特許第6238944号(P6238944)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238944
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】車両用サブフレームの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 21/00 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   B62D21/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-208716(P2015-208716)
(22)【出願日】2015年10月23日
(65)【公開番号】特開2017-81225(P2017-81225A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2016年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】実吉 勇一郎
(72)【発明者】
【氏名】谷川 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】堀部 浩由
(72)【発明者】
【氏名】長尾 聡彦
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−152841(JP,A)
【文献】 特開2004−066932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00−25/08
B62D 25/14−29/04
B60K 11/00−15/10
B62D 65/00−67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と別体に構成され、車体前部のパワープラント収容室の下方に取り付けられる車両用サブフレームの製造方法であって、
車両の前後方向に延在する左右の縦メンバと、
前記車両の車幅方向に延在すると共に、前記左右の縦メンバの前部を繋ぐフロント横メンバと、
前記車両の車幅方向に延在すると共に、前記左右の縦メンバの後部を繋ぐリヤ横メンバと、
を備え、
前記フロント横メンバは、
パワープラントを支持する支持点を有する第1のフロント横メンバと、
パワープラントを支持する支持点を有しない第2のフロント横メンバとを備え
少なくとも、車種が燃料電池車及び電気自動車の場合、前記第1のフロント横メンバを選択し、プラグインハイブリッド自動車の場合、前記第2のフロント横メンバを選択したことを特徴とする車両用サブフレームの製造方法
【請求項2】
請求項1記載の車両用サブフレームの製造方法において、
前記車体は、前記パワープラント収容室を構成して前記左右の縦メンバよりも上方で車両の前後方向に延在する左右のフロントサイドフレームを含み、
前記第1のフロント横メンバよりも剛性が低い前記第2のフロント横メンバを備えた場合、前記左右のフロントサイドフレームは、前記パワープラントを支持する支持点を有することを特徴とする車両用サブフレームの製造方法
【請求項3】
請求項1記載の車両用サブフレームの製造方法において、
前記第1のフロント横メンバを備えた場合、前記パワープラントは、走行用電動モータであることを特徴とする車両用サブフレームの製造方法
【請求項4】
請求項1又は請求項2記載の車両用サブフレームの製造方法において、
前記第2のフロント横メンバを備えた場合、前記パワープラントは、内燃機関であることを特徴とする車両用サブフレームの製造方法
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の車両用サブフレームの製造方法において、
前記第1のフロント横メンバを備えた場合、前記第1のフロント横メンバは、摩擦撹拌接合によって前記左右の縦メンバと接合され、 前記第2のフロント横メンバを備えた場合、前記第2のフロント横メンバは、ボルト及びナットによって前記左右の縦メンバと接合されることを特徴とする車両用サブフレームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体前部のパワープラント収容室の下方に取り付けられる車両用サブフレームの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、エンジンルーム内にエンジンとミッションとの組み合わせが異なる複数種類のパワープラントを、エンジンマウントブラケットを介して車体に取り付ける構造が開示されている。
【0003】
具体的には、複数種類のパワープラントを支持可能な車体に対し、エンジンマウントブラケットの取り付け位置をパワープラントのトルクロール軸に対応して調整可能な複数組の取付孔を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61−75323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、エンジン、ハイブリッドエンジン、モータ等のパワープラントのバリエーションが増大すると共に、そのサイズも多岐にわたっている。
【0006】
このため、予め選定されたパワープラントの仕様毎にパワープラントをマウントするためのサブフレーム構造を検討する必要があり、生産工程の増加や、製造コストの高騰が懸念されている。
【0007】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、生産工程を簡素化して、製造コストを低減することが可能な車両用サブフレームの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明は、車体と別体に構成され、車体前部のパワープラント収容室の下方に取り付けられる車両用サブフレームの製造方法であって、車両の前後方向に延在する左右の縦メンバと、前記車両の車幅方向に延在すると共に、前記左右の縦メンバの前部を繋ぐフロント横メンバと、前記車両の車幅方向に延在すると共に、前記左右の縦メンバの後部を繋ぐリヤ横メンバと、を備え、前記フロント横メンバは、パワープラントを支持する支持点を有する第1のフロント横メンバと、パワープラントを支持する支持点を有しない第2のフロント横メンバとを備え、少なくとも、車種が燃料電池車及び電気自動車の場合、前記第1のフロント横メンバを選択し、プラグインハイブリッド自動車の場合、前記第2のフロント横メンバを選択したことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、車両用サブフレームは、第1のフロント横メンバと第2のフロント横メンバとを択一的に備えることで、パワープラントの種類に対応した特性を有する車両用サブフレームを構成することができる。これにより、複数の車種に共通の車両用サブフレームを適用することができ、車両に搭載されるパワープラントに最適なサブフレーム特性を択一的に選択することが可能になると共に、生産工程を簡素化して製造コストを低減することができる。
【0010】
また、本発明は、前記車体が、前記パワープラント収容室を構成して前記左右の縦メンバよりも上方で車両の前後方向に延在する左右のフロントサイドフレームを含み、前記第1のフロント横メンバよりも剛性が低い前記第2のフロント横メンバを備えた場合、前記左右のフロントサイドフレームは、前記パワープラントを支持する支持点を有することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、左右のフロントサイドフレームがパワープラントを支持する支持点を有することで、第2のフロント横メンバの剛性を第1のフロント横メンバの剛性よりも低くすることができる。
【0012】
さらに、本発明は、前記第1のフロント横メンバを備えた場合、前記パワープラントが、走行用電動モータであることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、車両用サブフレームが第1のフロント横メンバを備えることで、車両用サブフレームの支持点によって走行用電動モータを好適に支持することができる。
【0014】
さらにまた、本発明は、前記第2のフロント横メンバを備えた場合、前記パワープラントが、内燃機関であることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、車両用サブフレームが第2のフロント横メンバを備える場合、左右のフロントサイドフレームによって内燃機関(例えば、エンジン)が好適に支持されるため、第2のフロント横メンバの剛性を低くすることができる。
さらにまた、本発明は、前記第1のフロント横メンバを備えた場合、前記第1のフロント横メンバは、摩擦撹拌接合によって前記左右の縦メンバと接合され、前記第2のフロント横メンバを備えた場合、前記第2のフロント横メンバが、ボルト及びナットによって前記左右の縦メンバと接合されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、生産工程を簡素化して、製造コストを低減することが可能な車両用サブフレームの製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る車両用サブフレームの製造方法が適用された車両用サブフレームにおいて、第1のフロント横メンバを備えたサブフレームの斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る車両用サブフレームの製造方法が適用された車両用サブフレームにおいて、第2のフロント横メンバを備えたサブフレームの斜視図である。
図3図1に示すサブフレームが適用された燃料電池車の概略構成図である。
図4図3に示す燃料電池車両の車両前部の透過斜視図である。
図5図1に示すサブフレームが適用された電気自動車の概略構成図である。
図6図5に示す電気自動車の車両前部の透過斜視図である。
図7図2に示すサブフレームが適用されたプラグインハイブリッド自動車の概略構成図である。
図8図7に示すプラグインハイブリッド自動車の車両前部の透過斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両用サブフレームの製造方法が適用された車両用サブフレームにおいて、第1のフロント横メンバを備えたサブフレームの斜視図、図2は、本発明の実施形態に係る車両用サブフレームの製造方法が適用された車両用サブフレームにおいて、第2のフロント横メンバを備えたサブフレームの斜視図である。
【0019】
なお、各図中において、「前後」は、車両前後方向、「左右」は、車両左右方向(車幅方向)、「上下」は、車両上下方向を、それぞれ示している。以下、第1のフロント横メンバを備えたサブフレーム、第2のフロント横メンバを備えたサブフレームの順に説明する。
【0020】
図1に示されるように、一方のサブフレーム(車両用サブフレーム)10aは、車幅方向の両端部の左側及び右側にそれぞれ配置され、車両前後方向に延在する左右の縦メンバ12、12と、車両の車幅方向に沿って延在すると共に、左右の縦メンバ12、12の前部を繋ぐ第1のフロント横メンバ14aと、車両の車幅方向に沿って延在すると共に、前記左右の縦メンバ12、12の後部を繋ぐリヤ横メンバ16とを備えている。サブフレーム10aは、後記するように、車体と別体に構成され、車体前部のパワープラント収容室の下方に取り付けられる。
【0021】
左右の縦メンバ12、12、第1のフロント横メンバ14a、及び、リヤ横メンバ16は、閉断面を有する中空部材であり、例えば、アルミニウム等の軽金属からなる上側部材と、鉄鋼等の金属からなる下側部材とを、上側部材側から摩擦撹拌接合することによって一体的に結合されている。なお、異種金属同士を一体的に結合してもよいし、又は、同種の金属同士を一体的に結合するようにしてもよい。左右の縦メンバ12、12は、左側と右側とにおいて相互に対称形状(ミラー形状)となるように形成されている。
【0022】
第1のフロント横メンバ14aの上面には、パワープラント(後記する)を支持する支持点として機能する一組の支持部18、18が所定距離だけ離間して配置されている。各支持部18には、パワープラント(後記する走行用モータ38)を支持する図示しないマウントが装着される。第1のフロント横メンバ14aの軸方向に沿った両端は、左右の縦メンバ12、12の内側側面に対して、例えば、溶接等によって強固に結合されている。
【0023】
後記するように、左右の縦メンバ12、12の上方には、車体を構成する左右のフロントサイドフレーム20、20が設けられる(図4図6図8参照)。この左右のフロントサイドフレーム20、20は、左右の縦メンバ12、12と略平行に車両前後方向に沿って延在するように設けられている。リヤ横メンバ16の車幅方向に沿った両端には、左右のフロントサイドフレーム20、20の下面にそれぞれ連結される一組のフレーム連結部22、22が設けられている。また、リヤ横メンバ16の車両後方端部には、車両後方に向かって突出し、ボルト及びナットを介して図示しないダッシュクロスメンバに締結される一組のダッシュ連結部24、24が設けられている。
【0024】
図2に示されるように、他方のサブフレーム(車両用サブフレーム)10bは、車幅方向の両端部の左側及び右側にそれぞれ配置され、車両前後方向に延在する左右の縦メンバ12、12と、車両の車幅方向に沿って延在すると共に、左右の縦メンバ12、12の前部を繋ぐ第2のフロント横メンバ14bと、車両の車幅方向に沿って延在すると共に、前記左右の縦メンバ12、12の後部を繋ぐリヤ横メンバ16とを備えている。サブフレーム10bは、車体と別体に構成され、車体前部のパワープラント収容室の下方に取り付けられる。なお、図2において、図1に示すサブフレーム10aと同一の構成要素には、同一の参照符号を付している。
【0025】
図1に示すサブフレーム10aと図2に示すサブフレーム10bでは、左右の縦メンバ12、12、及び、リヤ横メンバ16が同じもので構成され、第1のフロント横メンバ14aと第2のフロント横メンバ14bとが相違している。サブフレーム10a、10bのフロント横メンバとしては、第1のフロント横メンバ14aと、第2のフロント横メンバ14bとのいずれか一方を択一的に備えている。
【0026】
第2のフロント横メンバ14bは、左右の縦メンバ12、12の前部を車幅方向に沿って懸架する連結バー26と、平面視して連結バー26から車両後方に向かって略八の字状に延在する一組のブレースバー28、28とから構成されている。車幅方向に沿った連結バー26の両端は、ボルト30及びナット(図示せず)を介して左右の縦メンバ12、12の前部フランジ32に締結されている。
【0027】
また、一組のブレースバー28、28の一端は、連結バー26の中間部に締結されている。連結バー26の後端は、ボルト32及びナット(図示せず)を介して、左右の縦メンバ12、12の内側側部のブラケット34に締結されている。連結バー26及び一組のブレースバー28、28は、第1のフロント横メンバ14aと比較して、連結バー26及び一組のブレースバー28、28の軸方向と直交する幅寸法が狭小で細く形成されている。このため、連結バー26及び一組のブレースバー28、28から構成される第2のフロント横メンバ14bは、パワープラント(後記する)を支持する支持部(支持点)を有することがなく、第1のフロント横メンバ14aよりも剛性が低くなっている。
【0028】
本実施形態に係る車両用サブフレームの製造方法が適用されたサブフレーム10a、10bは、基本的に以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
【0029】
図3は、図1に示すサブフレームが適用された燃料電池車の概略構成図、図4は、図3に示す燃料電池車両の車両前部の透過斜視図である。
【0030】
図4に示されるように、燃料電池車(Fuel Cell Vehicle;FCV)には、サブフレームとして、第1のフロント横メンバ14aを有するサブフレーム10aが選択される。サブフレーム10aの車両前方端部(左右の縦メンバ12、12の車両前方端部)は、図示しないバルクヘッドに結合されると共に、車両前方端部側(左右の縦メンバ12、12の車両前方端部側)の上面は、左右のフロントサイドフレーム20、20の下方屈曲部36に結合されている。左右のフロントサイドフレーム20、20の車両後方端部(リヤ横メンバ16の後方端部)は、リヤ横メンバ16の一組のダッシュ連結部24、24を介して、図示しないダッシュクロスメンバに締結されている。
【0031】
燃料電池車FCVは、図3に示されるように、パワープラントとして機能する走行用モータ(走行用電動モータ)38と、燃料電池スタック40と、燃料電池スタック40で発生した電力が充電されるバッテリ42と、燃料電池スタック40のアノードに対して水素(燃料ガス、反応ガス)を供給する大小2つの水素タンク44、46とを備える。なお、参照符号48は、車両後端部に配置される荷室(トランク)を示している。
【0032】
走行用モータ38と燃料電池スタック40は、クリアランスを介して車両上下方向で重畳(積層)する位置にそれぞれ配置されている。下側に位置する走行用モータ38は、第1のフロント横メンバ14aの一組の支持部18、18にそれぞれ装着される図示しないマウントを介して、サブフレーム10aに支持されている。上側に位置する燃料電池スタック40は、リヤ横メンバ16に装着される図示しないリヤマウント及び一組のフレーム連結部22、22を介して、左右のフロントサイドフレーム20、20に支持されている。なお、走行用モータ38は、例えば、永久磁石同期式の三相交流モータであり、三相交流電力で燃料電池車の駆動輪(前輪)を回転駆動させる。
【0033】
図5は、図1に示すサブフレームが適用された電気自動車の概略構成図、図6は、図5に示す電気自動車の車両前部の透過斜視図である。
【0034】
図6に示されるように、電気自動車(Battery Electric Vehicle;BEV)には、燃料電池車FCVと同様に、サブフレームとして、第1のフロント横メンバ14aを有するサブフレーム10aが選択される。すなわち、燃料電池車FCVと電気自動車BEVのサブフレーム10aを、互いに共通化することが可能となる。
【0035】
この電気自動車BEVは、パワープラントとして機能する走行用モータ38を駆動する高圧バッテリ50と、例えば、スピーカやランプ等の低圧補機に対して電力を供給する低圧バッテリ52(図5参照)と、家庭用コンセントにプラグを差し込んで高圧バッテリを充電可能とするバッテリチャージャ54とを備える。走行用モータ38は、第1のフロント横メンバ14aの一組の支持部18、18にそれぞれ装着される図示しないマウントを介して、第1のフロント横メンバ14aを有するサブフレーム10aに支持されている。
【0036】
図7は、図2に示すサブフレームが適用されたプラグインハイブリッド自動車の概略構成図、図8は、図7に示すプラグインハイブリッド自動車の車両前部の透過斜視図である。
【0037】
図8に示されるように、プラグインハイブリッド自動車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle;PHEV)には、サブフレームとして、第2のフロント横メンバ14bを有するサブフレーム10bが選択される。サブフレーム10bの車両前方端部(左右の縦メンバ12、12の車両前方端部)は、図示しないバルクヘッドに結合されると共に、車両前方端部側(左右の縦メンバ12、12の車両前方端部側)の上面は、左右のフロントサイドフレーム20、20の下方屈曲部36に結合されている。サブフレーム10bの車両後方端部(リヤ横メンバ16の後方端部)は、リヤ横メンバ16の一組のダッシュ連結部24、24を介して、図示しないダッシュクロスメンバに締結されている。
【0038】
図7に示されるように、プラグインハイブリッド自動車PHEVは、エンジン(内燃機関、パワープラント)56、走行用モータ(走行用電動モータ、パワープラント)58、及び、発電用モータ60が一体的に組み付けて構成されたパワープラントユニットと、走行用モータ58を駆動するバッテリ62と、エンジン56に対して供給する燃料を貯留する燃料タンク64と、家庭用コンセントにプラグを差し込んでバッテリ62を充電可能とするバッテリチャージャ66とを備える。
【0039】
エンジン56、走行用モータ58、及び、発電用モータ60は、それぞれ直列に配置され、状況に応じて複数の走行モードの中から、最も効率の良いモードを自動的に選択して走行する。この複数の走行モードは、例えば、バッテリ62から走行用モータ58に電力を供給して走行するモードと、エンジン56で発電用モータ60を駆動し、発電用モータ60で発生した電力を走行用モータ58に供給して走行するモードと、図示しないクラッチ機構を直結させてエンジン56の回転駆動力をタイヤに直接伝達して走行するモードとを含む。
【0040】
エンジン56は、図示しない一組のマウントを介して左右のフロントサイドフレーム20、20にそれぞれ支持されると共に、リヤ横メンバ16に装着された支持マウント68を介して、トルクロッド70によって支持されている。エンジン56がトルクロッド70で支持されることで、エンジン56の回転方向の振動が吸収される。
【0041】
プラグインハイブリッド自動車PHEVでは、トルクロッド70を除き、一体的に結合されたエンジン56、走行用モータ58、及び、発電用モータ60が、左右のフロントサブフレーム20、20に支持される。このため、第1のフロント横メンバ14aに代替して、第1のフロント横メンバ14aよりも剛性が低い第2のフロント横メンバ14bを配置することができる。
【0042】
このように、本実施形態では、サブフレーム10a、10bが、第1のフロント横メンバ14aと第2のフロント横メンバ14bとを択一的に備えることで、パワープラントの種類に対応した特性を有するサブフレームを構成することができる。これにより、複数の車種(燃料電池車FCVと電気自動車BEV)に共通のサブフレーム10aを適用することができ、車両に搭載されるパワープラントに最適なサブフレーム特性を択一的に選択することが可能になると共に、生産工程を簡素化して製造コストを低減することができる。
【0043】
また、本実施形態では、図8のプラグインハイブリッド自動車PHEVに示されるように、左右のフロントサイドフレーム20、20がエンジン56を支持することで、第2のフロント横メンバ14bの剛性を第1のフロント横メンバ14aの剛性よりも低くすることができる。
【0044】
さらに、本実施形態では、図6の電気自動車BEVに示されるように、サブフレーム10aが第1のフロント横メンバ14aを備えることで、第1のフロント横メンバ14aに設けられた一組の支持部18、18によって走行用モータ38を好適に支持することができる。
【0045】
さらにまた、本実施形態では、図8のプラグインハイブリッド自動車PHEVに示されるように、サブフレーム10bが第2のフロント横メンバ14bを備える場合、左右のフロントサイドフレーム20、20によってエンジン56が好適に支持されるため、第2のフロント横メンバ14bの剛性を低くすることができる。
【0046】
なお、図8に示されるプラグインハイブリッド自動車PHEVにおいて、サブフレーム10bが第2のフロント横メンバ14bを備える場合であっても、サブフレーム10aの左右の縦メンバ12、12及びリヤ横メンバ16を共通化させることで、より一層生産工程を簡素化して製造コストを低減することができる。
【符号の説明】
【0047】
10a、10b サブフレーム
12 縦メンバ
14a 第1のフロント横メンバ
14b 第2のフロント横メンバ
16 リヤ横メンバ
18 支持部(支持点)
20 フロントサイドフレーム
38、58 走行用モータ(走行用電動モータ、パワープラント)
FCV 燃料電池車(車両)
BEV 電気自動車(車両)
PHEV プラグインハイブリッド自動車(車両)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8