特許第6238969号(P6238969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238969
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】新規方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/167 20060101AFI20171120BHJP
   A61K 31/222 20060101ALI20171120BHJP
   A61K 31/5375 20060101ALI20171120BHJP
   A61K 31/661 20060101ALI20171120BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20171120BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20171120BHJP
   A61P 7/10 20060101ALI20171120BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20171120BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   A61K31/167
   A61K31/222
   A61K31/5375
   A61K31/661
   A61P43/00 111
   A61P3/00
   A61P7/10
   A61P9/10
   A61P25/00
【請求項の数】28
【全頁数】60
(21)【出願番号】特願2015-511669(P2015-511669)
(86)(22)【出願日】2013年5月8日
(65)【公表番号】特表2015-520151(P2015-520151A)
(43)【公表日】2015年7月16日
(86)【国際出願番号】US2013040194
(87)【国際公開番号】WO2013169939
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2016年5月6日
(31)【優先権主張番号】61/644,268
(32)【優先日】2012年5月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/651,778
(32)【優先日】2012年5月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/799,606
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514284822
【氏名又は名称】エアロミクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Aeromics,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】マーク・エフ・ペレティエ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・ウィリアム・ファー
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ロバート・マクガーク
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・エイチ・ホール
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター・エフ・ボロン
【審査官】 鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2003/103654(WO,A1)
【文献】 国際公開第2003/103657(WO,A1)
【文献】 国際公開第2002/049632(WO,A1)
【文献】 国際公開第2003/103656(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0239919(US,A1)
【文献】 米国特許第05905090(US,A)
【文献】 特表2001−513503(JP,A)
【文献】 特表2010−516689(JP,A)
【文献】 特表2010−508300(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/112791(WO,A1)
【文献】 Exprtert Opinion on therapeutic targets,2008年,Vol.12, No,12,p.1469-1476
【文献】 Journal of Pharmaceutical Sciences,1972年,Vol.61, No.6,p.858-860
【文献】 Journal of Neuroinflammation,2010年,7:66,p.1/8-8/8
【文献】 High Altitude Medicine & Biology,2010年,Vol.11, No.3,p.231-244
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−33/44
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞毒性脳浮腫、脊髄浮腫、網膜浮腫、視神経浮腫、心臓浮腫、視神経脊髄炎、低ナトリウム血症、および網膜虚血から選択される、アクアポリンにより仲介される疾患または症状処置または抑制するための、アクアポリン阻害剤を有効成分として含む医薬組成物において、アクアポリン阻害剤は、遊離または医薬上許容される塩形態の式1a:
【化1】
(式中、R、R、R、RおよびRは、H、ハロ、ハロゲン化C1−4アルキルおよびシアノから選択され;Rは、H、アミノ酸の残基、ホルミル、グリオキシロイル、チオホルミル、カルバモイル、チオカルバモイル、スルファモイル、スルフィナモイル、カルボキシ、スルホ、ホスホノ、および式:
【化2】
【化3】
【化4】
[式中、Ra1およびRb1は、同一または異なって、炭化水素基または複素環基を表すか、またはRa1およびRb1は、それらが結合する窒素原子と共に一体となって環状アミノ基を形成する]
により示される基から選択される)
の化合物から選択される、組成物
【請求項2】
が、クロロおよびブロモから選択され;RおよびRが、両方トリフルオロメチルであり;R、RおよびRが全てHである、請求項1に記載の組成物
【請求項3】
が、置換されたホスホノ基であるか、または置換されていないホスホノ基である、請求項1に記載の組成物
【請求項4】
式1aの化合物が、
【化5】
【化6】
から選択される、請求項1に記載の組成物
【請求項5】
式1aの化合物が、遊離または医薬上許容される塩形態の、
【化7】
である、請求項1、2または4に記載の組成物
【請求項6】
式1aの化合物が、遊離形態の、
【化8】
である、請求項に記載の組成物
【請求項7】
式1aの化合物が、遊離または医薬上許容される塩形態の、
【化9】
である、請求項1、またはに記載の組成物
【請求項8】
疾患または症状が、細胞毒性脳浮腫である、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物
【請求項9】
細胞毒性脳浮腫が、外傷、脳卒中、神経膠腫、髄膜炎、急性高山病、癲癇性発作、感染、代謝障害、低酸素症、水中毒、肝不全、肝性脳症または糖尿病性ケトアシドーシスの結果生じる細胞毒性脳浮腫である、請求項に記載の組成物
【請求項10】
細胞毒性脳浮腫が、微小重力暴露、放射線暴露、侵襲性の中枢神経系処置、膿瘍、子癇、クロイツフェルト−ヤコブ病、またはループス脳炎の結果生じる細胞毒性脳浮腫である、請求項に記載の組成物
【請求項11】
細胞毒性脳浮腫が、脳卒中の結果生じる細胞毒性脳浮腫である、請求項8または9に記載の組成物
【請求項12】
細胞毒性脳浮腫が、虚血性脳卒中の結果生じる細胞毒性脳浮腫である、請求項11に記載の組成物
【請求項13】
細胞毒性脳浮腫が、頭部外傷の結果生じる細胞毒性脳浮腫である、請求項に記載の組成物
【請求項14】
細胞毒性脳浮腫が、外傷性脳損傷の結果生じる細胞毒性脳浮腫である、請求項に記載の組成物
【請求項15】
細胞毒性脳浮腫が、低酸素症の結果生じる細胞毒性脳浮腫である、請求項9に記載の組成物。
【請求項16】
低酸素症が、心不全またはその他の脳への血液潅流の遮断により引き起こされる低酸素症である、請求項15に記載の組成物
【請求項17】
低酸素症が、脳卒中により引き起こされる低酸素症である、請求項15に記載の組成物
【請求項18】
疾患または症状が、脊髄浮腫、網膜浮腫、微小重力暴露もしくは放射線暴露の結果生じる視神経浮腫、低酸素症の結果生じる細胞毒性脳浮腫、または心臓浮腫である、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物
【請求項19】
疾患または症状が、脊髄浮腫である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
脊髄浮腫が、脊髄外傷の結果生じる脊髄浮腫である、請求項19に記載の組成物
【請求項21】
脊髄外傷が、脊髄圧迫である、請求項20に記載の組成物
【請求項22】
患者が脳卒中または頭部損傷を患ってから6時間以内に処置が開始される、請求項8、9または11〜14のいずれかに記載の組成物。
【請求項23】
患者が脳卒中または頭部損傷を患ってから3時間以内に処置が開始される、請求項8、9または11〜14のいずれかに記載の組成物
【請求項24】
患者が脊髄損傷を患ってから6時間以内に処置が開始される、請求項18〜21のいずれかに記載の組成物。
【請求項25】
患者が脊髄損傷を患ってから3時間以内に処置が開始される、請求項18〜21のいずれかに記載の組成物。
【請求項26】
疾患または症状が、心臓浮腫である、請求項18に記載の組成物。
【請求項27】
心臓浮腫が、心臓虚血またはその他の心臓への血流の遮断の結果生じる心臓浮腫である、請求項26に記載の組成物
【請求項28】
低ナトリウム血症が、心不全、肝硬変、ネフローゼ障害または抗利尿ホルモン分泌異常症候群(SIADH)の結果生じるものである、請求項1に記載の組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の主題は、2012年5月8日に提出した米国仮出願番号第61/644,268号、2012年5月25日に提出した米国仮出願番号第61/651,778号、および2013年3月15日に提出した米国仮出願番号第61/799,606号に関連しており、これらの内容は出典明示により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、アクアポリン仲介性疾患、例えば、水分不均衡疾患、例えば浮腫[特に脳および脊髄の浮腫、例えば、外傷または虚血性脳梗塞後の脳および脊髄の浮腫、神経膠腫、髄膜炎、急性高山病、癲癇性発作、感染、代謝障害、低酸素症、水中毒、肝不全、肝性脳症、糖尿病性ケトアシドーシス、膿瘍、子癇、クロイツフェルト−ヤコブ病およびループス脳炎に関連がある浮腫、微小重力および/または放射線暴露の結果生じる浮腫、侵襲性の中枢神経系処置(例えば神経外科手術、血管内血栓除去、脊椎穿刺、動脈瘤修復または深部脳刺激)の結果生じる浮腫ならびに網膜浮腫]、低ナトリウム血症および過剰水分貯留、また、癲癇、網膜虚血および他の眼圧および/または組織水和異常と関連した眼疾患、心筋虚血、心筋虚血/再潅流障害、心筋梗塞、心筋低酸素症、うっ血性心不全、敗血症および視神経脊髄炎ならびに片頭痛などの疾患を予防、処置および抑制するための、アクアポリン−4またはアクアポリン−2などのアクアポリンの選択的阻害剤(例えば、特定のフェニルベンズアミド化合物)の使用、ならびにアクアポリン阻害剤を同定するための新規アッセイに関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
アクアポリンは、分子水チャンネルとして作用し、細胞の内部および外部へと水の流れを媒介する細胞膜タンパク質である。細胞膜を通過する水の受動拡散または浸透作用はある程度存在するが、細胞の内部および外部の迅速かつ選択的な水の移送には、アクアポリン類が関与している。これらの水チャンネルは、イオンおよび他の溶質の通過を遮断しつつ、細胞の内部および外部の水分子を選択的に導いて、細胞の膜電位を保持している。アクアポリンは、細菌から植物や動物まで、実質的に全ての生命体に存在している。ヒトにおいては、それらは体全体にわたり細胞内に存在している。
【0004】
脳浮腫(CE)は、脳内圧(ICP)の上昇、対応する脳灌流の減少および永久的または不治の脳損傷の可能性へと至らしめる可能性があるため、卒中損傷に大きく関わる。浮腫は、CNS損傷、例えば、外傷性脳損傷および脊髄損傷、神経膠腫、髄膜炎、急性高山病、癲癇性発作、感染、代謝障害、低酸素症、水中毒、肝不全、肝性脳症、糖尿病性ケトアシドーシス、膿瘍、子癇、クロイツフェルト−ヤコブ病およびループス脳炎にも関与する。卒中または外傷性脳損傷後の3日間である最大ICPの期間を生き延びた患者は、生存の可能性が高い。残念ながら、CE処置の選択肢はわずかであり、しかもその効力は限られている。
【0005】
血清ナトリウムレベル135mMを特徴とする低ナトリウム血症は、電解質不均衡の最も一般的な形態であり、全国の病院で、発生率が15〜20%であることが報告されている。関連がある水分貯留は、心不全(HF)、肝硬変、ネフローゼ障害および抗利尿ホルモン分泌異常症候群(SIADH)の症状を示す。様々な利尿薬が、HFに関連する鬱血を処置するために使用される。ループ利尿薬は、ヘンレ係蹄の太い上行脚におけるNa/K/Cl共輸送体を阻害することにより、尿からのNaおよびCl再吸収を低下させて、ナトリウム利尿を引き起こす。低ナトリウム血症のための代替療法はバソプレッシンレセプターアンタゴニストの使用であり、このアンタゴニストがAQP2のバソプレッシン誘導性移動を阻害することにより水分再吸収が阻害される。残念ながら、ループ利尿薬およびバソプレッシンレセプターアンタゴニストはいずれも、所望の生理学的結果に対して間接的に作用する。理想的な薬剤は、水の再吸収を直接遮断することにより、上流エフェクターにより引き起こされる潜在的副作用を最小とする薬剤であるが、そのような薬剤は現在知られていない。
【0006】
癲癇は、反復発作を特徴とする脳障害である。発作は、一時的な脳機能不全を幾分原因とする脳活動の阻害により起こる。発作は、制御し難い振戦および意識不明を引き起こす可能性があるが、より一般的には、発作をおこしているヒトは、動作が停止しているか、または何が起こっているかが判らなくなる。抗痙攣剤を用いて癲癇を処置することも出来るが、該抗痙攣剤が全ての癲癇患者にとって有効なわけではない。
【0007】
虚血とは、組織への血液の中断または不十分な供給を特徴とする症状である。網膜虚血は、網膜への血液の供給不足を理由として起こる。血管閉塞、緑内障および糖尿病性網膜症は、網膜虚血に関連があり、視力障害および失明を引き起こす網膜浮腫およびガングリオン細胞死をもたらし得る。AQP4は、網膜のミュラー細胞で発現される。処置が比較的効果的ではないため、網膜虚血は依然として視力障害および失明の共通する病因である。
【0008】
心筋虚血は、1以上の冠状動脈の遮断または狭窄を原因とする症状であり、例えばアテローム性動脈硬化プラーク閉塞または破裂により起こり得る。心筋虚血が臨界閾値を越えて、正常な動作機能およびホメオスタシスを維持することを目的とする心筋細胞修復機構を抑圧する場合に、心筋梗塞、すなわち心臓発作がおこる。心筋梗塞は、依然として世界中の疾病および死亡の主要病因である。心筋虚血、心筋虚血/再潅流障害、心筋梗塞およびうっ血性心不全を処置する際に有効な化合物は、有用な医薬であろう。
【0009】
フェニルベンズアミド化合物は医薬として知られている。フェニルベンズアミド化合物には、例えばサナダ虫を処置するために使用される駆虫剤であるニクロサミド(5−クロロ−N−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)−2−ヒドロキシベンズアミド)が挙げられるが、アクアポリン類に対して何らかの効果を持っていることは知られていない。US2010/0274051A1(その内容を、参照により本明細書に組み込まれる)は、IKK−βの選択的阻害によりNF−κBを阻害するのに有用である特定のフェニルベンズアミドを記述しており、またUS7,626,042(参照により本明細書に組み込まれる)は、かかる化合物のO−アシル誘導体を開示しており、またUS7,700,655(参照により本明細書に組み込まれる)は、特定のフェニルベンズアミドがアレルギー性喘息疾患を処置するために有用であると記述している。しかし、これらの特許出願は、脳浮腫または水分不均衡(水利尿)またはアクアポリン類について何ら開示していない。
【0010】
2004年の文献にて、あるグループが、ラット心筋虚血/再潅流障害モデルのIκBリン酸化遮断についてN−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−5−クロロ−2−ヒドロキシ−ベンズアミドの効力を調査した。Onai, Y.ら「心筋細胞におけるIκβリン酸化の阻害は、心筋の虚血/再潅流障害を減弱化させる」(Miocardial Research, 2004, 63, 51-59)により、ある程度の活性が報告された。しかし、その後活性作用が確認できなかったため、N−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−5−クロロ−2−ヒドロキシ−ベンズアミドを、ヒトにおいてこの適応症に対して用いるための研究は続けられなかった。
【0011】
本発明以前には、アクアポリン類、例えばAQP4またはAQP2の特異的かつ有効な阻害剤の存在は知られていなかった。特定の抗癲癇薬またはスルホンアミド薬剤(例えば、アセチルスルファニルアミド、アセタゾールアミド、6−エトキシ−ベンゾチアゾール−2−スルホンアミド、トピラメート、ゾニサミド、フェニトイン、ラモトリジンおよびスマトリプタン)は、AQP4の阻害剤としての可能性が一時報告されたが、この報告は後に間違いであったことが証明された[Yangら(Bioorganic & Medicinal Chemistry (2008)16: 7489-7493)]。AQP2の直接的な阻害剤は報告されていない。治療上有用なアクアポリン阻害剤についての研究は、有効なハイスループットスクリーニングアッセイが存在しないこと、そしてそのようなアッセイを開発および評価するため、およびポジティブコントロールまたは結合競合剤として有効に働くための高い選択的阻害剤が存在しないことにより阻まれてきた。
【0012】
水分不均衡疾患(例えば、脳浮腫などの浮腫、水分貯留および低ナトリウム血症)、また、癲癇、網膜虚血、心筋虚血、心筋虚血/再潅流障害、心筋梗塞、心筋低酸素症、うっ血性心不全、敗血症および視神経脊髄炎のような疾患、ならびに片頭痛を処置または抑制するための改良された方法が非常に必要とされている。
【発明の概要】
【0013】
(発明の概要)
本発明は、アクアポリン仲介性症状、例えば、水分不均衡疾患、例えば浮腫[特に、脳および脊髄の浮腫、例えば、外傷または虚血性脳梗塞後の浮腫、神経膠腫、髄膜炎、急性高山病、癲癇性発作、感染、代謝障害、水中毒、肝不全、肝性脳症、糖尿病性ケトアシドーシス、膿瘍、子癇、クロイツフェルト−ヤコブ病およびループス脳炎と関連がある浮腫、微小重力および/または放射線暴露の結果生じる浮腫、侵襲性の中枢神経系処置(例えば、神経外科手術、血管内血栓除去、脊椎穿刺、動脈瘤修復または深部脳刺激)の結果生じる浮腫、網膜浮腫、心不全の結果生じる脳腫脹(例えば救命期前の低酸素による代謝性アシドーシス(例えば、乳酸アシドーシス)の発症に関連するもの)]、低ナトリウム血症および過剰水分貯留、また、癲癇、網膜虚血および他の眼圧または組織水和異常と関連する眼疾患、心筋虚血、心筋虚血/再潅流障害、心筋梗塞、心筋低酸素症、うっ血性心不全、敗血症および視神経脊髄炎のような疾患、ならびに片頭痛を予防、処置および制御するための、選択的アクアポリン阻害剤、例えばアクアポリン−4またはアクアポリン−2阻害剤の使用を提供するものである。
【0014】
本発明は、アクアポリン類、特にAQP4およびAQP2を阻害する特定のフェニルベンズアミドの使用をさらに提供する。
【0015】
本発明は特に、アクアポリンにより仲介される疾患または症状、例えば水分不均衡の疾患または症状および他の疾患、例えば、
脳または脊髄の浮腫、例えば脳浮腫、例えば、頭部外傷、虚血性脳梗塞、神経膠腫、髄膜炎、急性高山病、癲癇性発作、感染、代謝障害、低酸素症(一般的な全身性低酸素症および心不全による低酸素症を含む)、水中毒、肝不全、肝性脳症、糖尿病性ケトアシドーシス、膿瘍、子癇、クロイツフェルト−ヤコブ病、ループス脳炎または侵襲性中枢神経系処置(例えば、神経外科手術、血管内血栓除去、脊椎穿刺、動脈瘤修復または深部脳刺激)の結果生じる脳浮腫、または例えば脊髄外傷(例えば、脊髄圧迫)の結果生じる脊髄浮腫;または
微小重力および/または放射線暴露の結果生じる脳および/または視神経浮腫;または
網膜浮腫;または
低ナトリウム血症または過剰水分貯留、例えば心不全(HF)、肝硬変、ネフローゼ障害または抗利尿ホルモン分泌異常症候群(SIADH)の結果生じる低ナトリウム血症または過剰水分貯留;または
癲癇、網膜虚血または他の眼圧および/または組織水和異常と関連のある他の眼疾患、心筋虚血、心筋虚血/再潅流障害、心筋梗塞、心筋低酸素症、うっ血性心不全、敗血症、または視神経脊髄炎;または
片頭痛、
を処置または抑制する方法であって、アクアポリン阻害剤、例えばAQP2またはAQP4の阻害剤、例えばフェニルベンズアミド、例えばニクロサミドまたはUS2010/0274051A1またはUS7,700,655に記述された式(I)の化合物、例えばそこに記述された一般式(I)、(I−1)、(I−2)、(I−3)および(I−4)の化合物、例えばUS2010/0274051に記述された化合物番号1〜223またはUS7,700,655に記述された化合物番号301〜555から選択される化合物、またはUS7,626,042に記述された式(I)の化合物、例えば、そこに記述された化合物番号1〜151から選択される化合物;例えば、式1a:
【化1】

(式中、R、R、R、RおよびRは、H、ハロ、ハロゲン化C1−4アルキル(例えば、トリフルオロメチル)およびシアノから選択され;Rは、Hおよび生理学的に加水分解可能かつ許容し得るアシル基から選択される)の、遊離または医薬上許容される塩形態の化合物を、必要な患者に有効量で投与することを含む方法を提供する。
【0016】
本発明はさらに、試験化合物の存在または非存在下で、高張または低張溶液に対するアクアポリン発現細胞集団対コントロール細胞集団の応答を測定することを含む、特異的なアクアポリンを同定するためのハイスループットアッセイを提供する。
【0017】
本発明はさらに、下記式:
【化2】

の化合物を提供する。
【0018】
本発明の適用に関するさらなる範囲は、後記する詳細な説明から明らかとなろう。本発明の好ましい実施形態を示す一方で、詳細な説明および具体的な実施例は、単なる説明を意図するものであり、本発明の範囲を制限することを意図するものではないと理解されるべきである。
【0019】
本発明は、詳細な説明および添付の図面からより一層理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、アクアポリン−4(図1A)およびアクアポリン−2(図1B)仲介細胞体積変化アッセイの結果、ならびにこれらのアクアポリンに対する化合物3(式1aの化合物:式中R、RおよびRが各々クロロであり、R、RおよびRがHである)の阻害効果を示す。
図2図2は、AQP−1、AQP−2、AQP−4−M1、AQP−4−M23、およびAQP−5に対する化合物3の特異性を示す。
図3図3は、精製したAQP4bに結合する[H]−標識化合物4(式1aの化合物:式中R、RおよびRが各々トリフルオロメチルであり、R、RおよびRがHである)に対するHummel-Dryer式アッセイを示す。
図4図4は、0.76mg/kgの化合物1(式1aの化合物:式中、Rがクロロであり、RおよびRが各々トリフルオロメチルであり、R、RおよびRがHである)を用いた、水中毒マウスモデルの生存曲線%を示す。
図5図5は、化合物1を用い、脳水含量により決定された、マウス水中毒モデルにおける脳浮腫形成の阻害を示す。
図6図6は、n=14匹のマウス/処置を用いるMRI脳体積分析による、マウス水中毒モデルにおける化合物1による脳浮腫形成の阻害を示す。浮腫形成を経時的に、薬物なしと0.76mg/kgの化合物1との比較において示す。最初の時点である5.67分時は、注射後第一回目のスキャン中の脳中心部のスキャンスライスに対応する。その他の時点も同様である。データを単一指数関数方程式に適合させる:V/V=V+dVmax(1−e(−kt));式中、V/V=相対脳体積、V=初期相対脳体積、dVmax=相対脳体積における最大変化、k=一次速度定数(min−1)、およびt=時間(分)。
図7図7は、ハイスループットスクリーニングに使用されたカルセイン蛍光エンドポイントアッセイを示す。
図8図8は、細胞破裂アクアポリンアッセイを用いるヒットバリデーションを示す;挿入図は化合物3の構造を示す。
図9図9は、化合物1を0.76mg/kgで用いたマウス水中毒モデルにおける頭蓋内圧(ICP)の低下を示す。
図10図10は、化合物5(式1aの化合物:式中、Rがクロロであり、RおよびRは各々トリフルオロメチルであり、RおよびRがHであり、Rが二ナトリウム塩形態のP(=O)(O)である)から変換された化合物1の血漿および血清レベルを示す。
図11図11は、虚血性脳梗塞の、マウス中大脳動脈閉塞(MCAo)モデルを示す。
図12図12は、マウス中大脳動脈閉塞(MCAo)モデルにおける半球脳体積の相対変化を示す。
図13図13は、生理食塩水(薬物なし●)または化合物5(○)で処置されたマウスにおけるMCAo後の神経学的転帰を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
好ましい実施形態の以下の記載は、元々単なる例示であり、発明、その適用または使用を制限することを意図するものではない。
【0022】
アクアポリン−4(AQP4)の発現は、外傷、卒中および水中毒の動物モデルならびにヒト悪性脳腫瘍周辺部において上方調節されている。アクアポリン−4(AQP4)は、脳および脊髄浮腫の発生に重要な役割を担うことが示されてきた。AQP4は、BBBおよびグリア境界を横切る水の移動に対して重要な経路を提供する。AQP4遺伝子を含まないAQP4ノックアウトマウスは、野性型マウスと比較して、虚血性脳梗塞、水中毒、細菌性髄膜炎および脊髄圧迫のモデルにおいて、高い生存性を示す。
【0023】
脳浮腫(CE)は、一般的に2つの主要カテゴリー:血管原性および細胞毒性に分けられる。血管原性の脳浮腫は、血液−脳関門(BBB)の破壊により、水および溶質が脳内に拡散される場合におこり得る。AQP4欠損マウスは、クモ膜下出血モデルにおいて脳浮腫を増加させることが報告されており、AQP4が細胞内腔に集まった水を排出するために必要であるという可能性を示唆している。これに対し、細胞毒性の脳浮腫は、BBB破壊よりもむしろ、血漿浸透圧を低下させる虚血により引き起こされ得る。虚血は、ATPレベルを低下させ、これがNa−K ATPアーゼポンプを遅らせ、その結果、漏出経路からNaおよびClが取込まれると考えられる。正味の影響は、細胞浸透圧不均衡であり、HOを細胞へと引き込み(ニューロンよりも星状膠細胞の方がその傾向が強い)、ICPの上昇を導く。虚血性脳梗塞、水中毒、細菌性髄膜炎および脊髄圧迫のマウスモデルはこのカテゴリーに入る。これらのモデルにおいて、AQP4欠損マウスは細胞毒性CE形成中に、AQP4を脳への水移動の中心的経路とするCEにおける低下を示す。しかし、細胞毒性および血管原性の浮腫は、明確にはカテゴリーを分けられない;最初に細胞毒性浮腫を引き起こした損傷に引き続いて、例えば数時間から数日以内に、血管原性浮腫が起こり得る。このことは、脳浮腫について、異なる時点で異なる処置を行うことを示唆し得るものである。
【0024】
癲癇性発作への傾向は、細胞と細胞外空間(ECS)との相対体積と関連があることが報告されている。異常興奮性および癲癇様活動の増加は、ECS体積を低下させる低張暴露に起因し、一方で癲癇様活動の減弱化は、高浸透圧媒体に起因する。発作誘導性の細胞膨張を遮断するフロセミドは、インビトロおよびインビボの癲癇様活動を阻害することが報告されている。AQP4ノックアウトマウスは、痙攣誘発剤であるペンチレンテトラゾールに対して低い発作感受性を示し、海馬における電気刺激により発作を誘導した場合に、電子画像で高い発作閾値を示すことが報告されている。AQP4ノックアウトマウスは、野性型マウスと比較して、海馬刺激により誘起される発作を延期したことも報告された。
【0025】
AQP4は、網膜のミュラー細胞で発現される。虚血後の網膜損傷の発生機序にミュラー細胞が関与することが研究により示唆されている。マウスにおけるAQP4欠失は、網膜虚血後の網膜の機能および構造に有意な保護を与えたことが報告されている。
【0026】
AQP4は、哺乳類心臓に存在すると報告されている。ヒトの心臓においてAQP4が発現されることは、mRNAおよびタンパク質レベルの両方で報告されている。虚血の結果として心筋中に水が蓄積するが、ここで虚血組織は、高浸透圧性となり、毛細血管腔から水を引き寄せる。この水は、心筋の細胞、例えば心筋細胞へと輸送される。再潅流により、正常浸透圧の血液が高浸透圧性細胞にもたらされ、これがさらなる細胞膨張を導き、これにはリスク域外の細胞も巻き込まれ得る。この水の蓄積により、心臓機能が著しく低下し、酸素および栄養供給の不足効果を悪化させる。心筋の虚血/再潅流障害とは、心臓における虚血後の再潅流により生じる損傷をいう。AQP4ノックアウトマウスは、エクソビボの虚血−再潅流後、およびインビボの再潅流なしの虚血後の両方で、梗塞面積を低下したことが報告されている。AQP4ノックアウトの遺伝子型が、虚血性損傷に対する耐性増加を付与すると結論づけられた。
【0027】
視神経脊髄炎(NMO)は、視神経および脊髄に主に影響を及ぼす神経炎症性の脱髄性疾患である。NMOの特徴は、AQP4上の細胞外エピトープに対する血清抗体の存在である。全てではないが、大部分のNMO患者が、AQP4自己抗体(NMO−IgG)に対して血清反応陽性であることが報告されている。星状膠細胞におけるAQP4へのNMO−IgGの結合により、炎症性カスケードが開始し、その結果、神経炎症およびミエリン損失が神経障害を生じさせると考えられる。そのような抗体のAQP4への結合を遮断することにより、炎症性カスケードの開始を防ぐことが可能である。
【0028】
一実施形態において、本発明は、アクアポリン、例えばAQP4により仲介される浮腫を処置する方法を提供する。該浮腫は、低酸素症、例えば一般的な全身性低酸素症、例えば、血液潅流の遮断を原因とする低酸素症の結果生じる浮腫、例えば心不全、卒中またはその他の脳への血液潅流の遮断を原因とする低酸素症の結果生じる脳浮腫であるか、または心臓虚血またはその他の心臓への血流の遮断の結果生じる心臓浮腫である。低酸素症は、代謝性アシドーシス(例えば、乳酸アシドーシス)を引き起こし、これが浮腫を導き、この浮腫自体が血液潅流を低下させて、細胞死および予後不良を導き得る(特に、膨張が物理的に制約される組織、例えば頭蓋内または心膜内において)。この低酸素症が、例えば、患者が心不全から救われた後に、脳腫脹および心臓組織の損傷を示し得る理由であると考えられる。AQP4などのアクアポリンチャンネルを遮断すること、例えば、本明細書に記載されるようなアクアポリン阻害化合物の投与により遮断することにより、この浮腫が阻害または抑制され、それにより罹患組織のさらなる損傷が制限される。
【0029】
アクアポリン−2(AQP2)は、腎臓の集合管における水移動の主要経路である。この水チャンネルを遮断することにより、電解質不均衡を起こさず、バソプレッシンレセプター仲介シグナル伝達を妨害せずに、水の再吸収が低下される。AQP2ブロッカーが、電解質不均衡をもたらさない、低ナトリウム血症のための有効な処置であるという証拠は、機能的AQP2を欠く尿崩症患者から得られる。彼らは、慢性的な水利尿を示すが−もし正常な水和作用が維持されれば−AQP2機能の長期損失による他の影響を何ら示さない。
【0030】
したがって本発明は、BBBからの水取り込みの阻害により、水分不均衡の疾患または症状、例えば浮腫、特に脳および脊髄の浮腫(例えば、外傷または虚血性脳梗塞後の脳および脊髄の浮腫)、神経膠腫、髄膜炎、急性高山病、癲癇性発作、感染、代謝障害、低酸素症、水中毒、肝不全、肝性脳症、低酸素症および糖尿病性ケトアシドーシスに関連する浮腫を抑制するため、また腎臓での水取り込みの阻害により、低ナトリウム血症および過剰な水分貯留を処置および抑制するための、アクアポリン阻害剤の使用を提供するものである。本発明は、癲癇、網膜虚血および他の眼圧および/または組織水和異常に関連のある眼疾患類、心筋虚血、心筋虚血/再潅流障害、心筋梗塞、心筋低酸素症、うっ血性心不全、敗血症、視神経脊髄炎および片頭痛疾患を包含する疾患または症状を抑制するためのアクアポリン阻害剤の使用も提供する。
【0031】
一実施形態において、本発明は、有効量のフェニルベンズアミド化合物、例えば、有効量のニクロサミド(5−クロロ−N−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)−2−ヒドロキシベンズアミド)または式I:
【化3】

[式中、Xは、連結基を表し、この主鎖の原子数は2〜5であり(前記連結基は、置換されていてもよい)、Aは水素原子、または置換されていてもよいアシル基、または置換されていてもよいC〜Cアルキル基を表すか、またはAは連結基Xと結合して、置換されていてもよい環状構造を形成してもよく、Eは置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基を表し、環Zは、式−O−A(式中、Aは上記に規定した意味と同じ意味を有する)により表される基および式−X−E(式中、XおよびEの各々は、上記に規定した意味と同じ意味を有する)により表される基の他に1以上の置換基を有していてもよいアレーンを表すか、または式−O−A(式中、Aは上記に規定した意味と同じ意味を有する)により表される基および式−X−E(式中、XおよびEの各々は、上記に規定した意味と同じ意味を有する)により表される基の他に1以上の置換基を有し得るヘテロアレーンを表す]
により表される化合物を、遊離または医薬上許容される塩形態(溶媒和物または水和物形態を包含する)にて、必要な患者に投与することを含む、アクアポリンにより仲介される疾患または症状を処置または抑制するための方法(方法1)を提供するものである。方法1は例えば、下記の方法である:
【0032】
1.1. 式Iの化合物が、US2010/0274051A1またはUS7,700,655に記載される式(I)の化合物、例えばそこに記載される一般式(I)、(I−1)、(I−2)、(I−3)および(I−4)の化合物、例えばUS2010/0274051に記載される化合物番号1〜223またはUS7,700,655に記載される化合物番号301〜555から選択される、方法1。
【0033】
1.2. 式Iの化合物が、下記化合物の遊離または医薬上許容される塩形態から選択される、方法1.1:
N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−5−フルオロ−2−ヒドロキシベンズアミド、
N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−5−シアノ−2−ヒドロキシベンズアミド、
N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチル)ベンズアミド、
N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−5−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)ベンズアミド、
N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−5−(2,2−ジシアノエテン−1−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド、
N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−5−エチニル−2−ヒドロキシベンズアミド、
N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−5−(フェニルエチニル)ベンズアミド、
N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−5−[(トリメチルシリル)エチニル]ベンズアミド、
N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ヒドロキシビフェニル−3−カルボキサミド、
N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−5−(3−チエニル)ベンズアミド、
N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−5−(1−ピロリル)ベンズアミド、
N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−5−(2−メチルチアゾール−4−イル)ベンズアミド、
N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−5−(2−ピリジル)ベンズアミド、
N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−5−ジメチルスルファモイル−2−ヒドロキシベンズアミド、
N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−5−(ピロール−1−スルホニル)ベンズアミド、
N−[2,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−5−クロロ−2−ヒドロキシベンズアミド、
N−(2,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル−5−ブロモ−2−ヒドロキシベンズアミド、
2−アセトキシ−N−[2,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−5−クロロベンズアミド、
2−アセトキシ−N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−5−クロロベンズアミド、
5−クロロ−N−[2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ヒドロキシベンズアミド、
5−クロロ−N−[2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ヒドロキシベンズアミド、
5−クロロ−N−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ヒドロキシベンズアミド、
5−ブロモ−N−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ヒドロキシベンズアミド、
2−アセトキシ−5−クロロ−N−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
5−クロロ−N−[3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ヒドロキシベンズアミド、
5−ブロモ−N−[3−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ヒドロキシベンズアミド、
5−クロロ−N−[3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ヒドロキシベンズアミド、
5−クロロ−N−[4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ヒドロキシベンズアミド、
5−ブロモ−N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ヒドロキシベンズアミド、
5−クロロ−2−ヒドロキシ−N−[2−ニトロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
5−ブロモ−N−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ヒドロキシベンズアミド、
5−クロロ−2−ヒドロキシ−N−[2−メチル−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
5−クロロ−2−ヒドロキシ−N−[2−メチル−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−ヒドロキシ−5−メチル−N−[2−メチル−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
5−クロロ−2−ヒドロキシ−N−[4−メチル−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
2−ヒドロキシ−5−メチル−N−[4−メチル−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
5−ブロモ−2−ヒドロキシ−N−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
5−クロロ−2−ヒドロキシ−N−[2−メトキシ−5−トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
5−ブロモ−2−ヒドロキシ−N−[3−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
5−クロロ−2−ヒドロキシ−N−[4−メトキシ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
5−クロロ−2−ヒドロキシ−N−[2−メチルスルファニル−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
5−クロロ−2−ヒドロキシ−N−[2−(1−ピロリジノ)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
5−クロロ−2−ヒドロキシ−N−[2’’−モルホリノ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド、
5−ブロモ−N−[5−ブロモ−4−(トリフルオロメチル)チアゾール−2−イル]−2−ヒドロキシベンズアミド、
5−クロロ−N−{5−シアノ−4−[(1,1−ジメチル)エチル]チアゾール−2−イル}−2−ヒドロキシベンズアミド、
5−ブロモ−N−{5−シアノ−4−[(1,1−ジメチル)エチル]チアゾール−2−イル}−2−ヒドロキシベンズアミド、
2−(5−ブロモ−2−ヒドロキシベンゾイル)アミノ−4 (トリフルオロメチル)チアゾール−5−カルボン酸 エチルエステル。
【0034】
1.3. AがC1−4アシル(例えば、アセチル)である、方法1。
【0035】
1.4. 化合物が、US7,626,042に記載される式Iの化合物、例えば、式I−1の化合物、例えばUS7,626,042に記載される化合物番号1〜151のいずれかである、方法1。
【0036】
1.5. AがC1−4アシル(例えば、アセチル)である、方法1.4。
【0037】
1.6. Aがアミノ酸の残基である、方法1。
【0038】
1.7. Aが、5〜6員非芳香族性複素環式環−カルボニル基、例えば複素環式環の環構成原子(環形成原子)として少なくとも1つの窒素原子を含み、該窒素原子がカルボニル基に結合している5〜6員非芳香族性複素環式環−カルボニル基であり、例えば前記5〜6員非芳香族性複素環式環は、1−ピロリジニル基、ピペラジノ基、モルホリノ基および1−ピペラジニル基から選択され、前記複素環式環は1以上の置換基(例えば、アルキル基、アルキル−オキシ−カルボニル基およびカルボキシ基から独立して選択される)により置換されていてもよく;例えば、Aが(モルホリン−4−イル)カルボニルである、方法1。
【0039】
1.8. Aが、N,N−二置換カルバモイル基であって、前記カルバモイル基の2つの置換基は、それらに結合する窒素原子と共に一体となって、置換されていてもよい窒素含有複素環基を形成してもよい、方法1。
【0040】
1.9. Aが(モルホリン−4−イル)カルボニルである、方法1。
【0041】
1.10. Aが、置換されたホスホノ基、例えばジベンジルホスホノであるか、または置換されていないホスホノ基である、方法1。
【0042】
1.11. 式Iの化合物が、遊離または医薬上許容される塩形態にある式1aの化合物:
【化4】

[式中、R、R、R、RおよびRは、H、ハロ、ハロゲン化C1−4アルキル(例えば、トリフルオロメチル)およびシアノから選択され;Rは、Hおよび生理学的に加水分解可能かつ許容し得るアシルから選択され、例えば、Rは方法1−1.9のいずれかにおいて規定される前記Aである]
である、方法1。
【0043】
1.12. 式Iの化合物が、式1aの化合物(式中、Rは、トリフルオロメチル、クロロ、フルオロおよびブロモから選択され;RおよびRは、同一または異なって、トリフルオロメチル、クロロ、フルオロおよびブロモから選択され;RおよびRは、いずれもHである)である、方法1.11。
【0044】
1.13. 式Iの化合物が、式1aの化合物(式中、Rは、クロロおよびブロモから選択され;RおよびRは、いずれもトリフルオロメチルであり;R、RおよびRは、いずれもHである)であり、例えば式1aの化合物は、下記:
【化5】

から選択される、方法1.12。
【0045】
1.14. RがHである、方法1.11または1.12。
【0046】
1.15. Rがアセチルである、方法1.11または1.12。
【0047】
1.16. 式Iの化合物が、式1aの化合物(式中、Rは、クロロおよびブロモから選択され;RおよびRは、いずれもトリフルオロメチルであり;RおよびRはHであり、Rはアセチルである)であり、例えば式1aの化合物が、下記:
【化6】

から選択される、方法1.11または1.12。
【0048】
1.17. 式1aの化合物が化合物1:
【化7】

である、方法1.13。
【0049】
1.18. 式Iの化合物が、式1aの化合物(式中、R、RおよびRは、各々クロロであり、R、RおよびRは各々Hである)(化合物3)である、方法1.12。
【0050】
1.19. 式Iの化合物が、式1aの化合物(式中、R、RおよびRは、各々トリフルオロメチルであり、R、RおよびRは各々Hである)(化合物4)である、方法1.12。
【0051】
1.20. 式Iの化合物が、式1aの化合物であり、RがC1−4アシル(例えば、アセチル)である、方法1.11または1.12。
【0052】
1.21. 式Iの化合物が、式1aの化合物であり、Rがアミノ酸の残基である、方法1.11または1.12。
【0053】
1.22. 式Iの化合物が式1aの化合物であり、Rが5〜6員非芳香族性複素環式環−カルボニル基、例えば複素環式環の環構成原子(環形成原子)として少なくとも1つの窒素原子を含み、該窒素原子がカルボニル基に結合している5〜6員非芳香族性複素環式環−カルボニル基であり、例えば前記5〜6員非芳香族性複素環式環は、1−ピロリジニル基、ピペラジノ基、モルホリノ基および1−ピペラジニル基から選択され、前記複素環式環は1以上の置換基(例えば、アルキル基、アルキル−オキシ−カルボニル基およびカルボキシ基から独立して選択される)により置換されていてもよく;例えば、Rが(モルホリン−4−イル)カルボニルである、方法1.11または1.12。
【0054】
1.23. 式Iの化合物が、式1aの化合物であり、RがN,N−二置換カルバモイル基であって、前記カルバモイル基の2つの置換基は、それらに結合する窒素原子と共に一体となって、置換されていてもよい窒素含有複素環基を形成してもよい、方法1.11または1.12。
【0055】
1.24. 式Iの化合物が、式1aの化合物であり、Rが(モルホリン−4−イル)カルボニル基である、方法1.11または1.12。
【0056】
1.25. 式Iの化合物が、式1aの化合物であり、Rが置換されたホスホノ基(例えば、ジベンジルホスホノ)であるか、または置換されていないホスホノ基である、方法1.11または1.12。
【0057】
1.26. 式1aの化合物が、
【化8】

から選択される、方法1.25。
【0058】
1.27. 式1aの化合物が、化合物5:
【化9】

である、方法1.26。
【0059】
1.28. フェニルベンズアミド化合物がニクロサミドであるか、または下記化合物:
【化10】
である、方法1。
【0060】
1.29. アクアポリンがAQP4である、方法1以下のいずれかの方法。
【0061】
1.30. 処置または抑制される症状が、浮腫、例えば脳または脊髄の浮腫、例えば脳浮腫(例えば、頭部外傷、虚血性脳梗塞、神経膠腫、髄膜炎、急性高山病、癲癇性発作、感染、代謝障害、水中毒、肝不全、肝性脳症または糖尿病性ケトアシドーシスの結果生じる脳浮腫)または例えば脊髄浮腫(例えば、脊髄圧迫などの脊髄外傷の結果生じる脊髄浮腫)から選択される、方法1以下のいずれかの方法。
【0062】
1.31. 静脈流出を促進する最適な頭頸部の位置調整(例えば、頭部挙上30°);脱水の回避;全身性血圧降下;正常体温または低体温の維持;積極的手段(aggressive measures);浸透圧療法、例えば、マンニトールまたは高張食塩水を使用すること;過換気;脳灌流を増強する治療的昇圧療法;脳代謝(CMO)を減少させるバルビツレートの投与;半頭蓋切除;アスピリンの投与;アマンタジンの投与;静脈内血栓溶解(例えば、rtPAの使用);機械的血栓除去;血管形成術;および/またはステント、から選択される1以上の処置をさらに含む、方法1.30。
【0063】
1.32. 患者が、脳浮腫、例えば、頭部外傷、虚血性脳梗塞、神経膠腫、髄膜炎、急性高山病、癲癇性発作、感染、代謝障害、水中毒、肝不全、肝性脳症または糖尿病性ケトアシドーシスによる脳浮腫のリスクが高い、方法1以下のいずれかの方法。
【0064】
1.33. 患者が、卒中、頭部損傷または脊髄損傷を患っている、方法1.30。
【0065】
1.34. 患者が、卒中、頭部損傷または脊髄損傷を患ってから、12時間以内、例えば6時間以内、好ましくは3時間以内に処置が開始される、方法1.33。
【0066】
1.35. 患者が、例えば戦闘時あるいは運動競技において、卒中、頭部損傷または脊髄損傷を患う高いリスクがある、方法1.30。
【0067】
1.36. 患者が、既に浮腫を有している、方法1以下のいずれかの方法。
【0068】
1.37. 処置または抑制される症状が、卒中または外傷性脳損傷の結果生じる脳浮腫である、方法1以下のいずれかの方法。
【0069】
1.38. 処置または抑制される症状が、中大脳動脈梗塞の結果生じる脳浮腫である、方法1以下のいずれかの方法。
【0070】
1.39. 処置または抑制される症状が、閉鎖性頭部外傷の結果生じる脳浮腫である、方法1以下のいずれかの方法。
【0071】
1.40. 処置または抑制される症状が、癲癇性発作の結果生じる脳浮腫である、1−1.32のいずれかの方法。
【0072】
1.41. 処置または抑制される症状が、感染の結果生じる脳浮腫である、1−1.32のいずれかの方法。
【0073】
1.42. 処置または抑制される症状が、代謝障害の結果生じる脳浮腫である、1−1.32のいずれかの方法。
【0074】
1.43. 処置または抑制される症状が、神経膠腫の結果生じる脳浮腫である、1−1.32のいずれかの方法。
【0075】
1.44. 処置または抑制される症状が、髄膜炎、急性高山病または水中毒の結果生じる脳浮腫である、1−1.32のいずれかの方法。
【0076】
1.45. 処置または抑制される症状が、肝不全、肝性脳症または糖尿病性ケトアシドーシスの結果生じる脳浮腫である、1−1.32のいずれかの方法。
【0077】
1.46. 処置または抑制される症状が、膿瘍の結果生じる脳浮腫である、1−1.31のいずれかの方法。
【0078】
1.47. 処置または抑制される症状が、子癇の結果生じる脳浮腫である、1−1.31のいずれかの方法。
【0079】
1.48. 処置または抑制される症状が、クロイツフェルト−ヤコブ病の結果生じる脳浮腫である、1−1.31のいずれかの方法。
【0080】
1.49. 処置または抑制される症状が、ループス脳炎の結果生じる脳浮腫である、1−1.31のいずれかの方法。
【0081】
1.50. 処置または抑制される症状が、低酸素症の結果生じる浮腫、例えば一般的な全身性低酸素症、例えば血液潅流の遮断を原因とする低酸素症の結果生じる浮腫であって、例えば、心不全、卒中またはその他の脳への血液潅流の遮断を原因とする低酸素症の結果生じる脳浮腫であるか、または心臓虚血またはその他の心臓への血流の遮断の結果生じる心臓浮腫である、1−1.31のいずれかの方法。
【0082】
1.51. 処置または抑制される症状が、例えば宇宙飛行または放射性物質を扱う作業または放射能領域内での作業による、微小重力および/または放射線暴露の結果生じる脳および/または視神経浮腫である、1−1.31のいずれかの方法。
【0083】
1.52. 処置または抑制される症状が、侵襲性中枢神経系処置、例えば、神経外科手術、血管内血栓除去、脊椎穿刺、動脈瘤修復または深部脳刺激の結果生じる脳浮腫である、1−1.31のいずれかの方法。
【0084】
1.53. 患者が、浮腫、例えば、微小重力および/または放射線暴露、神経外科手術、血管内血栓除去、脊椎穿刺、動脈瘤修復または深部脳刺激による浮腫のリスクが高い、方法1.51または1.52。
【0085】
1.54. 患者が、既に浮腫を有している、方法1.51または1.52。
【0086】
1.55. 浮腫が、細胞毒性脳浮腫であるか、または主として細胞毒性の脳浮腫である、方法1以下のいずれかの方法。
【0087】
1.56. 浮腫が、細胞毒性脳浮腫であるか、または主として細胞毒性の脳浮腫である、方法1−1.45または1.50のいずれかの方法。
【0088】
1.57. 処置または抑制される症状が、脊髄浮腫、例えば脊髄圧迫などの脊髄外傷の結果生じる脊髄浮腫である、方法1−1.30いずれかの方法。
【0089】
1.58. 処置または抑制される症状が、脊髄圧迫の結果生じる脊髄浮腫である、方法1.57。
【0090】
1.59. 処置または抑制される症状が、網膜浮腫である、方法1−1.30のいずれかの方法。
【0091】
1.60. 処置または抑制される症状が、癲癇である、方法1−1.29のいずれかの方法。
【0092】
1.61. 処置または抑制される症状が、網膜虚血または他の眼圧および/または組織水和異常に関連のある眼疾患である、方法1−1.29のいずれかの方法。
【0093】
1.62. 処置または抑制される症状が、心筋虚血である、方法1−1.29のいずれかの方法。
【0094】
1.63. 処置または抑制される症状が、心筋虚血/再潅流損傷である、方法1−1.29のいずれかの方法。
【0095】
1.64. 処置または抑制される症状が、心筋梗塞である、方法1−1.29のいずれかの方法。
【0096】
1.65. 処置または抑制される症状が、心筋低酸素症である、方法1−1.29いずれかの方法。
【0097】
1.66. 処置または抑制される症状が、うっ血性心不全である、方法1−1.29のいずれかの方法。
【0098】
1.67. 処置または抑制される症状が、敗血症である、方法1−1.29のいずれかの方法。
【0099】
1.68. 処置または抑制される症状が、片頭痛である、方法1−1.29のいずれかの方法。
【0100】
1.69. アクアポリンがAQP2である、方法1−1.28のいずれかの方法。
【0101】
1.70. 処置される症状が、低ナトリウム血症または過剰な水分貯留(例えば、うっ血性心不全などの心不全(HF)、肝硬変、ネフローゼ障害または抗利尿ホルモン分泌異常症候群(SIADH)の結果生じるもの)である、方法1−1.28または1.69のいずれかの方法。
【0102】
1.71. 食事性ナトリウム、水分および/またはアルコールの1以上の制限;および/または1以上の利尿薬、バソプレッシンレセプターアンタゴニスト、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アルドステロン阻害剤、アンギオテンシンレセプターブロッカー(ARB)、β−アドレナリン作動性アンタゴニス(β−ブロッカー)および/またはジゴキシンの投与をさらに含む、方法1−1.28または1.69−1.70のいずれかの方法。
【0103】
1.72. ニクロサミドまたは式Iもしくは式1aの化合物が、10マイクロモルまたはそれ以下の濃度で少なくとも50%まで、アクアポリン活性(例えば、AQP2および/またはAQP4活性)を阻害する、例えば、アクアポリン仲介細胞体積変化アッセイにおいて、10マイクロモルまたはそれ以下の濃度でAPQ2および/またはAQP4活性を少なくとも50%まで阻害する(例えば、後述の方法10以下のアッセイのいずれかにおいて活性である)、方法1以下のいずれかの方法。
【0104】
1.73. 処置または抑制される症状が、視神経脊髄炎である、方法1−1.29のいずれかの方法。
【0105】
1.74. ニクロサミドまたは式Iもしくは式1aの化合物が、経口投与される、方法1以下のいずれかの方法。
【0106】
1.75. ニクロサミドまたは式Iもしくは式1aの化合物が、非経口投与される、方法1以下のいずれかの方法。
【0107】
1.76. ニクロサミドまたは式Iもしくは式1aの化合物が、静脈内投与される、方法1.75。
【0108】
1.77. 患者が、ヒトである、方法1以下のいずれかの方法。
【0109】
1.78. 方法1−1.28において規定される化合物いずれかの作用開始が、かなり急速である、方法1以下のいずれかの方法。
【0110】
本発明は、アクアポリンにより仲介される疾患または症状の処置または抑制、例えば方法1、1.1以下のいずれかの方法において使用するための、フェニルベンズアミド、例えば、ニクロサミドまたは前記式Iもしくは式1aの化合物をさらに提供する。
【0111】
本発明は、アクアポリンにより仲介される疾患または症状の処置または抑制のため、例えば方法1、1.1以下のいずれかにおける使用のための医薬の製造における、フェニルベンズアミド、例えばニクロサミドまたは前記式Iもしくは式1aの化合物をさらに提供する。
【0112】
本発明は、アクアポリンにより仲介される疾患または症状の処置または制御のため、例えば方法1、1.1以下のいずれかにおける使用のための、フェニルベンズアミド、例えばニクロサミドまたは前記式Iもしくは式1aの化合物を、医薬上許容し得る希釈剤または担体と組み合わせて含む、医薬組成物をさらに提供する。
【0113】
フェニルベンズアミド、例えば前記式Iまたは式1aのフェニルベンズアミドは、遊離または塩形態で、例えば酸付加塩として存在してよい。本明細書において、別段の記載が無ければ、例えば「式Iまたは式1aの化合物」または「式Iまたは式1aの化合物類」なる用語は、該化合物のあらゆる形態、例えば、遊離塩基または酸付加塩形態を包含するものと理解されるべきである。医薬上許容される塩は、当業者には知られており、投与量および投与形態で生理学的に許容し得る塩(例えば、塩酸塩)を包含する。
【0114】
アシル基の例としてには、例えば、ホルミル基、グリオキシロイル基、チオホルミル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルファモイル基、スルフィナモイル基、カルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基、および以下の式により示される基が挙げられる:
【化11】

【化12】

【化13】

[式中、Ra1およびRb1は、同一または異なって、炭化水素基または複素環基を表すか、またはRa1およびRb1は、それらが結合する窒素原子と共に一体となって環状アミノ基を形成する]。アシルには、生理学的に加水分解可能かつ許容可能なアシル基が包含され。本明細書において例えば「A」に関して用いられる「置換されていてもよいアシル基」のアシル基の例は、上記い定義されるアシル基と同様の基を包含する。「A」は、以下の置換基ωから選択される基である:
[置換基ω]置換されていてもよい炭化水素−カルボニル基、置換されていてもよい複素環式環−カルボニル基、置換されていてもよい炭化水素−オキシ−カルボニル基、置換されていてもよい炭化水素−スルホニル基、置換されていてもよいスルファモイル基、置換されていてもよいスルホ基、置換されていてもよいホスホノ基および置換されていてもよいカルバモイル基。本明細書において例えば式Iまたは式1aの化合物中の「A」または「R」に関して使用される用語「生理学的に加水分解可能かつ許容し得るアシル」は、酸、例えば、カルボン酸、カルバミン酸またはリン酸の残基[例えば、所望により置換されたカルボニル、例えば、アセチルまたはアミノ酸の残基、所望により置換されたカルバモイル、例えば(モルホリン−4−イル)カルボニル、または所望により置換されたホスホノ、例えば、ジベンジルホスホノ]を意味し、酸素に、例えば前記式Iまたは式1aに示されるように結合して、例えば式Iまたは式1aの化合物とのエステルまたはリン酸エステルを形成し、これが生理学的条件下に前記酸素から加水分解されて、投与される用量で生理学的に忍容される酸と、AまたはRがHである対応する式Iまたは式1aのヒドロキシ化合物を生成することができる。理解されるであろうが、この用語はこのように従来の医薬プロドラッグ形態を包含するが、化合物が活性となるために加水分解されることを必ずしも必要ではない。アシル化合物は、従来法、例えば好適な酸または酸ハライドを用いる式1または式1aの化合物(式中、AまたはRはHである)のアシル化により製造され得る。アシル化化合物の例およびそれらの製造方法は、例えばUS2010/0274051A1、US7,700,655およびUS7,626,042に示されており、これら各々は出典明示により本明細書に組み込まれる。
【0115】
用語「患者」は、ヒトまたはヒト以外(即ち、動物)の患者を包含する。特定の実施形態において、本発明は、ヒトおよびヒト以外の両方を包含する。別の実施形態において、本発明は、ヒト以外を包含する。別の実施形態において、この用語はヒトを包含する。
【0116】
作用の開始に関して、用語「かなり急速」とは、化合物が投与されてから応答が観察されるまでに要する時間が、30分またはそれ以下、例えば20分またはそれ以下、例えば15分またはそれ以下、例えば10分またはそれ以下、例えば5分またはそれ以下、例えば1分またはそれ以下であることを意味する。
【0117】
本発明の方法において使用するためのフェニルベンズアミド、例えば前記式1または式1aのフェニルベンズアミドは、単一の治療薬として使用してもよいが、他の有効成分と組み合せるかまたは併用して投与してもよく、例えば、脳浮腫、卒中、外傷性脳損傷、神経膠腫、髄膜炎、急性高山病、感染、代謝障害、低酸素症、水中毒、肝不全、肝性脳症、糖尿病性ケトアシドーシス、膿瘍、子癇、クロイツフェルト−ヤコブ病、ループス脳炎、視神経の浮腫、低ナトリウム血症、水分貯留、癲癇、網膜虚血または他の眼圧および/または組織水和異常に関連のある眼疾患、心筋虚血、心筋虚血/再潅流障害、心筋梗塞、心筋低酸素症、うっ血性心不全、敗血症、視神経脊髄炎または片頭痛のための従来療法と組み合わせて使用してもよい。
【0118】
さらなる実施形態において、本発明は、浮腫、例えば脳または脊髄の浮腫、例えば脳浮腫(例えば、頭部外傷、虚血性脳梗塞、神経膠腫、髄膜炎、急性高山病、癲癇性発作、感染、代謝障害、低酸素症、水中毒、肝不全、肝性脳症、糖尿病性ケトアシドーシス、膿瘍、子癇、クロイツフェルト−ヤコブ病またはループス脳炎の結果生じる脳浮腫)、微小重力および/または放射線暴露の結果生じる浮腫、侵襲性の中枢神経系処置(例えば、神経外科手術、血管内血栓除去、脊椎穿刺、動脈瘤修復または深部脳刺激)の結果生じる浮腫、または例えば網膜浮腫、または例えば脊髄浮腫(例えば、脊髄圧迫などの脊髄外傷の結果生じる脊髄浮腫)を処置または抑制する方法であって、有効量のAQP4阻害剤、例えばAQP4に結合する化合物を、それが必要な患者に投与することを含み、該AQP4阻害剤は、フェニルベンズアミド、例えばニクロサミドまたは前記式Iもしくは式1aの化合物、例えば上記方法1−1.28において規定される化合物のいずれかから選択される方法を提供するものである(方法2)。
【0119】
2.
2.1. 静脈流出を促進する最適な頭頸部の位置調整(例えば、頭部挙上30°);脱水の回避;全身性血圧降下;正常体温または低体温の維持;積極的手段;浸透圧療法、例えば、マンニトールまたは高張生理食塩水を使用すること;過換気;脳灌流を増強する治療的昇圧療法;脳代謝(CMO)を減少させるバルビツレートの投与;半頭蓋切除;アスピリンの投与;アマンタジンの投与;静脈内血栓溶解(例えば、rtPAを使用する);機械的血栓除去;血管形成術;および/またはステント、から選択される1以上の処置をさらに含む方法2。
【0120】
2.2. 患者が、脳浮腫、例えば、頭部外傷、虚血性脳梗塞、神経膠腫、髄膜炎、急性高山病、癲癇性発作、感染、代謝性障害、水中毒、肝不全、肝性脳症または糖尿病性ケトアシドーシスによる脳浮腫のリスクが高い、方法2または2.1。
【0121】
2.3. 患者が、卒中、頭部損傷または脊髄損傷を患っている、方法2、2.1または2.2。
【0122】
2.4. 患者が、卒中、頭部損傷または脊髄損傷を患ってから、12時間以内、例えば6時間以内、好ましくは3時間以内に処置が開始される、方法2以下の方法。
【0123】
2.5. 患者が、例えば戦闘時あるいは運動競技において、卒中、頭部損傷または脊髄損傷を患う高いリスクがある、方法2以下のいずれかの方法。
【0124】
2.6. 患者が、既に浮腫を有している、方法2以下のいずれかの方法。
【0125】
2.7. 処置または制御される症状が、卒中または外傷性脳損傷の結果生じる脳浮腫である、方法2以下のいずれかの方法。
【0126】
2.8. 処置または制御される症状が、中大脳動脈梗塞の結果生じる脳浮腫である、方法2以下のいずれかの方法。
【0127】
2.9. 処置または制御される症状が、閉鎖頭部外傷の結果生じる脳浮腫である、方法2以下のいずれかの方法。
【0128】
2.10. 処置または制御される症状が、癲癇性発作の結果生じる脳浮腫である、方法2−2.2いずれかの方法。
【0129】
2.11. 処置または制御される症状が、感染の結果生じる脳浮腫である、方法2−2.2のいずれかの方法。
【0130】
2.12. 処置または制御される症状が、代謝性障害の結果生じる脳浮腫である、方法2−2.2のいずれかの方法。
【0131】
2.13. 処置または制御される症状が、神経膠腫の結果生じる脳浮腫である、方法2−2.2のいずれかの方法。
【0132】
2.14. 処置または制御される症状が、髄膜炎、急性高山病または水中毒の結果生じる脳浮腫である、方法2−2.2のいずれかの方法。
【0133】
2.15. 処置または制御される症状が、肝不全、肝性脳症または糖尿病性ケトアシドーシスの結果生じる脳浮腫である、方法2−2.2のいずれかの方法。
【0134】
2.16. 処置または制御される症状が、膿瘍の結果生じる脳浮腫である、方法2または2.1。
【0135】
2.17. 処置または制御される症状が、子癇の結果生じる脳浮腫である、方法2または2.1。
【0136】
2.18. 処置または制御される症状が、クロイツフェルト−ヤコブ病疾患の結果生じる脳浮腫である、方法2または2.1。
【0137】
2.19. 処置または制御される症状が、ループス脳炎の結果生じる脳浮腫である、方法2または2.1。
【0138】
2.20. 処置または制御される症状が、例えば宇宙飛行または放射性物質を扱う作業または放射能領域内での作業による、微小重力および/または放射線暴露の結果生じる脳および/または視神経浮腫である、方法2または2.1。
【0139】
2.21. 処置または制御される症状が、侵襲性中枢神経系処置、例えば、神経外科手術、血管内血栓除去、脊椎穿刺、血管瘤修復または深部脳刺激の結果生じる脳浮腫である、方法2または2.1。
【0140】
2.22. 患者が、浮腫、例えば、微小重力および/または放射線暴露、神経外科手術、血管内血栓除去、脊椎穿刺、動脈瘤修復または深部脳刺激による浮腫のリスクが高い、、方法2.20または2.21。
【0141】
2.23. 患者が、既に浮腫を有している、方法2.20または2.21。
【0142】
2.24. 浮腫が、細胞毒性脳浮腫であるか、または主として細胞毒性脳浮腫である、方法2以下のいずれかの方法。
【0143】
2.25. 浮腫が、細胞毒性脳浮腫であるか、または主として細胞毒性脳浮腫である、方法2−2.15以下のいずれかの方法。
【0144】
2.26. 処置または制御される症状が、脊髄浮腫、例えば脊髄圧迫などの脊髄外傷の結果生じる脊髄浮腫である、方法2。
【0145】
2.27. 処置または制御される症状が、脊髄圧迫の結果生じる脊髄浮腫である、方法2.26。
【0146】
2.28. 処置または制御される症状が、網膜浮腫である、方法2。
【0147】
2.29. AQP4阻害剤が、10マイクロモルまたはそれ以下の濃度で少なくとも50%まで、AQP4活性を阻害する、例えば、アクアポリン仲介細胞体積変化アッセイにおいて、10マイクロモルまたはそれ以下の濃度でAQP4活性を少なくとも50%まで阻害する(例えば、方法10以下のアッセイのいずれかにおいて活性である)、方法2以下のいずれかの方法。
【0148】
2.30. AQP4阻害剤による処置の期間が、21日未満、例えば2週間未満、例えば1週間またはそれ以下である、方法2以下のいずれかの方法。
【0149】
2.31. AQP4阻害剤が、経口投与される、方法2以下のいずれかの方法。
【0150】
2.32. AQP4阻害剤が、非経口投与される、方法2以下のいずれかの方法。
【0151】
2.33. AQP4阻害剤が、静脈内投与される、方法2.32。
【0152】
2.34. 患者が、ヒトである、方法2以下のいずれかの方法。
【0153】
2.35. 方法1−1.28において規定される化合物いずれかの作用開始が、かなり急速である、方法2以下のいずれかの方法。
【0154】
2.36. 浮腫が、低酸素症、例えば、一般的な全身性低酸素症、例えば、血液潅流の遮断を原因とする低酸素症の結果生じる浮腫、例えば心不全またはその他の脳への血液潅流の遮断を原因とする低酸素症の結果生じる脳浮腫である、方法2以下のいずれかの方法。
【0155】
さらなる実施形態において、本発明は、低ナトリウム血症または過剰な水分貯留(例えば、うっ血性心不全などの心不全(HF)、肝硬変、ネフローゼ障害または抗利尿ホルモン分泌異常症候群(SIADH)の結果により生じるもの)から選択される症状を処置または抑制する方法であって、有効量のAQP2阻害剤、例えばAQP2に結合する化合物)を、その必要のある患者に投与することを含み、例えば該AQP2阻害剤が、フェニルベンズアミド、例えばニクロサミドまたは前記式Iもしくは式1aの化合物、例えば上記方法1−1.28において規定される化合物のいずれかから選択される方法を提供するものである(方法3)。
【0156】
3.
3.1. 食事性ナトリウム、水分および/またはアルコールの1以上の制限;および/または1以上の利尿薬、バソプレッシンレセプターアンタゴニスト、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アルドステロン阻害剤、アンギオテンシンレセプターブロッカー(ARB)、β−アドレナリン作動性アンタゴニス(β−ブロッカー)および/またはジゴキシンの投与をさらに含む、方法3。
【0157】
3.2. AQP2阻害剤が、10マイクロモルまたはそれ以下の濃度で少なくとも50%まで、AQP2活性を阻害する、例えば、アクアポリン仲介細胞体積変化アッセイにおいて、10マイクロモルまたはそれ以下の濃度でAPQ2活性を少なくとも50%まで阻害する(例えば、方法10以下のアッセイのいずれかにおいて活性である)、方法3以下のいずれかの方法。
【0158】
3.3. AQP2阻害剤が、経口投与される、方法3以下のいずれかの方法。
【0159】
3.4. AQP2阻害剤が、非経口投与される、方法3以下のいずれかの方法。
【0160】
3.5. AQP2阻害剤が、静脈内投与される、方法3.4。
【0161】
3.6. 患者が、ヒトである方法3以下のいずれかの方法。
【0162】
3.7. 方法1−1.28で規定されるいずれかの化合物の作用開始がかなり急速である、方法3以下のいずれかの方法。
【0163】
さらなる実施形態において、本発明は、癲癇、網膜虚血または他の眼圧および/または組織水和異常に関連のある眼疾患、心筋虚血、心筋虚血/再潅流障害、心筋梗塞、心筋低酸素症、うっ血性心不全、敗血症、視神経脊髄炎、あるいは片頭痛から選択される症状を処置または抑制する方法であって、有効量のAQP4阻害剤、例えばAQP4に結合する化合物を、その必要のある患者に投与することを含み、例えば該AQP4阻害剤が、フェニルベンズアミド、例えばニクロサミドまたは前記式Iもしくは式Iaの化合物、例えば上記方法1−1.28において規定される化合物のいずれかから選択される方法を提供するものである(方法4)。
【0164】
4.
4.1. 処置または制御される症状が、網膜虚血あるいは眼圧異常および/または組織水和に関連のあるその他の眼の疾患である、方法4。
【0165】
4.2. 処置または制御される症状が、心筋性虚血である、方法4。
【0166】
4.3. 処置または制御される症状が、心筋虚血/再潅流損傷である、方法4。
【0167】
4.4. 処置または制御される症状が、心筋梗塞である、方法4。
【0168】
4.5. 処置または制御される症状が、心筋低酸素症である、方法4。
【0169】
4.6. 処置または制御される症状が、うっ血性心不全である、方法4。
【0170】
4.7. 処置または制御される症状が、敗血症である、方法4。
【0171】
4.8. 処置または制御される症状が、視神経脊髄炎である、方法4。
【0172】
4.9. 処置または制御される症状が、片頭痛である、方法4。
【0173】
4.10. AQP4阻害剤が、10マイクロモルまたはそれ以下の濃度で少なくとも50%まで、AQP4活性を50%阻害する、例えば、アクアポリン仲介細胞体積変化アッセイにおいて、10マイクロモルまたはそれ以下の濃度でAPQ4活性を少なくとも50%まで阻害する(例えば、方法10以下のアッセイのいずれかにおいて活性である)、方法4以下のいずれかの方法。
【0174】
4.11. AQP4阻害剤が、経口投与される、方法4以下のいずれかの方法。
【0175】
4.12. AQP4阻害剤が、非経口投与される、方法4以下のいずれかの方法。
【0176】
4.13. AQP4阻害剤が、静脈内投与される、方法4.12。
【0177】
4.14. 患者がヒトである、方法4以下のいずれかの方法。
【0178】
4.15. 方法1−1.28において規定される化合物のいずれかの作用の開始が、かなり急速である、方法4以下のいずれかの方法。
【0179】
さらなる実施形態において、本発明は、アクアポリンを阻害するのに有効な量でフェニルベンズアミド、例えば前記ニクロサミドまたは式Iまたは式1aの化合物、例えば上記方法1−1.28において規定される化合物のいずれかを、それが必要な患者に投与することを含む、アクアポリンにより媒介される疾患または症状を処置または制御するための方法(方法5)を提供する。
【0180】
5.
5.1. アクアポリンがAQP4である、方法5。
【0181】
5.2. 処置または制御される症状が、浮腫、例えば脳または脊髄の浮腫、例えば脳浮腫(例えば、頭部外傷、虚血性脳梗塞、神経膠腫、髄膜炎、急性高山病、癲癇性発作、感染、代謝性障害、水中毒、肝不全、肝性脳症または糖尿病性ケトアシドーシスの結果生じる脳浮腫)または例えば脊髄浮腫(例えば脊髄圧迫などの脊髄外傷の結果生じる脊髄浮腫)から選択される浮腫である、方法5または5.1。
【0182】
5.3. 静脈流出を促進する最適な頭頸部の位置調整(例えば、頭部挙上30°);脱水の回避;全身性血圧降下;正常体温または低体温の維持;積極的手段;浸透圧療法、例えば、マンニトールまたは高張生理食塩水を使用すること;過換気;脳灌流を増強する治療的昇圧療法;脳代謝(CMO)を減少させるバルビツレートの投与;半頭蓋切除;アスピリンの投与;アマンタジンの投与;静脈内血栓溶解(例えば、rtPAを使用する);機械的血栓除去;血管形成術;および/またはステント、から選択される1以上の処置をさらに含む、方法5.2。
【0183】
5.4. 患者が、脳浮腫、例えば、頭部外傷、虚血性脳梗塞、神経膠腫、髄膜炎、急性高山病、癲癇性発作、感染、代謝性障害、水中毒、肝不全、肝性脳症または糖尿病性ケトアシドーシスによる脳浮腫のリスクが高い、方法5以下のいずれかの方法。
【0184】
5.5. 患者が、卒中、頭部損傷または脊髄損傷を患っている、方法5以下のいずれかの方法。
【0185】
5.6. 患者が、卒中、頭部損傷または脊髄損傷を患ってから、12時間以内、例えば6時間以内、好ましくは3時間以内に処置が開始される、方法5以下のいずれかの方法。
【0186】
5.7. 患者が、例えば戦闘時あるいは運動競技において、卒中、頭部損傷または脊髄損傷を患う高いリスクがある、方法5以下のいずれかの方法。
【0187】
5.8. 患者が、既に浮腫を有している、方法5以下のいずれかの方法。
【0188】
5.9. 処置または制御される症状が、卒中または外傷性脳損傷の結果生じる脳浮腫である、方法5以下のいずれかの方法。
【0189】
5.10. 処置または制御される症状が、中大脳動脈梗塞の結果生じる脳浮腫である、方法5以下のいずれかの方法。
【0190】
5.11. 処置または制御される症状が、閉鎖頭部外傷の結果生じる脳浮腫である、方法5以下のいずれかの方法。
【0191】
5.12. 処置または制御される症状が、癲癇性発作の結果生じる脳浮腫である、方法5−5.4いずれかの方法。
【0192】
5.13. 処置または制御される症状が、感染の結果生じる脳浮腫である、方法5−5.4いずれかの方法。
【0193】
5.14. 処置または制御される症状が、代謝性障害の結果生じる脳浮腫である、方法5−5.4いずれかの方法。
【0194】
5.15. 処置または制御される症状が、神経膠腫の結果生じる脳浮腫である、方法5−5.4いずれかの方法。
【0195】
5.16. 処置または制御される症状が、髄膜炎、急性高山病または水中毒の結果生じる脳浮腫である、方法5−5.4いずれかの方法。
【0196】
5.17. 処置または制御される症状が、肝不全、肝性脳症または糖尿病性ケトアシドーシスの結果生じる脳浮腫である、方法5−5.4いずれかの方法。
【0197】
5.18. 処置または制御される症状が、膿瘍の結果生じる脳浮腫である、方法5−5.3のいずれかの方法。
【0198】
5.19. 処置または制御される症状が、子癇の結果生じる脳浮腫である、方法5−5.3のいずれかの方法。
【0199】
5.20. 処置または制御される症状が、クロイツフェルト−ヤコブ病疾患の結果生じる脳浮腫である、方法5−5.3のいずれかの方法。
【0200】
5.21. 処置または制御される症状が、ループス脳炎の結果生じる脳浮腫である、方法5−5.3のいずれかの方法。
【0201】
5.22. 処置または制御される症状が、低酸素症の結果生じる浮腫、例えば、一般的な全身性低酸素症、例えば、血液潅流の遮断を原因とする低酸素症の結果生じる浮腫であって、例えば該浮腫が、心不全、卒中またはその他の脳への血液潅流の遮断を原因とする低酸素症の結果生じる脳浮腫であるか、または該浮腫が、心臓虚血またはその他の心臓への血流の遮断の結果生じる心臓性浮腫である、方法5−5.3のいずれかの方法。
【0202】
5.23. 処置または制御される症状が、例えば宇宙飛行または放射性物質を扱う作業または放射能領域内での作業による、微小重力および/または放射線暴露の結果生じる脳および/または視神経浮腫である、方法5−5.3のいずれかの方法。
【0203】
5.24. 処置または制御される症状が、侵襲性中枢神経系処置、例えば、神経外科手術、血管内血栓除去、脊椎穿刺、血管瘤修復または深部脳刺激の結果生じる脳浮腫である、方法5−5.3のいずれかの方法。
【0204】
5.25. 患者が、浮腫、例えば、微小重力状態および/または放射線被爆、神経外科手術、血管内血栓除去、脊椎穿刺、血管瘤修復または深部脳刺激による浮腫のリスクが高い、方法5.23または5.24。
【0205】
5.26. 患者が、既に浮腫を有している、方法5.23または5.24。
【0206】
5.27. 浮腫が、細胞毒性脳浮腫であるか、または主として細胞毒性脳浮腫である、方法5以下のいずれかの方法。
【0207】
5.28. 浮腫が、細胞毒性脳浮腫であるか、または主として細胞毒性脳浮腫である、方法5−5.17または5.22いずれかの方法。
【0208】
5.29. 処置または制御される症状が、脊髄浮腫、例えば脊髄圧迫などの脊髄外傷の結果生じる脊髄浮腫である、方法5または5.1。
【0209】
5.30. 処置または制御される症状が、脊髄圧迫の結果生じる脊髄浮腫である、方法5.29。
【0210】
5.31. 処置または制御される症状が、網膜浮腫である、方法5−5.2いずれかの方法。
【0211】
5.32. 処置または制御される症状が、癲癇である、方法5または5.1。
【0212】
5.33. 処置または制御される症状が、網膜虚血あるいは眼圧異常および/または組織水和に関連のあるその他の眼の疾患である、方法5または5.1。
【0213】
5.34. 処置または制御される症状が、心筋性虚血である、方法5または5.1。
【0214】
5.35. 処置または制御される症状が、心筋性虚血/再潅流損傷である、方法5または5.1。
【0215】
5.36. 処置または制御される症状が、心筋梗塞である、方法5または5.1。
【0216】
5.37. 処置または制御される症状が、心筋低酸素症である、方法5または5.1。
【0217】
5.38. 処置または制御される症状が、うっ血性心不全である、方法5または5.1。
【0218】
5.39. 処置または制御される症状が、敗血症である、方法5または5.1。
【0219】
5.40. 処置または制御される症状が、片頭痛である、方法5または5.1。
【0220】
5.41. アクアポリンが、AQP2である、方法5。
【0221】
5.42. 処置される症状が、低ナトリウム血症または過剰な水分貯留(例えば、うっ血性心不全などの心不全(HF)、肝硬変、ネフローゼ障害または抗利尿ホルモン分泌異常症候群(SIADH)の結果生じるもの)である、方法5または5.41。
【0222】
5.43. 食事性ナトリウム、水分および/またはアルコールの1以上の制限;および/または1以上の利尿薬、バソプレッシンレセプターアンタゴニスト、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アルドステロン阻害剤、アンギオテンシンレセプターブロッカー(ARB)、β−アドレナリン作動性アンタゴニスト(β−ブロッカー)および/またはジゴキシンの投与をさらに含む、方法5.42。
【0223】
5.44. 式Iまたは式1aの化合物が、10マイクロモルまたはそれ以下の濃度で少なくとも50%まで、アクアポリン活性(例えば、AQP2および/またはAQP4活性)を阻害する、例えば、アクアポリン仲介細胞体積変化アッセイにおいて、10マイクロモルまたはそれ以下の濃度でAPQ2および/またはAQP4活性を少なくとも50%まで阻害する(例えば、方法10以下のアッセイのいずれかにおいて活性である)、方法5以下のいずれかの方法。
【0224】
5.45. フェニルベンズアミドによる処置の期間が、21日未満、例えば2週間未満、例えば1週間またはそれ以下である、方法5以下のいずれかの方法。
【0225】
5.46. ニクロサミドまたは式Iまたは式1aの化合物が、経口投与される、方法5以下のいずれかの方法。
【0226】
5.47. ニクロサミドまたは式Iまたは式1aの化合物が、非経口投与される、方法5以下のいずれかの方法。
【0227】
5.48. ニクロサミドまたは式Iまたは式1aの化合物が、静脈内投与される、方法5.47。
【0228】
5.49. 患者がヒトである、方法5以下のいずれかの方法。
【0229】
5.50. 方法1−1.28において規定される化合物のいずれかの作用の開始が、かなり急速である、方法5以下のいずれかの方法。
【0230】
さらなる実施形態において、本発明は、アクアポリンを、有効量のフェニルベンズアミド、例えばニクロサミドまたは前記式Iもしくは式1aの化合物、例えば上記方法1−1.28において規定される化合物のいずれかと接触させることを含む、アクアポリンを阻害する方法を提供するものである(方法6)。
【0231】
6.
6.1. アクアポリンがインビボで阻害される、方法6。
【0232】
6.2. アクアポリンがインビトロで阻害される、方法6。
【0233】
6.3. アクアポリンがAQP4である、方法6以下のいずれかの方法。
【0234】
6.4. アクアポリンがAQP2である、方法6以下のいずれかの方法。
【0235】
6.5. 式Iまたは式1aの化合物が、10マイクロモルまたはそれ以下の濃度で少なくとも50%まで、アクアポリン活性(例えば、AQP2および/またはAQP4活性)を阻害する、例えば、アクアポリン仲介細胞体積変化アッセイにおいて、10マイクロモルまたはそれ以下の濃度でAPQ2および/またはAQP4活性を少なくとも50%阻害する(例えば、後述の方法10以下のアッセイのいずれかにおいて活性である)、方法6以下のいずれかの方法。
【0236】
6.6. ニクロサミドまたは式Iもしくは式1aの化合物が、経口投与される、方法6.1。
【0237】
6.7. ニクロサミドまたは式Iもしくは式1aの化合物が、非経口投与される、方法6.1。
【0238】
6.8. ニクロサミドまたは式Iもしくは式1aの化合物が、静脈内投与される、方法6.7。
【0239】
さらなる実施形態において、本発明は、アクアポリンを阻害するために有効量のフェニルベンズアミド、例えばニクロサミドまたは前記式Iもしくは式1aの化合物、例えば上記方法1−1.28において規定される化合物のいずれかを投与することを含む、アクアポリンにより仲介される疾患または症状に罹患している患者においてアクアポリンを阻害する方法を提供するものである(方法7)。
【0240】
7.
7.1. アクアポリンが、AQP4である、方法7。
【0241】
7.2. 処置または制御される症状が、浮腫、例えば脳または脊髄の浮腫、例えば脳浮腫(例えば、頭部外傷、虚血性脳梗塞、神経膠腫、髄膜炎、急性高山病、癲癇性発作、感染、代謝性障害、水中毒、肝不全、肝性脳症または糖尿病性ケトアシドーシスの結果生じる脳浮腫)または例えば脊髄浮腫(例えば脊髄圧迫などの脊髄外傷の結果生じる脊髄浮腫)から選択される、方法7または7.1。
【0242】
7.3. 静脈流出を促進する最適な頭頸部の位置調整(例えば、頭部挙上30°);脱水の回避;全身性血圧降下;正常体温または低体温の維持;積極的手段;浸透圧療法、例えば、マンニトールまたは高張生理食塩水を使用すること;過換気;脳灌流を増強する治療的昇圧療法;脳代謝(CMO)を減少させるバルビツレートの投与;半頭蓋切除;アスピリンの投与;アマンタジンの投与;静脈内血栓溶解(例えば、rtPAを使用する);機械的血栓除去;血管形成術;および/またはステント、から選択される処置をさらに含む方法7.2。
【0243】
7.4. 患者が、脳浮腫、例えば、頭部外傷、虚血性脳梗塞、神経膠腫、髄膜炎、急性高山病、癲癇性発作、感染、代謝性障害、水中毒、肝不全、肝性脳症または糖尿病性ケトアシドーシスによる脳浮腫のリスクが高い、方法7以下のいずれかの方法。
【0244】
7.5. 患者が、卒中、頭部損傷または脊髄損傷を患っている、方法7以下のいずれかの方法。
【0245】
7.6. 患者が、卒中、頭部損傷または脊髄損傷を患ってから、12時間以内、例えば6時間以内、好ましくは3時間以内に処置が開始される、方法7以下のいずれかの方法。
【0246】
7.7. 患者が、例えば戦闘時あるいは運動競技において、卒中、頭部損傷または脊髄損傷を患う高いリスクがある、方法7以下のいずれかの方法。
【0247】
7.8. 患者が、既に浮腫を有している、方法7以下のいずれかの方法。
【0248】
7.9. 処置または制御される症状が、卒中または外傷性脳損傷の結果生じる脳浮腫である、方法7以下のいずれかの方法。
【0249】
7.10. 処置または制御される症状が、中大脳動脈梗塞の結果生じる脳浮腫である方法7以下のいずれかの方法。
【0250】
7.11. 処置または制御される症状が、閉鎖頭部外傷の結果生じる脳浮腫である、方法7以下のいずれかの方法。
【0251】
7.12. 処置または制御される症状が、癲癇性発作の結果生じる脳浮腫である、方法7−7.4いずれかの方法。
【0252】
7.13. 処置または制御される症状が、感染の結果生じる脳浮腫である、方法7−7.4いずれかの方法。
【0253】
7.14. 処置または制御される症状が、代謝性障害の結果生じる脳浮腫である、方法7−7.4いずれかの方法
【0254】
7.15. 処置または制御される症状が、神経膠腫の結果生じる脳浮腫である、方法7−7.4いずれかの方法。
【0255】
7.16. 処置または制御される症状が、髄膜炎、急性高山病または水中毒の結果生じる脳浮腫である、方法7−7.4いずれかの方法。
【0256】
7.17. 処置または制御される症状が、肝不全、肝性脳症または糖尿病性ケトアシドーシスの結果生じる脳浮腫である、方法7−7.4いずれかの方法。
【0257】
7.18. 処置または制御される症状が、膿瘍の結果生じる脳浮腫である、方法7−7.3いずれかの方法。
【0258】
7.19. 処置または制御される症状が、子癇の結果生じる脳浮腫である、方法7−7.3いずれかの方法。
【0259】
7.20. 処置または制御される症状が、クロイツフェルト−ヤコブ病疾患の結果生じる脳浮腫である、方法7−7.3いずれかの方法。
【0260】
7.21. 処置または制御される症状が、ループス脳炎の結果生じる脳浮腫である、方法7−7.3いずれかの方法。
【0261】
7.22. 処置または制御される症状が、低酸素症の結果生じる浮腫、例えば一般的な全身性低酸素症、例えば血液潅流の遮断を原因とする低酸素症であって、例えば、該浮腫が、心不全、卒中またはその他の脳への血液潅流の遮断を原因とする低酸素症の結果生じる脳浮腫であるか、または心臓虚血またはその他の心臓への血流の遮断の結果生じる心臓性浮腫である、方法7−7.3いずれかの方法。
【0262】
7.23. 処置または制御される症状が、例えば宇宙飛行または放射性物質を扱う作業または放射能領域内での作業による、微小重力および/または放射線暴露の結果生じる脳および/または視神経浮腫である、方法7−7.3いずれかの方法。
【0263】
7.24. 処置または制御される症状が、侵襲性中枢神経系処置、例えば、神経外科手術、血管内血栓除去、脊椎穿刺、血管瘤修復または深部脳刺激の結果生じる脳浮腫である、方法7−7.3いずれかの方法。
【0264】
7.25. 患者が、浮腫、例えば、微小重力状態および/または放射線被爆、神経外科手術、血管内血栓除去、脊椎穿刺、血管瘤修復または深部脳刺激による浮腫のリスクが高い、方法7.23または7.24。
【0265】
7.26. 患者が、既に浮腫を有している、方法7.23または7.24。
【0266】
7.27. 浮腫が、細胞毒性脳浮腫であるか、または主として細胞毒性脳浮腫である、方法7以下のいずれかの方法。
【0267】
7.28. 浮腫が、細胞毒性脳浮腫であるか、または主として細胞毒性脳浮腫である、いずれかの方法7−7.17または7.22。
【0268】
7.29. 処置または制御される症状が、脊髄浮腫、例えば脊髄圧迫などの脊髄外傷の結果生じる脊髄浮腫であり、方法7−7.2いずれかの方法。
【0269】
7.30. 処置または制御される症状が、脊髄圧迫の結果生じる脊髄浮腫である、方法7.29 。
【0270】
7.31. 処置または制御される症状が、網膜浮腫である、方法7−7.2いずれかの方法。
【0271】
7.32. 処置または制御される症状が、癲癇である、方法7または7.1。
【0272】
7.33. 処置または制御される症状が、網膜虚血または眼圧異常および/または組織水和に関連のあるその他の眼の疾患である、方法7または7.1。
【0273】
7.34. 処置または制御される症状が、心筋性虚血である、方法7または7.1。
【0274】
7.35. 処置または制御される症状が、心筋虚血/再潅流損傷である、方法7または7.1。
【0275】
7.36. 処置または制御される症状が、心筋梗塞である、方法7または7.1。
【0276】
7.37. 処置または制御される症状が、心筋低酸素症である、方法7または7.1。
【0277】
7.38. 処置または制御される症状が、うっ血性心不全である、方法7または7.1。
【0278】
7.39. 処置または制御される症状が、敗血症である、方法7または7.1。
【0279】
7.40. 処置または制御される症状が、片頭痛である、方法7または7.1。
【0280】
7.41. アクアポリンがAQP2である、方法7。
【0281】
7.42. 処置される症状が、低ナトリウム血症または過剰な水分貯留(例えば、うっ血性心不全などの心不全(HF)、肝硬変、ネフローゼ障害または抗利尿ホルモン分泌異常症候群(SIADH)の結果生じるもの)である、方法7または7.41。
【0282】
7.43. 食事性ナトリウム、水分および/またはアルコールの1以上の制限;および/または1以上の利尿薬、バソプレッシンレセプターアンタゴニスト、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アルドステロン阻害剤、アンギオテンシンレセプターブロッカー(ARB)、β−アドレナリン作動性アンタゴニスト(β−ブロッカー)および/またはジゴキシンの投与をさらに含む、方法7.42。
【0283】
7.44. 式Iまたは式1aの化合物が、10マイクロモルまたはそれ以下の濃度で少なくとも50%まで、アクアポリン活性(例えば、AQP2および/またはAQP4活性)を阻害する、例えば、AQP4活性をアクアポリン仲介細胞体積変化アッセイにおいて、10マイクロモルまたはそれ以下の濃度でAPQ2および/またはAQP4活性を少なくとも50%まで阻害する(例えば、方法10以下のアッセイのいずれかにおいて活性である)、方法7以下のいずれかの方法。
【0284】
7.45. フェニルベンズアミドによる処置の期間が、21日未満、例えば2週間未満、例えば1週間またはそれ以下である、方法7以下のいずれかの方法。
【0285】
7.46. ニクロサミドまたは式Iまたは式1aの化合物が、経口投与される、方法7以下のいずれかの方法。
【0286】
7.47. ニクロサミドまたは式Iまたは式1aの化合物が、非経口投与される、方法7以下のいずれかの方法。
【0287】
7.48. ニクロサミドまたは式Iまたは式1aの化合物が、静脈内投与される、方法7.47。
【0288】
7.49. 患者がヒトである、方法7以下のいずれかの方法。
【0289】
7.50. 方法1−1.28に規定される化合物のいずれかの作用の開始が、かなり急速である、方法7以下のいずれかの方法。
【0290】
さらなる実施形態において、本発明は、アクアポリンにより仲介される疾患または症状に罹患している患者においてアクアポリンを阻害するために使用する、フェニルベンズアミド、例えばニクロサミドまたは前記式Iもしくは式1aの化合物、例えば上記方法1−1.28において規定される化合物のいずれかを含有する医薬組成物を提供するものである(使用8)。
【0291】
8.
8.1. アクアポリンがAQP4である、使用8。
【0292】
8.2. 処置または制御される症状が、浮腫、例えば脳または脊髄の浮腫、例えば脳浮腫(例えば、頭部外傷、虚血性脳梗塞、神経膠腫、髄膜炎、急性高山病、癲癇性発作、感染、代謝性障害、水中毒、肝不全、肝性脳症または糖尿病性ケトアシドーシスの結果生じる脳浮腫)または例えば脊髄浮腫(例えば、脊髄圧迫などの脊髄外傷の結果生じる脊髄浮腫)から選択される、使用8または8.1。
【0293】
8.3. 静脈流出を促進する最適な頭頸部の位置調整(例えば、頭部挙上30°);脱水の回避;全身性血圧降下;正常体温または低体温の維持;積極的手段;浸透圧療法、例えば、マンニトールまたは高張生理食塩水を使用すること;過換気;脳灌流を増強する治療的昇圧療法;脳代謝(CMO)を減少させるバルビツレートの投与;半頭蓋切除;アスピリンの投与;アマンタジンの投与;静脈内血栓溶解(例えば、rtPAを使用する);機械的血栓除去;血管形成術;および/またはステント、から選択される1以上の処置をさらに含む、使用8.2。
【0294】
8.4. 患者が、脳浮腫、例えば、頭部外傷、虚血性脳梗塞、神経膠腫、髄膜炎、急性高山病、癲癇性発作、感染、代謝性障害、水中毒、肝不全、肝性脳症または糖尿病性ケトアシドーシスによる脳浮腫のリスクが高い、使用8以下のいずれかの使用。
【0295】
8.5. 患者が、卒中、頭部損傷または脊髄損傷を患っている、使用8以下のいずれかの使用。
【0296】
8.6. 患者が、卒中、頭部損傷または脊髄損傷を患ってから、12時間以内、例えば6時間以内、好ましくは3時間以内に処置が開始される、使用8以下のいずれかの使用。
【0297】
8.7. 患者が、例えば戦闘時あるいは運動競技において、卒中、頭部損傷または脊髄損傷を患う高いリスクがある、使用8以下のいずれかの使用。
【0298】
8.8. 患者が、既に浮腫を有している、使用8以下のいずれかの使用。
【0299】
8.9. 処置または制御される症状が、卒中または外傷性脳損傷の結果生じる脳浮腫である、使用8以下のいずれかの使用。
【0300】
8.10. 処置または制御される症状が、中大脳動脈梗塞の結果生じる脳浮腫である、使用8以下のいずれかの使用。
【0301】
8.11. 処置または制御される症状が、閉鎖頭部外傷の結果生じる脳浮腫である、使用8以下のいずれかの使用。
【0302】
8.12. 処置または制御される症状が、癲癇性発作の結果生じる脳浮腫である、使用8−8.4いずれかの使用。
【0303】
8.13. 処置または制御される症状が、感染の結果生じる脳浮腫である、使用8−8.4いずれかの使用。
【0304】
8.14. 処置または制御される症状が、代謝性障害の結果生じる脳浮腫である、使用8−8.4いずれかの使用。
【0305】
8.15. 処置または制御される症状が、神経膠腫の結果生じる脳浮腫である、使用8−8.4いずれかの使用。
【0306】
8.16. 処置または制御される症状が、髄膜炎、急性高山病または水中毒の結果生じる脳浮腫である、使用8−8.4いずれかの使用。
【0307】
8.17. 処置または制御される症状が、肝不全、肝性脳症または糖尿病性ケトアシドーシスの結果生じる脳浮腫である、使用8−8.4いずれかの使用。
【0308】
8.18. 処置または制御される症状が、膿瘍の結果生じる脳浮腫である、使用8−8.3いずれかの使用。
【0309】
8.19. 処置または制御される症状が、子癇の結果生じる脳浮腫である、使用8−8.3いずれかの使用。
【0310】
8.20. 処置または制御される症状が、クロイツフェルト−ヤコブ病疾患の結果生じる脳浮腫である、使用8−8.3いずれかの使用。
【0311】
8.21. 処置または制御される症状が、ループス脳炎の結果生じる脳浮腫である、使用8−8.3いずれかの使用。
【0312】
8.22. 処置または制御される症状が、低酸素症、例えば、一般的な全身性低酸素症、例えば、血液潅流の遮断を原因とする低酸素症の結果生じる浮腫であって、例えば該浮腫が、心不全、卒中またはその他の脳への血液潅流の遮断を原因とする低酸素症の結果生じる脳浮腫であるか、または心臓虚血またはその他の心臓への血流の遮断の結果生じる心臓性浮腫である、使用8−8.3いずれかの使用。
【0313】
8.23. 処置または制御される症状が、例えば宇宙飛行または放射性物質を扱う作業または放射能領域内での作業による、微小重力および/または放射線暴露の結果生じる脳および/または視神経浮腫である、使用8−8.3いずれかの使用。
【0314】
8.24. 処置または制御される症状が、侵襲性中枢神経系処置、例えば、神経外科手術、血管内血栓除去、脊椎穿刺、血管瘤修復または深部脳刺激の結果生じる脳浮腫である、使用8−8.3いずれかの使用。
【0315】
8.25. 患者が、浮腫、例えば、微小重力状態暴露および/または放射線、神経外科手術、血管内血栓除去、脊椎穿刺、血管瘤修復または深部脳刺激による浮腫のリスクが高い、使用8.23または8.24。
【0316】
8.26. 患者が、既に浮腫を有している、使用8.23または使用8.24。
【0317】
8.27. 浮腫が、細胞毒性脳浮腫であるか、または主として細胞毒性脳浮腫である、使用8以下のいずれかの使用。
【0318】
8.28. 浮腫が、細胞毒性脳浮腫であるか、または主として細胞毒性脳浮腫である、使用8−8.17または8.22のいずれかの使用。
【0319】
8.29. 処置または制御される症状が、脊髄浮腫、例えば脊髄圧迫などの脊髄外傷の結果生じる脊髄浮腫である、使用8−8.2のいずれかの使用。
【0320】
8.30. 処置または制御される症状が、脊髄圧迫の結果生じる脊髄浮腫である、使用8.29。
【0321】
8.31. 処置または制御される症状が、網膜浮腫である、使用8−8.2いずれかの使用。
【0322】
8.32. 処置または制御される症状が、癲癇である、使用8または8.1。
【0323】
8.33. 処置または制御される症状が、網膜虚血または眼圧異常および/または組織水和に関連のあるその他の眼疾患である、使用8または8.1。
【0324】
8.34. 処置または制御される症状が、心筋虚血である、使用8または8.1。
【0325】
8.35. 処置または制御される症状が、心筋虚血/再潅流損傷である、使用8または8.1。
【0326】
8.36. 処置または制御される症状が、心筋梗塞である、使用8または8.1。
【0327】
8.37. 処置または制御される症状が、心筋低酸素症である、使用8または8.1。
【0328】
8.38. 処置または制御される症状が、うっ血性心不全である、使用8または8.1。
【0329】
8.39. 処置または制御される症状が、敗血症である、使用8または8.1。
【0330】
8.40. 処置または制御される症状が、片頭痛である、使用8または8.1。
【0331】
8.41. アクアポリンがAQP2である、使用8。
【0332】
8.42. 処置される症状が、低ナトリウム血症または過剰な水分貯留(例えば、うっ血性心不全などの心不全(HF)、肝硬変、ネフローゼ障害または抗利尿ホルモン分泌異常症候群(SIADH)の結果生じるもの)である、使用8または使用8.41。
【0333】
8.43. 食事性ナトリウム、水分および/またはアルコールの1以上の制限;および/または1以上の利尿薬、バソプレッシンレセプターアンタゴニスト、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アルドステロン阻害剤、アンギオテンシンレセプターブロッカー(ARB)、β−アドレナリン作動性アンタゴニスト(β−ブロッカー)、および/またはジゴキシンの投与をさらに含む、使用8.42。
【0334】
8.44. 式Iまたは式1aの化合物が、10マイクロモルまたはそれ以下の濃度で少なくとも50%まで、アクアポリン活性(例えば、AQP2および/またはAQP4活性)を阻害する、例えば、アクアポリン仲介細胞体積変化アッセイにおいて、10マイクロモルまたはそれ以下の濃度でAPQ2および/またはAQP4活性を少なくとも50%まで阻害する(例えば、方法10以下のアッセイのいずれかにおいて活性である)、使用8以下のいずれかの使用。
【0335】
8.45. フェニルベンズアミドによる処置の期間が、21日未満、例えば2週間未満、例えば1週間またはそれ以下である、使用8以下のいずれかの使用。
【0336】
8.46. 医薬組成物が、経口投与される、使用8以下のいずれかの使用。
【0337】
8.47. 医薬組成物が、非経口投与される、使用8以下のいずれかの使用。
【0338】
8.48. 医薬組成物が、静脈内投与される、使用8.47。
【0339】
8.49. 患者がヒトである、使用8以下のいずれかの使用。
【0340】
8.50. 医薬組成物の作用の開始が、かなり急速である、使用8以下のいずれかの使用。
【0341】
さらなる実施形態において、本発明は、アクアポリンにより仲介される疾患または症状を処置または抑制するための医薬の製造における、フェニルベンズアミド、例えばニクロサミドまたは前記式Iもしくは式1aの化合物、例えば上記方法1−1.28において規定される化合物のいずれかの使用であって、該医薬は、アクアポリンを阻害するために有効な量でフェニルベンズアミドを含む使用を提供するものである(使用9)。
【0342】
9.
9.1. アクアポリンがAQP4である、使用9。
【0343】
9.2. 処置または制御される症状が、浮腫、例えば脳または脊髄の浮腫、例えば脳浮腫(例えば、頭部外傷、虚血性脳梗塞、神経膠腫、髄膜炎、急性高山病、癲癇性発作、感染、代謝性障害、水中毒、肝不全、肝性脳症または糖尿病性ケトアシドーシスの結果生じる脳浮腫)または例えば脊髄浮腫(例えば、脊髄圧迫などの脊髄外傷の結果生じる脊髄浮腫)から選択される、使用9または9.1のいずれかの使用。
【0344】
9.3. 静脈流出を促進する最適な頭頸部の位置調整(例えば、頭部挙上30°);脱水の回避;全身性血圧降下;正常体温または低体温の維持;積極的手段;浸透圧療法、例えば、マンニトールまたは高張生理食塩水を使用すること;過換気;脳灌流を増強する治療的昇圧療法;脳代謝(CMO)を減少させるバルビツレートの投与;半頭蓋切除;アスピリンの投与;アマンタジンの投与;静脈内血栓溶解(例えば、rtPAを使用する);機械的血栓除去;血管形成術;および/またはステント、から選択される1以上の処置をさらに含む、使用9.2
【0345】
9.4. 患者が、脳浮腫、例えば、頭部外傷、虚血性脳梗塞、神経膠腫、髄膜炎、急性高山病、癲癇性発作、感染、代謝性障害、水中毒、肝不全、肝性脳症または糖尿病性ケトアシドーシスによる脳浮腫のリスクが高い、使用9以下のいずれかの使用。
【0346】
9.5. 患者が、卒中、頭部損傷または脊髄損傷を患っている、使用9以下のいずれかの使用。
【0347】
9.6. 患者が、卒中、頭部損傷または脊髄損傷を患ってから、12時間以内、例えば6時間以内、好ましくは3時間以内に処置が開始される、使用9以下のいずれかの使用。
【0348】
9.7. 患者が、例えば戦闘時あるいは運動競技において、卒中、頭部損傷または脊髄損傷を患う高いリスクがある、使用9以下のいずれかの使用。
【0349】
9.8. 患者が、既に浮腫を有している、使用9以下のいずれかの使用。
【0350】
9.9. 処置または制御される症状が、卒中または外傷性脳損傷の結果生じる脳浮腫である、使用9以下のいずれかの使用。
【0351】
9.10. 処置または制御される症状が、中大脳動脈梗塞の結果生じる脳浮腫である、使用9以下のいずれかの使用。
【0352】
9.11. 処置または制御される症状が、閉鎖頭部外傷の結果生じる脳浮腫である、使用9以下のいずれかの使用。
【0353】
9.12. 処置または制御される症状が、癲癇性発作の結果生じる脳浮腫である、使用9−9.4のいずれかの使用。
【0354】
9.13. 処置または制御される症状が、感染の結果生じる脳浮腫である、使用9−9.4のいずれかの使用。
【0355】
9.14. 処置または制御される症状が、代謝性障害の結果生じる脳浮腫である、使用9−9.4のいずれかの使用。
【0356】
9.15. 処置または制御される症状が、神経膠腫の結果生じる脳浮腫である、使用9−9.4のいずれかの使用。
【0357】
9.16. 処置または制御される症状が、髄膜炎、急性高山病または水中毒の結果生じる脳浮腫である、使用9−9.4のいずれかの使用。
【0358】
9.17. 処置または制御される症状が、肝不全、肝性脳症または糖尿病性ケトアシドーシスの結果生じる脳浮腫である、使用9−9.4のいずれかの使用。
【0359】
9.18. 処置または制御される症状が、膿瘍の結果生じる脳浮腫である、使用9−9.3のいずれかの使用。
【0360】
9.19. 処置または制御される症状が、子癇の結果生じる脳浮腫である、使用9−9.3のいずれかの使用。
【0361】
9.20. 処置または制御される症状が、クロイツフェルト−ヤコブ病疾患の結果生じる脳浮腫である、使用9−9.3のいずれかの使用。
【0362】
9.21. 処置または制御される症状が、ループス脳炎の結果生じる脳浮腫である、使用9−9.3のいずれかの使用。
【0363】
9.22. 処置または制御される症状が、低酸素症の結果生じる浮腫、例えば一般的な全身性低酸素症、例えば血液潅流の遮断を原因とする低酸素症であり、例えば、該浮腫が、心不全、卒中またはその他の脳への血液潅流の遮断を原因とする低酸素症の結果生じる脳浮腫であるか、または心臓虚血またはその他の心臓への血流の遮断の結果生じる心臓性浮腫である、使用9−9.3のいずれかの使用。
【0364】
9.23. 処置または制御される症状が、例えば宇宙飛行または放射性物質を扱う作業または放射能領域内での作業による、微小重力および/または放射線暴露の結果生じる脳および/または視神経浮腫である、使用9−9.3のいずれかの使用。
【0365】
9.24. 処置または制御される症状が、侵襲性中枢神経系処置、例えば、神経外科手術、血管内血栓除去、脊椎穿刺、血管瘤修復または深部脳刺激の結果生じる脳浮腫である、使用9−9.3のいずれかの使用。
【0366】
9.25. 患者が、浮腫、例えば、微小重力状態および/または放射線被爆、神経外科手術、血管内血栓除去、脊椎穿刺、血管瘤修復または深部脳刺激による浮腫のリスクが高い、使用9.24または9.25。
【0367】
9.26. 患者が、既に浮腫を有している、使用9.24または9.25。
【0368】
9.27. 浮腫が、細胞毒性脳浮腫であるか、または主として細胞毒性脳浮腫である、使用9以下のいずれかの使用。
【0369】
9.28. 浮腫が、細胞毒性脳浮腫であるか、または主として細胞毒性脳浮腫である、使用9−9.17または9.22のいずれかの使用。
【0370】
9.29. 処置または制御される症状が、脊髄浮腫、例えば脊髄圧迫などの脊髄外傷の結果生じる脊髄浮腫である、使用9−9.2のいずれかの使用。
【0371】
9.30. 処置または制御される症状が、脊髄圧迫の結果生じる脊髄浮腫である、使用9.29。
【0372】
9.31. 処置または制御される症状が、網膜浮腫である、使用9−9.2のいずれかの使用。
【0373】
9.32. 処置または制御される症状が、癲癇である、使用9または9.1。
【0374】
9.33. 処置または制御される症状が、網膜虚血あるいは眼圧異常および/または組織水和に関連のあるその他の眼疾患、使用9または9.1。
【0375】
9.34. 処置または制御される症状が、心筋虚血である、使用9または9.1。
【0376】
9.35. 処置または制御される症状が、心筋虚血/再潅流損傷である、使用9または9.1。
【0377】
9.36. 処置または制御される症状が、心筋梗塞である、使用9または9.1。
【0378】
9.37. 処置または制御される症状が、心筋低酸素症である、使用9または9.1。
【0379】
9.38. 処置または制御される症状が、うっ血性心不全である、使用9または9.1。
【0380】
9.39. 処置または制御される症状が、敗血症である、使用9または9.1。
【0381】
9.40. 処置または制御される症状が、片頭痛である、使用9または9.1。
【0382】
9.41. アクアポリンがAQP2である、使用9。
【0383】
9.42. 処置される症状が、低ナトリウム血症または過剰な水分貯留(例えば、うっ血性心不全などの心不全(HF)、肝硬変、ネフローゼ障害または抗利尿ホルモン分泌異常症候群(SIADH)の結果生じるもの)である、使用9または9.41。
【0384】
9.43. 食事性ナトリウム、水分および/またはアルコールの1以上の制限;および/または1以上の利尿薬、バソプレッシンレセプターアンタゴニスト、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アルドステロン阻害剤、アンギオテンシンレセプターブロッカー(ARB)、β−アドレナリン作動性アンタゴニスト(β−ブロッカー)および/またはジゴキシンの投与をさらに含む、使用9.42。
【0385】
9.44. 式Iまたは式1aの化合物が、10マイクロモルまたはそれ以下の濃度で、少なくとも50%まで、アクアポリン活性(例えば、AQP2および/またはAQP4活性)を阻害する、例えば、アクアポリン仲介細胞体積変化アッセイにおいて、10マイクロモルまたはそれ以下の濃度でAPQ2および/またはAQP4活性を少なくとも50%まで阻害する(例えば、方法10以下のアッセイのいずれかにおいて活性である)、使用9以下のいずれかの使用。
【0386】
9.45. フェニルベンズアミドによる処置の期間が、21日未満、例えば2週間未満、例えば1週間またはそれ以下である、使用9以下のいずれかの使用。
【0387】
9.46. 医薬が、経口投与のために処方される、使用9以下のいずれかの使用。
【0388】
9.47. 医薬が、非経口投与のために処方される、使用9以下のいずれかの使用。
【0389】
9.48. 医薬が、静脈内投与のために処方される、使用9.47。
【0390】
本発明の投薬の用量または投与方法には、特に制約はない。本発明を実施する際の投薬量は、もちろん、例えば、処置される特定疾患または症状、使用される特定化合物、投与様式および所望の治療に依って変化する。化合物は、任意の好適な経路により、例えば、経口的、非経口的、経皮的または吸入により投与されてよい。卒中または他の重度の消耗性疾患または症状において、例えば患者が意識不明であるか、または嚥下不可能である場合には、IV点滴またはIVボーラスが好ましい可能性がある。一般的に、例えば前記に示した疾患の処置のためには、約0.01〜15.0mg/kgのオーダーの用量での経口投与により、十分な結果が得られることが示される。したがって、比較的大型の哺乳動物、例えばヒトにおいては、経口投与のために指示される1日用量は、約0.75〜1000mg/日の範囲であり、便宜上1日に1回または2〜3回の分割用量または徐放形態にて投与される。経口投与のための単位投与形態は、例えば約0.2〜75または150mg、例えば約0.2または2.0〜50、75、100、125、150または200mgの本発明の化合物を医薬上許容し得る希釈剤またはそのための担体と共に含むことができる。医薬が注射(皮下、筋肉内または静脈内)により用いられる場合には、用量は、ボーラスとして、またはIVの場合はボーラスもしくは点滴として、0.25〜500mg/日であってよい。
【0391】
式Iまたは式1aの化合物を含む医薬組成物は、従来の希釈剤または賦形剤および当業者に知られた技術を用いて製造され得る。従って、経口投与形態は、錠剤、カプセル、溶液、懸濁液などを包含し得る。
【0392】
式Iまたは式1aの化合物を製造および処方する方法は、US2010/0274051A1、US7,700,655およびUS7,626,042に記載されており、これらの各々は出典明示により本明細書に組み込まれる。
【0393】
さらなる実施形態において、本発明は、試験化合物の存在または非存在において、高張または低張溶液に対するアクアポリン発現細胞集団とコントロール細胞集団との応答を測定することを含む、特異的なアクアポリン阻害剤を同定するための方法を提供するものである(方法10)。例えば、本発明は下記の方法を提供する。
【0394】
10.
10.1. アクアポリン発現細胞集団が、AQP2またはAQP4を発現する、方法10。
【0395】
10.2. 細胞が、哺乳動物細胞、例えばトランスジェニックCHO細胞である、方法10または10.1のいずれかの方法。
【0396】
10.3. コントロール細胞が、アクアポリン以外のトランスジェニック膜貫通タンパク質、例えばCD81を発現する、方法10以下のいずれかの方法。
【0397】
10.4. 細胞が、大部分のアクアポリン発現細胞集団が試験化合物の非存在下で破裂するが、コントロール細胞集団は破裂しない時間と濃度で(例えば水中で3〜8分)、細胞が低張環境に暴露される、方法10以下のいずれかの方法。
【0398】
10.5. 破裂細胞ではなく生存細胞により生じる蛍光シグナル、例えばアセトキシメチルカルセイン(カルセイン−AM)の蛍光色素カルセインへの変換を測定することにより、細胞破裂が測定される、方法10.4。
【0399】
10.6. 細胞が、低張環境、例えば脱イオン水に3〜8分間暴露され、その後正常浸透常環境(例えば、約300mOSM)に戻されて、生存細胞の割合が測定される、方法10.4または10.5。
【0400】
10.7. 生存の測定は、アセトキシメチルカルセイン(カルセイン−AM)を蛍光色素カルセインに変換する細胞の能力による、方法10以下のいずれかの方法。
【0401】
10.8. 前記式Iの化合物、例えば式1aの化合物が、低張環境においてアクアポリン発現細胞集団の破裂を阻止するポジティブコントロールとして使用される、方法10.4以下のいずれかの方法。
【0402】
10.9. アクアポリン発現細胞集団が、試験化合物の非存在下では生存不可能となる低張環境に、試験化合物の存在下に暴露された後に、アセトキシメチルカルセイン(カルセイン−AM)を蛍光色素カルセインに変換する細胞能力により生存可能と判定された場合に、試験化合物がアクアポリン阻害活性を有すると判定される、前記方法10.4−10.8のいずれかの方法。
【0403】
10.10. 細胞が、試験化合物の非存在下においてアクアポリン発現細胞集団を収縮させるのに十分な時間と濃度(例えば3〜8分、約530mOsm)で、細胞を高張環境に暴露する、方法10または10.1−10.3のいずれかの方法。
【0404】
10.11. 細胞の収縮が光散乱により測定される、方法10.9。
【0405】
10.12. 高張環境がおおよそ530mOsmであり、正常環境がおおよそ300mOsmである、方法10.10以下のいずれかの方法。
【0406】
10.13. 前記した式Iの化合物、例えば式1aの化合物が、高張環境においてアクアポリン発現細胞集団が収縮することを阻害するポジティブコントロールとして使用される、前記方法10.10以下のいずれかの方法。
【0407】
10.14. 高張環境においてアクアポリン発現細胞集団が収縮するのを阻止する場合に、試験化合物がアクアポリン活性を阻害すると判定される、前記方法10.10以下のいずれかの方法。
【0408】
10.15. 試験化合物が、アクアポリン活性を阻害すると判定される、前記方法のいずれかの方法。
【0409】
10.16. アクアポリン発現細胞集団が、AQP2を発現する、方法10以下のいずれかの方法。
【0410】
10.17. アクアポリン発現細胞集団が、AQP4を発現する、方法10以下のいずれかの方法。
【0411】
10.18. 試験化合物が、フェニルベンズアミド、例えば前記式I、例えば式1aの化合物である、方法10以下のいずれかの方法。
【0412】
本明細書を通じて、範囲は、その範囲に存在する各々のおよびあらゆる値を記載する表現として使用される。範囲内にあるいずれの値も、該範囲の境界値として選択できる。さらに、本明細書に引用された全ての引用文献は、その全てが参照により本明細書に組み込まれる。引用文献と本開示内の定義に矛盾がある場合は、本開示において調節する。
【0413】
特に別途記載がなければ、本明細書に示される全ての%および量は、重量%を示し、量は材料の実効重量(active weight)に基づくと理解されるべきである。
【実施例】
【0414】
実施例1 − フェニルベンズアミド−AQP 構造活性相関
改善された効果について試験する新規分子の調製のために、選択されたヒット化合物アナログをアッセイすることにより、構造活性相関(SAR)を決定する。この反復作業のために、我々は、96ウェル・マルチプレート・リーダーにおいて、定量的動態アッセイであるアクアポリン仲介細胞体積変化アッセイを用いる。このアッセイは、目的とするAQPを発現する単層のCHO細胞による、その高張溶液(300mOsm→530mOsm)への暴露時の収縮する際の光散乱の変化を検出するものである。図1は、AQP4発現細胞(図1A)およびAQP2発現細胞(図1B)を用いたアクアポリン仲介細胞体積変化アッセイを示すものである。アクアポリンを発現する細胞は、水の移動が増強されることから、コントロール細胞よりもより急速に収縮するが、この収縮はアクアポリンを阻害する化合物により阻止することができる。
【0415】
図1において、DMSOの存在下のアクアポリン発現細胞(▲)、10μMの試験化合物(ここでは、化合物3)の存在下のアクアポリン発現細胞(■)、DMSOの存在下のCHO−CD81発現コントロール細胞(◆)が示される。各曲線は、96ウェルプレート中の16ウェルの平均を表す。
【0416】
図1Aにおいて、DMSOで処理されたAQP4b細胞が高張性ショックに暴露されると、細胞は急速な収縮を示して、光散乱は、増加(吸光度相対変化 Abs/Absの増加)した後、細胞がプレートから剥離するにつれて減少する。CHO-AQP4b細胞系は、CHO−CD81コントロール細胞と比較して、4.5倍の細胞収縮速度の増加を示す(二重指数関数モデルに適合)。10μMの化合物3アナログで処置されたCHO−AQP4b細胞(■)は、光散乱曲線の「屈曲しない(unbending)」特徴により示されるとおり、より低い収縮速度(55%の抑制)を示す。同様に、図1Bは、DMSOまたは10μMの化合物3で処置されたCHO−AQP2の比較実験を示すものである。ここで観察されたとおり、アクアポリン−2は、AQP4よりも固有水透過性が低い。DMSOで処理されたCHO−AQP2細胞系列(図1B、▲)は、DMSOで処理されたCHO−CD81コントロール細胞(◆)と比較して、1.7倍の収縮速度の増加を示す(二重指数関数モデルに適合)(図1B)。10μMの化合物3で処理されたCHO−AQP2細胞(■)は、Absの相対変化(Abs/Abs)(図1B)を比較した場合に、より低い収縮速度(81%の抑制)を示す。
【0417】
これらのデータは、このアッセイにおいて、化合物3は、AQP2およびAQP4活性を有意に阻害(例えば、10μMの濃度で50%以上阻害)できることを示している。
【0418】
実施例2 − フェニルベンズアミド化合物のアクアポリン特異性
13種の既知のアクアポリンのうち最も密接に関連するものであるAQP1、AQP2、AQP5およびAQP4のスプライスバリアント(AおよびB)に対する化合物の特異性を試験する。安定なCHO細胞系列を、上記アクアポリン各々について作成して、その水透過性阻害を10μMの化合物3を用いるアクアポリン仲介細胞体積変化アッセイにより試験する。化合物3はAQP2および4を阻害するが、AQP1および5を殆ど阻害しない(図2)。
【0419】
実施例3 − フェニルベンズアミドおよびAQP4間の直接的な薬物−標的相互作用
フェニルベンズアミドがAQP4を直接遮断するという作用機序を支持するために、我々は、精製AQP4bおよびHにより放射性標識された化合物4を用いて、インビトロでの結合試験を実施する。Hummel-Dryer式アッセイを用いて、ゲル濾過カラムを、AQP4bおよび1μM[H]−化合物4の溶解を維持するために、界面活性剤を含有する緩衝液で平衡化する。AQP4bを、このカラム緩衝液で250μMに希釈して、RTで30分間インキュベートする。次いで、試料を、カラムに通し、分画物を収集し、[H]−化合物4の存在を、液体シンチレーション計数により検出する。図3は、テトラマーおよびモノマーのAQP4bの溶出時点と併せて、ゲル濾過カラムからの[H]−化合物4の溶出プロファイルを示す。1μMのベースライン値からの[H]−化合物4の増加は、これらのタンパク質の各々との結合を表す。我々の高度に精製されたAQP4bにおいてはモノマーAQP4bは常法では容易に検出できないが、このアッセイは、少ないものの、少量のモノマーの存在を示す。化合物4に対する相対的な親和性は、テトラマーおよびモノマーに対してそれぞれ、〜100μMおよび1μM以下である。このアッセイは、可溶化AQP4bに化合物4が比較的弱く結合することを示している;しかしながら、このアッセイは、このフェニルベンズアミドがAQP4bと直接相互作用することを明確に実証している。
【0420】
実施例4 − 薬理学的概念実証
マウス水中毒モデル−生存曲線:化合物のインビボ有効性を、マウス水中毒モデルを用い、マウスに体重の20%の水を注射して試験する[Manley, G. T. et al. Aquaporin-4 deletion in mice reduces brain edema after acute water introxication and ischemic stroke. Nat Med 6, 159-163 (2000);Gullans, S. R. & Verbalis, J. G. control of brain volume during hyperosmolar and hypoosmolar conditions). Annual Review of Medicine 44, 289-301(1993)]。結果としておこる正常血液量の低ナトリウム血症は、急速にCEを導くので、これが、CNSアクアポリンであるAQP4bの阻害剤を試験するための実用的なモデルとなる。
【0421】
O中毒を生き延びるマウスの能力を、それぞれ10〜12匹のマウス(16〜19週齢の雄/雌)を用いる3つの実験で決定する。脱イオン水を、0.39mg/kgのフェニルベンズアミド(プラセボ)または0.76mg/kgの試験化合物のいずれかを用いて注射用に調製する。図4に、これらの実験の結果をまとめて示す(n=33:プラセボ、n=34:化合物1)。化合物1のコホートの生存%は3.2倍改善し、化合物1処置動物の50%生存時間は、おおよそ52分改善された。
【0422】
マウス水中毒モデル−脳の水含量:化合物が水ショックに暴露されたマウスのCEを低下させる能力を、脳の水含量を調べることによっても試験する。マウスを、上記のように水ボーラスにより処置し、30分後の時点で屠殺する。脳の水含量を、生/乾燥重量比により評価する。即ち、直ちに脳の重量を測定し、その後100℃のオーブン内で24時間乾燥させて、乾燥重量を測定する(脳の水分%=100x乾燥重量/生の重量)。30分後の時点で、0.76mg/kgおよび7.6mg/kgの化合物1で処置されたマウスはそれぞれ、11.2%および15.9%のCE低下を示す(図5)。
【0423】
マウス水毒モデル-核磁気共鳴画像法(MRI)による脳体積:水中毒モデルを用いて、水ショックに応答する脳体積の変化をMRIを利用して測定する。上記生存試験および脳の水含量試験について記載したように、水ボーラス単独または水ボーラスおよび0.76mg/kgの試験化合物をマウスにIP注射して、MRIにより検出される脳体積の変化をモニターする。マウス脳体積を、9.4T Bruker Biospec MRI スキャナー(Case Western Reserve UniversityのCase Center for Imaging Researchにて)により収集したMRIスキャン像を用いて評価した。この画像法は、脳浮腫のマウス水中毒モデルにおいて、全脳体積の変化を高感度で検出するために十分な造影能および解像力を提供することが判る。マウス頭部の高解像力のT2-強調矢状面走査(T2-weighted sagittal scans)(解像力=0.1mmx0.1mmx0.7mm)を、水の注射前、水注射5.67分後、その後5.2分毎に、動物が水負荷により死亡するまで行なう。各スキャン像は、25枚の0.7mmの連続画像スライスを有し、この14〜15枚のスライスには脳の一部分が含まれる。各画像スライスにおける脳の断面積を、ImageJを用いて手作業の関心領域選択により計測する。その後個々の脳断面積を合計し、スライス厚(0.7mm)を掛けて、各スキャンにおける脳体積を算出する。
【0424】
0.76mg/kgの化合物1による処置は、単一指数関数モデルに適合する0.081から0.032min−1(または2.5倍)へとCE発症速度を低下させる(図6)。また、観察期間中のCEの程度も低下する(図6)。さらに同アッセイにおいて、血漿レベルは、LC−MS/MS(Lerner Center, Cleveland Clinic, Cleveland, OHで実施した)により決定されるとおり、0.03〜0.06μgの範囲に存在しており、このモデルにおいてCEに対する効力を示すためには十分である。
【0425】
核磁気共鳴画像法による脳体積測定実験を、フェニルベンズアミド(0.39mg/kg)および化合物4(0.83mg/kg)を用いても実施する。化合物4は、0.081から0.022min−1へとCEの発症速度を低下させる(表1)。フェニルベンズアミドは、マウスにおいてCEの速度低下を示さない(表1)。
【0426】
表1.マウス水中毒モデルにおけるCE形成に対する化合物の効力
【表1】

薬物なしおよび化合物1については、各々n=14匹のマウス。フェニルベンズアミドおよび化合物4については、各々n=12匹のマウス。
【0427】
実施例5 − ハイスループットスクリーニングアッセイ
低張ショックの下で、非トランスフェクト細胞、および無関係の膜貫通タンパク質(CD81、AQP4bと同じレベルで)を発現する細胞はいずれも、ゆっくりと膨張するが、インタクトにとどまる。これらの知見を用いて、我々のハイスループットスクリーニングアッセイ(HTS)を開発する。
【0428】
384ウェルプレートフォーマットにおいて、我々は、低張ショックの後に、各ウェルに、カルセインの非蛍光性アセトキシメチル誘導体(カルセイン−AM)を2μMまで加えた2x濃縮リン酸緩衝生理食塩水を添加して、浸透圧を正常(300mOSM)に戻す。インタクトな細胞はカルセイン−AMを取り込んで、それを蛍光色素カルセインに変換する。これが、残存するインタクトな細胞の定量手段となる。破裂細胞は、この前駆体を色素に変換しない。AQP4発現細胞による水の取り込みは、比較的急速であり、殆どの試験細胞が低張ショック4分以内で破裂するが、殆どのCD81発現細胞は、8分後に生存を維持する。カルセイン−AMの細胞内変換は、我々のアッセイにおいて535nMで強力かつ容易に検出できるシグナルを提供する(図7)。
【0429】
カルセイン蛍光エンドポイントアッセイ:100%コンフルエンスに達するようにアッセイ24時間前に細胞を播種する。培養培地を、5:30分間、HOに交換した(浸透圧ショック)。次いで、浸透圧を、2xPBS+2μMのカルセイン−AMを添加して正常化した。次いで、細胞を、37℃でさらに30分間インキュベートし、蛍光をプレートリーダー上で測定する。行1−22にCHO−AQP4細胞を播種し、行23−24にはCHO−CD81細胞を播種する(384ウェルプレート)。全てのプレートのエッジを廃棄することに留意されたい。相対蛍光強度を、DMSO(コントロール)で処理したAQP4細胞の平均蛍光強度(FI)で割った各ウェルの蛍光強度(FI)として算出する。良好なアッセイの基準:変動係数(CV)<15%、およびZ因子>0.5。統計分析は、5.5分の浸透圧ショックが最適なシグナル対ノイズ比を提供することを示している。
【0430】
表2.図7におけるエンドポイント「カルセイン」アッセイについての統計値;5:30分の時点を示す:
【表2】

観察されるとおり、CD81細胞のシグナルは、APQ4細胞のシグナルよりも約5倍高い。これは、5.5分後までに、殆どのAQP4細胞は破裂するが、大部分のCD81細胞はインタクトなまま残っていることが理由である。従って、AQP4の阻害により、CD81細胞により近い、より高いシグナルが提供されると考えられる。
【0431】
このアッセイを、MicroSoure GenPlus 960およびMaybridge Diversity(登録商標)20kライブラリーのパイロットスクリーンに適用する(おおよそ21,000の化合物を各10〜20μMで試験)。
【0432】
このアッセイから、特定の化学的系統が特定される。即ち上位234ヒットの内の3つであるフェニルベンズアミド類である。
【0433】
HTSからのヒット化合物を、異なるプレートアレンジを用いる同じアッセイにより検証する。図8において、我々は、化合物3を試験するために使用したこの検証アッセイを示す。細胞を、プレートのエッジ(レーン1および24)を除外して96ウェルマルチプレートフォーマットに播種して、列全体(n=16)を使用してHOショックによるAQP4仲介細胞破裂を阻止する化合物の能力を試験する。CD81を発現するCHO細胞を、コントロールとしてレーン2−3に播種し、AQP4を発現するCHO細胞をレーン4−23に播種する。細胞を、10%FBS、DMEM中の0.1%DMSO(偶数番号の列)または0.1%DMSO、10%FBS、DMEM中の10μM 化合物1(奇数番号の列)で30分間処理した。細胞に、5:30分間HOによるショックを与え、次いで浸透圧を、上記したように1μM カルセイン−AMの存在下で300mOSMに戻した。細胞を、37℃で30分間インキュベートし、相対蛍光強度を、蛍光マルチプレート・リーダー上で測定した(ex 495/em 535nM)。図8のデータは、平均相対蛍光単位(RFU±SEM、n=16)を表す。
【0434】
実施例6 − CEの水中毒モデル:頭蓋内圧(ICP)
ICPを、Samba 202 コントロールユニットを備えたSamba 420 Sensor圧力変換器(Harvard Appratus, Holliston, MA)を用いてモニターする。このICPモニタリングシステムは、光ファイバーに取付けられた0.42mmシリコンセンサーエレメントから構成される。20ゲージのシリンジニードルを、大槽を通して深さ〜1cmまで埋め込む。このニードルはSamba Sensor挿入のためのガイドとしての役割を果たし、ニードルの埋め込み部位および開口端を100%シリコンの封止材により封止する。ベースラインICPの測定後、化合物1を含むかまたは含まない水のボーラスIP注射(動物の20重量%)を行う。ICPを、動物が水投与により死亡するまでモニターする。
【0435】
水のボーラス注射をせずにモニターした動物(図9、水中毒なし)に観察される僅かなICP上昇を補正して、0.76mg/kgの化合物1は、ICP上昇の相対速度を、3.6×10−3min−1から2.3×10−3min−1へと36%低下させる(n=6匹のマウス/処置、平均±SEM)。
【0436】
実施例7 − 化合物5から化合物1への変換
化合物1の血漿または血清レベルを、Lerner Research Institute of the Cleveland Clinic FoundationのMass Spectrometry II Core facilityでLC−MS/MSにより測定する。測定は、化合物5の10mg/kg i.p.負荷投与の15分および24時間後の時点で、1mg/mlの8μl/h維持投与[Alzet i.p. 浸透圧ポンプ(Durect Corp., Cupertino, CA)により送達] において行う(n=5匹のマウス/時点、平均±SEM)(図10)。タンパク質を除去するために最初の処理(75%アセトニトリル抽出)を行なった後に、多重反応モニタリング(MRM)による定量の向上のために化合物3を導入する。試料を、C18逆相クロマトグラフィーおよびトリプル四重極質量分析計による質量分析を用いるタンデムLC−MS/MSにより分析する。LC法は、化合物1と化合物3を分離するために十分であり、その後のMRMにより、直線応答で0.004から0.4ngの化合物1の信頼性のある定量が、その最も多い娘イオンに関して提供された。図10における点線は、マウス水中毒モデルで観察された化合物1の相対有効血漿濃度である。化合物5を含むAlzet 浸透圧ポンプ(Durect Corp., Cupertino, CA)の腹膜内の埋め込みは、初期負荷投与量と併せて、化合物1を20ng/mlの期待有効血漿濃度を上回る濃度で24時間維持するために十分であった(図10)。
【0437】
化合物1の水への溶解度は3.8μg/mlである。化合物5の水への溶解度は1mg/mlである。初期実験から、インビトロのマウス血漿に加えた場合に、化合物5が化合物1へと急速に生物変換されることが示される。化合物5が検出不能となるには、20℃5分以内で十分である。さらに、化合物5をIP注射したマウスから採取した血漿試料中に化合物1は検出されない。その代わりに、化合物1は、化合物5の良好なバイオアベイラビリティーおよびほぼ完全な変換と合致する濃度にて検出される。化合物5については、400ng/mlを超える化合物1の血清濃度を提供する10mg/kgの用量および生理食塩水中のIP注射体積(30gのマウスに対して0.5ml)を用いることができる(図10)。化合物5の重要なPKパラメーターは:吸収速度0.12min−1;消失速度0.017min−1である。
【0438】
実施例8 − 動物卒中モデル
殆どの虚血性脳梗塞(〜80%)は、中大脳動脈(MCA)の領域でおこる。この損傷をマウスで模倣するために、中大脳動脈閉塞(MCAo)の管腔内モノフィラメントモデルを用いる。外科用フィラメントを外頸動脈(ECA)に挿入し、その末端がMCAの起始部を閉塞するまで内頚動脈(ICA)に通して、閉塞をもたらす。それによる血流遮断によって、MCA領域において脳梗塞がおこる[Longa、E.Z. et al., Reversible Middle Cerebral Artery Occlusion Without Craniectomy in Rats, Stroke, 20, 84-91(1989)]。この技術を用いて、MCAを1時間遮断した一時的閉塞を試験する。その後、フィラメントを取り除いて、24時間再潅流させた後に、Case Center for Imaging Researchで9.4T Bruker MRI スキャナーのT2-強調スキャンを使用して動物の脳を画像化した(図11)。図11は、「正常」マウス(左側のパネル)およびMCAoを1時間受けた後に24時間再潅流したマウス(右側のパネル)についての、大脳皮質、海馬、視床、扁桃および視床下部が存在する脳中心部のT2-強調MR画像から得た一つのスライスを示す。点線は脳の正中線を示すが、MCAoの脳においては脳浮腫の故に大幅なずれを示す。実線はMCAoの脳における梗塞領域を示す。
【0439】
生存 − 2mg/kg i.p.負荷用量の化合物5および1mg/mlの8μl/h維持用量の化合物5(i.p.浸透圧ポンプにより送達)でマウスを処理するか、または同じ手法で生理食塩水(コントロール;n=17)でマウスを処理する。このモデルにおいて、化合物5により動物を処理した場合に、我々は24時間後の全生存の29.4%の改善を観察した(X(1)=4.26;P<0.05)。
【0440】
脳浮腫 − マウスに、生理食塩水を投与するか、または3時間毎に5mg/kg i.p.の反復投与により化合物5を投与する(n=8/処置)。この投与計画は、試験期間中、化合物1の>10ng/mlの血漿濃度を維持するために十分である。同側および対側の半球体積を、icus後(post-icus)24時間のマウスのT2-強調MR像により測定する。半球体積の相対変化を、対側の脳体積に対する同側の脳体積(V)と対側の脳体積(V)間の相違%として算出する[半球脳体積の変化%=((V−V)/V)×100%]。
【0441】
コントロール動物は、13.4%±1.9%の対側脳体積変化で対側脳体積の膨張を示すが、化合物5を投与した動物は、4.2±1.7%の変化を示す(P=0.003±SEM、図12参照)。これは、MCAo後の脳腫脹が3.2倍低下することを示す。
【0442】
神経学的転帰 − 上記と同じ実験において、Manley, G.T. et al., Aquaporin-4 Deletion in Mice Reduces Brain Edema After Acute Water Intoxication and Ischemic Stroke, Nature Medicine, 6, 159-163(2000)に記載されたように、動物を神経学的転帰について単純な5点スケールにて評点する。神経学的転帰における改良が、化合物5を投与した動物について見られる。コントロール動物は、平均神経学的スコアが2.77±0.66であり、化合物5を投与した動物は、平均スコアが0.88±0.31である(図13、挿入図、P=0.025、n=9/処置)。化合物5を投与した動物は、重度の麻痺状態または死亡に至らなかった。
【0443】
水中毒(脳浮腫)モデルと併せてMCAo卒中モデルからのデータは、化合物5/化合物1の薬理作用と、卒中の改良された転帰とを関連付ける。
図1A
図1B
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