特許第6238929号(P6238929)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6238929揮発性有機化合物含分が低いジアルキル官能性アルコキシシラン、当該アルコキシシランの製造方法、及び、無機建材用の疎水性含浸材としての使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238929
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】揮発性有機化合物含分が低いジアルキル官能性アルコキシシラン、当該アルコキシシランの製造方法、及び、無機建材用の疎水性含浸材としての使用
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/18 20060101AFI20171120BHJP
   C09K 3/18 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   C07F7/18 Y
   C09K3/18 104
【請求項の数】18
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-76553(P2015-76553)
(22)【出願日】2015年4月3日
(65)【公開番号】特開2015-199732(P2015-199732A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2015年4月30日
(31)【優先権主張番号】10 2014 206 359.0
(32)【優先日】2014年4月3日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501073862
【氏名又は名称】エボニック デグサ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100182545
【弁理士】
【氏名又は名称】神谷 雪恵
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー シュトゥッテ
(72)【発明者】
【氏名】スポメンコ リェジッチ
【審査官】 福山 則明
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04716051(US,A)
【文献】 特表2007−524732(JP,A)
【文献】 特開2004−002299(JP,A)
【文献】 特開2002−193980(JP,A)
【文献】 特開2000−053683(JP,A)
【文献】 特開平02−080407(JP,A)
【文献】 特開平03−072487(JP,A)
【文献】 Armyanskii Khimicheskii Zhurnal,1968年,Vol. 21, No. 4,pp. 317-321
【文献】 Journal of Organometallic Chemistry,1967年,Vol. 8,pp. 443-450
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 7/18
C09K 3/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジアルキル官能性シロキサンオリゴマー、又はジアルキル官能性シロキサンオリゴマーの混合物を含有する組成物において、
前記ジアルキル官能性シロキサンオリゴマーが、下記一般式I:
【化1】
に相当し、上記式中、
R’はそれぞれ独立して、n−オクチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、2,2−ジメチルヘキシル基、2,3−ジメチルヘキシル基、2,4−ジメチルヘキシル基、2,5−ジメチルヘキシル基、3,3−ジメチルヘキシル基、3,4−ジメチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、2,2,3−トリメチルペンチル基、2,2,4−トリメチルペンチル基(イソオクチル基)、2,3,3−トリメチルペンチル基、2,3,4−トリメチルペンチル基、3−エチル−2−メチルペンチル基、及び3−エチル−3−メチルペンチル基、2,2,3,3−テトラメチルブチル基、シクロヘプチルエチレン基、メチルシクロヘキシルメチレン基、シクロヘプチルメチレン基、及びメチルシクロヘプチル基から選択されているアルキル基であり、
R’’はそれぞれ独立して、炭素原子数が1〜3のアルキル基であり、
Rはそれぞれ独立して、炭素原子数が1〜3のアルキル基であり、ここで基Rは、同じであるか、又は異なっていてよく、
nは0〜10の整数である
ことを特徴とする、前記組成物。
【請求項2】
前記一般式Iのジアルキル官能性シロキサンオリゴマー少なくとも1種において、
R’が直鎖状又は分枝鎖状のオクチル基であり、
R’’はメチル基であり、
Rは炭素原子数が1〜2のアルキル基であり、ここで基Rは、同一であるか、又は異なっていてよく、
nは0〜10の整数である
ことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記一般式Iのジアルキル官能性シロキサンオリゴマー少なくとも1種においてR’が、n−オクチル基、及び2,2,4−トリメチルペンチル基(イソオクチル基)から選択されていることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ジアルキル官能性シロキサンオリゴマー少なくとも1種の前記一般式Iにおいて、nが1〜5の整数であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ジアルキル官能性シロキサンオリゴマーが、前記一般式Iのジアルキル官能性の直鎖状シロキサンオリゴマーの混合物として存在することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記式Iのジアルキルシロキサンオリゴマーが、前記組成物中に0.01〜99.9質量%の含有率で存在することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記一般式Iのジアルキル官能性シロキサンオリゴマー少なくとも1種を含有する請求項1から6までのいずれか1項に記載の組成物の製造方法であって、
下記一般式IIIのシラン:
【化2】
[上記式中、
R’は、炭素原子数が3〜8の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基であり、
R’’は、炭素原子数が1〜3のアルキル基であり、
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン、−OR、及び−OHから選択され、ここで基Rは同じであるか又は異なっていてよく、Rは炭素原子数が1〜2のアルキル基である]
少なくとも1種を、
希釈剤若しくは反応試薬としてのアルコール、又は少なくとも1種のアルコールを含有する混合物、及び前記式IIIのシランのケイ素原子に対して規定量の水の存在下、加水分解及び縮合させ、
任意で、
前記希釈剤又は前記反応試薬を除去する、前記製造方法。
【請求項8】
前記式IIIのシランのケイ素原子1molあたり、水を0.3〜1.0mol添加する(H2Oのmol数/Siのmol数)ことを特徴とする、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記アルコールがメタノール若しくはエタノールであることを特徴とする、請求項7又は8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記式IIIのシラン少なくとも1種において、Xが塩素であることを特徴とする、請求項7から9までのいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記式IIIのシラン少なくとも1種において、Xが−OR、及び/又は−OHであり、ここで基Rは同じであるか、又は異なっていてよく、Rは炭素原子数が1〜2のアルキル基であることを特徴とする、請求項7から9までのいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項12】
前記加水分解及び/又は前記縮合を、触媒の存在下で行うことを特徴とする、請求項7から11までのいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項13】
前記加水分解及び/又は前記縮合を、25〜80℃の温度範囲で行い、前記希釈剤及び/又は水を真空中、70℃以下の組成物温度で、前記組成物から除去することを特徴とする、請求項7から12までのいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項14】
以下の工程:
・前記一般式IIIのシランを少なくとも1種、装入する工程と、
・a)希釈剤若しくは反応試薬、及び水を、アルコールと水の混合物として添加する工程、若しくは
・b)希釈剤若しくは反応試薬であるアルコール、及び水を、別個に添加する工程と、
・25〜80℃の温度範囲で、加水分解及び/又は縮合する工程と、
・真空中、65℃未満の組成物温度で、希釈剤若しくは反応試薬であるアルコール及び水を除去する工程と、
・組成物を得る工程と
を有することを特徴とする、請求項7から13までのいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項15】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の組成物を含有し、少なくとも1種の助剤を含有する調製物。
【請求項16】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の組成物、又は請求項15に記載の調製物又は請求項7から14までのいずれか1項に記載の方法によって製造された組成物の使用であって、
・基材表面の疎水化、コンパウンド中の材料の疎水化、無機建材の疎水化、若しくは多孔質無機基材の疎水化のため、
・ポリマーを含有する組成物における添加剤として、
・塗料若しくは複合材の材料において、
・水遮断体若しくは水蒸気遮断体を作製するため、
・水遮蔽体を作製するための薬剤における添加剤として、
・水遮断体、及び水蒸気遮断体を作製するための接着剤における添加剤として、
・乾燥剤、消泡剤、若しくはケア用品添加物として、あるいは
・テキスタイル添加物、又は繊維添加物として、
用いる、前記使用。
【請求項17】
コンクリート、繊維強化セメント、粘土、煉瓦、大理石、花崗岩、砂岩、石灰砂岩、瓦、たたき、しっくい、石膏、ケイ酸塩複合材、セラミック、天然建材、木材、木材複合材及び木材高分子から選択される材料を疎水化する、請求項16記載の使用。
【請求項18】
前記組成物又は前記調製物が、化粧品調製物、テキスタイル調製物、又は天然若しくは合成の皮革のための調製物において使用される、請求項16記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性有機化合物含分が低い、又は揮発性有機化合物不含のジアルキル官能性アルコキシシランオリゴマー(特にメチルアルキルアルコキシシロキサン)の組成物、当該組成物の製造方法、並びに当該組成物を、多孔質無機基材の疎水化に用いる使用(この際には揮発性有機化合物がほとんど、又は全く放出されない)に関する。
【背景技術】
【0002】
アルキル官能性のシラン及びシロキサンが、コンクリート、煉瓦、石灰砂岩といった多孔質無機基材(幾つかの例を挙げたに過ぎない)において疎水性をもたらすことは公知である。よって特に、溶剤不含で使用される短鎖のアルキルアルコキシシランモノマー(欧州特許0 101 816号明細書B1)、並びにオリゴマー化度が3〜6である低粘度のアルキルアルコキシシラン(ドイツ国特許出願第100 56 344号明細書A1)の特徴は、含浸深さが良好なことにある。
【0003】
モノマーのアルキルアルコキシシランは、適用の際に揮発性の有機化合物を一定量、放出することが知られている。VOC含分(VOCとは、「揮発性有機化合物」を意味する)は、オリゴマーのシラン系(例えばアルキルアルコキシシラン)を使用すれば、低減できる。これには、疎水化剤としての使用という点で利点がある。オリゴマーのシラン系は適用の際に、モノマーのシラン系よりも揮発性有機化合物の放出量が少ないからである。これらのシラン系には、浸透深さがやや低いという欠点がある。さらに高粘度の疎水化剤は、基材表面の変色及び/又は暗色化に、又は光沢性表面、若しくは油状の表面につながり、非常に緻密な基材(例えば外装コンクリート)の場合は、特にそうなる。
【0004】
さらに、溶液状、又は液状若しくはペースト状、及び/又はクリーム状の建材保護剤を高粘度エマルジョンとして適用することは、公知である(特に、欧州特許出願第0 814 110号明細書、欧州特許出願第1 205 481号明細書、欧州特許出願第1 205 505号明細書、国際特許出願第06/081892号パンフレット、ドイツ国特許出願1020005004871号明細書)。水性エマルジョンと、アルキルアルコキシシラン、アルキルアルコキシシロキサン、又はこれらの混合物をベースとする高粘度ペーストを用いる場合、エマルジョン及び/又はペーストの破砕及び加水分解後、同様にアルコールが生成し、このアルコールがVOCとして周辺に排出される。
【0005】
第一の疎水化剤の1つとして水の浸透から保護するため、また水に溶解した有害物質から保護するために無機基材上で使用されてきたシリコーン油とその溶液は、確かにVOC含分が低いものの、基材との反応性を有さず、浸透深さが非常に低い。これらはその上、暗色化と、接着性表面につながる。
【0006】
近年では世界の多くの地域において、排出ガイドラインが厳格化している。そこで例えば米国カリフォルニア州の一部では、建材保護剤についてVOC含分が100g/L未満であることが要求される。これは、このガイドライン、又はこれに似たガイドラインが、米国の他の地域、また世界の他の場所でも行われていることに端を発するものである。
【0007】
欧州特許第0 579 453号明細書B1は、モノマーのアルコキシシラン、アルコキシ官能性シロキサン、及びシラノールの混合物、並びに建材を疎水化するための、当該混合物の使用を記載している。ここに記載された、事前に一部加水分解された混合物は、湿気との接触の際、また完全な加水分解の際に放出されるアルコールが、明らかに少ない。
【0008】
欧州特許第0 814 110号明細書B1は、VOC放出量が少ない縮合アルキルアルコキシシランのオリゴマー混合物の製造方法を教示している。このVOCが少ないアルキルアルコキシシラノールオリゴマーは特に、無機表面を疎水化するために開発されたものである。ケイ素(Si)1molあたり水(H2O)を1.2mol添加して製造されるこの生成物は、緻密な基材(例えば外装コンクリート)への塗布に際して、基材表面の暗色化につながり、浸透深さが低い。
【0009】
欧州特許第1 205 481号明細書B1は、様々なオリゴマー化度を有する、n−プロピルエトキシシランのオリゴマー混合物(ケイ素(Si)1モルあたり水(H2O)を0.65〜0.85mol添加して製造される)、並びに無機基材を処理するための使用が開示されている。浸透深さは、コンクリートよりも明らかに多孔質の石灰砂岩でのみ試験された。
【0010】
米国特許5,112,393号明細書は、VOCが少ないオルガノアルコキシシランを用いた石壁の疎水化方法を記載しており、ここでこの発明による生成物のVOC含分は、220g/Lである。
【0011】
国際特許出願第2013/043725号パンフレットは、VOC含分が100g/L未満である環状メチルシロキサンのエマルジョンを開示している。しかしながら試験した基材については記載されていないため、この試験がコンクリート板(0051)上で行われたのか、又はモルタルキューブ(0052)上で行われたのかは、判然としない。
【0012】
欧州特許出願第0 538 555号明細書A1は、n−オクチルトリアルコキシシランを含有する、無機建材含浸用の水性エマルジョンを開示している。VOC含分は、300g/L超である。欧州特許出願第0 340 816号明細書A2、及び欧州特許出願第0 412 515号明細書A1もまた、n−オクチルトリエトキシシランを含有するエマルジョンを開示している。シラン分子1個あたり3個のエトキシ基により、VOC含分は350g/Lである。
【0013】
ドイツ国特許第28 49 108号明細書は、シリルホスフェートの製造との関連でオクチルメチルシクロテトラシロキサンを開示している。オクチルメチルシクロテトラシロキサンの製造方法は、開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】欧州特許0 101 816号明細書B1
【特許文献2】ドイツ国特許出願第100 56 344号明細書A1
【特許文献3】欧州特許出願第0 814 110号明細書
【特許文献4】欧州特許出願第1 205 481号明細書
【特許文献5】欧州特許出願第1 205 505号明細書
【特許文献6】国際特許出願第06/081892号パンフレット
【特許文献7】ドイツ国特許出願1020005004871号明細書
【特許文献8】欧州特許第0 579 453号明細書B1
【特許文献9】欧州特許第0 814 110号明細書B1
【特許文献10】欧州特許第1 205 481号明細書B1
【特許文献11】米国特許5,112,393号明細書
【特許文献12】国際特許出願第2013/043725号パンフレット
【特許文献13】欧州特許出願第0 538 555号明細書A1
【特許文献14】欧州特許出願第0 340 816号明細書A2
【特許文献15】欧州特許出願第0 412 515号明細書A1
【特許文献16】ドイツ国特許第28 49 108号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、硬化の際に揮発性有機物質をほとんど放出しない組成物を提供するという課題に基づいていた。本発明による組成物はさらに、無機基材を疎水化するために優れて適しているのが望ましかった。この際には有利なことに、硬化によってアルコールが僅かな量、又は明らかに少ない量でしか形成されず、環境中に僅かな量、又は明らかに少ない量しか、周囲に漏出しないのが望ましい。この組成物はさらに、処理された基材に対して全く、又は非常に僅かしか変色を引き起こさないのが望ましい。
【0016】
本発明において硬化とは、アルコキシシリル基又はヒドロキシシリル基と、他の反応相手(例えば処理された基材若しくは材料の反応性基)とのあり得る反応であると理解される。よって、反応性のアルコキシ基又はヒドロキシ基を有さない純粋なシリコーンは、基材とは結合しない。このため純粋なシリコーンは、処理された基材の耐候条件下でも、容易に洗い落とされてしまう。
【0017】
本発明の課題は、請求項1に記載の組成物によって、また請求項11に記載の製造方法、及び請求項18に記載の調製物によって解決される。上記課題は同様に、請求項20に記載の使用によって解決される。本発明の特別な構成、及び好ましい実施形態は、従属請求項と本願明細書で詳細に説明されている。
【0018】
意外なことに、ジアルキルジクロロシラン、特にオクチルメチルジクロロシランから、エタノールと水との混合物による連続的なエステル化と縮合反応、続いて減圧下で加水分解性アルコールと余剰のアルコールを留去することによって、低粘度の反応性ジアルキルシロキサン、好適にはオクチルメチルシロキサン、及び/又はオクチルメチルシロキサンの混合物が得られ、そのアルコキシ基含分、及び/又はVOC含分は、ケイ素(Si)1molあたりの水の量によって調整できることが判明した。
【0019】
意外なことに、メチルアルキルジエトキシシロキサンは、良好な疎水性に加えて、高い反応性、並びに基材内、及び/又は基材上で耐アルカリ性を有し、またVOCの放出量が非常に少ないことが判明した。本発明による方法で得られる組成物は、均質で、透明〜乳白色の低粘度の貯蔵安定性液体であり、単独で、又はモノマーのアルキルシラン及び/又は溶剤と組み合わせて、使用できる。
【0020】
本発明による組成物の20℃での粘度(DIN 53015準拠)は、好適には1mPa・s〜200mPa・s、特に1mPa・s〜50mPa・s、有利には2mPa・s〜30mPa・s、好ましくは3mPa・s〜20mPa・s、特に好ましくは3mPa・s〜10mPa・s、又は11mPa・s〜30mPa・sである。
【0021】
組成物における希釈剤(特に遊離アルコール)の含分は、組成物全体に対して、好適には5質量%未満、好ましくは1質量%未満、特に好ましくは1質量%未満、又は0.1質量%未満〜0.0質量%(検出限界)である。
【0022】
本発明の対象は好適には、多孔質無機基材を疎水化するための組成物であり、この組成物は適用の際に揮発性有機化合物の放出量が非常に少なく、その粘度は20℃で50mPa・s以下であり、これによって非常に良好な浸透深さが可能になる。
【0023】
本発明による組成物の特徴はさらに、この組成物で処理された無機基材の吸水性を極めて良好に低減させること、また非常に僅かなVOC含分と同時に、高い浸透深さを有することである。コンクリート上での高い浸透深さとは、コンクリートにおいて2mm以上であると理解される(EN 196 CEM I 42.5、w/zの値は、0.5)。この際に、前記処理で処理された基材の外観は、ほとんど変わらない。
【0024】
この意味合いにおいて本発明による組成物は、多孔質の無機基材(好適には、ケイ酸塩材料、特に建材、例えばコンクリート、繊維強化セメント、粘土、煉瓦、大理石、花崗岩、砂岩、又は石灰砂岩、ただし、これらは一例に過ぎない)を疎水化するために、特に有利に使用できる。
【0025】
本発明の対象は、ジアルキル官能性シロキサンオリゴマー、又はジアルキル官能性シロキサンオリゴマーの混合物を含有する組成物、特に無機建材の表面を含浸する、及び/又はコンパウンド内の無機建材に含浸させるための組成物であって、ここで前記ジアルキル官能性シロキサンオリゴマーは、下記一般式1:
【化1】
に相当し、
上記式中、
・R’はそれぞれ独立して、炭素原子数が3〜8の直鎖状、分枝鎖状、又は環状のアルキル基、好ましくは炭素原子数が8のアルキル基、特にオクチル基であり、
・R’’はそれぞれ独立して、炭素原子数が1〜3のアルキル基、特にメチル基、エチル基、イソプロピル基、又はn−プロピル基、好ましくはメチル基であり、
・Rはそれぞれ独立して、炭素原子数が1〜3のアルキル基であるか、又は水素であり、ここで基Rは同じであるか、又は異なっていてよく、Rは好ましくはメチル基又はエチル基であり、
・nは0〜10の整数であり、特に0、1、2、3、4、5、好ましくは1又は2である。
【0026】
特に好ましくは、R’はそれぞれ独立して、炭素原子数が3、4、5、6、7、又は8の直鎖状、分枝鎖状、又は環状のアルキル基である。
【0027】
この組成物において好適には、nは平均で1〜5の数を取ることができ、例えばnは平均で1.1〜1.8であり、特にnは平均で1.3〜1.5である。
【0028】
好ましい組成物は、式Iのアルキルメチルアルコキシシラン、特に反応性アルキルメチルシロキサン、好ましくはオクチルメチルエトキシシロキサンを含有し、ここでnは0、1、2、3、4、又は5である。「反応性」とは、シロキサンが少なくとも1個の反応性アルコキシ基、及び/又は少なくとも1個の反応性ヒドロキシ基を有する場合に当てはまる。
【0029】
同様に本発明の対象は、一般式Iのジアルキル官能性シロキサンオリゴマーを少なくとも1種有する組成物であり、ここでR’は、直鎖状、又は分枝鎖状のオクチル基、特にn−オクチル基、及び/又はイソオクチル基であり、R’’はメチル基であり、Rは炭素原子数が1〜2のアルキル基であるか、又は水素であり、ここで基Rは同じであるか、又は異なっていてよく、nは0〜10の整数であり、特にnは0、1、2、3、4、又は5であり、好ましくはnは1〜5の整数であり、特に好ましくはnは1又は2である。好ましいのは、シリル単位を2〜5個有するオリゴマーである。
【0030】
特に好ましいのは、一般式Iのジアルキル官能性シロキサンオリゴマーであって、上記式中、R’がn−オクチル基、及び2,2,4−トリメチルペンチル基(イソオクチル基)から選択されており、R’’がメチル基であり、Rがメチル基又はエチル基、好ましくはエチル基のものである。同様に特に好ましいのは、一般式Iのシロキサンオリゴマー少なくとも1種であって、上記式中、R’がイソブチル基、及びn−プロピル基から選択されており、R’’がメチル基であり、Rがメチル基又はエチル基、好ましくはエチル基のものである。
【0031】
1つの変法によれば、同様に本発明の対象は、一般式Iのジアルキル官能性シロキサンオリゴマーであって、上記式中、R’がプロピル基、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、イソブチル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−オクチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、2,2−ジメチルヘキシル基、2,3−ジメチルヘキシル基、2,4−ジメチルヘキシル基、2,5−ジメチルヘキシル基、3,3−ジメチルヘキシル基、3,4−ジメチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、2,2,3−トリメチルペンチル基、2,2,4−トリメチルペンチル基(イソオクチル基)、2,3,3−トリメチルペンチル基、2,3,4−トリメチルペンチル基、3−エチル−2−メチルペンチル基、及び3−エチル−3−メチルペンチル基、2,2,3,3−テトラメチルブチル基、シクロヘプチルエチレン基、メチルシクロヘキシルメチレン基、シクロヘプチルメチレン基、及びメチルシクロヘプチル基から選択されるものである。R’はさらに、ペンチル基、ヘキシル基、及びヘプチル基から選択される直鎖状、環状、及び/又は分枝鎖状の異性体から選択されていてよい。
【0032】
同様に本発明の対象は、ジアルキル官能性シロキサンオリゴマーを、一般式Iのジアルキル官能性直鎖状シロキサンオリゴマーの混合物として含有する組成物である。或いは、同様に好ましいのは、式Iのジアルキル官能性直鎖状シロキサンオリゴマーと、一般式IIのジアルキル官能性環状シロキサンオリゴマーとの混合物を含有する組成物である。
【0033】
本発明の対象はさらに、ジアルキル官能性シロキサンオリゴマーを、下記一般式IIのジアルキル官能性環状シロキサンオリゴマー:
【化2】
との混合物で含有する組成物であって、
ここで、
・上記式II中、R’はそれぞれ独立して、炭素原子数が3〜8の直鎖状、又は分枝鎖状のアルキル基、好ましくは炭素原子数が8のアルキル基、特にオクチル基であり、
・上記式II中、R’’はそれぞれ独立して、炭素原子数が1〜3のアルキル基、特にメチル基、エチル基、イソプロピル基、又はn−プロピル基であり、
・mは、2〜10の整数、特に2、3、4、又は5であり、mは好ましくは、2、3、又は4である。
【0034】
先に規定したようにR’はさらに、炭素原子数が8であるアルキル基の異性体であり得る。さらにR’はそれぞれ独立して、炭素原子数が3、4、5、6、又は7の直鎖状、分枝鎖状、又は環状のアルキル基であり得る。
【0035】
さらなる変法に相応して、式I及びIIのジアルキルシロキサンオリゴマーを100:1〜1:100、特に10:1から1:10のモル比で含有する組成物を特許請求する。特に好ましい変法によれば、本発明による組成物は、式I及びIIのジアルキルシロキサンオリゴマーを1:100〜1:1のモル比で含有する。
【0036】
さらなる好ましい変法によれば、式Iのジアルキルシロキサンオリゴマー、及び任意で式IIのジアルキルシロキサンオリゴマーを、組成物中に0.01〜99.9質量%含有する組成物を特許請求する。組成物中のシロキサンオリゴマーの含分は、任意で変えることができ、それぞれの用途に適合させることができる。好ましい変法に相応して組成物は、式IIの環状ジアルキルシロキサンオリゴマーを、任意でシロキサン100質量%に対して、特に組成物全体において、90質量%超、特に95質量%以上、好ましくは98質量%以上、特に好ましくは99質量%以上、式Iの直鎖状ジアルキルシロキサンオリゴマーに加えて、含有する。好ましいのは、mが3であるジアルキルシロキサンオリゴマーを、組成物に対して特に90質量%以上〜99.9質量%の含分で含有する組成物であり、ここで好ましくは、一般式IIの環状シロキサンオリゴマーのシロキサンオリゴマーが、シロキサン含分に100質量%に対して0.1〜10質量%、含有されている。さらなる変法に相応して、組成物は、式IIの環状シロキサンオリゴマーを、シロキサン100質量%に対して50質量%以下、特に30質量%以下、好ましくは20質量%以下、特に好ましくは10質量%以下、式Iの直鎖状シロキサンオリゴマーに加えて、含有する。好ましくは、組成物全体に対して100質量%を考慮する。好ましい含分はそれぞれの用途次第であり、無機適用のための含分は、好適には式IIのシロキサンが75〜95質量%、式Iのシロキサンオリゴマーが5〜25質量%である。
【0037】
さらなる好ましい組成物は、式Iの直鎖状ジアルキルシロキサンオリゴマーを、任意で式IIの環状ジアルキルシロキサンオリゴマー100質量%に対して、シロキサン100質量%に対して、特に組成物全体に対して、90質量%超、特に95質量%以上、好適には98質量%以上、特に99質量%以上、含有する。さらなる好ましい変法によれば、この組成物は、nが1又は2である直鎖状ジアルキルシロキサンオリゴマーを含有する。
【0038】
nが1又は2である直鎖状ジアルキルシロキサンオリゴマーは、組成物中でシロキサンに対して、好適には組成物全体に対して、好適には10質量%以上、好適には50質量%以上、特に好ましくは80質量%以上、好適には90質量%以上、存在する。
【0039】
本発明による組成物の特別な利点は、そのVOC含分が低いことにあり、nが1〜2であるジアルキルシロキサンオリゴマーについて、そのオリゴマーのオリゴマー化度(オリゴマー化度=n*)は平均で3〜4、好適には3.2〜3.6、特に好ましくは3.3〜3.5であり、ジアルキルシロキサンの割合が98〜100質量%である組成物の場合、C8アルキルメチルシロキサンについて66〜72g/Lが直鎖状シロキサンである。オリゴマー化度とは、シロキサン中のケイ素原子及び/又はシリル基の数であると理解される。直鎖状オリゴマーと、反応性アルコキシ末端基を有さない環状シロキサンとを混合する場合には、VOC含分をさらに低下させることができる。アルコキシ官能性及びヒドロキシ官能性シロキサンを、式IIの環状シロキサンと混合する場合、含分が98質量%以上のシロキサンオリゴマーにおいて300g/LというVOC含分を、式IIの環状シロキサンオリゴマーの添加により、150g/L未満、好ましくは100g/L未満に低下させることができる。
【0040】
できるだけVOC含分が低く、同時に吸水性の減少値が良好な場合における、多孔質無機建材での良好な浸透深さに関する最適な結果は、オリゴマー化度(n*)が3.5である(すなわち、指数nが1〜2、特にnが平均で1.5の)n−オクチルメチルシロキサンの直鎖状シロキサンによって達成される。吸水性の減少率は、92〜96%に向上できる。純粋な環状シロキサンオリゴマーによって、非常に少ないVOC含分が達成できるが、吸水性の減少率は40%に過ぎない。
【0041】
式Iのシロキサン、及び任意で式IIのシロキサンに加えて、オルガノシラン、又は式IVのオルガノシロキサンを含有する組成物は、浸透深さの点で最良の結果を示し、VOC含分が低く、吸水性の減少率における結果が、例7に示されるように良好である。
【0042】
本発明の対象はまた、式Iのジアルキルシロキサンオリゴマー少なくとも1種に加えて、一般式IVのオルガノシラン又はオルガノシロキサン
【化3】
少なくとも1種、又はこれらの混合物を含有する組成物であり、
上記式中、
1は、炭素原子数が3〜20、好ましくは3〜8の分枝鎖状若しくは環状のアルキル基、好適にはプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基であり、
2はそれぞれ独立して、炭素原子数が1〜4、特に1〜2の直鎖状又は分枝鎖状のアルコキシ基であるか、又はヒドロキシ基であり、ここで基R2は、同じであるか、又は異なっていてもよく、特にR2はメチル基又はエチル基であり、
yは0〜1.5であり、
zは0、1、2、又は3であり、ここでzが0の場合にyは1.5であり、zが1の場合にyは1であり、zが2の場合にyは0.5であり、zが3の場合にyは0である。
【0043】
式IVのシロキサンは好ましくは、R1−Si(O1/2)(R22、R1−Si(O1/22(R2)を包含する。式IVの好ましいシランは、R1−Si(R23である。
【0044】
以下に、本発明による組成物で使用可能な式IVの好ましいシランを挙げるが、これらの少なくとも一部が加水分解及び/又は縮合された生成物も使用できる:
【化4】
又は上記アルキルアルコキシシラン1種以上の部分縮合物、又は上記アルキルアルコキシシランの混合物、部分縮合物の混合物、又はアルキルアルコキシシランと部分縮合物との混合物。
【0045】
本発明の対象はまた、式IIのジアルキルシロキサンオリゴマー(好適にはR’が炭素原子数8のアルキル基のもの)少なくとも1種に加えて、一般式IIIのシラン:
【化5】
を少なくとも1種含有する組成物、並びに当該組成物の使用であり、
上記式中、
R’は炭素原子数が8の直鎖状又は分枝鎖状アルキル基、特にオクチル基であり、
R’’は炭素原子数が1〜3のアルキル基、特にメチル基、エチル基、イソプロピル基、又はn−プロピル基であり、
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン、−OR、及び−OHから選択され、ここで基Rは同一であるか、又は異なっていてよく、Rは炭素原子数が1〜2のアルキル基である。
【0046】
本発明の対象はまた、式IIのジアルキルシロキサン(特にm=3のもの)を少なくとも1種含有する組成物を、基材、基材の表面、及び/又はコンパウンド中の基材を疎水化するために用いる使用である。特に好ましいのは、無機建材(例えば、煉瓦、コンクリート、石灰砂岩、しっくい、又は石膏)を疎水化するための使用である。
【0047】
本発明の対象はまた、一般式Iのジアルキルシロキサンオリゴマー(特にm=3のもの)を少なくとも1種含有する組成物の製造方法、及び当該製造方法によって得られる組成物であり、この製造方法では少なくとも1種の一般式IIIのシラン:
【化6】
[上記式中、
R’は炭素原子数が8の直鎖状又は分枝鎖状アルキル基、特にオクチル基であり、
R’’は炭素原子数が1〜3のアルキル基、特にメチル基、エチル基、イソプロピル基、又はn−プロピル基であり、
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン、−OR、及び−OHから選択され、ここで基Rは同一であるか、又は異なっていてよく、Rは炭素原子数が1〜2のアルキル基である]
を、希釈剤若しくは反応試薬、及び式IIIのシランのケイ素原子に対して規定量の水の存在下で加水分解、及び縮合させ、任意で希釈剤又は反応試薬を除去する。
【0048】
好ましい変法に相応して、Xはハロゲンであり、このハロゲンは、塩素及び臭素から選択される。特に好ましくは、前記ハロゲンが塩素である。ここで特に好ましくは、加水分解及び/又は縮合のために、触媒を添加しない。
【0049】
本発明の対象はまた、特に式IIのシロキサンオリゴマーを含有する、組成物の製造方法、並びに当該製造方法により得られる組成物である。
【0050】
この方法は好ましくは、式IIIのシランのケイ素原子1molに対して規定量の水により行い、ここで好適には、式IIIのシランのケイ素原子1molあたり0.3〜1.0molの水(H2Oのmol数/Siのmol数)を添加するか、又はこれと同量の水が組成物中に存在し、任意で少なくとも一部が、希釈剤によって添加される。好ましくは、ケイ素原子のモル数に対して水が0.3〜0.9mol(H2Oのmol数/Siのmol数)、好ましくはケイ素1molあたりH2Oが0.4〜0.8mol、特に好ましくはケイ素1molあたりH2Oが0.4〜0.6mol、さらに好ましくはケイ素1molあたりH2Oが0.4〜0.6molであり、特に変動幅が±0.25mol、好ましくは±0.1molである。或いは、ケイ素1molあたりH2Oを0.4mol、ケイ素1molあたりH2Oを0.5mol、ケイ素1molあたりH2Oを0.6mol、ケイ素1molあたりH2Oを0.7mol、ケイ素1molあたりH2Oを0.8mol、特にそれぞれ水に対して±0.25molの変動幅で添加する。
【0051】
特に好ましい変法によれば、希釈剤又は反応試薬としてアルコール、アルコール水溶液、又はアルコール混合物を、前記方法において用いる。有利な希釈剤は、アルコール(特にメタノール、エタノール)、又は少なくとも1種のアルコールと、任意で規定量の水を含有する混合物である。通常のアルコール、例えば特にプロパノール、ブタノールは、当業者に慣用である。Xがハロゲン(特に塩素)である式IIIの少なくとも1種のシランを用いる場合、アルコールが反応試薬である。
【0052】
本発明による方法は同様に、1つの変法によれば、
a)Xが−OR若しくは−OHであるか、又は
b)Xが−ORであり、任意でOH基含分を有する
式IIIのシラン少なくとも1種を用いて行い、ここで基Rは同じであるか、又は異なっていてよく、基Rは炭素原子数が1〜2のアルキル基である。この方法はまた、式IIIのシランの規定の混合物を用いて行うことができ、この場合、基Xは変法a)によりXがそれぞれ−OR、及び塩素であるか、又は
b)Xがそれぞれ、−OH、及び−ORである。
【0053】
同様に本発明の対象は、触媒の存在下で加水分解及び/又は縮合を行う方法であって、特にこの触媒は、加水分解及び/又は縮合後に、組成物から除去する。好ましい触媒は、酸触媒(例えば無機酸、有機カルボン酸)、好適には液状の酸(例えばHCl、ギ酸、酢酸、乳酸)であり、これらは蒸留における規定の条件下、少なくとも部分的に分離することができる。塩化水素が存在しない変法において、方法を実施するために触媒を添加しないことが、有利であり得る。
【0054】
本発明による方法は好適には、規定の温度範囲で行う。そこで本方法における加水分解及び/又は縮合は、好適には25〜80℃の温度範囲で、特に10分〜10時間にわたって、好適には30分〜2時間にわたって、特に好ましくは約1時間にわたって行い、希釈剤(特にアルコール)、及び/又は水を、好適には引き続き真空中で、70℃以下の組成物温度(例えば塔底温度)で組成物から除去する。好適には希釈剤の分離は、水との共沸として行う。希釈剤の分離は好ましくは、60℃以下の組成物温度で行う。
【0055】
特に好ましい変法を以下に述べるが、この方法とは、以下の工程を有するものである:
・一般式IIIのシランを少なくとも1種、装入する工程、
a)希釈剤又は反応試薬(特に少なくとも1種のアルコール)、及び水を、アルコールと水との混合物として添加する工程、若しくは
b)希釈剤又は反応試薬である水及びアルコールを、別個に添加する工程、
・25〜80℃の温度範囲、特に75℃以下の温度、好適には20分〜2時間、好適には30分〜1.5時間、加水分解及び/又は縮合する工程、
・希釈剤又は反応試薬のアルコール、及び任意で水を、真空中で除去する工程、特に1mbar、65℃未満、特に60℃未満の組成物温度(例えば塔底温度)で除去する工程、及び任意で
・組成物を得る工程。
【0056】
シロキサンの製造方法は有利には、欧州特許出願第0 814 110号明細書、欧州特許出願第1 205 481号明細書、欧州特許出願第1 205 505号明細書に従って行うことができる。
【0057】
本発明の対象は同様に、本発明による組成物、又は本発明による方法で得られる組成物を含有する調製物であって、少なくとも1種の助剤、及び任意で溶剤及び/又は添加剤を含有するものである。この調製物は、液状の調製物、粉末状の調製物、ペースト状の調製物、エマルジョン、分散液、又はクリーム状の調製物であり得る。
【0058】
よって本発明による組成物は濃縮体として、希釈体として、又は水性の低粘度〜高粘度のペースト状エマルジョンにおける油相として存在することができ、また適用できる。水性エマルジョンの製造は、技術的な観点からは例えばドイツ国特許出願第10 2005 004 871号明細書A1、又は欧州特許第0 538 555号明細書B1に詳細に記載されている。同様に、ジアルキル官能性アルコキシシランオリゴマーの本発明による組成物は、欧州特許出願第0 814 110号明細書、欧州特許出願第1 205 481号明細書、欧州特許出願第1 205 505号明細書、又は国際特許出願第06/081892号パンフレットに従って調製物として作製できる。
【0059】
適用特性を改善させるために、存在する薬剤を公知の方法に従って、水性の低粘度若しくは高粘度のエマルジョンとして調製することができ、ここで作用物質成分の粘度は油相であり、通常不変のままである。ここで作用物質の調製物は水性エマルジョンとしてコンクリート混和水に添加し、できる限り均一な分布を保証するのが好ましい。
【0060】
本発明による薬剤はまた、作用物質成分の他に、さらなる成分として溶剤、及び/又は可溶化剤(例えば鉱油、ガソリン系炭化水素、さらにはジイソトリデシルアジペート)、水、乳化剤、レオロジー助剤、任意で粘稠助剤(例えば微細な粘土)、沈降ケイ酸、焼成ケイ酸、又はこれらの相応する混合物を含有することができる。
【0061】
本発明の対象はまた、基材表面を低VOC含分で疎水化するため、及びコンパウンド中の材料を疎水化するための、前記組成物の使用であって、ここで吸水性の減少率は30%以上であり、VOC含分は100g/L未満である。組成物の好ましい使用によって、未処理の基材に対して50%以上、好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上という基材の吸水率減少、及び100g/L以下、特に90g/L以下、好ましくは80g/L以下、特に好ましくは75g/L以下というVOC含分の放出量が、可能になる。上記記載は、組成物全体中のシロキサン含分が90質量%以下、特に98質量%以下、好ましくは99質量%以下の組成物に対するものである。本発明によればシロキサンとは、式Iのシロキサン、及び任意で式IIのシロキサンであると理解されるか、或いは、式IIIのシラン含分を有する式IIのシロキサンをさらに含有する組成物である。
【0062】
本発明の対象はさらに、本発明による組成物の使用、又は本発明による方法によって得られる組成物の使用であって、基材表面を疎水化するため、またコンパウンド中の材料を疎水化するため、無機建材(特に多孔質無機建材)の疎水化、多孔質無機基材(好適にはケイ酸塩材料、特に建材(例えばコンクリート、繊維強化セメント、粘土、煉瓦、大理石、花崗岩、砂岩、又は石灰砂岩)、瓦、たたき、しっくい、石膏)を疎水化するため、例えば水回りのセラミック製品及び/又は台所用プレートを製造するために使用されるケイ酸塩複合材(例えば天然石と石英の複合材、天然建材、複合材料)を疎水化するため、水遮断体又は水蒸気遮断体を作製するため、水遮蔽体、木材複合材(厚板、寄せ木張り)を作製するための薬剤における添加剤として、ポリマー含有組成物における添加剤として、塗料において、水遮断体及び水蒸気遮断体を作製するための接着剤における添加剤として、乾燥剤、消泡剤、ケア用品添加剤として、特に化粧品調製物、テキスタイル調製物、又は天然若しくは人工の皮革のための調製物において、
・テキスタイル薬剤若しくは繊維薬剤の添加物としての、前記使用である。
【0063】
前記組成物の使用は、スプレー、刷毛塗り、ローラ塗布、又はブレード塗布によって行われる。前記組成物は有利には、基材表面に対して(特にコンクリート表面に対して)50g/m2超の量、特に100g/m2超の量で塗布する。
【0064】
本発明を以下の実施例により詳細に説明するが、これにより本発明が制限されることはない。
【0065】
VOC含分の測定法:非揮発性含分は、ASTM D 5095−91の「Standard Test Method for Determination of the Nonvolatile Content in Silanes, Siloxanes and Silane−Siloxane Blends used in Masonry Water Repellents」により測定し、VOC含分は、ASTM D 3960により算出した。
【0066】
実施例:以下の記載は全て、最終的な調製物の質量全体に対する質量部と質量%である。
【0067】
例1
温度感知器、滴下漏斗、及び還流冷却器を有する実験室用撹拌反応器(500mL)に、窒素ブランケット下、n−オクチルメチルジクロロシラン200gを装入し、続いてエタノール121gと、水12.7gとの混合物を30〜70℃、常圧で計量供給する。この混合物を約1時間、約70℃で軽く還流させながら撹拌する。続いて真空の適用下、約1mbar、及び60℃未満の塔底温度で、エタノールを留去する。以下の特性を有する生成物が157g単離される:
・遊離エタノール:0.1質量%
・平均分子量:766g/mol
・粘度(20℃):22.1mPa・s
・ASTM D 5095準拠のVOC:0g/l、1g/l
・オリゴマー化度:n*=4、シクロテトラシロキサン
・ケイ素1molあたり、H2Oは0.8mol。
【0068】
例2
温度感知器、滴下漏斗、及び還流冷却器を有する実験室用撹拌反応器(500mL)に、窒素ブランケット下、n−オクチルメチルジクロロシラン200gを装入し、続いてエタノール121gと、水9.5gとの混合物を30〜70℃、常圧で計量供給する。この混合物を約1時間、70℃で軽く還流させながら撹拌する。続いて真空の適用下、約1mbar、及び60℃未満の塔底温度で、エタノールを留去する。以下の特性を有する生成物が172g単離される:
・遊離エタノール:0.1質量%
・平均分子量:678g/mol
・粘度(20℃):9.0mPa・s
・ASTM D 5095準拠のVOC:66g/l
・オリゴマー化度:n*=3.5
・ケイ素1molあたり、H2Oは0.6mol。
【0069】
例3
温度感知器、滴下漏斗、及び還流冷却器を有する実験室用撹拌反応器(500mL)に、窒素ブランケット下、n−オクチルメチルジクロロシラン200gを装入し、続いてエタノール121gと、水7.9gとの混合物を30〜70℃、常圧で計量供給する。この混合物を約1時間、70℃で軽く還流させながら撹拌する。続いて真空の適用下、約1mbar、及び60℃未満の塔底温度で、エタノールを留去する。以下の特性を有する生成物が162g単離される:
・遊離エタノール:0.3質量%
・平均分子量:640g/mol
・粘度(20℃):6.9mPa・s
・ASTM D 5095準拠のVOC:72g/l
・オリゴマー化度n*=3.3
・ケイ素1molあたり、H2Oは0.5mol。
【0070】
例4
温度感知器、滴下漏斗、及び還流冷却器を有する実験室用撹拌反応器(500mL)に、窒素ブランケット下、n−プロピルメチルジクロロシラン78.6gを装入し、続いてエタノール69gと、水5.4gとの混合物を30〜70℃、常圧で計量供給する。この混合物を約1時間、70℃で軽く還流させながら撹拌する。続いて真空の適用下、約1mbar、及び60℃未満の塔底温度で、エタノールを留去する。以下の特性を有する生成物が54.0g単離される:
・平均分子量:544g/mol
・粘度(20℃):3.2mPa・s
・ASTM D 5095準拠のVOC:332g/l
・オリゴマー化度:n*=4.6
・ケイ素1molあたり、H2Oは0.6mol。
【0071】
例5
温度感知器、滴下漏斗、及び還流冷却器を有する実験室用撹拌反応器(500mL)に、窒素ブランケット下、イソブチルメチルジクロロシラン85.5gを装入し、続いてエタノール69gと、水5.4gとの混合物を30〜70℃、常圧で計量供給する。この混合物を約1時間、70℃で軽く還流させながら撹拌する。続いて真空の適用下、約1mbar、及び60℃未満の塔底温度で、エタノールを留去する。以下の特性を有する生成物が63.5g単離される:
・平均分子量:499g/mol
・粘度(20℃):3.7mPa・s
・ASTM D 5095準拠のVOC:324g/l
・オリゴマー化度:n*=3.6
・ケイ素1molあたり、H2Oは0.6mol。
【0072】
例6
例1のオクチルメチルシロキサンオリゴマー(ケイ素1molあたり、H2Oは0.8mol)80%と、例5のIBMDEOオリゴマー(ケイ素1molあたり、H2Oは0.6mol)20%との混合物を使用した。
・ASTM D 5095によるVOC:76g/l。
【0073】
例7
例1のオクチルメチルシロキサンオリゴマー(ケイ素1molあたり、H2Oは0.8mol)90%と、例12のIBTEO10%との混合物を使用した。
・ASTM D 5095によるVOC:63g/l。
【0074】
例8:比較例
欧州特許第0814110号明細書B1に記載の例によるオクチルトリエトキシシランオリゴマー
・ケイ素1molあたり、H2Oは1.2mol。
【0075】
例9:比較例
欧州特許第1205481号明細書B1に記載のn−プロピルシロキサンオリゴマー
・ケイ素1molあたり、H2Oは0.8mol。
【0076】
例10:比較例
低粘度のポリジメチルシロキサン(動的粘度は25℃で20mPa・s)を使用した。
【0077】
例11:比較例
n−オクチルトリエトキシシラン、溶剤不含で即座に使える疎水化剤を使用した。
【0078】
例12:比較例
イソブチルトリエトキシシラン、溶剤不含で即座に使える疎水化剤を使用した。
【0079】
例13:比較例
n−プロピルトリエトキシシロキサン(ケイ素1molあたり、H2Oは1.1mol)、溶剤不含の疎水化剤を使用した。
【0080】
例14:比較例
室温にて、作用物質を50質量%有するオクチルトリエトキシシランの水性エマルジョンを、清潔な乾燥したガラス容器に装入し、撹拌しながら脱塩水により、20%の作用物質濃度に希釈した。生成する混合物をさらに10分間撹拌し、続いて直ちに使用できた。
【0081】
例15:比較例
室温にて、作用物質を50質量%有するプロピルトリエトキシシロキサンの水性エマルジョンを、清潔な乾燥したガラス容器に装入し、撹拌しながら脱塩水により、10%の作用物質濃度に希釈した。生成する混合物をさらに10分間撹拌し、続いて直ちに使用できた。
【0082】
上記例の評価
下記の表1には、上述の例の結果が記載されている。このために、即座に使える組成物をコンクリートキューブに、それぞれ記載した塗布量で、キューブ浸漬により処理した(コンクリート品質は、EN 196 CEM I 42.5R;w/z値は0.5、寸法は5×5×5cm)。疎水化特性は、各混合物の吸水性減少率によって表現される。2週間の硬化時間後、処理したキューブを24時間、完全に水面下で貯蔵した。付着している湿気は、ティシュペーパーで表面を軽く拭うことによって除去した。続いて、質量の増加量を測定した。吸水性の減少率はDIN EN 13580に従って算出し、未処理のコンクリートキューブと比較した。
【0083】
浸透深さを測定するため、処理された試験体を2つの部分に折り分け、破断面をそれぞれ水性の着色系で濡らす。含浸されていない領域は着色され、含浸された領域は、無色のままとなる。処理された表面から、試験体の異なる箇所(8箇所)における色の境界までの幅を測定する。こうしてそれぞれ、浸透深さの平均値(単位はmm)が得られる。
【0084】
非揮発性含分は、ASTM D 5095−91の「Standard Test Method for Determination of the Nonvolatile Content in Silanes, Siloxanes and Silane−Siloxane Blends used in Masonry Water Repellents」により測定し、VOC含分は、ASTM D 3960−04により算出した。
【表1】
【0085】
本発明による組成物は、VOC値が非常に低く、この手法の検出限界下限にまで達する。ここでシロキサンオリゴマーについて所望の疎水性は、アルキルアルコキシシランモノマー(VOC含分が非常に高いもの)の疎水性と同等のままである。
【0086】
低いVOC含分で、吸水性の減少率の値が非常に良好なこと、同時に浸透深さが良好なこと、また表面の変色が少ないことを、例7の混合物は示している。
・本発明の実施態様を、以下に記す:
1.ジアルキル官能性シロキサンオリゴマー、又はジアルキル官能性シロキサンオリゴマーの混合物を含有する組成物において、
前記ジアルキル官能性シロキサンオリゴマーが、下記一般式I:
【化7】
に相当し、上記式中、
R’はそれぞれ独立して、炭素原子数が3〜8の直鎖状、分枝鎖状、又は環状のアルキル基であり、
R’’はそれぞれ独立して、炭素原子数が1〜3のアルキル基であり、
Rはそれぞれ独立して、炭素原子数が1〜3のアルキル基であるか、又は水素であり、ここで基Rは、同じであるか、又は異なっていてよく、
nは0〜10の整数である
ことを特徴とする、前記組成物。
2.前記一般式Iのジアルキル官能性シロキサンオリゴマー少なくとも1種において、
R’が直鎖状又は分枝鎖状のオクチル基であり、
R’’はメチル基であり、
Rは炭素原子数が1〜2のアルキル基であるか、又は水素であり、ここで基Rは、同一であるか、又は異なっていてよく、
nは0〜10の整数である
ことを特徴とする、前記態様1に記載の組成物。
3.前記一般式Iのジアルキル官能性シロキサンオリゴマー少なくとも1種においてR’が、プロピル基、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、イソブチル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−オクチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、2,2−ジメチルヘキシル基、2,3−ジメチルヘキシル基、2,4−ジメチルヘキシル基、2,5−ジメチルヘキシル基、3,3−ジメチルヘキシル基、3,4−ジメチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、2,2,3−トリメチルペンチル基、2,2,4−トリメチルペンチル基(イソオクチル基)、2,3,3−トリメチルペンチル基、2,3,4−トリメチルペンチル基、3−エチル−2−メチルペンチル基、及び3−エチル−3−メチルペンチル基、2,2,3,3−テトラメチルブチル基、シクロヘプチルエチレン基、メチルシクロヘキシルメチレン基、シクロヘプチルメチレン基、及びメチルシクロヘプチル基から選択されていることを特徴とする、前記態様1又は2に記載の組成物。
4.前記一般式Iのジアルキル官能性シロキサンオリゴマー少なくとも1種においてR’が、n−オクチル基、イソブチル基、n−プロピル基、及び2,2,4−トリメチルペンチル基(イソオクチル基)から選択されていることを特徴とする、前記態様1から3までのいずれかに記載の組成物。
5.前記ジアルキル官能性シロキサンオリゴマー少なくとも1種の前記一般式Iにおいて、nが1〜5の整数であることを特徴とする、前記態様1から4までのいずれかに記載の組成物。
6.前記ジアルキル官能性シロキサンオリゴマーが、前記一般式Iのジアルキル官能性の直鎖状シロキサンオリゴマーの混合物として存在することを特徴とする、前記態様1から5までのいずれかに記載の組成物。
7.前記ジアルキル官能性シロキサンオリゴマーが、下記一般式IIの環状シロキサンオリゴマー:
【化8】
との混合物で存在し、
上記式中、
R’はそれぞれ独立して、炭素原子数が3〜8の直鎖状、分枝鎖状、又は環状のアルキル基であり、
R’’はそれぞれ独立して、炭素原子数が1〜3のアルキル基であり、
mは2〜10の整数である
ことを特徴とする、前記態様1から5までのいずれかに記載の組成物。
8.前記式I及びIIのジアルキルシロキサンオリゴマーが、100:1〜1:100のモル比で存在することを特徴とする、前記態様1から7までのいずれかに記載の組成物。
9.前記式Iのジアルキルシロキサンオリゴマー、及び任意で前記式IIのジアルキルシロキサンオリゴマーが、前記組成物中に0.01〜99.9質量%の含有率で存在することを特徴とする、前記態様1から8までのいずれかに記載の組成物。
10.前記組成物が、下記一般式IVのオルガノシラン又はオルガノシロキサン:
【化9】
少なくとも1種、又はこれらの混合物を含有し、
上記式中、
1は、炭素原子数が3〜20の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基であり、
2は、炭素原子数が1〜4の直鎖状又は分枝鎖状のアルコキシ基、又はヒドロキシ基であり、ここで基R2は、同じであるか、又は異なっていてよいが、ただし、
yは0〜1.5であり、
zは0、1、2、又は3であり、
ここでzが0の場合にyは1.5であり、zが1の場合にyは1であり、zが2の場合にyは0.5であり、zが3の場合にyは0である
ことを特徴とする、前記態様1から9までのいずれかに記載の組成物。
11.前記一般式Iのジアルキル官能性シロキサンオリゴマー少なくとも1種を含有する前記態様1から10までのいずれかに記載の組成物の製造方法であって、
下記一般式IIIのシラン:
【化10】
[上記式中、
R’は、炭素原子数が3〜8の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基であり、
R’’は、炭素原子数が1〜3のアルキル基であり、
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン、−OR、及び−OHから選択され、ここで基Rは同じであるか又は異なっていてよく、Rは炭素原子数が1〜2のアルキル基である]
少なくとも1種を、
希釈剤若しくは反応試薬、及び前記式IIIのシランのケイ素原子に対して規定量の水の存在下、加水分解及び縮合させ、
任意で、
前記希釈剤又は前記反応試薬を除去する、前記製造方法。
12.前記式IIIのシランのケイ素原子1molあたり、水を0.3〜1.0mol添加する(H2Oのmol数/Siのmol数)ことを特徴とする、前記態様11に記載の製造方法。
13.前記希釈剤又は前記反応試薬がアルコール、特にメタノール、若しくはエタノールであるか、又は少なくとも1種のアルコールを含有する混合物であることを特徴とする、前記態様11又は12に記載の製造方法。
14.前記式IIIのシラン少なくとも1種において、Xが塩素であることを特徴とする、前記態様11から13までのいずれかに記載の製造方法。
15.前記式IIIのシラン少なくとも1種において、Xが−OR、及び/又は−OHであり、ここで基Rは同じであるか、又は異なっていてよく、Rは炭素原子数が1〜2のアルキル基であることを特徴とする、前記態様11から13までのいずれかに記載の製造方法。
16.前記加水分解及び/又は前記縮合を、触媒の存在下で行うことを特徴とする、前記態様11から15までのいずれかに記載の製造方法。
17.前記加水分解及び/又は前記縮合を、25〜80℃の温度範囲で行い、前記希釈剤及び/又は水を真空中、70℃以下の組成物温度、特に70℃以下の塔底温度で、前記組成物から除去することを特徴とする、前記態様11から16までのいずれかに記載の製造方法。
18.以下の工程:
・前記一般式IIIのシランを少なくとも1種、装入する工程、
・a)希釈剤若しくは反応試薬、及び水を、アルコールと水の混合物として添加する工程、若しくは
・b)希釈剤若しくは反応試薬であるアルコール、及び水を、別個に添加する工程、
・25〜80℃の温度範囲で、特に20分〜2時間、加水分解及び/又は縮合する工程、
・真空中、65℃未満の組成物温度、特に65℃未満の塔底温度で、希釈剤若しくは反応試薬であるアルコール及び水を除去する工程、
・組成物を得る工程
を有することを特徴とする、前記態様11から17までのいずれかに記載の製造方法。
19.式IIのジアルキルシロキサンオリゴマー少なくとも1種を、任意で式Iのシロキサンオリゴマー及び/又は式IIIのアルコキシシランとの混合物で含有する組成物の使用であって、無機基材を疎水化するための、前記使用。
20.前記態様1から10までのいずれかに記載の組成物、又は前記態様11から18までのいずれかに記載の製造方法によって得られる組成物、又は前記態様19に記載の組成物を含有し、少なくとも1種の助剤を含有する調製物。
21.前記態様1から10までのいずれかに記載の組成物、又は前記態様11から18までのいずれかに記載の製造方法によって得られる組成物の使用であって、
・基材表面の疎水化、及びコンパウンド中の材料の疎水化、無機建材の疎水化、多孔質無機基材の疎水化、好適にはケイ酸塩材料の疎水化、特に建材の疎水化、例えばコンクリート、繊維強化セメント、粘土、煉瓦、大理石、花崗岩、砂岩、又は石灰砂岩の疎水化、瓦、たたき、しっくい、石膏の疎水化、ケイ酸塩複合材、セラミック、天然建材、木材、木材複合材、木材高分子の疎水化のため、
・ポリマーを含有する組成物における添加剤として、
・塗料、複合材の材料において、
・水遮断体若しくは水蒸気遮断体を作製するため、
・水遮蔽体を作製するための薬剤における添加剤として、
・水遮断体、及び水蒸気遮断体を作製するための接着剤における添加剤として、
・乾燥剤、消泡剤、ケア用品添加物として、特に化粧品調製物、テキスタイル調製物、又は天然若しくは合成の皮革のための調製物において、
・テキスタイル添加物、又は繊維添加物として、
用いる、前記使用。