(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238926
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両の後部構造
(51)【国際特許分類】
B62J 15/00 20060101AFI20171120BHJP
B62J 23/00 20060101ALI20171120BHJP
B62J 9/00 20060101ALI20171120BHJP
B62J 1/12 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
B62J15/00 C
B62J23/00 D
B62J9/00 G
B62J9/00 H
B62J1/12 C
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-34945(P2015-34945)
(22)【出願日】2015年2月25日
(65)【公開番号】特開2016-155476(P2016-155476A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2015年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093115
【弁理士】
【氏名又は名称】佐渡 昇
(72)【発明者】
【氏名】田辺 元
【審査官】
常盤 務
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−046858(JP,A)
【文献】
特開2004−168084(JP,A)
【文献】
実開昭58−054984(JP,U)
【文献】
特開昭62−168779(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第04232687(DE,A1)
【文献】
特開2010−179703(JP,A)
【文献】
特開2002−362457(JP,A)
【文献】
特開2012−071787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 15/00
B62J 23/00
B62J 9/00
B62J 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞍乗り型車両の後輪(WR)の上方を覆う樹脂製のリアフェンダ(10)を備えた鞍乗り型車両の後部構造であって、
前記リアフェンダ(10)は、
後輪に対向する底部(20)と、
該底部(20)の左右端部から上方に一体に延出する第1側部(30)と、
前記底部(20)に対しヒンジ部(41)を介して展開可能、かつ折り曲げて起立可能に一体に形成され、前記底部(20)から折り曲げて起立させ前記第1側部(30)と結合させることで、起立させた状態での前記ヒンジ部(41)からの高さ(H2)が前記第1側部(30)の前記底部(20)の左右端部からの高さ(H1)よりも高い第2側部(40)を形成する折り曲げ部(40)と、
を備え、
展開した状態での第2側部(40)の前記ヒンジ部(41)からの高さ(H5)が、前記第1側部(30)の高さ(H1)よりも低いことを特徴とする鞍乗り型車両の後部構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記底部(20)は後輪外形に沿って上方にくぼむ凹部(21)を備え、前記第1側部(30)の前記底部(20)の左右端部からの高さ(H1)は、前記凹部(21)の最大高さ(H3)以下となっていることを特徴とする鞍乗り型車両の後部構造。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1側部(30)と第2側部(40)とが結合される結合部(50)は、第1側部(30)と第2側部(40)とが部分的に車幅方向に重ねられて形成され、該結合部(50)は車幅方向外側からカバー部材(5)で覆われることを特徴とする鞍乗り型車両の後部構造。
【請求項4】
請求項3において、
前記第2側部(40)の前後に係合爪(45f、46f)が設けられている一方、これら係合爪(45f、46f)と係合する係合穴(25h、26h)が底部(20)の側部に設けられていることを特徴とする鞍乗り型車両の後部構造。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか一項において、
前記第2側部(40)の上部(42)は、前記第1側部(30)とともに締結部材(51)で共締めにより車体フレーム(1r)に固定されることを特徴とする鞍乗り型車両の後部構造。
【請求項6】
請求項2〜5のうちいずれか一項において、
前記ヒンジ部(41)近くの底部(20)には電装部品(61,62)が固定されることを特徴とする鞍乗り型車両の後部構造。
【請求項7】
請求項1〜6のうちいずれか一項において、
前記リアフェンダ(10)は乗員が座るシート(4)の下方に配置され、前記第2側部(40)にはリアフェンダ(10)の内外に貫通する貫通孔(40h)が設けられ、該貫通孔(40h)に前記シート(4)のロック機構(70)の一部を構成するキーシリンダ(71)が挿通されることを特徴とする鞍乗り型車両の後部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両の後部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鞍乗り型車両の後部構造として、例えば特許文献1に見られるように、鞍乗り型車両の後輪の上方を覆う樹脂製のリアフェンダ(10)を備えた鞍乗り型車両の後部構造であって、リアフェンダ(10)は、底部(13)と、該底部(13)に折り曲げ可能に形成された左右一対の側壁部(15L、15R)とを備え、側壁部(15L、15R)の先端部(37L、37R)を底部(13)に係合させた鞍乗り型車両の後部構造が知られている。
このような構造によれば、リアフェンダの製造を容易化することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−46858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の鞍乗り型車両の後部構造は、側壁部(15L、15R)の先端部(37L、37R)を底部(13)に係合させる構造であるため、底部のスペースを有効に利用することができなかった。
本発明が解決しようとする課題は、リアフェンダ底部のスペースを有効利用できる鞍乗り型車両の後部構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために請求項1記載の鞍乗り型車両の後部構造は、
鞍乗り型車両の後輪の上方を覆う樹脂製のリアフェンダを備えた鞍乗り型車両の後部構造であって、
前記リアフェンダは、
後輪に対向する底部と、
該底部の左右端部から上方に一体に延出する第1側部と、
前記底部に対しヒンジ部を介して
展開可能、かつ折り曲げ
て起立可能に一体に形成され、前記底部から折り曲げて起立させ前記第1側部と結合させることで
、起立させた状態での前記ヒンジ部からの高さが前記第1側部の前記底部の左右端部からの高さよりも高い第2側部を形成する折り曲げ部と、
を備え、
展開した状態での第2側部の前記ヒンジ部からの高さが、前記第1側部の高さよりも低いことを特徴とする鞍乗り型車両の後部構造。
【0007】
請求項2記載の鞍乗り型車両の後部構造は、請求項1記載の鞍乗り型車両の後部構造において、
前記底部は後輪外形に沿って上方にくぼむ凹部を備え、前記第1側部の
前記底部の左右端部からの高さは、前記凹部の最大高さ以下となっていることを特徴とする。
【0008】
請求項
3記載の鞍乗り型車両の後部構造は、請求項
1または2に記載の鞍乗り型車両の後部構造において、
前記第1側部と第2側部とが結合される結合部は、第1側部と第2側部とが部分的に車幅方向に重ねられて形成され、該結合部は車幅方向外側からカバー部材で覆われることを特徴とする。
請求項4記載の鞍乗り型車両の後部構造は、請求項3記載の鞍乗り型車両の後部構造において、
前記第2側部の前後に係合爪が設けられている一方、これら係合爪と係合する係合穴が底部の側部に設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の鞍乗り型車両の後部構造は、請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の鞍乗り型車両の後部構造において、
前記第2側部の上部は、前記第1側部とともに締結部材で共締めにより車体フレームに固定されることを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の鞍乗り型車両の後部構造は、請求項2〜5のうちいずれか一項に記載の鞍乗り型車両の後部構造において、
前記ヒンジ部近くの底部には電装部品が固定されることを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の鞍乗り型車両の後部構造は、請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の鞍乗り型車両の後部構造において、
前記リアフェンダは乗員が座るシートの下方に配置され、前記第2側部にはリアフェンダの内外に貫通する貫通孔が設けられ、該貫通孔に前記シートのロック機構の一部を構成するキーシリンダが挿通されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の鞍乗り型車両の後部構造によれば、第2側部が、折り曲げ部を底部から折り曲げて起立させ第1側部と結合させることで形成されるから、折り曲げ部の先端を底部に係合させる必要がなくなる。
したがって、リアフェンダ底部のスペースを有効利用することが可能になる。
【0013】
請求項2記載の鞍乗り型車両の後部構造によれば、請求項1記載の鞍乗り型車両の後部構造において、
前記ヒンジ部から上方へ向かう第2側部の高さは、前記第1側部の高さよりも高くなっているので、
底部に対して高い部位である第2側部を、ヒンジ部を介し底部に対して展開した状態で製造でき、かつ、底部に対して低い部位である第1側部は底部から上方へ突出させて形成できるので、製造装置の小型化を図ることができる。
【0014】
請求項3記載の鞍乗り型車両の後部構造によれば、請求項1または2記載の鞍乗り型車両の後部構造において、
前記底部は後輪外形に沿って上方にくぼむ凹部を備え、前記第1側部の高さは、前記凹部の最大高さ以下となっているので、
成形型の大型化を防ぐことができる。
【0015】
請求項4記載の鞍乗り型車両の後部構造によれば、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の鞍乗り型車両の後部構造において、
前記第1側部と第2側部とが結合される結合部は、第1側部と第2側部とが部分的に車幅方向に重ねられて形成され、該結合部は車幅方向外側からカバー部材で覆われるので、
結合部の構造を簡素化しつつ結合部からの水等の侵入を防ぐことができる。
【0016】
請求項5記載の鞍乗り型車両の後部構造によれば、請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の鞍乗り型車両の後部構造において、
前記第2側部の上部は、前記第1側部とともに締結部材で共締めにより車体フレームに固定されるので、
第1側部および第2側部の底部に対する倒れを確実に防ぐことができる。
【0017】
請求項6記載の鞍乗り型車両の後部構造によれば、請求項2〜5のうちいずれか一項に記載の鞍乗り型車両の後部構造において、
前記ヒンジ部近くの底部には電装部品が固定されるので、
リアフェンダにおいて低い位置となるヒンジ部近くの底部に電装部品が固定されることで、車両の低重心化を図ることができる。
【0018】
請求項7記載の鞍乗り型車両の後部構造によれば、請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の鞍乗り型車両の後部構造において、
前記リアフェンダは乗員が座るシートの下方に配置され、前記第2側部にはリアフェンダの内外に貫通する貫通孔が設けられ、該貫通孔に前記シートのロック機構の一部を構成するキーシリンダが挿通されるので、
特別な型を用いることなくリアフェンダの製造と同時にキーシリンダ用の貫通孔を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る鞍乗り型車両の後部構造の実施の形態を採用した車両の一例としての自動二輪車の側面図。
【
図3】(a)はリアフェンダの側面図、(b)は折り曲げ部40を起立させた状態の断面図で、図(a)におけるb−b端面図。
【
図4】(a)は
図2の部分拡大図、(b)は図(a)におけるb−b断面図。
【
図6】折り曲げ部40を起立させた状態の断面図で、
図3(a)における6−6端面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る鞍乗り型車両の後部構造の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとし、以下の説明において、前後、左右、上下は、操縦者から見た方向に従い、必要に応じて図面に車両の前方をFr、後方をRr、左側をL、右側をR、上方をU、下方をD、として示す。各図において、同一部分ないし相当する部分には、同一の符号を付してある。
【0021】
図1に示す鞍乗り型車両は自動二輪車であり、後輪WRの上方を覆う樹脂製のリアフェンダ10を備えている。
車体フレーム1の前部にフロントフォーク2がハンドル2hで操舵可能に支持され、その先端に前輪WFが支持されている。車体フレーム1にパワーユニット(エンジン)Eが懸架され、このパワーユニットで後輪WRが駆動される。後輪WRは車体フレーム1にスイングアーム3で揺動可能に支持されている。車体フレーム1上に燃料タンクTが搭載され、該燃料タンクTの後部に乗員が座るシート4が設けられている。シート4は、車体フレーム1の後部をなすシートレール1rで支持されている。
【0022】
図2〜
図5に示すように、リアフェンダ10は、後輪WRに対向する底部20と、該底部20の左右端部から上方に一体に延出する第1側部30(L,R)と、底部20に対しヒンジ部41を介して折り曲げ可能に一体に形成された折り曲げ部40(L,R)とを備えている。
折り曲げ部40は、底部20から折り曲げて
図3,
図5に仮想線で示すように起立させ第1側部30と結合させることで第2側部(40)を形成する。
【0023】
この鞍乗り型車両の後部構造によれば、第2側部40が、折り曲げ部(40)を底部20から折り曲げて起立させ第1側部30と結合させることで形成されるから、折り曲げ部(40)の先端を底部20に係合させる必要がなくなる。
したがって、リアフェンダ底部20のスペースを有効利用することが可能になる。
【0024】
この実施の形態の底部20は、後輪WRの上方かつ前方を覆う側面視円弧状、かつ車両前方から見た断面(
図3(b))が上へ凹む凸状の湾局部20Cと、この湾局部20Cの前端かつ下端から、後輪WRに対向しつつも前方やや斜め下方に向かう底板部20Bと、この底板部20Bから前方かつやや上方に向かう前板部20Fとを備えている。
この実施の形態の折り曲げ部(40)は、底部20の湾局部20C、底板部20B、および前板部20Fのいずれにも係合しておらず、したがって、湾局部20C、底板部20B、および前板部20Fの全てのスペースを有効利用することが可能である。
【0025】
図3(a)および図5に仮想線で示すように
第2側部40を起立させた状態で、ヒンジ部41から上方へ向かう第2側部40の高さH2は、第1側部30の高さH1よりも高
い。すなわち、H2>H1と
なっている。
また、図2および図3(a)に示すように第2側部40を展開した状態での第2側部40のヒンジ部41からの高さ(H5(図3(a)))は、第1側部30の高さH1よりも低い。
このように構成すると、底部20に対して高い部位である第2側部40を、ヒンジ部41を介し底部20に対して展開した状態(
図2参照)で製造でき、かつ、底部20に対して低い部位である第1側部30を底部20から上方へ突出させて形成でき、
また、展開した状態での第2側部40のヒンジ部41からの高さH5が第1側部30の高さH1よりも低いので、製造装置の小型化を図ることができる。
【0026】
図3(b)に示すように底部20は後輪外形に沿って上方にくぼむ凹部21を備えている。第1側部30の高さH1は、前記凹部21の最大高さH3(
図3(a))以下となっている。すなわち、H1<H3とする。
このように構成すると、
第1側部30を設けたにもかかわらず、H1>H3とした場合に比べて成形型の大型化を防ぐことができる。
【0027】
図3(a)(b)に示すように第1側部30と第2側部40とが結合される結合部50は、第1側部30と第2側部40とが部分的に車幅方向(
図3(b)において左右方向)に重ねられて形成され、該結合部50は
図1にも示すように車幅方向外側からカバー部材5で覆われる。
このように構成すると、結合部50の構造を簡素化しつつ結合部50からの水等の侵入を防ぐことができる。
図示のカバー部材5はシート4およびグラブレール4rの下方においてリアフェンダ10の側方を覆うリアサイドカバーである
【0028】
図3(b)に示すように、第2側部40の上部42は、前記第1側部30とともに締結部材51で共締めにより車体フレーム(この実施の形態ではシートレール1r)に固定される。
このように構成すると、第1側部30および第2側部40の底部20に対する倒れ(
図3(b)において左右方向への倒れ)を確実に防ぐことができる。
【0029】
図4,
図5において、33hは第1側部30に設けられた締結部材51用の挿通穴、43hは第2側部40に設けられた締結部材51用の挿通穴である。
44fは挿通穴43h近くに設けられた係合爪であり、第1側部30の挿通穴33h近くに設けられた係合穴34hに係合する。
【0030】
図4,
図5に示すように、さらに、この実施の形態では、第2側部40の前後に係合爪45f、46fが設けられている一方、これら係合爪45f、46fと係合する係合穴25h、26hが底部20の側部に設けられている。また、第2側部40の底部前後には締結部(締結部材用穴)47、48が設けられているとともに、それら締結部47,48と締結される締結部27,28が底部20(20B)に設けられている。底部側の締結部27,28には、クリップナット(図示せず)が装着され、そのクリップナットに対し、起立させた第2側部40の外方からボルトが結合され、第2側部40の下部が底部20に対して締結固定される。
このように、この実施の形態の第2側部40は、前記結合部50に加え、係合爪45f、46fと係合穴25h、26hとの結合、および締結部47、48と締結部27,28との結合によっても、底部20に固定されるため、第2側部40の底部20に対する倒れを確実に防ぐことができる。
【0031】
図4、
図5、
図6に示すように、ヒンジ部41近くの底部20には電装部品(61,62)が固定される。
このように構成すると、リアフェンダ10において低い位置となるヒンジ部41近くの底部20に電装部品(61,62)が固定されることで、車両の低重心化を図ることができる(
図1参照)。
【0032】
61はウインカーリレーであり底部20の下方に凹む収納凹部22に配置される。
62はウインカーリレー61の上部に配置されるABSユニットである。
63はABSユニット62の左方に配置されるキャニスターである。
23、23はABSユニット取付部、24はABSユニットおよびキャニスタの取付部、25はキャニスタ取付部である。
ウインカーリレー62の収納凹部22の前方には開口が設けられ、この開口を通じてウインカーリレー62にカプラ(図示せず)が接続される。
26,26は泥よけ支持部である。
49はETCトレイ64(
図5)の取付部であり、左右の第2側部40の前後にそれぞれ1個ずつ、計4個設けられている。ETCトレイ64にはETCユニット65が搭載される。
【0033】
図6において、62bはABSユニット用取付ブラケット、63bはキャニスター用取付ブラケットである。
66は底板部20Bの底面側に取り付けられたレギュレータである。
【0034】
図1に示すように、リアフェンダ10は乗員が座るシート4の下方に配置される。第2側部40にはリアフェンダ10の内外に貫通する貫通孔40h(
図4,
図5参照)が設けられ、該貫通孔40hにシート4のロック機構70(
図7)の一部を構成するキーシリンダ71(
図1,
図6)が挿通される。
このように構成すると、特別な型を用いることなくリアフェンダ10の製造と同時にキーシリンダ71用の貫通孔40hを形成することができる。
【0035】
ロック機構70は公知の機構を採用できる。例えば、その基本構成は、
図7に示すように、ヒンジ4hで開閉可能としたシート4の他側側に固定した係合部材72に対し、車体に軸73で回動可能に取り付けたフック74を係脱可能に設け、該フック74と車体との間に戻りばね76を設けるとともに、フック74とキーシリンダ71とをワイヤー75で連動させ、キー(図示せず)によるキーシリンダ71の操作でフック74をロック
解除側(矢印a側)に回動させ、操作終了により戻りばね76の作用で、フック74がロック側(矢印b側)に復帰する構成とすることができる。
【0036】
図2,
図3に示すように、リアフェンダ10は、その前部に、車体フレーム1のクロスメンバ1cへの掛け部11が設けられているとともに、後部に、シートレール1r後部のクロスメンバ1rcへの掛け部12が設けられている。
図1,
図3に示すように、リアフェンダ10は、前部の掛け部11をクロスメンバ1cに掛けるとともに後部の掛け部12をクロスメンバ1rcに掛け、前述したように第2側部40の上部42を第1側部30とともに締結部材51で共締めによりシートレール1rに固定することによって車体フレーム1に取り付けられる。
【0037】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。
【符号の説明】
【0038】
1:車体フレーム、4:シート、5:カバー部材、WR:後輪、10:リアフェンダ、20:底部、21:凹部、30:第1側部30、40:第2側部(折り曲げ部)、40h:貫通孔、41:ヒンジ部、42:上部、50:結合部、51:締結部材、61,62:電装部品、70:ロック機構、71:キーシリンダ。