(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238957
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】コンプレッサアッセンブリ内の空気供給装置のための防音特性を有する吸気ボックス
(51)【国際特許分類】
F04B 39/00 20060101AFI20171120BHJP
F04C 29/06 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
F04B39/00 101N
F04C29/06 A
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-503883(P2015-503883)
(86)(22)【出願日】2013年4月4日
(65)【公表番号】特表2015-512492(P2015-512492A)
(43)【公表日】2015年4月27日
(86)【国際出願番号】EP2013057130
(87)【国際公開番号】WO2013150111
(87)【国際公開日】20131010
【審査請求日】2016年4月1日
(31)【優先権主張番号】102012007027.6
(32)【優先日】2012年4月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503159597
【氏名又は名称】クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア シーネンファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr−Bremse Systeme fuer Schienenfahrzeuge GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】マティアス フリッツ
(72)【発明者】
【氏名】メラニー ギブソン
【審査官】
松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭58−172004(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0045042(US,A1)
【文献】
独国特許出願公開第10205591(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00
F04C 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッサアッセンブリ内の空気供給装置(2)の吸気ボックス(1)であって、
平板状の底板を有する下カバー(5)であって、前記底板から垂直に延在し且つ互いに対向している2つの側板と、前記底板から垂直に延在し且つ前記2つの側板の間を前記底板の一方の端部側において延在している閉鎖板(9)とを有する下カバー(5)と、
該下カバー(5)の前記2つの側板及び前記閉鎖板(9)に対して当接して配置されている平板状の上カバー(6)と、
前記吸気ボックス(1)における空気の流れ方向で見て上流側に位置し、前記閉鎖板(9)に対向して配置されている吸気グリル(3)と、
前記吸気ボックス(1)における空気の流れ方向で見て下流側に位置し、コンプレッサ側に配置される空気吸込み管(4)と、
を備え、前記吸気グリル(3)及び前記空気吸込み管(4)は、下カバー(5)と上カバー(6)との間に配置されている、
吸気ボックス(1)において、
前記吸気グリル(3)と前記空気吸込み管(4)との間に、騒音エミッションを最小化する防音ボックス(8)が配置されており、該防音ボックス(8)の長さ及び幅の寸法は、それぞれ、該防音ボックス(8)の深さの寸法の少なくとも3倍の大きさであり、この場合、前記防音ボックス(8)の深さは、前記下カバー(5)と前記上カバー(6)とが離間する方向における距離であり、前記防音ボックス(8)の長さは、前記吸気グリル(3)と前記閉鎖板(9)とが離間する方向における距離であり、前記防音ボックス(8)の幅は、前記下カバー(5)の2つの側板が離間する方向における距離であり、
前記吸気グリル(3)と前記防音ボックス(8)との間に、前記底板から垂直に延在し且つ前記下カバー(5)の前記2つの側板の間を部分的に延在している第1の空気案内部を有する空気案内板(7)が配置され、前記吸気グリル(3)と前記空気案内板(7)との間に流入領域(B)が生じ、前記空気案内板(7)と前記防音ボックス(8)との間にラビリンス(C)が生じることを特徴とする、コンプレッサアッセンブリ内の空気供給装置の吸気ボックス。
【請求項2】
前記防音ボックス(8)と前記閉鎖板(9)との間に緩和領域(D)が生じ、該緩和領域(D)内に前記空気吸込み管(4)が配置されている、請求項1記載の吸気ボックス。
【請求項3】
前記空気案内板(7)は、前記第1の空気案内部から連続して、前記吸気グリル(3)と前記閉鎖板(9)とが離間する方向と平行な方向に延在している第2の空気案内部を有しており、該第2の空気案内部は前記防音ボックス(8)の一部分と平行に延在しており、これにより、前記第2の空気案内部は前記防音ボックス(8)の前記一部分とともにサウンドトラップを形成し、前記第2の空気案内部と前記防音ボックス(8)の前記一部分との間の間隔(x)は、前記第2の空気案内部の長さ(y)より小さい、請求項1又は2記載の吸気ボックス。
【請求項4】
前記防音ボックス(8)は、少なくとも1つの空気流入開口(10)を有し、少なくとも1つの前記空気流入開口(10)は、前記空気吸込み管(4)の最小の横断面の大きさと少なくとも同じ面積を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の吸気ボックス。
【請求項5】
前記防音ボックス(8)は、前記下カバー(5)と前記上カバー(6)とにそれぞれ少なくとも1つの防音材プレート(11)を有し、該防音材プレート(11)間に空気室が形成され、該空気室の横断面は、前記空気吸込み管(4)の最小の横断面より大きい、請求項1から4までのいずれか1項記載の吸気ボックス。
【請求項6】
前記防音材プレート(11)の表面に沿って前記空気室を通る音波の経路は、両前記防音材プレート(11)間の間隔の少なくとも2倍の長さである、請求項5記載の吸気ボックス。
【請求項7】
負圧又は老化現象に起因する前記防音材プレート(11)の引寄せを回避する少なくとも1つのスペーサピン(12)が、前記防音材プレート(11)間に配置されている、請求項5又は6記載の吸気ボックス。
【請求項8】
前記防音ボックス(8)の内室は、完全に又は部分的に防音材料及び/又は焼結材料で満たされている、請求項1から7までのいずれか1項記載の吸気ボックス。
【請求項9】
前記吸気グリル(3)の貫流可能な開口の横断面は、前記空気吸込み管(4)の最小の横断面の少なくとも2倍の大きさである、請求項1から8までのいずれか1項記載の吸気ボックス。
【請求項10】
前記吸気グリル(3)は、前記空気吸込み管(4)に向かって間隔(z)の分だけ、前記下カバー(5)の前記底板の他方の端部側から前記閉鎖板(9)の方向にセットバックされており、これにより前室(A)が形成され、該前室(A)には、前記吸気グリル(3)の手前に、前記前室(A)内に侵入した湿分の排出を可能にする長穴状の間隙(13)が配置されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の吸気ボックス。
【請求項11】
前記吸気ボックス(1)の構造は、2部分より構成されており、
前記防音ボックス(8)は、前記下カバー(5)と前記上カバー(6)とにそれぞれ少なくとも1つの防音材プレート(11)を有しており、
前記上カバー(6)に、前記吸気グリル(3)と、前記空気案内板(7)と、前記閉鎖板(9)と、上側の前記防音材プレート(11)を含む前記防音ボックス(8)の上側の部分とが取り付けられている、請求項1から10までのいずれか1項記載の吸気ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンプレッサアッセンブリ内の空気供給装置の吸気ボックスであって、吸気グリルと、コンプレッサ側に配置される空気吸込み管と、を備え、吸気グリル及び空気吸込み管は、下カバーと上カバーとの間に配置されている、吸気ボックスに関する。
【0002】
本発明の利用分野は、車両製造、特にレール車両製造に及ぶ。レール車両では、騒音防止、特に住宅地を走行するレール車両における騒音防止に関する高まる要求が、コンプレッサアッセンブリの音を最適化するためにますます高い手間及びコストを強いている。乗客輸送の分野では、最大で許容可能な音の放射に関する特に高い要求がある。
【0003】
発明の背景
過去、レール車両の分野では、単純な袋形の捕集器(Tuetenfangschutz)が使用されてきた。袋形の捕集器は、一部において効果的とは言い難いサウンドトラップ(Schallfalle)を提供する。この場合、外壁に取り付けられている扁平な円筒体を通して、空気が吸い込まれる。小さな吸気面積により、必要な吸気面積の閉塞の恐れがある。さらに、防音材料で被覆された略正方形の吸気消音器も使用される。構造形態に基づいてこの消音器は、存在する設備に組み込むことが困難である。消音する別の可能性は、吸気部の手前に接続される吸気消音器により提供される。この場合、空気は、大容積の、大抵の場合円形の容器内に導入される。音は、何度も反射されて静められ、これにより音波のサウンドレベルを低下させる。
【0004】
一般に公知の従来技術では、レール車両に、特にブレーキ装置の圧縮空気供給部のために、カプセル状に包囲された空気供給装置を組み付けることが公知である。この空気供給装置は、コンプレッサユニットと、フレームと、しばしばエアドライヤ又はタンクとから構成されている。空気供給装置は、しばしば周囲に対する付加的な遮蔽なしに列車の床下に位置決めされているため、カプセル状に包囲される。このカプセルは、走行風により巻き上げられた小さな物体や、気象影響からコンプレッサを保護し、加えて騒音低下に役立ち、冷却空気を有意に案内するためにも使用可能である。
【0005】
防音技術的な理由から、カプセルは、防音材料で被覆される。しかし、このことは、構成スペースが限られていることや、機能を優先しなければならないことから、不可能な場合もあれば、その労力やコストに見合わない場合もある。さらに、カプセル状に包囲された空気供給装置は、技術的な理由からしばしば様々な開口や穴を有しており、これらを通して音が妨げられることなく漏れ出てしまう可能性がある。開口や穴の例は、空気排出開口及び空気吸込み開口である。空気吸込み開口は、ピストンコンプレッサが煩わしい弁騒音及び吸気騒音を発生させるため、より深刻である。確かに従来も、音を弱めることはできたが、現行の消音器では、許容可能なレベルまでは弱めることができない。さらに現行の消音器は、嵩張り、付加的な構成スペースを要求する。このような付加的な構成スペースは、カプセル状に包囲された空気供給装置の内室内に限られた場合にのみ存在するにすぎない。
【0006】
発明の開示
それゆえ本発明の課題は、特にカプセル状に包囲されたコンプレッサアッセンブリのための、空気供給装置のカプセル壁に組み込み可能な、フラットな構造のコンパクトな吸気ボックスを提供することである。
【0007】
この課題は、請求項1の前提部に記載の空気供給装置の吸気ボックスをベースに、請求項1の特徴部に記載の特徴との関連において解決される。本発明の好ましい態様は、従属請求項に係る発明である。
【0008】
本発明によれば、吸気グリルと空気吸込み管との間に、騒音エミッションを最小化する防音ボックス(Schalldaemmkasten)が配置されており、防音ボックスの長さ及び幅の寸法は、防音ボックスの深さの寸法の少なくとも3倍の大きさである。吸気ボックスのこの特にフラットな形状は、空気供給装置のカプセル壁への吸気ボックスの省スペースな組込みを可能にする。
【0009】
本発明を改良する一構成では、吸気グリルと防音ボックスとの間に、騒音エミッションを最小化する空気案内板が配置され、吸気グリルと空気案内板との間に流入領域が生じ、空気案内板と防音ボックスとの間にラビリンスが生じ、防音ボックスと閉鎖板との間に緩和領域(Entspannungsbereich)が生じ、緩和領域内に空気吸込み管が配置されていることが提案される。
【0010】
この分割により、大容積を有する吸気ボックス内に、様々な作用領域が生じ、音波の経路は、これらの作用領域により延長され、これによりさらに音波のサウンドレベルを下げることができる。流入領域において空気は、吸気グリルを通して流入領域に流入する。吸気グリルは、異物の直接的な吸込みを困難にして、ボックスの内部で比較的大きな異物が集積してしまうのを回避するためのものである。加えて吸気グリルにより、小動物の営巣も防止される。吸気装置の最適な機能を保証するために、吸気ボックスの位置は、高温の空気出口からできる限り離間させて装置固有に選択することが望ましい。高温の空気出口として、60℃を超える空気温度を有する空気出口が該当する。
【0011】
吸気グリルの後には、空気案内板により画定されている流入領域が配置されている。空気案内板は、一方では、洗浄作業時又は降雨時に防音ボックスを直接的な湿分の影響から保護し、他方では、吸い込んだ空気をラビリンスへ導く。ラビリンス及び防音ボックスを通して空気は、コンプレッサの空気吸込み管が配置されている緩和領域に到達する。コンプレッサにより発生される騒音エミッションは、逆の経路を辿る。騒音エミッションは、緩和領域において球状に拡散あるいは膨張して、防音ボックスを通過する。防音ボックス内で音波のサウンドレベルは、低下され、これにより騒音エミッションは、低減する。
【0012】
さらに好ましくは、空気案内板は、開放端において防音ボックスとともにサウンドトラップを形成し、空気案内板と防音ボックスとの間の間隔xは、空気案内板のサウンドトラップの長さyより小さい。このアッセンブリの防音作用を達成するために、x<yの関係は、極めて重要である。防音作用は、ラビリンス内の長さyの領域において空気案内板に防音マットを配置することにより強化可能である。
【0013】
本発明をさらに改良する一構成では、防音ボックスが、少なくとも1つの空気流入開口を有し、少なくとも1つの空気流入開口が、空気吸込み管の最小の横断面の大きさと少なくとも同じ面積を有することが提案される。少なくとも1つの空気流入開口を通して、コンプレッサによる吸込み時に空気が案内され、コンプレッサの音波が案内される。音波の経路を付加的に延長するために、少なくとも1つの空気流入開口は、好ましくは防音ボックスの上側の区分に配置されている。
【0014】
少なくとも1つの空気流入開口の横断面の大きさは、騒音エミッションの漏れが少なくなるようにできる限り小さく、しかしながら十分に空気を吸い込むために必要な大きさに構成されている。それゆえ、少なくとも1つの空気流入開口の大きさは、空気吸込み管の最小の横断面に等しい。空気流入開口が不十分なサイズに寸法設定されてしまうと、流動抵抗及び吸気騒音が増大する。
【0015】
本発明の解決手段の利点は、特に、防音ボックスが、下カバーと上カバーとにそれぞれ少なくとも1つの防音材プレート(Daemmstoffplatte)を有し、防音材プレート間に空気室が形成され、空気室の横断面が、空気吸込み管の最小の横断面より大きいことにある。防音材プレートは、例えばメラミンフォームからなっており、湿分又は組立て時の損傷から保護するためにフリース又はアルミニウムからなる付加的なコーティングを施してもよい。下カバーを空気供給装置のハウジング壁により代用してもよい。
【0016】
横断面の最小限必要な大きさと、利用可能な組付け高さとにより、防音材プレートの厚さを考慮すると、間隙の寸法が得られる。できる限り良好な防音技術的な特性を達成するために、できる限り大きな防音材プレートの厚さは、約20mmである。しかし、付言しておくと、防音材プレートが厚ければ厚いほど、防音技術的な特性は、より良好である。防音ボックス内への防音材プレートの大面積の配置により、音波は、少なくとも2度、防音材プレートを通過し、音波のサウンドレベルは、反射の度に低減される。
【0017】
さらに好ましくは、防音ボックスの内室は、完全に又は部分的に防音材料及び/又は焼結材料で満たされている。好ましくは、防音のために防音ボックスの内室全体を空気透過性の焼結材料、好ましくは焼結青銅か、又は場合によっては空気透過性の布帛で満たしてもよい。このような空気透過性の布帛は、好ましくはポリマー、特にポリエチレン及び/又はPTFEからなる編物であってもよい。異なる周波数をフィルタリングし、振幅を下げる防音材料の組み合わせが特に有利である。
【0018】
好ましくは、防音材プレートに沿って接線方向で空気室を通る音波の経路は、両防音材プレート間の間隔の少なくとも2倍の長さである。両防音材プレート間の音の経路が長ければ長いほど、防音作用もより良好である。これは、音波がより多くの回数防音材プレート間で反射され、音波のサウンドレベルが反射の度に低減されるからである。
【0019】
本発明は、負圧又は老化現象に起因する防音材プレートの引寄せを回避する少なくとも1つのスペーサピンが、防音材プレート間に配置されているという技術的思想を含む。スペーサピンは、対向する構造半部のそれぞれ他方の防音材プレートを支持するように配置されている。スペーサピンの数及び位置は、吸込み管の最小の横断面が、防音材プレート間の空気室の横断面と少なくとも同じ大きさを有するように、選択されている。
【0020】
さらに、吸気グリルの貫流可能な開口の横断面は、空気吸込み管の最小の横断面の少なくとも2倍の大きさであることが提案される。吸気グリルの開口の、異物の吸込みにより場合によっては起こり得る閉塞時、吸気グリルの開口の2倍の大きさの面積は、コンプレッサが十分に空気を吸い込むことができる十分な信頼性を提供する。
【0021】
本発明の好ましい態様において、吸気グリルは、空気吸込み管に向かって間隔zの分だけセットバックされており、これにより前室が形成され、前室には、吸気グリルの手前に、前室内に侵入した湿分の排出を可能にする長穴状の間隙が配置されている。吸気グリルのセットバックは、異物が吸い込まれる前に前室内に侵入できる程小さくなければならないので、異物に対する付加的な保護を提供する。
【0022】
本発明の解決手段の騒音エミッションの効果的な最小化の利点は、特に、コンプレッサに端を発して空気吸込み管から出た音波が、防音ボックスを通して伝播され、防音ボックス内に設けられた防音材プレートの大面積の配置が、音波のサウンドレベルを低減することから得られる。
【0023】
空気吸込み管が配置されている緩和領域の役割は、コンプレッサ由来の音波を静めることであり、これにより音波を静めた後で防音ボックスに導入することができる。防音ボックス内では、防音材プレートに起因して、音波のサウンドレベルの低減が起こる。狭い空気流入開口は、防音ボックスに対する音波の出入りを困難にし、その結果、付加的に防音作用を発現する。防音材プレートの沿面の、緩和領域に面した縁は、空気の流れを阻害しないように、防音ボックスに設けられた空気流入開口と少なくとも同じ長さを有している。
【0024】
好ましくは、吸気ボックスの構造は、2部分より構成されており、上カバーに、吸気グリルと、空気案内板と、閉鎖板と、上側の防音材プレートを含む防音ボックスの上側の部分とが取り付けられている。2部分の構造は、防音材プレートの交換をかなり容易にし、良好な取扱い性により組付けの際の防音材プレートの損傷を防止する。
【0025】
本発明を改良するその他の構成については、以下にまとめて本発明の好ましい実施の形態の説明とともに図面を参照しながら詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】防音作用のある吸気ボックスが側面に配置された空気供給装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示した本発明に係る防音作用のある吸気ボックスの斜視拡大断面図である。
【0027】
好ましい実施の形態の詳細な説明
図1は、ハウジングの側面に吸気ボックス1が配置されている空気供給装置2を示している。平型の吸気ボックス1の長さは、吸気ボックス1の深さの少なくとも6倍に相当する。吸気ボックス1の高さは、空気供給装置2の高さによるが、吸気ボックス1の長さは、所与の高さよりも大きい。吸気ボックス1の上カバー6は、空気供給装置2の側面の外装を補っている。空気供給装置2のハウジング壁は、吸気ボックス1を空気供給装置2に向かって仕切っている。吸気ボックス1の平たい構成により、求められる付加的な組付けスペースは、最小で済む。
【0028】
図1に示した空気供給装置2の、
図2に詳細を示した吸気ボックス1は、4つの作用領域を有している。吸気グリル3の手前に配置される前室Aは、前室A内に侵入した湿分を逃がすために、吸気グリル3の直前に長穴状の間隙13を有している。前室Aは、吸気グリル3を間隔zの分だけセットバック、つまり後退させることにより形成される。吸気グリル3の後方には、空気案内板7によりラビリンスCから隔離された流入領域Bが配置されている。空気案内板7をこのように配置すると、前室Aから、緩和領域D内に配置される空気吸込み管4に至る経路は、延長される。ラビリンスCと緩和領域Dとの間には、下カバー5と上カバー6とに防音材プレート11が配置されていることにより、防音ボックス8が形成されている。
【0029】
防音材プレート11は、3つのスペーサピン12により支持されている。スペーサピン12は、防音材プレート11間に空気室が形成され、このとき空気室の横断面が空気吸込み管4の最小の横断面より大きくなるように、防音材プレート11間に構成されている。ラビリンスCに向かって防音ボックス8は、側壁に2つの空気流入開口10を有している。空気流入開口10は、空気吸込み管4の最小の横断面と少なくとも同じ大きさを有している。空気案内板7は、防音ボックス8とともにサウンドトラップを形成する。空気案内板7と防音ボックス8との間の間隔xは、空気案内板7のサウンドトラップの長さyより小さい。
【0030】
本発明は、前述の好ましい実施の形態に限定されない。むしろ、添付の特許請求の範囲の権利範囲に含まれる変化態様も可能である。例えば、ラビリンスC内の長さyの領域において空気案内板7に防音マットを配置することで防音作用を強めることも可能である。さらに、防音材プレート11を支持するために使用されるスペーサピン12をより少なくしても、より多くしてもよい。
【0031】
付言すると、「有する」とは別の要素を排除するものではなく、また単数で記載したものであっても、複数を排除するものではない。
【符号の説明】
【0032】
1 吸気ボックス
2 空気供給装置
3 吸気グリル
4 空気吸込み管
5 下カバー
6 上カバー
7 空気案内板
8 防音ボックス
9 閉鎖板
10 空気流入開口
11 防音材プレート
12 スペーサピン
13 間隙
A 前室
B 流入領域
C ラビリンス
D 緩和領域
x 間隔
y 長さ
z 間隔