乾燥し、乾燥した顆粒を粉砕・分級装置(コーミル、パウレック社製)に通して整粒した。
得られた整粒末193gに、クロスカルメロースナトリウム5gとステアリン酸マグネシウム2gを加えて混合機で混合した。混合末をロータリー打錠機(VELA5、菊水製作所製)で圧縮成形して重量400mgの錠剤を得た。
【0022】
[実施例2]
200mgのイルベサルタンを含有する1錠360mgの錠剤の調製について説明する。
本発明の錠剤は、表2に示す成分を用いて、湿式高速撹拌造粒法により調製した。
イルベサルタン100g、乳糖水和物51g、結晶セルロース16g、クロスカルメロースナトリウム4gを高速撹拌造粒機(VG−01、パウレック社製)で混合した。別にヒプロメロース3.2gを水48.8mLに溶解し、これを高速撹拌造粒機内の混合粉末に添加して毎分370回転で5分間撹拌し、湿式造粒を行った。得られた顆粒を流動層乾燥機(MP−01、パウレック社製)で乾燥し、乾燥した顆粒を粉砕・分級装置(コーミル、パウレック社製)に通して整粒した。
得られた整粒末174.2gに、クロスカルメロースナトリウム4gとステアリン酸マグネシウム1.8gを加えて混合機で混合した。混合末をロータリー打錠機(VELA5、菊水製作所製)で圧縮成形して重量360mgの錠剤を得た。
【0023】
[実施例3]
200mgのイルベサルタンを含有する1錠360mgの錠剤の調製について説明する。
本発明の錠剤は、表2に示す成分を用いて、湿式高速撹拌造粒法により調製した。
イルベサルタン100g、乳糖水和物44g、結晶セルロース20g、クロスカルメロースナトリウム5gを高速撹拌造粒機(VG−01、パウレック社製)で混合した。別にヒプロメロース4gを水58.5mLに溶解し、これを高速撹拌造粒機内の混合粉末に添加して毎分370回転で5分間撹拌し、湿式造粒を行った。得られた顆粒を流動層乾燥機(MP−01、パウレック社製)で乾燥し、乾燥した顆粒を粉砕・分級装置(コーミル、パウレック社製)に通して整粒した。
得られた整粒末173gに、クロスカルメロースナトリウム5gとステアリン酸マグネシウム2gを加えて混合機で混合した。混合末をロータリー打錠機(VELA5、菊水製作所製)で圧縮成形して重量360mgの錠剤を得た。
【0024】
[比較例1]
錠剤は、表1に示す組成物を用いて、湿式高速撹拌造粒法により調製した。
イルベサルタン100g、乳糖水和物63g、結晶セルロース20g、クロスカルメロースナトリウム5gを高速撹拌造粒機(VG−01、パウレック社製)で混合した。別にヒプロメロース4gを水66mLに溶解し、これを高速撹拌造粒機内の混合粉末に添加して毎分370回転で5分間撹拌し、湿式造粒を行った。得られた顆粒を流動層乾燥機(MP−01、パウレック社製)で乾燥し、乾燥した顆粒を粉砕・分級装置(コーミル、パウレック社製)に通して整粒した。
得られた整粒末192gに、クロスカルメロースナトリウム5gと抗付着剤としての二酸化ケイ素1g及びステアリン酸マグネシウム2gを加えて混合機で混合した。混合末をロータリー打錠機(VELA5、菊水製作所製)で圧縮成形して重量400mgの錠剤を得た。
【0025】
[比較例2]
錠剤は、表2に示す組成物を用いて、湿式高速撹拌造粒法により調製した。
イルベサルタン100g、乳糖水和物64g、結晶セルロース20g、クロスカルメロースナトリウム5gを高速撹拌造粒機(VG−01、パウレック社製)で混合した。別にヒプロメロース4gを水66mLに溶解し、これを高速撹拌造粒機内の混合粉末に添加して毎分370回転で5分間撹拌し、湿式造粒を行った。得られた顆粒を流動層乾燥機(MP−01、パウレック社製)で乾燥し、乾燥した顆粒を粉砕・分級装置(コーミル、パウレック社製)に通して整粒した。
得られた整粒末193gに、クロスカルメロースナトリウム5gとステアリン酸マグネシウム2gを加えて混合機で混合した。混合末をロータリー打錠機(VELA5、菊水製作所製)で圧縮成形して重量400mgの錠剤を得た。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
[試験例1]
実施例1で製造した錠剤および比較例1で製造した錠剤について、平均重量、重量ばらつき(CV値)、および硬度を測定した。硬度は錠剤硬度計を用いて測定した。結果を表3に示す。いずれの錠剤も優れた均一性と十分な強度を有していた。
さらに、実施例1で製造した錠剤および比較例1で製造した錠剤について、錠剤からのイルベサルタンの溶出速度を測定した。また、それぞれの錠剤を温度60℃相対湿度75%の環境下において2週間無包装状態で保存した錠剤についても、イルベサルタンの溶出速度を測定した。溶出速度の測定は、日本薬局方の溶出試験機(パドル法)を用い、37℃の日局1液900mL中に錠剤1錠を投入し、パドルを50rpm回転速度で回転せしめて測定した。溶出したイルベサルタンの量はUV吸収法で測定した。
溶出速度の測定結果を表4に示す。いずれの錠剤も製造直後はイルベサルタンが速やかに溶出するが、温度60℃相対湿度75%で2週間保存すると、実施例1の錠剤は溶出速度は変化しないが、比較例1の錠剤は溶出速度が遅延する。本発明の錠剤はイルベサルタンの溶出速度の安定性に優れた錠剤であることが明らかになった。
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】
[試験例2]
実施例2、3で製造した錠剤および比較例2で製造した錠剤について、錠剤からのイルベサルタンの溶出速度を測定した。溶出速度の測定は、日本薬局方の溶出試験機(パドル法)を用い、37℃の日局2液900mL中に錠剤1錠を投入し、パドルを50rpm回転速度で回転せしめて測定した。溶出したイルベサルタンの量はUV吸収法で測定した。溶出速度の測定結果を表5に示す。いずれの錠剤も、1錠当りの全重量の違いに関わらず、製造直後はイルベサルタンが同程度速やかに溶出した。
【0032】
【表5】
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明によれば、心臓血管疾患の治療に有用なイルベサルタンを含有する優れた品質の錠剤を、医療現場に提供することができる。