特許第6238975号(P6238975)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6238975炎症の治療に使用するためのアミノトリアゾロピリジン及びその医薬組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238975
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】炎症の治療に使用するためのアミノトリアゾロピリジン及びその医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/541 20060101AFI20171120BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20171120BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20171120BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20171120BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20171120BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20171120BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20171120BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20171120BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20171120BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20171120BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   A61K31/541
   A61P29/00
   A61P37/06
   A61P43/00 105
   A61P37/08
   A61P19/08
   A61P43/00 111
   A61P29/00 101
   A61P19/02
   A61P1/04
   A61P17/06
   A61P43/00 121
   A61P35/00
   A61P35/02
【請求項の数】11
【全頁数】58
(21)【出願番号】特願2015-517666(P2015-517666)
(86)(22)【出願日】2013年6月10日
(65)【公表番号】特表2015-520198(P2015-520198A)
(43)【公表日】2015年7月16日
(86)【国際出願番号】EP2013061914
(87)【国際公開番号】WO2013189771
(87)【国際公開日】20131227
【審査請求日】2016年6月1日
(31)【優先権主張番号】61/663,520
(32)【優先日】2012年6月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504064364
【氏名又は名称】ガラパゴス・ナムローゼ・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】Galapagos N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ゲルベン アルベルト エレウトヘリウス バン ‘ティ クロオステル
(72)【発明者】
【氏名】レギナルド クリストフェ ザビエル ブリス
(72)【発明者】
【氏名】ルク ジュリアン コリナ バン ロムパエイ
(72)【発明者】
【氏名】フロレンス シルビー ナモウル
【審査官】 齋藤 光介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/141796(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/149769(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iによる化合物及び医薬として許容し得る担体、賦形剤、又は希釈剤を含む医薬組成物:
【化1】
【請求項2】
追加の治療剤をさらに含む、請求項記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記追加の治療剤が関節リウマチ治療剤である、請求項記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記追加の治療剤が式IIによるものである、請求項記載の医薬組成物:
【化2】
【請求項5】
式I/式IIの比が1/5〜1/20である、請求項記載の医薬組成物。
【請求項6】
式I/式IIの比が1/5〜1/10である、請求項記載の医薬組成物。
【請求項7】
医薬に使用するための、請求項のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項8】
炎症性病態、自己免疫疾患、増殖性疾患、アレルギー、移植片拒絶、軟骨代謝回転の異常を伴う疾患、先天性軟骨形成異常、及び/又はIL6若しくはインターフェロンの分泌過多に関連する疾患の治療に使用するための、請求項のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項9】
関節リウマチの治療に使用するための、請求項のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項10】
炎症性腸疾患の治療に使用するための、請求項のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項11】
乾癬及び/又は乾癬性関節炎の治療に使用するための、請求項のいずれか一項記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、式Iによる本発明の化合物の医学用使用に関する。特に、本発明は、炎症性病態、自己免疫疾患、増殖性疾患、アレルギー、移植片拒絶、軟骨代謝回転の異常を伴う疾患、先天性軟骨形成異常、及び/又はIL6若しくはインターフェロンの分泌過多に関連する疾患の治療のための式Iによる本発明の化合物の使用に関する。特に、該化合物は、チロシンキナーゼのファミリーであるJAKを、より詳細にはJAK1を阻害する。本発明は、該化合物を含む医薬組成物並びに式Iによる本発明の化合物を投与することによる、炎症性病態、自己免疫疾患、増殖性疾患、アレルギー、移植片拒絶、軟骨代謝回転の異常を伴う疾患、先天性軟骨形成異常、及び/又はIL6若しくはインターフェロンの分泌過多に関連する疾患を含む疾患の予防及び/又は治療の方法も提供する。
【0002】
ヤヌスキナーゼ(JAK)は、膜受容体からSTAT転写因子へサイトカインシグナリングを伝達する細胞質チロシンキナーゼである。4種のJAKファミリーメンバー、JAK1、JAK2、JAK3及びTYK2が記載されている。サイトカインがその受容体に結合すると、JAKファミリーメンバーは、自己リン酸化及び/又は互いにトランスリン酸化し、続いてSTATがリン酸化されて核へ移動し、転写が調節される。JAK-STAT細胞内シグナル伝達は、インターフェロン、ほとんどのインターロイキン、並びにEPO、TPO、GH、OSM、LIF、CNTF、GM-CSF、及びPRLなどの種々のサイトカイン及び内分泌因子の役に立つ(Vainchenker W.らの文献(2008))。
【0003】
遺伝モデルと小分子JAK阻害剤探索との組合せは、いくつかのJAKの治療上での可能性を明らかにした。
【0004】
JAK1は、免疫炎症性疾患分野における標的である。JAK1は、他のJAKとヘテロ二量体化して、サイトカイン誘導性の炎症促進性シグナルを伝達する。したがって、JAK1の阻害は、IL-6、IL-4、IL-5、IL-12、IL-13、IL-23、又はIFNγなど、JAK1シグナル伝達を利用する病理関連サイトカインによる免疫炎症疾患、並びにJAK媒介性のシグナル伝達により起こされる他の疾患にとって興味深い。
【0005】
JAKファミリーメンバーの役割において、ほとんどのシグナル伝達経路は2つ以上のJAKに関与するのでいくらかの重複が存在するが、エリスロポエチン及びトロンボポエチンなどのいくつかの成長因子では、JAK2のみが関与する。
【0006】
JAK3は、インターロイキン(IL)-2により生じたシグナルの伝達により免疫機能を遮断することに主要な役割を果たす。
【0007】
他方で、TYK2は、IL-12及びIL-23などのサイトカインのシグナル伝達のために、JAK2及びJAK3と協同して作用するように見えるだろう。
【0008】
JAK酵素の役割は、JAKファミリーメンバーのそれぞれが欠失されたマウスを使用して、大部分研究されてきた。JAK1ノックアウトマウスは、周産期致死表現型を示し、JAK1によるサイトカインのシグナル伝達の欠損の結果として、欠陥のあるリンパ球の発達及び機能も有する。JAK2欠損は、成体型赤血球産生の欠損の結果として第12日に胚死亡を起こす。JAK3-欠損マウスは、重度複合免疫不全症(SCID)表現型を有するが、非免疫型欠損を有さない(Verstovsekの文献(2009, Hematology Am Soc Hematol Educ Program., 636-42))。
【0009】
汎JAK阻害剤に観察された通り、非選択的阻害は、貧血、感染症の割合の増加、好中球及びリンパ球の数の低下、ヘモグロビンの減少、並びにコレステロールレベルの上昇などの副作用につながることがある(Elie Dolginの文献(2011, Nature Reviews Drug Discovery 10, 717-718))。
【0010】
したがって、選択的JAK阻害剤を開発すれば、そのような副作用を最低限にするために有益であるだろう。
【背景技術】
【0011】
(発明の背景)
軟骨の変性は、様々な疾患の特徴となっており、その中でも、関節リウマチ及び変形性関節症が最も顕著なものである。関節リウマチ(RA)は、慢性の関節変性疾患であり、関節構造の炎症及び破壊によって特徴付けられる。該疾患を野放しにすると、関節機能性の喪失により相当な身体障害及び疼痛、並びに早死すら招く。したがって、RA治療の目的は、該関節破壊を阻止するために、該疾患の進行を減速するだけでなく、寛解も達成することである。該疾患の予後の厳しさに加えて、RAの高い罹患率(世界中で成人の〜0.8%が罹患している)も、社会経済的影響が大きいことを意味している(RAの概説については、Smolen及びSteinerの文献(2003);Lee及びWeinblattの文献(2001);Choy及びPanayiの文献(2001);O'Dellの文献(2004)、及びFiresteinの文献(2003)を参照されたい。)。
【0012】
JAK1は、多くのサイトカイン及びホルモンのための細胞内シグナル伝達に関与している。これらのサイトカイン及びホルモンのいずれかに関連する病状は、JAK1阻害剤により改善され得る。そのため、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、若年性特発性関節炎、変形性関節症、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、組織線維症、好酸球性炎症、食道炎(eosophagitis)、炎症性腸疾患(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎)、移植、移植片対宿主病、乾癬、筋炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、若年性特発性関節炎、及び多発性硬化症(Kopfらの文献、2010)を含む、数種のアレルギー、炎症、及び自己免疫疾患は、本発明に記載される化合物による治療から利益を得る可能性がある。
【0013】
乾癬は、皮膚を冒すことがある疾患である。乾癬の原因は完全には分かっていないが、炎症及び皮膚細胞の迅速な再生を起こすサイトカイン、特にTNFαの放出に関連する免疫に媒介される関連疾患であると考えられている。この仮定は、免疫抑制剤が乾癬プラークをきれいにし得るという観察により支持されてきた(Zenz R, Eferl R, Kenner Lらの文献((2005)「Junタンパク質の表皮での誘導性欠失により起こる乾癬様皮膚病及び関節炎(Psoriasis-like skin disease and arthritis caused by inducible epidermal deletion of Jun proteins)」 Nature 437 (7057): 369-75))。
【0014】
乾癬は関節の炎症も起こすことがあり、乾癬性関節炎として知られている。乾癬を有する全ての人の10〜30%は乾癬性関節炎も有する(Committee for Medicinal Products for Human Use (CHMP)(2004年11月18日)「乾癬の治療に適応される医薬製品の臨床研究のガイドライン(Guideline on Clinical Investigation of Medicinal Products indicated for the treatment of Psoriasis)」)。その慢性で再発性の性質から、乾癬は、治療するのに困難な問題である。JAKの阻害が乾癬の病態を首尾よく向上させ得ることが最近示された(Punwaniらの文献((2012)「乾癬の治療における局所JAK1/2阻害剤の予備臨床活性(Preliminary clinical activity of a topical JAK1/2 inhibitor in the treatment of psoriasis)」J Am Acad Dermatol., 67, 4, 658-664)。
【0015】
炎症性腸疾患(IBD)は、結腸及び小腸の一群の炎症性状態である。IBDの主要な種類はクローン病及び潰瘍性大腸炎である。最近、ゲノムワイド関連(GWAS)研究により、T細胞タンパク質チロシンホスファターゼ(TCPTP)が、GWASにより、1型糖尿病、関節リウマチ、及びクローン病の病因に関連したJAK/STAT及び成長因子受容体ホスファターゼであることが見出されている(Zikhermanらの文献(J Clin Invest. 2011 Dec;121(12):4618-21)。したがって、JAK経路の阻害はIBDを治療する一方法を与え得る。
【0016】
JAKファミリーメンバーは、骨髄増殖性疾患を含むさらなる病態に関与しており(O'Sullivanらの文献(2007, Mol Immunol. 44(10):2497-506))、該病態におけるJAK2の突然変異が同定されている。これは、JAK、特にJAK2の阻害剤が骨髄増殖性疾患の治療に有用となり得ることも示している。加えて、該JAKファミリー、特にJAK1、JAK2及びJAK3は、癌、特に白血病、例えば、急性骨髄性白血病(O'Sullivanらの文献(2007, Mol Immunol. 44(10):2497-506);Xiangらの文献(2008, 「急性骨髄性白血病患者における体細胞JAK1突然変異の同定(Identification of somatic JAK1 mutations in patients with acute myeloid leukemia)」Blood First Edition Paper, 2007年12月26日にオンラインで再発行;DOI 10.1182/blood-2007-05-090308))及び急性リンパ芽球性白血病(Mullighanらの文献、2009)、皮膚T細胞リンパ腫 (Zhangらの文献(1996, PNAS, 93, 9148-9153))又は固形腫瘍、例えば、子宮平滑筋肉腫(Constantinescuらの文献(2007, Trends in Biochemical Sciences 33(3): 122-131))、前立腺癌(Tamらの文献(2007, British Journal of Cancer, 97, 378-383))、及び乳癌(Berishajらの文献(2007, Breast Cancer Research 9: R32))に関係している。これらの結果は、JAK、特にJAK1の阻害剤が、癌(白血病及び固形腫瘍、例えば、子宮平滑筋肉腫、前立腺癌)の治療にも利用できることを示している。
【0017】
加えて、キャッスルマン病、多発性骨髄腫、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、乾癬及びカポジ肉腫は、サイトカインIL-6の分泌過多に起因する可能性があり、その生物学的作用は細胞内JAK-STATシグナル伝達により媒介される(Tetsuji Naka, Norihiro Nishimoto及びTadamitsu Kishimotoの文献(Arthritis Res 2002, 4 (suppl 3):S233-S242))。この結果は、前記疾患の治療においてJAKの阻害剤が有用となり得ることを示している。
【0018】
現在の治療は満足できるものではなく、したがって、炎症性病態、自己免疫疾患、増殖性疾患、アレルギー、移植片拒絶、軟骨代謝回転の異常を伴う疾患、先天性軟骨形成異常、及び/又はIL6若しくはインターフェロンの分泌過多に関連する疾患、特に関節リウマチの治療に有用となり得るさらなる化合物を同定する必要性が残されている。
【0019】
さらに、これらの病態は、長期の療法及び薬物の反復した摂取が必要な慢性病態である。長期の治療は、患者にとって、且つ開業医にとっても同様に重荷になることがあるが、その理由は、患者が薬物に不耐性であり得るか、又は不耐性になることがあり、さらに、高用量又は高い投与頻度が不快な副作用及び/又は患者の低いコンプライアンスをもたらすことがあり、その場合、患者は、時として、故意又は偶発的に服用し忘れることがあるからである。ノンアドヒランスの影響は慢性病により様々であり、最小限から非常に重大までになる(Ingersollらの文献(2008 J Behav Med.; 31(3): 213-224))。
【0020】
したがって、開業医の備蓄を強化するより多くの化合物及び患者の生活を向上させる低頻度の投与計画を持つ化合物を特定する必要がある。
【0021】
新しい薬を発見しようとして、最も好適な候補を特定するように基準がしばしば設定され、そのようにして多くの化合物が迅速にインビトロモデルで評価され、前記基準を満たさない場合は同様に迅速に廃棄される。インビトロ試験は通常インビボ試験より高い処理量を有し、意思決定プロセスを大いに助ける。このように、インビトロモデルは、通常、薬物のインビボの挙動を予測すると期待されており、一見したところインビトロで好適なプロファイルを与えないだろう化合物は廃棄される。この状況において、式Iによる化合物は、調査すると、あまり興味深くないインビトロプロファイルを示したが、インビボ試験では、特にヒトにおいて意外な性質を現した。
【発明の概要】
【0022】
本発明は、式Iによる本発明の化合物が医薬として有用になり得るという発見に基づいている。特定の態様において、式Iによる本発明の化合物は、JAKの阻害剤、より詳細にはJAK1の阻害剤である。
【0023】
本発明は、式Iによる本発明の化合物の製造方法、式Iによる本発明の化合物を含む医薬組成物、並びに、式Iによる本発明の化合物を投与することによる、炎症性病態、自己免疫疾患、増殖性疾患、アレルギー、移植片拒絶、軟骨代謝回転の異常を伴う疾患、先天性軟骨形成異常、及び/又はIL6若しくはインターフェロンの分泌過多に関連する疾患、とりわけ関節リウマチの予防及び/又は治療の方法も与える。
【0024】
したがって、本発明の第一の態様において、本発明の化合物は式Iを有する医薬における使用のために与えられる:
【化1】
【0025】
式Iによる本発明の化合物は、驚くべきことに、インビボで、ヒトにおいて他の動物種とは非常に異なるプロファイルを示し、それはインビトロの予測とは対照をなしている。実際に、インビボでは、ヒトにおいて、式Iによる本発明の化合物の見かけの最終半減期(apparent terminal half life)が他の動物種においてより、少なくとも3倍有意に長いことが示された。これによりヒトでは蓄積が起こり、長期間治療効果が維持され、それにより1日1回から週に1回の投薬を可能にする。そのため、式Iによる本発明の化合物は、低頻度の投与計画及び/又は患者のコンプライアンス増大を含む利点を提供し得る。とりわけ、患者が服用し忘れた場合のノンアドヒランスの影響は低減され得る。
【0026】
特定の態様において、式Iによる本発明の化合物は、炎症性病態、自己免疫疾患、増殖性疾患、アレルギー、移植片拒絶、軟骨代謝回転の異常を伴う疾患、先天性軟骨形成異常、及び/又はIL6若しくはインターフェロンの分泌過多に関連する疾患、とりわけ関節リウマチの予防及び/又は治療に使用するために与えられる。
【0027】
さらなる態様において、本発明は、式Iによる本発明の化合物及び医薬担体、賦形剤、又は希釈剤を含む医薬組成物を提供する。特定の態様において、該医薬組成物は、式Iによる本発明の化合物と組み合わせて使用するのに好適な、さらなる治療上有効な成分をさらに含み得る。より特定の態様において、さらなる治療上有効な成分は、関節炎の治療のための化合物である。最も特定の態様において、さらなる治療上有効な成分は、関節リウマチの治療のための化合物である。
【0028】
さらに、本明細書に開示される医薬組成物及び治療方法に有用な式Iによる本発明の化合物は、製造され使用されるときに医薬として許容し得るものである。
【0029】
本発明のさらなる態様において、本発明は、本明細書に列記されたものの中から選択される病態、特に、炎症性病態、自己免疫疾患、増殖性疾患、アレルギー、移植片拒絶、軟骨代謝回転の異常を伴う疾患、先天性軟骨形成異常、及び/又はIL6若しくはインターフェロンの分泌過多に関連する疾患、より特に関節リウマチに罹患しやすい、又は苦しんでいる哺乳動物、とりわけヒトを治療する方法であって、治療上有効な量の本明細書に記載される医薬組成物又は式Iによる本発明の化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0030】
本発明は、医薬に使用するための、式Iによる本発明の化合物及び好適な医薬担体、賦形剤、又は希釈剤を含む医薬組成物も提供する。特定の態様において、該医薬組成物は、炎症性病態、自己免疫疾患、増殖性疾患、アレルギー、移植片拒絶、軟骨代謝回転の異常を伴う疾患、先天性軟骨形成異常、及び/又はIL6若しくはインターフェロンの分泌過多に関連する疾患、とりわけ関節リウマチの予防及び/又は治療に使用するためのものである。
【0031】
追加の態様において、本発明は、式Iによる本発明の化合物を合成する方法を、本明細書において後に開示される代表的な合成プロトコル及び経路と共に提供する。
【0032】
他の目的及び利点は、以下の詳細な説明の考察から、当業者には明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、本明細書に開示される化合物による処置の後のラットCIA臨床スコアを示す。
【0034】
図2図2は、本明細書に開示される化合物による処置の後のラットCIAモデルの足首直径の変化を示す。
【0035】
図3図3は、式IIによる化合物のインビトロ代謝プロファイルを示す。
【0036】
図4図4は、式IIによる化合物の投与時に測定した、式I:式IIの曝露(AUCとして表される)の比を示す。
【0037】
図5図5は、式IIによる化合物の投与後の、IC50値の倍数として表された、開示された化合物の曝露レベルの値を示す。
【0038】
図6図6は、式IIによる化合物の投与後の、IC50値の倍数として表された、式I及び式IIによる化合物の24時間の期間にわたる曝露レベルの合わせた値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(発明の詳細な説明)
(定義)
以下の用語は、それとともに以下に提示される意味を有するものとし、本発明の記載及び意図される範囲を理解するのに有用である。
【0040】
本発明を記載する場合、化合物、そのような化合物を含む医薬組成物、並びにそのような化合物及び組成物を使用する方法を含み得るが、以下の用語は、存在する場合、他に示さない限り、以下の意味を有する。本明細書に記載される場合、以下に定義される部分はいずれも多様な置換基で置換できること、及びそれぞれの定義が以下に記載されるそれらの範囲内でこのような置換された部分を含むものとすることも理解されたい。他に明記しない限り、用語「置換された」とは、以下に記載されるように定義できよう。本明細書に使用される場合、用語「基」及び「ラジカル」が交換可能であるとみなし得ることをさらに理解されたい。
【0041】
冠詞「a」及び「an」は、本明細書において、1又は2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)の該冠詞の文法上の対象を言及するのに使用できる。例として、「アナログ(an analogue)」は、1つのアナログ又は2つ以上のアナログを意味する。
【0042】
本明細書では、「JAK」という用語は、膜受容体からのサイトカインシグナル伝達をSTAT転写因子に伝達する細胞質チロシンキナーゼであるヤヌスキナーゼ(JAK)のファミリーに関連する。4種のJAKファミリーメンバー、JAK1、JAK2、JAK3、及びTYK2が記載され、JAKという用語は、文脈が示すとおり、JAKファミリーメンバー全てをまとめて意味することも、1つ以上のJAKファミリーメンバーを意味することもある。
【0043】
「医薬として許容し得る」とは、連邦政府若しくは州政府の監督機関又は米国以外の国の対応機関により承認されたか又は承認され得ることを意味するか、あるいは、動物、より具体的にはヒトにおける使用のための米国薬局方又は他の公認された薬局方に収載されていることを意味する。
【0044】
「医薬として許容し得る塩」とは、医薬として許容することができ、かつ親化合物の所望の薬理活性を有する、式Iによる化合物の塩をいう。詳細には、そのような塩は無毒性であり、無機又は有機の酸付加塩及び塩基付加塩であり得る。具体的には、そのような塩には下記がある:(1)塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸で形成された酸付加塩;酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファスルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクト-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などの有機酸で形成された酸付加塩;又は、(2)親化合物に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、又はアルミニウムイオンにより置換されるか;又はエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミンなどの有機塩基と配位する場合に形成された塩。塩は、単なる例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなどをさらに含み、化合物が塩基性官能性を含む場合、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などの無毒の有機又は無機酸の塩をさらに含む。用語「医薬として許容し得るカチオン」とは、酸性官能基の許容し得るカチオン性対イオンをいう。そのようなカチオンは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムカチオンなどにより例示される。
【0045】
「医薬として許容し得るビヒクル」とは、式Iによる化合物とともに投与される希釈剤、補助剤、賦形剤、又は担体をいう。
【0046】
「溶媒和物」とは、通常、加溶媒分解反応によって溶媒と会合する化合物の形態をいう。この物理的会合には水素結合がある。従来型の溶媒には、水、エタノール、酢酸などがある。式Iによる化合物は、例えば結晶形で調製でき、溶媒和できるか又は水和できる。適切な溶媒和物には、水和物などの医薬として許容し得る溶媒和物があり、化学量論的溶媒和物及び非化学量論的溶媒和物の両方もさらに含まれる。特定の例において、溶媒和物は、例えば1以上の溶媒分子が結晶質固体の結晶格子に取り込まれている場合に単離できる。「溶媒和物」は、液相及び単離可能な溶媒和物の両方を包含する。代表的な溶媒和物には、水和物、エタノラート及びメタノラートがある。
【0047】
「対象」はヒトを含む。「ヒト」、「患者」及び「対象」という用語は、本明細書において交換可能に使用される。
【0048】
「治療上有効な量」とは、疾患を治療するために対象へ投与される場合に、該疾患のそのような治療を発効させるのに充分である化合物の量を意味する。「治療上有効な量」は、化合物、疾患及びその重症性、並びに治療される対象の年齢、体重などに応じて変化し得る。
【0049】
「予防する(preventing)」又は「予防(prevention)」とは、疾患又は障害を得るか又はかかるリスクの低減を意味する(すなわち該疾患の臨床症状のうちの少なくとも1つを、疾患原因物質に曝露されている可能性がある対象、又は疾患の発症に先立って該疾患に罹りやすい対象において起こさせない)。
【0050】
用語「予防(prophylaxis)」は「予防(prevention)」に関連し、その目的が疾患を治療又は治癒することよりも予防することにある処置又は手段をいう。予防処置の非限定的な例には、ワクチンの投与;例えば不動化に起因する血栓症のリスクのある入院患者に対する低分子量ヘパリンの投与;及び、マラリアが風土性である、又はマラリアになるリスクが高い地理的領域への訪問に先立つクロロキンなどの抗マラリア薬の投与があり得る。
【0051】
任意の疾患又は障害の「治療する(treating)」又は「治療(treatment)」とは、一実施態様において、疾患又は障害を回復させること(すなわち、該疾患を抑止するか又はその臨床症状のうちの少なくとも1つの徴候、程度、又は重症度を減少させる)をいう。別の実施態様において、「治療する」又は「治療」とは、少なくとも1つの肉体的パラメーターを回復させることをいい、これは対象によって認識できない場合もある。さらに別の実施態様において、「治療する」又は「治療」とは、肉体的に、(例えば、認識可能な症状の安定化)、生理的に、(例えば、肉体的パラメーターの安定化)、又はその両方のいずれかで、疾患又は障害を調節することをいう。さらなる実施態様において、「治療する」又は「治療」とは、疾患の進行を減速させることに関する。
【0052】
本明細書では、「炎症性病態(複数可)」という用語は、関節リウマチ、変形性関節症、若年性特発性関節炎、乾癬、乾癬性関節炎、アレルギー性気道疾患(例えば、喘息、鼻炎)、炎症性腸疾患(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎)、エンドトキシン誘導性疾病状態(例えば、バイパス手術後の合併症又は例えば、慢性心不全の原因となる慢性的なエンドトキシン状態)、及び関節の軟骨などの軟骨に関する関連疾患を含む病態の群をいう。特に該用語は、関節リウマチ、変形性関節症、アレルギー性気道疾患(例えば、喘息)、及び炎症性腸疾患をいう。
【0053】
本明細書では、「自己免疫疾患(複数可)」は、COPDなどの病態を含む閉塞性気道疾患、喘息(例えば、内因性喘息、外因性喘息、塵埃喘息、又は小児喘息)、特に慢性又は難治性喘息(例えば、遅発型喘息及び気道過敏)、気管支炎(気管支喘息を含む)、全身性エリテマトーデス(SLE)、皮膚エリテマトーデス(CLE)、多発性硬化症、I型糖尿病及びそれと関連する合併症、アトピー性湿疹(アトピー性皮膚炎)、接触性皮膚炎及びさらなる湿疹性皮膚炎、炎症性腸疾患(例えば、クローン病又は潰瘍性大腸炎)、アテローム硬化症、並びに筋萎縮性側索硬化症を含む疾患の群をいう。特に、該用語は、COPD、喘息、I型糖尿病、及び炎症性腸疾患を意味する。
【0054】
本明細書では、「増殖性疾患(複数可)」という用語は、癌(例えば、子宮平滑筋肉腫又は前立腺癌)、骨髄増殖性疾患(例えば、真性多血症、本態性血小板血症、及び骨髄線維症)、白血病(例えば、急性骨髄性白血病及び急性リンパ芽球性白血病)、多発性骨髄腫、乾癬、再狭窄、強皮症、又は線維症などの病態をいう。特に、該用語は、癌、白血病、多発性骨髄腫、及び乾癬をいう。
【0055】
本明細書では、「癌」という用語は、皮膚又は体内臓器、例えば、限定はされないが、乳房、前立腺、肺、腎臓、膵臓、胃又は腸の細胞の悪性又は良性の増殖をいう。癌は、隣接する組織に浸潤し、例えば、骨、肝臓、肺又は脳など遠位の臓器に広がる(転移する)傾向がある。本明細書では、癌という用語は、限定はされないが、メラノーマ、リンパ腫、白血病、線維肉腫、横紋筋肉腫、及びマスト細胞腫などの転移性腫瘍細胞型、並びに限定はされないが、結腸直腸癌、前立腺癌、小細胞肺癌及び非小細胞肺癌、乳癌、膵癌、膀胱癌、腎癌、胃癌、神経膠芽腫、原発性肝癌、卵巣癌、前立腺癌、及び子宮平滑筋肉腫などの組織細胞腫型の両方を含む。
【0056】
本明細書では、「白血病」という用語は、血液及び造血器官の腫瘍性疾患をいう。そのような疾患は、宿主を、感染及び出血を非常に起こしやすくする骨髄及び免疫系の機能障害を引き起こし得る。特に、白血病という用語は、急性骨髄性白血病(AML)及び急性リンパ芽球性白血病(ALL)をいう。
【0057】
本明細書では、「移植拒絶」という用語は、例えば、膵島、幹細胞、骨髄、皮膚、筋肉、角膜組織、神経細胞組織、心臓、肺、心肺の組み合わせ、腎臓、肝臓、腸、膵臓、気管、若しくは食道など、細胞、組織、若しくは固形臓器の同種若しくは異種移植片の急性若しくは慢性の拒絶反応、又は移植片対宿主病をいう。
【0058】
本明細書では、「軟骨代謝回転の異常を伴う疾患」という用語は、変形性関節症、乾癬性関節炎、若年性関節リウマチ、痛風関節炎、化膿性又は感染性関節炎、反応性関節炎、反射性交感神経性ジストロフィー、疼痛性ジストロフィー、ティーツェ症候群又は肋骨軟骨炎、線維筋痛症、骨軟骨炎、神経性又はニューロパチー性関節炎、関節症、地方性変形性骨軟骨関節症(osteoarthritis deformans endemica)、ムセレニ病(Mseleni disease)、及びハンディゴデュ病(Handigodu disease)などの風土病型関節炎;線維筋痛症に起因する変性、全身性エリテマトーデス、強皮症、及び強直性脊椎炎などの病態を含む。
【0059】
本明細書では、「先天性軟骨形成異常(複数可)」という用語は、遺伝性軟骨溶解、軟骨異形成症、及び偽性軟骨異形成症などの病態、特に、限定はされないが、小耳症、無耳症、骨幹端軟骨異形成症、及び関連の疾患を含む。
【0060】
本明細書では、「IL6の分泌過多に関連する疾患(複数可)」という用語は、キャッスルマン病、多発性骨髄腫、乾癬、カポジ肉腫、及び/又はメサンギウム増殖性糸球体腎炎などの病態を含む。
【0061】
本明細書では、「インターフェロンの分泌過多に関連する疾患(複数可)」という用語は、全身性エリテマトーデス及び皮膚エリテマトーデス、ループル腎炎、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、乾癬、関節リウマチなどの病態を含む。
【0062】
「本発明の化合物」及び等価な表現は、本明細書で先に記載された式I又は式IIによる(文脈が指示する通り)化合物を包含するものとするが、該表現は、文脈が許す場合、医薬として許容し得る塩、並びに溶媒和物、例えば、水和物、及び医薬として許容し得る塩の溶媒和物を含む。同様に、中間体への言及は、それらが特許請求されているか否かにかかわらず、文脈が許す場合、それらの塩及び溶媒和物を包含するものとする。
【0063】
本発明の化合物の他の誘導体は、それらの酸形態及び酸誘導体形態の両方で活性を有するが、該酸感受性形態では多くの場合、哺乳動物における溶解性、組織適合性、又は遅延放出の利点を付与する(Bundgard, H.の文献(「プロドラッグの設計(Design of Prodrugs)」,pp. 7-9, 21-24, Elsevier, Amsterdam 1985)参照)。
【0064】
本明細書では、「同位体異形」という用語は、そのような化合物を構成する1以上の原子で非天然の同位体比率を含む化合物をいう。例えば、化合物の「同位体異形」は、例えば、重水素(2H又はD)、炭素-13(13C)、窒素-15(15N)などの1以上の非放射性同位体を含むことができる。そのような同位体的置換がなされる化合物において、以下の原子は存在する場合、例えば、任意の水素が2H/Dとなることがあり、任意の炭素が13Cとなることがあり、又は任意の窒素が15Nとなることがあり、かつそのような原子の存在及び配置が当分野の技術内で決定できるように変わり得ることが理解されよう。同様に、本発明は、放射性同位体を有する同位体異形の製造を含むことができ、例えば、得られた化合物を、薬剤及び/又は基質組織分布研究に使用する場合がある。放射性同位体トリチウム、すなわち3H、及び炭素-14、すなわち14Cは、それらの取込みが容易であり、かつ検出手段が整っているという観点から本目的に特に有用である。さらに、11C、18F、15O、及び13Nなどの陽電子放出同位体で置換された化合物を調製することができ、基質受容体占有率を検討するため陽電子放射型断層撮影法(PET)研究において有用であり得るだろう。
【0065】
本明細書に提供される化合物の全ての同位体異形は、放射性であるか否かに関わらず、本発明の範囲内に包含されるものとする。
【0066】
「互変異性体」とは、特定の化合物構造の交換可能な形態であり、かつ水素原子及び電子の配置において異なる化合物をいう。したがって、2つの構造は、π電子及び原子(通常、H)の動きを介して平衡となり得る。例えば、エノールとケトンは、酸又は塩基のいずれかを用いた処理により迅速に相互変換されるので、互変異性体である。互変異性の別の例には、フェニルニトロメタンのアシ-及びニトロ-形態があり、これらは酸又は塩基の処理により同様に形成される。
【0067】
互変異性形態は、目的とする化合物の最適な化学反応性及び生物活性の実現に関連し得る。
【0068】
(本発明)
本発明は、式Iによる本発明の化合物が医薬として有用になり得るという発見に基づく。特定の態様において、式Iによる本発明の化合物は、JAKの阻害剤、より詳細にはJAK1の阻害剤である。
【0069】
本発明は、式Iによる本発明の化合物の製造方法、式Iによる本発明の化合物を含む医薬組成物、並びに、式Iによる本発明の化合物を投与することによる、炎症性病態、自己免疫疾患、増殖性疾患、アレルギー、移植片拒絶、軟骨代謝回転の異常を伴う疾患、先天性軟骨形成異常、及び/又はIL6若しくはインターフェロンの分泌過多に関連する疾患、とりわけ関節リウマチの予防及び/又は治療の方法も提供する。
【0070】
したがって、本発明の第一の実施態様において、式Iによる本発明の化合物は、式Iを有する医薬における使用のために与えられる:
【化2】
【0071】
本発明の別な実施態様において、本発明の化合物は、JAK阻害剤であり、式Iを有する医薬における使用のために与えられる:
【化3】
【0072】
式Iによる本発明の化合物は、驚くべきことに、インビボで、ヒトにおいて他の動物種とは非常に異なるプロファイルを示し、それはインビトロの予測とは対照をなしている。実際に、インビボでは、ヒトにおいて、式Iによる本発明の化合物の見かけの最終半減期が他の動物種においてより、少なくとも3倍有意に長いことが示された。これによりヒトでは蓄積が起こり、長期間にわたり治療効果が維持され、それにより1日1回から週に1回の投薬を可能にする。そのため、式Iによる本発明の化合物は、低頻度の投与計画及び/又は患者のコンプライアンス増大を含む利点を提供し得る。とりわけ、患者が服用し忘れた場合のノンアドヒランスの影響は低減され得る。
【0073】
一実施態様において、式Iによる本発明の化合物は同位体異形でない。
【0074】
一態様において、式Iによる本発明の化合物は遊離塩基として存在する。
【0075】
一態様において、式Iによる本発明の化合物は医薬として許容し得る塩である。
【0076】
一態様において、式Iによる本発明の化合物は、式Iによる本発明の化合物の溶媒和物である。
【0077】
一態様において、式Iによる本発明の化合物は、式Iによる本発明の化合物の医薬として許容し得る塩の溶媒和物である。
【0078】
式Iによる本発明の化合物はJAKの阻害剤である。とりわけ、式Iによる本発明の化合物は、JAK1の強力な阻害剤であるが、それは、より低い効力でJAK2、JAK3、及びTYK2を阻害し得る。
【0079】
さらなる実施態様において、本発明は、式Iによる本発明の化合物及び医薬担体、賦形剤、又は希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
【0080】
なおさらなる実施態様において、該医薬組成物は、追加の治療剤をさらに含む。特定の態様において、他の化合物は、関節炎の治療のための化合物である。より特定の態様において、他の化合物は、関節リウマチの治療のための化合物である。最も特定の実施態様において、さらなる治療剤は、式IIによる本発明の化合物である:
【化4】
【0081】
(医薬組成物)
医薬として使用される場合、式Iによる本発明の化合物は、典型的には医薬組成物の形態で投与される。そのような組成物は、医薬分野において周知の様式で製造でき、少なくとも1種の式Iによる本発明の活性化合物を含むことができる。通常、式Iによる本発明の化合物は、医薬として有効な量で投与される。実際に投与される式Iによる本発明の化合物の量は、典型的には、治療される状態、選択した投与経路、投与される式Iによる本発明の実際の化合物、個々の患者の年齢、体重及び反応、患者の症状の重症度などを含む関連した状況に照らして、医師により決定される。
【0082】
本発明の医薬組成物は、経口経路、直腸経路、経皮経路、皮下経路、関節内経路、静脈経路、筋肉内経路、及び鼻腔内経路を含む様々な経路により投与できる。意図された送達経路に応じて、本発明の式Iによる本発明の化合物は、好ましくは、注射可能若しくは経口組成物として、又は全て経皮投与のための塗剤として、ローション剤として、若しくはパッチとして、製剤化される。
【0083】
経口投与用組成物は、バルク溶液若しくは懸濁液、又はバルク粉末の形態をとり得る。しかしながら、より一般的には、本組成物は、正確な投与を容易にする単位投与形態で提供される。「単位投与形態」という用語は、ヒトの対象及び他の哺乳動物への単位投与量として適切な物理的に個別の単位をいい、各単位は適当な医薬用賦形剤、ビヒクル、又は担体とともに、所望の治療効果を提供するように算出された既定量の活性物質を含む。固体組成物の場合、典型的な単位投与形態には、液体組成物が予め充填され予め計量されたアンプル若しくはシリンジ又は丸剤、錠剤、カプセル等などを含む。そのような組成物において、式Iによる本発明の化合物は、通常、より少ない成分(約0.1〜約50重量%又は好ましくは約1〜約40重量%)であり、その残りは様々なビヒクル又は担体及び所望の投与形態を形成するのを補助する加工助剤である。
【0084】
経口投与に適した液体形態には、緩衝液、懸濁剤及び分配剤、着色剤、香料などとともに好適な水性又は非水性の溶媒を含むことができる。固体形態は、例えば、以下の成分のいずれか、又は類似の性質の本発明の化合物を含むことができる:微結晶性セルロース、トラガカントガム又はゼラチンなどの結合剤;デンプン又はラクトースなどの賦形剤、アルギン酸、プリモゲル、又はコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;スクロース又はサッカリンなどの甘味剤;又はハッカ若しくはオレンジ香料などの香料。
【0085】
注射可能組成物は、典型的には、当該技術分野において公知の注射可能な無菌の食塩水若しくはリン酸緩衝食塩水又は他の注射可能な担体に基づく。上述の通り、そのような組成物における式Iによる活性化合物は、典型的にはより少ない成分であり、多くの場合、約0.05〜10重量%であり、その残りは注射可能な担体などである。
【0086】
経皮組成物は、典型的には、一般に約0.01〜約20重量%、好ましくは約0.1〜約20重量%、好ましくは約0.1〜約10重量%、より好ましくは約0.5〜約15重量%にわたる量で有効成分(複数可)を含む、局所用軟膏又はクリームとして製剤化される。軟膏として製剤化される場合、有効成分は、典型的には、パラフィン性又は水混和性の軟膏基剤のいずれかと混合される。あるいは、有効成分は、例えば水中油クリーム基剤とともにクリームに配合できる。そのような経皮製剤は当該技術分野において周知であり、有効成分又は製剤の真皮浸透の安定性を促進するために一般的には追加成分を含む。そのような公知の経皮製剤及び成分の全ては、本発明の範囲内に含まれる。
【0087】
式Iによる本発明の化合物は、経皮装置により投与することもできる。したがって、経皮投与は、リザーバー型若しくは多孔膜型いずれかのパッチ又は固体マトリクス多様体を使用して達成できる。
【0088】
経口投与可能な、注射可能な、又は局所的に投与可能な組成物のための上記成分は、代表的なものにすぎない。他の材料並びに加工技術などは、「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、第17版、1985, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvaniaのパート8に記載され、これは引用により本明細書に組み込まれる。
【0089】
式Iによる本発明の化合物は、徐放性形態で、又は徐放性製剤送達系から投与することもできる。代表的な徐放物質の説明は、レミントンの薬学に見出すことができる。
【0090】
以下の製剤例は、本発明に従って製造できる代表的な医薬組成物を表す。しかし、本発明は、以下の医薬組成物に限定されない。
【0091】
(製剤1-錠剤)
式Iによる本発明の化合物は乾燥粉末として、乾燥ゼラチン結合剤とおよそ1:2の重量比で混合できる。微量のステアリン酸マグネシウムを滑沢剤として加えてよい。該混合物は、錠剤成形機で240〜270mgの錠剤(錠剤当たり80〜90mgの式Iによる本発明の活性化合物)に成形することができる。
【0092】
(製剤2-カプセル剤)
式Iによる本発明の化合物は乾燥粉末として、デンプン希釈剤とおよそ1:1の重量比で混合できる。該混合物は、250mgのカプセル(カプセル当たり125mgの式Iによる本発明の活性化合物)に充填できる。
【0093】
(製剤3-液剤)
式Iによる本発明の化合物(125mg)は、スクロース(1.75g)及びキサンタンガム(4mg)と混合でき、その結果として生じる混合物は混合され、No.10メッシュU.S.シーブに通され、その後、微結晶性セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウム(11:89、50mg)の予め製造した水溶液と混合できる。安息香酸ナトリウム(10mg)、香料及び着色料を水で希釈して、撹拌しながら加えてよい。次いで、撹拌しながら、充分な水を加えることができる。次いで、充分な水を添加し、5mLの総容積にすることができる。
【0094】
(製剤4-錠剤)
式Iによる本発明の化合物は乾燥粉末として、乾燥ゼラチン結合剤とおよそ1:2の重量比で混合できる。微量のステアリン酸マグネシウムを、滑沢剤として加えてよい。該混合物は、錠剤成形機で450〜900mgの錠剤(150〜300mgの式Iによる本発明の活性化合物)に成形することができる。
【0095】
(製剤5-注射製剤)
式Iによる本発明の化合物は、緩衝化無菌食塩水の注射可能水性媒体中、およそ5mg/mLの濃度に、溶解又は懸濁できる。
【0096】
(製剤6-局所製剤)
ステアリルアルコール(250g)及び白色ワセリン(250g)を約75℃で融かすことができ、その後、水(約370g)に溶かした式Iによる本発明の化合物(50g)、メチルパラベン(0.25g)、プロピルパラベン(0.15g)、ラウリル硫酸ナトリウム(10g)、及びプロピレングリコール(120g)の混合物を添加でき、その結果生じた混合物を凝結するまで撹拌してよい。
【0097】
(治療の方法)
一実施態様において、本発明は、医薬に使用するための、式Iによる本発明の化合物を含む医薬組成物を与える。特定の実施態様において、本発明は、炎症性病態、自己免疫疾患、増殖性疾患、アレルギー、移植片拒絶、軟骨代謝回転の異常を伴う疾患、先天性軟骨形成異常、及び/又はIL6若しくはインターフェロンの分泌過多に関連する疾患、とりわけ関節リウマチの予防及び/又は治療に使用するための式Iによる本発明の化合物を含む医薬組成物を与える。
【0098】
別な実施態様において、本発明は、炎症性病態、自己免疫疾患、増殖性疾患、アレルギー、移植片拒絶、軟骨代謝回転の異常を伴う疾患、先天性軟骨形成異常、及び/又はIL6若しくはインターフェロンの分泌過多に関連する疾患、とりわけ関節リウマチの予防及び/又は治療に使用するための医薬の製造に使用するための式Iによる本発明の化合物を含む医薬組成物を与える。
【0099】
一実施態様において、本発明は、式Iによる本発明の化合物及び別な治療剤を含む医薬組成物を与える。特定の実施態様において、該他の治療剤は関節炎治療剤である。より特定の実施態様において、該他の治療剤は関節リウマチ治療剤である。最も特定の実施態様において、該他の治療剤は、式IIによる化合物である。
【0100】
追加の治療方法態様において、本発明は、炎症性病態に罹患しやすい、又は苦しんでいる哺乳動物の予防及び/又は治療の方法であって、前記病態の治療又は予防のために本明細書に記載される治療上有効な量の式Iによる本発明の化合物又は1種以上の医薬組成物の投与を含む方法を与える。具体的な実施態様において、該炎症性病態は、関節リウマチ、変形性関節症、アレルギー性気道疾患(例えば、喘息)、及び炎症性腸疾患(例えば、クローン病又は潰瘍性大腸炎)から選択される。
【0101】
別な態様において、本発明は、炎症性病態の治療又は予防に使用するための式Iによる本発明の化合物又は式Iによる本発明の化合物を含む医薬組成物を与える。具体的な実施態様において、該炎症性病態は、関節リウマチ、変形性関節症、アレルギー性気道疾患(例えば、喘息)、及び炎症性腸疾患から選択される。
【0102】
別な態様において、本発明は、炎症性病態の治療又は予防のための医薬の製造に使用するための式Iによる本発明の化合物又は式Iによる本発明の化合物を含む医薬組成物を与える。具体的な実施態様において、該炎症性病態は、関節リウマチ、変形性関節症、アレルギー性気道疾患(例えば、喘息)、及び炎症性腸疾患(例えば、クローン病又は潰瘍性大腸炎)から選択される。
【0103】
治療方法の一態様において、本発明は、アレルギー反応を起こしやすい、又は苦しんでいる哺乳動物の治療又は予防の方法であって、前記病態の治療又は予防のために本明細書に記載される治療上有効な量の1種以上の医薬組成物又は式Iによる本発明の化合物の投与を含む方法を与える。具体的な実施態様において、本発明は、アレルギー性気道疾患、副鼻腔炎、湿疹及び/若しくは蕁麻疹、食物アレルギー、又は昆虫毒に対するアレルギーの治療又は予防の方法を与える。
【0104】
別な態様において、本発明は、アレルギー反応の治療又は予防に使用するための式Iによる本発明の化合物又は式Iによる本発明の化合物を含む医薬組成物を与える。具体的な実施態様において、本発明は、アレルギー性気道疾患、副鼻腔炎、湿疹及び/若しくは蕁麻疹、食物アレルギー、又は昆虫毒に対するアレルギーの治療又は予防の方法を与える。
【0105】
別な態様において、本発明は、アレルギー反応の治療又は予防のための医薬の製造に使用するための式Iによる本発明の化合物又は式Iによる本発明の化合物を含む医薬組成物を与える。具体的な実施態様において、本発明は、アレルギー性気道疾患、副鼻腔炎、湿疹及び/若しくは蕁麻疹、食物アレルギー、又は昆虫毒に対するアレルギーの治療又は予防の方法を与える。
【0106】
追加の治療方法態様において、本発明は、自己免疫疾患に罹患しやすい、又は苦しんでいる哺乳動物の治療又は予防の方法であって、前記疾患の治療又は予防のために本明細書に記載される治療上有効な量の1種以上の医薬組成物又は式Iによる本発明の化合物の投与を含む方法を与える。具体的な実施態様において、該自己免疫疾患は、関節リウマチ、COPD、喘息、全身性エリテマトーデス、I型糖尿病、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、若年性特発性(ideopathic)関節炎、及び炎症性腸疾患(例えば、クローン病又は潰瘍性大腸炎)から選択される。より具体的な実施態様において、該自己免疫疾患は、全身性エリテマトーデスである。さらに別なより具体的な実施態様において、該自己免疫疾患は、関節リウマチ又は乾癬性関節炎である。なおさらなる具体的な実施態様において、該自己免疫疾患は、炎症性腸疾患(例えば、クローン病又は潰瘍性大腸炎)である。
【0107】
別な態様において、本発明は、自己免疫疾患の治療又は予防に使用するための式Iによる本発明の化合物又は式Iによる本発明の化合物を含む医薬組成物を与える。具体的な実施態様において、該自己免疫疾患は、関節リウマチ、COPD、喘息、全身性エリテマトーデス、I型糖尿病、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、若年性特発性関節炎、及び炎症性腸疾患(例えば、クローン病又は潰瘍性大腸炎)から選択される。より具体的な実施態様において、該自己免疫疾患は、全身性エリテマトーデスである。なお別なより具体的な実施態様において、該自己免疫疾患は、関節リウマチ又は乾癬性関節炎である。なおさらなる具体的な実施態様において、該自己免疫疾患は、炎症性腸疾患(例えば、クローン病又は潰瘍性大腸炎)である。
【0108】
別な態様において、本発明は、自己免疫疾患の治療又は予防のための医薬の製造に使用するための式Iによる本発明の化合物又は式Iによる本発明の化合物を含む医薬組成物を与える。具体的な実施態様において、該自己免疫疾患は、関節リウマチ、COPD、喘息、全身性エリテマトーデス、I型糖尿病、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、若年性特発性関節炎、及び炎症性腸疾患(例えば、クローン病又は潰瘍性大腸炎)から選択される。より具体的な実施態様において、該自己免疫疾患は、全身性エリテマトーデスである。なお別なより具体的な実施態様において、該自己免疫疾患は、関節リウマチ又は乾癬性関節炎である。なおさらなる具体的な実施態様において、該自己免疫疾患は、炎症性腸疾患(例えば、クローン病又は潰瘍性大腸炎)である。
【0109】
さらなる治療方法態様において、本発明は、増殖性疾患に罹患しやすい、又は苦しんでいる哺乳動物の治療又は予防の方法であって、前記疾患の治療又は予防のために本明細書に記載される治療上有効な量の1種以上の医薬組成物又は式Iによる本発明の化合物の投与を含む方法を与える。具体的な実施態様において、該増殖性疾患は、癌(例えば、子宮平滑筋肉腫又は前立腺癌などの固形腫瘍)、皮膚T細胞リンパ腫、乳癌、白血病(例えば、AML、ALL、又はCLL)、多発性骨髄腫、及び/又は乾癬である。より具体的な実施態様において、該増殖性疾患は乾癬である。
【0110】
別な態様において、本発明は、増殖性疾患の治療又は予防に使用するための式Iによる本発明の化合物又は式Iによる本発明の化合物を含む医薬組成物を与える。具体的な実施態様において、該増殖性疾患は、癌(例えば、子宮平滑筋肉腫又は前立腺癌などの固形腫瘍)、皮膚T細胞リンパ腫、乳癌、白血病(例えば、AML、ALL、又はCLL)、多発性骨髄腫、及び/又は乾癬である。より具体的な実施態様において、該増殖性疾患は乾癬である。
【0111】
別な態様において、本発明は、増殖性疾患の治療又は予防のための医薬の製造に使用するための式Iによる本発明の化合物又は式Iによる本発明の化合物を含む医薬組成物を与える。具体的な実施態様において、該増殖性疾患は、癌(例えば、子宮平滑筋肉腫又は前立腺癌などの固形腫瘍)、皮膚T細胞リンパ腫、乳癌、白血病(例えば、AML、ALL、又はCLL)、多発性骨髄腫、及び/又は乾癬である。より具体的な実施態様において、該増殖性疾患は乾癬である。
【0112】
さらなる治療方法態様において、本発明は、移植片拒絶を起こしやすい、又は苦しんでいる哺乳動物の治療又は予防の方法であって、前記疾患の治療又は予防のために本明細書に記載される治療上有効な量の1種以上の医薬組成物又は式Iによる本発明の化合物の投与を含む方法を与える。具体的な実施態様において、本発明は、臓器移植片拒絶の治療又は予防の方法を与える。
【0113】
別な態様において、本発明は、移植片拒絶の治療又は予防に使用するための式Iによる本発明の化合物又は式Iによる本発明の化合物を含む医薬組成物を与える。具体的な実施態様において、本発明は、臓器移植片拒絶の治療又は予防の方法を与える。
【0114】
別な態様において、本発明は、移植片拒絶の治療又は予防のための医薬の製造に使用するための式Iによる本発明の化合物又は式Iによる本発明の化合物を含む医薬組成物を与える。具体的な実施態様において、本発明は、臓器移植片拒絶の治療又は予防の方法を与える。
【0115】
治療方法の一態様において、本発明は、軟骨代謝回転の異常を伴う疾患に罹患しやすい、又は苦しんでいる哺乳動物の治療又は予防の方法であって、前記疾患の治療又は予防のために本明細書に記載される治療上有効な量の1種以上の医薬組成物又は式Iによる本発明の化合物の投与を含む方法を与える。
【0116】
別な態様において、本発明は、軟骨代謝回転の異常を伴う疾患の治療又は予防に使用するための式Iによる本発明の化合物又は式Iによる本発明の化合物を含む医薬組成物を与える。
【0117】
本発明は、先天性軟骨形成異常の治療又は予防の方法であって、前記疾患の治療又は予防のために本明細書に記載される治療上有効な量の1種以上の医薬組成物又は式Iによる本発明の化合物の投与を含む方法も与える。
【0118】
別な態様において、本発明は、先天性軟骨形成異常の治療又は予防に使用するための式Iによる本発明の化合物又は式Iによる本発明の化合物を含む医薬組成物を与える。
【0119】
さらなる治療方法態様において、本発明は、IL6の分泌過多に関連する疾患に罹患しやすい、又は苦しんでいる哺乳動物の治療又は予防の方法であって、前記疾患の治療又は予防のために本明細書に記載される治療上有効な量の1種以上の医薬組成物又は式Iによる本発明の化合物の投与を含む方法を与える。具体的な実施態様において、IL6の分泌過多に関連する該疾患は、キャッスルマン病及びメサンギウム増殖性糸球体腎炎から選択される。
【0120】
別な態様において、本発明は、IL6の分泌過多に関連する疾患の治療又は予防に使用するための式Iによる本発明の化合物又は式Iによる本発明の化合物を含む医薬組成物を与える。具体的な実施態様において、IL6の分泌過多に関連する該疾患は、キャッスルマン病及びメサンギウム増殖性糸球体腎炎から選択される。
【0121】
さらなる治療方法態様において、本発明は、インターフェロンの分泌過多に関連する疾患に罹患しやすい、又は苦しんでいる哺乳動物の治療又は予防の方法であって、前記疾患の治療又は予防のために本明細書に記載される治療上有効な量の1種以上の医薬組成物又は式Iによる本発明の化合物の投与を含む方法を与える。具体的な実施態様において、インターフェロンの分泌過多に関連する該疾患は、全身性エリテマトーデス及び皮膚エリテマトーデス、ループス腎炎、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、乾癬、並びに関節リウマチから選択される。
【0122】
別な態様において、本発明は、インターフェロンの分泌過多に関連する疾患の治療又は予防に使用するための式Iによる本発明の化合物又は式Iによる本発明の化合物を含む医薬組成物を与える。具体的な実施態様において、インターフェロンの分泌過多に関連する該疾患は、全身性エリテマトーデス及び皮膚エリテマトーデス、ループス腎炎、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、乾癬、並びに関節リウマチから選択される。
【0123】
本方法の特定の療法は、対象における炎症のレベルを低減させるのに充分な、且つ好ましくは前記炎症の原因であるプロセスを終結させるのに充分な期間、炎症を含む疾患、とりわけ関節リウマチ、変形性関節症、アレルギー性気道疾患(例えば、喘息)、及び/又は炎症性腸疾患に苦しんでいる対象への治療上有効な量の式Iによる本発明の化合物の投与を含む。該方法の特殊な実施態様は、関節リウマチの進行に苦しんでいる又は罹患しやすい対象に、前記対象の関節における炎症をそれぞれ低減又は予防するのに充分な、且つ好ましくは前記炎症の原因であるプロセスを終結させるのに充分な期間、治療上有効な量の式Iによる本発明の化合物を投与することを含む。
【0124】
本方法のさらに特定の療法は、軟骨又は関節の破壊により特徴づけられる疾病又は病態(例えば、関節リウマチ及び/又は変形性関節症)に苦しんでいる対象への、前記破壊の原因である永続的なプロセスを低減させ、且つ好ましくは終結させるのに充分な期間の、治療上有効な量の式Iによる本発明の化合物の投与を含む。該方法の特定の実施態様は、変形性関節症の進行に苦しんでいる、又は罹患しやすい対象患者に、前記患者の関節における軟骨破壊をそれぞれ低減又は予防するのに充分な、かつ好ましくは前記破壊の原因である永続的プロセスを終結させるのに充分な時間、治療上有効な量の式Iによる本発明の化合物を投与することを含む。特別な実施態様において、式Iによる本発明の前記化合物は、軟骨同化特性及び/又は抗異化特性を示すことがある。
【0125】
一態様において、本発明は、炎症性病態、自己免疫疾患、増殖性疾患、アレルギー、移植片拒絶、軟骨代謝回転の異常を伴う疾患、先天性軟骨形成異常、及び/又はIL6若しくはインターフェロンの分泌過多に関連する疾患、とりわけ関節リウマチの予防及び/又は治療に使用するための式Iによる本発明の化合物であって、1日に1〜4回の(1〜4)一定な投与量、及び特に1日に1〜3回の(1〜3)一定な投与量、典型的には1日に1〜2回の(1〜2)一定な投与量、最も典型的には1日に1回の(1)一定の投与量で投与される、前記化合物を与える。
【0126】
別な態様において、本発明は、炎症性病態、自己免疫疾患、増殖性疾患、アレルギー、移植片拒絶、軟骨代謝回転の異常を伴う疾患、先天性軟骨形成異常、及び/又はIL6若しくはインターフェロンの分泌過多に関連する疾患、とりわけ関節リウマチの予防及び/又は治療に使用するための式Iによる本発明の化合物であって、2週間の期間に1〜13回の(1〜13)一定の投与量で投与される、前記化合物を与える。具体的な実施態様において、式Iによる化合物は、2週間の期間に、1〜12回の(1〜12)、1〜10回の(1〜10)、又は2〜7回の(2〜7)一定の投与量で投与される。具体的な実施態様において、式Iによる本発明の化合物は、1週間に1回投与される。
【0127】
さらなる態様において、本発明は、炎症性病態、自己免疫疾患、増殖性疾患、アレルギー、移植片拒絶、軟骨代謝回転の異常を伴う疾患、先天性軟骨形成異常、及び/又はIL6若しくはインターフェロンの分泌過多に関連する疾患、とりわけ関節リウマチの予防及び/又は治療に使用するための式IIによる本発明の化合物であって、2週間の期間に1〜13回の(1〜13)一定の投与量で投与される、前記化合物を与える。具体的な実施態様において、式IIによる化合物は、2週間の期間に、1〜12回の(1〜12)、1〜10回の(1〜10)、又は2〜7回の(2〜7)一定の投与量で投与される。具体的な実施態様において、式IIによる本発明の化合物は、1週間に1回投与される。
【0128】
なおさらなる態様において、本発明は、炎症性病態、自己免疫疾患、増殖性疾患、アレルギー、移植片拒絶、軟骨代謝回転の異常を伴う疾患、先天性軟骨形成異常、及び/又はIL6若しくはインターフェロンの分泌過多に関連する疾患、とりわけ関節リウマチの予防及び/又は治療に使用するための式Iによる本発明の化合物と式IIによる本発明の化合物の組み合わせであって、該化合物が、1日に1〜4回の(1〜4)一定の投与量で、特に1日に1〜3回の(1〜3)一定の投与量で、典型的には1日に1〜2回の(1〜2)一定の投与量で、最も典型的には1日に1回の(1)一定の投与量で投与される、前記組み合わせを与える。
【0129】
なお別なさらなる態様において、本発明は、炎症性病態、自己免疫疾患、増殖性疾患、アレルギー、移植片拒絶、軟骨代謝回転の異常を伴う疾患、先天性軟骨形成異常、及び/又はIL6若しくはインターフェロンの分泌過多に関連する疾患、とりわけ関節リウマチの予防及び/又は治療に使用するための式Iによる本発明の化合物と式IIによる本発明の化合物の組み合わせであって、該化合物が、2週間の期間に1〜13回の(1〜13)一定の投与量で投与される、前記組み合わせを与える。具体的な実施態様において、式Iによる本発明の化合物と式IIによる本発明の化合物の組み合わせは、2週間の期間に、1〜12回の(1〜12)、1〜10回の(1〜10)、又は2〜7回の(2〜7)一定の投与量で投与される。具体的な実施態様において、式Iによる本発明の化合物と式IIによる本発明の化合物の組み合わせは、1週間に1回投与される。
【0130】
注入用量レベルは、約1〜約120時間及び特に24〜96時間の間全てについて、約0.1mg/kg/時〜少なくとも10mg/kg/時にわたる。また、約0.1mg/kg〜約10mg/kg又はこれを超える予充填ボーラスを、妥当な定常状態レベルを達成するために投与することもできる。最大の全用量は、40〜80kgのヒト患者について約1g/日を超えるとは予想されない。
【0131】
変性状態などの長期の状態の予防及び/又は治療について、治療のための療法は、通常、数ヶ月又は数年にわたるため、患者の便宜及び許容度のために経口投与が好ましい。経口投与では、1日1〜4回の(1〜4)一定の投与量、特に1日1〜3回の(1〜3)一定の投与量、典型的には1日に1〜2回の(1〜2)一定の投与量、最も典型的には1日に1回の(1)一定の投与量が代表的な療法である。或いは、長時間作用型薬物では、経口投与で、1週おきに1回、週に1回、及び1日に1回が代表的な療法である。とりわけ、投与計画は、1〜14日ごとに、よりとりわけ1〜10日ごとに、さらによりとりわけ1〜7日ごとに、最もとりわけ1〜3日ごとになり得る。
【0132】
これらの投薬パターンを利用すると、各投与量は、約1〜約1000mgの式Iによる本発明の化合物を与え、特定の投与量はそれぞれ約10〜約500mg、特に約30〜約250mgを与える。
【0133】
これらの投薬パターンを利用すると、各投与量は、約1〜約1000mgの式IIによる本発明の化合物を与え、特定の投与量はそれぞれ約10〜約500mg、特に約30〜約250mgを与える。
【0134】
経皮用量は、一般に、注入用量を使用して達成されるのと同等又はそれよりも低い血中濃度を提供するように選択される。
【0135】
病態の発症を予防するために使用する場合、式Iによる本発明の化合物は、典型的には医師の助言に従い、かつその管理下で、上記の投与量レベルにて、該病態にかかる危険性のある患者に投与される。特定の病態にかかる危険性のある患者には、一般に、該病態の家族歴を有する者、又は遺伝的試験若しくはスクリーニングにより、特に該病態にかかりやすいと同定された者がある。
【0136】
式Iによる本発明の化合物は、単一の活性薬剤として投与することができるか、又は同じ若しくは類似の治療活性を示し、かつ併用投与に安全かつ有効であることが判断された本発明の他の化合物を含む他の治療剤との組合せで投与することもできる。具体的な実施態様において、2種の(又はそれより多い)薬剤の共投与は、使用されるそれぞれの用量を顕著に減少させることができ、それによって、見られる副作用を低減させる。
【0137】
一実施態様において、式Iによる本発明の化合物又は式Iによる本発明の化合物を含む医薬組成物は、医薬として投与される。具体的な実施態様において、前記医薬組成物は追加的にさらなる有効成分を含む。
【0138】
一実施態様において、式Iによる本発明の化合物は、炎症を伴う疾患の治療及び/又は予防のための別の治療薬と共投与され;特定の薬剤には、免疫調節性薬剤、例えば、アザチオプリン、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾロン又はデキサメタゾン)、シクロホスファミド、シクロスポリンA、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、ムロモナブ-CD3(OKT-3、例えば、Orthoclone(登録商標))、ATG、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、及びピロキシカムを含むが、これらに限定されない。
【0139】
一実施態様において、式Iによる本発明の化合物は、関節炎(例えば、関節リウマチ)の治療及び/又は予防のための別の治療薬と共投与され;特定の薬剤には、鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、ステロイド、合成DMARD(例えば、限定はされないが、メトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジン、オーラノフィン、金チオリンゴ酸ナトリウム、ペニシラミン、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、アザチオプリン、トファシチニブ、バリシチニブ、フォスタマチニブ、及びシクロスポリン)、及び生物学的DMARD(例えば、限定はされないが、インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、リツキシマブ、及びアバタセプト)を含むが、これらに限定されない。
【0140】
一実施態様において、式Iによる本発明の化合物は、増殖性疾患の治療及び/又は予防のための別の治療薬と共投与され;特定の薬剤には、メトトレキサート、ロイコボリン、アドリアマイシン、プレドニゾン、ブレオマイシン、シクロホスファミド、5-フルオロウラシル、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ドキソルビシン、タモキシフェン、トレミフェン、酢酸メゲストロール、アナストロゾール、ゴセレリン、抗-HER2モノクローナル抗体(例えば、Herceptin(商標))、カペシタビン、塩酸ラロキシフェン、EGFR阻害剤(例えば、lressa(登録商標)、Tarceva(商標)、Erbitux(商標))、VEGF阻害剤(例えば、Avastin(商標))、プロテアソーム阻害剤(例えば、Velcade(商標))、Glivec(登録商標)及びhsp90阻害剤(例えば、17-AAG)を含むが、これらに限定されない。加えて、式Iによる本発明の化合物は、限定はされないが、放射線療法又は外科手術を含む他の治療法と組合せて投与することができる。具体的な実施態様において、該増殖性疾患は、癌、骨髄増殖性疾患、又は白血病から選択される。
【0141】
一実施態様において、式Iによる本発明の化合物は、自己免疫疾患の治療及び/又は予防のための別の治療薬と共投与され、特定の薬剤には、グルココルチコイド、細胞分裂阻害剤(例えば、プリンアナログ)、アルキル化剤(例えば、ナイトロジェンマスタード(シクロホスファミド)、ニトロソウレア、本発明の白金化合物、その他)、代謝拮抗薬(例えば、メトトレキサート、アザチオプリン及びメルカプトプリン)、細胞毒性抗生物質(例えば、ダクチノマイシンアントラサイクリン系薬剤、マイトマイシンC、ブレオマイシン及びミトラマイシン)、抗体(例えば、抗-CD20、抗-CD25、又は抗-CD3(OTK3)モノクローナル抗体、Atgam(登録商標)及びThymoglobuline(登録商標))、シクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン(シロリムス)、インターフェロン(例えば、IFN-β)、TNF結合タンパク質(例えば、インフリキシマブ、エタネルセプト、又はアダリムマブ)、ミコフェノレート、フィンゴリモド、及びミリオシンを含むが、これらに限定されない。
【0142】
一実施態様において、式Iによる本発明の化合物は、移植片拒絶反応の治療及び/又は予防のための別の治療薬と共投与され、特定の薬剤には、カルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリン又はタクロリムス(FK506))、mTOR阻害剤(例えば、シロリムス、エベロリムス)、抗増殖剤(例えば、アザチオプリン、ミコフェノール酸)、副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン)、抗体(例えば、モノクローナル抗-IL-2Rα受容体抗体、バシリキシマブ、ダクリズマブ)、ポリクローナル抗T細胞抗体(例えば、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)、抗リンパ球グロブリン(ALG))を含むが、これらに限定されない。
【0143】
一実施態様において、式Iによる本発明の化合物は、喘息及び/又は鼻炎及び/又はCOPDの治療及び/又は予防のための別の治療薬と共投与され、特定の薬剤には、β2-アドレナリン受容体刺激薬(例えば、サルブタモール、レバルブテロール、テルブタリン、及びビトルテロール)、エピネフリン(吸入又は錠剤)、抗コリン薬(例えば、臭化イプラトロピウム)、グルココルチコイド(経口又は吸入)、長時間作用性β2-刺激薬(例えば、サルメテロール、ホルモテロール、バンブテロール、及び徐放性経口アルブテロール)、吸入ステロイド薬と長時間作用性気管支拡張薬との組合せ(例えば、フルチカゾン/サルメテロール、ブデソニド/ホルモテロール)、ロイコトリエン拮抗薬及び合成阻害剤(例えば、モンテルカスト、ザフィルルカスト、及びジロートン)、メディエーター放出の阻害剤(例えば、クロモグリケート及びケトチフェン)、IgE応答の生体調節因子(例えば、オマリズマブ)、抗ヒスタミン剤(例えば、セテリジン、シンナリジン、フェキソフェナジン)、及び血管収縮薬(例えば、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、ナファゾリン、及びトラマゾリン)を含むが、これらに限定されない。
【0144】
加えて、式Iによる本発明の化合物は、喘息及び/又はCOPDの緊急治療と組合せて投与することができ、そのような治療には、酸素又はヘリオックス投与、サルブタモール又はテルブタリン噴霧(抗コリン薬(例えば、イプラトロピウム)と任意に併用)、全身性ステロイド薬(経口又は静脈内、例えば、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、又はヒドロコルチゾン)、静脈内サルブタモール、非特異的β-刺激薬、注射又は吸入(例えば、エピネフリン、イソエタリン、イソプロテレノール、メタプロテレノール)、抗コリン薬(静脈内又は噴霧、例えば、グリコピロレート、アトロピン、イプラトロピウム)、メチルキサンチン(テオフィリン、アミノフィリン、バミフィリン)、気管支拡張性効果を有する吸入麻酔(例えば、イソフルラン、ハロタン、エンフルラン)、ケタミン、及び静脈内硫酸マグネシウムを含む。
【0145】
一実施態様において、式Iによる本発明の化合物は、炎症性腸疾患(IBD)の治療及び/又は予防のための別の治療薬と共投与され、特定の薬剤には、グルココルチコイド(例えば、プレドニゾン、ブデソニド)、合成疾患修飾性免疫調節薬(例えば、メトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジン、メサラジン、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、及びシクロスポリン)及び生物学的疾患修飾性免疫調節薬(インフリキシマブ、アダリムマブ、リツキシマブ、及びアバタセプト)を含むが、これらに限定されない。
【0146】
一実施態様において、式Iによる本発明の化合物は、SLEの治療及び/又は予防のための別の治療薬と共投与され、特定の薬剤には、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、例えば、抗マラリア薬(例えば、プラキニル、ヒドロキシクロロキン)、免疫抑制剤(例えば、メトトレキサート及びアザチオプリン)、シクロホスファミド及びミコフェノール酸;免疫抑制薬及び鎮痛薬、例えば、非ステロイド性抗炎症薬、アヘン剤(例えば、デキストロプロポキシフェン及びココダモール)、オピオイド(例えば、ヒドロコドン、オキシコドン、MSコンチン、又はメサドン)及びフェンタニルデュラゲシク経皮吸収パッチを含むが、これらに限定されない。
【0147】
一実施態様において、式Iによる本発明の化合物は、乾癬の治療及び/又は予防のための別の治療薬と共投与され、特定の薬剤には、コールタール、ジトラノール(アントラリン)、デスオキシメタゾン(Topicort(商標))などの副腎皮質ステロイド、フルオシノニド、ビタミンD3アナログ(例えば、カルシポトリオール)、アルガン油、及びレチノイド(エトレチナート、アシトレチン、タザロテン)を含有する浴溶液、保湿剤、薬用クリーム、及び軟膏剤などの局所的治療薬、メトトレキサート、シクロスポリン、レチノイド、チオグアニン、ヒドロキシウレア、スルファサラジン、ミコフェノール酸モフェチル、アザチオプリン、タクロリムス、フマル酸エステルなどの全身治療薬、又はAmevive(商標)、Enbrel(商標)、Humira(商標)、Remicade(商標)、Raptiva(商標)、及びウステキヌマブ(IL-12及びIL-23遮断薬)などの生物製剤を含むが、これらに限定されない。加えて、式Iによる本発明の化合物は、限定はされないが、光線療法又は光化学療法(例えば、ソラレン長波長紫外線治療(PUVA))を含む他の治療法と組合せて投与することができる。
【0148】
一実施態様において、式Iによる本発明の化合物は、アレルギー反応の治療及び/又は予防のための他の治療剤と共投与されるが、特定の薬剤には、抗ヒスタミン剤(例えば、セチリジン、ジフェンヒドラミン、フェキソフェナジン、レボセチリジン)、糖質コルチコイド(例えば、プレドニゾン、ベタメタゾン、ベクロメタゾン、デキサメタゾン)、エピネフリン、テオフィリン、又は抗ロイコトリエン剤(例えば、モンテルカスト又はザフィルルカスト)、抗コリン剤、及び充血緩和剤があるが、これらに限定されない。
【0149】
当業者に明らかであるように、共投与とは、同じ治療計画の一部として2種以上の治療薬を患者に送達する任意の手段を含むものである。2種以上の薬剤は単一製剤、すなわち単一の医薬組成物で同時に投与できるが、これは必須ではない。該薬剤は、異なる製剤で、かつ異なる時間に、投与してもよい。
【0150】
一実施態様において、本発明は、式Iによる本発明の化合物及び式IIによる化合物を含む医薬組成物であって、式I/式IIによる本発明の化合物の比が1/5〜1/20である医薬組成物を与える。特定の実施態様において、該比は1/5〜1/10である。
【0151】
(全般的合成手順)
(全般)
式Iによる本発明の化合物は、以下の全般的方法及び手順を利用して容易に利用できる出発物質から製造できる。典型的又は好ましいプロセス条件(すなわち、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力など)が与えられる場合、他のプロセス条件も他に明記しない限り利用できることは理解されるであろう。最適な反応条件は、使用する特定の反応物又は溶媒により変わり得るが、そのような条件は、通例の最適化手順によって当業者により決定できる。
【0152】
さらに、当業者には明らかであるように、特定の官能基が望ましくない反応を受けるのを防ぐために、従来型の保護基が必要となることがある。特定の官能基のための好適な保護基、並びに保護及び脱保護のための適当な条件の選択は、当該分野において周知である。例えば、多数の保護基並びにそれらの導入及び除去は、T. W. Greene及びP. G. M. Wutsの文献(「有機合成における保護基(Protecting Groups in Organic Synthesis)」、第2版、Wiley, New York, 1991)及びその中で引用された文献に記載されている。
【0153】
以下の方法は、先に定義された式Iによる本発明の化合物及び比較例の製造に関して詳細に提示されている。式Iによる本発明の化合物は、公知又は市販の出発物質及び試薬から、有機合成の分野の当業者により製造できる。
【0154】
全ての試薬は市販の等級であり、他に明記しない限り、さらに精製せずに入手したままで使用した。市販の無水溶媒を、不活性雰囲気下で実施される反応に使用した。他に特に明記しない限り、試薬等級溶媒を他の全ての場合において使用した。カラムクロマトグラフィーをシリカゲル60(35〜70μm)で実施した。薄層クロマトグラフィーは、予め被覆してあるシリカゲルF-254プレート(0.25mm厚)を使用して実施した。1H NMRスペクトルは、Bruker社製DPX 400核磁気共鳴分光計(400MHz)で記録した。1H NMRスペクトルの化学シフト(δ)は、内部標準としてのテトラメチルシラン(δ0.00)又は適切な残留溶媒ピーク、すなわちCHCl3(δ7.27)に対して百万分率(ppm)で報告される。多重度は、シングレット(s)、ダブレット(d)、トリプレット(t)、カルテット(q)、マルチプレット(m)及びブロード(br)として与えられる。結合定数(J)は、Hzで与えられる。エレクトロスプレーMSスペクトルは、MicromassプラットフォームLC/MSスペクトロメータで得られた。LCMS分析に使用したカラム: Hichrom、Kromasil Eternity、2.5μm C18、150×4.6mm、Waters Xbridge 5μm C18 (2)、250×4.6mm (整理番号86003117)、Waters Xterra MS 5μm C18、100×4.6mm (Plus guard cartridge) (整理番号 186000486)、Gemini-NX 3μm C18 100×3.0 mm (整理番号00D-4453-Y0)、Phenomenex Luna 5μm C18 (2)、100×4.6mm. (Plus guard cartridge) (整理番号00D-4252-E0)、Kinetixフューズドコア2.7μm C18 100×4.6 mm (整理番号00D-4462-E0)、Supelco、Ascentis(登録商標)Express C18 (整理番号53829-U)、又はHichrom Halo C18、2.7μm C18、150×4.6mm (整理番号92814-702)。LC-MSは、UV検出器Waters 2996を備え、HPLC Waters 2795に接続したWaters Micromass ZQで記録した。LCは、UV検出器Agilent G1315Aに接続したHPLC Agilent 1100でも実施した。分取HPLC:Waters社製XBridge Prep C18 5μm ODB 19mm ID×100mm L(部品番号186002978)。全ての方法は、MeCN/H2O勾配を使用している。H2Oは、0.1%TFA又は0.1%NH3のいずれかを含有する。
【0155】
(実験セクションにおいて使用する省略形のリスト)
【表1】
【実施例】
【0156】
(本発明の化合物の合成製造)
(実施例1.化合物の合成)
(1.1. 経路1)
(1.1.1. 5-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イルアミン(中間体3)の合成)
【化5】
(1.1.1.1. 1-(6-ブロモ-ピリジン-2-イル)-3-カルボエトキシ-チオウレア(2))
5℃に冷却した2-アミノ-6-ブロモピリジン(1)(253.8g、1.467mol)のDCM(2.5L)溶液に、エトキシカルボニルイソチオシアネート(173.0mL、1.467mol)を15分かけて滴加した。次いで、該反応混合物を放置して室温(20℃)まで温め、16時間撹拌した。真空中で蒸発させると固体を与え、それを濾過により回収し、ガソリン(petrol)(3×600mL)で完全に洗浄し、風乾すると(2)を与えた。該チオウレアを、精製せずに次の工程でそのまま使用した。
【0157】
【化6】
【0158】
(1.1.1.2. 5-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イルアミン(3))
ヒドロキシルアミン塩酸塩(101.8g、1.465mol)のEtOH/MeOH(1:1、900mL)中の懸濁液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(145.3mL、0.879mol)を加え、該混合物を室温(20℃)で1時間撹拌した。次いで、1-(6-ブロモ-ピリジン-2-イル)-3-カルボエトキシ-チオウレア(2)(89.0g、0.293mol)を加え、該混合物をゆっくりと還流まで加熱した(注記:発生するH2Sをクエンチするためにブリーチスクラバーが必要であった)。還流状態で3時間後、該混合物を放冷し、濾過して、沈殿した固体を回収した。濾液を真空中で蒸発させ、H2O(250mL)を加えて、濾過して、さらなる生成物を回収した。合わせた固体を、連続的に、H2O(250mL)、EtOH/MeOH(1:1、250mL)、及びEt2O(250mL)で洗浄し、次いで真空中で乾燥させると、トリアゾロピリジン誘導体(3)を固体として与えた。該化合物を精製せずに次の工程でそのまま使用した。
【0159】
【化7】
【0160】
(1.1.2. 4-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-ベンジル]-チオモルホリン-1,1-ジオキシド(中間体4)の合成)
【化8】
2-(4-ブロモメチル-フェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン(1当量)及びDIPEA(2当量)をN2下でDCM/MeOH(5:1 v:v)に溶解させ、チオモルホリン1,1-ジオキシド(2当量)を少しずつ加えた。生じた溶液を室温で16時間撹拌した。この時間の後で、反応は完了した。溶媒を蒸発させた。該化合物をEtOAc及び水で抽出し、ブラインで洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。有機層を濾過し、蒸発させた。最終化合物をさらに精製せず単離した。
【0161】
(1.1.3. 5-[4-(1,1-ジオキソチオモルホリン-4-イルメチル)-フェニル]-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イルアミン(式I)の合成)
【化9】
4-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-ベンジル]-チオモルホリン-1,1-ジオキシド(1.1当量)を、5-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イルアミン(4:1)の溶液に加えた。K2CO3(2当量)及びPdCl2dppf(0.03当量)を該溶液に加えた。次いで、生じた混合物を90℃の油浴中で16時間N2下で加熱した。水を加え、該溶液を酢酸エチルで抽出した。有機層を無水MgSO4で乾燥させ、真空中で蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィーによる精製の後で、最終化合物が得られた。
【0162】
【化10】
【0163】
m/z 358.2 (M+H+, 100%)。
【0164】
(1.2. 経路2)
(1.2.1. シクロプロパンカルボン酸{5-[4-(1,1-ジオキソ-チオモルホリン-4-イルメチル)-フェニル]-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル}-アミド(式II))
式IIによる化合物は、WO2010/149769に記載された手順により合成できる。
【0165】
(1.2.2. 5-[4-(1,1-ジオキソチオモルホリン-4-イルメチル)-フェニル]-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イルアミン(式I)の合成)
式Iによる化合物は、式IIによる化合物の加水分解によっても製造できる:
【化11】
【0166】
塩化水素酸30%水溶液(12.06kg; 3.9 相対体積)を、式IIによる化合物(3.45kg; 1.0当量)の脱塩水(10.0kg; 3.0 相対体積)中のスラリーに加えた。その後、ラインリンス(line rinse)を脱塩水(3.4kg; 1.0 相対体積)で実施した。該反応混合物を、14.5時間80±5℃に加熱した。反応完了後(転化≧99%)、該反応混合物を20±5℃に冷却した。該反応混合物を脱塩水(6.8kg; 2.0 相対体積)で希釈し、水酸化ナトリウム33%水溶液(9.52kg; 3.7相対体積)を、反応器内容物の温度が35℃未満のままであるような速度で添加した。10以上のpHを得るために、追加量の水酸化ナトリウム33%水溶液(2.55kg; 1.0 相対体積)が必要であった。生成物を濾過により除き、脱塩水(1.5 相対体積)で2回洗浄し、真空下で1時間乾燥させると、式Iによる粗製化合物が生じた。
【0167】
式Iによる粗製化合物(5.70kg)を、脱塩水(23.0kg; 8.5 相対体積)中に再スラリー化した。塩化水素酸30%水溶液(1.65kg; 0.7 相対体積)及び脱塩水(4.3kg; 1.6 相対体積)を加え、該反応混合物を20±5℃で45分間撹拌した。式Iによる化合物が完全に溶解しなかったので、反応混合物を45±5℃で1時間撹拌した。該反応混合物を濾過し、残渣を脱塩水(2.0kg 0.75 相対体積)で洗浄した。水酸化ナトリウム33%水溶液(1.12kg; 0.6相対体積)を濾液に加えた。10以上のpHを得るために、追加量の水酸化ナトリウム33%水溶液(1.01kg)が必要であった。生じた反応混合物を20±5℃で約3時間撹拌した。生成物を濾過により除き、脱塩水(4.1kg; 1.5 相対体積)で2回、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE;3.0kg; 1.5 相対体積)で2回洗浄し、真空下で15.5時間フィルター上で乾燥させた。生成物を、40±5℃の真空オーブン中で202時間さらに乾燥させると、式Iによる所望の化合物を与えた。
【0168】
(生物学的実施例)
(実施例2:インビトロアッセイ)
(2.1 JAK1阻害アッセイ)
(2.1.1 JAK1アッセイポリGT基質)
組換えヒトJAK1触媒ドメイン(アミノ酸866-1154;カタログ番号PV4774)をInvitrogen社から購入した。ポリプロピレン製96ウェルプレート(Greiner社製、V字底)において、25ngのJAK1を6.25μgのポリGT基質(Sigma社製、カタログ番号P0275)とともに、被験化合物又はビヒクル(DMSO、最終濃度1%)を含有する5μLとともに、又はなしで、総量25μLのキナーゼ反応緩衝液(15mMのHepes pH7.5、0.01%のTween20、10mMのMgCl2、2μMの非放射性ATP、0.25μCiの33P-γ-ATP(Perkin Elmer社製、カタログ番号NEG602K001MC)最終濃度)中でインキュベートした。30℃で75分後、25μL/ウェルの150mMリン酸を添加して反応を停止させた。該終結したキナーゼ反応物の全てを、セルハーベスター(Perkin Elmer社製)を使用して、予洗い(75mMのリン酸)した96ウェルフィルタープレート(Perkin Elmer社製、カタログ番号6005177)に移した。プレートを1ウェルあたり300μLの75mMリン酸溶液で6回洗浄し、該プレートの底を密閉した。40μL/ウェルのMicroscint-20を添加し、該プレートの上部を密閉し、Topcount(Perkin Elmer社製)を使用して読み取りを行った。キナーゼ活性は、ビヒクルの存在下で得られたカウント毎分(cpm)から、陽性対照阻害剤(10μMのスタウロスポリン)の存在下で得られたcpmを引くことによって算出した。この活性を阻害する被験化合物の能力は、以下のように決定した。
【0169】
阻害率=((被験化合物が存在する試料について測定されたcpm−陽性対照阻害剤を有する試料について測定されたcpm)/(ビヒクルの存在下で測定されたcpm−陽性対照阻害剤を有する試料について測定されたcpm))×100である。
【0170】
JAK1アッセイにおける用量−反応効果の試験、及び化合物についてのIC50の算出を可能にする、化合物についての用量希釈系列を調製した。化合物を20μMの濃度で試験し、続いて、1/3の段階希釈で、1%DMSOの最終濃度で8点(20μM-6.67μM-2.22μM-740nM-247nM-82nM-27nM-9nM)で試験した。化合物の効力が大きい場合、より希釈したものを調製した、及び/又は最大濃度をより低下させる(例えば、5μM、1μM)。
【0171】
JAK1に対する式Iによる化合物の活性を上述のアッセイにより決定し、460.1、586、494.3、758.2、及び432.7 nM (平均546.26 nM)のIC50値を得た。
【0172】
(2.1.2 JAK1 Ulight-JAK1ペプチドアッセイ)
組換えヒトJAK1(触媒ドメイン、アミノ酸866-1154;カタログ番号PV4774)をInvitrogen社から購入した。白色384 Optiプレート(Perkin Elmer社製、カタログ番号6007290)において、1ngのJAK1を20nMのUlight-JAK1(tyr1023)ペプチド(Perkin Elmer社製、カタログ番号TRF0121)とともに、被験物質又はビヒクル(DMSO、最終濃度1%)を含む4μLとともに、又はなしで、総体積20μLのキナーゼ反応緩衝液(15mM MOPS pH6.8、0.01% Brij-35、5mM MgCl2、2mM DTT、7μM ATP)中でインキュベートした。室温で60分後、20μL/ウェルの検出混合物(1×検出緩衝液(Perkin Elmer社製、カタログ番号CR97-100C)、0.5nMユウロピウム-抗-ホスホチロシン(PT66)(Perkin Elmer社製、カタログ番号AD0068)、10mM EDTA)を加えて、反応を停止させた。読み取りは、320nmで励起させてEnvisionを使用し、615nmで発光を測定して実施した(Perkin Elmer社)。キナーゼ活性は、ビヒクル存在下で得られた相対蛍光単位(RFU)から陽性対照阻害剤(10μMスタウロスポリン)の存在下で得られたRFUを引くことにより計算した。被験化合物がこの活性を阻害する能力を下記のとおり決定した:
【0173】
阻害率=((被験化合物が存在する試料で測定されたRFU-陽性対照阻害剤を含む試料で測定されたRFU)/(ビヒクルの存在下で測定されたRFU-陽性対照阻害剤を含む試料で測定されたRFU))×100である。
【0174】
JAK1アッセイにおける用量反応効果の試験及び化合物のIC50の計算を可能にする、化合物についての用量希釈系列を調製した。化合物を通常20μMの濃度で試験し、続いて、1/5の段階希釈で、1%DMSOの最終濃度で10点で試験した。化合物の効力が大きい場合、より希釈したものを調製した、及び/又は最大濃度をより低下させる(例えば、5μM、1μM)。データは、アッセイで得た平均IC50±平均の標準誤差として表した。
【0175】
JAK1に対する式Iによる化合物の活性を上述のアッセイにより決定し、346.8、714.3、166.6、103.3、187.2、582.3、295.3、241.7、159.2、355.3、及び221.6 nM (平均=307nM)のIC50値を得た。
【0176】
(2.1.3. JAK1 Ki決定アッセイ)
Kiの決定のため、異なる量の化合物を酵素と混合し、酵素反応をATP濃度の関数として追跡する。Km対化合物濃度の二重逆数プロット(ラインウィーバー・バークプロット)により、Kiを決定する。1ngのJAK1(Invitrogen社製、PV4774)をアッセイに使用する。基質は、20nM Ulight-JAK-1(Tyr1023)Peptide(Perkin Elmer社製、TRF0121)である。反応は、15mM MOPS pH 6.8、0.01%、Brij-35、2mM DTT、5mM MgCl2中で、ATP及び化合物の濃度を変えながら実施する。リン酸化された基質を、1.1.2で記載されたユウロピウム標識抗ホスホチロシン抗体PT66(Perkin Elmer社製、AD0068)を使用して測定する。読み取りは、envision(Perkin Elmer社製)で、320nmでの励起並びにそれに次ぐ615nm及び665nmでの発光で実施する。
【0177】
(2.2. JAK2阻害アッセイ)
(2.2.1. JAK2アッセイポリGT基質)
組換えヒトJAK2触媒ドメイン(アミノ酸808-1132;カタログ番号PV4210)をInvitrogen社から購入した。ポリプロピレン製96ウェルプレート(Greiner社製、V字底)において、0.05mUのJAK2を2.5μgのポリGT基質(Sigma社製、カタログ番号P0275)とともに、被験化合物又はビヒクル(DMSO、最終濃度1%)を含有する5μLとともに、又はなしで、総量25μLのキナーゼ反応緩衝液(10mMのMOPS pH7.5、0.5mMのEDTA、0.01%のBrij-35、及び1mMのDTT、15mMのMgAc、1μMの非放射性ATP、0.25μCiの33P-γ-ATP(Perkin Elmer社製、カタログ番号NEG602K001MC)最終濃度)中でインキュベートした。30℃で90分後、25μL/ウェルの150mMリン酸を添加して反応を停止させた。該終結したキナーゼ反応物の全てを、セルハーベスター(Perkin Elmer社製)を使用して、予洗い(75mMのリン酸)した96ウェルフィルタープレート(Perkin Elmer社製、カタログ番号6005177)に移した。プレートを1ウェルあたり300μLの75mMリン酸溶液で6回洗浄し、該プレートの底を密閉した。40μL/ウェルのMicroscint-20を添加し、該プレートの上部を密閉し、Topcount(Perkin Elmer社製)を使用して読み取りを行った。キナーゼ活性は、ビヒクルの存在下で得られたカウント毎分(cpm)から、陽性対照阻害剤(10μMのスタウロスポリン)の存在下で得られたcpmを引くことによって算出した。この活性を阻害する被験化合物の能力は、以下のように決定した。
【0178】
阻害率=((被験化合物が存在する試料について測定されたcpm−陽性対照阻害剤を有する試料について測定されたcpm)/(ビヒクルの存在下で測定されたcpm−陽性対照阻害剤を有する試料について測定されたcpm))×100である。
【0179】
JAK2アッセイにおける用量−反応効果の試験、及び各化合物についてのIC50の算出を可能にする、化合物についての用量希釈系列を調製した。化合物を20μMの濃度で試験し、続いて、1/3の段階希釈で、1%DMSOの最終濃度で8点(20μM-6.67μM-2.22μM-740nM-247nM-82nM-27nM-9nM)で試験した。化合物系列の効力が大きい場合、より希釈したものを調製した、及び/又は最大濃度をより低下させる(例えば、5μM、1μM)。
【0180】
JAK1に対する式Iによる化合物の活性を上述のアッセイにより決定し、566.9、365.5、256.4、915.1、及び1017 nM(平均=624 nM)のIC50値を得た。
【0181】
(2.2.2. JAK2 Ulight-JAK1 ペプチドアッセイ)
組換えヒトJAK2 (触媒ドメイン、アミノ酸 866-1154;カタログ番号PV4210)をInvitrogen社から購入した。白色384 Optiプレート(Perkin Elmer社製、カタログ番号6007290)において、0.0125mUのJAK2を25 nMのUlight-JAK1(tyr1023)ペプチド(Perkin Elmer社製、カタログ番号TRF0121)とともに、被験物質又はビヒクル(DMSO、最終濃度1%)を含む4μLとともに、又はなしで、総体積20μLのキナーゼ反応緩衝液(25mM HEPES pH7.0、0.01% Triton X-100、7.5mM MgCl2、2mM DTT、7.5μM ATP)中でインキュベートした。室温で60分後、20 μL/ウェルの検出混合物(1×検出緩衝液(Perkin Elmer社製、カタログ番号CR97-100C)、0.5nM ユウロピウム-抗-ホスホチロシン(PT66) (Perkin Elmer社製、カタログ番号AD0068)、10 mM EDTA)を加えて、反応を停止させた。読み取りは、320nmでの励起によりEnvisionを使用し、615nmで発光を測定して実施した(Perkin Elmer社)。キナーゼ活性は、ビヒクル存在下で得られた相対蛍光単位(RFU)から陽性対照阻害剤(10μMスタウロスポリン)の存在下で得られたRFUを引くことにより計算した。被験化合物がこの活性を阻害する能力を下記のとおり決定した:
【0182】
阻害率=((被験化合物が存在する試料で測定されたRFU-陽性対照阻害剤を含む試料で測定された RFU)/(ビヒクルの存在下で測定されたRFU-陽性対照阻害剤を含む試料で測定された RFU))×100である。
【0183】
JAK2アッセイにおける用量反応効果の試験及び化合物のIC50の計算を可能にする、化合物についての用量希釈系列を調製した。化合物を20μMの濃度で試験し、続いて、1/5の段階希釈で、1%DMSOの最終濃度で10点で試験した。化合物の効力が大きい場合、より希釈したものを調製した、及び/又は最大濃度をより低下させた(例えば、5μM、1μM)。データは、アッセイで得た平均IC50±平均の標準誤差として表した。
【0184】
JAK2に対する式Iによる化合物の活性を上述のアッセイにより決定し、1031、351.2、137.5、367.2、310.2、729.2、151.7、203.0、168.0、及び517.0(平均=397 nM)のIC50値を得た。
【0185】
(2.2.3. JAK2 Kd/Ki決定アッセイ)
(2.2.3.1. JAK2 Ki決定アッセイ)
Kiの決定のために、様々な量の化合物を酵素と混合し、酵素反応を、ATP濃度の関数として追跡する。Kiを、Km対化合物濃度の二重逆数プロット(ラインウィーバー・バークプロット)により決定する。0.0125mUのJAK1 (Invitrogen社製、PV4210)をアッセイに使用する。基質は、25nM Ulight-JAK-1 (Tyr1023)Peptide (Perkin Elmer社製、TRF0121)である。ATP及び化合物の濃度を変えながら、25mM HEPES pH7.0、0.01% Triton X-100、7.5mM MgCl2、2mM DTT中で反応を実施する。リン酸化された基質を、1.2.2に記載されたユウロピウム-標識抗-ホスホチロシン抗体PT66 (Perkin Elmer社製、AD0068)を使用して測定する。読み取りは、320nmでの励起並びにそれに続く615nm及び665nmでの発光によりenvision (Perkin Elmer社製)で実施する。
【0186】
(2.2.3.2. JAK2 Kd決定アッセイ)
JAK2(Invitrogen社製、PV4210)を、最終濃度2.5 nMで使用する。結合実験を、50mM Hepes pH 7.5、0.01% Brij-35、10mM MgCl2、1mM EGTA中で、25nMキナーゼトレーサー236(Invitrogen社製、PV5592)及び2 nM ユウロピウム-抗-GST(Invitrogen社製、PV5594)を使用し、化合物の濃度を変えながら実施する。製造元の手順に従ってトレーサーの検出を実施する。
【0187】
(2.2.4. JAK3阻害アッセイ)
組換えヒトJAK3触媒ドメイン(アミノ酸795-1124;カタログ番号08-046)をCarna Biosciences社から購入した。ポリプロピレン製96ウェルプレート(Greiner社製、V字底)において、0.5ngのJAK3タンパク質を2.5μgのポリGT基質(Sigma社製、カタログ番号P0275)とともに、被験化合物又はビヒクル(DMSO、最終濃度1%)を含有する5μLとともに、又はなしで、総量25μLのキナーゼ反応緩衝液(25mMのTris pH7.5、0.5mMのEGTA、10mMのMgCl2、2.5mMのDTT、0.5mMのNa3VO4、5mMのb-グリセロールホスフェート、0.01%のTriton X-100、1μMの非放射性ATP、0.25μCiの33P-γ-ATP(Perkin Elmer社製、カタログ番号NEG602K001MC)最終濃度)中でインキュベートした。30℃で45分後、25μL/ウェルの150mMリン酸を添加して反応を停止させた。該終結したキナーゼ反応物の全てを、セルハーベスター(Perkin Elmer社製)を使用して、予洗い(75mMのリン酸)した96ウェルフィルタープレート(Perkin Elmer社製、カタログ番号6005177)に移した。プレートを1ウェルあたり300μLの75mMリン酸溶液で6回洗浄し、該プレートの底を密閉した。40μL/ウェルのMicroscint-20を添加し、該プレートの上部を密閉し、Topcount(Perkin Elmer社製)を使用して読み取りを行った。キナーゼ活性は、ビヒクルの存在下で得られたカウント毎分(cpm)から、陽性対照阻害剤(10μMのスタウロスポリン)の存在下で得られたcpmを引くことによって算出した。この活性を阻害する被験化合物の能力は、以下のように決定した。
【0188】
阻害率=((被験化合物が存在する試料について測定されたcpm−陽性対照阻害剤を有する試料について測定されたcpm)/(ビヒクルの存在下で測定されたcpm−陽性対照阻害剤を有する試料について測定されたcpm))×100である。
【0189】
JAK3アッセイにおける用量−反応効果の試験、及び化合物についてのIC50の算出を可能にする、化合物についての用量希釈系列を調製した。化合物を20μMの濃度で試験し、続いて、1/5の段階希釈で、1%DMSOの最終濃度で10点で試験した。化合物が大きい場合、より希釈したものを調製した、及び/又は最大濃度をより低下させた(例えば、5μM、1μM)。
【0190】
JAK3に対する式Iによる化合物の活性を上述のアッセイにより決定し、2497、>4000、>4000、>3333、>3333、3939、>4000、>4000、>4000、3201、及び3368(平均>3606 nM)のIC50値を得た。
【0191】
(2.2.5. JAK3 Ki決定アッセイ)
Kiの決定のため、様々な量の化合物を酵素と混合し、酵素反応をATP濃度の関数として追跡する。Km対化合物濃度の二重逆数プロット(ラインウィーバー・バークプロット)により、Kiを決定する。JAK3(Carna Biosciences社製、08-046)を最終濃度20 ng/mlで使用する。基質は、ポリ(Glu,Tyr)ナトリウム塩(4:1)、MW 20000〜50000(Sigma社製、P0275)である。反応は、25mM Tris pH 7.5、0.01% Triton X-100、0.5mM EGTA、2.5mM DTT、0.5mM Na3VO4、5mM b-グリセロールホスフェート、10mM MgCl2中で、ATP及び化合物の濃度を変えながら実施し、150 mMのリン酸の添加により停止させる。基質ポリGTに取り込まれたリン酸の測定は、試料をフィルタープレートに載せ(Perkin Elmer社製ハーべスター使用)、その後洗浄して実施する。ポリGT中に取り込まれた33Pは、フィルタープレート(Perkin Elmer社製)へのシンチレーション液体の添加後にTopcountシンチレーションカウンターで測定する。
【0192】
(2.3. TYK2阻害アッセイ)
組換えヒトTYK2触媒ドメイン(アミノ酸871-1187;カタログ番号08-147)をCarna biosciences社から購入した。ポリプロピレン製96ウェルプレート(Greiner社製、V字底)において、4ngのTYK2を12.5μgのポリGT基質(Sigma社製、カタログ番号P0275)とともに、被験化合物又はビヒクル(DMSO、最終濃度1%)を含有する5μLとともに、又はなしで、総量25μLのキナーゼ反応緩衝液(25mMのHepes pH7.2、50mMのNaCl、0.5mMのEDTA、1mMのDTT、5mMのMnCl2、10mMのMgCl2、0.1%のBrij-35、0.1μMの非放射性ATP、0.125μCiの33P-γ-ATP (Perkin Elmer社製、カタログ番号NEG602K001MC)最終濃度)中でインキュベートした。30℃で90分後、25μL/ウェルの150mMリン酸を添加して反応を停止させた。該終結したキナーゼ反応物の全てを、セルハーベスター(Perkin Elmer社製)を使用して、予洗い(75mMのリン酸)した96ウェルフィルタープレート(Perkin Elmer社製、カタログ番号6005177)に移した。プレートを1ウェルあたり300μLの75mMリン酸溶液で6回洗浄し、該プレートの底を密閉した。40μL/ウェルのMicroscint-20を添加し、該プレートの上部を密閉し、Topcount(Perkin Elmer社製)を使用して読み取りを行った。キナーゼ活性は、ビヒクルの存在下で得られたカウント毎分(cpm)から、陽性対照阻害剤(10μMのスタウロスポリン)の存在下で得られたcpmを引くことによって算出した。この活性を阻害する被験化合物の能力は以下のように決定した。
【0193】
阻害率=((被験化合物が存在する試料について測定されたcpm−陽性対照阻害剤を有する試料について測定されたcpm)/(ビヒクルの存在下で測定されたcpm−陽性対照阻害剤を有する試料について測定されたcpm))×100である。
【0194】
TYK2アッセイにおける用量−反応効果の試験、及び各化合物についてのIC50の算出を可能にする、化合物についての用量希釈系列を調製した。各化合物を通常20μMの濃度で試験し、続いて、1/3の段階希釈で、1%DMSOの最終濃度で8点(20μM-6.67μM-2.22μM-740nM-247nM-82nM-27nM-9nM)で試験した。化合物系列の効力が大きい場合、より希釈したものを調製した、及び/又は最大濃度をより低下させた(例えば、5μM、1μM)。
【0195】
TYK2に対する式Iによる化合物の活性を上述のアッセイにより決定し、>3333、>3333、>3333、1973、2121、3852、3819、及び2207(平均>2996 nM)のIC50値を得た。
【0196】
(2.3.1. TYK2 Kd/Ki決定アッセイ)
(2.3.1.1. TYK2 Ki決定アッセイ)
Kiの決定のために、様々な量の化合物を酵素と混合し、酵素反応をATP濃度の関数として追跡する。Kiは、Km対化合物濃度の二重逆数プロット(ラインウィーバー・バークプロット)により決定する。TYK2 (Carna Biosciences社製、08-147)を最終濃度160 ng/mlで使用する。基質はポリ(Glu,Tyr)ナトリウム塩(4:1) 、MW 20000〜50000(Sigma社製、P0275)である。反応を、25 mMのHepes pH 7.2、50 mMのNaCl、0.5mMのEDTA、1mMのDTT、5mMのMnCl2、10mMのMgCl2、0.1% Brij-35中で、ATP及び化合物の濃度を変えながら実施し、150mMのリン酸を加えて停止させる。基質ポリGTに取り込まれたホスフェートの測定は、試料をフィルタープレート(Perkin Elmer社製ハーベスター使用)に載せ、次いで洗浄して実施する。フィルタープレート(Perkin Elmer社製)にシンチレーション液体を加えた後で、ポリGT中の取り込まれた33Pを、Topcount シンチレーションカウンターで測定する。
【0197】
(2.3.1.2. TYK2 Kd決定アッセイ)
TYK2(Carna Biosciences社製、08-147)を最終濃度50nMで使用する。結合実験を、50mM Hepes pH 7.5、0.01% Brij-35、10mM MgCl2、1mM EGTA中で、15nMのキナーゼトレーサー236(Invitrogen社製、PV5592)及び10nMのユウロピウム-抗-GST(Invitrogen社製、PV5594)を使用して、化合物の濃度を変えながら実施する。トレーサーの検出は、製造元の手順に従って実施する。
【0198】
(実施例3. 細胞アッセイ)
(3.1. JAK-STATシグナル伝達アッセイ)
HeLa細胞を、10%の熱失活したウシ胎児血清、100U/mLのペニシリン、及び100μg/mLのストレプトマイシンを含有するダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中に維持した。トランスフェクションのために70%コンフルエンスでHeLa細胞を使用した。87μLの細胞培地中20,000個の細胞を、96ウェルプレートフォーマットにおいて、1ウェルあたり0.32μLのJet-PEI(Polyplus社製)をトランスフェクション試薬として使用して、40ngのpSTAT1(2)-ルシフェラーゼレポーター(Panomics社製)、内部標準レポーターとして8ngのLacZレポーター、及び52ngのpBSKで一過性にトランスフェクトした。37℃、5%CO2で一晩インキュベートした後、トランスフェクション培地を除去した。81μLのDMEM+1.5%の熱失活したウシ胎児血清を添加した。10倍濃縮した9μLの化合物を60分間添加し、次いで、最終濃度33ng/mLの10μLのヒトOSM(Peprotech社製)を添加した。
【0199】
化合物を20μMから開始して、1/3段階希釈し、0.2%DMSOの最終濃度で全8用量(20μM-6.6μM-2.2μM-740nM-250nM-82nM-27nM-9nM)で二連で試験した。
【0200】
37℃、5%CO2で一晩インキュベートした後、100μLの溶解緩衝液/ウェル(PBS、0.9mMのCaCl2、0.5mMのMgCl2、10%のトレハロース、0.05%のTergitol NP9、0.3%のBSA)を加えて細胞を溶解した。
【0201】
40μLの細胞溶解物を使用して、180μLのβ-Gal溶液(30μlのONPG 4mg/mL+150μLのβ-ガラクトシダーゼ緩衝液(0.06MのNa2HPO4、0.04MのNaH2PO4、1mMのMgCl2))を20分間添加することによりβ-ガラクトシダーゼ活性を読み取った。50μLのNa2CO3 1Mの添加によって該反応を停止させた。405nmで吸光度を読み取った。
【0202】
ルシフェラーゼ活性を、製造元(Perkin Elmer社)による説明どおりに、40μLの細胞溶解物+40μlのSteadylite(登録商標)を使用してEnvision(Perkin Elmer社製)で測定した。
【0203】
OSM省略を陽性対照(100%阻害)として使用した。陰性対照として、0.5%のDMSO(0%阻害)を使用した。陽性及び陰性対照を使用して、z'及び「阻害率」(PIN)値を算出した。
【0204】
阻害率=((ビヒクル存在下で測定された蛍光−被験化合物が存在する試料について測定された蛍光)/(ビヒクルの存在下で測定された蛍光−トリガーなしの試料について測定された蛍光))×100である。
【0205】
用量−反応において、試験した化合物についてPIN値をプロットし、EC50値を算出した。
【0206】
JAK-STATに対する式Iによる化合物の活性を上述のアッセイにより決定し、不活性、>6670、>6670、8943(平均>7427 nM)のIC50値を得た。
【0207】
(3.2. OSM/IL-1βシグナル伝達アッセイ)
OSM及びIL-1βは、ヒト軟骨肉腫株化細胞系SW1353において、MMP13レベル値を相乗的に上方制御することが示される。該細胞を96ウェルプレートにおいて、37℃、5%CO2でインキュベートした10%(v/v)のFBS及び1%のペニシリン/ストレプトマイシン(InVitrogen社製)を含有する容量120μLのDMEM(Invitrogen社製)中に、15,000細胞/ウェルで播種する。細胞を、15μLのOSM及びIL-1βでトリガーする1時間前に2%のDMSOを有するM199培地中で15μLの化合物とともにプレインキュベートし、25ng/mLのOSM及び1ng/mLのIL-1βにして、トリガーした48時間後に条件培地でMMP13レベルを測定する。抗体捕獲活性アッセイを利用してMMP13活性を測定する。この目的のために、384ウェルプレート(NUNC社製、460518、MaxiSorb black)を35μLの1.5μg/mL抗ヒトMMP13抗体(R&D Systems社製、MAB511)溶液で24時間4℃で被覆する。該ウェルをPBS+0.05%Tweenで2回洗浄した後、残りの結合部位を100μLのPBS中5%の脱脂粉乳(Santa Cruz社製、sc-2325、Blotto)で24時間4℃でブロックする。次に、該ウェルをPBS+0.05%Tweenで2回洗浄し、100倍希釈したブロッキング緩衝液中の、MMP13を含む培養上清の1/10希釈液を35μL添加し、室温で4時間インキュベートする。次に、該ウェルをPBS+0.05% Tweenで2回洗浄し、続いて、35μLの1.5mM 4-アミノフェニル水銀アセタート(APMA)(Sigma社製、A9563)溶液を添加し、37℃で1時間インキュベートすることによってMMP13を活性化した。該ウェルをPBS+0.05%Tweenで再度洗浄し、35μLのMMP13基質(Biomol社製、P-126、OmniMMP蛍光発生基質)を添加する。37℃で24時間のインキュベーションの後、転化した基質の蛍光をPerkin Elmer社製Wallac EnVision2102マルチラベルリーダー(励起波長:320nm、発光波長:405nm)で測定する。
【0208】
阻害率=((ビヒクル存在下で測定された蛍光−被験化合物が存在する試料について測定された蛍光)/(ビヒクルの存在下で測定された蛍光−トリガーなしの試料について測定された蛍光))×100である。
【0209】
(3.3 PBL増殖アッセイ)
ヒト末梢血リンパ球(PBL)をIL-2で刺激し、BrdU取り込みアッセイを使用して増殖を測定する。まず、PHAを用いてPBLを72時間刺激してIL-2受容体を誘発し、24時間絶食させて細胞増殖を停止させ、続いて、さらに72時間(24時間のBrdU標識化を含む)IL-2刺激を行う。細胞を被験化合物とともにIL-2添加の1時間前にプレインキュベートする。10%(v/v)FBSを含有するRPMI1640で細胞を培養する。
【0210】
(3.4. ヒト全血アッセイ(hWBA))
(3.4.1. プロトコル1)
(3.4.1.1. IL-6刺激プロトコル)
フローサイトメトリー分析を実施して、ヒトの全血を使用してエクスビボでのJAK2に優るJAK1の化合物選択性を確立した。したがって、血液を、インフォームドコンセントを与えたヒトの志願者から採取する。次いで、血液を、穏やかに揺らしながら30分間37℃で平衡化させ、エッペンドルフチューブに小分けにする。化合物を異なる濃度で加え、穏やかに揺らしながら37℃で30分間インキュベートし、その後、JAK1依存性経路刺激にはインターロイキン6(IL-6)により、JAK2依存性経路刺激にはGM-CSFにより、穏やかに揺らしながら20分間37℃で刺激する。次いで、FACS分析を利用してホスホ-STAT1及びホスホ-STAT5を評価する。
【0211】
(3.4.1.1.1. ホスホ-STAT1アッセイ)
(3.4.1.1.1.1. 試薬の調製)
5×Lyse/Fix緩衝液(BD PhosFlow、カタログ番号558049)を蒸留水で5倍に希釈し、37℃に予熱した。残りの希釈したLyse/Fix緩衝液を廃棄した。
【0212】
10μgのrhIL-6(R&D Systems社製、カタログ番号206-IL)を、1mlのPBS 0.1% BSAに溶かし、10μg/mlのストック溶液を得た。ストック溶液を小分けし、-80℃で保存した。
【0213】
化合物の3倍の希釈系列をDMSO中に調製した(10 mMストック溶液)。対照処理試料には化合物の代わりにDMSOを与えた。試料は全て1%の最終DMSO濃度でインキュベートした。
【0214】
(3.4.1.1.1.2. 血液の化合物とのインキュベーション及びIL-6による刺激)
ヒトの血液をヘパリン処理したチューブに集める。血液を148.5μLのアリコートに分ける。その後、1.5μLの被験化合物希釈液を各血液アリコートに加え、血液試料を穏やかに揺らしながら37℃で30分間インキュベートする。1.5マイクロリットルの10倍希釈されたIL-6ストック溶液を血液試料に加え(最終濃度10ng/ml)、該試料を穏やかに揺らしながら37℃で20分間インキュベートする。
【0215】
(3.4.1.1.1.3. 白血球調製)
赤血球を溶解させ、白血球を固定するために、刺激期間の最後に、3mLの1×予熱したLyse/Fix緩衝液を直ちに血液試料に加え、手短にボルテックスにかけ、水浴中で15分間37℃でインキュベートした。
【0216】
チューブを、400xgで4℃で5分間遠心分離する。細胞ペレットを3mLの冷1×PBSで洗浄し、遠心分離後に細胞ペレットを100μLの氷冷1×PBSに再懸濁させ、900μLの氷冷100%メタノールを加える。次いで、細胞を4℃で30分間、易透化のためにインキュベートする。
【0217】
次いで、易透化された細胞を、3%BSAを含む1×PBSで洗浄し、最後に3%BSAを含む80μLの1×PBXに再懸濁させる。
【0218】
(3.4.1.1.1.4. ホスホ-STAT1及び抗-CD4抗体による細胞標識化)
20μLのPEマウス抗-STAT1(pY701)又はPEマウスIgG2aκアイソタイプコントロール抗体(BD Biosciences社製、それぞれカタログ番号612564及び559319)と、FITC-結合抗-CD4抗体又は対照FITC-結合アイソタイプ抗体を加えて混合し、暗所で4℃で30分間インキュベートした。
【0219】
次いで、細胞を1×PBSで1回洗浄し、FACSCanto IIフローサイトメーター(BD Biosciences社製)で分析した。
【0220】
(3.4.1.1.1.5. FACSCanto IIによる蛍光分析)
50,000の総事象を計数し、リンパ球ゲート中で、CD4+細胞のゲーティングの後ホスホ-STAT1陽性細胞を測定する。FACSDivaソフトウェアを利用してデータを分析し、IL-6刺激の阻害のパーセンテージを、CD4+細胞に対するホスホ-STAT1に対する陽性細胞のパーセンテージから計算する。
【0221】
(3.4.1.1.2. ホスホ-STAT5アッセイ)
(3.4.1.1.2.1. 試薬の調製)
5×Lyse/Fix緩衝液(BD PhosFlow、カタログ番号558049)を蒸留水で5倍に希釈し、37℃に予熱した。残りの希釈したLyse/Fix緩衝液は廃棄した。
【0222】
10μgのrhGM-CSF(AbCys S.A.社製、カタログ番号P300-03)を100μLのPBS 0.1% BSAに溶解させて、100μg/mLのストック溶液を得た。該ストック溶液を小分けにして-80℃で保存した。
【0223】
化合物の3倍希釈系列をDMSO中で調製した(10mMストック溶液)。対照処理試料には、被験化合物無しでDMSOを与えた。全試料を1%最終DMSO濃度でインキュベートした。
【0224】
(3.4.1.1.2.2. 血液の化合物とのインキュベーション及びGM-CSFによる刺激)
ヒトの血液をヘパリン処理したチューブに集めた。血液を148.5μLのアリコートに分けた。その後、1.5μLの化合物希釈液を各アリコートに加え、血液試料を、穏やかに揺らしながら37℃で30分間インキュベートした。GM-CSFストック溶液の5,000倍希釈液(1.5μL)を血液試料に加え(最終濃度20pg/mL)、穏やかに揺らしながら試料を37℃で20分間インキュベートした。
【0225】
(3.4.1.1.2.3. 白血球調製)
赤血球を溶解させ、白血球を固定するために、刺激期間の最後で、3mLの1×予熱されたLyse/Fix緩衝液を血液試料に直ちに加え、手短にボルテックスにかけ、水浴中で15分間37℃でインキュベートした。
【0226】
チューブを、400xgで4℃で5分間遠心分離した。細胞ペレットを3mLの冷1×PBSで洗浄し、遠心分離後に細胞ペレットを100μLの氷冷1×PBSに再懸濁させ、900μLの氷冷100%メタノールを加えた。次いで、細胞を4℃で30分間、易透化のためにインキュベートした。
【0227】
(3.4.1.1.2.4. 抗ホスホ-STAT5及び抗-CD33抗体による細胞標識化)
20μLのPEマウス抗-STAT5(pY694)又はPEマウスIgG1κアイソタイプコントロール抗体(BD Biosciences社製、それぞれカタログ番号612567及び554680)と、APCマウス抗CD33抗体(BD Biosciences社製345800番)又は対照APCマウスIgG1アイソタイプ抗体(BD Biosciences社製345818番)を加え、混合し、次いで暗所で、30分間4℃でインキュベートした。
【0228】
次いで、細胞を1×PBSで1回洗浄し、FACSCanto IIフローサイトメーター(BD Biosciences社製)で分析した。
【0229】
(3.4.1.1.2.5. FACSCanto IIでの蛍光分析)
50,000の総事象を計数し、CD33+細胞のゲーティングの後ホスホ-STAT5陽性細胞を測定した。FACSDivaソフトウェアを利用してデータを分析したが、CD33+細胞に対するホスホ-STAT5に対する陽性細胞のパーセンテージから計算したGM-CSF刺激の阻害のパーセンテージに相当する。
【0230】
(3.4.2. プロトコル2)
(3.4.2.1. 刺激プロトコル)
フローサイトメトリー分析を実施して、ヒトの全血を利用するエクスビボでのJAK2に優るJAK1の化合物選択性を確立した。したがって、血液を、インフォームドコンセントを与えたヒトの志願者から採取する。次いで、血液を、穏やかに揺らしながら30分間37℃で平衡化させ、エッペンドルフチューブに小分けにする。化合物を異なる濃度で加え、穏やかに揺らしながら37℃で30分間インキュベートし、その後、JAK1-依存性経路刺激にはインターロイキン6(IL-6)、JAK1/TYK2経路刺激にはインターフェロンアルファ(IFNα)、JAK1/JAK3経路刺激にはインターロイキン2(IL-2)、又はJAK2-依存性経路刺激にはGM-CSFにより、穏やかに揺らしながら20分間37℃で刺激する。次いで、ホスホ-STAT1(IL-6-及びIFNα-刺激細胞の場合)及びホスホ-STAT5(IL-2-及びGM-CSF-刺激細胞の場合)レベルを、FACS分析を利用して評価する。
【0231】
(3.4.2.2. ホスホ-STATアッセイ)
(3.4.2.2.1. 試薬の調製)
5×Lyse/Fix緩衝液(BD PhosFlow、カタログ番号558049)を蒸留水で5倍に希釈し、37℃に予熱した。残りの希釈したLyse/Fix緩衝液を廃棄した。
【0232】
10μgのrhIL-6(R&D Systems社製、カタログ番号206-IL)を1 mLのPBS+0.1% BSAに溶解させて、10μg/mLストック溶液を得た。該ストック溶液を小分けにして、-80℃で保存した。
【0233】
10μgのrhIL-2(R&D Systems社製、カタログ番号202-IL)を1mLのPBS+0.1%BSAに溶解させて、10μg/mLストック溶液を得た。該ストック溶液を小分けにして、-80℃で保存した。
【0234】
5μgのrhGM-CSF(AbCys S.A.社製、カタログ番号P300-03)を12.5mLのPBS+0.1%BSAに溶解させて、400ng/mLストック溶液を得た。該ストック溶液を小分けにして-80℃で保存した。
【0235】
化合物の3倍希釈系列をDMSOで調製した(10mMストック溶液)。対照処理試料には化合物のかわりにDMSOを与えた。全試料を1%最終DMSO濃度でインキュベートした。
【0236】
(3.4.2.2.2. 化合物との血液のインキュベーション及びトリガーによる刺激)
ヒトの血液をヘパリン処理したチューブに集めた。血液を148.5μLのアリコートに分けた。その後、1.5μLの被験化合物希釈液を各血液アリコートに加え、血液試料を、穏やかに揺らしながら37℃で30分間インキュベートした。1.5マイクロリットルの10倍希釈されたIL-6ストック溶液、1.5μLのuIFNα(PBL Biomedical社製、カタログ番号11200-1)ストック溶液、1.5μLの25倍希釈されたIL-2ストック溶液、又は1.5μLの200倍希釈されたGM-CSFストック溶液を血液試料に加え、試料を、穏やかに揺らしながら37℃で20分間インキュベートした。
【0237】
(3.4.2.2.3. 白血球調製)
赤血球を溶解させ、白血球を固定するために、刺激期間の最後に、3mLの1×予熱したLyse/Fix緩衝液を直ちに血液試料に加え、手短にボルテックスにかけ、水浴中で15分間37℃でインキュベートした。
【0238】
チューブを、400xgで4℃で5分間遠心分離した。細胞ペレットを3mLの冷1×PBSで洗浄し、遠心分離後に細胞ペレットを100μLの氷冷1×PBSに再懸濁させ、900μLの氷冷100%メタノールを加えた。次いで、細胞を4℃で30分間、易透化のためにインキュベートした。
【0239】
次いで、易透化された細胞を、3%BSAを含む1×PBSで洗浄し、最後に3%BSAを含む80μLの1×PBXに再懸濁させた。
【0240】
(3.4.2.2.4. 細胞標識)
20μLのPEマウス抗-STAT1(pY701)又はPEマウスIgG2aκアイソタイプコントロール抗体(BD Biosciences社製、それぞれカタログ番号612564及び559319)と、APC-結合抗-CD4抗体又は対照APC-結合アイソタイプ抗体(BD Biosciences社製、それぞれカタログ番号555349及び555751)を、IL-6-及びIFNα-刺激チューブに加え、混合し、ついで、暗所で、20分間4℃でインキュベートした。
【0241】
20μLのPEマウス抗-STAT5(pY694)又はPEマウスIgG1κアイソタイプコントロール抗体(BD Biosciences社製、それぞれカタログ番号612567及び554680)と、APC-結合抗-CD4抗体又は対照APC-結合アイソタイプ抗体(BD Biosciences社製、それぞれカタログ番号555349及び555751)をIL-2-刺激チューブに加え、混合し、次いで、暗所で20分間4℃でインキュベートした。
【0242】
20μLのPEマウス抗-STAT5(pY694)、又はPEマウスIgG1κアイソタイプコントロール抗体(BD Biosciences社製、それぞれカタログ番号612567及び554680)と、APCマウス抗CD33抗体(BD Biosciences社製、345800)又はコントロールAPCマウスIgG1アイソタイプ抗体(BD Biosciences社製、カタログ番号345818)を、GM-CSF-刺激チューブに加え、混合し、次いで、暗所で、20分間4℃でインキュベートした。
【0243】
次いで、細胞を、1×PBSで1回洗浄し、FACSCanto II フローサイトメーター(BD Biosciences社製)で分析した。
【0244】
(3.4.2.2.5. FACSCanto IIでの蛍光分析)
50,000の総事象を計数し、ホスホ-STAT1陽性細胞を、IL-6-及びIFNα-刺激細胞のためのリンパ球ゲートにおいて、CD4+細胞のゲーティングの後で測定した。ホスホ-STAT5陽性細胞を、IL-2-刺激細胞のためのリンパ球ゲートにおいて、CD4+細胞のゲーティングの後で測定した。ホスホ-STAT5陽性細胞を、CD33+細胞のゲーティングの後で測定した。FACSDivaソフトウェアを利用してデータを分析し、IL-6又はIFNα刺激の阻害のパーセンテージを、CD4+細胞に対するホスホ-STAT1に対する陽性細胞のパーセンテージから計算する。IL-2刺激細胞では、FACSDivaソフトウェアを利用してデータを分析し、IL-2刺激の阻害のパーセンテージを、CD4+細胞に対するホスホ-STAT1に対する陽性細胞のパーセンテージから計算した。GM-CSF刺激細胞では、GM-CSF刺激の阻害のパーセンテージを、CD33+細胞に対するホスホ-STAT5に対する陽性細胞のパーセンテージから計算した。
【0245】
(3.4.3. 結果)
これらのプロトコルに従うと、式Iによる化合物は、6つの異なるドナーでIL-6-誘起STAT1リン酸化に関して11.9μMの平均IC50を与えた。IFNα-誘起STAT1リン酸化では、6つの異なるドナーで、平均IC50が15.4μMであると評価した。IL-2-誘起STAT5リン酸化では、5つの異なるドナーで、平均IC50が19.6μMであると評価した。GM-CSF-誘起STAT5リン酸化では、7つの異なるドナーで、平均IC50が100μMを超えると評価した。
【0246】
(実施例4. インビボモデル)
(4.1. CIAモデル1)
(4.1.1. 材料)
完全フロイントアジュバント(CFA)及び不完全フロイントアジュバント(IFA)をDifco社から購入した。ウシII型コラーゲン(CII)、リポ多糖(LPS)及びエンブレル(登録商標)をそれぞれ、Chondrex社(Isle d'Abeau、フランス)、Sigma社(P4252、L'Isle d'Abeau、フランス)、Whyett(25mg注射可能シリンジ、フランス)、Whyett(25mg注射可能シリンジ、フランス)、Acros Organics社(カリフォルニア州パロアルト)から入手した。使用した他の全ての試薬は試薬等級のものであり、全ての溶媒は分析用等級であった。
【0247】
(4.1.2 動物)
Dark Agoutiラット(雄、7〜8週齢)をHarlan Laboratories社(Melderslo、オランダ)から入手した。ラットを12時間の明暗サイクル(0700-1900)に保った。温度を22℃に維持し、餌及び水を適宜与えた。
【0248】
(4.1.3 コラーゲン誘発関節炎(CIA))
実験の前日に、CII溶液(2mg/mL)を0.05Mの酢酸を用いて調製し、4℃で保管した。免疫化の直前に、等量のアジュバント(IFA)及びCIIを氷水浴において、予冷却したガラス瓶中でホモジナイザーにより混合した。乳濁液が形成されなかった場合は、さらなるアジュバント及びホモジナイズの延長が必要となる場合がある。1日目に0.2mLの乳濁液を各ラットの尾の根元に皮内注射し、9日目に第2の追加免疫の皮内注射(CFA0.1mLの生理食塩水中2mg/mLのCII溶液)を行った。この免疫化法は既報の方法(Simsらの文献、(2004);Jouらの文献(2005))を変更したものであった。
【0249】
(4.1.4 研究設計)
化合物の治療効果をラットCIAモデルで試験した。ラットを無作為に、均等な群に分け、各群は10匹のラットを含んでいた。全てのラットを1日目に免疫化し、9日目に追加免疫した。治療量を16日目〜30日目まで与え続ける。陰性対照群をビヒクル(MC 0.5%)で処置し、陽性対照群をエンブレル(登録商標)(10mg/kg、3×週、皮下注射)で処置した。対象とする化合物を、典型的には、3用量、例えば、6、10、60mg/kg、1日1回経口で試験した。
【0250】
(4.1.5 関節炎の臨床評価)
関節炎を、Khachigianの文献2006、Linらの文献2007、及びNishidaらの文献2004の方法に従い得点付けした。4足それぞれの腫脹を以下のように関節炎スコアによってランク付けした:0−症状なし;1−軽度だが、足首又は手首などの1種の関節の明確な紅化及び腫脹、又は罹患した指の数にかかわらず個々の指に限られた明らかな紅化及び腫脹;2−2種以上の関節の中等度の紅化及び腫脹;3−指を含む足全体の重度の紅化及び腫脹;4−多数の関節が関与する極度に炎症を起こした肢(動物あたりの最大の累積臨床関節炎スコアは16)(Nishidaらの文献2004)。
【0251】
複数の研究のメタ分析を可能にするため、臨床スコア値を以下のとおり規格化した。
【0252】
臨床スコアのAUC(AUCスコア):個々のラットに対して、1日から14日の曲線下面積(AUC)を計算した。各動物のAUCを、その動物のデータが得られた研究におけるビヒクルに対して得られた平均AUCで割り、100をかけた(すなわち、AUCを、研究あたりの平均ビヒクルAUCのパーセンテージとして表した)。
【0253】
1日から14日までの臨床スコアの増加(エンドポイントスコア):各動物の臨床スコアの差を、その動物のデータが得られた研究におけるビヒクルに対して得られた平均臨床スコアの差で割り、100をかけた(すなわち、差を、研究あたりビヒクルの平均臨床スコアの差のパーセンテージとして表した)。
【0254】
(4.1.6 関節炎発症後の体重の変化(%))
臨床的に、体重減少は関節炎と関連した(Sheltonらの文献、2005;Argilesらの文献、1998;Rallの文献、2004;Walsmithらの文献、2004)。したがって、関節炎発症後の体重の変化は、ラットモデルにおける治療術の効果を評価する非特異的なエンドポイントとして利用できる。関節炎発症後の体重の変化(%)を以下のように計算した。
【数1】
【0255】
(4.1.7 放射線学)
個々の動物の後足のX線写真を撮影した。無作為のブラインド・アイデンティティ番号を、写真のそれぞれに割り当て、以下の放射線学的ラーセンのスコアシステムを用いて2人の独立したスコアラーにより骨びらんの重症度をランク付けした:0−無傷の骨の外郭及び正常な関節腔を有する正常状態;1−1又は2の外側中足骨に軽微な骨びらんが見られる軽度の異常;2−3から5の外側中足骨に骨びらんがみられる明確な初期の異常;3−全ての外側中足骨並びに1又は2の内側中足骨に明らかな骨びらんが見られる中等度破壊性異常;4−全ての中足骨に明らかな骨びらんが見られ、かつ少なくとも1の内側中足骨関節が完全に侵食され、骨の関節外郭のいくらかが部分的に残されている重度破壊性異常;5−骨の外郭を有さないムチランス型異常。このスコア付けシステムは、Salveminiらの文献、2001;Bushらの文献、2002;Simsらの文献、2004;Jouらの文献、2005の変形であった。
【0256】
(4.1.8 組織学)
放射線学的分析の後、マウスの後足を10%リン酸-緩衝ホルマリン(pH7.4)に固定し、微細組織診のための急速骨脱灰剤(Laboratories Eurobio社製)によって脱灰しパラフィンに包埋した。関節炎の関節の詳細な評価を確実に行うために、少なくとも4つの連続切片(5μm厚)を切り出し、各系列の切片の間を100μmとした。該切片をヘマトキシリン及びエオシン(H&E)で染色した。滑膜の炎症、並びに骨及び軟骨損傷の組織学的実験を、二重盲検プロトコルを利用して行った。各足において、4点スケールを用いて4つのパラメーターを評価した。該パラメーターは、細胞浸潤、パンヌス重症度、軟骨侵食、及び骨びらんであった。以下のようにスコア付けを行った:1−正常、2−軽度、3−中等度、4−顕著。4つのスコアを総合し、さらなるスコア、つまり「RA総計スコア」として表した。
【0257】
(4.1.9 踵骨(踵の骨)のマイクロ-コンピュータ断層撮影法(μCT)分析)
RAに見られる骨破壊は特に皮質骨で生じ、μCT分析により明らかとなり得る(Sims NAらの文献(Arthritis Rheum. 50 (2004) 2338-2346:「ゾレドロン酸による破骨細胞の標的化はコラーゲン誘導性関節炎における骨破壊を予防する(Targeting osteoclasts with zoledronic acid prevents bone destruction in collagen-induced arthritis)」);Oste Lらの文献(ECTC Montreal 2007「マイクロCT形態計測によりマウスのCIAモデルにおける骨の構築の乱れを測定するハイスループット法(A high throughput method of measuring bone architectural disturbance in a murine CIA model by micro-CT morphometry)」)。踵骨の走査及び3Dボリューム再構築後に、骨破壊を、インシリコで骨の縦軸に対して垂直に単離されたスライドあたりに存在する分離した対象の数として測定した。骨がより破壊されているほど、より多くの分離対象が測定された。踵骨に沿って均一に分布した1000の切片(約10.8μmの間隔)を分析した。
【0258】
(4.1.10 定常状態PK)
7日又は11日に、抗凝血剤としてのヘパリンリチウムとともに血液試料を後方眼窩洞(retro-orbital sinus)で下記の時点で採取した:投与前、1、3、及び6時間。全血試料を遠心分離し、生じた血漿試料を分析未決のまま-20℃で保存した。各被験化合物の血漿濃度を、質量分光法がポジティブエレクトロスプレーモードで運転されるLC-MS/MS法により測定した。Winnonlin(登録商標)(Pharsight(登録商標)、アメリカ合衆国)を使用して薬物動態学的パラメーターを計算し、投与前の血漿レベルが24時間血漿レベルと等しいと仮定した。
【0259】
(4.1.11 結果)
式Iによる化合物は、図1及び表1に示される通り、60mg/kgの投与量で、規格化された臨床スコア値(AUCとして又は1日から14日への差として計算)に統計的に有意な向上を示した。
【0260】
表I:本明細書に開示される化合物による処置後のラットCIA臨床スコア
【表2】
【0261】
(4.2. CIAモデル2)
(4.2.1. 動物)
体重が165〜194グラムである(平均およそ178g)雌のルイスラット(n=76)を、関節炎第0日に、Charles River Laboratories社、Wilmington, MA(整理番号393739)から得た。動物は、群及び動物番号を表す尾の根本の個別番号により特定した。
【0262】
到着すると、靴箱型のポリカーボネートケージに、4匹/ケージで動物を収容し、II型コラーゲンにより免疫させる前に8日間順化させた。同時に与える薬物は全くなかった。
【0263】
順化及び試験期間の間、温度が19〜25°F(-7.2〜-3.9℃)及び相対湿度30%〜70%の実験室環境に動物を収容した。自動タイマーにより、12時間の光及び12時間の暗がりを与えた。動物には、餌及び水を適宜与えた。
【0264】
(4.2.2. コラーゲン誘発関節炎(CIA))
(4.2.2.1. 準備)
第-9日及び第-3日に、順化させた雌のルイスラットにイソフルランで麻酔をかけ、2mg/mLウシII型コラーゲン(Elastin Products社製、オーエンズビル、ミズーリ州)を含む300μLのフロイント不完全アジュバント(Difco社製、デトロイト、ミシガン州)による皮下/皮内(SC/ID)注射を、尾の根本及び背の2部位に与えた。
【0265】
0.01N酢酸中に4mg/mL溶液を作ることにより、コラーゲンを調製した。同体積のコラーゲンとフロイント不完全アジュバントを、この材料を水に入れたときその滴がその形を保つようになるまで、手作業の混合により乳化させた。各動物には、背中の3つの皮下部位に分けて、各場合に300μLの混合物を与えた。
【0266】
(4.2.2.2. 試験)
試験の第1日に、関節炎の発症が起こり、動物を無作為に処置群に分けた。無作為化の後、全てのケージに、プロトコル番号、群番号、及び動物番号の標識を付けた。各群への無作為化は、足首の関節の腫脹が明らかに確立され、両側性疾患の充分なエビデンスが出てから行った。
【0267】
確立されたII型コラーゲン関節炎を有する動物を、ビヒクル(メチルセルロース0.5%(w/v))、又はメチルセルロース中に調製された活性化合物(複数可)0.5%(w/v)により、毎日(QD)経口(PO)経路により13日間処置した。経口投薬は、関節炎第1日に開始し、第13日まで毎日(24時間間隔でQD)継続した。関節炎第14日に動物を屠殺した。
【0268】
(4.2.2.3. 関節炎の臨床評価)
動物の両足首の直径を測定することにより、関節炎の重症度を評価した。足首のキャリパー測定を、Digitrix IIマイクロメーター(Fowler&NSK社製)により第0日から毎日実施した。ベースライン測定は、1つの足首を利用して、値を千分の一インチまで丸めて行った。ある範囲の体重に基づくラットの歴史的な(historical)値と比べて、測定値を臨床的に正常であると確認した(0.260〜0.264インチ)。次いで、ベースライン測定を両足首に適用したが、これらの値は、足首が、全距骨の輪郭が良好に明確で炎症の証拠が全くなく臨床的に正常である限り動物と共にあった。動物を第14日に屠殺した。
【0269】
(4.2.2.4. 化合物、用量、及び結果)
化合物を、様々な投与量で、個別及び組み合わせて試験したが、それを以下の表IIに列記する。
【0270】
表II:CIA第2モデルにおいて試験した化合物及び投与量
【表3】
(*=ビヒクル対照に対してp≦0.05分散分析)
【0271】
(4.2.2.5. 結論)
図2及び以下の表IIIに示されている通り、足首直径測定は、式Iによる化合物(25mg/kg)と式IIによる化合物(3mg/kg)の組み合わせの投与が、式Iによる化合物(25mg/kg)単独又は式IIによる化合物(3mg/kg)単独で得られる効果よりも強い効果を与えることを示す。
【0272】
表III:本明細書に開示される化合物による処置後のラットCIAモデルにおける足首直径(インチ)の変化
【表4】
【0273】
(実施例5. 薬物動態学的試験)
(5.1. インビトロ代謝試験)
マウス、ラット、イヌ、及びヒトの肝細胞中の式IIによる[14C]-化合物の代謝を比較する試験は、式IIによる化合物が全ての種において安定であることを明らかに示し、代謝の程度が全ての種において低く、図3に示される通り式IIによる化合物の少なくとも80%が24時間後にあることを確認する。
【0274】
表IVは、ヒト及び動物種の肝細胞における、式IIによる化合物の放射分析による代謝プロファイルを示すが、それは、1つの主な代謝物(式Iによる化合物、11%)及び2種の微量な代謝物(特性化せず、<1.0%、クロマトグラム上に認識できる)を示した。
【0275】
表IV:式IIによる化合物のインビトロ代謝プロファイル
【表5】
【0276】
(5.2. インビボ試験)
(5.2.1. 動物における単回投与薬物動態)
式IIによる化合物を投薬した種々の動物種で薬物動態試験を実施し、式Iによる化合物への曝露並びにその見かけの最終半減期を(T1/2)、可能な場合決定した。
【0277】
(5.2.1.1. プロトコル)
(5.2.1.1.1. 動物)
Sprague-Dawleyラット(雄、200〜250g)、CD1マウス(雄、25〜30g)、ビーグル犬(雄、9〜10kg)、ゲッチンゲンミニブタ(雄、10〜15kg)、及びニュージーランドホワイトウサギ(雄、3〜5kg)を、処置の前に少なくとも7日間順化させ、12時間明暗サイクル(07時00〜19時00)に保った。
【0278】
温度をおよそ22℃に保ち、餌及び水を適宜与えた。
【0279】
(5.2.1.1.2. 薬物動態試験)
式Iによる化合物を0.5%メチルセルロース中に製剤し、投薬体積5又は10mL/kgで、15〜180mg/kgの投与量で、1回の強制食道投薬として、3又は6匹の動物に経口投薬した。
【0280】
式IIによる化合物を0.5%メチルセルロース中に製剤し、投薬体積5又は10mL/kgで、15〜45mg/kgの投与量で、1回の強制食道投薬として、3匹の動物に(又は3匹のマウス/時点)経口投薬した。
【0281】
頸動脈(イヌ、ミニブタ)、耳の血管(ウサギ)、心臓穿刺(マウス)、又は後眼窩洞(ラット)により、ヘパリンリチウムを抗凝固剤として、24時間の期間にわたり血液試料を集めた。全血試料を遠心分離し、得られた血漿試料を分析未決のまま-20℃で保存した。
【0282】
(5.2.1.1.3. 血漿中の化合物レベルの定量化)
式Iによる化合物及び式IIによる化合物の血漿濃度を、全種に関して式Iと式IIの両方で定量限界≦10.0ng/mLで、LC-MS/MS法により測定した。
【0283】
(5.2.1.1.4. 薬物動態パラメーターの決定)
薬物動態パラメーターを、統計分析パッケージ(WinNonLin(Pharsight社製、サニーベール、カリフォルニア州:CA 94086、USA)を利用して計算した。
【0284】
(5.2.1.2. 結果)
(5.2.1.2.1. 式Iによる化合物の単独投与時の結果)
上述のプロトコルを利用して、AUC及び見かけの最終半減期を、以下に表Vに示す通り決定した。
【0285】
表V:式Iによる本発明の化合物の投与時の様々な種における曝露及び見かけの最終半減期
【表6】
【0286】
表Vに示される結果は、式Iによる化合物が、それだけで投薬された場合、容易に吸収され、したがってインビボで曝露されることを示す。
【0287】
(5.2.1.2.2. 式IIによる化合物の単独投与時の結果)
式IIによる化合物の投与時に、式Iによる化合物の見かけの最終排泄半減期を、マウス(2.1時間)及びウサギ(4.6時間)で決定した。
【0288】
(5.2.2. ヒトにおける単回投与薬物動態)
(5.2.2.1. プロトコル)
対象に、単一用量(10、25、50、100、又は200mg)の式IIによる化合物をカプセルとして、高脂肪高カロリー朝食(FDA勧告:高脂肪(食事の全カロリー含量のおよそ50パーセント)、及び高カロリー(およそ800〜1000カロリー)の後で与えた。例の試験用食事は、バターで揚げた卵2つ、ベーコン2切れ、バターを塗ったトースト2枚、4オンス(113.4g)のハッシュブラウンポテト、及び8オンス(226.8g)の全乳を含むだろう。この試験用食事における置き換えは、食事が、タンパク質、炭水化物、及び脂肪から類似の量のカロリーを提供し、同等な食事の体積及び粘度を有する限り行うことができる。
【0289】
連続的な血液試料を72時間にわたり集め、実証された液体クロマトグラフィー質量分析法/質量分析法(LC-MS/MS)法を利用して定量限界1.00ng/mLで、式II及び式Iによる化合物の血漿濃度を決定した。PKパラメーターを統計分析パッケージ(WinNonLin(Pharsight社製、サニーベール、カリフォルニア州:CA 94086、USA)を利用して評価した。
【0290】
(5.2.2.2. 血漿消失結果)
式IIによる化合物及び式Iによる化合物の平均血漿濃度-時間プロファイルを測定した。
【0291】
式IIによる化合物の経時的な消失は二相のプロファイルを示し、平均の見かけの最終消失半減期は約5〜8時間であった。
【0292】
対照的に、式Iによる化合物の血漿消失は単相のプロファイルを示し、平均の見かけの最終消失半減期は21〜27時間であった。
【0293】
(5.2.2.3. 式II及び式Iによる化合物への曝露)
2種の化合物の相対的な曝露を示すために、式Iによる化合物及び式IIによる化合物のAUCを計算した。AUC値は、投薬後の、種における化合物の全曝露を表す。次いで、これらの値を、図4において、式Iによる化合物のAUC:式IIによる化合物のAUCの比として表した。この比から、ヒトにおける式IIによる化合物投与の後の式Iの化合物への曝露において、治療上等価な投与量での動物に見られる曝露に比較して著しい差があったことが明らかにわかる。理論に拘束されることは望まないが、この差が、異なる種における見かけの最終半減期の差に関連すると考えられた。
【0294】
表VI:式IIによる化合物の投与時に測定した[式I]:[式II]の曝露の比(AUCとして表す)
【表7】
【0295】
(5.2.3. ヒトにおける反復投与薬物動態)
(5.2.3.1. プロトコル)
対象には、10日間、標準的な朝食の後に、カプセルとして、反復投与量の(25、50、及び100mg BID又は200、300、及び450mg QD)式IIによる化合物を与えた。
【0296】
連続的な血液試料を、12時間(BID療法)又は24時間(QD療法)にわたり、第1日及び第10日に集め、実証された液体クロマトグラフィー質量分析法/質量分析法(LC-MS/MS)法を利用して両式にとって定量限界1.00ng/mLで、式II及び式Iによる化合物の血漿濃度を決定した。PKパラメーターを統計分析パッケージ(WinNonLin(Pharsight社製、サニーベール、カリフォルニア州:CA 94086、USA)を利用して評価した。
【0297】
(5.2.3.2. 血漿消失結果)
式IIによる化合物及び式Iによる化合物の平均血漿濃度-時間プロファイルを測定した。
【0298】
式IIによる化合物の経時的な消失は二相のプロファイルを示し、平均の見かけの最終消失半減期は約4〜11時間であった。
【0299】
対照的に、式Iによる化合物の血漿消失は単相のプロファイルを示し、平均の見かけの最終消失半減期は22〜27時間であった。
(5.2.3.3. 式II及び式Iによる化合物への曝露)
2種の化合物の相対的な曝露を示すために、式Iの化合物及び式IIによる化合物のAUCを計算した。AUC値は、反復投薬後の化合物の定常状態の曝露を表す。式Iによる化合物のAUC:式IIによる化合物のAUCの比を表VIIに表す。
【0300】
表VII:式IIによる化合物の反復投与時に測定した式II及び式Iの曝露(AUCとしてμg.h/mLで表す)
【表8】
【0301】
(5.2.4. 結論)
式Iによる化合物は、インビトロで全ての種において非常に類似したプロファイルを示す。しかし、意外なことに、インビボでは、このプロファイルはヒトと他の動物種の間で非常に異なり、見かけの最終半減期がヒトでは少なくとも3倍高かった。このより長い見かけの最終半減期により、ヒトにおいて式Iによる化合物の蓄積が起こり、広範囲の投与計画頻度の可能性、特に低頻度の投与計画の可能性、より特に1日1回から2週ごとに1回、最も特に1日1回から週に1回の可能性を与える。
【0302】
(5.3. 標的阻害)
式IIによる化合物を、健康な志願者に、200mg QD及び100mg BIDで毎日投薬した。
【0303】
次いで、得られた式II及び式Iのレベルを測定し、実施例3.4で上述した全血アッセイにより決定されたそれぞれのIC50の倍数としてプロットした(図5)。
【0304】
式IIと式IはどちらもCIAラットモデルにおいて単独で活性であった。驚くべきことに、図4に示される通り、式IIの化合物の投与は2つの活性種、式I及び式IIに関連している。理論に限定されることは望まないが、式IIが標的の迅速な阻害を与え、次いで、式Iによる化合物が着実に形成され、蓄積され、そのため、図6においてIC50の累積倍数(cumulative fold)において示されている通り、ほとんど24時間にわたるIC50レベルを超える薬物レベルをもたらすと考えられる。そのような蓄積が起こらないラット、マウス、及びウサギのモデルからそのようなプロファイルは予測され得なかったため、これは特に意外であった。
【0305】
表VIII:[ng/mLとして表された化合物の血液循環投与量]/[IC50量での同じ化合物の循環投与量]として計算された比
【表9】
【0306】
(全般的な結論)
本出願に与えられたデータは、式Iによる化合物が生化学アッセイにおいてJAK1とJAK2に類似のインビトロ効力を示すものの、生理的条件により近い(Saharinenらの文献(2000 Mol. Cell. Biol., 20(10), 3387))インビトロ全血選択性アッセイが、式Iによる本発明の化合物がJAK2よりJAK1に対して10倍を超える選択性を示すことを示す。さらに、式Iによる本発明の化合物は、インビトロデータ又は他の種におけるインビボデータから予測し得るものに比べて、ヒトにおいて意外なインビボプロファイルを示す。とりわけ、式Iによる化合物は、ヒトにおいて、当業者が予測し得ない21〜27時間にわたる著しく長い見かけの最終半減期を示し、それは、低頻度の投与計画から患者のコンプライアンス増大にわたる利点をもたらし得る。とりわけ、患者が服用し忘れた場合のノンアドヒランスの影響は低減され得る。
【0307】
(実施例6. 追加のプロトコル)
(6.1. 熱力学的溶解性)
1mg/mLの被験化合物の溶液を、ガラス小瓶において室温で、0.2Mのリン酸緩衝液pH7.4又は0.1Mのクエン酸緩衝液pH3.0に調製する。
【0308】
該試料をローテータードライブSTR4(Stuart Scientific社製、Bibby社製)において、速度3.0、室温で24時間回転させる。
【0309】
24時間後、800μLの試料をエッペンドルフチューブに移し、14000rpmで5分間遠心分離する。次いで、200μLの試料の上清をMultiscreen(登録商標)溶解度用プレート(Millipore社製、MSSLBPC50)に移し、該上清を真空マニホールドを用いて、清潔なGreiner社製ポリプロピレンV字底96ウェルプレート(カタログ番号651201)に濾過する(10-12”(25.4-30.5cm)Hg)。5μLの濾液を、検量線を有するプレート(Greiner社製、カタログ番号651201)で、インキュベートに使用するのと同じ緩衝液95μL(20倍)に希釈する。
【0310】
該化合物の検量線をDMSO中で新たに作成する。10mMのDMSOストック溶液から開始して、DMSOに2倍に希釈し(5000μM)、次いで、19.5μMまでDMSOでさらに希釈する。次いで、5000μMからの希釈系列3μlを、97μlのアセトニトリル-緩衝液混合物(50/50)に移す。最終濃度の範囲は2.5〜150μMである。
【0311】
該プレートをシーリングマット(MA96RD-04S、Kinesis, Cambs, PE19, 8YX, UK)で密閉し、分子の適切な質量を決定するためにQuanoptimizeを使用して最適条件下で、室温でLCMS(Waters社製、ZQ1525)にて試料を測定する。
【0312】
該試料を、LCMSにおいて1ml/分の流量で分析する。溶媒Aは15mMのアンモニアであり、溶媒Bはアセトニトリルである。該試料を、Waters社製のXBridge C18 3.5μM(2.1×30mm)カラムを用いてポジティブイオンスプレー下で操作する。溶媒勾配は、総実行時間2分であり、5%B〜95%Bの範囲である。
【0313】
ピーク面積を、Masslynxソフトウェアパッケージを用いて分析し、試料のピーク面積を検量線に対してプロットして、該化合物の溶解度を得る。
【0314】
溶解度値をμM又はμg/mLで報告する。
【0315】
(実施例6.2 水溶性)
(6.2.1 水溶性2%DMSO手順)
10mMのDMSO中のストック溶液から開始して、化合物の段階希釈をDMSOで調製する。該希釈系列を、96NUNC Maxisorbプレート平底(カタログ番号442404)に移し、室温の0.2Mのリン酸緩衝液pH7.4又は0.1Mのクエン酸緩衝液pH3.0を添加する。
【0316】
最終濃度は、5回の同じ希釈工程で、200μM〜2.5μMの範囲にある。最終DMSO濃度は2%を超えない。200μMのピレンを各96ウェルプレートの角点に添加し、顕微鏡のZ軸の補正のための参照点とする。
【0317】
該アッセイプレートを密閉し、230rpmで振盪しながら37℃で1時間インキュベートする。次いで、該プレートを白色光顕微鏡下で走査し、濃度あたりの沈殿の個々の写真を得る。該沈殿を分析し、数値に変換して、これをグラフ上にプロットする。該化合物が完全に溶解したように見える最初の濃度は下記に報告する濃度であるが、しかし、本当の濃度は、この濃度と1つ上の希釈段階との間のどこかにあるだろう。
【0318】
この手順により測定した溶解度値をμg/mLで報告する。
【0319】
(6.2.2 水溶性3%DMSO手順)
10mMのDMSO中のストック溶液から開始して、化合物の段階希釈をDMSOで調製する。該希釈系列を、96NUNC Maxisorbプレート平底(カタログ番号442404)に移し、室温の0.1Mのリン酸緩衝液pH7.4又は0.1Mのクエン酸緩衝液pH3.0を添加する。
【0320】
最終濃度は、5回の同じ希釈工程で、300μM〜18.75μMの範囲にあるだろう。最終DMSO濃度は3%を超えない。200μMのピレンを各96ウェルプレートの角点に添加し、顕微鏡のZ軸の補正のための参照点とする。
【0321】
該アッセイプレートを密閉し、230rpmで振盪しながら37℃で1時間インキュベートする。次いで、該プレートを白色光顕微鏡下で走査し、濃度あたりの沈殿の個々の写真を得る。該沈殿を分析し、ソフトウェアツールにより数値に変換して、これをグラフ上にプロットできる。該化合物が完全に溶解したように見える最初の濃度は報告した濃度であるが、しかし、本当の濃度は、この濃度と1つ上の希釈段階との間のどこかにある。
【0322】
この手順により測定した溶解度値をμg/mLで報告する。
【0323】
(実施例6.3 血漿タンパク質結合(平衡透析))
DMSO中の化合物の10mMストック溶液を、DMSOで5倍に希釈する。この溶液を、新たに解凍したヒト、ラット、マウス又はイヌの血漿(BioReclamation社製)で、最終濃度10μM及びDMSO最終濃度0.5%にさらに希釈する(PP-Masterblock 96ウェル(Greiner社製、カタログ番号780285)において1094.5μLの血漿中5.5μL)。
【0324】
インサート(ThermoScientific社製、カタログ番号89809)を有するPierce Red Deviceプレートを準備し、緩衝液チャンバーを750μLのPBSで満たし、かつ血漿チャンバーを500μLの添加血漿(spiked plasma)で満たす。該プレートを230rpmで振盪しながら、37℃で4時間インキュベートする。インキュベーション後、両チャンバーの120μLを、96ウェル丸底、PPディープウェルプレート(Nunc社製、カタログ番号278743)中の360μLのアセトニトリルに移し、アルミ箔の蓋で密閉する。該試料を混合し、30分間氷上に置く。次いで、このプレートを1200rcf、4℃で30分遠心分離し、該上澄みをLCMSでの分析用に96V字底PPプレート(Greiner社製、651201)に移す。
【0325】
該プレートを、Kinesis, Cambs, PE19 8YX, UKのシーリングマット(MA96RD-04S)で密閉し、分子の適切な質量を決定するためにQuanoptimizeを使用して最適条件下で、室温でLCMS(Waters社製、ZQ1525)にて試料を測定する。
【0326】
該試料を、LCMSで1ml/分の流量で分析する。溶媒Aは15mMのアンモニアであり、溶媒Bはアセトニトリルである。該試料を、Waters社製のXBridge C18 3.5μM(2.1×30mm)カラムを用いてポジティブイオンスプレー下で操作する。溶媒勾配は、総実行時間2分であり、5% B〜95% Bの範囲である。
【0327】
緩衝液チャンバー及び血漿チャンバー中の化合物のピーク面積は、100%の化合物であると考えられる。血漿への結合率を、これらの結果から導き、血漿への結合率として報告する。
【0328】
PBS中の最終試験濃度の化合物の溶解度を顕微鏡で調査して、沈殿が見られるか否かを示す。
【0329】
(実施例6.4 ミクロソーム安定性)
(6.4.1 ミクロソーム安定性1時間インキュベーション手順)
DMSO中の化合物の10mMストック溶液を、96ディープウェルプレート(Greiner社製、カタログ番号780285)において182mMのリン酸緩衝液pH7.4で1000倍に希釈し、37℃でプレインキュベートする。
【0330】
40μLの脱イオン水をポリプロピレン製マトリックス2Dバーコード標識化した保存チューブ(Thermo Scientific社製)のウェルに添加し、37℃でプレインキュベートする。
【0331】
グルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PDH)作業溶液を182mMのリン酸緩衝液pH7.4で調製し、使用前に氷上に置く。MgCl2、グルコース-6-リン酸及びNADP+を含む補因子を脱イオン水で調製し、使用前に氷上に置く。
【0332】
対象とする種(ヒト、マウス、ラット、イヌ)の肝ミクロソーム(Xenotech社)、前述のG6PDH、及び補因子を含む最終作業溶液を調製し、この混合物を室温で20分以内でインキュベートする。
【0333】
30μLの予熱した化合物希釈液を、マトリックスチューブ中の予熱した水40μLに添加し、30μLのミクロソーム混合物を添加する。最終反応濃度は、化合物3μM、ミクロソーム1mg、GDPDH 0.4U/mL、MgCl2 3.3mM、グルコース-6-リン酸3.3mM及びNADP+ 1.3mMである。
【0334】
ゼロ時間での化合物の残存率を測定するために、ミクロソーム混合物の添加前に、MeOH又はMeCNを該ウェルに添加する(1:1)。該プレートをMatrix Sepra seals(Matrix社、カタログ番号4464)で密閉し、数秒間振盪して、確実に全ての成分の混合が行われるようにする。
【0335】
停止させない試料を、37℃、300rpmでインキュベートし、1時間のインキュベート後、該反応をMeOH又はMeCNで停止する(1:1)。
【0336】
該反応の停止後、試料を混合し、氷上に30分間置いてタンパク質を沈殿させる。次いで、該プレートを1200rcf、4℃で30分間遠心分離し、LCMSでの分析用に上澄みを96V字底PPプレート(Greiner社、651201)に移す。
【0337】
これらのプレートを、Kinesis, Cambs, PE19 8YX, UKのシーリングマット(MA96RD-04S)で密閉し、親分子の適切な質量を決定するためにQuanoptimizeを使用して最適条件下で、室温でLCMS(Waters社製、ZQ1525)にて試料を測定する。
【0338】
該試料を、LCMSにおいて1ml/分の流量で分析する。溶媒Aは15mMのアンモニアであり、溶媒Bは、使用した停止溶液に応じてメタノール又はアセトニトリルである。該試料を、Waters社のXBridge C18 3.5μM(2.1×30mm)カラムを用いてポジティブイオンスプレー下で操作する。溶媒勾配は、総実行時間2分であり、5% B〜95% Bの範囲である。
【0339】
ゼロ時間での親化合物のピーク面積を100%の残存とする。1時間のインキュベーション後の残存率をゼロ時間から算出し、残存率として算出する。緩衝液中の最終試験濃度の化合物の溶解度を顕微鏡で調査し、結果を報告する。
【0340】
ミクロソーム安定性のデータを、60分後に残存している化合物の総量の割合として表す。
【0341】
(6.4.2. ミクロソーム安定性30分インキュベーション手順)
DMSO中の化合物の10mMストック溶液を、96ディープウェルプレート(Greiner社製、カタログ番号780285)において105mMのリン酸緩衝液pH7.4で6μMに希釈し、37℃で予熱する。
【0342】
700U/mlのグルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PDH、Roche社製、10127671001)作業溶液を105mMのリン酸緩衝液pH7.4で1:700の比で希釈する。0.528MのMgCl2.6H2O(Sigma社製、M2670)、0.528Mのグルコース-6-リン酸(Sigma社製、G-7879)及び0.208MのNADP+(Sigma社製、N-0505)を含む補因子混合物を、105mMのリン酸緩衝液pH7.4で1:8の比で希釈する。
【0343】
対象とする種(ヒト、マウス、ラット、イヌなど)の1mg/ml肝ミクロソーム(供給業者Xenotech社)、0.8U/mlのG6PDH、及び補因子混合物(6.6mMのMgCl2、6.6mMのグルコース-6-リン酸塩、2.6mMのNADP+)を含む作業溶液を調製する。この混合物を室温で15分、しかし決して20分を超えずにプレインキュベートする。
【0344】
プレインキュベーションの後に、化合物希釈液及びミクロソームを含む混合物を等量加え、300 rpmで30分間インキュベートする。0分の時点で、ミクロソーム混合物を加える前に、2体積のメタノールを化合物希釈液に加える。インキュベーションの間の最終濃度は以下のとおりである:3μMの被験化合物又は対照化合物、0.5 mg/mlのミクロソーム、0.4U/mlのG6PDH、3.3mMのMgCl2、3.3mMのグルコース-6-リン酸塩、及び1.3mMのNaDP+。
【0345】
30分のインキュベーションの後、反応を2体積のメタノールで停止させる。
【0346】
両時点で、試料を混合し、遠心分離し、上清をLC-MS/MSでの分析用に採取する。残存化合物のパーセンテージを決定するために、装置の反応(すなわちピーク高さ)を、ゼロ時点試料(100%として)に参照する。標準化合物プロパノロール及びベラパミルをアッセイデザインに含める。
【0347】
ミクロソーム安定性のデータを、30分後に残存する化合物の総量に対するパーセンテージとして表す。
【0348】
肝細胞安定性(異なる種の肝細胞懸濁液中での100μMの式IIによる[14C]-化合物の24時間のインキュベーション後の式IIによる化合物及びその主な代謝物の濃度(全放射能の%として))。
【0349】
(実施例6.5 Caco2透過性)
2方向Caco-2アッセイを下記のように行う。Caco-2細胞を欧州細胞カルチャーコレクション(ECACC、カタログ86010202)から入手し、24ウェルトランスウェルプレート(Fisher社、TKT-545-020B)での21日間の細胞培養後に使用する。
【0350】
DMEM+GlutaMAXI+1%のNEAA+10%のFBS(FetalClone II)+1%のPen/Strepからなる播種培地に2×105細胞/ウェルを播種する。培地は2〜3日毎に交換する。
【0351】
被験化合物及び参照化合物(プロプラノロール及びローダミン123又はビンブラスチン、全てSigma社から購入した)を、25mMのHEPES(pH7.4)を含有するハンクス平衡塩類溶液で調製し、0.25%の最終DMSO濃度を有する10μMの濃度で、トランスウェルプレートアセンブリの頂端側チャンバー(125μL)又は基底側チャンバー(600μL)のいずれかに加える。
【0352】
50μMのルシファーイエロー(Sigma社製)を全ウェルのドナー緩衝液に添加し、ルシファーイエローの透過を監視することによって細胞層の一体性を評価する。ルシファーイエロー(LY)は親油性バリアを自由に透過することができないので、LY輸送の程度が高いと該細胞層の一体性が乏しいことを示唆する。
【0353】
オービタルシェーカーで150rpmで振盪しながら37℃で1時間インキュベーションした後、頂端側(A)及び基底側(B)の両チャンバーから70μLのアリコートを取り出し、96ウェルプレートにて、分析用内部標準(0.5μMのカルバマゼピン)を含有する、100μLの50:50 アセトニトリル:水の溶液に添加する。
【0354】
基底側及び頂端側から得た液体150μLを含む新たな96ウェルプレートで、Spectramax Gemini XS(励起426nm及び発光538nm)を用いてルシファーイエローを測定する。
【0355】
試料中の化合物濃度を高速液体クロマトグラフィー/質量分析計(LC-MS/MS)により測定する。
【0356】
見掛けの透過度(Papp)の値を以下の関係から算出する:
【0357】
Papp=[化合物]受容体最終×V受容体/([化合物]供与体初期×V供与体)/Tinc×V供与体/表面積×60×10-6cm/秒
【0358】
V=チャンバー容積
【0359】
Tinc=インキュベーション時間
【0360】
表面積=0.33cm2
【0361】
Papp B>A/Papp A>Bの比を用いて、頂端細胞表面からの能動的な流出の指標としての流出率を算出する。
【0362】
下記のアッセイ許容基準を使用する:
【0363】
プロプラノロール:Papp(A>B)値≧20(×10-6cm/秒)
【0364】
ローダミン123又はビンブラスチン:Papp(A>B)値<5(×10-6cm/秒)流出率≧5を伴う
【0365】
ルシファーイエロー透過度:≦100nm/秒。
【0366】
(6.6. 敗血症ショックモデル)
リポ多糖(LPS)の注射は、可溶性腫瘍壊死因子(TNF-α)の末梢への急速な放出を誘導する。このモデルを使用して、インビボでのTNF放出の有望な遮断薬を分析する。
【0367】
1群あたり6匹の雌のBALB/cJマウス(20g)を、一度の意図された投与、経口投与で処置する。30分後、LPS(15μg/kg;大腸菌血清型0111:B4)を腹腔内に注射する。90分後、マウスを安楽死させ、血液を回収する。循環しているTNFαのレベルを、市販のELISAキットを使用して測定する。デキサメタゾン(5μg/kg)を参照抗炎症化合物として使用する。
【0368】
(6.7. MABモデル)
MABモデルは、治療法によるRA様炎症応答の調節の迅速な評価を可能にする(Khachigian LMの文献(Nature Protocols (2006) 2512-2516:「コラーゲン抗体誘発性関節炎(Collagen antibody-induced arthritis)」))。DBA/Jマウスに、II型コラーゲンに対するmAbカクテルを静脈内注射する。1日後、化合物処置を開始する(ビヒクル:10%(v/v)HPβCD)。3日後、マウスに腹腔内LPS注射(50μg/マウス)を施し、速やかな炎症の発症を起こさせる。該mAb注射の10日後まで、化合物処置を続ける。足の腫脹の測定及び各足の臨床スコアの記録によって、炎症を読み取る。四肢の累積的臨床関節炎スコアを提示して炎症の重症度を示す。4が最も重症の炎症である0〜4のスケールを使用して、スコア付けシステムを各肢に適用する。
0 症状なし
1 軽度だが、足首又は手首などの1種の関節の明確な紅化及び腫脹、又は罹患した指の数にかかわらず個々の指に限られた明らかな紅化及び腫脹
2 2種以上の関節の中等度の紅化及び腫脹
3 指を含む足全体の重度の紅化及び腫脹
4 多数の関節が関与する極度に炎症を起こした肢。
【0369】
(6.8. オンコロジーモデル)
JAK2誘導性の骨髄増殖性疾患に対する小分子の有効性を検証するためのインビボモデルは、Wernigらの文献(Cancer Cell 13, 311, 2008)及びGeronらの文献(Cancer Cell 13, 321, 2008)に記載されている。
【0370】
(6.9. マウスIBDモデル)
IBDに対する小分子の有効性を検証するためのインビトロ及びインビボのモデルは、Wirtzらの文献、2007に記載されている。
【0371】
(6.10. マウス喘息モデル)
喘息に対する小分子の有効性を検証するためのインビトロ及びインビボのモデルは、Nialsらの文献、2008;Ipらの文献、2006;Pernisらの文献、2002;Kudlaczらの文献、2008に記載されている。
【0372】
(最終的な見解)
上記記載が本質的に例示的で説明的であり、本発明及びその好ましい実施態様を説明するものであることを、当業者は理解するだろう。通常の実験により、当業者は、本発明の趣旨から逸脱せずに加え得る明らかな改良及び変形を認識するだろう。そのため、本発明は、上記の記載ではなく、以下の特許請求の範囲及びその等価物により定義されるものとする。
【0373】
本明細書に引用された、特許及び特許出願を含むがこれらに限定されない刊行物は全て、個々の刊行物が完全に記載されているかのように引用により本明細書に組み込まれるように具体的かつ個別的に示されているかのように、引用により本明細書に組み込まれる。
【0374】
上記記載から、本発明の組成物及び方法における様々な改良及び変更を当業者は思いつくだろう。添付の特許請求の範囲内にあるそのような改良は全て、本件出願に含まれるものとする。
【0375】
様々な化合物の示差的な細胞浸透能などの因子がインビトロ生化学アッセイにおける化合物活性と細胞アッセイにおける化合物活性との間の相違に寄与し得ることを理解されたい。
【0376】
本件出願に与えられ、かつ記載される本発明の化合物の化学名の少なくともいくつかは、市販の化学命名ソフトウェアプログラムを使用して自動的に生成された場合があり、独立に検証していない場合がある。この機能を実行する代表的なプログラムには、Open Eye Software社により販売されるLexichem命名ツール及びMDL社により販売されるAutonom Softwareツールがある。示された化学名と表された構造とが異なる場合、表された構造が基準となる。
【0377】
本明細書に示された化学構造は、ChemDraw(登録商標)又はISIS(登録商標)/DRAWのいずれかを使用して作成された。本明細書の構造における炭素、酸素又は窒素原子に現れている任意の開放原子価は、水素原子の存在を示す。構造中にキラル中心が存在するが、該キラル中心について具体的な立体化学が示されない場合、該キラル構造と関連する両方の鏡像異性体が該構造により包含される。
(参考文献)
【化12】
図1
図2
図3
図4
図5
図6