特許第6238962号(P6238962)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238962
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】緩衝器における改良
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/32 20060101AFI20171120BHJP
   F16F 9/516 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   F16F9/32 N
   F16F9/32 C
   F16F9/516
   F16F9/32 P
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-507599(P2015-507599)
(86)(22)【出願日】2013年4月25日
(65)【公表番号】特表2015-518120(P2015-518120A)
(43)【公表日】2015年6月25日
(86)【国際出願番号】GB2013051057
(87)【国際公開番号】WO2013160685
(87)【国際公開日】20131031
【審査請求日】2016年4月21日
(31)【優先権主張番号】1207304.5
(32)【優先日】2012年4月25日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514129752
【氏名又は名称】タイタス インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スヴァラ,ヴアルター
(72)【発明者】
【氏名】コズロヴィチ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ペカル,デービッド
【審査官】 保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/118934(WO,A1)
【文献】 特開2002−061452(JP,A)
【文献】 特表2012−506523(JP,A)
【文献】 特開平09−303465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F1/00−13/04
17/00
F16F9/00−9/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストン組立品を有するシリンダを備え、前記ピストン組立品はそのなかの往復直線運動のために搭載されており、前記シリンダを別々の小室に分割し、前記別々の小室はその間に前記シリンダ内に含まれる減衰流体が通過するための制限された流路を有し、
前記シリンダに対する直線往復運動のために搭載されたピストンロッドを備え、
前記ピストンロッドは、前記ピストン組立品を隣接した接点と係合するように配置され、前記ピストンロッドと前記ピストン組立品との間の前記接点は、前記制限された流路から離れるように配置され
前記ピストン組立品は、バルブ本体とアクチュエータを含み、前記制限された流路はその間で形を定められ、
前記ピストンロッドの前記隣接した接点は、前記アクチュエータを備え、
前記ピストンロッドと前記アクチュエータの一方は、他方との隣接係合する点にフランジを備え、
前記ピストンロッドと前記アクチュエータの他方の端は、丸みを帯びた接触面を有し、
前記丸みを帯びた接触面は前記フランジに接触する、
ピストン/シリンダ型緩衝器。
【請求項2】
前記アクチュエータは、細長く、その縦軸が前記ピストンロッドの縦軸と一致して配置される、請求項1に記載の緩衝器。
【請求項3】
前記アクチュエータは、金属ロッド材からできており、前記バルブ本体の穴に嵌合し、前記制限された流路は前記穴の軸方向に伸長する溝によって形が定められる、請求項1又は請求項2に記載の緩衝器。
【請求項4】
前記アクチュエータは、前記バルブ本体に対して動くことができる、請求項1から3のいずれか一項に記載の緩衝器。
【請求項5】
前記アクチュエータは、軸方向に動くことができる、請求項1から4のいずれか一項に記載の緩衝器。
【請求項6】
前記アクチュエータは、端位置間を自由に動くことができる、請求項1から5のいずれか一項に記載の緩衝器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝器に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、下記のピストン/シリンダ型緩衝器を提供する:ピストン組立品を有するシリンダを備え、前記ピストン組立品はそのなかの往復直線運動のために搭載されており、前記シリンダを別々の小室に分割し、前記別々の小室はその間に前記シリンダ内に含まれる減衰流体が通過するための制限された流路を有し、前記シリンダに対する直線往復運動のために搭載されたピストンロッドを備え、前記ピストンロッドは、前記ピストン組立品を隣接した接点と係合するように配置され、前記ピストンロッドと前記ピストン組立品との間の前記接点は、前記制限された流路から離れるように配置される。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本発明に係る実施の態様を、例として、添付図面を参照しながら説明する。図面の内容は次のとおりである:
【0004】
図1】は本発明に係る緩衝器の第1実施形態の断面図である。
【0005】
図2】は図1の緩衝器のピストン組立品の詳細図である。
【0006】
図3】は本発明に係る緩衝器の更なる実施形態の断面図である。
図4】は本発明に係る緩衝器の更なる実施形態の断面図である。
図5】は本発明に係る緩衝器の更なる実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1に示す緩衝器は、線形ピストン/シリンダ型緩衝器であり、ピストン組立品10、ピストンロッド11およびシリンダ12を備える。シリンダ12は、1つの閉端を備え、油やシリコーンなどの減衰媒体を含む。ピストンロッド11は、その縦軸に沿った、シリンダ12に対する直線往復運動のために搭載されている。ピストンロッド11の自由端は、シリンダ12の開口端から伸長している。キャプ組立品13は、シリンダ12の開口端を閉じている。キャプ組立品13は、ピストンロッド11の搭載を支持しており、シリンダ12からの減衰媒体の漏れを防ぐための適切なシール14を備える。ピストンロッド11の他端は、シリンダ12の内部に伸長しており、そこでは、他端はピストン組立品10と接している。
【0008】
ピストン組立品10は、シリンダ12の内部を、2つの別々の小室に分割している。圧縮バネ15は、シリンダ12の閉端とピストン組立品10との間に搭載されており、ピストン組立品をピストンロッド11の内端に向けてかたよらせている。ピストンロッド11の内端は、フランジ16を備える。
【0009】
図2からわかるように、ピストン組立品10は、基本的に下記の2つの部分からなる:バルブ本体17とアクチュエータ18。ピストンロッド11に近い端では、バルブ本体17は、シリンダ12の内径より少し短い外径を持つフランジ19を備える。これにより、その縦軸に沿った、シリンダ12内の往復運動のためのバルブ本体17の誘導が促進される。
【0010】
フランジ19の下には、Oリング20がバルブ本体17の縮径部に搭載されている。Oリング20は、シリンダ12の内径と封止係合されている。しかしながら、バルブ本体17上のその位置は、後で詳しく説明するように移動可能である。その他端では、バルブ本体17は、ばね15の一端の位置決めをするための台座として作用するコック21でその末端をなす。
【0011】
図からわかるように、Oリング20は、その軸方向に一定の間隔を置いて配置されているフランジ19と棚22の間のバルブ本体17上に捕られる。棚22は、減衰流体のそれを横切る自由な流れを可能にするように開口部を備えている。
【0012】
アクチュエータ18は、バルブ本体17の軸方向に配列された穴23内に搭載され、それを締まりばめと係合させている。穴23は、その内面の周りに一定の間隔を置いて配置された一連の小さな縦方向に伸長する溝24を備えている。この配置の効果は、減衰流体がピストン組立品10を横切って通過するための制限された流路の形状をした2つの小室間の連通を、溝24が提供することである。
【0013】
緩衝器の使用において、ピストンロッド11に外力が作用するとき、例えば、ドアを閉じるとき、フランジ16はアクチュエータ18に作用して、シリンダ12内のピストン組立品17をその閉端の方向にずらす。このピストン組立品10がずれることにより、Oリング20は、バルブ本体17のフランジ19に対して動けなくなり、それにより、効果的にピストン組立品の外周のまわりの2つの小室間の連通が封止される。2つの小室間の開口した唯一の連通は、複数の溝24を経由したものである。それらが上述したように可能にする減衰流体の制限された流れは、ピストンロッド11の動きに抵抗する減衰力を与える。
【0014】
ピストンロッド11上の外力が消散すると、ばね15はピストン組立品10を経由して作用し、ピストンロッドを元の伸長位置に戻す。ピストン組立品10のこの方向へのずれは、Oリング20をバルブ本体17上のフランジ19との封止係合から外す効果を持ち、それにより、ピストン組立品10の外周のまわりの減衰流体の通過のための経路が開かれる。これにより、ピストンロッド11の復帰運動は、ほとんどまたは全く効果的な減衰を持たない。
【0015】
本実施形態においては、アクチュエータ18が金属でできているのに対して、バルブ本体17は、都合よくプラスチック材料からできていてもよい。アクチュエータ18は、都合のよいことに標準のロッド材から構成することができる。このことは、ピストン組立品10は複合部品であること、すなわち、2つ以上の部品からなることを意味するが、それにもかかわらず、生産の理由でこのことは有利にはたらく。特に、それは、溝24によって提供された制限された流路の寸法制御を容易にする。これは、緩衝器の減衰容量を決定する重要な要因である。バルブ本体を介して小さな穴を作成することにより、信頼できる制御を達成することはより難しくなるだろう。
【0016】
ピストンロッド11は、また都合よく金属により、標準のロッド材からできており、そのフランジ16は圧延や打ち抜きなどの適切な工程により形成される。ピストンロッド11やアクチュエータ18は別々の部品であるので、ピストンロッドはより大きな直径を持つように構成することができる。このことは、もし緩衝器が特に長いストロークを持つように意図しているなら、役に立つ。なぜなら、ピストンロッド11は、シリンダで動けなくなる、または使用中につぶれることに抵抗するための十分な強度を持つ必要があるためである。
【0017】
ピストンロッド11とアクチュエータ18を分離することで、またべつの利点がある。ピストンロッド上にピストン組立品が直接搭載される従来の緩衝器の構成においては、ピストンロッドの屈曲により、ピストン組立品が傾いて、ずれてしまい、そのため、シリンダにおいて動けなくなる傾向がある。この問題は、ここで述べている緩衝器の配置により、避けることができる。その理由は、ピストンロッド11の屈曲が、ピストン組立品10の配列を乱さないためである。もしアクチュエータ18の上面が、少し丸い輪郭を備えているならば、これにより、ピストンロッド11の屈曲による横力のピストン組立品10への伝達を避けることが促進される。
【0018】
万一、ピストンロッドが屈曲したとしても、ピストンロッド11とアクチュエータ18の係合が外れないことを、ピストンロッド11上のフランジ16は保証している。もちろん、フランジが、ピストンロッドの代わりにアクチュエータ上に同様に備えられるなら、それもまた良い。
【0019】
緩衝器の他の構成を、図3、4および5に示す。これらの例においても、制限された流路が、ピストン組立品を横切って減衰流体が通過するために提供されており、これがピストンロッド経由でピストン組立品に加えられる力から離れたところに配置されている。これにより、図3の実施形態では、例えば、ピン118は、ピストン組立品110の軸方向に配列された穴123に搭載され、それを締まりばめと係合させている。制限された流路は、穴123における一対の小さな軸方向に伸長する溝124より、図3の断面A−Aにみられるように、制限される。
【0020】
本実施形態においては、ピストンロッド111は、ピストン組立品110と隣接しながら係合するより大きな直径を持つフランジ116を備える。ピストンロッド111は、フランジ116を超えて伸長し、ピストン組立品110の穴500内に位置する小端部111aを備える。この配置により、ピストンロッド111の内端の動きにおける、シリンダ112への出入りの横方向への誘導が促進される。
【0021】
例えば、穴500の軸方向に伸長する溝(図示せず)を使って、小端部111aとピストン組立品110間を減衰流体が通過するために、適切な提供がなされると、これにより、ピン118と穴123との間で制限された流体通路よりも大きな流体通路が提供され、その結果、後者がピストン組立品を横切る制限された流路の制御として作用するのを確実にする。
【0022】
図4に示す実施形態は、ピストンロッド211以外は、基本的に図3に示す実施形態と同じである。ここでのピストンロッド211も、ピストン組立品210と隣接しながら係合するより大きな直径を持つフランジ216を備える。しかしながら、この場合は、ピストンロッド211は、フランジ216を超えて伸長しない。
【0023】
図5に示す実施形態は、ピストンロッド311の観点において、図3の例と類似している。これにより、ピストンロッド311は、下記と隣接しながら係合するより大きな直径を持つフランジ316を備える:ピストン組立品310とフランジを超えて伸長し、ピストン組立品の穴501内に位置する小端部311a。
【0024】
ピストン組立品310は、ピストン組立品の細長いピン318と軸方向に配列された穴323の間で制限されたそれを横切って減衰流体が通過するための制限された流路を備える。しかしながら、この場合は、ピン318は、穴323の中でゆるく嵌合しており、図5の断面C−Cにみられるように、その間に環状のギャップ502を設ける。ここでのピストン組立品310の内端は、肩503の形を定める縮径部を備える。これにより、ピン318は、肩503とピストンロッド311の端部311aとの間の穴323の中で効果的に捕らえられる。ピン318の長さは、穴323の軸方向の広がりよりもいくぶんか短く、このことは、ピン318は端位置間で軸方向に自由に動けることを意味する。この配置により、さらにいっそうの制御を制限された流路に与える目的で、さらなる機能を加えることが可能となる。しかしながら、ここで注目することは、これは、ピストンロッドからのピストン組立品に使用中に作用する力から意図的に遠ざけられているということである。
【0025】
上記で述べた緩衝器の実施形態は、特に下記の状況に適している:かなり高い力が働くと予期される状況および/またはかなり長いストロークが要求される状況。
図1
図2
図3
図4
図5