(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カム面は、前記可動部が前記接触位置に配置された状態から前記ハンドルの旋回に伴って前記バネを圧縮する際に前記ピンが接触する第1傾斜面部と、前記第1傾斜面部に隣接する平坦面部と、前記平坦面部に隣接して圧縮された前記バネが復帰する力によって前記ピンに押圧される第2傾斜面部と、前記第2傾斜面部に隣接して前記可動部及び前記第2側壁とによって前記物品が挟持された状態において前記ピンに接触する接触部とを有する請求項4に記載のクランプ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
下記の実施形態は、
図1〜14に示すクランプに関し、発明の不可欠な構成ばかりではなく、選択的及び好ましい構成を含む。
【0012】
図1を参照すると、この発明の第1実施形態に係るクランプ10は、例えば、点滴スタンド11等に使用するものであって、点滴スタンド11及びクランプ10は、互いに交差する横方向Xと、縦方向Yと、厚さ方向Zとを有する。
【0013】
点滴スタンド11は、支持部材12と、支持部材12の下部に取り付けた脚部13とを有している。支持部材12は、例えば、支柱14と、支柱14の上端に取り付けた載置板15と、載置板15の上に配置した電子計算機16とを有している。
【0014】
クランプ10は、例えば、不図示のブラッケットを介して電子計算機16の両側に取り付けてあり、点滴スタンド11において、点滴バッグを吊るすパイプ(物品)17を支持部材12に連結するものである。
【0015】
図2及び
図3を参照すると、クランプ10は、金属若しくは合成樹脂等によって形成してあり、例えば、厚さ方向Zにおいて、互いに対向する第1側壁部(第1側壁)21及び第2側壁部(第2側壁)22を有する本体20と、軸71xを中心に旋回可能な態様で第1側壁部21に取り付けられたハンドル70と、ハンドル70の先端部72に連結されて第2側壁部22に近づき及び離れる往復直線運動が可能な可動部53と、第2側壁部22と可動部53との間に形成されたパイプ17を挿入するための空間部87と、可動部53が第2側壁部22に対して往復直線運動するための第1案内部58(
図6参照)とを有している。
【0016】
本体20は、第1側壁部21と第2側壁部22とを連結する連結部23を有し、コ字状を有している。第1側壁部21及び第2側壁部22は、略直方体状を有している。第1側壁部21は、基板部24と、基板部24の第2側壁部22に対する対向面を覆うカバー60と、基板部24とカバー60との間に配置し、第1案内部58の第1凹部57と第2案内部69の第2凹部68とを形成する第2案内形成板40とを有している。基板部24は、長方形を有し、第2側壁部22に対向する内面と、その反対側の外面とを有している。基板部24の内面側には、第1案内部58を形成する一対の第1案内形成部26を配置してある。第1案内形成部26は、横方向Xにおいて間隙を有するよう配置することによって、第1案内形成部26の間には、縦方向Yへ延びる第1スロット28が配置される。この第1スロット28は、第1案内形成部26において、厚さ方向Zへも延びるものであるが、
図2に示すように、基板部24には形成されていない。基板部24及び第1案内形成部26は、その中央に、厚さ方向Zへ貫通する透孔27と、基板部24及び第1案内形成部26の隅部に配置した透孔29とを有している一方、第1案内形成部26のみに第1スロット28を配置し、基板部24には第1スロット28を形成せず、
図2に示すように、基板部24の外面から第1スロット28が露出するのを防止している。ブッシュ25は、その内周面25aの径方向の内側にハンドル70の筒部73が位置し、ブッシュ25によって厚さ方向Zにおいて、ハンドル70の筒部73が、基板部24及び第1案内形成部26を貫通する。
【0017】
図4及び
図5を参照すると、第2案内形成板40は、基板部24に対向する外面側を平坦に形成してある一方、第2側壁部22に対向する内面側には、軸71xの周方向に沿って延び、第2側壁部22側へ向けて突出する一対の弧状部41と、弧状部41に対して軸71xの径方向の外側に配置した平坦面部42と、一対の弧状部41の間に配置した第2スロット43とを有している。第2案内形成板40の第2スロット43が、
図6に示すように、厚さ方向Zにおいて、第1案内形成部26における第1スロット28に連続することによって、第1凹部57が形成され、この第1凹部57と、第2連結ピン89とにより、第2連結ピン(ピン)89が厚さ方向(可動部53が往復直線運動する方向)Zへ移動するのを案内する第1案内部58が形成される。なお、
図6において、第1凹部57を強調するため、第1凹部57の輪郭形状を太線で示してある。第1凹部57の厚さ方向Zにおける一方の端部には、基板部24が位置する一方、他方の端部には、カバー60の第1突出部65が位置する。
【0018】
再び
図4及び
図5を参照すると、第2案内形成板40における平坦面部42の角部には、ネジ55の先端が貫通する透孔44を有している。第2案内形成板40における弧状部41の径方向の内側には、ハンドル70の先端部72が挿抜可能な空隙部45を配置してある。
【0019】
各弧状部41は、第2スロット43に隣接するように配置した第1平坦面部46と、第1平坦面部46に隣接するように配置した第1傾斜面部47と、第1傾斜面部47に隣接するように配置した第2平坦面部48と、第2平坦面部48に隣接するように配置した第2傾斜面部49と、第2傾斜面部49に隣接するように配置した第3平坦面部(接触部)50と、第3平坦面部50に隣接するように配置した壁部51とを有している。弧状部41の軸71xに対する径方向の外側における輪郭形状は、長円状を有している。
【0020】
弧状部41における第1平坦面部46と、第1傾斜面部47と、第2平坦面部48と、第2傾斜面部49と、第3平坦面部50とによって、第2連結ピン89が接触するカム面52aを含むカム52が形成される。
【0021】
平坦面部46,48,50は、軸71xに対して直交するように配置してある。第1傾斜面部47は、第1平坦面部46から第2平坦面部48へ向けて、平坦面部42から徐々に離れるように傾斜している。第2傾斜面部49は、第2平坦面部48から第3平坦面部50へ向けて、平坦面部42に対して徐々に近接するように傾斜している。
図7に示すように、厚さ方向Zにおいて、第2平坦面部48に対する第1傾斜面部47の長さ寸法L1が、第2平坦面部48に対する第2傾斜面部49の長さ寸法L2よりも大きい。
【0022】
この実施形態に係るクランプ10の第2案内形成板40においては、第2スロット43は、
図4に示すように、軸71xに対して、時計の12時の方向及び6時の方向に配置してあり、第3平坦面部50は、軸71xに対して、時計の3時の方向及び9時の方向に配置してある。
【0023】
カバー60は、
図8に示すように、長方形状の底部61と、底部61の周縁から基板部24へ向けて突出する3辺の側部62とを有している。底部61の中央には、長円状の透孔63を有している。カバー60の底部61は、基板部24側に位置し、弧状部41を収容する凹部64を有している。凹部64における基板部24側には、
図6に示すように、第2案内形成板40の一対の第2スロット43に対向するように位置し、基板部24側へ突出する一対の第1突出部65と、
図7に示すように、第2案内形成板40の第3平坦面部50に対向するように位置し、基板部24側へ突出する一対の第2突出部66とを有している。カバー60の底部61の四隅には、ネジ55に係合するネジ孔67を配置してある。そして、基板部24とカバー60との間に、第2案内形成板40を配置し、ネジ55の先端を、基板部24及び第1案内形成部26の透孔29に通し、第2案内形成板40の透孔44に通し、カバー60のネジ孔67まで進入させ、ネジ55とネジ孔67とを係合させることによって、基板部24に第2案内形成板40及びカバー60を取り付ける。
【0024】
第2案内形成板40とカバー60との間には、
図7に示すように、第2案内形成板40の第1平坦面部46と、第1傾斜面部47と、第2平坦面部48と、第2傾斜面部49と、第3平坦面部(接触部)50と、カバー60の第1突出部65と第2突出部66によって、第2連結ピン89の移動を案内する溝状の第2凹部68が形成される。この第2凹部68にはカム面52aが含まれ、第2凹部68と、第2凹部68に係合する第2連結ピン89とによって第2案内部(カム機構)69が形成される。第2案内部69は、後述するように、ハンドル70の軸71xに対する周方向の回転運動(ハンドル70の旋回)を、ハンドル70の厚さ方向Zにおける往復直線運動に変換するものである。なお、
図7において、この第2凹部68を強調するため、第2凹部68の輪郭形状を太線で示してある。
【0025】
第2凹部68は、軸71xの周方向において、一方の端部に第2スロット43に隣接する壁部51の端部51aが位置する一方(
図4参照)、他方の端部に第3平坦面部50に隣接する壁部51の端部51bが位置する(
図4及び
図7参照)。第1凹部57及び第2凹部68は、
図6に示すように、第2スロット43に隣接する壁部51の端部51aにおいて連続している。
【0026】
ハンドル70は、
図3及び
図9に示すように、その先端部72側に、可動部53と連結し、可動部53及び第2側壁部22によってパイプ17を挟持した状態(
図12(b)参照)で、ハンドル70を旋回操作することなしに可動部53が非接触位置(
図9参照)へ移動するのを規制するストッパ部材80を備えている。可動部53は、厚さ方向Zへ貫通する透孔54を有し、ストッパ部材80の先端部81には、そのストッパ部材80を軸71xの径方向へ貫通する貫通孔82を有し、可動部53の透孔54に、ストッパ部材80の先端部81を通した状態で、ストッパ部材80の貫通孔82に通した第1連結ピン88によってストッパ部材80と可動部53とが、軸71xの周方向に旋回可能な状態で連結されている。
【0027】
ストッパ部材80の基端部83及びハンドル70の先端部72は、それらをそれぞれ軸71xの径方向へ貫通する孔75,84を有し、それらの孔75,84に通した第2連結ピン(ピン)89によって、ストッパ部材80とハンドル70とが連結されている。第2連結ピン89によってこれらを連結する際、第2連結ピン89は、例えば、連結部23の貫通孔31を通じて連結ピン89を挿入する。ストッパ部材80が有する孔84は、厚さ方向Zへ延びるように形成してあり、ストッパ部材80の孔84の内部において、第2連結ピン89が厚さ方向Zへ移動することが許容される。
【0028】
ストッパ部材80は、厚さ方向Zの中央に、長円状のストッパ本体85を有している。ストッパ本体85の長手方向が、カバー60の透孔63の長手方向と一致した状態では、可動部53が第2側壁部22から離れるのが許容される一方、カバー60の透孔63の長手方向と不一致した状態では、可動部53が第2側壁部22から離れるのが規制される。
【0029】
ハンドル70は、把持部74と、筒部73とを有し、一体的に形成してある。また、ハンドル70の筒部73の内部には、第2連結ピン89と把持部74とが厚さ方向Zにおいて離れるように付勢するコイルバネ56を配置してある。
【0030】
コイルバネ56は、力が加えられていない状態において、厚さ方向Zの長さ寸法がL0(自然長)であるが、ハンドル70の筒部73に配置した場合には、厚さ方向Zにおける長さ寸法が、自然長L0よりも所定寸法だけ短い。
【0031】
図2に示すように、クランプ10における可動部53及び第2側壁部22によって、縦方向Yである一方の方向へ延びるパイプ(棒状体)17を挟み込む一対の挟持部19が形成される。ハンドル70の先端部72が本体20の空間部87に対して進退するように、ハンドル70を押し、若しくは引けば、スロット28,43によって形成された第1凹部57に、第2連結ピン89が案内(進退)され、厚さ方向Zにおいて、可動部53が往復直線運動をする。この可動部53の厚さ方向Zにおける往復直線運動の際、第2連結ピン89は第1凹部57に案内されるため、実質的にハンドル70が軸71xの周方向へ旋回することはない。また、可動部53が、非接触位置から接触位置に至る直前までは、コイルバネ56は、筒部73の内部に配置された状態から厚さ方向Zへ実質的に縮むことはない。
【0032】
可動部53は、ハンドル70の先端部72を本体20の空間部87に進退させることによって、第2側壁部22から離れてパイプ17に接触しない非接触位置(
図9参照)と、第2側壁部22に近づいてパイプ17に接触する接触位置(
図10(b)参照)との間を往復直線運動することができる。
【0033】
可動部53及び第2側壁部22の対向面は、縦方向Yの中央に、互いに離れる方向へ凹む凹部22a,53aと、縦方向Yにおいて凹部22a,53aに隣接する傾斜面部22b,53bとを有している(
図2及び
図3参照)。可動部53を接触位置へ配置した状態では、傾斜面部22b,53bの一部が、パイプ17の外周面に当接する(
図10(b)参照)。
【0034】
図9を参照すると、可動部53を非接触位置に配置した状態では、
図6に示すように、第1案内部58において、第2連結ピン89の両端部が基板部24に当接するが、この状態からハンドル70の先端部72を本体20の空間部87に進入させ、
図10(a)(b)に示すように、可動部53を接触位置に配置した状態では、
図6において仮想線で示すように、第2連結ピン89が、カバー60の第1突出部65に当接する。
【0035】
この状態において、操作者が、コイルバネ56の力に抗してハンドル70を旋回すると、第2連結ピン89の両端部は、カム面52aにおいて、第1平坦面部46に接触した後、第1傾斜面部47に接触しながら第1傾斜面部47を上昇し、第2平坦面部48に接触して、
図11(a)(b)に示すような状態になる。この状態となる過程において、ハンドル70の旋回と共に、ストッパ部材80も本体20に対して旋回し、ストッパ本体85の長手方向と、カバー60の透孔63の長手方向とが不一致となり、厚さ方向Zにおいて、可動部53が非接触位置側へ移動するのがストッパ本体85によって規制される。一方、上記過程において、ハンドル70の先端部72は本体20の空間部87に進入し、それによりコイルバネ56は厚さ方向Zにおいて圧縮される。
図11(a)(b)に示す状態においては、第2連結ピン89の両端部は、第2平坦面部48に接触し、ハンドル70の旋回を継続しても、ハンドル70の先端部72が本体20の空間部87に進入することはない。その後、さらにハンドル70の旋回を継続し、
図7において、第2連結ピン89の両端部が、第2平坦面部48を超えた場合、コイルバネ56の復元力によって第2傾斜面部49に第2連結ピン89の両端部が接触しながら第2傾斜面部49を下降することによって、ハンドル70の先端部72は本体20の空間部87から後退するとともに、ハンドル70の軸71xに対する一方向への旋回が継続する。その後、壁部51の端部51b及びカバー60の第2突出部66に当接して第2連結ピン89の移動とハンドル70の軸71xに対する周方向の旋回が止まり、
図12(a)(b)に示すような状態となる。このクランプ10は、
図7に示すように、厚さ方向(本体20の空間部87に対するハンドル70の先端部72が進退する方向)Zにおける第1傾斜面部47の長さ寸法L1が、厚さ方向Zにおける第2傾斜面部49の長さ寸法L2よりも大きいため、把持部74が、時計の3時と9時の方向へ延びるようにハンドル70を配置した状態におけるコイルバネ56の厚さ方向Zにおける長さ寸法L4(
図12(a)(b)参照)は、把持部74が、時計の6時と12時の方向へ延びるようにハンドル70を配置した状態におけるコイルバネ56の厚さ方向Zにおける長さ寸法L3(
図10(a)(b)参照)よりも短い。よって、
図10(b)に示した状態と、
図12(b)に示した状態とを比較した場合、
図12(b)に示した状態では、コイルバネ56が厚さ方向Zに圧縮されているため、コイルバネ56の復元力は、厚さ方向Zへ延びる方向に作用する。よって、コイルバネ56の復元力によって、可動部53をパイプ17に押し当てることで可動部53及び第2側壁部22によってパイプ17を挟持するとともに、パイプ17を挟持した状態を維持することができる。
【0036】
図12で示した状態では、ストッパ部材80の長手方向と、カバー60の透孔63の長手方向とが一致しないため、可動部53が第2側壁部22から離れるのが規制される。この状態から、上述したハンドル70の旋回方向とは反対の方向にハンドルを旋回させ、その後、可動部53が第2側壁部22から離れるようにハンドルを引けば、
図10(a)(b)に示す接触位置に可動部53を復帰させ、コイルバネ56の復元力が可動部53、パイプ17及び第2側壁部22に作用しなくなり、クランプ10からパイプ17を取り外すことができるようになる。
【0037】
この発明に係るクランプ10によれば、第1側壁部21及び第2側壁部22を有する本体20と、第1側壁部21に取り付けられたハンドル70と、ハンドル70に連結されて第2側壁部22に近づき及び離れる往復直線運動が可能な可動部53と、第2側壁部22と可動部53との間に形成されたパイプ17を挿入するための空間部87と、可動部53が第2側壁部22に対して往復直線運動するための第1案内部58とを有する。よって、パイプ17に対して可動部53を往復直線運動させることができるため、径の異なる種々のパイプ(種々の大きさのパイプ)17を支持部材12に連結することができる。
【0038】
加えて、可動部53が接触位置に移動した状態において、ハンドル70を旋回した場合には、ハンドル70の先端部72が本体20の空間部87に進入してコイルバネ56を弾性変形させ、弾性変形したコイルバネ56の復元力によって、可動部53をパイプ17に押し当てることで可動部53及び第2側壁部22によってパイプ17を挟持するとともに、パイプ17を挟持した状態を維持することができる。
図15及び
図16に示す従来のクランプ95では、ハンドル99を何回転も操作しなければ、支柱91に上部パイプ93を連結することができなかったが、本発明に係るクランプ10によれば、ハンドル70を90度旋回させれば、パイプ17を支持部材12に連結させることができる。
【0039】
さらに、ハンドル70は筒部73を有し、筒部73の内部にコイルバネ56を配置してあるため、クランプ10を小型にすることができる。
【0040】
また、カム面52aは、第1平坦面部46と、第1傾斜面部47と、第2平坦面部48と、第2傾斜面部49と、第3平坦面部50とが、軸71xに対して点対称となるように配置してあるため、第2連結ピン89の両端部をカム面52aに接触させることができる。よって、第2連結ピン89の長さ方向の一方の端部に力が集中することを防止して、第2連結ピン89が破断するのを防止することができるとともに、ハンドル70の軸71xに対する周方向の旋回をスムーズにすることができる。
【0041】
本実施形態におけるクランプ10を基準として、厚さ方向Zにおける第1傾斜面部47の長さ寸法L1と第2傾斜面部49の長さ寸法L2との差を大きくすれば、コイルバネ56の復元力を大きくすることができる一方、その差を小さくすれば、コイルバネ56の復元力を小さくすることができる。
【0042】
[第2実施形態]
本発明に係るクランプ10の第2実施形態のハンドル70を
図13に示す。このハンドル70は、把持部74と、筒部73とを別体に形成し、それら把持部74と筒部73とを第3連結ピン76によって連結してある。
【0043】
[第3実施形態]
本発明に係るクランプ10の第3実施形態における第2案内形成板40を
図14(a)(b)に示す。第1実施形態に係るクランプ10においては、第2連結ピン89aは、軸71xの径方向の両端でカム面52aに接触していたが、第3実施形態に係るクランプ10においては、第2連結ピン89aは、軸71xの径方向の一端でカム面52bに接触する。カム面52bは、第1平坦面部46と、第1傾斜面部47と、第2平坦面部48と、第2傾斜面部49と、第3平坦面部50と有し、これらが、軸71xの周方向に沿って順次配置してあり、軸71xに対する周方向において、第2スロット43と、壁部51の端部51bとの間に配置してある。
【0044】
このクランプ10では、ハンドル70の旋回角度θが330度であり、非接触位置にある可動部53を接触位置に移動させた状態で、軸71xを中心にハンドル70を330度旋回させることにより、弾性変形したコイルバネ56の復元力によって、可動部53をパイプに押し当てることで可動部53及び第2側壁部22によってパイプ17を挟持するとともに、パイプ17を挟持した状態を維持することができる。なお、ハンドル70の旋回角度θは、軸71xに対するカム面52bの長さ寸法を変更することによって変えることができる。第2連結ピン89aが、軸71xの径方向の一端でカム面52aに接触する場合、ハンドル70の旋回角度は30~330度が好ましい。
【0045】
なお、上記実施形態には、物品の一例としてパイプ17を用いる例を示したが、本発明に用いる物品はこれに限られない。例えば、物品として、円筒状のパイプに限られず、四角形の筒状のパイプでもよいし、多角形状のパイプでもよい。また、筒状に限られず、円柱状の丸棒でもよいし、四角形若しくは多角形の柱状でもよい。もちろん、これらの一方向へ延びる棒状体の物品に限られず、物品は、他の形状であってもよい。
【0046】
また、上記実施形態には、可動部53及び第2側壁部22と、パイプ17とを直接接触させる例を示したが、本発明はこれに限られない。例えば、可動部53及び第2側壁部22の対向面に、熱可塑性樹脂やゴム等で形成した不図示の弾性部材を配置すれば、パイプ17と可動部53及び第2側壁部22との滑り摩擦係数を大きくしてパイプ17に対する可動部53と第2側壁部22とによる保持力を向上することができる。
【0047】
また、上記実施形態における本体20は、第1側壁部21と、第2側壁部22と、連結部23とを備え、一体として形成してある例を示したが、本発明に係るクランプ10はこれに限られず、本体20における第1側壁部21及び第2側壁部22を別体に形成してもよい。
【0048】
さらに、上記実施形態におけるクランプ10は、本体20と、カム52を含む第2案内形成板40とを別体として形成してある例を示したが、本発明はこれに限られず、本体20と、カム52を含む第2案内形成板40とを一体に形成してもよい。
【0049】
さらに、上述した実施形態における第2案内形成板40の弧状部41は、第2スロット43に隣接するように第1平坦面部46を配置して第2連結ピン89の移動を円滑にするもので説明したが、本発明に係るクランプはこれに限られず、第1平坦面部46を配置せずに、第2スロット43に隣接して第1傾斜面部47を配置してもよい。
【0050】
また、上述した実施形態におけるクランプ10では、可動部53及び第2側壁部22によってパイプ17を挟持していない状態からハンドル70を90度旋回させれば、コイルバネ56の復元力によってパイプ17を可動部53及び第2側壁部22によって挟持することができるもので説明したが、本発明に係るクランプはこれに限られず、軸71xの周方向におけるカム面52aの長さ寸法を適宜変更することによって、ハンドル70の旋回角度を変更することができる。本発明に係るクランプ10では、操作者が把持部74を持ち替えることなしに、一回のハンドル70の旋回操作によって、パイプ17を可動部53及び第2側壁部22によって挟持することが好ましいため、ハンドル70の旋回角度は、30〜150度が好ましい。
【0051】
さらに、上述した実施形態におけるクランプ10では、コイルバネ56を用いるもので説明したが、他のバネを使用してもよい。
【0052】
以上に記載した本発明に関する開示は、少なくとも下記事項に整理することができる。
本発明は、物品を支持部材に連結するためのクランプにおいて、第1側壁及び第2側壁を有する本体と、前記第1側壁に取り付けられたハンドルと、前記ハンドルに連結されて前記第2側壁に近づき及び離れる往復直線運動が可能な可動部と、前記第2側壁と前記可動部との間に形成された前記物品を挿入するための空間部と、前記可動部が前記第2側壁に対して往復直線運動するための第1案内部とを有し、
前記ハンドルは軸を中心に旋回可能な態様で前記第1側壁に取り付けられ、前記可動部と前記ハンドルとの間にはカム機構が介在され、前記カム機構は、カム面を有する第2凹部と、前記第2凹部に係合するピンとで形成され、前記ハンドルの前記軸に対する周方向の回転運動を、往復直線運動へ変換するものであることを特徴とする。
【0053】
上記に開示した本発明は、少なくとも下記の実施の形態を含むことができる。該実施の形態は、分離して又は互いに組み合わせて採択することができる。
(1)前記第1案内部は、前記可動部が往復直線運動する方向へ延びる第1凹部と、前記第1凹部に係合するピンとから形成される。
(
2)前記第1凹部と前記第2凹部とが連続し、前記第1案内部の前記ピンと、前記カム機構の前記ピンとが共通する。
(
3)前記ハンドルの旋回によって弾性変形可能なバネを備え、前記可動部は、前記物品に接触していない非接触位置と、前記物品に接触する接触位置とに往復直線運動し、前記可動部が前記接触位置に移動した状態において、前記ハンドルを旋回した場合には、前記ハンドルの先端部が前記本体の前記空間部に進入して前記バネを弾性変形させ、弾性変形した前記バネの復元力によって、前記可動部を前記物品に押し当てることで前記可動部及び前記第2側壁によって前記物品を挟持するとともに、前記物品を挟持した状態を維持する。
(
4)前記ピンは、前記軸の径方向の両端で前記カム面に接触し、前記ハンドルを30〜150度旋回させることによって、前記可動部及び前記第2側壁によって前記物品を挟持する。
(
5)前記ピンは、前記軸の径方向の一端で前記カム面に接触し、前記ハンドルを30〜330度旋回させることによって、前記可動部及び前記第2側壁によって前記物品を挟持する。
(
6)前記可動部及び前記第2側壁によって前記物品を挟持した状態において、前記可動部が前記第2側壁から離れるのを防止するストッパ部を、前記ハンドルの
前記先端部に配置してある。
(
7)前記ハンドルは筒部を有し、前記筒部の内部に前記バネを配置してある。
(
8)前記ピンは、前記ハンドルの
前記先端部と、前記ストッパ部とを連結するものである。
(
9)前記カム面は、前記可動部が前記接触位置に配置された状態から前記ハンドルの旋回に伴って前記バネを圧縮する際に前記ピンが接触する第1傾斜面部と、前記第1傾斜面部に隣接する平坦面部と、前記平坦面部に隣接して圧縮された前記バネが復帰する力によって前記ピンに押圧される第2傾斜面部と、前記第2傾斜面部に隣接して前記可動部及び前記第2側壁とによって前記物品が挟持された状態において前記ピンに接触する接触部とを有する。
(
10)前記カム面は、前記第1傾斜面部と、前記平坦面部と、前記第2傾斜面部と、前記接触部とが、前記軸に対して点対称となるように一対配置してある。
(
11)前記可動部が往復直線運動する方向において、前記第1傾斜面部の長さ寸法が、前記第2傾斜面部の長さ寸法よりも大きい。
【0054】
本発明の明細書および特許請求の範囲において、用語「第1」及び「第2」は、同称の要素、位置等を単に区別するために用いられている。